特許第6861132号(P6861132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861132動力伝達チェーン、及び、動力伝達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861132
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】動力伝達チェーン、及び、動力伝達システム
(51)【国際特許分類】
   F16G 1/28 20060101AFI20210412BHJP
   F16G 1/08 20060101ALI20210412BHJP
   F16H 7/02 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F16G1/28 H
   F16G1/08 A
   F16H7/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-175664(P2017-175664)
(22)【出願日】2017年9月13日
(65)【公開番号】特開2018-54123(P2018-54123A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2020年1月9日
(31)【優先権主張番号】特願2016-188559(P2016-188559)
(32)【優先日】2016年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 康一
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−200837(JP,A)
【文献】 特開昭59−037355(JP,A)
【文献】 実公昭37−004712(JP,Y1)
【文献】 特開平11−051123(JP,A)
【文献】 特開2011−112151(JP,A)
【文献】 特開昭63−319115(JP,A)
【文献】 実開平04−136343(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 1/28
F16G 1/08
F16H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の歯溝を有するスプロケットに巻き掛けられて動力を伝達する動力伝達チェーンであって、
ゴム組成物で構成されており、前記動力伝達チェーンの外面を構成する本体部と、
前記本体部に埋設された芯体とを有し、
前記本体部は、
チェーン長手方向に沿って等間隔に配列されており、前記複数の歯溝と噛み合い可能な複数の噛合部と、
前記複数の噛合部のチェーン幅方向の両端部が接続されており、チェーン長手方向に沿って延びる2つの側部とを有し、
前記芯体は、
前記複数の噛合部にそれぞれ埋設される複数の第1芯部と、
前記複数の第1芯部のチェーン幅方向の両端部が接続されており、前記2つの側部にそれぞれ埋設される2つの第2芯部とを有し、
前記第1芯部は、
前記チェーン長手方向に前記噛合部を分断するように間隔を空けて配列されており、それぞれのチェーン幅方向の両端部が前記2つの第2芯部に編み込まれて接続されている複数本の線状体を含むことを特徴とする動力伝達チェーン。
【請求項2】
複数の歯溝を有するスプロケットと、前記スプロケットに巻き掛けられる、請求項に記載の動力伝達チェーンを含む動力伝達システム。
【請求項3】
前記動力伝達チェーンの少なくとも表面が高硬度ゴムから成り、
前記スプロケットの少なくとも表面が高硬度ゴムから成ることを特徴とする請求項に記載の動力伝達システム。
【請求項4】
前記動力伝達チェーンの表面の硬度と、前記スプロケットの表面の硬度との硬度差が、5度以下であることを特徴とする請求項に記載の動力伝達システム。
【請求項5】
前記動力伝達チェーンの少なくとも表面が高硬度ゴムから成り、
前記スプロケットの少なくとも表面が高硬度樹脂から成ることを特徴とする請求項に記載の動力伝達システム。
【請求項6】
前記動力伝達チェーンの前記本体部の、隣り合う2つの前記噛合部の間には、前記スプロケットの前記2つの歯溝の間に位置する歯部が貫通する開口部が形成され、
前記スプロケットの前記歯部の断面形状が、円形又は長円形であり、
前記動力伝達チェーンの前記開口部は、円形孔又は長円形孔であることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の動力伝達システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプロケットに巻き掛けられて動力を伝達する動力伝達チェーン、及び、上記動力伝達チェーンを含む動力伝達システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動力の伝達にローラーチェーンが用いられている(例えば特許文献1参照)。ローラーチェーンは、スプロケットと組み合わされて使用され、動力を張力として伝達する。
