特許第6861091号(P6861091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861091木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具およびそれを用いた木造柱脚構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861091
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具およびそれを用いた木造柱脚構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20210412BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   E04B1/58 511L
   E04B1/26 E
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-100935(P2017-100935)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-91122(P2018-91122A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2020年3月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-233927(P2016-233927)
(32)【優先日】2016年12月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000446
【氏名又は名称】岡部株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】田口 朝康
(72)【発明者】
【氏名】里村 憲光
(72)【発明者】
【氏名】西野 晃充
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 俊輔
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−013642(JP,A)
【文献】 特開2000−110238(JP,A)
【文献】 特開平06−074227(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0088398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/26
F16B 39/24、39/26
F16B 43/00、43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質柱が上面部に取付けられる箱状の木造柱脚金物と、一端部が基礎上面から突出され、木造柱脚金物のベースプレートに形成されたアンカーボルトの径よりも大きなボルト挿通孔に挿通されるアンカーボルトとを固定するためのアンカーボルト固定金具であって、
前記アンカーボルト固定金具は、
平面視、三日月形状である外リングおよび内リングと、それら外リングおよび内リングの上に設置される下座金と、その下座金の上に設置される上座金とを備え、
前記外リングは、
前記ベースプレートに形成された前記ボルト挿通孔とほぼ同一の半径からなる外周面と、その外周面の中心から所定の偏心距離だけ偏心した位置を中心とし、前記内リングの外周面とほぼ同一の半径からなる内周面を備える外リング開口部を有し、
前記内リングは、
前記外リングの外リング開口部とほぼ同一の半径からなる外周面と、その外周面の中心から前記外リングの偏心距離と同じ距離だけ偏心した位置を中心とし、前記アンカーボルトの外径の1/2とほぼ同一の半径からなる内周面を備える内リング開口部を有し、
前記下座金は、
前記ベースプレートに形成された前記ボルト挿通孔の内径よりも大きい外径を有すると共に、当該下座金の中心から前記ボルト挿通孔の半径とアンカーボルトの外径の1/2とを加算した値の1/2からアンカーボルトの外径の1/2だけを減算した偏心距離だけ偏心した位置を中心とする下座金偏心孔を有し、
前記上座金は、
前記下座金の外径よりも小さい外径を有すると共に、当該上座金の中心から前記下座金の偏心距離と同じ距離だけ偏心した位置を中心とした前記アンカーボルトの外径とほぼ同一の内径からなる円形状の上座金偏心孔を有し、
前記下座金偏心孔の平面視の形状は、
前記アンカーボルトの外径よりも大きく、かつ、前記ボルト挿通孔の内径および前記上座金の外径よりも小さく設定され、さらに、当該下座金偏心孔に挿通された状態の前記アンカーボルトの外形を投射したボルト輪郭線の中心が、前記下座金の中心に位置した状態から、前記下座金の中心を通る水平中心線上を、前記ベースプレートのボルト挿通孔の半径から前記アンカーボルトの外径の1/2を減算した距離に移動させたときの状態までの前記ボルト輪郭線の各軌跡を、前記水平中心線の上側および下側において全て取り囲むように描かれた輪郭形状を成していることを特徴とするアンカーボルト固定金具。
【請求項2】
請求項1記載のアンカーボルト固定金具において、
前記下座金偏心孔の平面視の形状は、
少なくとも、前記下座金の中心を通る水平中心線の上側若しくは下側の輪郭が、前記下座金の偏心距離だけ偏心した位置を中心として、前記ベースプレートのボルト挿通孔の半径と前記アンカーボルトの外径の1/2とを加算した値の1/2を半径とした半円状の円弧に形成されていることを特徴とするアンカーボルト固定金具。
【請求項3】
請求項2記載のアンカーボルト固定金具において、
前記下座金偏心孔の平面視の形状は、
前記下座金の中心を通る水平中心線の上側若しくは下側の他方の輪郭も、前記下座金の偏心距離だけ偏心した位置を中心として、前記ベースプレートのボルト挿通孔の半径と前記アンカーボルトの外径の1/2とを加算した値の1/2を半径とした半円状の円弧に形成されていることを特徴とするアンカーボルト固定金具。
【請求項4】
請求項2記載のアンカーボルト固定金具において、
前記下座金偏心孔の平面視の形状は、
前記下座金の中心を通る水平中心線の上側若しくは下側の他方の輪郭が、前記ボルト輪郭線の中心が、それぞれ前記下座金の中心に位置した状態と、当該水平中心線上を、前記ベースプレートのボルト挿通孔の半径から前記アンカーボルトの外径の1/2を減算した距離に移動させたときの状態の各ボルト輪郭線の中心からそれぞれ垂下した線とそれらボルト輪郭線との交点同士を結んだ第1輪郭線と、当該第1輪郭線の両端をそれぞれボルト輪郭線の円周に沿って互いに離れ合う方向に当該水平中心線まで延びる第2輪郭線からなる輪郭形状に形成されていることを特徴とするアンカーボルト固定金具。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一の請求項に記載のアンカーボルト固定金具において、
前記下座金の上面側には、
前記下座金の偏心距離だけ偏心した位置を中心とし、前記上座金が嵌まり込む大きさに設定された上座金固定凹部が形成されていることを特徴とするアンカーボルト固定金具。
【請求項6】
請求項1に記載のアンカーボルト固定金具において、
前記上座金の下面側には、
当該上座金の中心と前記上座金偏心孔の中心とを結ぶ直線上であって、当該上座金の中心に対し前記上座金偏心孔とは反対側で、かつ、当該上座金の中心から前記下座金の下座金偏心孔の半径と同じ半径の仮想円弧に外側面が接するように突起が設けられていることを特徴とするアンカーボルト固定金具。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一の請求項に記載のアンカーボルト固定金具において、
前記内リングの底面側には、
前記内リングの内周面に沿って、前記内リング開口部の半径よりも大きな半径からなる内リング凹部が形成されていることを特徴とするアンカーボルト固定金具。
【請求項8】
木質柱が上面部に取付けられ、1箇所もしくは2箇所の側面が外方に開放された箱状の木造柱脚金物と、一端部が基礎上面から突出され、木造柱脚金物のベースプレートに形成されたアンカーボルトの径よりも大きなボルト挿通孔に挿通されたアンカーボルトとを、請求項1〜請求項7のいずれか一の請求項に記載のアンカーボルト固定金具を用いて固定した木造柱脚構造であって、前記外リングおよび前記内リングは、当該外リングの外リング開口部に前記内リングが嵌合されると共に、当該内リングの内リング開口部に前記アンカーボルトが挿通された状態で前記べースプレートのボルト挿通孔の内部に嵌め込まれ、
前記下座金は、当該下座金の下座金偏心孔に前記アンカーボルトが挿通されていると共に、前記下座金の中心を前記ベースプレートのボルト挿通孔の中心にほぼ一致した状態で前記外リングおよび内リングの上に設置され、前記上座金は、当該上座金の上座金偏心孔に前記アンカーボルトが挿通された状態で前記下座金の上に設置されていると共に、前記上座金の上面には、前記アンカーボルトの上端部に螺合されたナットが締結されていることを特徴とするアンカーボルト固定金具を用いた木造柱脚構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質柱が上部に取り付けられる柱脚金物を、木造建物の基礎上面から突出したアンカーボルトを介して基礎に固定する際に使用されるアンカーボルト固定金具、およびそれを用いた木造柱脚構造に関する。
【背景技術】
【0002】
柱脚に用いられるアンカーボルトは、予めその上部が基礎上面から突出するように埋設しておくものであるが、木造の柱脚においては、特に、施工誤差等から所定の位置から大きくずれた位置に設けられることが多い。よって、木造柱脚金物を基礎に設置するに際し、アンカーボルト位置の施工誤差を吸収するため、柱脚金物のベースプレートに設けられるボルト挿通孔は、出来る限り大きな径で形成している。
【0003】
