特許第6861083号(P6861083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861083電力変換装置及び電力変換装置を用いた無効電力補償装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861083
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】電力変換装置及び電力変換装置を用いた無効電力補償装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20210412BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H05K7/20 H
   H05K7/20 T
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-85672(P2017-85672)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-186601(P2018-186601A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000164483
【氏名又は名称】株式会社キューヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】林 秀美
(72)【発明者】
【氏名】金澤 一伸
(72)【発明者】
【氏名】福島 浩
(72)【発明者】
【氏名】百武 宏記
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−141689(JP,A)
【文献】 特開2003−33002(JP,A)
【文献】 特開2012−23799(JP,A)
【文献】 特開平4−310420(JP,A)
【文献】 特開2015−21725(JP,A)
【文献】 特開2016−220519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ冷却装置を備えたn台(nは2以上の整数)のインバータ装置と、
前記n台のインバータ装置のそれぞれインバータ回路に含まれる複数の電力変換素子を制御するインバータ制御部と、
前記n台のインバータ装置におけるn台の前記冷却装置の前記複数の電力変換素子を装着する装着部分及び前記インバータ制御部が少なくとも収納されているインバータ用ケースを備えている電力変換装置であって、
前記n台のインバータ装置の前記n台の前記冷却装置のそれぞれは、前記装着部分を有するヒートシンクと、前記ヒートシンクに空冷用空気を吹き付けるように前記ヒートシンクに沿って並ぶ複数台の送風機を備えた強制空冷装置を有しており、
前記インバータ用ケースの側壁の外部側には、上下方向または横方向に並んで配置される前記n台の冷却装置のための複数の吸気口と複数の排気口を備えて内部に前記n台の冷却装置の前記装着部分を除く主要部を収容する風洞が設けられており、
前記風洞の内部には、前記上下方向または前記横方向に並んで配置される隣り合う2台の前記冷却装置の間に、一方の前記冷却装置からの排気が他方の前記冷却装置に直接当たるのを遮る遮蔽板がそれぞれ配置されており、
前記遮蔽板は前記一方の前記冷却装置と他方の前記冷却装置の間の空間部分を斜めに仕切るように構成されており、
前記他方の前記冷却装置のための前記吸気口と前記一方の冷却装置のための前記排気口とが前記遮蔽板を介して対向する位置に設けられており、
しかも前記吸気口から奥に向かうに従って前記遮蔽板と前記他方の冷却装置との間の間隔が小さくなり、前記排気口から奥に向かうに従って前記遮蔽板と前記一方の冷却装置との間の間隔が小さくなるように前記遮蔽板と前記隣り合う2台の前記冷却装置の位置関係が定められており、
前記遮蔽板は、対応する前記冷却装置との間の間隔寸法が複数台の送風機が並ぶ方向に所定の長さにわたって変わらない非傾斜部を前記他方の冷却装置のための前記排気口寄りに備えていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記n台の冷却装置のためのn箇の前記吸気口は、前記風洞の前記インバータ用ケースの前記側壁と対向しない一つの側面にそれぞれ開口しており、前記n台の冷却装置のためのn箇の前記排気口は、前記風洞の前記一つの側面と対向する他の側面に開口している請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記n台の冷却装置が上下方向に並んでおり、
前記風洞の底部に最も下に位置する前記冷却装置のための追加の吸気口が設けられている請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記n台の冷却装置が前記上下方向に並んでおり、
