特許第6861094号(P6861094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861094
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】発信機の交換作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 1/68 20060101AFI20210412BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20210412BHJP
   G08B 29/00 20060101ALI20210412BHJP
   G01C 21/26 20060101ALN20210412BHJP
【FI】
   G01S1/68
   G01S5/02 Z
   G08B29/00 A
   !G01C21/26 P
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-106091(P2017-106091)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-200285(P2018-200285A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】林 健太
(72)【発明者】
【氏名】工藤 彰久
(72)【発明者】
【氏名】國司 一宏
【審査官】 渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−206016(JP,A)
【文献】 特開2017−017491(JP,A)
【文献】 特開2017−068674(JP,A)
【文献】 特開2017−067565(JP,A)
【文献】 特開2010−159980(JP,A)
【文献】 特開2017−032461(JP,A)
【文献】 特開2016−163266(JP,A)
【文献】 特開2015−149526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00 − 1/82
5/00 − 5/30
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエリアに設置され自己の識別情報を発信可能な複数の発信機から発信される信号を受信可能な受信回路および無線通信を行う無線通信回路を備えた携帯端末と、
前記無線通信回路により送信された情報を受信可能な通信手段および前記所定のエリアに設置されている発信機の識別情報および設置位置情報を記憶した記憶手段を備えたデータ処理装置と、を含む発信機の交換作業支援システムであって、
前記携帯端末は、前記受信回路により前記発信機から発信された識別情報を受信し、該識別情報と受信電波強度情報とを送信する機能を有し、
前記データ処理装置は、
前記携帯端末から送信されてくる前記識別情報および受信電波強度情報を前記通信手段によって受け取って前記記憶手段に時系列的に記憶する機能と、
記憶した前記複数の発信機の識別情報および受信電波強度情報に基づいて前記携帯端末の位置もしくは移動軌跡を推定する端末位置推定機能と、
前記記憶手段に記憶された前記複数の発信機の所定期間の受信電波強度情報と、予め記憶されている前記所定のエリアに設置されている発信機のうち交換対象の発信機の識別情報および設置位置情報と、交換する新規発信機の識別情報と、に基づいて前記交換対象の発信機と新規発信機との交換が正しく行われたか否か判定する交換作業判定機能と、
を有していることを特徴とする発信機の交換作業支援システム。
【請求項2】
前記データ処理装置は、前記交換作業判定機能による判定結果に応じた情報を前記携帯端末へ送信する結果送信機能を有していることを特徴とする請求項1に記載の発信機の交換作業支援システム。
【請求項3】
前記結果送信機能により前記携帯端末へ送信される前記情報には、誤って交換された発信機の設置位置情報が記載された施設地図情報が含まれていることを特徴とする請求項2に記載の発信機の交換作業支援システム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、
前記交換対象の発信機と前記新規発信機とが交換されたと判定した場合に、前記記憶手段に記憶されている前記交換対象の発信機の識別情報を、交換された新規発信機の識別情報に書き換える機能を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発信機の交換作業支援システム。
【請求項5】
前記データ処理装置は、
