(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前方から操作可能な押釦および前記押釦が操作されたことを検知して信号を出力する回路基板を内蔵した本体ケースと前記押釦の一部が露出する開口部を有する取付けベース体とを備えた発信機と合体された状態で設置される表示灯であって、
前記本体ケースを収容する収容部と、前面が前記取付けベース体の前面とほぼ同一平面をなす表示パネル部と、前記表示パネル部の裏面側に凹部を形成する凹部形成壁とを有する表示部本体と、
前記凹部に収納される発光源を有する基板と、を備え、
前記収容部および前記表示パネル部は、光拡散剤が混入され光を透過可能な合成樹脂により一体に成型され、
前記基板は前記発光源が外向きに光を出射するように配設され、
前記発光源は前記収容部の側壁を形成する壁体に向けて配設され、前記壁体は入射された光を前記表示パネル部へ誘導可能であり、前記壁体の前端には前記表示パネル部に連続するテーパ部が設けられていることを特徴とする表示灯。
前記表示パネル部の前記凹部形成壁の形成位置よりも中心寄りに位置する第1部位の厚みは、前記凹部形成壁の形成位置よりも外寄りに位置する第2部位の厚みよりも厚くされ、前記第1部位および第2部位に、複数の円弧状のV溝が同心円状に形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の表示灯。
前記収容部の左右両側方に形成されている前記凹部にそれぞれ配設されている前記基板の少なくとも一方には、当該基板の一方の端から他方の端まで連続する線条の導電体が設けられ、他方の前記基板には前記導電体および該導電体の給電を受ける側と反対側の端部に接続されたリード線を介して前記発光源の電源が供給されるように構成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の表示灯。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の一般的な火災発信機は、比較的大型の円盤状のもので表示灯を備えていないため、取付け箇所に制約が生じたり、消防法等の要請により近傍に表示灯を設置する必要がある場合に対応できなかったりして、柔軟性が低いという課題があった。
一方、従来の一般的な表示灯は、砲弾形であり、通行や搬入作業等の建物の通常使用において障害物となることがあるため、薄型形状のものが望まれている。
【0006】
特許文献1や2に記載されている発明のように、発信機と表示灯とを一体に構成するようにしたものは、上記のような要望にある程度応えることができるものの、いずれも表示灯が発信機の周囲全体を囲むリング状に構成されているため、充分な視認性を確保しようとすると全体が大型になってしまう一方、発信機の大きさに制限があるような場合に小型化を優先しようとすると、表示灯の大きさが小さくなり視認性が低下してしまうという課題がある。
また、表示灯の発光源として複数のLED(発光ダイオード)または複数の電球を使用してその前面側を光透過性のカバーで覆うようにした場合、カバー越しにそれぞれのLEDや電球の位置が分かってしまったり、LEDや電球から離れるに従って暗くなってしまったりするなど、明るさにムラが生じるという課題があることが分かった。
【0007】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、火災発信機と外観的に融合した装置として使用することが可能であるとともに、突出量が少なく通行や搬入作業等の際に障害物となることがない表示灯を提供することにある。
本発明の他の目的は、発光源として複数のLEDや電球を使用しその前面側を光透過性のカバーで覆うようにした場合に、明るさにムラが生じない表示灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
前方から操作可能な押釦および前記押釦が操作されたことを検知して信号を出力する回路基板を内蔵した本体ケースと前記押釦の一部が露出する開口部を有する取付けベース体とを備えた発信機と合体された状態で設置される表示灯において、
前記本体ケースを収容する収容部と、前面が前記取付けベース体の前面とほぼ同一平面をなす表示パネル部と、前記表示パネル部の裏面側に凹部を形成する凹部形成壁とを有する表示部本体と、