前記風洞の上部に最も上に位置する前記冷却装置のための追加の排気口が設けられている請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記遮蔽板は中間層に1以上の断熱層を有する多層構造である請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記n台の冷却装置が前記上下方向に並んでおり、
前記ヒートシンクは、前記上下方向と直交する水平方向に延びており、且つ熱伝達流体が内部を循環する構造を有しており、
前記複数の送風機と対応する前記ヒートシンクとの間の空間は、前記複数の送風機毎に個別の流路を構成するように複数の仕切り壁によって仕切られている請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記インバータ用ケースの前記側壁と対向する前記風洞の側面を構成するパネルを外した状態で、前記強制空冷装置が、前記パネルが位置した側に引き出し可能に引き出し支持構造により支持されている請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記インバータ用ケース内には、該インバータ用ケース内の温度を下げるために外気と熱交換を行う熱交換器と、該熱交換器に対して該インバータ用ケース内の空気を接触させるために該インバータ用ケース内で空気を循環させる空気循環装置が配置されている請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記インバータ用ケース内には、前記n台の冷却装置の前記装着部分に装着された複数の電力変換素子を含む前記インバータ回路と系統の電圧値及び電流値を前記インバータ制御部に出力する制御ユニットとが、両者間に前記空気の循環路を形成するように間隔をあけて配置されている請求項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力変換装置を備えて系統の無効電力を補償する無効電力補償装置。
【請求項11】
それぞれ冷却装置を備えたn台(nは2以上の整数)のインバータ装置と、
前記n台のインバータ装置のそれぞれのインバータ回路に含まれる複数の電力変換素子を制御するインバータ制御部と、
前記n台のインバータ装置におけるn台の前記冷却装置の前記複数の電力変換素子を装着する装着部分及び前記インバータ制御部が少なくとも収納されているインバータ用ケースを備え、
前記n台のインバータ装置の前記n台の前記冷却装置のそれぞれは、前記装着部分を有するヒートシンクと、前記ヒートシンクに空冷用空気を吹き付けるように前記ヒートシンクに沿って並ぶ複数台の送風機を備えた強制空冷装置を有しており、
前記インバータ用ケースの側壁の外部側には、上下方向または横方向に並んで配置される前記n台の冷却装置のための複数の吸気口と複数の排気口を備えて内部に前記n台の冷却装置の前記装着部分を除く主要部を収容する風洞が設けられており、
前記風洞の内部には、前記上下方向または前記横方向に並んで配置される隣り合う2台の前記冷却装置の間に、一方の前記冷却装置からの排気が他方の前記冷却装置に直接当たるのを遮る遮蔽板がそれぞれ配置されており、
前記遮蔽板は前記一方の前記冷却装置と他方の前記冷却装置の間の空間部分を斜めに仕切るように構成されており、
前記他方の前記冷却装置のための前記吸気口と前記一方の冷却装置のための前記排気口とが前記遮蔽板を介して対向する位置に設けられており、
しかも前記吸気口から奥に向かうに従って前記遮蔽板と前記他方の冷却装置との間の間隔が小さくなり、前記排気口から奥に向かうに従って前記遮蔽板と前記一方の冷却装置との間の間隔が小さくなるように前記遮蔽板と前記隣り合う2台の前記冷却装置の位置関係が定められ、
前記n台の冷却装置のためのn箇の前記吸気口は、前記風洞の前記インバータ用ケースの前記側壁と対向しない一つの側面にそれぞれ開口しており、前記n台の冷却装置のためのn箇の前記排気口は、前記風洞の前記一つの側面と対向する他の側面に開口している電力変換装置を備えて系統の無効電力を補償する無効電力補償装置であって、
少なくとも一次側が系統に接続される変圧器と前記系統の電圧値及び電流値を検知する変成器が、絶縁油と一緒に油入収納ケースに収納されており、
前記インバータ用ケースは、前記風洞に設けた前記排気口が前記油入収納ケースの外面に排出空気を当てるように配置されている無効電力補償装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無効電力補償装置等の電力機器に使用される放熱性能の高い電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実公昭63−30231号公報(特許文献1)、実開平3−122596号公報(特許文献2)及び特開2004−356130号公報(特許文献3)には、送風機でインバータを構成する電力変換素子からの熱を強制的に放熱する従来の電力変換装置が開示されている。
【0003】
