(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開閉可能に構成される第1及び第2金型の間に溶融樹脂を射出してパリソンを配置した状態で第1及び第2金型を閉じて保圧することで成形体を形成するように構成される成形機であって、
油圧を発生させる油を導通させる油圧回路と、前記油圧回路に含まれる流量調整弁、圧力調整弁、及び経路制御弁とを備え、
少なくとも前記射出、前記開閉及び前記保圧を行う各油圧機構が、前記油を貯蔵するタンクから同一のポンプを用いて吸い出され下流側に導通された前記油により発生する前記油圧によって駆動され、
前記流量調整弁は、前記油の流量を調整し、
前記圧力調整弁は、前記油圧を調整し、
前記経路制御弁は、前記油圧回路において前記油の導通経路を決定し、
前記流量調整弁と前記圧力調整弁と前記経路制御弁とが、これらを一体に備える多機能弁ユニットに収容され、
前記各油圧機構は、前記多機能弁ユニットの外部に配設されることを特徴とする、
成形機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
油圧回路は、油を貯留するタンク、これを送圧するポンプを含み、これに加え、流量調整弁、圧力調整弁、及び複数の経路制御弁を含む。ここでいう経路制御弁とは、油の導通経路を決定する弁であり、例えば各種のロジック弁やこれを作動させるための電磁弁である。一般的に、弁ごとに油圧回路中の配置位置が異なる、例えば、流量調整弁や圧力調整弁は、上流側(タンクやポンプに近い位置)に配置し、電磁弁やロジック弁等の経路制御弁は、下流側(制御対象の油圧機構に近い位置)に配置することとなる。そのため、油圧回路がスペースを取り且つ複雑化するという問題点があり、換言すると、従来技術に係る成形機は、全体的に大型化する傾向にあったといえる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、油圧回路の省スペース化及び簡素化を実現可能に構成された成形機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の観点によれば、開閉可能に構成される第1及び第2金型の間に溶融樹脂を射出してパリソンを配置した状態で第1及び第2金型を閉じて保圧することで成形体を形成するように構成される成形機であって、油圧を発生させる油を導通させる油圧回路と、前記油圧回路に含まれる流量調整弁、圧力調整弁、及び経路制御弁とを備え、少なくとも前記射出、前記開閉及び前記保圧を行う各油圧機構が、前記油圧によって駆動され、前記流量調整弁は、前記油の流量を調整し、前記圧力調整弁は、前記油圧を調整し、前記経路制御弁は、前記油圧回路において前記油の導通経路を決定し、前記流量調整弁と前記圧力調整弁と前記経路制御弁とが、これらを一体に備える多機能弁ユニットに収容されることを特徴とする、成形機が提供される。
【0006】
本発明の観点に係る成形機は、油圧回路において多機能弁ユニットを備え、当該多機能弁ユニットにおいて流量調整弁、圧力調整弁、及び経路制御弁が一体に収容されることを特徴とする。従来は離れて設けられていた流量調整弁及び圧力調整弁と、経路制御弁とが一体に収容されることによって、成形機における油圧回路の省スペース化、簡素化をすることができる。ひいては成形機全体として小型化をすることができる。
【0007】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、ポンプを更に備え、前記ポンプは、前記油を貯蔵するタンクから前記油を吸い出してこれを下流側に導通させるもので、前記油圧回路における上流側から下流側に向かって、前記ポンプ、前記多機能弁ユニット及び前記各油圧機構が配設され、La>Lbであって、前記Laは、前記油圧回路における前記多機能弁ユニット−前記各油圧機構の経路長の平均値であり、前記Lbは、前記油圧回路における前記ポンプ−前記多機能弁ユニット間の経路長である。
【0008】
好ましくは、前記多機能弁ユニットは略直方体形状を有し、当該略直方体の面上において前記流量調整弁、前記圧力調整弁及び前記経路制御弁が設けられる。
【0009】