前記記憶手段に記憶された前記複数の発信機の所定期間の受信電波強度情報と、予め記憶されている前記所定のエリアに設置されている発信機のうち交換対象の発信機の識別情報および設置位置情報と、に基づいて、前記交換対象の発信機でない発信機の交換作業領域内に前記携帯端末が接近していることを判定する機能と、
交換対象の発信機でない発信機の交換作業領域内に前記携帯端末が接近していると判定した場合に、前記携帯端末へ警告を送信する機能と、
を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発信機の交換作業支援システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記データ処理装置より送信された前記警告を受信した場合に警報を発することを特徴とする請求項5に記載の発信機の交換作業支援システム。
【請求項7】
前記データ処理装置は、
前記携帯端末が前記所定のエリア内を移動している期間において、交換する新規発信機からの受信電波強度が0もしくは所定レベル以下である場合に、当該新規発信機が不良であると判断することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発信機の交換作業支援システム。
【請求項8】
所定のエリアに設置され自己の識別情報を発信可能な複数の発信機から発信される信号を受信可能な受信回路および無線通信を行う無線通信回路を備えた携帯端末と、
前記無線通信回路との間の通信が可能な通信手段および前記所定のエリアに設置されている発信機の識別情報および設置位置情報を記憶した記憶手段を備えたデータ処理装置と、を含む発信機の交換作業支援システムであって、
前記携帯端末は、
前記データ処理装置より前記所定のエリアに設置されている発信機の識別情報および設置位置情報を取得する機能と、
前記受信回路により前記発信機から発信された識別情報を受信し、該識別情報と受信電波強度情報とを記憶手段に時系列的に記憶する機能と、
記憶した前記複数の発信機の識別情報および受信電波強度情報に基づいて前記携帯端末の位置もしくは移動軌跡を推定する端末位置推定機能と、
前記記憶手段に記憶されている前記複数の発信機の所定期間の受信電波強度情報と、予め記憶されている前記所定のエリアに設置されている発信機のうち交換対象の発信機の識別情報および設置位置情報と、交換する新規発信機の識別情報と、に基づいて前記交換対象の発信機と新規発信機との交換が正しく行われたか否か判定する交換作業判定機能と、
を有していることを特徴とする発信機の交換作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内部のような制限された空間内での携帯端末の通信機能を利用して歩行体や移動体の位置を把握するためのシステムを構成する発信機(ビーコン)の交換作業を支援するのに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
火災等の発生により建物の中へ消防隊員が進入し、消火および救助活動等(以下、消火活動)をする際には、屋外にいる指揮隊が建物内の情報及び建物内の隊員の位置情報をできるだけ正確に把握する必要がある。
従来、作業者のような歩行体や車両などの移動体の位置を検出する測位システムに関する発明が種々提案されており、その中の1つに、例えばGPS(全地球測位システム)を用いて位置情報を取得する方法がある。
【0003】
しかしながら、GPSを併用した位置情報の取得方法では、GPS電波の届かない屋内で活動する作業者の位置を取得することができない。また、ジャイロセンサや加速度センサなどを用いた測位方法のみでは、観測を続けるうちに誤差が大きくなってしまうという課題がある。そこで、本出願人は、ビーコンを利用して、建物内部のような制限された空間内を作業者が移動する場合に、その位置を迅速かつ正確に把握することができ、それによって短時間に作業や任務を完了させることができる位置推定方法およびシステムに関する発明をなし出願した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−206016号公報
【特許文献2】特開2007−124406号公報
【特許文献3】特開2016−38895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている位置推定方法を適用する場合には、予め建造物内に複数のビーコンを設置しておく必要がある。さらに、故障あるいは電池が消耗しているビーコンがあった場合には、速やかに正常なビーコンと交換する作業が必要となる。しかしながら、ビーコンは電波の届く範囲が比較的狭いため、一つの監視エリアに設置するビーコンの数が多くなり、同一エリアにある複数のビーコンを同時期に交換する作業を行う事態が生じることがあり、そのような場合、作業者が誤って正常なビーコンを交換してしまうおそれがあるという課題があることが明らかになった。
【0006】