また特開平9−307038号公報(特許文献4)には電力変換素子を装着したヒートシンクを有する複数台のモジュールを風ガイド(風洞)の内部に上下方向に間隔を開けて配置し、しかも各モジュールを水平方向に対して傾斜させた状態にして空冷性能を向上させた電力変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭63−30231号公報
【特許文献2】実開平3−122596号公報
【特許文献3】特開2004−356130号公報
【特許文献4】特開平9−307038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1乃至4に開示された従来の電力変換装置の空冷技術を組み合わせても、複数台のインバータ装置のインバータ回路に含まれる複数の電力変換素子を冷却する複数のヒートシンクをそれぞれ強制空冷装置を用いて空冷する場合に、各強制空冷装置を有効に活用して各ヒートシンクをむらなく冷却できる構造を得ることができない問題がある。
【0006】
本発明の目的は、複数台のインバータ装置が備える冷却装置をできるだけ有効に活用できるようにして放熱性能の高い電力変換装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、電力変換装置の放熱性能を高めた無効電力補償装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、それぞれ冷却装置を備えたn台(nは2以上の整数)のインバータ装置と、n台のインバータ装置のそれぞれインバータ回路に含まれる複数の電力変換素子を制御するインバータ制御部と、n台のインバータ装置のn台の冷却装置の複数の電力変換素子を装着する装着部分及びインバータ制御部が少なくとも収納されているインバータ用ケースを備えている電力変換装置を対象とする。
【0009】
本発明の電力変換装置では、n台のインバータ装置のn台の冷却装置が、それぞれ装着部分を有するヒートシンクとヒートシンクに空冷用空気を吹き付けるようにヒートシンクに沿って並ぶ複数台の送風機を備えたn台の強制空冷装置を有している。そしてインバータ用ケースの側壁には、上下方向または横方向に並んで配置されるn台の冷却装置のための複数の吸気口と複数の排気口を備えて内部にn台の冷却装置の装着部分を除く主要部を収容する風洞が設けられている。この風洞の内部には、上下方向または横方向に並んで配置される隣り合う2台の冷却装置の間に、一方の冷却装置からの排気が他方の冷却装置に直接当たるのを遮る遮蔽板がそれぞれ配置されている。この遮蔽板は、一方の冷却装置と他方の冷却装置の間の空間部分を斜めに仕切るように構成されており、他方の冷却装置のための吸気口と一方の冷却装置のための排気口とが遮蔽板を介して対向する位置に設けられている。しかも吸気口から奥に向かうに従って遮蔽板と他方の冷却装置との間の間隔が小さくなり、排気口から奥に向かうに従って遮蔽板と一方の冷却装置との間の間隔が小さくなるように遮蔽板と隣り合う2台の冷却装置の位置関係が定められている。
【0010】
本発明によれば、n台の冷却装置にそれぞれヒートシンクを冷却するための複数の送風機からなる強制冷却装置を設ける場合に、隣り合う2台の冷却装置の間に、一方の冷却装置からの排気が他方の冷却装置に直接当たるのを遮る遮蔽板を設けるので、各冷却装置が他の冷却装置からの排熱の影響を受けることなくヒートシンクの強制空冷を行うことができる。その上、遮蔽板が一方の冷却装置と他方の冷却装置の間の空間部分を斜めに仕切るように構成され、一方の冷却装置のための吸気口と他方の冷却装置のための排気口とが遮蔽板を介して対向する位置に設けられており、しかも吸気口から奥に向かうに従って遮蔽板と一方の冷却装置との間の間隔が小さくなり、排気口から奥に向かうに従って遮蔽板と他方の冷却装置との間の間隔が小さくなるように遮蔽板と隣り合う2台の冷却装置の位置関係が定められているので、隣り合う2台の冷却装置の間で他の冷却装置からの排気が、一方の冷却装置の吸気口から吸気される事態が発生することを防止できる。また遮蔽板の傾き方によって、2台の冷却装置の間の間隔寸法を大きくすることなく、ヒートシンクの冷却に必要な複数の送風機からの送風量を確保することができる。
【0011】
n台の冷却装置のためのn箇の吸気口は、風洞のインバータ用ケースの側壁と対向しない一つの側面にそれぞれ開口しており、n台の冷却装置のためのn箇の排気口は、風洞の一つの側面と対向する他の側面に開口しているのが好ましい。このようにするとn台の冷却装置を用いる場合であっても、吸気する空気として排気された空気を直接的に吸い込むことを防止できる。
【0012】
n台の冷却装置が上下方向に並んでいる場合には、風洞の底部に、最も下に位置する冷却装置のための追加の吸気口を設けてもよい。この構造は、特に電力変換装置が設置面から浮いた状態で設置される場合に、追加の吸気口を有効に活用して、吸気量を増大させることができる効果を発揮する。
【0013】