ローラーチェーンは、1対の外プレートが1対の連結ピンにより連結される複数の外リンクと、1対の内プレートが1対のブッシュにより連結される複数の内リンクとを備える。ブッシュは、その外周に嵌合しているローラーを回転可能に支持し、連結ピンは、その外周に嵌合しているブッシュを回動可能に支持することで、長手方向で隣り合う外リンクおよび内リンクを屈曲可能に連結している。スプロケットは、複数の円弧状の歯溝を有する。スプロケットの歯溝にローラーが噛み合わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−072053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ローラーチェーンを用いた場合、軽負荷かつ低回転で動力伝達する場合であっても、連結ピンとブッシュとの間、および、ブッシュとローラーとの間には、摩擦を抑えるために、潤滑油やグリスなどの潤滑剤を必要とする。また、ローラーとスプロケットの歯溝との間にも潤滑剤が必要となる。また、ローラーチェーンは、鉄などの金属で形成されるため、錆びやすく、錆止め剤を定期的に塗布するメンテナンスを必要とする。さらに、ローラーがスプロケットと接触する際に、音が生じる。また、ローラーチェーンは金属製であるため、重量が重く、取扱い難い。
【0005】
そこで、本発明は、スプロケットに巻き掛けられて動力を伝達する動力伝達チェーン、及び、動力伝達システムにおいて、潤滑剤および錆止め剤を必要とせず、動力伝達時に発音が小さく、軽量な構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の動力伝達チェーンは、複数の歯溝を有するスプロケットに巻き掛けられて動力を伝達する動力伝達チェーンであって、ゴム組成物で構成されており、前記動力伝達チェーンの外面を構成する本体部と、前記本体部に埋設された芯体とを有し、前記本体部は、チェーン長手方向に沿って等間隔に配列されており、前記複数の歯溝と噛み合い可能な複数の噛合部と、前記複数の噛合部のチェーン幅方向の両端部が接続されており、チェーン長手方向に沿って延びる2つの側部とを有し、前記芯体は、前記複数の噛合部にそれぞれ埋設される複数の第1芯部と、前記複数の第1芯部のチェーン幅方向の両端部が接続されており、前記2つの側部にそれぞれ埋設される2つの第2芯部とを有することを特徴とする。
【0007】
動力伝達チェーンは、ゴム組成物で構成された本体部と、本体部に埋設された芯体とを備える。芯体は、チェーン長手方向に延びる2つの第2芯部を有する。よって、第2芯部が、動力伝達チェーンに作用する引張力を受け持つことができるため、動力伝達チェーンが引張力により破損するのを防止できる。
また、本体部は、スプロケットの複数の歯溝と噛み合い可能な複数の噛合部を有し、芯体は、複数の噛合部にそれぞれ埋設される複数の第1芯部を有する。従動側のスプロケットの負荷トルクが大きいほど、または、動力伝達チェーンに作用する引張力が大きいほど、噛合部がスプロケットから受ける力は大きくなるが、噛合部に第1芯部が埋設されているため、噛合部の破損を防止できる。
したがって、動力伝達チェーンは、高い動力伝達能力が求められる動力伝達システムに用いることができる。なお、動力伝達能力が高いとは、伝達ロスが少ないことを意味する。
【0008】
また、動力伝達チェーンは、その外面がゴム組成物の本体部で構成されるため、潤滑剤および錆止め剤が不要である。また、動力伝達チェーンの外面がゴム組成物で構成されていることにより、本体部の噛合部がスプロケットに接触する際に、ほとんど音が生じない。また、動力伝達チェーンは、ゴム組成物の本体部と、本体部に埋設された芯体で構成されるため、金属製のローラーチェーンに比べて軽量である。
このように、本発明の動力伝達チェーンは、高い動力伝達能力を確保しつつ、潤滑剤および錆止め剤を必要とせず、動力伝達時に発音が小さく、軽量である構成を実現できる。
なお、本発明において、「ゴム」とは、狭義のゴムに限らず、ゴム状の弾性を有する物質(エラストマーなど)を含む概念である。
【0009】
本発明の動力伝達チェーンにおいて、前記第1芯部は、前記チェーン長手方向に間隔を空けて配列されており、それぞれのチェーン幅方向の両端部が前記2つの第2芯部に接続されている複数本の線状体を含むことが好ましい。
【0010】
この構成によると、噛合部に埋設された第1芯部は、チェーン長手方向に間隔を空けて配列された複数の線状体を有する。よって、噛合部のチェーン長手方向の両端部を補強することができる。噛合部は、駆動側のスプロケットに対してチェーン長手方向の一端部が接触し、従動側のスプロケットに対してチェーン長手方向の他端部が接触する。したがって、噛合部のチェーン長手方向の両端部を補強することで、噛合部がスプロケットとの接触により破損するのをより確実に防止できる。
【0011】
本発明の動力伝達システムは、複数の歯溝を有するスプロケットと、前記スプロケットに巻き掛けられる、上述した動力伝達チェーンを含んでいる。