しかし、ボルト挿通孔を大きな径で形成すると、アンカーボルトとボルト挿通孔内周面との間隙が大きくなるため、柱脚金物(ベースプレート)に作用するせん断力をアンカーボルトに負担させることができなくなる。そこで、柱脚金物に作用するせん断力を確実にアンカーボルトに負担させるため、そのボルト挿通孔の間隙にグラウト材を充填したり、金具(座金)を嵌め込むことが行われている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の発明では、柱脚金物の下面に水平に接合されたベースプレートの円孔に嵌合し、中心に対して偏心した円孔が明けられた円板状の円筒部を有する調整座金と、この調整座金の円孔に嵌合し、同じく中心に対して偏心した、アンカーボルト挿通用の円形のボルト孔が明けられた円板状の円筒部を有する摺動座金とからなり、ベースプレートの円孔内に、摺動座金が調整座金の円孔に嵌合して共に差し込まれ、柱脚を保持する柱脚金物の位置をアンカーボルトに対して調整して柱脚金物を設置するための柱脚金物用微調整装置を提案している。
【0005】
また、特許文献2に記載の発明では、円筒の一部を軸線と平行に欠除して横断面C字状とし、このC字状両側辺の肉厚を開口端に向かって順次薄く形成し、かつ外周面に軸線と平行に溝および凸状部を備え、その凸状部の一端側を前記円筒表面と面一となるように先細り部に形成した剪断力伝達具を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平02−13642号公報
【特許文献2】特開平09−287138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、木造柱脚に用いられる柱脚金物は、意匠的な観点から上部に固定する木質柱や、側部に取り付く土台に収まる大きさの箱状形態にすることが多い。その場合、柱脚金物は、その内部が約100mm程度の狭い空間となり、その限られた空間の中で、アンカーボルト等との固定作業が行われる。
【0008】
しかし、特許文献1に記載された発明では、調整座金および摺動座金はフランジ部と円筒部とが一体となって構成されているため、座金全体の厚さ(高さ)が厚くなり、箱状の柱脚金物内部の限られた空間を有する箇所に設置されたアンカーボルトに取付ける際に、アンカーボルトの上部から座金を挿通しづらい、という問題があった。
【0009】
特に、調節座金をセットした後に挿通させる摺動座金は、その調節座金のフランジ部の厚み分だけ、さらに内部空間が狭められるため、その問題が顕著である。
【0010】
さらに、特許文献1の調整座金および摺動座金は、フランジ部と円筒部が一体であるが故に、それら部位の境界部分には角部ができ、さらに、円孔を偏心させているため、その偏心側の円筒部の肉厚が薄くなってしまう。そのため、フランジ部に力が作用して角部に応力が集中した際、肉厚が薄い部分から破壊する恐れがある。この懸念を無くすためには、フランジ部の出を長くしてベースプレートとの接触面積を増やすか、若しくは、その厚さを増すことになるが、前者は、箱状の柱脚金物内部の限られた空間で用いる場合、金物の側面に干渉してしまうため、あまり出を長くすることができない。よって、出を長くするためには、ボルト挿通孔の内径を小さくしなければならず、それにより、前述したアンカーボルトの施工誤差の点から柱脚金物が設置できなくなる可能性がある。後者は、さらに座金全体の厚さ(高さ)が厚くなってしまうため、前述したアンカーボルトへの挿通作業性がさらに悪くなる。
【0011】
一方、特許文献2に記載された断面C字状の2枚の剪断力伝達具は、ベースプレートのボルト挿通孔に嵌め込んだ後に、アンカーボルトに座金を挿通させてナットを締付けることでベースプレート(柱脚金物)を基礎に固定するものだが、これは、鉄骨造の柱脚(ベースプレート)などのボルト挿通孔周りに空間を遮るような部材が存在しない柱脚を対象としたものであって、限られた空間を有する柱脚金物での利用は難しい。
【0012】
つまり、通常、座金はボルト挿通孔全体を覆い隠す大きさとし、その中央にはアンカーボルト径とほぼ同じ内径の貫通孔が形成されるものだが、ボルト挿通孔を出来る限り大きな径で形成しようとすると、アンカーボルトが最大に偏心した位置に設けられたときでも、ボルト挿通孔全体を覆い隠さねばならないため、座金は、ボルト挿通孔の内径の2倍以上の大きさが必要となる。よって、箱状の木造柱脚金物内部の限られた空間では、そのような大きな座金は、金物の側面に干渉してしまうため利用することができない。
【0013】
仮に、箱状の木造柱脚金物に特許文献2の技術を適応させるとなると、ボルト挿通孔の内径は、せいぜい内部空間の1/2程度までしか形成させることができなくなるので、特許文献1に記載された調節座金および摺動座金と同様、アンカーボルトの施工誤差の点から柱脚金物が設置できなくなる可能性がある。
【0014】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、限られた内部空間を有する箱状の木造柱脚金物であっても、ベースプレートのボルト挿通孔を出来る限り大きな径で形成させることができると共に、アンカーボルトが最大に偏心した位置に設けられても柱脚金物の側面に干渉することなく確実にアンカーボルト固定金具を取付けることが可能で、かつ、従来の柱脚構造より柱脚の靭性(粘り強さ)を確保できる木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具とその金具を用いた木造柱脚構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点を解決するため、本発明に係る木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具は、木質柱が上面部に取付けられる箱状の木造柱脚金物と、一端部が基礎上面から突出され、木造柱脚金物のベースプレートに形成されたアンカーボルトの径よりも大きなボルト挿通孔に挿通されるアンカーボルトとを固定するためのアンカーボルト固定金具であって、前記アンカーボルト固定金具は、平面視、三日月形状である外リングおよび内リングと、それら外リングおよび内リングの上に設置される下座金および上座金とを備え、前記外リングは、前記ベースプレートに形成された前記ボルト挿通孔とほぼ同一の半径からなる外周面と、その外周面の中心から所定の偏心距離だけ偏心した位置を中心とし、前記内リングの外周面とほぼ同一の半径からなる内周面を備える外リング開口部を有し、前記内リングは、前記外リングの外リング開口部とほぼ同一の半径からなる外周面と、その外周面の中心から前記外リングの偏心距離と同じ距離だけ偏心した位置を中心とし、前記アンカーボルトの外径の1/2とほぼ同一の半径からなる内周面を備える内リング開口部を有し、前記下座金は、前記ベースプレートに形成された前記ボルト挿通孔の内径よりも大きい外径を有すると共に、当該下座金の中心から前記ボルト挿通孔の半径とアンカーボルトの外径の1/2とを加算した値の1/2からアンカーボルトの外径の1/2だけを減算した偏心距離だけ偏心した位置を中心とする下座金偏心孔を有し、前記上座金は、前記下座金の外径よりも小さい外径を有すると共に、当該上座金の中心から前記下座金の偏心距離と同じ距離だけ偏心した位置を中心とし、前記アンカーボルトの外径とほぼ同一の内径からなる円形状の上座金偏心孔を有し、前記下座金偏心孔の平面視の形状は、前記アンカーボルトの外径よりも大きく、かつ、前記ボルト挿通孔の内径および前記上座金の外径よりも小さく設定され、さらに、当該下座金偏心孔に挿通された状態の前記アンカーボルトの外形を投射したボルト輪郭線の中心が、前記下座金の中心に位置した状態から、前記下座金の中心を通る水平中心線上を、前記ベースプレートのボルト挿通孔の半径から前記アンカーボルトの外径の1/2を減算した距離に移動させたときの状態までの前記ボルト輪郭線の各軌跡を、前記水平中心線の上側および下側において全て取り囲むように描かれた輪郭形状を成していることを特徴とする。
ここで、前記アンカーボルト固定金具において、前記下座金偏心孔の平面視の形状は、少なくとも、前記下座金の中心を通る水平中心線の上側若しくは下側の一方の輪郭が、前記下座金の偏心距離だけ偏心した位置を中心として、前記ベースプレートのボルト挿通孔の半径と前記アンカーボルトの外径の1/2とを加算した値の1/2を半径とした半円状の円弧に形成しても良い。
また、前記アンカーボルト固定金具において、前記下座金偏心孔の平面視の形状は、前記下座金の中心を通る水平中心線の上側若しくは下側の他方の輪郭も、前記下座金の偏心距離だけ偏心した位置を中心として、前記ベースプレートのボルト挿通孔の半径と前記アンカーボルトの外径の1/2とを加算した値の1/2を半径とした半円状の円弧に形成しても良い。
また、前記アンカーボルト固定金具において、前記下座金偏心孔の平面視の形状は、前記下座金の中心を通る水平中心線の上側若しくは下側の他方の輪郭が、前記ボルト輪郭線の中心が、それぞれ前記下座金の中心に位置した状態と、当該水平中心線上を、前記ベースプレートのボルト挿通孔の半径から前記アンカーボルトの外径の1/2を減算した距離に移動させたときの状態の各ボルト輪郭線の中心からそれぞれ垂下した線とそれらボルト輪郭線との交点同士を結んだ第1輪郭線と、当該第1輪郭線の両端をそれぞれボルト輪郭線の円周に沿って互いに離れ合う方向に当該水平中心線まで延びる第2輪郭線からなる輪郭形状に形成しても良い。
また、前記アンカーボルト固定金具において、前記下座金の上面側には、前記下座金の偏心距離だけ偏心した位置を中心とし、前記上座金が嵌まり込む大きさに設定された上座金固定凹部が形成されているとさらに良い。
また、前記アンカーボルト固定金具において、前記上座金の下面側には、当該上座金の中心と前記上座金偏心孔の中心とを結ぶ直線上であって、当該上座金の中心に対し前記上座金偏心孔とは反対側で、かつ、当該上座金の中心から前記下座金の下座金偏心孔の半径と同じ半径の仮想円弧に外側面が接するように突起が設けられているとさらに良い。