n台の冷却装置が上下方向に並んでいる場合において、風洞の上部に、最も上に位置する冷却装置のための追加の排気口を設けてもよい。この構造は、特に電力変換装置の上方空間の利用に制限がない場合に、追加の排気口を有効に活用して、排気量を増大させることができる効果を発揮する。
【0014】
遮蔽板は、対応する冷却装置との間の間隔寸法が複数台の送風機が並ぶ方向に所定の長さにわたって変わらない非傾斜部を他方の冷却装置のための排気口寄りに備えていてもよい。非傾斜部と言っても、概ね傾斜していなければ良く、完全に水平である必要はない。このような非傾斜部を設けると、非傾斜部と対向する冷却装置との間の距離をほぼ一定に維持することができる。そのため、吸気口側から見ると、奥に位置する送風機の吸い込み口近傍の空間を広く確保することができ、風量の大幅な低下を防止できる。排気口側から見ると、出口部分の近くで非傾斜部と対向する冷却装置との間の距離がほぼ一定になっても、排気流路の抵抗を著しく大きくすることがないので、排気量の低下を生じさせることがない。
【0015】
遮蔽板は中間層に1以上の断熱層を有する多層構造であるのが好ましい。このような断熱層を有する多層構造を使用すると、隣り合う2台の冷却装置間の断熱性能を高めることができる。
【0016】
さらにn台の冷却装置が上下方向に並んでいる場合に、ヒートシンクとして、上下方向と直交する水平方向に延びており、且つ熱伝達流体が内部を循環する構造を有しているものを用いることができる。この場合には、複数の送風機と対応するヒートシンクとの間の空間は、複数の送風機毎に個別の流路を構成するように複数の仕切り壁によって仕切られているのが好ましい。このような仕切り壁を設けると、複数台の送風機のうち1台以上の送風機が故障により停止したときに、健全な送風機から送り出した送風が停止した送風機を回転させて、逆流を生じさせることを防止できる。このような仕切り壁を設けても、ヒートシンクが部分的に冷却されないだけで、ヒートシンク内の熱伝達流体はヒートシンク全体を流れているので、結果としてヒートシンクは全体に冷却されることになる。
【0017】
インバータ用ケースの側壁と対向する風洞の側面を構成するパネルを外した状態で、強制空冷装置の複数台の送風機が、パネルが位置した側に引き出し可能に引き出し支持構造により支持されていてもよい。このような構造を採用すると、故障した送風機の交換が容易になる。
【0018】
インバータ用ケース内には、該インバータ用ケース内の温度を下げるために外気と熱交換を行う熱交換器と、該熱交換器に対して該インバータ用ケース内の空気を接触させるために該インバータ用ケース内で空気を循環させる空気循環装置が配置されていてもよい。このようにするとインバータ用ケース内を密封状態にすることができるので、インバータ装置の防塵及び防水を完全なものとすることができる。
【0019】
インバータ用ケース内には、n台の冷却装置の装着部分に装着された複数の電力変換素子を含むインバータ回路と制御ユニットとが、両者間に空気の循環路を形成するように間隔をあけて配置されているのが好ましい。このようにするとインバータ用ケース内を密封状態にした場合に、電力変換素子から出る熱の一部がインバータ用ケース内に局部的に留まることを防止して、温度上昇が原因になって発生する回路または電子部品の誤動作の発生を防止できる。
【0020】
本発明の電力変換装置は、系統の無効電力を補償する無効電力補償装置に使用することができる。
【0021】
本発明の電力変換装置を系統の無効電力を補償する無効電力補償装置に使用する場合において、無効電力補償装置は、少なくとも一次側が系統に接続される変圧器と系統の電圧値及び電流値を検知する変成器が、絶縁油と一緒に油入収納ケースに収納されているときには、インバータ用ケースは、風洞に設けた排気口が油入収納ケースの外面に排出空気を当てるように配置されているのが好ましい。電力変換装置からの排気が油入収納ケースに当たっても、油入収納ケースの熱容量は大きいため、油入収納ケースの温度上昇には殆ど影響がない。そしてこの配置によれば、外の風が強いときに、油入収納ケースが排気口に強い風が直接当たることを防ぐ防護壁として機能する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の電力変換装置が使用される無効電力補償装置の回路図である。
図2】(A)乃至(C)は、実施の形態の無効電力補償装置の外観の正面図、平面図及び左側面図である。
図3】(A)は、二本の電柱に装荷される第1の実施の形態の無効電力補償装置の内部を透視した概略図であり、図3(B)は二本の電柱に装荷した実施の形態の無効電力補償装置の装着状況の概略を示す図である。
図4】実施の形態の無効電力補償装置のインバータ用ケースの内部の配置構成を示す概略図である。
図5】冷却構造の構成を示す概略図である。
図6】(A)は冷却装置の構造を説明するための概念図であり、(B)は仕切り壁が無い場合に起きる現象を説明するための図である。
図7】(A)乃至(C)は、複数台の冷却装置を上下方向に配置する場合の冷却構造の変形例を示す図である。
