(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケース部材は、前記火災感知器に接続される配線が挿通可能な開口が中央に形成され周縁部に前記開口と外側空間とを連通する入口が形成されたケース本体と、前記入口に係合されてケースの外形を補完する蓋部と、を備え、
前記ケース部材は、前記ケース本体が前記感知器固定部に固定された前記火災感知器と前記ベース部材の表面との間に、スライド移動されることで装着されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の情報発信アダプタ。
前記ベース部材の前記蓋部の固定位置に対応する部位には、ネジの軸部を挿通可能なネジ挿通穴が形成され、前記蓋部が接合される面と反対側の面であって前記ネジ挿通穴の周縁部には、すり鉢状のテーパが形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の情報発信アダプタ。
前記ケース本体の前記火災感知器と対向する面には、前記火災感知器の外壁の一部と接触可能な押圧用のリブが前記火災感知器の移動方向を向くように形成されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の情報発信アダプタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の中継器のような技術を応用して、例えば情報発信モジュールを備えた情報発信機器をアダプタとして構成し、建物の天井等に設置される火災感知器と天井面等との間に取り付けることで、情報発信モジュール専用の設置箇所を別途設けることなく、複数の情報発信モジュールを建物の適切な位置に適当な間隔で配置することができる。
しかしながら、上記先願の中継器の場合、当該中継器を構成する構成部品(連結端子、接続端子、一般火災感知器の発報検出やアドレス付加などを行う回路が設けられた基板等)を交換する際には、感知器ベースから感知器本体を外して、感知器ベースと感知器本体との接続を解除する必要がある。
【0006】
また、感知器ベースと感知器本体との接続が解除されると、火災感知器の機能が停止した状態、すなわち火災感知器による火災監視が中断された状態になる。従って、上記特許文献1の中継器の場合、火災感知器による火災監視が中断された状態でなければ、構成部品の交換を行うことができない。
さらに、感知器ベースと感知器本体との間に中継器等を介在させることは、火災感知器の機能や性能に影響を与えるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明者らは、建物の天井等に取付けられた火災感知器と天井面との間に、火災感知器の機能や性能に影響を与えることなく設置でき、かつ、火災感知器による火災監視を中断することなく構成部品の交換を行うことができる情報発信アダプタについて検討した。具体的には、火災感知器は通常、感知器ベースが2本のネジで天井面に固定され、該感知器ベースに感知器本体がワンタッチ式で装着される構成を有しているので、感知器ベースの固定用のネジ穴を利用して、感知器ベースを取り付け可能な部位を有する取付けベースプレートを取り付け、該取付けベースプレートと感知器ベースとの間に情報発信アダプタを介在させる構成を考えた。
【0008】
その結果、取付けベースプレートに形成するネジ穴と感知器ベースを取り付ける部位とが重なると、取付けベースプレートを取り付けるネジを回すドライバが感知器ベースの取付け部位と干渉してしまうので、ネジ穴に対して感知器ベースの取付け部位の位置を所定角度だけずらす必要があることが分かった。また、天井面への取付けベースプレートの固定作業と取付けベースプレートへの感知器ベースの取付け作業を別々に行う必要があるが、これらの作業は作業員が顔を上に向けた状態で行う必要があるため、作業員への負担が大きいという課題があることが分かった。
【0009】
また、感知器ベースによって天井面に固定するネジの位置が異なることがあるので、予め複数のネジ取付け位置に応じて、複数の箇所のネジ穴を設けた取付けベースプレートを用意しなければならない。しかし、複数のネジ取付け位置に応じて、取付けベースプレートに複数の箇所のネジ穴を設けたとしても、取付けベースプレートと感知器ベースとの間に介在される情報発信アダプタによってネジ穴が見えなくなるおそれがある一方、取付けプレートのすべてのネジ穴に対応して情報発信アダプタのケースにドライバを挿入可能な貫通孔を設けようとすると、発信モジュールや電池などの部品を収納する空間が狭められてしまうという課題があることが明らかとなった。