【0012】
動力伝達チェーンの本体部がゴム組成物で構成されていることから、高い動力伝達能力を確保しつつ、潤滑剤および錆止め剤を必要としない、動力伝達システムを実現できる。また、動力伝達時の発音が小さいというメリットもある。さらに、軽量な動力伝達システムを実現できる。
【0013】
本発明の動力伝達システムは、前記動力伝達チェーンの少なくとも表面が高硬度ゴムから成り、前記スプロケットの少なくとも表面が高硬度ゴムから成ることが好ましい。
【0014】
一般的な金属製のスプロケットに対して、上述したようなゴムを主体とする動力伝達チェーンを使用した場合、次のような問題点が生じうる。スプロケットの歯溝と動力伝達チェーンの噛合部が噛み合う際の接触による摩擦によって、動力伝達チェーンの表面のゴムが著しく摩耗する。また、金属でできた歯部の表面に動力伝達チェーンのゴムが粘着することで、動力伝達チェーンの噛合部が、スプロケットの歯溝から離脱するときに離脱しにくくなり歯溝に連れ戻される現象(「連れ回り」という)が、起こりやすくなる。また、スプロケットが金属製で金属のみから成ると、当然スプロケットの重量は大きく、取扱いにくい。
【0015】
これに対して、上記構成によると、スプロケットの少なくとも表面がゴムで形成され、さらに、スプロケットの表面と動力伝達チェーンの表面のゴムは、共に高硬度ゴムであることから、動力伝達チェーンの表面のゴムの摩耗が低減される。また、スプロケットと動力伝達チェーンの双方で表面のゴムの硬度が高いことから、接触による粘着が発生しにくいため連れ回りが起こりにくい。さらに、スプロケットの少なくとも一部がゴムで形成されていることから、スプロケットが全て金属で形成されている場合と比べて、軽くて取り扱いが容易になるという利点もある。
【0016】
本発明の動力伝達システムは、前記動力伝達チェーンの表面の硬度と、前記スプロケットの表面の硬度との硬度差が、5度以下であることが好ましい。
【0017】
上記構成によると、動力伝達チェーンの表面とスプロケットの表面の硬度差が小さいため、スプロケットと動力伝達チェーンの双方の表面のゴムの摩耗も低減できる。
【0018】
本発明の動力伝達システムは、前記動力伝達チェーンの少なくとも表面が高硬度ゴムから成り、前記スプロケットの少なくとも表面が高硬度樹脂から成ることも好ましい。
【0019】
上記構成によると、スプロケットの少なくとも表面が樹脂で形成され、さらに、スプロケットの表面の樹脂は高硬度樹脂であり、動力伝達チェーンの表面のゴムは高硬度ゴムであることから、動力伝達チェーンの表面のゴムの摩耗が低減される。また、スプロケットと動力伝達チェーンの双方で表面の硬度が高いことから、接触による粘着が発生しにくいため連れ回りが起こりにくい。さらに、スプロケットの少なくとも一部が樹脂で形成されていることから、スプロケットが全て金属で形成されている場合と比べて、軽くて取り扱いが容易になるという利点もある。
【0020】
本発明の動力伝達システムにおいては、前記動力伝達チェーンの前記本体部の、隣り合う2つの前記噛合部の間には、前記スプロケットの前記2つの歯溝の間に位置する歯部が貫通する開口部が形成され、前記スプロケットの前記歯部の断面形状が、円形又は長円形であり、前記動力伝達チェーンの前記開口部は、円形孔又は長円形孔であることが好ましい。
【0021】
上記のように、スプロケットの歯部を断面円形又は断面長円形とし、この歯部が貫通される動力伝達チェーン側の開口部形状も円形孔又は長円形孔とすることで、歯部の側面の弧状部分に、動力伝達チェーンの開口部形状を沿わせることができる。これにより、スプロケットの歯溝と動力伝達チェーンの噛合部との噛み合いが良好になって、歯部や開口部に作用する局所的な衝撃を緩和することができ、スプロケットまたは動力伝達チェーンの一部が欠ける等の破損を防ぐことができる。また、歯部や開口部の一部分のみが常にこすれて、その部分だけ局所的に摩耗が進んでしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、スプロケットに巻き掛けられて動力を伝達する動力伝達チェーンにおいて、潤滑剤および錆止め剤を必要とせず、動力伝達時に発音が小さく、軽量な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態の動力伝達システムの構成を示す図である。
図2】動力伝達チェーンの内部構造を示す斜視図である。
図3】動力伝達チェーンの平面図である。
図4】動力伝達チェーンの製造手順を示す図である。
図5】(a)〜(c)は本発明の他の動力伝達チェーンのチェーン幅方向に直交する断面図であって、(d)は本発明の他の実施形態の動力伝達チェーンのチェーン長手方向に直交する断面図である。
図6】本発明の第2実施形態の動力伝達システムの構成を示す図である。
図7】(a)は動力伝達チェーンの開口部にスプロケットの歯部が貫通した場合の状態を示す、動力伝達システムの一部の斜視図である。(b)は動力伝達チェーンの開口部にスプロケットの歯部が貫通した場合の状態を示す、動力伝達システムの一部の斜視図である。