好ましくは、前記多機能弁ユニットにおける複数の流路は、前記略直方体の面上から当該面の垂直方向に向かって延在するように設けられる。
【0010】
好ましくは、前記成形機は上下2段構成であり且つ前記樹脂を射出する樹脂供給装置を備え、前記樹脂供給装置は、原料樹脂を溶融混練して溶融樹脂にする押出機を備え、第1及び第2金型及び前記多機能弁ユニットは、下段に設けられ、前記樹脂供給装置は、上段に設けられ、第1及び第2金型及び前記多機能弁ユニットは、前記押出機の長手方向に沿って配置され、第1及び第2金型は、前記押出機の長手方向に沿って開閉される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0013】
1.全体構成
まず、本発明の実施形態に係る成形機について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る成形機1の外観斜視図(写真)及び側面視概要図である。図示の通り、成形機1は、全体としてはおおよそ直方体形状をなし、横幅wよりも奥行きdの長さが長い。また、高さh方向について上段2と下段3とかなる上下2段構成という特徴を有する。以下、上段2、下段3に係る各構成について詳細に説明する。
【0014】
1.1 上段2の構成
まず、上段2の構成について説明する。上段2には、樹脂供給装置5と、射出部18とが設けられる。樹脂供給装置5は、ホッパー12と、押出機13とを備える。押出機13は、連結管25を介して射出部18に連結される。
【0015】
<ホッパー12、押出機13>
ホッパー12は、原料樹脂11を押出機13のシリンダ13a内に投入するために用いられる。原料樹脂11の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂11は、例えばポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂であり、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。原料樹脂11は、ホッパー12からシリンダ13a内に投入された後、シリンダ13a内で加熱されることによって溶融混練されて溶融樹脂になる。また、シリンダ13a内に配置されたスクリューの回転によってシリンダ13aの先端に向けて搬送される。スクリューは、シリンダ13a内に配置され、その回転によって溶融樹脂を混練しながら搬送する。スクリューの基端にはギア装置が設けられており、ギア装置によってスクリューが回転駆動される。シリンダ13a内に配置されるスクリューの数は、1本でもよく、2本以上であってもよい。
【0016】
<射出用油圧機構17、射出部18>
溶融樹脂11aは、シリンダ13aの樹脂押出口から押し出され、連結管25を通じて射出部18内に注入される。射出部18は、シリンダ18aと、その内部で摺動可能なピストン18bと、マンドレル18cを備えており、シリンダ18a内に溶融樹脂11aが貯留可能になっている。そして、シリンダ18a内に溶融樹脂11aが所定量貯留された後にピストン18bを移動させることによって溶融樹脂11aを射出部18の先端に設けられたダイスリットから射出して垂下させてパリソン23を形成する。
図1においてはパリソン23の形状は、円筒状であるが、当該例に限定されず、他の形状(例えばシート状)であってもよい。
【0017】
ピストン18bの一端は、射出用油圧機構17に連結されている。油圧機構17は、シリンダ17aと、その内部で摺動可能なピストン17bを備える。ピストン17bは、連結プレート17cを介してピストン18bに連結されている。ピストン17bは、シリンダ17a内の油圧を制御することによって駆動可能になっている。ピストン17bを駆動するための油圧回路は、後述する。
【0018】
1.2 下段3の構成
続いて、下段3の構成について説明する。
図2A及び
図2Bは、本発明の実施形態に係る成形機1の下段3の構成を示す概念図である。下段3には、第1金型21及び第2金型22と、この開閉及び保圧を行う型開閉・保圧装置30と、後述の油圧回路に係るタンクT1、ポンプP及び多機能弁ユニットUとが設けられる。金型21、22及び多機能弁ユニットUは、押出機13の長手方向に沿って配置されている。