具体的には、異常のあるビーコンを交換する際、作業者はサーバで管理されている各施設のビーコンの設置図(マップ)から、異常が検出されたビーコンの位置を確認し、正常なビーコンを運んで交換した後、新設したビーコンのID(識別情報)を設置位置情報に関連してサーバに登録することとなる。
しかしながら、多数のビーコンが設置されている施設においては、設置図(マップ)から異常ビーコンの位置を特定するのは困難であるとともに、誤って異常のないビーコンと交換してしまう作業ミスが発生するおそれがある。そして、交換ミスに気付かずに新設したビーコンを登録してしまうと、設置図と実際の配置との整合が取れなくなって、位置推定システムを運用している施設では、正しい位置把握ができなくなってしまう。
【0007】
なお、建物内部を移動する作業者の位置を監視する位置確認装置に関する発明やビーコンを利用して対象者を発見する対象者発見支援システムに関する発明も提案されている(特許文献2、3)。
このうち、特許文献2に記載されている発明は、無線LAN基地局を監視エリアに設置し、端末が測定した各基地局の電波強度情報を、基地局を介してサーバへ送信しサーバは受信した電波強度情報と各基地局の電波特性を示す近似曲線から各基地局と端末の距離を推定し、端末の位置を検出し、検出した端末の位置を配信・表示するようにしたものである。
【0008】
ここで、無線基地局は一般に外部から供給される電源で動作するので、特許文献2のシステムにおいては電池切れによる交換はない。また、無線基地局から送信される電波の強度はビーコンに比べて高いため、1つのエリアに設置する基地局の数はビーコンほど多くないので、故障した場合の誤交換のおそれは少ない。
一方、特許文献3に記載されている発明は、電池で動作するビーコンを利用して対象者を発見するシステムであるが、監視対象エリアは屋外であってビーコンは屋外に設置されており、設置場所が互いに離れているとともに設置環境も大きく異なることから、故障した場合の誤交換のおそれは少ない。
【0009】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、建物内部のような所定のエリアに複数の発信機(ビーコン)が設置されている場合に、故障あるいは電池が消耗している発信機を新規の発信機と交換する作業を誤りなく短時間に実施することができる発信機の交換作業支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
所定のエリアに設置され自己の識別情報を発信可能な複数の発信機から発信される信号を受信可能な受信回路および無線通信を行う無線通信回路を備えた携帯端末と、
前記無線通信回路により送信された情報を受信可能な通信手段および前記所定のエリアに設置されている発信機の識別情報および設置位置情報を記憶した記憶手段を備えたデータ処理装置と、を含む発信機の交換作業支援システムにおいて、
前記携帯端末は、前記受信回路により前記発信機から発信された識別情報を受信し、該識別情報と受信電波強度情報とを送信する機能を有し、
前記データ処理装置は、
前記携帯端末から送信されてくる前記識別情報および受信電波強度情報を前記通信手段によって受け取って前記記憶手段に時系列的に記憶する機能と、
記憶した前記複数の発信機の識別情報および受信電波強度情報に基づいて前記携帯端末の位置もしくは移動軌跡を推定する端末位置推定機能と、
前記記憶手段に記憶された前記複数の発信機の所定期間の受信電波強度情報と、予め記憶されている前記所定のエリアに設置されている発信機のうち交換対象の発信機の識別情報および設置位置情報と、交換する新規発信機の識別情報と、に基づいて前記交換対象の発信機と新規発信機との交換が正しく行われたか否か判定する交換作業判定機能と、
を有するように構成したものである。
【0011】
ここで、「時系列的に記憶」とは記憶手段の中に順番に記憶するものの他、時刻情報を付加して記憶するものを含む。上記のような構成を有する交換作業支援システムによれば、データ処理装置(管理サーバ)が交換対象の発信機(ビーコン)と新規発信機との交換が正しく行われたか否か判定する交換作業判定機能を有するため、故障あるいは電池が消耗している発信機を新規の発信機と交換する作業を誤りなく実施させることができる。その結果、監視エリア内に複数の発信機(ビーコン)を設置して、エリア内を作業者が移動する場合に、その位置を迅速かつ正確に把握する位置推定システムにおいて、システムを正常に機能する状態に維持することができ、発信機の誤交換によって信頼性が低下するのを防止することができる。
【0012】
ここで、望ましくは、前記データ処理装置は、前記交換作業判定機能による判定結果に応じた情報を前記携帯端末へ送信する結果送信機能を有するように構成する。
上記のような構成によれば、誤って交換したことを作業者に認知させることができ、正しい交換作業を実施させることができる。