図8】(a)はスプロケットの側面の一部を拡大した図である。(b)はスプロケットの側面の一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の動力伝達チェーン1の使用状況の一例を示している。動力伝達チェーン1は、例えば図1に示すように、駆動スプロケット101Aと従動スプロケット101Bを有する動力伝達システム100に用いられる。以下、駆動スプロケット101Aと従動スプロケット101Bを、スプロケット101と総称する場合がある。動力伝達チェーン1は、無端状であって、スプロケット101に巻き掛けられて動力を伝達する。動力伝達チェーン1は、噛合伝動により動力を伝達する。なお、図1では、従動スプロケット101Bの数は1つであるが、複数であってもよい。駆動スプロケット101Aの径は、従動スプロケット101Bの径より大きいか小さいことが好ましい。つまり、駆動スプロケット101Aの回転速度が変速して従動スプロケット101Bに伝達される。なお、使用状況によっては、駆動スプロケット101Aの径は、従動スプロケット101Bの径と同じであってもよい。
【0025】
動力伝達チェーン1は、従動スプロケット101Bの負荷トルクが比較的軽い動力伝達システム100に使用可能である。また、動力伝達チェーン1は、駆動スプロケット101Aの回転速度が比較的低速、つまり、チェーン1の移動速度が比較的低速な動力伝達システム100に使用可能である。なお、ここでいう「比較的」とは、一般的なローラーチェーンを用いた動力伝達システム100と比べた場合である。
【0026】
スプロケット101は、複数の歯溝102を有する。スプロケット101は、ローラーチェーンと組み合わせて使用可能な汎用品であってもよく、動力伝達チェーン1専用のものであってもよい。スプロケット101が汎用品の場合、スプロケット101の歯溝102の形状は、ローラーチェーンのローラーの外周面と噛み合い可能な円弧状である。スプロケット101の歯溝102の形状は、円弧状でなくてもよい。例えば、歯溝102が、略台形状であってもよい。
【0027】
図2および図3に示すように、動力伝達チェーン1は、ゴム組成物で構成された本体部2と、本体部2に埋設された芯体3とを有する。動力伝達チェーン1の外面は、本体部2で構成される。動力伝達チェーン1の厚みは、ほぼ均一である。
【0028】
本体部2は、はしご状である。本体部2は、チェーン長手方向に沿って等間隔に配列された複数の矩形状の開口部4を有する。開口部4は、矩形状である。隣り合う2つの開口部4の間の部分を、噛合部5とする。つまり、本体部2は、チェーン長手方向に沿って等間隔に配列された複数の噛合部5を有する。噛合部5は、略直方体状である。また、本体部2は、チェーン長手方向に沿って延びる2つの側部6を有する。噛合部5のチェーン幅方向の両端部は、2つの側部6にそれぞれ接続されている。
【0029】
噛合部5がスプロケット101の歯溝102と噛み合うことにより、動力は伝達される。動力伝達時、噛合部5のチェーン長手方向の一方の端部が歯溝102の側面と接触し、この噛合部5のチェーン長手方向の他方の端部は歯溝102の側面と接触しない。噛合部5は、スプロケット101の歯溝102の歯底面に接触しない。つまり、動力伝達チェーン1の内周面は、スプロケット101の歯溝102の内面に接触しない。動力伝達チェーン1は、噛合伝動によって動力を伝達し、平ベルトのように摩擦伝動によって動力を伝達するものではない。なお、噛合部5およびスプロケット101の歯溝102の形状によっては、噛合部5とスプロケット101の歯溝102の歯底面とが接触してもよい。但し、接触する場合であっても、動力伝達チェーン1は、噛合伝動によって動力を伝達する。
【0030】
噛合部5のチェーン長手方向長さは、開口部4のチェーン長手方向長さ以上であっても以下であってもよい。噛合部5のチェーン長手方向長さは、噛合部5のチェーン幅方向長さ(開口部4のチェーン幅方向長さ)以上であっても以下であってもよい。開口部4のチェーン長手方向長さは、噛合部5のチェーン幅方向長さ以上であっても以下であってもよい。噛合部5のチェーン幅方向長さは、側部6のチェーン幅方向長さ以上であっても以下であってもよい。側部6のチェーン幅方向長さは、側部6の厚み以上であっても以下であってもよい。
【0031】
本体部2を構成するゴム組成物は、例えば、ジエン系ゴム、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどのゴム成分を、単独でまたは二種以上含んでいる。ジエン系ゴムは、具体的には例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴムなどである。エチレン−α−オレフィンエラストマーは、具体的には例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などである。本体部2を構成するゴム組成物は、エチレン−α−オレフィンエラストマー、または、クロロプレンゴムを含んでいることが好ましい。クロロプレンゴムは、硫黄変性タイプであってもよく、非硫黄変性タイプであってもよい。本体部2を構成するゴム組成物には、ゴム成分以外に、例えばカーボンブラックなどの添加物が配合される。本体部2を構成するゴム組成物としては、カーボンブラック量を増量したり、短繊維を添加したりするなどの手段で硬度(弾性率)を高めたゴム組成物が用いられてもよい。高硬度のゴム組成物を用いることで、本体部2の耐摩耗性を高めることができる。