前記凹部に収納される発光源を有する基板と、を備え、
前記収容部および前記表示パネル部は、光拡散剤が混入され光を透過可能な合成樹脂により一体に成型され、
前記基板は前記発光源が外向きに光を出射するように配設した。
【0009】
上記構成によれば、発信機と合体された状態で設置される構成を有するとともに前面が発信機の取付けベース体の前面とほぼ同一平面をなす表示パネル部を備えているため、火災発信機と外観的に融合した装置として使用することが可能であるとともに、表示部の突出量が少なく通行や搬入作業等の際に障害物となることがないようにすることができる。また、収容部および表示パネル部は、光拡散剤が混入され光を透過可能な合成樹脂により一体に成型され、基板は発光源が外向きに光を出射するように配設されているため、発光源として複数のLEDや電球を使用しその前面側を光透過性のカバーとしての表示パネルで覆うようにした場合に、明るさにムラが生じないようにすることができる。
【0010】
ここで、望ましくは、前記発光源は前記収容部の側壁を形成する壁体に向けて配設され、前記壁体は入射された光を前記表示パネル部へ誘導可能であり、前記壁体の前端には前記表示パネル部に連続するテーパ部が設けられているように構成する。
かかる構成によれば、テーパ部によって壁体からの光を反射して表示パネル部へ誘導することができるとともに、収容部の側壁を形成する壁体を光拡散剤が混入された合成樹脂により構成することにより、光が拡散され明るさにムラが生じないようにすることができる。
【0011】
また、望ましくは、前記表示パネル部と前記テーパ部との境界部には、前記発信機の前記取付けベース体の端部と係合可能な段差部が形成されているようにする。
かかる構成によれば、表示パネル部の前面と発信機の取付けベース体の前面とがほぼ同一平面を形成するようにすることができ、左右方向から発光表示が見易くすることができる。
さらに、望ましくは、外側に対して非透過性の加工および/または内部に対しては反射性の高い加工が施され、前記収容部の背部および前記凹部形成壁の外側を覆うように嵌合される裏面カバーを備えるようにする。これにより、表示部の背部へ漏れる光の量を減らして、表示部をより明るく表示させることができる。
【0012】
さらに、望ましくは、前記収容部は、前記本体ケースが挿通可能な開口を有する台座部を備え、前記裏面カバーは、前記台座部の背部を覆い前記凹部形成壁の外側面に接触ないしは近接するように配設されているようにする。
かかる構成によれば、発信機の収容部の側壁を形成する壁体へ入射された光を台座部および凹部形成壁の外面で内側へ反射させて外部に光が漏れないようにすることができるため、表示パネル部からの発光量を増加させより明るく表示させることができる。
ここで、前記裏面カバーの少なくとも前記台座部の背部および前記凹部形成壁の外側面に対応する面は黒色であるようにするのが望ましい。これにより、台座部および凹部形成壁の外面でより効果的に光を反射させることができる。
【0013】
また、望ましくは、前記表示パネル部は左右一対の表示部を有するように構成され、前記収容部の左右両側方にはそれぞれ前記凹部が形成され、前記凹部には前記発光源を有する前記基板が、前記発光源が外向きに光を出射するようにそれぞれ配設されているようにする。
かかる構成によれば、表示灯が左右一対の表示部を備えこれらの表示部の背部にそれぞれ発光源が配設される凹部が設けられるため、表示部が一つであるものに比べて見かけ上の発光表示面積を大きくすることができる。
【0014】
さらに、望ましくは、前記表示パネル部の前記表示部には複数の円弧状のV溝が同心円状に形成されており、
前記凹部形成壁の形成位置よりも中心寄りに位置するV溝は互いに所定の間隔をおいて形成され、前記凹部形成壁の形成位置よりも外寄りに位置するV溝は間隔をおかずに形成されているようにする。
かかる構成によれば、表示パネル部の中心寄りの領域ではV溝により光の一部を前方へ出射させつつ残りの光を外側へ広げ、表示パネル部の外寄りの領域ではV溝により光の大部分を前方へ出射させることができるため、表示部全体を有効に発光表示させることができる。
【0015】