図8】(A)及び(B)は複数台の冷却装置を横方向に配置する場合の冷却構造の変形例を示す図である。
図9】無効電力補償装置を1本の電柱に装荷する場合の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、無効電力補償装置等の電力機器に使用される放熱性能の高い本発明の電力変換装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
[無効電力補償装置の構成]
図1は、本発明の電力変換装置が使用される無効電力補償装置の回路図であり、図2(A)乃至(C)は、実施の形態の無効電力補償装置の外観の正面図、平面図及び左側面図である。図3(A)は、二本の電柱に装荷される第1の実施の形態の無効電力補償装置の内部を透視した概略図であり、図3(B)は二本の電柱に装荷した実施の形態の無効電力補償装置の装着状況の概略を示す図である。図4は、実施の形態の無効電力補償装置のインバータ用ケースの内部の配置構成を示す概略図である。なお、図3(A)及び(B)並びに図4では、説明の便宜上、各機器を接続しているケーブル類の図示は省略しており、高圧ブッシング、変成器の固定具、その他の各部品の固定具は省略している。また(A)及び(B)並びに図4では、図示の関係から便宜上各部品の大きさ及び配置位置は異なっている。
【0025】
図1乃至図4に示すように無効電力補償装置1は、6.6kVの系統2と接続されて、系統2の無効電力を補償するものであり、変圧器3と、電力変換器5と、直流リアクトル装置7と、変成器(VCT)9と、インバータ制御部11と、制御ユニット12と、油入収納ケース13と、インバータ用ケース15とを備えている。変圧器3は、3巻線変圧器であり、一次側が系統に電気的に接続されるものである。電力変換器5は、変圧器3の二次側に交流側が接続されている。直流リアクトル装置7は、電力変換器5の直流側に接続されている。変成器9は、系統2の電圧値及び電流値を検知するためのものであり、計器用変圧器9Aと計器用変流器9Bとから構成されており、変圧器3と後述の高圧ブッシングとの間に接続され、制御ユニット12内の機器に接続されている。制御ユニット12には、後述の柱上高圧遮断器等の無効電力補償装置1の各種設定・制御を行うための機器が収納されており、図3に示すように、無効電力補償装置1とは分けて配置されるものである。制御ユニット12内の機器は、インバータ制御部11とも接続されており、変成器9によって得られた電圧値及び電流値をインバータ制御部11に出力している。インバータ制御部11は、電圧値及び電流値に基づいて、電力変換器5を制御する制御信号を出力する。なお図2乃至図4においては、インバータ制御部11は制御ユニット12内に内蔵されているものとして図示を省略してある。
【0026】
図2(A)乃至(C)に示すように、油入収納ケース13は、鉄板を加工して形成された直方体形状であり、各機器を収納し、絶縁油を充填した状態で鉄製の蓋を構成する上壁を閉じて密封するものである。油入収納ケース13内には、変圧器3と、直流リアクトル装置7と、変成器9(計器用変圧器9Aと計器用変流器9B)とが絶縁油と一緒に収納されている。このことにより、各機器の絶縁距離を短くし、油入収納ケース13内にコンパクトに各機器を収納できる。重量の重い変圧器3は、油入収納ケース13の底部に配置されており、変成器9及び直流リアクトル装置7は、変圧器3の上に並んで設置されている。本実施の形態で用いる直流リアクトル装置7は、小型であるため、変圧器3の上に設置することが可能になっており、直流リアクトル装置7は横向きに配置されている。さらに本実施の形態では、変圧器3の上の直流リアクトル装置7と、計器用変圧器9Aと、計器用変流器9Bとを絶縁距離を考慮して省スペースで配置する構成としている。油入収納ケース13の上壁13Bには、変圧器3の一次側と電気的に接続された3本の高圧ブッシング17が設けられている。油入収納ケース13の側壁13Aには、インバータ用ケース15と接続する接続部19が設けられている。
【0027】
電力変換器5は、それぞれ直流側が直列接続された2台の自励式電流形インバータ回路21A,21Bを備えた2台のインバータ装置5A及び5Bから構成されている。なお図1には、図示を簡略化するためにインバータ装置と自励式電流形インバータ回路を代表する表記として「インバータ」の表記をしている。自励式電流形インバータ回路21A,21Bはそれぞれ150kVAであり、直流側が直列接続されることによって、電力変換器5は、300kVAの定格補償容量を有している。直流リアクトル装置7は、自励式電流形インバータ回路21A,21Bに直列接続された1台の直流リアクトル23からなる。このように構成することで、自励式電流形インバータ回路が1台の場合と比較して、自励式電流形インバータ回路21A,21Bを構成する各素子(IGBT)の耐電圧を1/2に下げることができる。また、1台の直流リアクトルで直流リアクトル装置7を構成することができ、また、1台の直流リアクトルに流れる電流値を1/2に下げることができる。