【0013】
また、望ましくは、前記結果送信機能により前記携帯端末へ送信される前記情報には、誤って交換された発信機の設置位置情報が記載された施設地図情報が含まれているようにする。
このような構成によれば、表示装置の画面に施設地図を表示させることで、交換したことおよび誤交換した発信機の位置を作業者に認知させることができ、正しい交換作業を短時間に完了することができる。
【0014】
さらに、望ましくは、前記データ処理装置は、前記交換対象の発信機と前記新規発信機とが交換されたと判定した場合に、前記記憶手段に記憶されている前記交換対象の発信機の識別情報を、交換された新規発信機の識別情報に書き換える機能を有するように構成する。
かかる構成によれば、交換した発信機の位置を設置位置情報テーブルに自動的に登録することができ、位置推定システムを正常に機能する状態に維持することができ、システムの信頼性を高めることができる。
【0015】
さらに、望ましくは、前記データ処理装置は、
前記記憶手段に記憶された前記複数の発信機の所定期間の受信電波強度情報と、予め記憶されている前記所定のエリアに設置されている発信機のうち交換対象の発信機の識別情報および設置位置情報と、に基づいて、前記交換対象の発信機でない発信機の交換作業領域内に前記携帯端末が接近していることを判定する機能と、
交換対象の発信機でない発信機の交換作業領域内に前記携帯端末が接近していると判定した場合に、前記携帯端末へ警告を送信する機能と、を有するように構成する。
【0016】
上記のような構成によれば、誤って正常な発信機を外して交換しようとしている作業者に対して、作業前に誤りを気付かせることができ、これによって、正しい交換作業を短時間に完了することができる。
ここで、前記携帯端末は、前記データ処理装置より送信された前記警告を受信した場合に警報を発するように構成しても良く、これによって、より確実に誤りを気付かせることができる。
【0017】
また、望ましくは、前記データ処理装置は、
前記携帯端末が前記所定のエリア内を移動している期間において、交換する新規発信機からの受信電波強度が0もしくは所定レベル以下である場合に、当該新規発信機が不良であると判断するように構成する。
これにより、交換する新規発信機が初期不良を有しているような場合にそれを検出することができ、誤って初期不良を有している発信機が設置されて、位置推定システムが正常に機能しなくなる事態を招くのを回避することができる。
【0018】
また、所定のエリアに設置され自己の識別情報を発信可能な複数の発信機から発信される信号を受信可能な受信回路および無線通信を行う無線通信回路を備えた携帯端末と、
前記無線通信回路との間の通信が可能な通信手段および前記所定のエリアに設置されている発信機の識別情報および設置位置情報を記憶した記憶手段を備えたデータ処理装置と、を含む発信機の交換作業支援システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記データ処理装置より前記所定のエリアに設置されている発信機の識別情報および設置位置情報を取得する機能と、
前記受信回路により前記発信機から発信された識別情報を受信し、該識別情報と受信電波強度情報とを記憶手段に時系列的に記憶する機能と、
記憶した前記複数の発信機の識別情報および受信電波強度情報に基づいて前記携帯端末の位置もしくは移動軌跡を推定する端末位置推定機能と、
前記記憶手段に記憶されている前記複数の発信機の所定期間の受信電波強度情報と、予め記憶されている前記所定のエリアに設置されている発信機のうち交換対象の発信機の識別情報および設置位置情報と、交換する新規発信機の識別情報と、に基づいて前記交換対象の発信機と新規発信機との交換が正しく行われたか否か判定する交換作業判定機能と、
を有するように構成しても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、建物内部のような比較的狭いエリアに複数の発信機(ビーコン)が設置されている場合に、故障あるいは電池が消耗している発信機を新規の発信機と交換する作業を誤りなく短時間に実施することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る発信機の交換作業支援システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図2】発信機の交換作業の手順の一例をエリアマップ上での作業者移動軌跡として示す図である。
図3】(A)は図2の手順で作業を実施する場合の受信電波強度の変化の様子の例を示すグラフ、(B),(C)はビーコン交換時t1,t2における周辺のビーコンからの信号の受信電波強度の例を示す図である。
図4】発信機の交換作業の手順の他の例をエリアマップ上での作業者移動軌跡として示す図である。