さらに、望ましくは、前記表示パネル部の前記凹部形成壁の形成位置よりも中心寄りに位置する第1部位の厚みは、前記凹部形成壁の形成位置よりも外寄りに位置する第2部位の厚みよりも厚くされ、前記第1部位および第2部位に、複数の円弧状のV溝が同心円状に形成されているようにする。
かかる構成によれば、表示部全体をより均等に発光表示させることができる。
【0016】
さらに、望ましくは、前記収容部の左右両側方に形成されている前記凹部にそれぞれ配設されている前記基板の少なくとも一方には、当該基板の一方の端から他方の端まで連続する線条の導電体が設けられ、他方の前記基板には前記導電体および該導電体の給電を受ける側と反対側の端部に接続されたリード線を介して前記発光源の電源が供給されるように構成する。
かかる構成によれば、給電側のリード線にねじれが生じるのを回避し、中継基板を設けた場合に中継基板の浮き上がりを防止することができる
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、火災発信機と外観的に融合した装置として使用することが可能であるとともに、突出量が少なく通行や搬入作業等の際に障害物となることがない表示灯を実現することができる。また、発光源として複数のLEDや電球を使用しその前面側を光透過性のカバーで覆うようにした場合に、明るさにムラが生じない表示灯を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る表示灯およびこれと外観的に融合させて使用するのに好適な火災発信機の一実施形態について説明する。
本実施形態における火災発信機(以下、単に発信機と記す)10は、火災等の異常が発生した際に押釦を強く押して内部のスイッチをオンさせることにより異常の発生を知らせる信号を受信機に伝送する機能を備え、建造物の壁面あるいは消火栓箱の扉などに設置されて使用されるように構成されている。具体的には、本実施形態の発信機は、押釦スイッチを有する発信機本体と、発信機本体を壁面等に取り付けるためのリング状のナットからなる固定手段と、発信機本体と合体して外観的に融合する表示灯などから構成される。
【0020】
図1〜
図4は、発信機の構成を示す。このうち、
図1(A)は発信機の正面図、
図1(B)は発信機の側面図、
図2は発信機の分解斜視図、
図3は
図1に示す火災発信機を斜め後方から見た斜視図、
図4は
図1に示す火災発信機の中央にて切断して内部構造を示した縦断面図である。
図1に示すように、発信機10は、前面中央に押釦11が設けられており、該発信機10を壁面等に取り付けるための固定手段としてのリング状ナット20を備える。
【0021】
また、発信機10は、前面視小判状(円を2本の平行線で上下に切断し、切断された左右両側の弓状部を除いた形状)をなしほぼ中央に押釦11を有する本体ケース12と、該本体ケース12の前端部と係合する収納枠部13Aを背部に有する取付けベース体13と、を備える。取付けベース体13は、ほぼ平坦な前面パネル部を有し該前面パネル部の縁部に、上フランジ部13B1および下フランジ部13B2と横フランジ部13B3(
図3参照)が設けられているとともに、中央に押釦11の前面が臨む開口部13Cが形成されている。また、取付けベース体13の収納枠部13Aは上面と下面がそれぞれ円筒の一部をなす円弧状に形成され、それらの周面に、リング状ナット20が螺合可能な部分雄ネジ13D1,13D2が形成されている。
【0022】
さらに、取付けベース体13の前面には、上記開口部13Cの上方に、収納凹部13E(
図2参照)が形成され、該収納凹部13Eの前面側を覆うように小扉14が設けられている。小扉14は、両側部に上下方向に沿って所定の高さを有するリブ14a,14aが形成され、該リブ14a,14aの外側面にガイド溝14bが形成されている。そして、該ガイド溝14bが収納凹部13Eの側壁面に形成されている突状部13aに係合されるとともに、ガイド溝14bの一方の端(
図2では上側の端部)が閉塞されている。また、収納凹部13Eの底壁には、突状部13aに対応する高さ位置に、小扉14の断面形状に対応した横長の矩形開口部13bと、取付けベース体13から本体ケース12が外れるのを防止する脱落防止ネジ23が挿通されるネジ挿通孔13eが形成されている。
【0023】