また、前記アンカーボルト固定金具において、前記内リングの底面側には、前記内リングの内周面に沿って、前記内リング開口部の半径よりも大きな半径からなる内リング凹部が形成されているとさらに良い。
また、本発明に係るアンカーボルト固定金具を用いた木造柱脚構造は、木質柱が上面部に取付けられ、1箇所もしくは2箇所の側面が外方に開放された箱状の木造柱脚金物と、一端部が基礎上面から突出され、木造柱脚金物のベースプレートに形成されたアンカーボルトの径よりも大きなボルト挿通孔に挿通されたアンカーボルトとを、前記いずれかのアンカーボルト固定金具を用いて固定した木造柱脚構造であって、前記外リングおよび前記内リングは、当該外リングの外リング開口部に前記内リングが嵌合されると共に、当該内リングの内リング開口部に前記アンカーボルトが挿通された状態で前記ベースプレートのボルト挿通孔の内部に嵌め込まれ、前記下座金は、当該下座金の下座金偏心孔に前記アンカーボルトが挿通されていると共に、前記下座金の中心を前記ベースプレートのボルト挿通孔の中心にほぼ一致した状態で前記外リングおよび内リングの上に設置され、前記上座金は、当該上座金の上座金偏心孔に前記アンカーボルトが挿通された状態で前記下座金の上に設置されていると共に、前記上座金の上面には、前記アンカーボルトの上端部に螺合されたナットが締結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る木造脚金物柱用アンカーボルト固定金具では、平面視、三日月形状である外リングおよび内リングと、それら外リングおよび内リングの上に設置される下座金および上座金とを備え、外リングは、ベースプレートに形成されたボルト挿通孔とほぼ同一の半径からなる外周面と、その外周面の中心から所定の偏心距離だけ偏心した位置を中心とし、内リングの外周面とほぼ同一の半径からなる内周面を備える外リング開口部を有し、内リングは、外リングの外リング開口部とほぼ同一の半径からなる外周面と、その外周面の中心から外リングの偏心距離と同じ距離だけ偏心した位置を中心とし、アンカーボルトの外径の1/2とほぼ同一の半径からなる内周面を備える内リング開口部を有し、下座金は、ベースプレートに形成されたボルト挿通孔の内径よりも大きい外径を有すると共に、下座金の中心からボルト挿通孔の半径とアンカーボルトの外径の1/2とを加算した値の1/2からアンカーボルトの外径の1/2だけを減算した偏心距離だけ偏心した位置を中心とする下座金偏心孔を有し、上座金は、下座金の外径よりも小さい外径を有すると共に、上座金の中心から下座金の偏心距離と同じ偏心距離だけ偏心した位置を中心としたアンカーボルトの外径とほぼ同一の内径からなる円形状の上座金偏心孔を有し、下座金偏心孔の平面視の形状は、アンカーボルトの外径よりも大きく、かつ、ボルト挿通孔の内径および上座金の外径よりも小さく設定され、さらに、下座金偏心孔に挿通された状態のアンカーボルトの外形を投射したボルト輪郭線の中心が、下座金の中心に位置した状態から、下座金の中心を通る水平中心線上を、ベースプレートのボルト挿通孔の半径からアンカーボルトの外径の1/2を減算した距離に移動させたときの状態までのボルト輪郭線の各軌跡を、水平中心線の上側および下側において全て取り囲むように描かれた輪郭形状を成している。
これにより、限られた空間を有する箱状の木造柱脚金物であっても、アンカーボルトに対してアンカー固定金具を容易に取り付けることができると共に、アンカーボルトがベースプレートのボルト挿通孔のどこの位置に挿通されていても、ボルト挿通孔の中心位置にその中心をほぼ一致させた状態の下座金を、前後左右に動かすことなく、せいぜい回転による位置調整だけで設置できて、アンカーボルトに固定させることができ、それら作業性が改善される。
よって、限られた空間を有する箱状の木造柱脚金物であっても、ベースプレートのボルト挿通孔を出来る限り大きな径で形成することができると共に、アンカーボルトがこのボルト挿通孔内で最大に偏心した場合でも、下座金や上座金等が木造柱脚金物に干渉することなく、アンカーボルト固定させることができ、よって、確実に木造柱脚金物を所定の位置に設置することができる。
また、本発明に係る木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具によれば、この金具を用いてアンカーボルトと木造柱脚金物とを固定した際に、アンカーボルトと下座金の下座金偏心孔の内周面(アンカーボルト周り)との間に空間が形成される。これにより、柱脚部が地震等で大きな力が作用したときに、その空間の上側に位置する上座金が面外方向に変形して柱脚の靭性(粘り強さ)に寄与するため、アンカーボルトの伸び変形と相伴って、従来よりも柱脚の靭性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る実施形態1の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具の設置例を示す断面図である。
図2】本発明に係る実施形態1の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する外リングおよび内リングと、下座金および上座金の積み重ね方法を示す斜視図である。
図3】(a)〜(c)それぞれ実施形態1の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する外リングの斜視図、平面図、A−A線断面図である。
図4】(a)〜(c)それぞれ実施形態1の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する内リングの斜視図、平面図、B−B線断面図である。
図5】(a)〜(c)それぞれ実施形態1の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する上座金の斜視図、平面図、C−C線断面図である。
図6】(a)〜(c)それぞれ実施形態1の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する下座金の斜視図、平面図、D−D線断面図である。
図7】本発明に係る実施形態1の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する下座金を設置した際に、下座金偏心孔に挿通されたアンカーボルトの位置関係を示す図である。
図8】(a),(b)は、それぞれ、図7におけるアンカーボルトが第1ボルト位置αに施工された際の外リングおよび内リングの位置関係と、上座金および下座金の位置関係の一例を示す図である。
図9】(a),(b)は、それぞれ、アンカーボルトが図7における第2ボルト位置βに施工された際の外リングおよび内リングの位置関係と、上座金および下座金の位置関係の一例を示す図である。
図10図9(b)におけるF−F線断面を示す断面図である。
図11】(a),(b)は、それぞれ、アンカーボルトが図7における第3ボルト位置γに施工された際の外リングおよび内リングの位置関係と、上座金および下座金の位置関係の一例を示す図である。
図12】(a),(b)は、それぞれ、アンカーボルトが図8図9図11に示した位置とは異なる位置に施工された際の外リングおよび内リングの位置関係と、上座金および下座金の位置関係の一例を示す図である。
図13】(a),(b)は、それぞれ、アンカーボルトが図8図9図11に示した位置とは異なる位置に施工された際の外リングおよび内リングの位置関係と、上座金および下座金の位置関係の他の例を示す図である。
図14】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る実施形態2の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する下座金の平面図、その下座金をベースプレートに設置した際に、下座金偏心孔に挿通されたアンカーボルトの代表的な4つの位置を示す図である。
図15】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る実施形態3の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する下座金の平面図、その下座金をベースプレートに設置した際に、下座金偏心孔に挿通されたアンカーボルトの代表的な2つの位置を示す図である。
図16】(a)〜(c)それぞれ実施形態4の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する下座金の斜視図、平面図、G−G線断面図である。
図17】(a)〜(c)それぞれ実施形態4の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する上座金の斜視図、平面図、H−H線断面図である。
図18】実施形態4の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具を構成する上座金の拡大底面図である。
図19】(a)〜(c)それぞれ実施形態4の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具において、アンカーボルトが第1ボルト位置α、第2ボルト位置β、第3ボルト位置γに位置した場合の上座金および下座金の位置関係を示す図である。
図20図19(a)におけるI−I線断面を示す断面図である。
図21図19(b)におけるJ−J線断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具、およびその固定金具を使用した木造柱脚構造の実施形態1〜4について説明する。尚、下記に説明する実施形態は、あくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0019】
実施形態1.