【0010】
本発明は、上記のような課題に着目してなされたもので、既に取り付けられている火災感知器と天井等の被取付け部との間への設置を簡単に行うことができ、作業員への負担を軽くすることができる情報発信アダプタを提供することにある。
本発明の他の目的は、火災感知器の種類によって天井面に固定するネジの位置が異なる場合にも、部品収納空間を狭めることなく火災感知器と天井等の被取付け部との間へ介在させることができる情報発信アダプタを提供することにある。
なお、本発明の他の課題は、以下に説明する実施形態の中で明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の情報発信アダプタは、
被取付け部に固定され、火災感知器を取付け可能である板状のベース部材と、
情報発信モジュールを内蔵し前記ベース部材に固定されるケース部材と、を備え、
前記ベース部材には、前記火災感知器に接続される配線が挿通可能な開口部が中央に形成され周縁部に前記開口部と外側空間とを連通する入口部が形成され、かつ当該ベース部材を前記被取付け部に固定するためのネジの軸部を挿通可能な一対の穴が前記開口部を挟んだ状態で形成されるとともに、当該ベース部材の表面から所定距離を置いた位置に前記火災感知器を取付けるためのネジが螺合可能なネジ穴を有する一対の感知器固定部が設けられ、
前記ベース部材の前記一対の穴と前記一対の感知器固定部のネジ穴とは、前記ベース部材の中心から同一半径上であって所定角度ずれた位置に形成され、
前記ケース部材は、分割可能であって、結合した状態において前記火災感知器に接続される配線が挿通可能な開口を中央に有し、前記感知器固定部に固定された前記火災感知器と前記ベース部材の表面との間に装着可能に構成したものである。
【0012】
上記した手段によれば、ベース部材の一対の穴と一対の感知器固定部のネジ穴とは、ベース部材の中心から同一半径上であって所定角度ずれた位置に形成されているため、既設の火災感知器を外してベース部材をネジによって被取付け部に固定し、このベース部材に感知器固定部をネジによって固定することができるので、取付けを簡単に行うことができるとともに、ベース部材が安定した被取付け部とみなすことができる部材となり、火災感知器の機能や性能に影響を与えることなく情報発信アダプタを設置することができる。
【0013】
ここで、望ましくは、前記ベース部材の前記一対の穴と前記一対の感知器固定部のネジ穴は、一方が前記火災感知器のベースに形成され一方の端に前記ネジの頭部が通過可能な径を有する大径部が設けられている一対の長穴の前記大径部に対向しているとき、他方が前記一対の長穴の前記大径部の反対側の端に近い部位と対向する位置関係となるように形成する。
かかる構成によれば、ベース部材に火災感知器のベースを組み付けた状態で天井等の被取付け部への取付けを行い、その後にベース部材に火災感知器のベースとの間へ情報発信アダプタの設置を行うことができるため、上を向いて行う作業を減らし、作業員への負担を軽くすることができる。
【0014】
また、望ましくは、前記ケース部材は、前記火災感知器に接続される配線が挿通可能な開口が中央に形成され周縁部に前記開口と外側空間とを連通する入口が形成されたケース本体と、前記入口に係合されてケースの外形を補完する蓋部と、を備え、
前記ケース部材は、前記ケース本体が前記感知器固定部に固定された前記火災感知器と前記ベース部材の表面との間に、スライド移動されることで装着されるように構成する。
かかる構成によれば、蓋部が固定された状態で取付け用のベース部材を天井等の被取付け部へ取付けた後に、ケース部材(アダプタケース)のケース本体をベース部材の下面に沿ってスライドさせる操作を行うと、建物の天井等の被取付け部に設置される火災感知器と取付け面との間に情報発信アダプタを設置することができるため、取付け作業を簡単に行うことができる。
【0015】
また、望ましくは、前記ベース部材の前記一対の穴の一方および前記一対の感知器固定部のネジ穴の一方は前記ベース部材の前記入口部の近傍に形成され、
前記ベース部材の前記一対の穴の他方および前記一対の感知器固定部のネジ穴の他方は前記ベース部材の前記入口部が形成されている側と反対側の位置に形成する。