なお、上記収納凹部13Eの底壁には、本体ケース12に内蔵される後述の回路基板上に設けられている電話コネクタに接続された電話ジャックに対応して電話機プラグを挿通可能にするための電話機プラグ差込口13cと、後述の押釦ロック解除用の復旧レバー17の先端が突出するための開口13dが形成されている。
【0024】
押釦11は、下方へ向かって伸びる2本の脚部11a,11aを有し、該脚部11a,11aの先端(図では下端)には、外側方へ向って突出する突起が形成されており、該突起が本体ケース12の前面下部に設けられている一対の支承部12b,12b(
図4参照)に係合されることで、突起を支点にして前後に回動可能に構成されている。また、押釦11の背部と本体ケース12との間には、圧縮バネ15および押釦スイッチ16が配設され、押釦11が圧縮バネ15のバネ力に抗して後方へ押圧されると、押釦スイッチ16がオンされるように構成されている。
【0025】
さらに、押釦11の上端には係止片11cが形成されているとともに、本体ケース12の前面の収容凹部12A内に収容され先端が上下動可能にされた復旧レバー17および該復旧レバー17を下方へ向かって押圧する圧縮バネ18が設けられており、押釦11が押圧されると上端の係止片11cが復旧レバー17の先端の爪17aに係合することで押圧された状態が保持される。また、この状態で、復旧レバー17の先端が圧縮バネ18のバネ力に抗して上方へ持ち上げられると、係止片11cと復旧レバー17の爪17aとの係合が外れ、圧縮バネ15のバネ力によって押釦11が前方へ押されて元の位置に復帰するように構成されている。
【0026】
また、本体ケース12の背部には、発光素子L1が実装された回路基板19および該回路基板19を覆う背面カバー21が、ネジ22によって装着されるように構成されている。本体ケース12には、押釦11の背部に相当する位置に発光素子L1の先端が突出する孔12aが形成されているとともに、押釦11が半透明な樹脂で形成されることで、押釦11を押すことにより押釦スイッチ16がオンされて火災発生を知らせる信号が受信機に伝送され、火災発信機からの信号で発光素子L1が点灯され、その光が半透明な押釦11を通して視認できるように構成されている。
【0027】
回路基板19上には、押釦スイッチ16がオンされたことを検知して火災発生信号を生成する信号生成回路や生成された信号火災受信機へ送信する信号出力回路、火災発信機からの信号を受信する信号受信回路、受信した信号に応じて発光素子L1を点灯させる駆動回路、電話ジャックに接続され火災発信機の電話機との間で通話信号を送受信する送受信回路などを構成する抵抗やコンデンサ、ICなどの電子部品が実装され、基板にはこれらの電子部品間を電気的に接続する配線パターンが形成されている。
【0028】
上記本体ケース12と取付けベース体13とは、取付けベース体13背部の収納枠部13Aと本体ケース12の前端部(小判状部分)との嵌め合いにより一体化され、取付けベース体13の収納枠部13Aの底壁に設けられているネジ挿通孔13eに挿通されるネジ23と、本体ケース12の収容凹部12A内に設けられたボス部12B内に埋設されたナット(図示省略)とによって結合されるように構成されている。
また、背面カバー21には、一対の固定用のネジ22が挿通される一対のネジ挿通孔21aと、上記回路基板19上の回路と火災受信機とを接続するリード線が接続される端子台19Aを露出させたりリード線を引き出したりするための開口部21bが設けられている。
【0029】
上記のような構成を有する火災発信機10は、例えば
図6に示すように、本体ケース12の外形に対応した形状の開口30Aを有する消火栓箱や各種機器収容箱の扉のパネルあるいは建物の壁面に設けられている取付けパネルのようなパネル30を挟むようにして、火災発信機10とリング状のナット20を対向させ、火災発信機10の本体ケース12をパネル30の開口30A内に挿入して、背部に突出した取付けベース体13の外周面の部分雄ネジ13D1と13D2に、リング状のナット20の雌ネジ部20Aを螺合させることで、取付けベース体13とナット20とでパネル30を挟み込むことでパネル30に取り付けられる。
【0030】
次に、
図6〜
図10を用いて、上記のように構成された発信機と合体して外観的に融合した状態で設置される表示灯の実施例について説明する。このうち、