まずは、本発明に係る実施形態1の木造柱脚金物に用いるアンカーボルト固定金具1、およびその固定金具1を使用した木造柱脚構造について説明する。
【0020】
<実施形態1のアンカーボルト固定金具1の構成>
実施形態1のアンカーボルト固定金具1は、図1および図8等に示すように、木質柱3が上面部23に取付けられ、ベースプレート21の3辺から側面部22が立設されて1箇所の側面が外方に開放された箱状の木造柱脚金物2と、基礎5上面から一端部が突出したアンカーボルト4との固定に使用されるのもので、図2に示すように、平面視、三日月形状である外リング11および内リング12と、外リング11および内リング12の上に設置される円形状の下座金14および上座金13とを備えている。尚、図1において、符号の6はナットである。ここではナット6を2個使用して説明するが、本発明では、ナット6は1個だけでも良い。
【0021】
(外リング11)
外リング11は、図3(a)〜(c)に示すように、平面視、外リング11の中心である11xの位置を中心とする半径r11aの円弧を有する外周面11aと、その中心11xから所定の偏心距離L1だけ偏心した偏心位置11yを中心とする半径r11bの円弧を有する内周面11bとを備え、その内周面11bによって一部が囲まれた外リング開口部11cを有した三日月形状に形成されている。
【0022】
ここで、外リング11の外周面11aの半径r11aは、その外周面11aがベースプレート21のボルト挿通孔21aに隙間無く嵌まるように、ボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とほぼ同一に設定される。また、外リング11の内周面11bの半径r11bは、外リング開口部11cに後述する内リング12の外周面12aが隙間無く嵌まるように、内リング12の外周面12aの半径r12a(図4(b)参照。)とほぼ同一に設定される。
【0023】
尚、外リング11および内リング12の各厚さは、柱脚金物2のベースプレート21の厚さと同じにしている。また、外リング11の偏心距離L1は、内リング12の後述する偏心距離L2と同じである。
【0024】
(内リング12)
内リング12は、図4(a)〜(c)に示すように、平面視、内リング12の中心である12xの位置を中心とする半径r12aの円弧を有する外周面12aと、その中心12xから所定の偏心距離L2だけ偏心した偏心位置12yを中心とする半径r12bの円弧を有する内周面12bとを備え、その内周面12bによって一部が囲まれた内リング開口部12cを有した三日月形状に形成されている。
【0025】
ここで、内リング12の外周面12aの半径r12aは、その外周面12aが外リング11の外リング開口部11cに隙間無く嵌まるように、外リング11の内周面11bの半径r11bとほぼ同一に設定される。
【0026】
また、内リング12の内周面12bの半径r12bは、内リング開口部12cにアンカーボルト4の外周面が隙間無く嵌まるように、アンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とほぼ同一に設定される。
【0027】
また、内リング12の底面側には、図4(c)等に示すように、内リング12の内周面12bに沿って、内リング開口部12cの半径r12bよりも大きな半径からなる内リング凹部12dが形成されている。
【0028】
この内リング凹部12dを形成することにより、内リング12をアンカーボルト4に取り付けた際に、基礎5上面の直上のアンカーボルト4周りに付着しているコンクリートノロを避けて、内リング12の底面と基礎5上面との間に隙間が出来難くなるので、柱脚部の初期剛性が著しく低下するようなことがなく、木造柱脚としての所定の性能を十分に発揮することができる。尚、本発明において、内リング凹部12dを設けることは必須ではなく、省略しても良い。
【0029】
(上座金13)
上座金13は、図5(a)〜(c)に示すように、その外形が円形状で、かつ、下座金14の外形よりも小さく形成され、さらに、上座金13の中心13xから所定の偏心距離L3だけ偏心した偏心位置13yを中心とした円形状の上座金偏心孔13aを有している。ここで、上座金偏心孔13aの内径は、アンカーボルト4が挿通可能となるようにアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)とほぼ同一に設定される。尚、上座金13は、下座金14との応力伝達の点から、後述する下座金偏心孔14aのどの位置にアンカーボルト4が位置しても、その下座金偏心孔14aが隠れる大きさを有するのが好ましい。また、図5(c)に示すt13は、上座金13の厚さである。
【0030】
また、実施形態1の下座金14のように、その上面側に後述する上座金固定凹部14bが形成されている場合、上座金13の外形は、その上座金固定凹部14bに嵌まる大きさに設定される。
【0031】
(下座金14)
下座金14は、図6(a)〜(c)に示すように、その外形が円形状で、ベースプレート21のボルト挿通孔21a全体を覆い隠すべく、その内径よりも大きい外径を有すると共に、下座金14の中心14xを通る水平中心線CL上において、その中心14xから上座金13の偏心距離L3と同じ偏心距離L4だけ偏心した偏心位置14yを中心とした特異な形状の下座金偏心孔14aを有している。尚、下座金偏心孔14aの大きさは、アンカーボルト4の外径R4よりも大きく、かつ、ボルト挿通孔21aの内径および上座金13の外径よりも小さく設定され、より好ましくは、柱脚部に力が作用した際に、内リング12がボルト挿通孔21aから抜け出さないような寸法形状にするのが望ましい。
【0032】
また、実施形態1の下座金14には、その上面側に偏心位置14yを中心とした円形状の上座金固定凹部14bが形成されている。
【0033】
ここで、下座金14の中心14xと、下座金偏心孔14aおよび上座金固定凹部14bの中心である偏心位置14yとの間の偏心距離L4は、上座金13の中心13xと偏心位置13yとの間の偏心距離L3と同じに設定される。より詳しくは、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とを加算した値の1/2からアンカーボルト4の外径R4の1/2を減算した距離に設定される。
【0034】
上座金固定凹部14bの半径は、上座金13が隙間なく嵌まって固定されるように、上座金13の半径r13とほぼ同一に設定される。尚、上座金固定凹部14bの深さd14は任意だが、上座金13の設置作業性の点から上座金13の厚さt13よりも小さく設定するのが好ましい。
【0035】
後述するが、本発明に係るアンカーボルト固定金具1では、下座金14を、その中心14xとベースプレート挿通孔21aの中心とをほぼ一致させて設置するが、その下座金14には、前述したように、アンカーボルト4の外径R4よりも大きな下座金偏心孔14aを形成しているため、仮に、下座金14の上面が平らな単一面の場合、その後の上座金13を設置した時点では、下座金14の位置がずれてしまう恐れがある。しかしながら、本実施形態1の下座金14は、その上面に上座金固定凹部14bを形成しているため、上座金13が、その上座金偏心孔13aをアンカーボルト4に挿通させた状態で下座金14の上面上を回転させて、上座金固定凹部14bに嵌め込まれた時点で、上座金13と共に下座金14はアンカーボルト4に固定され、その設置位置が確定する。よって、アンカーボルト4に対して下座金14を適正な位置に容易に固定させることができ、その作業性を向上させることができる。
【0036】
(下座金14の下座金偏心孔14a)
次に、下座金14の下座金偏心孔14aの平面視の形状について説明する。実施形態1の下座金14に形成された下座金偏心孔14aの平面視の形状は、図6(b)に示すように、その図上、水平中心線CLを挟んだ上下でそれぞれ輪郭(孔縁の形)が異なる非対称の特異な形状に形成されている。
【0037】
まず、下座金14の中心14xと、偏心位置14yとを通る水平中心線CLより上側の下座金偏心孔14aは、その平面視の輪郭線(孔縁)14a1が、偏心位置14yを中心として、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とを加算した値の1/2を半径とした半円状の円弧に形成されている。
【0038】
一方、水平中心線CLより下側の下座金偏心孔14aの平面視の輪郭線(孔縁)14a2については、図6(b)に示す下座金偏心孔14aに挿通された状態のアンカーボルト4の外形を投射したボルト輪郭線BOLと、図7を用いて説明する。
【0039】
図6(b)は、ボルト輪郭線BOLの中心が、水平中心線CL上にある下座金14の中心14xに位置した状態(第1ボルト位置α)を示している。輪郭線(孔縁)14a2は、この状態から、ボルト輪郭線BOLの中心を水平中心線CL上、偏心位置14yを通って、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21aからアンカーボルト4の外径R4の1/2を減算した距離(=r21a−R4/2)に移動させたときの状態(第2ボルト位置β)までのボルト輪郭線BOLの各軌跡を、水平中心線CLの下側において全て取り囲むように描かれた輪郭形状を成している。
【0040】
尚、実施形態1の下座金偏心孔14aは、水平中心線CLより下側の輪郭線(孔縁)14a2が、ボルト輪郭線BOL(アンカーボルト4)が第1ボルト位置αと第2ボルト位置βにそれぞれ位置する状態において、それらボルト輪郭線BOLの中心からそれぞれ垂下した線とそのボルト輪郭線BOLとの交点同士を結んだ第1輪郭線と、その第1輪郭線の両端(各交点)からそれぞれボルト輪郭線BOLの円周に沿って互いに離れ合う方向に水平中心線CLまで延びる第2輪郭線からなる輪郭形状を成している。このような形状にすれば、後述する作用効果を得ることができるが、特にこの実施形態1の形状に限定されるものではなく、前段で述べたボルト輪郭線BOLの各軌跡を水平中心線CLの下側において全て取り囲んだ輪郭形状であれば、ボルト輪郭線BOLの各軌跡とその内周面との間に間隔を有するような形状でも良い。
【0041】
よって、実施形態1のアンカーボルト固定金具1を構成する下座金14は、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの中心と下座金14の中心14xとを一致するようにして、下座金偏心孔14aにアンカーボルト4を挿通させて設置すると、例えば、図7に示すように、アンカーボルト4がボルト挿通孔21aの中心である第1ボルト位置αに位置する場合でも、また、アンカーボルト4がベースプレート21のボルト挿通孔21aの内周面に当接する第2ボルト位置βに位置する場合でも、さらにはアンカーボルト4が第1ボルト位置αを下座金偏心孔14aの中心である偏心位置14yを中心に時計回りに90度回転させた第3ボルト位置γに位置する場合でも、下座金14を前後左右に移動させることなく、アンカーボルト4に下座金偏心孔14aを挿通させることができる。
