特許第6861101号(P6861101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861101
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】容器搬送用ホイール装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B65G47/86 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-108867(P2017-108867)
(22)【出願日】2017年6月1日
(65)【公開番号】特開2018-203426(P2018-203426A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横林 孝康
【審査官】 宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−517609(JP,A)
【文献】 特開昭64−060514(JP,A)
【文献】 実開平04−088428(JP,U)
【文献】 特表2012−504532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸心周りに回転される旋回体と、前記旋回体の外周部に一定間隔ごとに形成されて容器を保持する保持凹部とを備え、円周経路に沿って前記容器を搬送する容器搬送用ホイール装置であって、
前記旋回体の外周部に沿って配置されるとともに外周縁に単数または複数の前記保持凹部が周方向に形成された複数の可動部材と、
前記可動部材を外周端の基準位置から前記旋回体の半径方向に後退自在に案内し、かつ水平面内で揺動自在に案内するガイド部材と、
前記可動部材を前記旋回体の半径方向外周側に付勢する付勢部材と、を具備し
前記ガイド部材は、基準位置で可動部材の周方向の移動を規制し、旋回体と可動部材の一方に設けられて揺動支点となる一対のガイドピンと、前記旋回体と前記可動部材の他方で前記旋回体の半径軸線と略平行に設けられて前記ガイドピンが相対移動される長穴と、を具備し、
前記長穴は、前記基準位置から所定範囲で後退および揺動された受容位置において少なくとも周方向の一方に拡張された形状であり、前記可動部材が基準位置にある時に前記ガイドピンの周方向の相対移動を規制する規制部を有する
ことを特徴とする容器搬送用ホイール装置。
【請求項2】
垂直軸心周りに回転される旋回体と、前記旋回体の外周部に一定間隔ごとに形成されて容器を保持する保持凹部とを備え、円周経路に沿って前記容器を搬送する容器搬送用ホイール装置であって、
前記旋回体の外周部に沿って配置されるとともに外周縁に単数または複数の前記保持凹部が周方向に形成された複数の可動部材と、
前記可動部材を外周端の基準位置から前記旋回体の半径方向に後退自在に案内し、かつ水平面内で揺動自在に案内するガイド部材と、
前記可動部材を前記旋回体の半径方向外周側に付勢する付勢部材と、を具備し
前記ガイド部材は、基準位置の可動部材中心と旋回体の旋回中心とを結ぶ半径軸線の両側に一対の揺動支点を有するとともに、前記可動部材が前記揺動支点の少なくとも一方を中心に揺動自在に支持され、
前記付勢部材は、少なくとも前記半径軸線の両側に一対が配置され、
前記ガイド部材は、旋回体と可動部材の一方に設けられて揺動支点となる一対のガイドピンと、前記旋回体と前記可動部材の他方で前記旋回体の半径軸線と略平行に設けられて前記ガイドピンが相対移動される長穴と、を具備し、
前記長穴は、前記基準位置から所定範囲で後退および揺動された受容位置において少なくとも周方向の一方に拡張された形状であり、前記可動部材が基準位置以外にある時に前記ガイドピンの周方向の相対移動を許容する拡張部を有する
ことを特徴とする容器搬送用ホイール装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の容器搬送用ホイール装置であって、
基準位置における可動部材の外周縁は、容器が搬送される円形経路のピッチ円より内周側に設定された
ことを特徴とする容器搬送用ホイール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌装置、成形装置、充填装置、キャッピング装置などの処理装置同士を接続する搬送装置であって、容器を円形経路に沿って搬送する容器搬送用ホイール装置に関するものである。前記容器は、プリフォーム体(樹脂製ボトルの前駆体)や樹脂製ボトル、ガラス瓶などを含むものである。