かかる構成によれば、取付け用のベース部材を天井等の被取付け部へ取付けるためのネジを挿通する穴の近傍に、火災感知器をベース部材の感知器固定部へ取付けるためのネジ穴が配置されるため、火災感知器に設けられている作動状態を示すランプの位置が、情報発信アダプタを設置する前の角度位置から大きくずれることがないため、情報発信アダプタの設置に伴って、ランプの見え方が大きく変わるのを回避する、つまりランプの角度位置が大きく変わることで所定の方向から見えにくくなる(死角が生じる)のを回避することができる。
【0016】
さらに、望ましくは、前記蓋部は、前記ベース部材の前記周縁部であって前記入口部が形成されている側と反対側の位置に固定可能に構成され、
前記ベース部材の前記一対の穴の他方と前記一対の感知器固定部のネジ穴の他方との近傍にはネジの軸部を挿通可能なネジ挿通穴が形成され、前記蓋部の前記一対の穴の他方および前記ネジ挿通穴に対向する部位には、両方の穴に跨る大きさの貫通孔が形成されているように構成する。
【0017】
かかる構成によれば、取付け用のベース部材を天井等の被取付け部へ取付けるためのネジを挿通する複数の穴が蓋部と重なる位置に互いに近接して配設されているため、作動状態を示すランプの視野角が極端に変わってしまったりアダプタケースの部品収納空間を狭めたりすることがないとともに、蓋部に上記複数の穴に対応した大きな貫通孔が設けられているため、該貫通孔にネジおよびドライバ等の工具を挿入することができ、これにより蓋部が固定された状態で取付け用のベース部材を天井等の被取付け部へ取付けることができる。
【0018】
また、望ましくは、前記ベース部材の前記蓋部の固定位置に対応する部位には、ネジの軸部を挿通可能なネジ挿通穴が形成され、前記蓋部が接合される面と反対側の面であって前記ネジ挿通穴の周縁部には、すり鉢状のテーパが形成されているようにする。
かかる構成によれば、ネジの頭を天井面と金属板の間に隠すことができるので、作業現場で不用意にネジを操作されることがない。また、天井面と金属板の間に隙間が生じるのを回避することができる。
【0019】
また、望ましくは、前記ケース本体の前記火災感知器と対向する面には、前記火災感知器の外壁の一部と接触可能な押圧用のリブが前記火災感知器の移動方向を向くように形成されているようにする。
このように、ケース本体の火災感知器と対向する面にリブを設けることにより、アダプタケース装着の際にこのリブの上に感知器のベースの外壁の一部が乗り上げることでアダプタケースの表面が押圧され、それによって、装着後のアダプタケースががたつくのを抑えることができる。また、移動方向を向くようにリブを形成することで、リブの上に感知器のベースの外壁の一部が乗り上げ易くなり、アダプタケースの装着作業が簡単に行なえる。
【0020】
また、望ましくは、前記ケース本体の前記入口の近傍には、先端に係止用の爪を有し移動方向に向かって突出する一対の係止片が形成され、
前記蓋部の前記係止片と対向する部位には段差が設けられ、
前記係止用の爪が前記段差に係合されることで前記ケース本体と前記蓋部とが結合されるように構成する。
かかる構成によれば、ケース部材(アダプタケース)のケース本体に設けられている係止片先端の爪を、蓋部の段差部に係合させることで、ケース本体と蓋部とを簡単に結合して一体化させることができる。また、感知器を着脱するための器具に似た構成の着脱器具を用いてケース本体をベース部材に着脱する際に、着脱器具の一部を蓋部の段差部に生じる凹みに係合させることで、器具のふらつきを押さえて着脱作業を容易に行えるようになる。
【0021】
さらに、望ましくは、前記ケース本体の一方の面には、前記係止片の背部へ延出するフランジ部が形成されているようにする。
かかる構成によれば、ケース本体から延出するフランジが係止片の背部に位置することで、ケース本体と蓋部との結合を外すため、係止片の先端の爪を工具で押し下げた際に、係止片の変形を抑制して係止片が破損されるのを防止するとともに、係止片先端の爪の係合部がフランジの陰になって見えなくなり、見映えを良くすることができる。
【0022】
さらに、望ましくは、前記ケース本体の前記ベース部材の表面と対向する面の前記入口の近傍には前記移動方向に沿って案内用のリブが設けられ、
前記蓋部の前記フランジ部と対向する部位には、前記案内用のリブと平行をなし前記フランジ部の端部が摺動可能なカイド溝を設ける。