図5図4の手順で作業を実施する場合の受信電波強度の変化の様子の例を示すグラフである。
図6】実施形態の交換作業支援システムを構成するデータ処理装置(管理サーバ)における処理手順の一実施例を示すフローチャートである。
図7】実施形態の交換作業支援システムの第2実施例におけるデータ処理装置(管理サーバ)による処理手順を示すフローチャートである。
図8】実施形態の交換作業支援システムの第1変形例におけるデータ処理装置(管理サーバ)による処理手順を示すフローチャートである。
図9】第2変形例における発信機の交換作業の際のエリアマップ上での作業者移動軌跡の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る発信機の交換作業支援システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施例)
図1は、本発明に係る発信機(ビーコン)の交換作業支援システム(以下、単に交換作業支援システムと称する)の第1実施例の概略を示すものである。図1に示すように、本実施例の交換作業支援システムにおいては、建物内部の所定エリア内の複数の箇所に配設されているビーコン用の発信機10からの信号(電波)を受信可能な携帯端末20と、通信ネットワーク30を介して携帯端末20との間でデータ通信を行うデータ処理装置としての管理サーバ(コンピュータ装置)40、監視エリアである施設における発信機10の設置位置情報(設置図)等が格納されたデータベース50などから構成されている。
【0022】
なお、携帯端末20へビーコンの無線信号(機器IDや設備情報等の固有情報)を発信する発信機10の通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)通信やIEEE 802.11規格に従ったWiFi等の無線LAN、赤外線通信など公知の通信方式を利用することができる。発信機10を配置する間隔は特に限定されないが、以下の説明では、隣接するそれぞれの発信機の通信範囲が互いに重なるような距離をおいて配置されているものとする。
【0023】
具体的には、もともと建物内には所定の間隔をおいて火災感知器やスプリンクラーヘッドが設置されているので、それらの機器に内蔵もしくは付加させる形態で取り付けたビーコンを利用することができる。
発信機10は、電源としての内蔵電池と、定期的に自己の識別情報を無線信号に乗せて周囲に発信する発信部を備える。この発信機10が無線で発信する情報には、少なくとも当該発信機の識別コードが含まれていれば良く、さらに、設置されているエリアに関する情報が含まれても良い。
【0024】
一方、携帯端末20は、発信機10からの信号を受信する機能および無線通信機能を備えるスマートフォンのような機器であり、点検や交換を行う作業者が帯同して移動する。携帯端末20には、定期的に上記発信機10から無線で発信されるビーコン信号を受信し、発信機10から発信されるビーコン信号に含まれる情報を抽出するとともに受信電波強度を検出し、受信情報と電波強度を、通信ネットワーク30を介して管理サーバ40へ送信する処理を実行する作業支援用のアプリケーション・プログラムが格納されていることを条件とすることができる。
【0025】
管理サーバ40は、携帯端末20から受信した発信機10(以下、ビーコンと称する)の情報を処理するビーコン情報処理部41や、データベース50の設置位置情報テーブルに、交換された異常ビーコンから新設したビーコンへID(識別コード)を更新登録するビーコン登録処理部42を備える。また、管理サーバ40は、作業者が誤って正常なビーコンを交換しようとしている場合あるいは誤って交換してしまった場合に、携帯端末20へ警告を送信する機能を備えている。なお、ビーコン登録処理部42は、データベース50の設置位置情報テーブルにおいて、ビーコンの更新登録をする際に、交換された異常ビーコンのID(識別コード)等を履歴として残しても良いし、削除するようにしても良い。
【0026】
本実施例の交換作業支援システムは、管理サーバ40が、携帯端末20から取得したビーコンのIDおよび受信電波強度に基づいて、作業者による交換作業の状況を推定し、状況に応じて適切な処理を実行するというものである。
そこで、先ず、本実施例における交換作業の状況推定の考え方について、図2図5を用いて説明する。なお、作業者がビーコンの交換作業を行う際の行動として、複数のビーコンを持ち運びながら作業する場合と、1個ずつビーコンを持って行って作業する場合とが考えられる。以下、それぞれの場合に分けて、交換作業手順を説明する。
【0027】
例えば、図2に示すように、9個のビーコン#1〜#9が設置されているエリアにおいて、#2と#9の2つのビーコンが故障あるいは電池が消耗していて、作業者が新規のビーコン#Aと#Bを持ち運んで、先ず図2(A)のようにビーコン#2の設置個所へ移動してビーコン#2と#Aとを交換し、次に図2(C)のようにビーコン#9の設置個所へ移動してビーコン#9と#Bとを交換する場合について説明する。