【背景技術】
【0002】
容器に滅菌、成形、充填、キャッピングを行う処理ラインの処理速度が500bpm(本/分)を超えて800bpm、さらに1000bpmにまで増加している。このため、搬送装置からスターホイールを介して処理装置に容器を受け渡す際に、振動や周期変動などの外因などにより容器が傾いたり、転倒する事故が発生しやすい。これにより、容器がスターホイールの保持凹部に搬入されずに、スターホイールと周辺機器やガイド部材との間に容器が噛み込まれ、周辺機器やその部品を損傷するといった事故が発生する。
【0003】
ところで特許文献1には、スターホイールや周辺機器の保護を目的として、スターホイールの半径方向の押圧力が過負荷となったときに、物品受け部材と支持テーブルの連結を遮断する過負荷保護機構(トルクリミッタ)を設けた技術が提案されている。すなわち、過負荷発生時には、圧縮コイルばねの付勢力に抗してプランジャがブッシュの凹陥部から外れて、物品受け部材が支持テーブルから分離され、スライドプレートをスターホイール本体の半径方向に退避させるものである。(段落0023末尾)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−192126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、容器が異常姿勢で搬入されて物品受け部材が大きい負荷で押し込まれた時に、トルクリミッタが働き、物品受け部材が支持テーブルから分離されて周方向に逃げるものであり、この時、スターホイールとスターホイールに接続された処理ラインは一旦非常停止される。
【0006】
本発明は上記問題点を解決して、容器が異常姿勢で送り込まれることがあっても、スムーズに受け入れることができ、これにより容器の噛み込みによる周辺機器や部品の破損を未然に防止でき、処理ラインの非常停止回数を大幅に減少させることができる容器搬送用ホイール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、垂直軸心周りに回転される旋回体と、前記旋回体の外周部に一定間隔ごとに形成されて容器を保持する保持凹部とを備え、円周経路に沿って前記容器を搬送する容器搬送用ホイール装置であって、前記旋回体の外周部に沿って配置されるとともに外周縁に単数または複数の前記保持凹部が周方向に形成された複数の可動部材と、前記可動部材を外周端の基準位置から前記旋回体の半径方向に後退自在に案内し、かつ水平面内で揺動自在に案内するガイド部材と、前記可動部材を前記旋回体の半径方向外周側に付勢する付勢部材と、を具備し、前記ガイド部材は、基準位置で可動部材の周方向の移動を規制し、旋回体と可動部材の一方に設けられて揺動支点となる一対のガイドピンと、前記旋回体と前記可動部材の他方で前記旋回体の半径軸線と略平行に設けられて前記ガイドピンが相対移動される長穴と、を具備し、前記長穴は、前記基準位置から所定範囲で後退および揺動された受容位置において少なくとも周方向の一方に拡張された形状であり、前記可動部材が基準位置にある時に前記ガイドピンの周方向の相対移動を規制する規制部を有することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、いろいろな方向や角度に傾斜した異常姿勢の容器が送り込まれると、容器による負荷により可動部材が基準位置から後退され揺動される。これにより保持凹部が変位し、可動部材の外周縁に接触していた容器が保持凹部に受け入れられる。そして容器が正立姿勢側に戻される。さらに容器による可動部材への負荷が軽減されて、付勢部材により可動部材が外周側から基準位置に向かって押し戻されることで、容器が正立されて保持凹部に正常姿勢で保持される。したがって、噛み込まれた容器により、周辺機器や部品が損傷されるのを未然に防止することができ、旋回体を含む処理ラインを非常停止する回数を大幅に減少させることができる。
【0009】
また上記構成によれば、基準位置における可動部材の収納凹部を精度よく位置決めすることができ、容器の搬入および搬出をスムーズに行うことができる。
【0010】
さらに上記構成によれば、規制部を有する長穴と、この長穴内を後退移動するガイドピンとの組み合わせにより、基準位置における可動部材の収納凹部を精度よく位置決めすることができ、容器の搬入および搬出をスムーズに行うことができる。
【0011】