【0019】
<第1及び第2金型21、22>
金型21、22によって構成される分割金型は、奥行きd方向(押出機13の長手方向)に開閉可能に構成される。開閉可能な構成については次の型開閉・保圧装置30において詳述する。
図1〜
図2に示すように、パリソン23を金型21、22の間に配置した状態で金型21、22を閉じて、保圧することによって成形体を形成することができる。金型21、22を用いた成形の方法は特に限定されず、金型21、22のキャビティ内にエアーを吹き込んで成形を行うブロー成形であってもよく、金型21、22のキャビティの内面からキャビティ内を減圧してパリソンの成形を行う真空成形であってもよく、その組合せであってもよい。溶融樹脂が発泡剤を含有する場合、パリソンは、発泡パリソンとなる。
【0020】
<型開閉・保圧装置30>
型開閉・保圧装置30は、
図2A及び
図2Bに示されるように、第1及び第2型板31、32と、受圧板33と、タイバー34と、型開閉用油圧機構35と、保圧用油圧機構45を備える。本実施形態では、油圧機構35は、一対の油圧シリンダ機構によって構成される。油圧機構45は、1つの油圧シリンダ機構によって構成される。
【0021】
第1型板31は、後表面において第1金型21を備える。第2型板32は、前表面において、第1型板31に対向する。第2型板32は、第2金型22を備える。第2金型22は、第1金型21に対向するように保持される。受圧板33は、第2型板32からみて第1型板31とは反対側に設けられている。タイバー34は、第1型板31、第2型板32及び受圧板33にわたって貫通されている。油圧機構35、45は、第2型板32と受圧板33の間に設けられている。
【0022】
油圧機構35、45は、それぞれ、シリンダと、その内部で摺動可能なピストンを備える。ピストンは、シリンダ内の油圧を制御することによって駆動可能になっている。具体的には、奥行きd方向へのピストンの突出量は、後述の油圧回路を導通する油の油圧により制御される。油圧機構35は、金型21、22の開閉に用いられる。また、油圧機構45は、金型21、22の保圧に用いられる。
【0023】
例えば、油圧機構35におけるシリンダが伸長されると、タイバー34に固定されている第1型板31及び受圧板33が連動して
図2Aにおける矢印A+方向にタイバー34とともにスライドするとともに、タイバー34を貫通している第2型板32が
図2Aにおける矢印A−方向にスライドする。その結果、型板31、32に設けられた金型21、22が型開き状態(
図2A)から型閉じ状態(
図2B)となる。また
図2Bの状態から、油圧機構45によって更に閉じる方向に圧力をかけることによって、金型21、22の保圧がなされる。同様に、油圧機構35におけるシリンダが収縮されると、タイバー34に固定されている第1型板31及び受圧板33が連動して
図2Bにおける矢印A−方向にスライドするとともに、タイバー34を貫通している第2型板32が
図2Bにおける矢印A+方向にスライドする。その結果、型板31、32に設けられた金型21、22が型閉じ状態(
図2B)から型開き状態(
図2A)となる。
【0024】
<タンクT1、ポンプP、多機能弁ユニットU>
タンクT1には、油圧回路を導通する油が貯蔵されている。ポンプPは、配管41を通してタンクT1と接続され、タンクT1から油を吸い出し且つ多機能弁ユニットUが位置する下流側へ油を送圧する。多機能弁ユニットUは、複数の配管と複数の弁を備え、特に、流量調整弁と圧力調整弁と経路制御弁とがすべて1つのユニットとして収容されることを特徴とする。流量調整弁は、例えば絞り形状をなし、これにより経路断面積を絞って油圧回路を導通する油の流量を調整することができる。圧力調整弁は、油圧回路を導通する油の一部を別経路に逃がすように構成され、これにより油圧を調整することができる。経路制御弁は、例えば電気操作により回路の切換を行うように構成される電磁弁等であって、このような経路制御弁は多機能弁ユニットUにおいて複数設けられる。油圧回路を切り換えることによって、樹脂の射出に係る射出用油圧機構17、金型21、22の開閉に係る型開閉用油圧機構35、及び保圧に係る保圧用油圧機構45が制御される。なお、何れもシリンダ機構を採用しているが、これはあくまでも一例であり他のアクチュエータ(駆動機構)を採用してもよい。