なお、本システムは、登録された発信機10(#1〜#9)の設置位置情報を反映したエリアマップを通常運用モードとして稼働し、通常運用時において交換対象候補として#2および#9が検出され、これらの交換作業を行う際には、手動または自動設定にて通常運用モードから交換作業モードに移行し、交換作業モードでは、登録されていない他の発信機#A,#Bもエリアマップ上に表示されるようになっているものとする。モードに係わらず携帯端末にて受信した発信機情報を常にエリアマップに表示するようにしても良い。
【0028】
上記の場合、上記手順で新規ビーコンが正しく設置された場合を考えると、その際に、作業者が保有する携帯端末20が新規ビーコン#Aと#Bから受信する信号の電波強度は、図3(A)において実線(▲印を結んだ線)と破線(□印を結んだ線)で示すように変化するはずである。なお、図3(A)において、t1はビーコン#2の設置個所に到達したタイミング、t2はビーコン#9の設置個所に到達したタイミングである。
【0029】
従って、新規ビーコン#Aと#Bの受信電波強度が、図3(A)の実線のように変化しなかった場合には、誤設置があったと判断することができる。また、仮に、新規ビーコン#A,#Bの設置順序は正しかったとしても、既設ビーコン#2、#9以外のビーコンを誤って外してしまった場合には、誤って外したビーコンからの受信電波強度が、図3(A)に点線Cで示すように、交換したタイミングの直前から高くなり、高い状態が作業終了後まで継続することになるので、誤交換があったと判断することができる。
なお、本説明においては、新規ビーコン#A,#Bの設置順序を決めて設置し、交換作業が正しく行われたかを判断する例を示したが、仮に#Bの次に#Aを設置した場合であっても、図3図5)において#Aと#Bが入れ替わった電波強度の変化を示す場合は、#2から#Bに、#9から#Aに交換されたと判断しても良い。
【0030】
次に、上記と同様な状況(#2と#9が故障)において、作業者が先ず新規のビーコン#Aを持って図4(A)のようにビーコン#2の設置個所へ移動してビーコン#2と#Aとを交換した後、ビーコン#2を持って図4(B)のようにスタート地点に戻り、ビーコン#Bを持って図4(C)のようにビーコン#9の設置個所へ移動してビーコン#9と#Bとを交換する場合について説明する。
【0031】
この場合、上記手順で新規ビーコンが正しく設置された場合を考えると、その際には、交換作業後に当該ビーコンから次第に離れて行くので、作業者が保有する携帯端末20が新規ビーコン#Aと#Bから受信する信号の電波強度は、図5において実線(▲印を結んだ線)と破線(□印を結んだ線)で示すように、変化するはずである。なお、図5(A)において、t1はビーコン#2の設置個所に到達したタイミング、t2はビーコン#9の設置個所に到達したタイミングである。
【0032】
従って、新規ビーコン#Aと#Bの受信電波強度が、図5(A)に示されている実線と破線のように変化しなかった場合には、誤設置があったと判断することができる。また、仮に、新規ビーコン#A,#Bの設置順序は正しかったとしても、既設ビーコン#2、#9以外のビーコンを誤って外してしまった場合には、誤って外したビーコンからの受信電波強度が、図3(A)の点線Cと同様に、交換したタイミングの直前から高くなり、高い状態が作業終了後まで継続することになるので、誤交換があったと判断することができる。
なお、本説明においては、新規ビーコン#A,#Bの設置順序を決めて設置し、交換作業が正しく行われたかを判断する例を示したが、仮に#Bの次に#Aを設置した場合であっても、図3図5)において#Aと#Bが入れ替わった電波強度の変化を示す場合は、#2から#Bに、#9から#Aに交換されたと判断しても良い。
【0033】
次に、本実施形態の交換作業支援システムを構成する管理サーバ40による処理手順を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図6のフローチャートに従った処理が開始される前に、故障等が検出された既設の故障ビーコンのIDおよびこれらのビーコンと交換される新規ビーコンのIDが管理サーバ40にて登録されているものとする。また、作業開始前に、携帯端末20に格納されている作業支援用のアプリケーション・プログラムが起動されているものとする。
【0034】
管理サーバ40は、交換作業支援プログラムが起動されると、図6に示すように、先ずデータベース50から、作業対象の施設におけるビーコンの設置位置およびビーコンのIDを記載したテーブルを読み込む(ステップS1)。次に、各携帯端末20からのビーコン情報を受信し(ステップS2)、受信したビーコン情報を受信時刻と共に記録した受信履歴情報リストを作成してメモリに記憶する(ステップS3)。その後、所定時間(例えば15分間)の受信情報をビーコン毎に集計し、随時作業位置を推定する(ステップS4)。