本発明は、垂直軸心周りに回転される旋回体と、前記旋回体の外周部に一定間隔ごとに形成されて容器を保持する保持凹部とを備え、円周経路に沿って前記容器を搬送する容器搬送用ホイール装置であって、前記旋回体の外周部に沿って配置されるとともに外周縁に単数または複数の前記保持凹部が周方向に形成された複数の可動部材と、前記可動部材を外周端の基準位置から前記旋回体の半径方向に後退自在に案内し、かつ水平面内で揺動自在に案内するガイド部材と、前記可動部材を前記旋回体の半径方向外周側に付勢する付勢部材と、を具備し、前記ガイド部材は、基準位置の可動部材中心と旋回体の旋回中心とを結ぶ半径軸線の両側に一対の揺動支点を有するとともに、前記可動部材が前記揺動支点の少なくとも一方を中心に揺動自在に支持され、前記付勢部材は、少なくとも前記半径軸線の両側に一対が配置され、前記ガイド部材は、旋回体と可動部材の一方に設けられて揺動支点となる一対のガイドピンと、前記旋回体と前記可動部材の他方で前記旋回体の半径軸線と略平行に設けられて前記ガイドピンが相対移動される長穴と、を具備し、前記長穴は、前記基準位置から所定範囲で後退および揺動された受容位置において少なくとも周方向の一方に拡張された形状であり、前記可動部材が基準位置以外にある時に前記ガイドピンの周方向の相対移動を許容する拡張部を有することを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、異常姿勢の容器による負荷が発生して可動部材に付加されても、可動部材をスムーズに後退、揺動させて保持凹部を広範囲で変位させ、容器をスムーズに保持凹部に受け入れて容器の傾斜を軽減し、付勢部材により可動部材をスムーズに基準位置に戻して、正立する正常姿勢の容器を保持凹部内に安定して保持することができる。また、可動部材を、一方の揺動支点周りに揺動させることにより、保持凹部を広範囲に移動させて異常姿勢の容器を受入れやすくできる。
【0013】
また上記構成によれば、上記規制部と拡張部を有する長穴と、この長穴内を相対移動するガイドピンとの組み合わせにより、可動部材を一方のガイドピン周りに揺動させて保持凹部を広範囲に変位させ、これにより異常姿勢の容器を保持凹部に受け入れやすくできる。
【0014】
上記構成において、基準位置における可動部材の外周縁は、容器が搬送される円形経路より内周側に設定されることが好ましい。可動部材の外周縁が円周経路より内周側に形成されることにより、容器をスムーズに保持凹部に案内して受け入れることができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、異常姿勢の容器による負荷により、可動部材が後退されて揺動されることにより、保持凹部が変位されて容器を保持凹部にスムーズに受け入れることができる。同時に容器の傾斜が軽減されるとともに、容器による可動部材への負荷が軽減されて、付勢部材により可動部材が基準位置に向かって戻される。これにより、傾斜する容器を正立させ、基準位置で保持凹部に容器を正常姿勢で保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るスターホイール装置の実施例1を示す平面図である。
図2】容器搬入位置における拡大底面図である。
図3】容器搬入位置における正面視の拡大側面図である。
図4】ガイド装置を説明する底面視の模式図である。
図5】可動ピースの動きを説明する模式図である。
図6】本発明に係るスターホイール装置の実施例2を示し、ガイド装置を説明する平面視の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施例1]
以下、本発明に係る容器搬送用ホイール装置であるスターホイールの実施例1を図1図5に基づいて説明する。
【0018】
図1図3において、11は、処理ラインに配置されて容器Bであるプリフォーム体を搬送するスターホイール装置である。このスターホイール装置11は、容器搬入位置Biで、隣接して配置された入口側搬送装置12のグリッパ13から送り込まれた容器Bを順次受け取り、容器B(ネック部Bn)を保持して円形経路のピッチ円Cに沿って搬送し、容器搬出位置Boで出口側搬送装置14に送り出す。また容器搬入位置Biから容器搬出位置Boまでの円形経路の外周部に、容器Bを案内する円弧状ガイド15が設置されている。
【0019】
なお、詳細に説明しないが、入口側搬送装置12には、スターホイール装置11の容器Bの搬送ピッチに対応して、グリッパ13を周方向および半径方向に移動し容器Bの受け渡し搬送ピッチを調整するピッチ調整装置(図示せず)が設けられている。また図3に示すように、容器Bであるプリフォーム体のネック部Bnには鍔部Btが形成され、たとえば図3に示すように、スターホイール装置11は鍔部Btの下部を保持し、入口側搬送装置12および出口側搬送装置14では鍔部Btの上部を把持する。
