(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る揮散装置10を、
図1乃至
図8を用いて説明する。
図1は、揮散装置10を示す斜視図である。
図2は、揮散装置10を、
図1に示すF2−F2断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
図3は、揮散装置10を、
図1に示すF3−F3断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
図4は、揮散装置10を、
図1に示すF4−F4断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
図5は、中栓50が装着された状態の揮散装置10を示す断面図である。
図6は、本実施形態の変形例に係る揮散装置10を示す断面図である。
図7は、本実施形態の別の変形例に係る揮散装置10を示す断面図である。
図8は、本実施形態の別の変形例に係る揮散装置10の蓋部材40を示す平面図である。
【0012】
図1に示すように、揮散装置10は、芳香薬液等の薬液L(
図5に示す)を収容可能な容器20、及び、容器20内に配置され、薬液Lを吸い上げることが可能な複数の吸上揮散体60を有している。
容器20は、内部に薬液Lを収容可能であり、かつ、複数の吸上揮散体60を挿通可能な十分な大きさの開口を有している。ここで言う十分な大きさの開口とは、当該開口内に配置された複数の吸上揮散体60どうしの間の隙間が確保され、吸上揮散体60の表面を伝って落ちる薬液Lが、複数の吸上揮散体60によって堰き止められて溜まることがない大きさである。また、ここで言う複数の吸上揮散体60の数とは、揮散装置10に対して予め決定された使用本数である。
【0013】
容器20は、本実施形態では、容器本体30、容器本体30に着脱可能に装着される蓋部材40、及び、揮散装置10の出荷時に容器20に装着される、着脱可能な中栓50(
図5に示す)を有している。
【0014】
図2に示すように、容器本体30は、本体部31、及び、本体部31に連続して形成され、蓋部材40が着脱可能に装着される首部35を有している。本体部31は、一例として、略直方体状に形成されている。本体部31は、底壁部32、胴部33、及び、上壁部34を有している。底壁部32は、平面視で略長方形状に形成されている。
【0015】
底壁部32は、揮散装置10が机等の被載置部に載置された状態において、被載置部に接触する載置面32aを有している。載置面32aは、底壁部32の下面32bの少なくとも一部により形成される。載置面32aは、平面に形成されている。載置面32aは、本実施形態では、一例として、底壁部32の下面32bの周縁部により形成されている。
【0016】
胴部33は、底壁部32の周縁に形成されている。上壁部34は、胴部33の上縁部に形成されている。
【0017】
首部35は、本体部31の上壁部34に一体に形成されている。首部35は、本体部31の中心上に配置されている。首部35は、一例として、円筒状に形成されている。首部35は、本体部31の内部に連通している。首部35は、その軸線Cが、本体部31の底壁部32の載置面32aの延長面に直交する。
【0018】
首部35の上面35aは、首部35の軸線Cに直交する平面に形成されている。首部35の周面には、雄ねじ35bが形成されている。首部35の内径は、本実施形態では、一例として、15.5mmである。容器本体30は、本実施形態では一例として、ガラスを主材料として形成されている。
【0019】
蓋部材40は、一端に壁部を有する筒状に形成されている。蓋部材40は、本実施形態では、胴部41、及び、胴部41の一端に形成された上壁部42を有している。胴部41の内周面41aには、首部35の雄ねじ35bに螺合可能な雌ねじ41bが形成されている。
【0020】
上壁部42の上面42aは、胴部41の軸線C1に直交する平面に形成されている。上壁部42には、孔70が形成されている。孔70は、上壁部42を貫通している。孔70は、
図1に示すように、平面視で、一例で円に形成されている。また、孔70は、その軸方向に、断面が一定の形状に形成されている。孔70は、胴部41と同軸に配置されている。本実施形態では、孔70の内径は、首部35の内径よりも大きい。孔70の内径は、本実施形態では、一例として、16.8mmである。
【0021】
上壁部42の下面42cは、胴部41の軸線C1に平行な平面に形成されている。上壁部42は、首部35との間に中栓50の一部を挟持可能な挟持部42bを有している。
【0022】