【0035】
具体的には、新規ビーコン#Aに着目すると、該ビーコン#Aからの受信電波強度が図3(A)の実線のように、低下し始めるタイミングt1が作業終了してその位置から離れる時点であり、その時点での周辺のビーコン(図2では#1,#3,#5)の受信電波強度は、図3(B)に示すようにほぼ同じレベルとなるはずであるので、図3(B)のような受信レベルであれば故障ビーコン#2の設置位置で作業をしていたと推定することができる。ビーコン#9を交換する際には、作業終了時点での周辺のビーコン(図2では#5,#6,#8)の受信電波強度は、図3(C)に示すように、ほぼ同じレベルとなるはずであるので、図3(C)のような受信レベルであれば故障ビーコン#9の設置位置で作業をしていたと推定することができる。
管理サーバ40は、ステップS4での推定位置から交換したビーコンの位置が正しかったか否か判定する(ステップS5)。ここで、交換したビーコンの位置が正しかった(Yes)と判定すると、ステップS6へ移行して、ビーコン設置位置情報テーブルに、新設したビーコンのID(#A,#B)を更新登録する。更新登録を行うと、次に、S7へ進み、作業が終了したか否か判定する。
【0036】
また、ステップS5で、交換したビーコンの位置が正しくない(No)と判定するとステップS7へ進み、作業が終了したか否か判定する。作業の終了は、例えば新規ビーコン#Aと#Bの受信電波強度が所定レベル以下になったか否かで判定することができる。また、携帯端末20に格納したアプリケーション・プログラムが、「作業終了」ボタンを表示し、そのボタンが操作されたことをもって「作業終了」と判定しても良い。
【0037】
ステップS7で、作業が終了していない(No)と判定するとステップS2へ戻って上記処理を繰り返す。また、ステップS7で、作業が終了した(Yes)と判定したときは、ステップS8へ進み、未交換の故障ビーコンが残っているか否か判定する。そして、ステップS8で、未交換の故障ビーコンが残っている(Yes)と判定すると、ステップS9へ進み、例えばデータベース50から当該施設の地図データを読み込んで、未交換の故障ビーコンの位置を記載した施設地図(マップ)を作成して携帯端末20へ送信して、ステップS2へ戻る。
【0038】
一方、ステップS8で、未交換の故障ビーコンが残っていない(No)と判定するとステップS10へ進み、ステップS6で書き換えたビーコン設置位置情報テーブルをデータベース50に登録して、一連の処理を終了する。
本実施例における交換作業支援システムにおいては、サーバ40が上記のような処理を実行することにより、故障したビーコンを新規のビーコンに交換する作業が正しく行われたか否か監視し、正しい交換作業を支援することができる。
【0039】
(第2実施例)
図7は、本発明に係るビーコンの交換作業支援システムの第2実施例におけるサーバの処理手順を示すものである。なお、本実施例における交換作業支援システムの構成は図1に示すものと同じで良い。
本実施例においては、サーバ40は、作業者が誤って新規ビーコンを、故障中のものではなく正常なビーコンと交換しようとしていることを検知した場合に、警告を行うようにしたものである。因みに、作業者がビーコンを交換する際には、脚立等の上に登って高所作業を行うため、交換対象のビーコンが正常であれば、そのビーコンからの受信電波強度が通常移動時の電波強度よりも高くなるので、携帯端末20がビーコン10から受信したIDと電波強度とをサーバ40へ送信し、サーバ40がデータベースの情報(故障リスト)を参照することで誤った交換か否か判断することができる。
【0040】
この実施例の手順を示す図7のフローチャートは、図6のフローチャートとほぼ同じである。異なるのは、ステップS4とS5との間に、誤って故障してないビーコンに接近したか否か判定するステップS11と、誤ったビーコンに接近したと判定した場合に、携帯端末20に対して「警告」を送信するステップS12と、交換ビーコンを取り付けたか否かを判定するステップS13とを設けた点にある。また、本実施例では、ステップS5で、交換位置が正しいか否か判定して、正しくない(No)と判定した時は、ステップS13で、携帯端末へ警告を送信した後、ステップS9のエリアマップの作成と送信を行なってから、ステップS2へ戻るようにしている点でも異なる。さらに、本実施例では、ステップS7で、全作業が終了したか否か判定し、全作業が終了した(Yes)と判定した場合や、追加したステップS13で(No)と判定した場合にも、ステップS9のエリアマップの作成と送信を行なってから、ステップS2へ戻るようにしている。
【0041】