【0020】
(スターホイール装置)
このスターホイール装置11は、回転軸16を介して垂直軸心周りに反時計方向に回転駆動される回転テーブル(旋回体)20と、回転テーブル20の外周部に一定間隔ごとに配置された複数、たとえば15個の可動ピース(可動部材)21と、可動ピース21を、図4に実線で示すように外周部の基準位置と、図4に破線で示すように所定範囲で後退および揺動された受容位置と、の間で案内するガイド装置31と、前記受容位置にある可動ピース21を検出する可動ピース検出装置41(図1図3)と、を備えている。そして、各可動ピース21の外周縁21aに、ネック部Bnを介して容器Bを保持する略半円形の単数または複数(図では3個)の保持凹部22が一定間隔毎に形成されている。
【0021】
図2図3に示すように、可動ピース21は、基準位置にある状態で外周縁21aが回転軸16を中心とする円弧状に形成されて、平面視で略台形(扇形台)状に形成されている。そしてこの外周縁21aに沿って3個の保持凹部22が形成されている。可動ピース21の外周縁21aは、円形経路のピッチ円Cより後退距離Δbだけ後退された小径の円弧状に形成されている。この外周縁21aが円形経路のピッチ円Cから内周側に後退されることにより、外周縁21aが円形経路のピッチ円Cに沿って外周縁が形成されるのに比較して、容器Bの保持凹部22へのスムーズな受け入れが可能となっている。
【0022】
(ガイド装置)
図2図4に示すように、ガイド装置31は、回転テーブル20に設けられて揺動支点となる一対のガイドピン(ガイド部材)32F,32Rと、可動ピース21に設けられてガイドピン32F,32Rが移動自在に嵌合される一対の長穴(ガイド部材)33F,33Rと、可動ピース21を外周側に付勢するコイルばね(付勢部材)34F,34Rとを備えている。
【0023】
回転テーブル20の下面に、接線方向に一定距離Lをあけて一対のガイドピン32F,32Rが下方に向かって突出されている。図4に示すように、ガイドピン32F,32Rは、基準位置の可動ピース21の中心と前記垂直軸心を結ぶ半径軸線CLに対して、等間隔L/2をあけて互いに平行に配置された軸線CF,CR上に配置されている。長穴33F,33Rは、各軸線CF,CRに沿ってそれぞれ形成されている。これら長穴33F,33Rは、内周端に形成されてガイドピン32F,32Rにより可動ピース21の周方向の移動が規制される規制部33nと、規制部33nより外周側に形成されガイドピン32F,32Rを移動限として可動ピース21の周方向の移動が許容される拡張部33wと、を有し、半径軸線CLに対して対称形状に形成されている。上記構成において、規制部33n内にガイドピン32F,32Rが配置されて可動ピース21が基準位置にあると、可動ピース21は基準位置から後退方向(半径方向内方)にのみ移動が許容され、周方向の移動が規制される。また可動ピース21が基準位置から後退方向に移動されて拡張部33w内にガイドピン32F,32Rがあると、可動ピース21は、揺動幅Δmの範囲内で周方向の移動が許容されるとともに、ガイドピン32F,32Rの一方を中心とする可動ピース21の揺動が許容され、負荷の大きさと方向に対応して可動ピース21が揺動される。
【0024】
コイルばね34F,34Rは、半径軸線CLの対称位置で略軸線CF,CRに沿って互いに平行に配置されており、コイルばね34F,34Rにより可動ピース21を、半径軸線CLの両側から均等に外周側に付勢する。すなわち、コイルばね34F,34Rの内周端が、受け部材35の穴部にそれぞれ嵌合され、これら受け部材35は回転テーブル20の下面に固定されている。またコイルばね34F,34Rの外周端が受圧穴21b,21bにそれぞれ嵌合され、これら受圧穴21b,21bは可動ピース21の内周側に形成されている。これにより、均等な押圧力で可動ピース21を外周側に付勢し、可動ピース21の揺動を制御するとともに、可動ピース21を基準位置に復帰させることができる。図2および図3において、32cは、ガイドピン32F,32Rの下端部に調整ビスを介して取り付けられたガイドカバーで、可動ピース21を抜け止めするとともに案内する。また調整ビスにより、ガイドピン32F,32Rに設けられたシムを介してガイドカバー32cと可動ピース21、ガイドピン32F,32Rと長穴33F,33Rの摩擦抵抗を調整し、可動ピース21のスライド状態を調整することができる。なお、コイルばね34F,34Rのばね力を調整して、可動ピース21を受容位置で停止させて、可動ピース検出装置41で検出するような構成にすることもできる。