【0025】
2.油圧回路
続いて、各工程目的別に油圧回路における油の導通経路について説明する。油圧回路は、油圧を発生させる油を導通させる回路である。
【0026】
図3は、本発明の実施形態に係る油圧回路の全体回路図である。
図3に示されるように、油圧回路は、各油圧機構におけるピストン部分に圧力を負荷するように油を導通させるメイン流路と、メイン流路から分岐するパイロット流路からなる。パイロット流路には電磁弁が設けられ、パイロット流路を導通する油の導通経路を制御することで、メイン流路中に設けられたロジック弁等の動作制御を行う。すなわち、これによりメイン流路における油の導通経路が決定される。以下、視認性を考慮して、油圧回路の一部である主たる回路の図(
図4〜
図8)を用いて、説明する。
【0027】
図4は、油圧回路の主たる部分についての概略図である。タンクT1は成形機1に内蔵され、ここに各工程において油圧回路を導通する油が貯留される。タンクT2は、成形機1と外部接続され、後述の型閉じ工程において使用する追加の油が貯留される。なお、
図4においてはタンクT1とタンクT2とは別体であるが、不図示の流路において互いに接続されていてもよい。
【0028】
2.1 各種弁の説明
<流量調整弁V1>
流量調整弁V1は例えば絞り形状をなし、これにより経路断面積を絞って油圧回路を導通する油の流量を調整することができる。
【0029】
<圧力調整弁V2>
圧力調整弁V2は、油圧回路を導通する油の一部を別経路に逃がすように構成され、これにより油圧を調整することができる。
【0030】
<経路制御弁V3〜V9>
経路制御弁V3〜V6は、開閉により油の導通可否を制御することで導通経路を決定するロジック弁V3〜V6である。経路制御弁V7は、当該位置の油の導通可否を制御可能に構成される電磁弁V7である。経路制御弁V8は、必要時にタンクT2から油圧機構45に向けて多量の油を吸い込み、且つ油圧機構45からタンクT2への逆流を阻止するように構成されるプレフィル弁V8である。経路制御弁V9は、設定値を超える圧力が加わったときに開状態になって圧力を解放するリリーフ弁である。経路制御弁V3〜V9のうち、ロジック弁V3〜V6、プレフィル弁V8、リリーフ弁V9は、パイロット流路(
図3参照、
図4〜
図8では不図示)と接続され、それぞれ対応する電磁弁によって動作を制御される。
【0031】
2.2 導通経路の説明
<溶融樹脂11aの押出工程>
図5は、
図4において、溶融樹脂11aの射出時の、油圧回路における油の導通経路を示している。なお、減圧のために、圧力調整弁V2によって主たる流路から回避された油の流れについては図示を省略している。以後の図においても同様とする。溶融樹脂11aの射出時には、ロジック弁V3、V5及びプレフィル弁V8を閉状態、ロジック弁V4を開状態とするように不図示の電磁弁を制御する。このような状態下で、ポンプPがタンクT1に貯留された油を下流側へ送圧する。送圧された油は流量調整弁V1を通ることにより流量が調整される。そして、開状態であるロジック弁V4を通って、油圧機構17のシリンダ17a内に油が注入されて、ピストン17bを押し下げる。このような工程により溶融樹脂11aの射出が実施され、
図1に示すように、溶融樹脂11aを射出部18内に設けられたダイスリットから押し出して垂下させてパリソン23が形成される。更に、押出機13を作動させて射出部18内に溶融樹脂11aを注入すると、溶融樹脂11aの圧力によってピストン17bが押し上げられ、シリンダ17a内の油が押し出される。この油は、不図示のパイロット流路を通って、
図4に示される戻り位置Bに導通し、その後タンクT1へ戻るように構成される。
【0032】
<金型21、22の型閉じ工程>
図6は、
図4において、金型21、22を閉じる際の、油圧回路における油の導通経路を示している。金型21、22の型閉じ時には、
図5の状態から少なくともロジック弁V5を開状態、ロジック弁V4を閉状態に変更する。より詳細には、ロジック弁V3、V4、V6を閉状態、ロジック弁V5を開状態とするように不図示の電磁弁を制御する。また、電磁弁V7を閉状態とする。なお、電磁弁V7における閉状態とは、厳密には、