【0032】
芯体3は、複数の第1芯部7と、2つの第2芯部8とを有する。2つの第2芯部8は、2つの側部6にそれぞれ埋設されている。第2芯部8は、1つの線状体で構成されている。第2芯部8は、チェーン長手方向に沿って延びている。第2芯部8は、動力伝達チェーン1に作用する引張力を受け持つ。本体部2の厚みが例えば3〜13mmの場合、第2芯部8の径は例えば0.9〜2.3mm程度であってもよい。
【0033】
複数の第1芯部7は、複数の噛合部5にそれぞれ埋設されている。第1芯部7のチェーン幅方向の両端部は、2つの側部6にそれぞれ接続されている。第1芯部7を設けたことで、噛合部5と歯溝102との噛み合いにより噛合部5が破損するのを防止できる。
【0034】
第1芯部7は、チェーン長手方向に間隔を空けて配列された複数本の線状体7aで構成されている。線状体7aのチェーン幅方向の両端部は、2つの第2芯部8にそれぞれ接続されている。線状体7aは、チェーン幅方向に沿って延びている。各線状体7aの太さは、第2芯部8の太さと同じであっても、それ以下であってもよい。なお、第1芯部7は、チェーン幅方向に沿って延びる1本の線状体で構成されていてもよい。
【0035】
第2芯部8は、例えば、複数本の原糸を撚り合わせた撚りコードで構成される。1本の原糸は、複数本のモノフィラメント(長繊維)を束ねて引き揃えたものであってもよく、複数本のモノフィラメントを撚り合わせたマルチフィラメント糸であってもよい。第2芯部8を構成する撚りコードの撚り方は、例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りが用いられる。
【0036】
第1芯部7を構成する各線状体7aは、複数本のモノフィラメント(長繊維)を束ねて引き揃えたものであってもよく、マルチフィラメント糸であってもよく、複数本のマルチフィラメント糸を撚り合わせた撚りコードであってもよい。第1芯部7を構成する各線状体7aのチェーン幅方向の両端部は、2つの第2芯部8に編み込まれることで2つの第2芯部8に接続されている。つまり、第1芯部7と第2芯部8は、接着剤や機械的接続手段を使用せずに接続されている。
【0037】
芯体3は、例えばポリエステル繊維やアラミド繊維などの合成繊維で構成されてもよく、例えばガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維で構成されてもよく、合成繊維と無機繊維を組み合わせて構成されていてもよい。第1芯部7の材質と、第2芯部8の材質は同じであっても異なっていてもよい。また、芯体3には、芯体3の表面とゴム組成物との接着性を高める接着処理が施されていてもよい。
【0038】
次に、動力伝達チェーン1の製造手順について、図4を参照しつつ説明する。動力伝達チェーン1は、いわゆる連続加硫方式(連続架橋方式)で製造される。なお、図4(a)は図4(b)のA−A線断面図であり、図4(b)は図4(a)のB−B線断面図である。図4(c)および図4(e)は図4(a)に相当する断面であり、図4(d)および図4(f)は図4(b)に相当する断面である。
【0039】
まず、図4(a)および図4(b)に示すように、下金型10に未加硫ゴムシート20を配置する。この下金型10には、動力伝達チェーン1の開口部4を形成するための突起10aが複数設けられている。未加硫ゴムシート20は、図示しない送り出し装置から送り出されている。次に、図4(c)および図4(d)に示すように、下金型10内の未加硫ゴムシート20の上に、芯体3を配置する。そして、図4(e)および図4(f)に示すように、未加硫ゴムシート20上の芯体3の上に、別の送り出し装置(図示せず)から送り出された未加硫ゴムシート21を配置する。その後、上金型11を下金型10の上に設置する。上金型11の下面には、突起10aが嵌合可能な凹部11aが形成されている。そして、下金型10と上金型11との間で未加硫ゴムシート20、21を加熱・加圧して架橋(加硫)する。上金型11と下金型10を上下に離間させて成形体を脱型した後、この成形体を金型10、11の長さ分だけ移動させる。
【0040】
以上の一連の動作を、動力伝達チェーン1の周長に応じた回数繰り返して、動力伝達チェーン1の周長とほぼ同じ長さの長尺の成形体を形成する。そして、この長尺の成形体の長手方向の両端部同士を接合して、動力伝達チェーン1を形成する。なお、本発明の動力伝達チェーンの製造方法は、この製造方法に限定されるものではない。