携帯端末20は、サーバ40からステップS13の処理による「警告」を受信したときは、アラーム音等を発することによって、作業者に誤作業を知らせることができる。これによって、誤ったビーコンの交換を回避することができる。
なお、携帯端末20へ「警告」を送信する際に故障ビーコンの位置を記載した施設地図を送信しても良いが、この第2実施例では作業の途中で誤作業を知ることができるので、ステップS9の未交換の故障ビーコンの位置を記載した施設地図の送信を省略しても良い。
【0042】
(変形例)
図8は、本発明に係るビーコンの交換作業支援システムの第1変形例におけるサーバの処理手順を示すものである。
本変形例は、仮に誤って正常なビーコンを交換してしまったことを作業終了後に気が付いた場合に、交換されたビーコンを再度元の位置に設置する作業を省略して、予定していた故障ビーコンを正常なビーコンと交換することを可能にしたものである。
【0043】
この変形例の手順を示す図8のフローチャートは、図6のフローチャートとほぼ同じである。異なるのは、ステップS5において、交換したビーコンの位置が正しかったか否か判定する代わりに、単にビーコンの交換が実施されたか否か判定する点と、ステップS6において、ビーコン設置位置情報テーブルの交換された元のビーコンのIDを削除して、新設したビーコンのIDを書き込むようにしている点である。正常なビーコンが交換されたことは、新規ビーコンの電波強度が次第に弱くなる一方、外された正常なビーコンの電波強度は高いレベルを維持することから判断することができる。
【0044】
本変形例によれば、仮に誤って正常なビーコンを交換してしまったとしても、外されたビーコンを故障したビーコンと交換する作業が実施されれば、その時点でビーコン設置位置情報テーブルの書き換えが行われるので、位置推定システムに何ら支障は生じない。
また、誤って交換してしまったことに気が付いた時点で、外した正常なビーコンを故障しているビーコンの位置に取り付けることで、やり直し作業が不要となり、全体としての作業効率が向上するという利点がある。
【0045】
次に、本発明に係るビーコンの交換作業支援システムの第2変形例について説明する。
本変形例は、交換しようとして携帯したビーコンが初期不良を有していることを想定したものである。なお、ここで、「初期不良」としては、例えば(ア)ビーコン電波強度が正常では無いが発せられている(低出力)状態や、(イ)電源が入らない(OFF状態のまま)などがある。
【0046】
例えばビーコン#Aが初期不良を有していた場合、(ア)の「低出力状態」であれば、図4と同様、エリアマップ上にビーコン#Aが表示されるものの、ビーコン#Aからの受信電波強度は図5に点線アで示すように、レベルの低い状態で遷移する。そこで、管理サーバ40は、エリア内のビーコン#1,#3〜#6,#8の電波強度から作業者(携帯端末)の移動軌跡を算出して表示しつつ、新規のビーコン#Aの受信電波強度が所定レベルを超えない場合(低い状態で遷移する場合)には、初期不良と判断して「エラー」をモニタに表示する。
【0047】
一方、ビーコン#Aが(イ)の「電源が入らない(OFF状態のまま)」であれば、図9のように、エリアマップ上に新規のビーコン#Aが表示されず作業者の携帯端末のみの移動軌跡が表示されるとともに、ビーコン#Aからの受信電波強度は「0」のままとなる。そこで、管理サーバ40は、作業者(携帯端末)が移動しても、新規のビーコン#Aの受信電波強度が「0」のままである場合には、初期不良と判断して「エラー」をモニタに表示する。
【0048】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、図6または図7図8に示す処理をサーバ40において実行すると説明したが、携帯端末20に格納されるアプリケーション・プログラムに図6または図7図8に示す処理を実行する機能を持たせ、作業開始前にサーバ40から携帯端末20へ作業対象の施設のビーコン設置位置情報を送信して、携帯端末20側において図6または図7図8に示す処理を実行するようにしても良い。
【0049】
また、上記実施形態では、ビーコンは情報を送信する機能のみ有していると説明したが、ビーコンが携帯端末からの無線信号を受信する機能さらには受信した情報をサーバへ送信する機能を有していても良い。
さらに、上記実施形態では、本発明を故障したビーコンと新規ビーコンとを交換する作業を支援するシステムに適用した場合について説明したが、本発明は電池切れを起こしたビーコンの電池を交換する作業を支援するシステムなどにも利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 発信機
20 携帯端末
30 通信ネットワーク
40 サーバ
50 データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9