図7に示されるように、電磁弁V7の上流側から下流側への導通が制限されている状態である。このような状態下で、ポンプPがタンクT1に貯留された油を下流側へ送圧する。送圧された油は流量調整弁V1を通ることにより流量が調整される。そして、開状態であるロジック弁V5を通って、油圧機構35のシリンダ35a内に油が注入されて、金型21、22の型閉じ方向(矢印X方向)にピストン35bを移動させる。このようにして金型21、22の型閉じが実施される。また、型閉じがなされると油圧機構35の
図6中右側に位置する油が押し出され、リリーフ弁V9を通って、タンクT1へと戻される。
【0033】
また、油圧機構45のシリンダ45aは、プレフィル弁V8を介してタンクT2に接続されている。ピストン35bの移動に伴って型板32が矢印X方向に移動すると、ピストン45bも矢印X方向に移動する。この移動に伴って、タンクT2からの油がシリンダ45a内に引き込まれる。油圧機構45のシリンダ45aは大容量であり、ポンプPからの油をシリンダ45a内に注入するように構成すると、大容量を出力可能なポンプPを使用する必要があり、ポンプPが大型化してしまう。一方、本実施形態では、ピストン35bの移動に伴って、タンクT2からの油を受動的にシリンダ45a内に注入するようにしているので、ポンプPの大型化が抑制される。
【0034】
<金型21、22の保圧工程>
金型21、22の型閉じ工程に加え、更に互いに閉じる方向に圧力を付加する工程が行われる。かかる工程を保圧と称する。保圧工程は、型閉じ工程の途中に開始してもよいし、型閉じ工程が完全に終了してから行ってもよい。
図7は、
図4において、金型21、22を保圧する際の、油圧回路における油の導通経路を示している。つまり、
図7では、型閉じ工程の途中から追加的に保圧工程を行った場合に係る油の導通経路が示されているが、実際には金型21、22が接触して型閉じ工程が完了すると油の流れ自体は止まりつつ金型21、22に圧力がかかることに留意されたい。換言すると、このような状態では油はほとんど流動せずに、ピストン45bに油圧が加えられる。金型21、22の保圧時には、
図6の状態から少なくとも電磁弁V7を開状態に変更する。より詳細には、ロジック弁V3、V4、V6を閉状態、ロジック弁V5を開状態とするように不図示の電磁弁を制御する。また、電磁弁V7を開状態とする。このような状態下で、ポンプPがタンクT1に貯留された油を下流側へ送圧する。送圧された油は流量調整弁V1を通ることにより流量が調整される。そして、開状態であるロジック弁V5、電磁弁V7を通って、油圧機構45のシリンダ45aを矢印X方向に加圧することによって、金型21、22が保圧される。
【0035】
<金型21、22の型開き工程>
図8は、
図4において、金型21、22を開く際の、油圧回路における油の導通経路を示している。金型21、22の型開き時には、
図9の状態から少なくともロジック弁V5及び電磁弁V7を閉状態に、ロジック弁V3、V6を開状態に変更する。より詳細には、ロジック弁V5を閉状態、ロジック弁V3、V6を開状態とするように不図示の電磁弁を制御する。また、電磁弁V7を閉状態とする。このような状態下で、ポンプPがタンクT1に貯留された油を下流側へ送圧する。送圧された油は流量調整弁V1を通ることにより流量が調整される。そして、開状態であるロジック弁V3を通って、油圧機構35のピストン35bを
図8中の矢印Y方向に加圧する。このようにして金型21、22の型開きが実施される。また、型開きがなされると、シリンダ35a内のピストン35bの左側に位置する油が押し出され、ロジック弁V6を通って、タンクT1へと戻される。さらに、型開きの際には、シリンダ45a内の油が押し出され、電磁弁V7及びロジック弁V6を通って、タンクT1へと戻される。
【0036】
3.多機能弁ユニット
続いて、多機能弁ユニットUについて説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る多機能弁ユニットUの特徴を示すブロック図である。多機能弁ユニットUは、上述の流量調整弁V1、圧力調整弁V2、及び各種の経路制御弁V3〜V9と、これらを接続する配管を備える。油圧回路においては、上流側から下流側に向かって、ポンプP、多機能弁ユニットU及び油圧機構17、35、45が配設される。