【0041】
第1実施形態の動力伝達チェーン1は、以下の特徴を有する。
動力伝達チェーン1は、ゴム組成物で構成された本体部2と、本体部2に埋設された芯体3とを備える。芯体3は、チェーン長手方向に延びる2つの第2芯部8を有する。よって、第2芯部8が、動力伝達チェーン1に作用する引張力を受け持つことができるため、動力伝達チェーン1が引張力により破損するのを防止できる。
また、本体部2は、スプロケット101の複数の歯溝102と噛み合い可能な複数の噛合部5を有し、芯体3は、複数の噛合部5にそれぞれ埋設される複数の第1芯部7を有する。従動スプロケット101Bの負荷トルクが大きいほど、または、動力伝達チェーン1に作用する引張力が大きいほど、噛合部5がスプロケット101から受ける力は大きくなるが、噛合部5に第1芯部7が埋設されているため、噛合部5の破損を防止できる。
したがって、動力伝達チェーン1は、高い動力伝達能力が求められる動力伝達システム100に用いることができる。なお、動力伝達能力が高いとは、伝達ロスが少ないことを意味する。
【0042】
また、動力伝達チェーン1は、その外面がゴム組成物の本体部2で構成されるため、潤滑剤および錆止め剤が不要である。また、動力伝達チェーン1の外面がゴム組成物で構成されていることにより、本体部2の噛合部5がスプロケット101に接触する際に、ほとんど音が生じない。また、動力伝達チェーン1は、ゴム組成物の本体部2と、本体部2に埋設された芯体3で構成されるため、金属製のローラーチェーンに比べて軽量である。
このように、動力伝達チェーン1は、高い動力伝達能力を確保しつつ、潤滑剤および錆止め剤を必要とせず、動力伝達時に発音が小さく、軽量である構成を実現できる。
【0043】
噛合部5に埋設された第1芯部7は、チェーン長手方向に間隔を空けて配列された複数の線状体を有する。よって、噛合部5のチェーン長手方向の両端部を補強することができる。噛合部5は、駆動スプロケット101Aに対してチェーン長手方向の一端部が接触し、従動スプロケット101Bに対してチェーン長手方向の他端部が接触する。したがって、噛合部5のチェーン長手方向の両端部を補強することで、噛合部5がスプロケットとの接触により破損するのをより確実に防止できる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の第1実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0045】
上述の第1実施形態では、本体部2の厚みは、ほぼ均一であるが、この構成に限らない。例えば、噛合部5と側部6の厚みが異なっていてもよい。また、例えば、噛合部5の厚みが均一でなくてもよい。具体的には、例えば図5(a)に示すように、チェーン幅方向に直交する断面において、噛合部5の4つの角部が面取りされた形状であってもよい。また、例えば図5(b)に示すように、同断面において、噛合部5の両側面(歯溝102の両側面と対向する面)が略円弧状に膨らんでいてもよい。また、例えば図5(c)に示すように、同断面において、噛合部5が略円形状であってもよい。また、例えば図5(d)に示すように、チェーン長手方向に直交する断面において、噛合部5の4つの角部が面取りされた形状であってもよい。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の動力伝達システム110は、第1実施形態と同様、動力伝達チェーン121と駆動スプロケット111Aと従動スプロケット111Bの2つのスプロケット111を含む。第2実施形態の動力伝達チェーン121は、第1実施形態のものと同じく、ゴム組成物で主に構成されている。ただし、第2実施形態では、スプロケット111の、動力伝達チェーン121と噛み合う外周部が、ゴム組成物で構成されている点が大きな特徴である。以下、スプロケット111を中心に、第2実施形態の動力伝達システム110について説明する。
【0047】
一般的なスプロケットは金属で形成されている。しかし、金属製のスプロケットに、ゴム組成物で構成された動力伝達チェーン1を用いた場合には、次のような問題が生じうる。スプロケットの歯溝と動力伝達チェーン1の噛合部5が噛み合う際の接触による摩擦によって、動力伝達チェーン1の表面のゴムが著しく摩耗する。また、スプロケットの、金属でできた歯部の表面に、動力伝達チェーン1のゴムが粘着することで、動力伝達チェーン1の噛合部5が、スプロケットの歯溝から離脱するときに離脱しにくくなり歯溝に連れ戻される現象(「連れ回り」という)が、起こりやすくなる。また、スプロケットが金属製であると、当然スプロケットの重量が大きく、組み付け・修理・搬送などの各種作業の際、取り扱いにくい。そこで、これらの問題点を解消するためこの第2実施形態では、スプロケットの外周部が高硬度ゴムで形成された構成が採用されている。
【0048】
(スプロケット111)
第2実施形態の動力伝達システム110は、駆動スプロケット111Aと従動スプロケット111Bを有するが、両者の構成(材質、構造等)は同じである。