図6は本実施例の表示灯50と発信機10とを合体させた状態を、
図7および
図8は本実施例の表示灯50を構成する表示部本体51の構成を、
図9は表示部本体51の背面側に接合される裏面カバー60の構成を示す。また、
図10は表示部本体51の背部に裏面カバー60を嵌合させた状態を示す。
図6から分かるように、本実施例に係る表示灯50と発信機10とを合体させた状態は、円盤状をなす既設の旧型火災発信機と類似の外観を有しており、既設の旧型火災発信機を壁面または消火栓箱の前面パネル等から外して本実施例の表示灯50と発信機10とを合体させたものに置き換えることができる。
【0031】
表示部本体51は、
図7に示すように、発信機10の左右両側方に位置する一対のプレート状の表示パネル部51A,51Bと、発信機10の本体ケース12を収納可能な収納凹部52Aを有する台座部52と、を備える。この台座部52は、発信機10と同様な小判状をなしており、台座部52の底壁中央には、発信機10の本体ケース12が挿通可能な矩形状の開口53が形成されている。
また、上記表示パネル部51A,51Bおよび台座部52は、光を拡散させる拡散剤を混入した透明もしくは半透明の合成樹脂(アクリル等)で一体成型されており、裏面カバー60に収納されているLEDが点灯されると表示パネル部51A,51Bが明るくなるように構成されている。この際、LEDとして赤色LEDを使用することで表示パネル部51A,51Bを赤色で発光させる。さらに、表示パネル部51A,51Bおよび台座部52を構成する合成樹脂に赤色の顔料を含ませるなどして赤色に着色することで、表示パネル部51A,51Bをより鮮明な赤色で発光させるようにすることができる。
【0032】
上記表示部本体51の裏面に設けられている一対の光誘導壁52eの前端には内側へ向かって下り傾斜するテーパ面52cがそれぞれ形成されており、LEDから内側の発信機10へ向う光を反射して外側の表示パネル部51A,51Bへ広げるように構成されている。これにより、表示部本体51前面の表示パネル部51A,51Bへ向う光の量を多くして、表示パネル部51A,51Bの発光状態を視認し易くすることができる。また、テーパ面52cを形成することにより、当該部位を直角に折曲したものに比べて、LEDの光が点状に見えて表示面に光のムラが生じるのを抑制することができる。さらに、上記表示パネル部51A,51Bとテーパ面52cとの境界には発信機10の取付けベース体13の厚さ分の段差が設けられている。これにより、表示パネル部51A,51Bの前面と発信機10の取付けベース体13の前面とがほぼ同一平面を形成するようにすることができ、左右方向から発光表示が見易くなる。
【0033】
一方、上記表示部本体51の裏面には、
図8に示すように、表示パネル部51A,51Bの径よりも少し小さな径を有する円筒状周壁51Cが設けられているとともに、矩形状の開口53の縁に沿ってリブ52aが形成されている。そして、該リブ52aから左右外側方へ少し離れた位置に、垂直方向に沿って一対の光誘導壁52eが形成され、後述するようにこの光誘導壁52eの内側面からLEDの光が導入されて、光誘導壁内で反射を繰り返しながら前面の表示パネル部51A,51Bへ光が誘導されるように構成されている。
【0034】
また、プレート状の上記表示パネル部51A,51Bの裏面には、断面がV字形状を呈する複数の円弧状のV溝55が形成されており、LEDからの光をV溝55の側壁面で反射して横方向へ広げるように構成されている。
さらに、表示パネル部51A,51Bの裏面に形成されているV溝55は、
図7(C)に示すように、外縁の鍔部(中心から外寄りの領域)に形成されているV溝55aはプレート裏面に凹みを刻むようにして形成されているのに対し、LEDを収納する凹部51a,51bを形成する面に形成されている中心寄りの領域のV溝55bは、プレート裏面に突条を形成することで設けられるようになっている。
【0035】
V溝55a,55bが上記のように構成されていることにより、V溝55bではテーパ面52cからの光の一部を前方へ反射しつつ残りの光を外側へ広げるように反射させ、V溝55aでは中心側からの光を前方へ向かうように反射させることができる。その結果、V溝55aと55bを同じ形態の溝として形成したものに比べて、表示パネル部51A,51Bの鍔部の明るさを向上させ、この鍔部の明るさが、LEDが収納される凹部51a,51bの前方壁を形成する部位に比べて極端に明るさが暗くなるのを回避することができるようになっている。