【0025】
(可動ピース検出装置)
可動ピース検出装置41は、各可動ピース21の内周側で半径軸線CLの対称位置に下方に向かって突出された一対の検出ロッド42F,42Rと、容器搬入位置Biの搬送方向下流側に配置された検出センサ43と、を備えている。検出センサ43は、回転軸16に軸受を介して所定位置に支持されたセンサ本体43aと、センサ本体43aからロッド状の弾性部材(コイルばね)を介して可動ピース21側に伸びる検出子43bとを有している。したがって、受容位置で停止されたままで基準位置に復帰されていない可動ピース21が、検出センサ43により検出子43bが検出ロッド42F,42Rに接触して検出される。これにより、スターホイール装置11の容器Bの受け入れ異常と判断して、スターホイール装置11を含む処理ラインを停止することができる。
【0026】
(ガイド装置の動作)
通常時は、可動ピース21がコイルばね34F,34Rに付勢されて、ガイドピン32F,32Rが規制部33nに嵌合され可動ピース21が基準位置に保持されている。可動ピース21が容器搬入位置Biに達すると、入口側搬送装置12のグリッパ13により容器Bが保持凹部22に順次送り込まれて保持される。そして、容器Bは円弧状ガイド15に案内されつつ円形経路に沿って容器搬出位置Boまで搬送される。
【0027】
グリッパ13により保持凹部22に送り込まれた容器Bが、傾斜する異常姿勢となって保持凹部22に送り込まれると、容器Bが可動ピース21の保持凹部22や外周縁21aに接触して可動ピース21への負荷が発生し、コイルばね34F,34Rに抗して可動ピース21が基準位置から内周側の受容位置に後退される。さらに一方のガイドピン32Fまたは32Rを中心として可動ピース21が揺動し、これにより保持凹部22が広範囲に変位し、可動ピース21の外周縁21aに接触していた容器Bが保持凹部22に受け入れられる。これにより、傾斜した容器Bが正立する側に復帰されるとともに、グリッパ13が開放されて可動ピース21への負荷が軽減される。なお、可動ピース21が揺動する時、揺動支点となるガイドピン32Fまたは32Rの周囲に変位可能な隙間があると、ガイドピン32Rまたは32Fが変位して揺動支点も変位する。そして、コイルばね34F,34Rにより可動ピース21が外周側に押し戻されて基準位置に復帰されることにより、容器Bが正立する正常姿勢に確実に戻される。
【0028】
ここで、図5に可動ピース21の動作範囲を示す。図5において、変位許容域MEは、保持凹部22を含む平面における容器Bの中心の変動範囲を示し、容器Bの中心が変位許容域ME内であれば、異常姿勢の容器Bを保持凹部22に受け入れて正立させ、基準位置の保持凹部22に正常姿勢で保持することができる。この変位許容域MEが広いほど異常姿勢の容器Bを保持凹部22に収容できる対応能力が高い。また変位許容域MEは、長穴33F,33Rの形状に依存する。
【0029】
容器Bが噛み込んで可動ピース21が受容位置に残留される場合には、検出センサ43により検出ロッド42F,42Rを介して可動ピース21が検出される。これにより、スターホイール装置11の容器Bの受け入れ異常と見なして、スターホイール装置11を含む処理ラインが停止される。
【0030】
(実施例1の効果)
上記実施例1によれば、回転テーブル20の外周部に、保持凹部22を有する可動ピース21を、ガイド装置31により、外周端の基準位置から後退自在で揺動自在に設けるとともに、可動ピース21を外周側に付勢することにより、可動ピース21を後退、揺動させて保持凹部22を変位させ、異常姿勢の容器Bを保持凹部22内に受け入れるとともに容器Bの傾斜を軽減させ、グリッパ13が開放されることで容器Bによる可動ピース21への負荷が軽減される。さらにコイルばね34F,34Rにより可動ピース21を基準位置に復帰させ、容器Bを正立した正常姿勢として保持凹部22内に保持することができる。これにより、振動や周期変動などの外因など起因して、傾斜した異常姿勢の容器Bであっても、保持凹部22内にスムーズに受け入れて正常姿勢で保持することができる。したがって、スターホイール装置11とその周辺部材に噛み込まれた容器Bにより、周辺機器や部材を損傷させる事故を未然に防止することができ、さらにスターホイール装置11を含む処理ラインを非常停止する回数を大幅に減少させることができる。