【0028】
図2(A)乃至(C)、図3(A)及び図4に示すように、インバータ用ケース15内には、自励式電流形インバータ回路21A,21B及びインバータ制御部11が収納されている制御ユニット12が配置されている。インバータ用ケース15の側壁15Aには、自励式電流形インバータ回路21A,21Bが発する熱を冷却する2台の冷却装置30A及び30Bの主要部を内部に備えた風洞16が設けられている。なお冷却装置30A及び30Bの詳細については後述する。
【0029】
また図2(A)乃至(C)並びに図3(A)及び図4に示すように、インバータ用ケース15の点検用扉18には、インバータ用ケース15内の温度を下げるために外気と熱交換を行う熱交換器20A及び20Bが設置されている。またインバータ用ケース15内には、熱交換器20A及び20Bに対してインバータ用ケース15内の空気を接触させるためにインバータ用ケース15内で空気を循環させる空気循環装置22[図3(A)及び図4]が配置されている。この空気の流れは、図2(C)及び図4に符号FPで指した破線で示す流路となる。具体的には、2台の冷却装置30A,30Bの装着部分31a,31bに装着された複数の電力変換素子を含むインバータ回路と制御ユニットとが、両者間に空気の循環路を形成するように間隔をあけて配置されている。このようにするとインバータ用ケース15内を密封状態にした場合に、電力変換素子から出る熱の一部がインバータ用ケース内に局部的に留まることを防止して、温度上昇が原因になって発生する回路または電子部品の誤動作の発生を防止できる。
【0030】
このようにするとインバータ用ケース15内を密封状態にすることができるので、電力変換器5の防塵及び防水を完全なものとすることができる。
【0031】
本実施の形態の無効電力補償装置1は、油入収納ケース13とインバータ用ケース15とを分離した状態の分離型である。本実施の形態の無効電力補償装置1は、2本の電柱27,27の間に装架されている。高圧ブッシング17が、系統2と接続された柱上高圧遮断器31に接続されており、柱上高圧遮断器31を介して、無効電力補償装置1が系統2と接続されている。
【0032】
[冷却構造1]
本実施の形態の電力変換装置では、それぞれ冷却装置30A及び30Bを備えた2台のインバータ装置5A及び5Bと、2台のインバータ装置5A及び5Bのそれぞれのインバータ回路21A及び21Bに含まれる複数の電力変換素子を制御するインバータ制御部11を含む制御ユニット12と、2台のインバータ装置5A及び5Bの冷却装置30A及び30Bの図示しない複数の電力変換素子を装着するヒートシンク31A及び31Bの装着部分31a及び31bが少なくとも収納されている。
【0033】
本実施の形態の電力変換装置では、図4及び図5に示すように、2台のインバータ装置5A及び5Bの2台の冷却装置30A及び30Bが、それぞれ装着部分31a及び31bを有するヒートシンク31A及び31Bとヒートシンク31A及び31Bの放熱フィンに空冷用空気を吹き付けるようにヒートシンク31A及び31Bに沿って並ぶ複数台の送風機(図6)を備えた強制空冷装置32A及び32Bを有している。送風機としては、主として軸流送風機を用いることができるが、送風機として遠心送風機、斜流送風機等を用いてもよいのは勿論である。
【0034】
そして図5に示すように、インバータ用ケース15の側壁15Aに設けられた風洞16には、上下方向に並んで配置された2台の冷却装置30A及び30Bのための吸気口IN1,IN21及びIN22と排気口OUT11,OUT2及びOUT12を備えている。吸気口IN1,IN21及びIN22と排気口OUT11,OUT2及びOUT12は、鳥の侵入を防ぐために、網によって覆われている。なお図5には、これら吸気口及び排気口は、図示を簡略化するために、積極的には図示していない。
【0035】
風洞16の内部には、2台の冷却装置30A及び30Bのヒートシンク31A及び31Bの装着部分31a及び31bを除く主要部(31A〜32B)が収容されている。この風洞16の内部には、上下方向に並んで配置される隣り合う2台の冷却装置30Aと冷却装置30Bの間に、一方の冷却装置30Bからの排気が他方の冷却装置30Aに直接当たるのを遮る遮蔽板33が配置されている。この遮蔽板33は、一方の冷却装置30Bと他方の冷却装置30Aの間の空間部分Sを斜めに仕切るように構成されており、他方の冷却装置30Aのための吸気口IN1と一方の冷却装置30Bのための排気口OUT2とが遮蔽板33を介して対向する位置に設けられている。しかも吸気口IN1から奥に向かうに従って遮蔽板33と他方の冷却装置30Aとの間の間隔が小さくなり、排気口OUT2から奥に向かうに従って遮蔽板33と一方の冷却装置30Bとの間の間隔が小さくなるように遮蔽板33と隣り合う2台の冷却装置30A及び30Bの位置関係が定められている。
【0036】