【0036】
また、発信機10の本体ケース12裏面に設けられている2個の位置決め用凹部12d(
図3、
図4参照)に対応して、表示灯50(表示部本体51)の台座部52の底壁には、上記凹部12dに対応する位置に当該凹部12dに係合可能な位置決め用突起52bが2個設けられており(
図7(A)参照)、発信機10と表示灯50とを合体させた際に、組み付け誤差を小さくし発信機10と表示灯50とのガタツキを減らすことができるようになっている。
【0037】
さらに、本実施例においては、上記表示部本体51の背面側に所定の色(例えば黒色)を有する合成樹脂製の裏面カバー60が接合され、発信機10の取付けベース体13と取付けパネル30との間に表示灯50の台座部52および裏面カバー60を挟み込んだ状態で、発信機10の取付けベース体13とナット20を螺合させることにより、これらの部品をネジによって結合することが可能に構成されている(後述)。裏面カバー60は、上述したように非透過性の材料で形成しても良いが、それに限定されず、外側に対して非透過性の加工が施され、内部に対しては反射性の高い加工が施されていても良い。
【0038】
図9および
図10には上記裏面カバー60の具体例が示されている。
裏面カバー60は、
図9に示すように、表示部本体51裏面の円筒状周壁51Cに対応して円板状をなすプレート部61と、プレート部61の外周縁に沿って形成された円筒状をなす外壁部62とを有し、プレート部61の中央には、発信機10の本体ケース12が挿通可能な矩形状の開口63が形成されている。外壁部62は、表示部本体51裏面の円筒状周壁51Cの外周面にほぼ接触した状態でその内側に嵌合することができるように形成されている。
【0039】
また、開口63の縁部に沿って外壁部62と同一高さの内壁64が形成され、内壁64のうち左右の側壁部64a,64bの外面に沿って複数個のLEDが実装されたLED実装基板65A,65Bが配設されている。
そして、上記円筒状の外壁部62には、上部と下部に発信機10の取付けベース体13の収納枠部13Aが係合する切欠き62aがそれぞれ形成されているとともに、下部の切欠き62aの中央にはLED実装基板65A,65Bのリード線70が挿通される挿通孔62bが設けられている。
【0040】
なお、
図9(B)においては、LED実装基板65A,65Bの図示を省略している。
上記のように表示灯50の円筒状周壁51Cに黒色の裏面カバー60が接触した状態で嵌合されることで、表示灯50の円筒状周壁51Cの裏面カバー60と接触する外表面が光反射面として機能し、後述のように、表示部本体51の裏面に設けられている光誘導壁52eから導入された光が、円筒状周壁51Cの外表面から漏れないように反射させ、表示灯50の前面から出る光の量を多くすることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、内壁64の左右両側壁部64a,64bの外側方にリブ66c,66dが、所定の隙間を確保できるように形成されている。このように構成しているのは、この隙間に着色された光拡散プレートを介在させることで、表示パネル部の発光色を調整できるようにするためである。このような光拡散プレートを介在させることによって、赤色LEDの代わりに例えば電球色LED等他の発光源を使用するようにしても、表示灯50を所望の色で発光表示させることができる。なお、内壁64の左右両側壁部64a,64bとリブ66c,66dの間に隙間を設けずに、LEDの頭部が前記表示部本体51の裏面に形成されている一対の光誘導壁52eに接した状態で合体するように構成しても良い。
【0042】
さらに、内壁64の左右両側壁部64a,64bの外側方には、基板の厚み分の隙間ができるように、内壁64と同一高さを有する2組の係止片66a,66bが形成されており、内壁64の左右両側壁部64a,64bと係止片66a,66bとの間にLED実装基板65A,65Bを差し込むことで、LED実装基板65A,65Bが裏面カバー60に取り付けられるように構成されている。