【0042】
<実施形態1のアンカーボルト固定金具1を使用した木造柱脚構造の施工方法>
以上のように構成された実施形態1のアンカーボルト固定金具1を使用した木造柱脚構造の施工方法について説明する。
【0043】
まず、基礎5の上面から突出するアンカーボルト4に、木造柱脚金物2のベースプレート21のボルト挿通孔21aを挿通させて、基礎5上の所定位置に木造柱脚金物2を設置する。
【0044】
次に、アンカーボルト4が挿通されたベースプレート21のボルト挿通孔21aの内部に、例えば、図8(a)に示す状態となるように、外リング11および内リング12を嵌め込む。尚、外リング11および内リング12を嵌め込む順序は、外リング11および内リング12同時でも良いし、一方ずつでも良い。
【0045】
ここで、内リング12は、その底面側に形成されている内リング凹部12dを基礎5の上面側に向けてボルト挿通孔21aの内部に嵌め込む。すると、基礎5上面の直上のアンカーボルト4周りに付着しているコンクリートノロは、内リング凹部12dの凹みに位置することになるので、内リング12の底面と基礎5上面との間に隙間が出来難くなる。そのため、実施形態1のアンカーボルト固定金具1によりアンカーボルト4に木造柱脚金物2を固定した実施形態1の柱脚構造の初期剛性が著しく低下することを防止し、アンカーボルト4がせん断と曲げによって確実に変形することで粘り強い柱脚性能を発揮することができる。
【0046】
次に、アンカーボルト4に下座金14の下座金偏心孔14aを挿通させて、下座金14を外リング11および内リング12の上面に載せる。その際、下座金14は、その中心14xをボルト挿通孔21aの中心に出来る限り一致させるように設置すると共に、この後、上座金13を載せるため、上座金固定凹部14bが上側に来るように設置する。
【0047】
尚、上面側に上座金固定凹部14bが形成された実施形態1の下座金14の場合には、下座金偏心孔14aをアンカーボルト4に挿通させて設置する際に、下座金14の中心14xと偏心位置14yとを通る水平中心線CLより上側に形成された半円状の下座金偏心孔14aの輪郭線14a1の内周面(図6(b)参照。)と、アンカーボルト4の外周面とが接した状態となるように設置する。よって、下座金14は、必要に応じて設置位置を回転させて調整する。
【0048】
最後に、アンカーボルト4に上座金13の上座金偏心孔13aを挿通して、下座金14の上面で上座金13を回転させて、下座金14の上座金固定凹部14bに嵌め込ませる。その後、図1等に示すように、上座金13の上面から突出したアンカーボルト4の上端部にナット6を螺合し、締め付けて固定作業が完了する。
【0049】
図8(a),(b)は、それぞれ、実施形態1のアンカーボルト固定金具1を使用して柱脚金物2とアンカーボルト4を固定した際に、アンカーボルト4が、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの中心である第1ボルト位置α(図7参照。)に位置している場合の外リング11および内リング12の位置関係と、上座金13および下座金14の位置関係の一例を示す図である。
【0050】
ベースプレート21のボルト挿通孔21aに挿通されたアンカーボルト4が第1ボルト位置α(図7参照。)に位置する場合、アンカーボルト4は、下座金14の中心14x、即ち、ボルト挿通孔21aの中心から突出していることになるため、ボルト挿通孔21a内部における外リング11および内リング12の位置関係は、図8(a)に示すように外リング11の外リング開口部11cと内リング12の内リング開口部12aが互いに向き合った状態で外リング11の外リング開口部11cに内リング12が嵌まり、内リング開口部12cにアンカーボルト4が挿通される。
【0051】
そして、外リング11および内リング12の上側に設置される下座金14は、図8(b)に示すように、その下座金偏心孔14aをアンカーボルト4に挿通されると共に、下座金14の中心14xをベースプレート21のボルト挿通孔21aの中心に一致するように設置する。このとき、アンカーボルト4は、その外周面が、半円状の下座金偏心孔14aの輪郭線14a1の内周面(図6(b)参照。)に接した位置にあるため、下座金14を回転させて設置位置を調節しなくても良い。その後、上座金13を下座金14の上面で回転させて下座金14の上座金固定凹部14bに嵌め込ませることで、アンカーボルト4に対して下座金14を上座金13が固定されてその位置が決まり、アンカーボルト固定金具1の設置作業が完了する。
【0052】
尚、図8(b)におけるE−E線断面は、図1に示す状態となり、アンカーボルト4の外径R4よりも大きな下座金偏心孔14aには、アンカーボルト4の図上、右側に空間が生じていることがわかる。
【0053】
図9(a),(b)は、それぞれ、実施形態1のアンカーボルト固定金具1を使用して柱脚金物2とアンカーボルト4を固定した際に、アンカーボルト4が、ベースプレート21のボルト挿通孔21a内で最大に偏心して、そのボルト挿通孔21aの内周面に接する第2ボルト位置β(図7参照。)に位置している場合の外リング11および内リング12の位置関係と、上座金13および下座金14の位置関係の一例を示す図である。
【0054】
ベースプレート21のボルト挿通孔21aに挿通されたアンカーボルト4が第2ボルト位置β(図7参照。)に位置する場合、アンカーボルト4は、ボルト挿通孔21aの内周面に接する、即ち、アンカーボルト4の中心が、平面視水平方向にボルト挿通孔21aの半径r21aからアンカーボルト4の外径R4の1/2を減算した距離上に位置していることになるため、ボルト挿通孔21a内部における外リング11および内リング12の位置関係は、図9(a)に示すように外リング11の外リング開口部11cと内リング12の内リング開口部12aが互いに同じ方向を向いた状態で外リング11の外リング開口部11cに内リング12が嵌まり内リング開口部12cにアンカーボルト4が挿通される。
【0055】
そして、この場合においても、図9(b)に示すように、外リング11および内リング12の上側に設置される下座金14は、アンカーボルト4の外周面が、半径状の下座金偏心孔14aの輪郭線14a1の内周面(図6(b)参照。)に接した位置にあるため、図8(a),(b)の場合と同様に、下座金14を回転させて設置位置を調整しなくても良い。
【0056】
上座金13は、下座金14の上面で回転させて上座金固定凹部14bに嵌め込まれることで、アンカーボルト4に対して下座金14と上座金13が固定されてその位置が決まる。
【0057】
尚、図9(b)におけるF−F線断面は、図10に示す状態となり、アンカーボルト4の外径R4よりも大きな下座金偏心孔14aには、アンカーボルト4の図上、左側に空間が生じていることがわかる。
【0058】
図11(a),(b)は、それぞれ、実施形態1のアンカーボルト固定金具1を使用して柱脚金物2とアンカーボルト4を固定した際に、アンカーボルト4がベースプレート21のボルト挿通孔21aにおける第3ボルト位置γ(図7参照。)に位置している場合の外リング11および内リング12の位置関係と、上座金13および下座金14の位置関係の一例を示す図である。
【0059】
ベースプレート21のボルト挿通孔21aに挿通されたアンカーボルト4が第3ボルト位置γ(図7参照。)に位置する場合、ボルト挿通孔21a内部における外リング11および内リング12の位置関係は、図11(a)に示すように、外リング11の外リング開口部11cが図上、右方向を向いた状態で嵌め込まれたとき、内リング12は、内リング開口部12aが図上、上方向を向いた状態で外リング11の外リング開口部11cに嵌まり、内リング開口部12cにアンカーボルト4が挿通される。
【0060】
そして、この場合においても、図11(b)に示すように、外リング11および内リング12の上側に設置される下座金14は、アンカーボルト4の外周面が、半円状の下座金偏心孔14aの輪郭線14a1の内周面(図6(b)参照。)に接した位置にあるため、図8(a),(b)や図9(a),(b)の場合と同様に、下座金14を回転させて設置位置を調整しなくても良い。尚、アンカーボルト4の外周面が、下座金偏心孔14aの輪郭線14a1の内周面に接しない状態で下座金14が設置された場合には、その半円状の輪郭線14a1の内周面にアンカーボルト4の外周面が接するように、下座金14を回転させて設置位置を調整することで、図11(b)のような位置状態になる。
【0061】
上座金13は、下座金14の上面で回転させて上座金固定凹部14bに嵌め込まれることで、アンカーボルト4に対して下座金14と上座金13が固定されてその位置が決まる。
【0062】
図12(a),(b)および図13(a),(b)は、それぞれ、アンカーボルト4が、図8図11に示す第1ボルト位置α、第2ボルト位置βおよび第3ボルト位置γとは異なる位置にある場合の外リング11および内リング12の位置関係と、上座金13および下座金14の位置関係の他の例を示す図である。当然、これらの場合でも、外リング11および内リング12を合わせてベースプレート21のボルト挿通孔21aに嵌め込ませることができる。
【0063】
さらに、外リング11および内リング12の上に設置する下座金14においても、アンカーボルト4の外周面が、半円状の下座金偏心孔14aの輪郭線14a1の内周面に接しさせた状態で、若しくは、下座金14を回転させてその内周面に接するように位置調整して設置し、上座金13を下座金14の上座金固定凹部14bに嵌め込ませることで、アンカーボルト4に対して下座金14と上座金13を固定させることができる。
【0064】
<実施形態1のアンカーボルト固定金具1の効果>