【0049】
図6に示すように、スプロケット111は軸(図示略)に連結される内側部材114と、歯部113と歯溝112が形成された外側部材115の2部材で構成されている。内側部材114は円板状の部材であり、金属で形成されている。内側部材114の中心部には、軸が挿通される穴116が形成されている。外側部材115は円板状の部材であり、ゴム組成物で形成されている。外側部材115の外周部には、歯部113と歯溝112が交互に周方向に並んで形成されている。外側部材115の中心部の穴には内側部材114が嵌合されて連結される。スプロケット111は、具体的に、以下の様に形成される。内側部材114の外周面に、予め、金属とゴムを接着するための専用の接着剤を塗布し、所定形状のキャビティを有する金型の中心部に内側部材114を配置し、内側部材114の周囲に外側部材115を形成する未加硫ゴム組成物を配置する。そして、加熱加硫により一体的に成形することで外側部材115と内側部材114が連結しているスプロケット111を形成する。
【0050】
外側部材115は、さらに、高硬度ゴムで形成されていることが好ましい。なお、高硬度ゴムとは、JIS K6253(2012)に準じた硬度が80〜88度の範囲にあるゴムである。
【0051】
この外側部材115のゴム組成物としては、特に限定されないが、実施形態1においてスプロケット101と噛み合う動力伝達チェーン1と同様の組成、あるいは、それに似た組成のものを使用できる。ただし、硬度を高めるために、以下のような短繊維やカーボンブラックが添加される。短繊維としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等)、ポリアミド繊維(ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリアミド46繊維、アラミド繊維等)、ポリアルキレンアリレート系繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維等の、C2-4アルキレンC6-14アリレート系繊維)、ビニロン繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維等の合成繊維;綿、麻、羊毛等の天然繊維;炭素繊維等の無機繊維、のうちの1種又は2種以上を組み合わせたものを用いてよい。ゴム組成物中での分散性や接着性を向上させるため、短繊維に、慣用の接着処理(又は表面処理)を施してよく、例えば、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液等で短繊維を処理してよい。
【0052】
外側部材115の歯部113の形状は特に限定されないが、例えば、円柱形状や円錐台形状など、スプロケット径方向と直交する断面の形状が円形となる歯部113を採用できる。このような構成を採用するのは、歯部113の側面を弧状にすることで、動力伝達チェーン121との噛み合い時の衝撃を緩和するためであるが、これについては後で再度説明する。
【0053】
また、スプロケット111の歯溝112についても特に形状は限定されないが、例えば、円弧状を採用できる。なお、歯溝112の形状は、円弧状でなくてもよい。歯溝112の形状は、略台形状であってもよく、図8(a)のように歯溝112がS字状であっても、図8(b)のように歯溝112がU字状であってもよい。
【0054】
(動力伝達チェーン121)
動力伝達チェーン121については、第1実施形態と同様のものを使用できる。ただし、スプロケット111の外側部材115と同様、この動力伝達チェーン121についても、表面が高硬度ゴムで形成されていることが好ましい。動力伝達チェーン121の高硬度ゴムとしては、スプロケット111の外側部材115の説明で述べたものと同様のものを採用できる。
【0055】
上記構成によると、スプロケット111の少なくとも表面がゴムで形成され、さらに、スプロケット111の表面と動力伝達チェーン121の表面のゴムは、共に高硬度ゴムであることから、動力伝達チェーン121の表面のゴムの摩耗が低減される。また、スプロケット111と動力伝達チェーン121の双方で表面のゴム硬度が高いことから、接触による粘着が発生しにくいため連れ回りが起こりにくい。さらに、スプロケット111の少なくとも一部がゴムで形成されていることから、スプロケットが全て金属で形成されている場合と比べて、軽くて取り扱いが容易になるという利点もある。
【0056】
特に、動力伝達チェーン121の本体部122の高硬度ゴムとスプロケット111の外側部材115の高硬度ゴムの硬度差は5度以下であることが好ましい。これにより、動力伝達チェーン121の表面とスプロケット111の表面の硬度差が小さいため、スプロケット111と動力伝達チェーン121の双方の表面のゴムの摩耗も低減できる。
【0057】