また、内壁64の左右両側壁部64a,64bは上下方向に延長され、この延長部にLED実装基板65A,65Bのリード線70が係合する切欠き64cが設けられている。さらに、内壁64の上壁部と下壁部の中央には、上方と下方へそれぞれ膨らむように形成された湾曲部64d,64eが設けられている。
【0043】
さらに、上記両側壁部64a,64bの延長部および上壁と下壁中央の湾曲部64d,64eから少し離れた位置に、表示灯50(表示部本体51)の台座部52に裏面カバー60を結合するためのネジを挿通するためのネジ挿通穴を有する2個のボス部67が設けられている。なお、上記ボス部67に対応して、表示灯50(表示部本体51)の台座部52の底壁には、裏面カバー60を結合するためのネジを挿通するためのネジ挿通穴52dが2個設けられている(
図7参照)。
【0044】
さらに、
図9に示すように、内壁64の下壁部中央の湾曲部64dの左側にはボス部67が設けられていないため、比較的大きな空間が生じているので、この空間に、リード線70を介してLED実装基板65A,65Bへ供給する電源の中継基板68が配設されている。
また、リード線70は、外壁部62下部の挿通孔62bから挿入され、ボス部67の周囲を迂回して内壁部64下部の湾曲部64eの下方を通って電源の中継基板68に接続されている。リード線70は、外壁部62下部の挿通孔62bから挿入して直ちに電源の中継基板68に接続させることも可能であるが、上記のように一旦基板と反対側のボス部67の周囲へ迂回させることで、リード線70に外から張力が作用した際に、電源の中継基板68が移動して断線が生じたりリード線70が挿通孔62bの縁部に擦れて外皮が傷ついたりするのを防止することができる。
そして、電源の中継基板68からLED接続基板65Aの一端(図では下端)には、一端が接続されたリード線71を介してLED実装基板65Aへ給電を行うように構成されている。
【0045】
さらに、図示しないが、LED実装基板65Aには、該基板上のLEDに対して給電するための配線パターンの他、長さ方向に延びるように形成されたバイパス用の配線パターンが設けられており、このバイパス用の配線パターンおよびLED実装基板65Aの他端(図では上端)に一端が接続されたリード線72を介して他方のLED実装基板65Bへ給電を行うように構成されている。この際、リード線72は、ボス部67と内壁64との隙間から内壁64の湾曲部64dの上方を回ってLED実装基板65Bまで延設されている。
【0046】
これにより、リード線72が内部で移動しないように押さえることができる。
また、外壁部62下部の挿通孔62bから給電用のリード線70と72の両方を挿入して2股に分け、一方を中継基板68に接続し、他方をLED実装基板65Bに接続したとすると、リード線にねじれが生じて中継基板68を持ち上げる方向の力が作用するが、リード線72を上方に配設することで、中継基板68の浮き上がりを防止することができる。
【0047】
なお、外壁部62下部の挿通孔62bの右縁部には、丸みを持たせた肉厚部62cが形成されており、この肉厚部62cによって、リード線70が挿通孔62bの縁部と接触して擦れて外皮が傷つくのを防止することができる。挿通孔62bの左縁部にも同様な肉厚部を形成しておくようにしても良い。
また、この実施例では、LED実装基板65A,65B上に、5個のLEDが1列に並んだ状態で実装されており、LED実装面を外向きにした状態でLED実装基板65A,65Bが裏面カバー60に取り付けられている。これにより、LEDの発光は、左右両側方へ外向きに照射されるため、前方へ向けて照射するものに比べてLEDの光が点状に見えて、表示面に光のムラが生じるのを抑制することができるようになっている。
【0048】
また、内壁64の左右両側壁部64a,64bの外側方には、側壁と平行であって側壁よりも低い高さのリブ66c,66dが、基板の厚み分の隙間ができるように形成されている。そして、表示部本体51の背部に裏面カバー60を嵌合させた際に、このリブ66c,66dの上端面に、前記表示部本体51の裏面に設けられている光誘導壁52eの下端面が接触するように構成されている。なお、リブ66c,66dの上端面および光誘導壁52eの下端面に、互いに係合可能な凹凸を形成しておくようにしても良い。これにより、表示部本体51に裏面カバー60を装着する際に、容易に位置決めを行えるようにすることができる。