従って、実施形態1のアンカーボルト固定金具1は、平面視、三日月形状である外リング11および内リング12と、それら外リング11および内リング12の上に設置される下座金14および上座金13とを備え、外リング11は、ベースプレート21に形成されたボルト挿通孔21aとほぼ同一の半径r11aからなる外周面11aと、その外周面11aの中心11xから所定の偏心距離L1だけ偏心した位置11yを中心とし、内リング12の外周面12aとほぼ同一の半径r11bからなる内周面11bを備える外リング開口部11cを有し、内リング12は、外リング11の外リング開口部11cとほぼ同一の半径r12aからなる外周面12aと、その外周面12aの中心12xから外リング11の偏心距離L1と同じ距離L2だけ偏心した位置12yを中心とし、アンカーボルト4の外径R4の1/2とほぼ同一の半径r12bからなる内周面12bを備える内リング開口部12cを有し、下座金14は、ベースプレート21に形成されたボルト挿通孔21aの内径よりも大きい外径を有すると共に、下座金14の中心14xからボルト挿通孔21aの半径r21aとアンカーボルト4の外径R4の1/2とを加算した値の1/2からアンカーボルト4の外径R4の1/2だけを減算した偏心距離L4だけ偏心した位置14yを中心とする下座金偏心孔14aを有し、上座金13は、下座金14の外径よりも小さい外径を有すると共に、上座金13の中心13xから下座金14の偏心距離L4と同じ偏心距離L3だけ偏心した位置13yを中心とし、アンカーボルト4の外径R4とほぼ同一の内径からなる円形状の上座金偏心孔13aを有し、下座金偏心孔14aの平面視の形状は、アンカーボルト4の外径R4よりも大きく、かつ、ボルト挿通孔21aの内径および上座金の外径よりも小さく設定され、さらに、下座金偏心孔14aに挿通された状態のアンカーボルト4の外形を投射したボルト輪郭線BOLの中心が、下座金14の中心14xに位置した状態から、下座金14の中心14xを通る水平中心線CL上を、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21aからアンカーボルト4の外径R4の1/2を減算した距離に移動させたときの状態までのボルト輪郭線BOLの各軌跡を、水平中心線CLの上側および下側において全て取り囲むように描かれた輪郭形状を成している。
【0065】
これにより、限られた空間を有する箱状の木造柱脚金物2であっても、アンカーボルト4に対してアンカー固定金具1を容易に取り付けることができると共に、アンカーボルト4がベースプレート21のボルト挿通孔21aのどこの位置に挿通されていても、ボルト挿通孔21aの中心位置にその中心14xをほぼ一致させた状態の下座金14を、前後左右に動かすことなく、せいぜい回転による設置位置の調整だけでアンカーボルト4に固定させることができ、それら作業性が改善される。
【0066】
さらに、実施形態1のアンカーボルト固定金具1は、下座金偏心孔14aの平面視の形状が、下座金の中心を通る水平中心線の上側の輪郭を、下座金の偏心距離だけ偏心した位置を中心として、ベースプレートのボルト挿通孔の半径とアンカーボルトの外径の1/2とを加算した値の1/2を半径とした半円状の円弧に形成しているため、アンカーボルト4がそれぞれ、ボルト挿通孔21aの中心に位置する場合や、ボルト挿通孔21aの内周面に当接する位置にある場合だけでなく、ボルト挿通孔21aの中心を下座金偏心孔14aの偏心位置14yを中心として時計回りに90度回転させた位置にある場合でも、下座金14を回転することなく、アンカーボルト4に下座金偏心孔14aを挿通させて設置することができ、より挿通作業性が向上する。
【0067】
さらに、実施形態1のアンカーボルト固定金具1は、下座金偏心孔14aの平面視の形状が、下座金の中心を通る水平中心線の下側の輪郭を、ボルト輪郭線の中心が、それぞれ下座金の中心に位置した状態と、水平中心線上を、ベースプレートのボルト挿通孔の半径からアンカーボルトの外径の1/2を減算した距離に移動させたときの状態の各ボルト輪郭線の中心からそれぞれ垂下した線とそれらボルト輪郭線との交点同士を結んだ第1輪郭線と、その第1輪郭線の両端をそれぞれボルト輪郭線の円周に沿って互いに離れ合う方向に水平中心線まで延びる第2輪郭線からなる輪郭形状に形成しているため、柱脚部に力が作用したときに、内リング12がボルト挿通孔21aから抜け出してしまう恐れを完全に無くすことができ、木造柱脚としての所定の性能を確実に発揮することができる。
【0068】
その結果、実施形態1のアンカーボルト固定金具1およびそれを用いた木造柱脚構造によれば、限られた空間を有する箱状の木造柱脚金物2であっても、ベースプレート21のボルト挿通孔21aを出来る限り大きな径で形成することができると共に、アンカーボルト4がこのボルト挿通孔21a内で最大に偏心した場合でも、下座金14や上座金13等が木造柱脚金物2に干渉することなく、アンカーボルト4に固定させることができ、よって、確実に木造柱脚金物2を所定の位置に設置することができる。
【0069】
また、実施形態1のアンカーボルト固定金具1およびそれを用いた木造柱脚構造では、アンカーボルト固定金具1を用いてアンカーボルト4と木造柱脚金物2とを固定した際に、図1図10等に示すように、アンカーボルト4と下座金14の下座金偏心孔14aの内周面(アンカーボルト4の周り)との間に空間が形成される。
【0070】
これにより、柱脚部が地震等で大きな力が作用したときに、その空間の上側に位置する上座金13が面外方向に変形して柱脚の靭性(粘り強さ)に寄与するため、アンカーボルト4の伸び変形と相伴って、従来よりも柱脚の靭性を確保することができる。
【0071】
また、実施形態1のアンカーボルト固定金具1およびそれを用いた木造柱脚構造では、下座金14の上面側に、上座金13を設置する際に嵌め込まれる上座金固定凹部14bを設けたため、上座金13が、その上座金固定凹部14bに嵌め込まれた時点で、上座金13と共にアンカーボルト4の外径R4よりも大きな下座金偏心孔14bが形成された下座金14も設置位置からずれることなく、アンカーボルト4に固定させることができ、木造柱脚金物2の固定作業の作業効率が向上する。
【0072】
さらに、実施形態1のアンカーボルト固定金具1およびそれを用いた柱脚構造では、内リング12の底面側に、内リング12の内周面に沿って、内リング凹部12dを設けているため、内リング12の底面と基礎5上面との間に隙間が出来難くなり、柱脚部の初期剛性が著しく低下するようなことがないので、木造柱脚としての所定の性能を十分に発揮することができる。
【0073】
実施形態2.
次に、本発明に係る実施形態2の木造柱脚金物に用いるアンカーボルト固定金具1’について説明する。実施形態2のアンカーボルト固定金具1’では、下座金14’の下座金偏心孔14a’の形状が、実施形態1の下座金偏心孔14aの形状と異なるだけであり、他の構成を同じである。
【0074】
図14(a),(b)は、それぞれ、実施形態2のアンカーボルト固定金具1’の下座金14’の平面図、その下座金14’をベースプレート21に設置した際のボルト挿通孔21aおよび下座金偏心孔14a’に挿通されたアンカーボルト4の代表的な位置を示す平面図である。
【0075】
実施形態2のアンカーボルト固定金具1’の下座金14’の下座金偏心孔14a’は、その平面視の形状が、後述するような円形状である。尚、実施形態2の下座金14’においても、実施形態1のものと同様に、上座金固定凹部14b’を設けなくても良い。
【0076】
下座金14’の下座金偏心孔14a’の平面視の形状は、図14(a),(b)に示すように、その図上、下座金14’の中心14x’を通る水平中心線CL’を基準として、その上側の下座金偏心孔14a’の輪郭線14a1’が実施形態1のものと同じであり、下側の下座金偏心孔14a’の輪郭線14a2’は、その輪郭線14a1’と線対称の関係で形成されている。つまり、上側の下座金偏心孔14a’の輪郭線14a1’は、下座金14’の中心14x’からベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とを加算した値の1/2からアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2だけ減算した距離にある偏心位置14y’を中心として、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とを加算した値の1/2を半径とした半円状の円弧に形成されている。そして、下側の下座金偏心孔14a’の輪郭線14a2’も線対称の関係で同じ半円状の円弧に形成され、これら2つの半円状の円弧により結果的に、下座金偏心孔14a’は円形状に形成されている。
【0077】
実施形態2の下座金14’は、その上面に、実施形態1のものと同様の上座金固定凹部14b’を形成しているため、下座金偏心孔14a’をアンカーボルト4に挿通させて設置するときには、下座金14’を、その中心14x’とボルト挿通孔21aの中心とを一致させつつ、適宜、回転させて、半円状の下座金偏心孔14a’の内周面と、アンカーボルト4の外周面とが接した状態となるように設置する。その際、実施形態2の下座金偏心孔14a’は、実施形態1のものと異なり、水平中心線CL’の下側にも半円状の輪郭線14a2’が、即ち、全体形状として円形状の輪郭線が形成されていることから、アンカーボルト4の外周面と接しさせる部分は、上側の輪郭線14a1’の内周面だけでなく、下側の輪郭線14a2’の内周面でも良く、その結果、下座金14’を回転させる量も少なくて済むため、その設置作業性はさらに向上する。
【0078】
尚、実施形態2の下座金14’では、例えば、図14(b)に示すように、アンカーボルト4がそれぞれ、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの中心である第1ボルト位置αに位置する場合、ボルト挿通孔21a内で最大に偏心して、そのボルト挿通孔21aの内周面に接する第2ボルト位置βに位置する場合、第1ボルト位置α又は第2ボルト位置βを下座金偏心孔14a’の中心である偏心位置14y’を中心に時計回り、若しくは反時計回りに90度回転させた第3ボルト位置γ、第4ボルト位置δに位置する場合には、アンカーボルト4の外周面が、半円状の下座金偏心孔14a’の輪郭線14a1’や輪郭線14a2’の内周面に接した位置にあるため、下座金14’を回転させて設置位置を調整しなくても良い。
【0079】
従って、実施形態2のアンカーボルト固定金具1’およびそれを用いた木造柱脚構造では、前述した実施形態1のアンカーボルト固定金具1およびそれを用いた木造柱脚構造と同様の作用効果が得られると共に、水平中心線CL’の下側の下座金偏心孔14a’の輪郭線14a2’も半円状の円弧に形成されているため、アンカーボルト4が、ボルト挿通孔21aの中心を下座金偏心孔14a’の偏心位置14y’を中心として反時計回りに90度回転させた位置にある場合でも、下座金14’を回転することなく、アンカーボルト4に下座金偏心孔14a’を挿通させて設置することができ、さらに挿通作業性が向上する。また、下座金14’を設置する際に、下座金偏心孔14a’の内周面とアンカーボルト4の外周面とを接した状態に調整するときには、上側の輪郭線14a1’又は下側の輪郭線14のどちらかの内周面に接しさせれば良く、その結果、下座金14’を回転させる量も少なくて済むことから、その設置作業性がさらに向上する。
【0080】
実施形態3.