遮蔽板33は、対応する冷却装置30Aとの間の間隔寸法が、その冷却装置30Aの強制空冷装置32A中の複数の送風機が並ぶ方向(図5の場合は、紙面の左右方向)に所定の長さにわたって変わらない非傾斜部33Aを、下側に位置する他方の冷却装置置30Bのための排気口OUT2寄りに備えている。なお非傾斜部33Aは、概ね傾斜していなければ良く、完全に水平である必要はない。このような非傾斜部33Aを設けると、非傾斜部33Aと対向する冷却装置30Aとの間の距離をほぼ一定に維持することができるため、冷却装置30Aのための吸気口IN1側から見ると、強制冷却装置32Aの奥に位置する送風機の吸い込み口近傍の空間を広く確保することができ、奥に位置する送風機の風量の大幅な低下を防止できる。なお排気口OUT11側から見ると、出口部分の近くで非傾斜部33Aと対向する強制空冷装置32Aとの間の距離がほぼ一定になっても、排気流路の抵抗を著しく大きくすることがないので、排気量の低下を生じさせることがない。
【0037】
本実施の形態の遮蔽板33は、中間層に1以上の断熱層34を有する多層構造である。断熱層34を構成する断熱材としては、発泡スチロールやガラス繊維等を用いることができるが、断熱層34を単なる空気の層によって形成してもよい。遮蔽板33に、断熱層34を有する多層構造を使用すると、隣り合う2台の冷却装置30A及び30B間の断熱性能を高めることができる。
【0038】
本実施の形態では、2台の冷却装置30A及び30Bが上下方向に並んでいる場合に地面よりも上に離されて無効電力補償装置1が設置される場合には、風洞16の底部16Aに、下に位置する冷却装置30Bのための追加の吸気口IN22を設けてある。この構造では、追加の吸気口IN22を有効に活用して、吸気量を増大させることができる。
【0039】
さらに本実施の形態では、2台の冷却装置30A及び30Bのための2つの吸気口IN1及びIN21は、風洞16のインバータ用ケース15の側壁15Aと対向しない一つの側面16Cにそれぞれ開口しており、2台の冷却装置30A及び30Bのための2つの排気口OUT11及びOUT2は、風洞16の一つの側面16Cと対向する他の側面16Dに開口している。また本実施の形態では、2台の冷却装置30A及び30Bが上下方向に並んでいる場合において、風洞16の上部16Bに、上に位置する冷却装置30Aのための追加の排気口OUT12を設けている。このようにすると2台の冷却装置30A及び30Bを用いる場合であっても、吸気する空気として排気された空気を直接的に吸い込むことを防止できる。また実施の形態によれば、電力変換装置1の上方空間の利用に制限がないので、追加の排気口OUT12を有効に活用して、排気量を増大させることができる。
【0040】
このような構成を採用すると、2台の冷却装置32A及び32Bにそれぞれヒートシンク31A及び31Bを冷却するための複数の送風機を備えた強制空冷装置32A及び32Bを設ける場合に、隣り合う2台の冷却装置30A及び30Bの間に、一方の冷却装置30Bからの排気が他方の冷却装置30Aに直接当たるのを遮る遮蔽板33を設けているので、各冷却装置が他の冷却装置からの排熱の影響を受けることなくヒートシンク31A及び31Bの強制空冷を行うことができる。
【0041】
なおインバータ用ケース13の側壁15A(図4)と対向する風洞16の側面16E[図2(A)]を構成するパネルを外した状態で、冷却装置30A及び30Bの強制冷却装置32A及び32Bが、パネル16Eが位置した側に引き出し可能に引き出し支持構造により支持されているのが好ましい。このような構造を採用すると、故障した送風機の交換が容易になる。
【0042】
本実施の形態では、図2(B)に示すように、インバータ用ケース15は風洞16に設けた排気口OUT1,OUT11,OUT2が油入収納ケース13の外面に排出空気を当てるように配置されている。このように風洞16からの排気が油入収納ケース13に当たっても、油入収納ケース13の熱容量は大きいため、油入収納ケース13の温度上昇には殆ど影響がない。そしてこの配置によれば、外の風が強いときに、油入収納ケース13が排気口OUT1,OUT11,OUT2に強い風が直接当たることを防ぐ防護壁として機能する効果が得られる。
【0043】
[冷却装置の構造]
図6(A)は、本実施の形態で採用している冷却装置の構造を説明するための概念図である。本実施の形態では2台の冷却装置30A(30B)が上下方向に並んでいる場合において、ヒートシンク31A(31B)は、上下方向と直交する水平方向に延びており、且つ熱伝達流体が内部を循環する構造を有しているものを用いている。この場合には、強制冷却装置32A(32B)の複数の送風機F1乃至F4と対応するヒートシンク31A(31B)との間の空間S1は、複数の送風機F1乃至F4毎に個別の流路を構成するように複数の仕切り壁34によって仕切られている。図6(B)のように仕切り壁を設けない場合には、複数台の送風機F1乃至F4のうち1台の送風機F2が故障により停止すると、健全な送風機F1,F3及びF4から送り出した送風が停止した送風機F2を回転させて、逆流を生じさせる。これに対して仕切り壁34を設けると、複数台の送風機F1乃至F4のうち1台の送風機F2が故障により停止したときでも、健全な送風機F1,F3及びF4から送り出した送風が停止した送風機F2を回転させて、逆流を生じさせることを防止できる。また仕切り壁34を設けても、ヒートシンク31Aが部分的に冷却されないだけで、ヒートシンク31A内の熱伝達流体はヒートシンク全体を流れているので、結果としてヒートシンク31Aは全体に冷却される。