【0049】
上記のように、本実施例においては、LED実装面を外向きにした状態でLED実装基板65A,65Bが裏面カバー60に取り付けられているとともに、リブ66c,66dの上端面が表示部本体51の裏面に形成されている光誘導壁52eの下端面と接触するように構成されていることにより、LEDから照射された光はほとんどが表示部本体51裏面の光誘導壁52eの側面から進入し、反射を繰り返しながら内部を伝わって表示灯50の表示パネル部51A,51Bの前面から前方へ出射されるようになる。
【0050】
また、LED実装基板65A,65Bの前方は、表示灯50の収納凹部52Aを構成する底壁があり、該収納凹部52Aの底壁には発信機10の本体ケース12のフランジ部が接することになる。そのため、該本体ケース12のフランジ部および発信機10の取付けベース体13によって、LED実装基板65A,65B上のLEDの前方が塞がれ、LEDから照射された光が前方へ漏れることはなく、表示灯50の表示パネル部51A,51Bの前方からLEDの光が点状に見えて、表示面に光のムラが生じるのを防止することができる。
【0051】
さらに、本実施例においては、LEDの発光が左右両側方へ外向きに照射されるように構成されているが、表示灯50の円形状台座部52に黒色の裏面カバー60が密着した状態で嵌合されるように構成されていることで、既存の機器収容箱や消火栓箱の前面パネルに設置された際に、LEDの光が箱の内部に漏れて、前面パネルの隙間から光が見えてしまうのを防止することができる。
【0052】
図11には、上記のような構成を有する本実施例における表示灯50を発信機10と合体させて設置する方法の一例が示されている。
図11に示すように、発信機10は、本体ケース12の外形に対応した形状の開口30Aを有する消火栓箱や各種機器収容箱の扉のパネルあるいは建物の壁面に設けられている取付けパネルのようなパネル30を挟むようにして、発信機10とリング状のナット20を対向させるとともに、発信機10とパネル30との間に、背部に裏面カバー60を嵌合させた表示灯50を介在させ、発信機10の本体ケース12をパネル30の開口30A内に挿入する。そして、背部に突出した取付けベース体13の外周面の部分雄ネジ13D1と13D2に、ナット20の雌ネジ部20Aを螺合させることで、パネル30に取り付けられる。
【0053】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、上記実施例においては、LED実装基板65Bへの給電を、LED実装基板65Aに形成されたバイパス用の配線パターン(線条の導電体)およびLED実装基板65Aの他端(図では上端)に接続されたリード線72を介して行うように構成したものを示したが、外壁部62下部の挿通孔62bから挿入されたリード線70によって直接給電を行うように構成しても良い。
【0054】
また、上記実施例においては、発信機10の本体ケース12の収容部の背部および円筒状周壁51Cの外側を覆うように、外側に対して非透過性の加工および/または内部に対しては反射性の高い加工が施された裏面カバー60を嵌合させているが、裏面カバー60を省略しても良い。例えば台座部52の裏面や円筒状周壁51Cの外面に反射層を形成しておくようにすれば、裏面カバー60がなくても裏面カバー60がある場合と同様に、内部からの光を反射させて表示パネル部51A,51Bを明るく表示させることができる。
また、表示部本体51の裏面に形成されている光誘導壁52eの前端に設けられているテーパ面52cの表面に、反射テープなどからなる反射層を設けるようにしても良い。
【0055】
さらに、上記実施例においては火災発信機と合体される表示灯50の左右の表示パネル部51A,51Bの形状として弓形を採用したものを示したが、三日月形やかまぼこ形のような形状を採用するようにしても良い。
また、上記実施形態では、本発明を、火災報知システムを構成する火災発信機と合体可能に構成した表示灯に適用したものを説明したが、本発明は火災発信機の表示灯に限定されず、駅のプラットホームや踏切に設置される列車緊急報知用の発信機と一体に設けられる表示灯に広く利用することができる。