次に、本発明に係る実施形態3の木造柱脚金物に用いるアンカーボルト固定金具1”について説明する。実施形態3のアンカーボルト固定金具1”では、下座金14”の上面および下座金偏心孔14a”の形状が、実施形態1および実施形態2のものと異なるだけであり、他の構成は同じである。
【0081】
図15(a),(b)は、それぞれ、実施形態3のアンカーボルト固定金具1”の下座金14”の平面図、その下座金14”をベースプレート21に設置した際のボルト挿通孔21aおよび下座金偏心孔14a”に挿通されたアンカーボルト4の代表的な位置を示す平面図である。
【0082】
実施形態3のアンカーボルト固定金具1” の下座金14”の下座金偏心孔14a”は、その平面視の形状が、後述するような楕円形状である。尚、下座金14”の上面側には、実施形態1および実施形態2のような上座金固定凹部は設けられていない。
【0083】
下座金14”の下座金偏心孔14a”の平面視の形状は、図15(a),(b)に示すように、その図上、下座金14”の中心14x”を通る水平中心線CL”を基準として、その下側の下座金偏心孔14a”の輪郭線14a2”が実施形態1のものと同じであり、上側の下座金偏心孔14a”の輪郭線14a1”は、その輪郭線14a2”と線対称の関係で形成されている。つまり、下側の下座金偏心孔14a”の輪郭線14a2”は、下座金偏心孔14a”に挿通された状態のアンカーボルト4の外形を投射したボルト輪郭線BOLの中心が、下座金14”の中心14x”に位置した状態(第1ボルト位置α)と、水平中心線CL”上、偏心位置14y”を通って、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21aからアンカーボルト4の外径R4の1/2を減算した距離に移動させたときの状態(第2ボルト位置β)において、それらボルト輪郭線BOLの中心からそれぞれ垂下した線とそのボルト輪郭線BOLとの交点同士を結んだ第1輪郭線と、その第1輪郭線の両端(各交点)からそれぞれボルト輪郭線BOLの円周に沿って離れ合う方向に水平中心線CL”まで延びる第2輪郭線からなる輪郭形状を成している。そして、上側の下座金偏心孔14a”の輪郭線14a1”も線対称の関係で同じ輪郭形状を成し、これら2つの輪郭形状により結果的に、下座金偏心孔14a”は楕円形状に形成されている。
【0084】
実施形態3の下座金14”は、その下座金偏心孔14a”の輪郭線14a1”および輪郭線14a2”が実施形態1および実施形態2とは異なり、半円状の円弧(内周面)を有していない。このような下座金14”の上面に上座金固定凹部を設けた場合には、上座金13”の上座金偏心孔13a”(図示せず。)をアンカーボルト4に挿通させた状態で、下座金14”の上面を回転させても、上座金固定凹部には嵌まらない。上座金13”を上座金固定凹部に嵌め込ませるには、下座金14”を前後左右に移動させなければならず、その際に木造柱脚金物2の側面部22に干渉する可能性があるため、下座金14”の下座金偏心孔14a”が半円状の円弧を有さない形状、例えば、楕円形状の場合には、その上面を平面状にする必要がある。
【0085】
しかしながら、実施形態3の下座金14”であっても、図15(b)に示すように、アンカーボルト4がそれぞれ、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの中心である第1ボルト位置αに位置する場合、ボルト挿通孔21a内で最大に偏心して、そのボルト挿通孔21aの内周面に接する第2ボルト位置βに位置する場合でも、また、それ以外のボルト挿通孔21a内のどの位置にあっても、適宜、下座金14”を回転させるだけで、その中心14x”をボルト挿通孔21aの中心に一致させつつ、アンカーボルト4に下座金偏心孔14a”を挿通させることができる。よって、木造柱脚金物2に干渉することなく、下座金14を適正な位置に決定することができる。尚、その後は、上座金13”を下座金14”上面に設置して、アンカーボルト4の上端部にナット6を螺合し、締め付けて固定作業が完了する。
【0086】
従って、実施形態3のアンカーボルト固定金具1”およびそれを用いた木造柱脚構造では、前述した実施形態1および実施形態2のアンカーボルト固定金具1,1’およびそれを用いた木造柱脚構造と比して、下座金の上面側に形成する上座金固定凹部による作用効果は得られないものの、アンカーボルト4がベースプレート21のボルト挿通孔21aのどこの位置に挿通されていても、下座金14”を前後左右に動かすことなく、適宜、回転させるだけで、その中心14x”をボルト挿通孔21aの中心位置に一致させつつ、アンカーボルト4に下座金偏心孔14a”を挿通させ、固定することができるため、従来よりもそれら作業性が改善される。これにより、木造柱脚金物2に干渉することなく、アンカーボルト4に固定させることができるため、確実に木造柱脚金物2を所定位置に設置することができる。
【0087】
実施形態4.