【0031】
また基準位置で、長穴33F,33Rの規制部33n内にガイドピン32F,32Rが嵌合されることにより、可動ピース21の周方向の移動を規制して、保持凹部22を精度よく位置決めして、容器Bをスムーズに受け渡しすることができる。
【0032】
さらに可動ピース21は、ガイドピン32F,32Rが長穴33F,33Rに沿って内周側に後退自在で、かつガイドピン32F,32Rの少なくとも一方を中心に揺動自在に支持されるので、可動ピース21がスムーズに後退され、さらに半径軸線CLの対称位置に配置さたれコイルばね34F,34Rにより、送り込まれた容器Bに対応して可動ピース21をバランスよく揺動させ、保持凹部22を広い範囲で変位させることができる。これにより、多くの異常姿勢の容器Bを保持凹部22に受け入れることができる。さらに一対のコイルばね34F,34Rにより可動ピース21を均等に外周側に付勢して、保持凹部22内で傾斜の残る容器Bを正立させて正常姿勢に戻し、可動ピース21を基準位置に復帰させることができる。
【0033】
さらにまた、可動ピース21の外周縁21aを、円形経路のピッチ円Cより内周側に設定したので、傾斜した異常姿勢の容器Bを外周縁21aから保持凹部22にスムーズに案内して保持凹部22に送り込むことができる。
【0034】
(長穴の変形例)
なお、ここで、長穴33F,33Rの形状を、受容位置において周方向両側に拡張したが、特に限定されるものではなく、周方向の一方に拡張された長穴33F,33Rの形状であってもよいし、その幅が前後の軸線CF,CRに対して非対称でもよい。さらに長穴33F,33Rの規制部33nが、端部から半径方向に一定の距離を有していてもよい。このように長穴33F,33Rの形状は、所望する変位許容域MEに応じて適宜変更することが可能である。
【0035】
[実施例2]
実施例1のガイド装置31では、ガイドピン32F,32Rを回転テーブル20に設け、長穴33F,33Rを可動ピース21に設けたが、図6に示す実施例2のガイド装置51では、ガイドピン52F,52Rを可動ピース21に設け、長穴53F,53Rを回転テーブル20に設けたものである。なお、実施例2では、実施例1と同一部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
実施例2のガイド装置51は、一対の長穴53F,53Rが前後の軸線CF,CRに沿って回転テーブル20に形成され、これら長穴(ガイド部材)53F,53Rに嵌合する一対のガイドピン(ガイド部材)52F,52Rが可動ピース21の上面に突出されている。これら長穴53F,53Rは、半径方向の後退のみを許容し周方向の移動を規制する規制部53nが外周端に設けられ、周方向の移動および揺動を許容する拡張部53wが内周側に設けられる点で、その形状が内外周側で反転している。そして長穴53F,53R内におけるガイドピン52F,52Rの動作も、実施例1における内周側と外周側が反対となる。
【0037】
なお、実施例2では、回転テーブル20に長穴53F,53Rを形成したが、回転テーブル20に固定されたガイドカバー32cや回転テーブル20に固定された部材に長穴53F,53Rを形成してもよい。
【0038】
上記実施例2によれば、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0039】
(他の形態)
なお、上記実施例1および2で、ガイド装置31をガイドピン32F,32R,52F,52Lと長穴33F,33R,53F,53Rからなる機械式変位機構としたが、カム溝とカムフォロワなどからなるガイド装置により、可動ピース21を回転テーブル20に後退、揺動可能に支持することもできる。また付勢部材であるコイルばね34F,34Rに替えて、板ばねやエアダンパなどを設けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
C 円形経路のピッチ円
CL 半径軸線
B 容器
Δb 後退距離
Δm 揺動幅
Bi 容器搬入位置
11 スターホイール装置
15 円弧状ガイド
16 回転軸
20 回転テーブル(旋回体)
21 可動ピース(可動部材)
21a 外周縁
22 保持凹部
31 ガイド装置
32F,32R ガイドピン(ガイド部材)
33F,33R 長穴(ガイド部材)
33n 規制部
33w 拡張部
34F,34R コイルばね(付勢部材)
41 可動ピース検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6