蓋部材40が首部35に装着された状態では、蓋部材40は、胴部41と首部35とが同軸に配置される。すなわち、孔70は、首部35の内周面35dと同軸に配置される。この為、
図2乃至
図4に示すように、蓋部材40が首部35に装着された状態では、孔70の内周面71は、首部35の内面よりも、径方向外側に位置する。また、蓋部材40の上面42aは、本体部31の底壁部32の載置面32aに平行となる。また、蓋部材40の上壁部42の下面42cは、首部35の上面35aに面接触する。
【0023】
なお、
図2は、蓋部材40の孔70及び後述する段部80、並びに、その近傍の範囲F21を拡大して示している。
図3は、孔70及び段部80、並びに、その近傍の範囲F31を拡大して示している。
図4は、孔70及び段部80、並びに、その近傍の範囲F41を拡大して示している。
【0024】
蓋部材40は、一例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、及び、金属のいずれか1つから形成されている。また、蓋部材40の少なくとも後述する段部80の底面81及び内周面82は、毛細管現象により薬液Lが伝わることを防止可能な程度に滑らかな面に形成されている。
【0025】
蓋部材40の上面42aの孔70の縁には、段部80が形成されている。段部80は、孔70から径方向外側に所定の範囲に形成されている。この為、段部80は、平面視で、孔70と同軸となる、円環状に形成されている。
【0026】
段部80は、底面81、及び、内周面82を有している。すなわち、段部80は、底面81及び内周面82により、断面L字形状に形成されている。底面81は、蓋部材40の胴部41の軸線C1に直交する平面に形成されている。内周面82は、胴部41の軸線C1に平行な面に形成されている。
【0027】
次に、蓋部材40の孔70の内径、段部80の深さ、及び、底面81の幅について、説明する。孔70は、容器20内の吸上揮散体60が、少なくとも、孔70の内周面71と段部80の底面81との間の第1の稜部Xに接触する内径を有している。段部80の深さ、及び、底面81の幅は、吸上揮散体60の、容器20内に挿入された状態での孔70の軸線C1に対する最大傾斜角度に基づいて、設定されている。
【0028】
具体的に説明する。容器20内に孔70を通して挿入された吸上揮散体60は、その一部が、蓋部材40の孔70の内周面71と底面81との間の第1の稜部Xに接触する。さらに、吸上揮散体60は、その下端が、底壁部32の上面32cと胴部33の内面33aとの間の稜部Rに接触することにより、容器20内での姿勢が保持される。なお、本実施形態では、第1の稜部Xは、一例として、断面が略90度に形成されている。すなわち、内周面71と底面81とは、直交する。
【0029】
吸上揮散体60の姿勢は、容器20の、吸上揮散体60が接触する箇所によって異なる。
図2乃至
図4は、容器20の吸上揮散体60が接触する箇所に応じた、吸上揮散体60の姿勢の一例を示している。
【0030】
図2は、孔70の軸線C1を通り、かつ、軸線C1及び本体部31の底壁部32の長手方向に平行な断面に沿って揮散装置10を切断した状態を示している。
図2は、吸上揮散体60の下端が、底壁部32の上面32cと胴部33の内面33aとの間の稜部Rの、本体部31の短手方向の中心部R1(
図1に示す)に接触している状態を示している。
【0031】
図3は、孔70の軸線C1を通り、かつ、軸線C1及び底壁部32の短手方向に平行な断面に沿って揮散装置10を切断した状態を示している。
図3は、吸上揮散体60の下端が、底壁部32の上面32cと胴部33の内面33aとの間の稜部Rの、本体部31の長手方向の中心部R2(
図1に示す)に接触している状態を示している。
【0032】
図4は、孔70の軸線C1、及び、胴部33の対角に位置して互いに対向する2つの稜部Gを通り、かつ、軸線C1に平行な断面に沿って揮散装置10を切断した状態を示している。
図4は、吸上揮散体60の下端が、胴部33の内面33aの稜部Gと底壁部32の上面32cとの間の稜部R3(
図1に示す)に接触している状態を示している。
【0033】
図2乃至
図4に示すように、容器20の、吸上揮散体60が接触する箇所に応じて、首部35の軸線Cに対する吸上揮散体60の傾斜角度が異なる。本実施形態では、容器20の本体部31が直方体状であることから、
図4に示すように、吸上揮散体60は、吸上揮散体60の下端が、胴部33の内面33aの稜部Gと底壁部32の上面32cとの間の稜部R3に接触している状態において、孔70の軸線C1に対する吸上揮散体60の傾斜角度が最大となる。
【0034】
段部80の深さ、及び、底面81の幅は、
図4に示すように、孔70の軸線C1に対する吸上揮散体60の傾斜角度が最大となる状態においても、以下の条件1、及び、条件2を満たすように形成されている。