【0037】
本実施形態にあっては、
図9に示されるように、多機能弁ユニットU−各油圧機構(油圧機構17、油圧機構35、45間の経路長の平均値をLa、多機能弁ユニットU−ポンプP間の経路長をLbとすると、La>Lbであることを特徴とする。多機能弁ユニットUとポンプPの間は圧力が高いので、この間の距離を短くすることによって、配管の破損を抑制することができる。La/Lbの値は、例えば2〜100であり、具体的には例えば、2、3、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0038】
図10A及び
図10Bは、本発明の実施形態に係る多機能弁ユニットUから各種弁を除いた斜視図であり、特に
図10Bは、内部を透過して表示している。
図11及び
図12は、本発明の実施形態に係る多機能弁ユニットUとこれと接続される一部の流路を示す斜視図である。また、
図13〜
図15はそれぞれ、本発明の実施形態に係る多機能弁ユニットUの正面図、左側面図及び平面図である。図示の通り、多機能弁ユニットUは、略直方体形状を有する。
【0039】
多機能弁ユニットUにおけるこれらの複数の流路は、多機能弁ユニットUの表面から内部に向けて形成された穴又は孔(例えば
図10Aに示す流路穴h1〜h3)である。すなわち、何れの流路も、多機能弁ユニットUに係る略直方体の何れからの面上から当該面の垂直方向に向かって延在するように設けられている。このような構成とすることで、容易に所望の流路を形成することができる。
【0040】
また、略直方体の面上における弁設置位置V1a〜V9aにおいて上述の流量調整弁V1、圧力調整弁V2、及び各種の経路制御弁V3〜V9が設けられる。例えば、
図10Aに示す面上の弁設置位置V3a、V5a、V8a、V9aには、それぞれ、ロジック弁V3、V5、プレフィル弁V8、リリーフ弁V9が設けられる。また、弁設置位置V5aに含まれる流路穴h1、h2は、ロジック弁V5を介して導通/遮断可能に互いに接続されうる。弁設置位置V3a、V9aについても同様である。一方、また、弁設置位置V8aに含まれる流路穴h3は、プレフィル弁V8を介して多機能弁ユニットUとは異なる外部の流路と導通/遮断可能に接続されうる。なお、
図11〜
図15においては、流量調整弁V1及び圧力調整弁V2を一体の弁として表示していることに留意されたい。なお、
図10A及び
図10B、
図11〜
図15に示される実施形態はあくまでも一例であり、詳細については異なる流路構成であってもよい。また、これらの図においては不図示であるが、ロジック弁V3〜V6、プレフィル弁V8、リリーフ弁V9に接続されるパイロット流路や、これらを制御する電磁弁についても多機能弁ユニットUに配設されることが好ましい。
【0041】
4.結言
本実施形態に係る成形機1によれば、以下の効果を奏することできる。
(1)多機能弁ユニットUにおいて流量調整弁V1、圧力調整弁V2、及び経路制御弁V3〜V9等が一体に収容されることを特徴とする。従来は離れて設けられていた流量調整弁V1及び圧力調整弁V2と、経路制御弁V3〜V9とが一体に収容されることによって、成形機における油圧回路の省スペース化、簡素化をすることができる。ひいては成形機全体として小型化をすることができる。
(2)金型21、22の開閉方向を成形機1の長手方向である奥行きd方向とすることで、金型21、22の開閉方向を横幅w方向にする場合に比して省スペース化を実現することができる。
(3)多機能弁ユニットUにおける何れの流路も、多機能弁ユニットUに係る略直方体の何れからの面上から当該面の垂直方向に向かって延在するように設けられるので、複雑且つ高コストな加工を必要とせず生産コストを抑え効率的に多機能弁ユニットUを生産することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、油圧回路の省スペース化及び簡素化を実現可能に構成された成形機1が提供されうる。
【0043】
本発明に係る実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。