次に、本発明に係る実施形態4の木造柱脚金物に用いるアンカーボルト固定金具1”’について説明する。実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’では、下座金14”’の上面、および上座金13’の上面と下面の形状が、実施形態2や実施形態1のものとは異なるだけで、他の構成は同じである。
【0088】
図16(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態4の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具1”’を構成する下座金14”’の斜視図、平面図、G−G線断面図である。
【0089】
図16(a)〜(c)に示すように、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’の下座金14”’は、図14に示す実施形態2の下座金14’と同様に平面視、円形状の下座金偏心孔14a”’を有するものの、実施形態2の下座金14’とは異なり、上座金固定凹部14b’を省略したものである。
【0090】
尚、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’の下座金14”’の座金偏心孔14a”’の半径は、図14に示す実施形態2の下座金14’の座金偏心孔14a’と同様に、下座金14”’の中心14x”’からアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2だけ離れた当該下座金偏心孔14a”’の中心である偏心位置14y”’を中心として、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とを加算した値の1/2を半径とする円弧である。
【0091】
図17(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態4の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具1”’を構成する上座金13’の斜視図、平面図、H−H線断面図、図18は、上座金13’の拡大底面図である。
【0092】
図17(a)〜(c)および図18に示すように、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’の上座金13’は、図5(a)〜(c)に示す実施形態1の上座金13と同様に外形が円形状で、上座金13’の中心13x’から所定の偏心距離L3だけ偏心した偏心位置13y’を中心として、アンカーボルト4が挿通可能となるようにアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)とほぼ同じ内径、若しくは若干大きい内径の上座金偏心孔13a’が形成されている。
【0093】
そして、上述したように実施形態4の下座金14”’は上座金固定凹部14b’を省略しているため、上座金13’が下座金14”’からずれないよう、図18に示すように当該上座金13’の下面13b’側に、当該上座金13’の中心13x’と上座金偏心孔13aの中心である偏心位置13y’とを結ぶ水平中心線CL上”’上であって、当該上座金13’の中心13x’に対し偏心位置13y’とは反対側で、かつ、当該上座金13’の中心13x’から下座金14”’の下座金偏心孔14a”’の半径であるベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とを加算した値の1/2を半径とした仮想円弧VAに外側面が接するように平面視、円形状の突起13b1’を設ける。
【0094】
そのため、上座金13’の突起13b1’の中心と、当該上座金13’の中心13x’と、上座金偏心孔13a’の中心である偏心位置13y’は直線CL”’上に位置、すなわち上座金13’の突起13b1’は当該上座金13’の中心13x’に対し上座金偏心孔13a’とは反対側に設けられることになり、上座金偏心孔13a’にアンカーボルト4を通し、上座金13’の突起13b1’を下座金14”’の下座金偏心孔14a”’に嵌めると、下座金14”’に対し上座金13’が固定され、回転や移動しなくなる。
【0095】
尚、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’では、突起13b1’の反対側となる上座金13’の上面13c’側を下面13b’側に向かって押し出して突起13b1’を設けている。そのため、下面13b’の突起13b1’に対向する上面13b’側には、凹部13c1’が形成される。ただし、上座金13’の下面13b’に突起13b1’を設ける方法は、上面13c’側から押し出しに限らず、その突起13b1’の位置に孔を開けてピンを打込んで突起13b1’を設けたり、あるいは溶接等によって突起13b1’を設けたり、さらには上座金13’と一体成形によって突起13b1’を設けるようにしても勿論良い。
【0096】
次に、実施形態4の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具1”’におけるアンカーボルト14と上座金13’と下座金14”’の位置関係について説明する。
【0097】
図19(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態4の木造柱脚金物用アンカーボルト固定金具1”’において、アンカーボルトが第1ボルト位置α、第2ボルト位置β、第3ボルト位置γ(図7参照。)に位置した場合におけるアンカーボルト14と上座金13’と下座金14”’の位置関係を示す図である。
【0098】
実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’を使用して柱脚金物2とアンカーボルト4を固定した際、アンカーボルト4が第1ボルト位置α(図7参照。)にある場合は、アンカーボルト4は、下座金14”’の中心14x”’、即ち、ベースプレートボルト21の挿通孔21aの中心から突出していることになるため、ボルト挿通孔21a内部における外リング11および内リング12の位置関係は、図8(a)に示すようになる。
【0099】
そして、外リング11および内リング12の上側に設置される下座金14”’は、図19(a)に示すように、その下座金偏心孔14a”’にアンカーボルト4を挿通させると共に、下座金14”’の中心14x”’をベースプレート21のボルト挿通孔21aの中心に一致するように設置し、その後、上座金13’の上座金偏心孔13a’にアンカーボルト4を挿通させながら上座金13’を下座金14”’の上に置く。
【0100】
その際、実施形態4の下座金14”’には、実施形態2の下座金14’とは異なり、上座金固定凹部14b’が省略されているが、上座金13’の下面13b’側には、上座金13’の中心13x’から下座金”’の下座金偏心孔14a”’の半径であるベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とを加算した値の1/2を半径とした仮想円弧VAに外側面が接するように突起13b1’を設けているため、上座金偏心孔13a’にアンカーボルト4を通し、かつ、上座金13’の突起13b1’を下座金14”’の下座金偏心孔14a”’に嵌めると、下座金14”’に対し上座金13’が固定され、回転や移動しなくなる
【0101】
図20は、図19(a)におけるI−I線断面図であり、上座金偏心孔13a’および下座金偏心孔13a”’にアンカーボルト4が通り、かつ、上座金13’の突起13b1’が下座金14”’の下座金偏心孔14a”’に嵌まっていることがわかる。
【0102】
一方、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’を使用して柱脚金物2とアンカーボルト4を固定した際、アンカーボルト4が第2ボルト位置β(図7参照。)にある場合は、ボルト挿通孔21a内における外リング11および内リング12の位置関係は、図9(a)に示すようになる。
【0103】
そして、図19(b)に示すように、下座金14”’の下座金偏心孔14a”’にアンカーボルト4を挿通させ、下座金14”’の上に上座金13’の上座金偏心孔13a’にアンカーボルト4を挿通させながら、上座金13’の突起13b1’を下座金14”’の下座金偏心孔14a”’に嵌めると、下座金14”’に対し上座金13’が固定され、回転や移動しなくなる
【0104】
図21は、図19(b)におけるJ−J線断面図であり、上座金偏心孔13a’および下座金偏心孔13a”’にアンカーボルト4が通り、かつ、上座金13’の突起13b1’が下座金14”’の下座金偏心孔14a”’に嵌まっていることがわかる。
【0105】
さらに、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’を使用して柱脚金物2とアンカーボルト4を固定した際、アンカーボルト4が第3ボルト位置γ(図7参照。)にある場合は、ボルト挿通孔21a内における外リング11および内リング12の位置関係は、図11(a)に示すようになる。
【0106】
そして、図19(c)に示すように、下座金14”’の下座金偏心孔14a”’にアンカーボルト4を挿通させ、下座金14”’の上に上座金13’の上座金偏心孔13a’にアンカーボルト4を挿通させながら、上座金13’の突起13b1’を下座金14”’の下座金偏心孔14a”’に嵌めると、下座金14”’に対し上座金13’が固定され、回転や移動しなくなる
【0107】
従って、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’によれば、実施形態1〜3のアンカーボルト固定金具1〜1”と同様に、限られた空間を有する箱状の木造柱脚金物2であっても、アンカーボルト4に対してアンカー固定金具1を容易に取り付けることができると共に、アンカーボルト4がベースプレート21のボルト挿通孔21aのどこの位置に挿通されていても、ボルト挿通孔21aの中心位置にその中心14x”’をほぼ一致させた状態の下座金14”’を、前後左右に動かすことなく、せいぜい回転による設置位置の調整だけでアンカーボルト4に固定させることができ、作業性を改善させることができる。
【0108】
特に、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’では、実施形態2の下座金14’と同様に平面視、円形状の下座金偏心孔14a”’を有するものの、実施形態2の下座金14’とは異なり上座金固定凹部14b’を省略しているため、上座金13’が下座金14”’からずれないよう、上座金13’の下面13b’側に、当該上座金13’の中心13x’と上座金偏心孔13aの中心である偏心位置13y’とを結ぶ水平中心線CL上”’上であって、当該上座金13’の中心13x’に対し偏心位置13y’とは反対側で、かつ、当該上座金13’の中心13x’から下座金”’の下座金偏心孔14a”’の半径であるベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21a(図7参照。)とアンカーボルト4の外径R4(図7参照。)の1/2とを加算した値の1/2を半径とした仮想円弧VAに外側面が接するように平面視、円形状の突起13b1’を設けている。
【0109】
その結果、実施形態4のアンカーボルト固定金具1”’では、上座金固定凹部14b’を省略しても、上座金13’の下面13b’側の突起13b1’が下座金14”’上における上座金13’の位置決め機能を発揮するので、上座金固定凹部14b’と同様に上座金13’の設置作業性を向上させることができる。
【0110】
尚、本発明に係るアンカーボルト固定金具では、下座金の下座金偏心孔の平面視の形状は、上記実施形態1〜4に限定されるものではなく、上述したように、アンカーボルト4の外径R4よりも大きく、かつ、ボルト挿通孔21aの孔径および上座金13の外径よりも小さく設定され、さらに、ボルト輪郭線BOL(アンカーボルト4)の中心が、その中心を通る水平中心線CL上において、下座金14の中心14xに位置した状態(第1ボルト位置α)から、ベースプレート21のボルト挿通孔21aの半径r21aからアンカーボルト4の外径R4の1/2を減算した距離に移動させたときの状態(第2ボルト位置β)までのボルト輪郭線BOLの各軌跡を、水平中心線CLの上側および下側において全て取り囲むように描かれた輪郭形状であれば良い。
【0111】
また、下座金や上座金の外形についても、上記実施形態1〜4のような円形状のものに限らず、四角形や、六角形、八角形等の多角形でも勿論良い。
【0112】
また、本発明に係るアンカーボルト固定金具1,1’,1”,1”’を使用した木造柱脚構造において、それに用いる箱状の木造柱脚金物2は、上記実施形態1〜4では、ベースプレート21の3辺から側面部22が立設されて1箇所の側面が外方に開放された形態のものを例として説明したが、特にこの形態に限定されるものではなく、少なくともベースプレート21の対向する2辺から側面部22が立設されて、前後左右どちらか一方の方向で外方と遮られた形態でも良い。
【符号の説明】
【0113】
1,1’,1”,1”’…アンカーボルト固定金具、11…外リング、11a…外周面、11b…内周面、11c…外リング開口部、12…内リング、12a…外周面、12b…内周面、12c…内リング開口部、12d…内リング凹部、13,13’…上座金、13a,13a’…上座金偏心孔、13b1’…突起、14,14’,14”,14”’…下座金、14a,14a’,14a”,14a”’…下座金偏心孔、14b,14b’…上座金固定凹部、2…木造柱脚金物、21…ベースプレート、21a…ボルト挿通孔、22…側面部、23…上面部、3…木質柱、4…アンカーボルト、5…基礎、6…ナット。
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