【0035】
条件1:吸上揮散体60が、孔70の内周面71と底面81との間の第1の稜部Xに接触する。なお、本実施形態では、一例として、吸上揮散体60が、第1の稜部Xに接触し、かつ、容器本体30の首部35の開口の内縁35cには接触していない。しかしながら、これに限定されない。吸上揮散体60は、第1の稜部Xに接触すればよく、首部35の開口の内縁35cにも接触してもよい。
【0036】
条件2:角度αが、角度βよりも大きい。角度αは、第1の稜部Xの吸上揮散体60との接触箇所Qを通り孔70の軸線C1に直交する平面Pと吸上揮散体60とのなす角度である。角度βは、接触箇所Qを通り、かつ、段部80の内周面82と上面42aの段部80の外側の部分との間の第2の稜部Zに接触する直線Sと平面Pとがなす角度である。すなわち、吸上揮散体60が、段部80の内周面82と、上面42aの段部80の外側部分との間の第2の稜部Zに接触しなければよい。
【0037】
なお、本実施形態では、段部80の底面81と孔70の内周面71は、互いに直交する。この為、本実施形態では、第1の稜部Xと吸上揮散体60が接触する接触箇所Qは、同じ箇所となる。同様に、本実施形態では、段部80の内周面82と、蓋部材40の上面42aの孔70の外側部分とは、直交する。この為、第2の稜部Zは、本実施形態では、内周面82と上面42aにおいて孔70の外側部分との間の、断面90となる角の先端となる。
【0038】
段部80が上記条件1及び条件2を満たす形状に形成されることにより、吸上揮散体60が
図2及び
図3に示すように配置された状態においても、平面Pと吸上揮散体60とがなす角度αは、平面Pと直線Sとがなす角度βよりも大きくなる。
【0039】
また、段部80は、吸上揮散体60の表面を伝って流れ落ちる薬液Lが接触箇所Qを伝って段部80に移動した薬液Lが段部80を超えて外部に流れ出ることを防止可能に形成されることが好ましい。
【0040】
具体的に説明する。吸上揮散体60の表面を伝って下方に流れる薬液Lの一部は、第1の稜部Xの接触箇所Qから、段部80の底面81や内周面82を伝って、段部80を周方向に移動する。しかしながら、接触箇所Qから段部80に流れる薬液Lの流量が、底面81や内周面82を伝って段部80を周方向に移動する薬液Lの流量よりも大きいと、薬液Lが段部80を越えて外部に流れ出る可能性がある。このように薬液Lが段部80を越えて外部に流れ出ることは、段部80の深さ、底面81の幅、吸上揮散体60と底面81との間の隙間Yを大きくすることにより防ぐことができる。また、このように薬液Lが段部80を越えて外部に流れ出ることを防ぐための、段部80の深さ、底面81の幅、隙間Yは、例えば実験によって求めることができる。
【0041】
図5に示すように、中栓50は、首部35に着脱可能に装着されて、装着時では容器20内の薬液Lが蓋部材40の孔70を通して外部に流れ出ることを防止可能に形成されている。中栓50は、有底円筒状に形成された本体部51、及び、本体部51の開口縁に形成されたフランジ部52を有している。
【0042】
本体部51は、首部35内に、例えば締まり嵌めにより嵌合してもよい。具体的には、本体部51の外径は、例えば、首部35の内径よりも若干大きい。この為、本体部51を首部35内に圧入すると、本体部51の外周面が首部35の内周面35dに密着することにより、孔70及び本体部51の間が液密にシールされる。
【0043】
フランジ部52は、本体部51が首部35内に配置された状態において、首部35の上面35a及び蓋部材40の上壁部42との間に配置可能に形成されている。フランジ部52の径方向の幅は、本実施形態では、首部35の上面35aの径方向の幅よりも若干狭い。
【0044】
揮散装置10の出荷時では、吸上揮散体60は、容器20と別にされる。そして、首部35に中栓50が装着された状態(本体部51が首部35内に挿入された状態)で、蓋部材40が首部35に装着される。中栓50は、フランジ部52が首部35の上面35aと蓋部材40の上壁部42との間に挟持されることにより、容器20から外れることが防止される。
【0045】
吸上揮散体60は、棒状に形成されている。吸上揮散体60は、毛細管現象により、容器20内の薬液Lを吸い上げることが可能に形成されている。吸上揮散体60は、一例として、ポリエステル等の合成樹脂や葦、籐などにより形成されている。吸上揮散体60は、本実施形態では、断面形状が一定である柱状に形成されている。吸上揮散体60は、本実施形態では、一例として、円柱状に形成されており、直径が一例として、3mmである。
【0046】