【0044】
上記実施の形態では、2台の冷却装置30A及び30Bを備えているが、冷却装置の数は2台に限定されるものではなく、N台(Nは2以上の整数)以上の冷却装置が、上下方向に並べられて配置されていてもよい。
【0045】
[冷却構造の変形例]
図7(A)乃至(C)は、複数台の冷却装置を上下方向に配置する場合の冷却構造の変形例を示している。図7(A)の例は、風洞16の底部16Aと上部16Bが構造物または設置物によってそれぞれ閉塞されている場合であり、この場合には2つの吸気口IN1及びIN2と2つの排気口OUT1及びOUT2だけを備えている。図7(B)の例は、風洞16の底部16Aが構造物または設置物によって閉塞されている場合であり、この場合には2つの吸気口IN1及びIN2と3つの排気口OUT11、OUT12及びOUT2を備えている。図7(C)の例は、3台の冷却装置30A乃至30Cが上下方向に配置されており、風洞16の底部16Aと上部16Bが構造物または設置物によってそれぞれ閉塞されている場合である。この場合には3つの吸気口IN1乃至IN3と3つの排気口OUT1乃至OUT3を備えている。
【0046】
図8(A)及び(B)は複数台の冷却装置を横方向に配置する場合の冷却構造の変形例を示している。図8(A)の例は、横置きされた風洞16の側面16Dを浮かした状態にして2台の冷却装置30A及び30Bを横方向に配置しており、この場合には3つの吸気口IN1並びにIN21及びIN22と2つの排気口OUT1及びOUT2を備えている。図8(B)の例は、3台の冷却装置30A乃至30Cが横方向に配置されており、風洞16の底部16Aと上部16Bが構造物または設置物によってそれぞれ閉塞されている場合である。この場合には3つの吸気口IN1乃至IN3と3つの排気口OUT1乃至OUT3を備えている。横方向に配置される複数台の冷却装置の台数は任意である。
【0047】
[無効電力補償装置の設置の変形例]
図2乃至図5で説明した実施の形態では、無効電力補償装置1を2本の電柱に装荷しているが、無効電力補償装置1の重量が軽量であれば、図9に示すように1本の電柱に装荷してもよい。この場合には、インバータ用ケース15と油入収納ケース13の間に電柱27を挟むようにして、無効電力補償装置1を電柱27に装荷している。
【0048】
なお無効電力補償装置1を電柱に装荷せずに、地上に設置してもよいのは勿論である。
【0049】
[電力変換装置の適用例]
上記実施の形態では、無効電力補償装置1の電力変換装置に本発明を提供したが、本発明の電力変換装置は、複数台のインバータ装置を使用する電源設備、電力機器その他の電気機器にも当然にして適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、n台の冷却装置にそれぞれヒートシンクを冷却するための複数の送風機からなる強制空冷装置を設ける場合に、隣り合う2台の冷却装置の間に、一方の冷却装置からの排気が他方の冷却装置に直接当たるのを遮る遮蔽板を設けるので、各冷却装置が他の冷却装置からの排熱の影響を受けることなくヒートシンクの強制空冷を行うことができる。その上、遮蔽板が一方の冷却装置と他方の冷却装置の間の空間部分を斜めに仕切るように構成され、一方の冷却装置のための吸気口と他方の冷却装置のための排気口とが遮蔽板を介して対向する位置に設けられており、しかも吸気口から奥に向かうに従って遮蔽板と一方の冷却装置との間の間隔が小さくなり、排気口から奥に向かうに従って遮蔽板と他方の冷却装置との間の間隔が小さくなるように遮蔽板と隣り合う2台の冷却装置の位置関係が定められているので、隣り合う2台の冷却装置の間で他の冷却装置からの排気が、一方の冷却装置の吸気口から吸気される事態が発生することを防止できる。また遮蔽板の傾き方によって、2台の冷却装置の間の間隔寸法を大きくすることなく、ヒートシンクの冷却に必要な複数の送風機からの送風量を確保することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 無効電力補償装置
2 系統
3 変圧器
5 電力変換器
7 直流リアクトル装置
9 変成器
11 インバータ制御部
12 制御ユニット
13 油入収納ケース
15 インバータ用ケース
16 風洞
27 電柱
30A乃至30C 冷却装置
31A及び31B ヒートシンク
32A及び32B 強制空冷装置
33 遮蔽板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9