動力伝達チェーン121には、チェーン長手方向に沿って複数の噛合部125と交互に並ぶように、複数の開口部124が形成されている。開口部124の形状は特に限定されないが、例えば、円形孔や長円形孔などを採用できる。このような構成を採用するのは、開口部124の側面を弧状にすることで、スプロケット111との噛み合い時の衝撃を緩和するためであるが、これについては後で再度説明する。
【0058】
動力伝達システム110においては、スプロケット111の歯溝112と動力伝達チェーン121の噛合部125が噛み合う際、開口部124にスプロケット111の2つの歯溝112の間に位置する歯部113が貫通する。図7(a)は、動力伝達チェーン121の開口部124にスプロケット111の歯部113が貫通した場合の状態を仮想線で示している。
【0059】
図7(a)に示すように、スプロケット111の歯部113の断面形状が円形で、動力伝達チェーン121の開口部124が長円形孔あってもよい。図7(a)の切断面Cに示すように、スプロケット111の歯部113の断面形状と動力伝達チェーン121の開口部124の形状が近似形になり、歯部113の側面の弧状部分に、動力伝達チェーン121の開口部124を沿わせることができる。これにより、スプロケット111の歯溝112と動力伝達チェーン121の噛合部125が噛み合う際の、スプロケット111と動力伝達チェーン121との噛み合いが良好になって、歯部113や開口部124に作用する局所的な衝撃を緩和することができ、スプロケット111または動力伝達チェーン121の一部が欠ける等の破損を防ぐことができる。また、歯部113や開口部124の一部分のみが常にこすれて、その部分だけ局所的に摩耗が進んでしまうことを防止できる。
【0060】
(第2実施形態の変形例)
(1)歯部113や開口部124の形状は、上記には限定されない。例えば、図7(b)のように、スプロケット211の歯部213の断面形状が円形で、動力伝達チェーン221の開口部224が円形孔あってもよい。図7(b)は、動力伝達チェーン221の開口部224にスプロケット211の歯部213が貫通した場合の状態を仮想線で示している。図7(b)の切断面Dに示すように、スプロケット211の歯部213の断面形状と動力伝達チェーン221の開口部224の形状が近似形になり、歯部213の側面の弧状部分に、動力伝達チェーン221の開口部224を沿わせることができる。これにより、スプロケット211の歯溝212と動力伝達チェーン221の噛合部が噛み合う際の、スプロケット211と動力伝達チェーン221との噛み合いが良好になって、歯部213や開口部224に作用する局所的な衝撃を緩和することができ、スプロケット211または動力伝達チェーン221の一部が欠ける等の破損を防ぐことができる。また、歯部213や開口部224の一部分のみが常にこすれて、その部分だけ局所的に摩耗が進んでしまうことを防止できる。また、歯部は角部を有する形状でもよい。その場合には、開口部は矩形状であってもよい。
【0061】
(2)上記では、スプロケット111が金属で形成された内側部材114と高硬度ゴムで形成された外側部材115の2部材で形成されているが、これには限られない。スプロケット全体が高硬度ゴムで形成されてもよい。あるいは、逆に、動力伝達チェーンと噛み合う、歯溝や歯部の表面にのみ高硬度ゴムの層が形成されてもよい。
【0062】
(3)上記では、スプロケット111の外側部材115が、高硬度ゴムから構成されているが、スプロケットの外側部材が、高硬度ゴムではなく、高硬度樹脂から構成されていることも好ましい。この場合も、スプロケット111の外側部材115が高硬度ゴムから成る場合と同じような効果が得られる。高硬度樹脂とは、JIS K7215(1986)に準じた硬度が90以上である樹脂のことを言う。高硬度樹脂としては、ポリアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン、フェノール系樹脂等の樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等を適量添加して硬度を高めたものを使用することができる。外側部材が樹脂から構成されるスプロケットは、外側部材115がゴム組成物から構成されるスプロケット111の場合とは異なり、以下の様に形成される。内側部材の外周面に、予め、シランカップリング剤等の接着剤を塗布し、射出形成機を用いて、内側部材の外周に連結された外側部材を形成することで、スプロケットを形成する。
【0063】
(4)上記では、動力伝達チェーン121は、本体部122の全体が高硬度ゴムで構成されているが、これには限られない。動力伝達チェーンの本体部が複数層で構成されていて、比較的硬度の低い低硬度層の表面に、高硬度ゴムで形成された高硬度層が積層された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 動力伝達チェーン
2 本体部
3 芯体
5 噛合部
6 側部
7 第1芯部
7a 線状体
8 第2芯部
100 動力伝達システム
101 駆動スプロケット
102 従動スプロケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8