次に、揮散装置10の動作を説明する。揮散装置10の使用時には、まず、蓋部材40を容器20から取り外す。次に、中栓50を取り外す。次に、蓋部材40を、容器20の首部35に再び装着する。このとき、蓋部材40の上壁部の下面42cが首部35の上面35aに密着(面接触)するまで蓋部材40を首部35に螺合することが好ましい。下面42cが上面35aに面接触することにより、これら面間がシールされる。次に、容器20内に蓋部材40の孔70を通して複数の吸上揮散体60を挿入する。
【0047】
複数の吸上揮散体60は、容器20内の薬液Lを吸い上げる。吸上揮散体60により吸い上げられた薬液Lは、吸上揮散体60において薬液Lの外側に位置する部分の表面から揮散する。揮散した気体は、周囲に拡散される。
【0048】
吸上揮散体60により吸い上げられた薬液Lの一部は、吸上揮散体60の上端や表面から漏れ出し、吸上揮散体60の表面を伝って、下方に落ちる。この、吸上揮散体60の表面を流れる薬液Lの一部は、そのまま、吸上揮散体60の表面を伝って容器20の容器本体30内に貯留された薬液Lに戻る。また、吸上揮散体60の表面を伝って落ちる薬液Lの一部は、第1の稜部Xを通って蓋部材40の孔70の内周面71に移動し、内周面71、首部35の内周面35dを伝って、容器20内に貯留された薬液Lに戻る。また、薬液Lの一部は、第1の稜部Xを伝って蓋部材40側に移動する。蓋部材40側に移動した薬液Lは、段部80内に溜まる。段部80内に溜まった薬液Lは、段部80から揮散する、または、段部80から容器20内に落ちることにより、容器20内に戻る。
【0049】
このように構成された揮散装置10は、蓋部材40の上面42aの孔70の縁に段部80が形成されることにより、第1の稜部Xを伝って蓋部材40側に移動した薬液Lを段部80に溜めることができるので、薬液Lが容器20の外部に流れ出ることを防止できる、または、外部に流れ出る薬液Lの量を少なくできる。
【0050】
さらに、段部80を、底面81及び内周面82を有する断面L字形状に形成することにより、段部80と吸上揮散体60との間の隙間が、吸上揮散体60と段部80の底面81との間の隙間Yとなるので、この隙間を大きくすることができる。この為、薬液Lが段部80を越えて外部に流れ出ることを防止できる。
【0051】
さらに、隙間Yを大きくできるので、蓋部材40の大型化及び孔70の開口面積を小さくすることを抑えつつ、段部80を越えて外部に流れ出る薬液Lの量を略ゼロにすることができる。
【0052】
この効果について、具体的に説明する。段部80を越えて外部に流れる出る薬液Lの量をゼロまたは略ゼロにする為には、底面81の幅を大きくすること、段部80の深さを深くすること、及び、吸上揮散体60と段部80の面との間の隙間Yを大きくすること、の少なくとも1つを行うことが有効である。
【0053】
しかしながら、底面81の幅を大きくすることは、蓋部材40を径方向に大型化するか、または、孔70の内径を小さくすることの少なくとも一方を行う必要があり、蓋部材40を大型化するか、または、孔70の開口面積が小さくする必要がある。段部80を深くする場合であっても、蓋部材40の上壁部42を厚くする必要がある為、蓋部材40を大型化する必要がある。
【0054】
しかしながら、本実施形態のように、段部80が底面81を有することにより、吸上揮散体60と段部80の面との間の隙間を、吸上揮散体60と底面81との間に隙間Yとすることができるので、この隙間Yを大きくすることが可能となる。
【0055】
この為、段部80を越えて外部に流れ出る薬液Lの量をゼロまたは略ゼロにしつつ、蓋部材40の大型化、及び、孔70の開口面積を小さくすることを防止することができる。孔70の開口面積を小さくすることを抑えることができることにより、孔70内における、吸上揮散体60どうしの間の隙間を大きくすることができる。吸上揮散体60どうしの間の隙間を大きくすることにより、薬液Lの揮散効率を向上することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、容器20は、蓋部材40を有しており、開口として蓋部材40に孔70が形成されたが、これに限定されない。他の例では、
図6に示すように、容器20が蓋部材40を有さなくてもよい。この場合、容器本体30の首部35の上面35aに段部80が形成される。
【0057】
また、本実施形態では、孔70を通して容器20に挿入された吸上揮散体60の姿勢は、吸上揮散体60の一部が第1の稜部Xの接触箇所Qに接触し、吸上揮散体60の下端が、容器本体30の上面32cと胴部33の内面33aとの間の稜部Rに接触することにより、保持されている。しかしながら、例えば
図6に示すように、首部35が長い場合には、吸上揮散体60の容器20内の姿勢は、吸上揮散体60の一部が開口の内縁に接触し、吸上揮散体60の一部が首部35の内周面35dの下端部35eに接触し、かつ、吸上揮散体60の下端が容器本体30の上面32cに接触することにより、保持される。
【0058】
このように、吸上揮散体60の容器20に装着された状態の姿勢は、容器20の形状により決定される。孔70及び段部80は、容器20の形状に関わらず、容器20内に挿入された吸上揮散体60の、孔70の軸線に対して傾斜角度が最大となる状態において、上述の条件1及び条件2を満たす形状に形成されればよい。
【0059】
また、本実施形態では、孔70の内径は、容器本体30の首部35の内径よりも大きい。しかしながら、これに限定されない。他の例では、
図7に示すように、孔70の内径は、容器20に装着された吸上揮散体60の、孔70の軸線C1に対する傾斜角度が最大となる状態において、孔70及び段部80が上述の条件1及び条件2を満たす形状であれば、首部35の内径と同じであってもよい。すなわち、首部35の内周面及び孔70が同軸に配置され、かつ、首部35の内径及び孔70の内径が同じであってもよい。または、
図7に2点鎖線で示すように、孔70の内径は、首部35の内径よりも小さくてもよい。すなわち、孔70と首部35の内周面35dとが同軸に配置され、かつ、孔70の内径が首部35の内径よりも小さくてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、段部80の底面81は、蓋部材40の孔70の軸線C1に直交する平面に形成されたがこれに限定されない。他の例では、底面81は、その内縁側が、外縁側に対して下方に位置するよう傾斜する面に形成されてもよい。本実施形態では、その例として、底面81は、円錐面に形成されてもよい。さらに、底面81は、
図2乃至
図4に示すように、切断された状態において内縁側が下方に位置する直線状となる面に形成されることが好ましい。円錐面は、この一例である。
【0061】
このように、底面81が傾斜する面に形成されることにより、段部80に移動した薬液Lは、スムーズに容器本体30内に落ちる。
【0062】
また、本実施形態では、容器本体30は、本体部31及び首部35を有しているが、これに限定されない。容器20は、他の例では、断面が一定の形状となる、例えば円筒状や、角筒状に形成されてもよい。または、容器20は、球形や、箱型であってもよい。
【0063】
また、本実施形態では、首部35は、円筒状に形成されているがこれに限定されない。他の例では、首部35は、三角筒状や、四角筒状等の各筒状に形成されてもよい。この場合、蓋部材40は、平面視で
図8(a)及び
図8(b)に示すように、角形に形成される。さらに、孔70及び段部80は、角筒状の首部35の断面矩形状の内面に合わせて、平面角形に形成されてもよい。なお、蓋部材40を有さない場合においても、同様に、段部80は平面矩形に形成されてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、段部80は、蓋部材40の上面42aに形成された。しかしながら、これに限定されない。他の例では、段部80は、
図9に示すように、首部35と蓋部材40とによって構成されてもよい。具体的には、蓋部材40の孔70の内径を、首部35の内径よりも小さくすることにより、首部35の上面35aの一部と、蓋部材40の孔70の内周面71の一部とにより、段部80が構成される。
また、本実施形態では、孔70は、その軸線(中心線)に直交する断面円形に形成された。しかしながら、これに限定されない。他の例では、孔70は、その軸線に直交する断面が、円以外の形状であってもよく、例えば、四角形であってもよい。すなわち、本実施形態では、首部35は、外観が円柱状に形成されているが、孔70の軸線に直交する断面は、円以外の形状であってもよい。
【0065】
また、本実施形態では、孔70の内周面71と段部80の底面81とが直交する為、平面Pは、底面81と同一平面となった。しかしながら、内周面71と底面81との間の第1の稜部Xが、
図10に示すように、曲面に形成されてもよい。この場合、第1の稜部Xにおいて吸上揮散体60が接触する接触箇所Qは、第1の稜部Xの内の一点となる。さらに、この場合、平面Pは、底面81とは平行であるが、底面81とはずれた位置に配置される平面となる。同様に、段部80の内周面82と、上面42aの段部80の外側の部分との間の第2の稜部Zは、曲面に形成されてもよい。この場合、直線Sは、接触箇所Qと、第2の稜部Zのうちの一点に接触することとなる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。