このように構成することにより、ケース部材(アダプタケース)の差込みのためにケース本体をベース部材に沿って移動させる際に、正しい方向へ案内することができ、ケース部材の装着作業が容易に行えるようになる。
【0023】
また、望ましくは、前記感知器固定部の両側部には、抜け止め用の突起が形成されているようにする。
このように構成することにより、挿入されたケース本体がベース部材から簡単に外れないようにすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の情報発信アダプタによれば、既に取り付けられている火災感知器と天井等の被取付け部との間への設置を簡単に行うことができるとともに、上(天井)を向いて行う作業が減り作業員への負担を軽くすることができる。また、火災感知器の種類によって天井面に固定するネジの位置が異なる場合にも、部品収納空間を狭めることなく火災感知器と天井等の被取付け部との間へ介在させることができる情報発信アダプタを実現することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る情報発信アダプタの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、天井面に取り付けられた際に天井側となる方を上側とし、床側となる方を下側とする。
図1(A),(B)は、本発明の実施形態に係る情報発信アダプタを天井等の取付け面と火災感知器の感知器ベースとの間に設置した状態を示す正面図およびそれを下方から見た図である。また、
図2は、火災感知器の感知器ベースの一例を示す図であって、下側から見た図である。
【0027】
本実施形態の情報発信アダプタ100は、
図1(A)に示すように、火災感知器200と、当該火災感知器200が取付けられる天井面などの被取付け部Pと、の間に設置可能に構成されている。ここで、被取付け部Pは、天井面の他、屋内配線等に用いられるボックス(アウトレットボックス、露出ボックス等)や感知器取付け金具などであっても良い。
火災感知器200は、
図1(A)に示すように、略円盤状の感知器ベース210と、外形がドーム状をなし作動状態を表示するスポット型のランプL1(あるいはリング状の発光部)が設けられている感知器本体220と、を備えている。
【0028】
ここで、感知器ベース210は、火災感知器200の基部となる部材であり、通常、固定ネジN1によって被取付け部Pに取付けられているが、本実施形態の場合、固定ネジN1によって取付けベースプレート110が被取付け部Pに取付けられ、感知器ベース210は、固定ネジN2によって取付けベースプレート110の固定部(後述)に取付けられる。このとき、取付けベースプレート110と感知器ベース210との間に情報発信アダプタ100を介在させる空間が確保されるようになっている。
【0029】
なお、取付け状態において、火災感知器200の中心と情報発信アダプタ100の中心は一致している。固定ネジN2が螺合されるネジ穴は、固定ネジN1が螺合されるネジ穴に対して所定角度(20〜30°)回転した位置に設けられており、火災感知器200が被取付け部Pに取付けられているときのランプL1の位置を点線Bで示すと、取付けベースプレート110の固定部に取付けられているときのランプL1の位置は実線のようになる。
上記のようにネジ穴の位置をずらすことによって、固定ネジN1を回す際にドライバが、固定ネジN2が螺合されるネジ穴が形成されている部材と干渉しないように構成されている。これらネジ穴の位置関係については、後に詳しく説明する。
【0030】
感知器ベース210は、
図2に示すように、円筒状をなす難燃性樹脂からなる本体211と、本体211の下面側に装着された複数(本実施形態では3つ)の接続端子212と、を備えている。上記接続端子212は、天井面等の取付け面に形成された開口から引き出された電源線や伝送線などの感知器配線Q(
図1)を、感知器本体220に電気的に接続するためのものである。接続端子212は、箱型部分212aと、当該箱型部分212aから延出するブレード状部分212bと、を有している。箱型部分212aは、電線接続端子であり、当該箱型部分212aに設けられた差込穴212a1に感知器配線Qの先端が差込まれるようになっている。ブレード状部分212bは、連結端子であり、火災の感知を実際に行う感知器本体220に設けられた爪片(連結端子)と係合して当該感知器本体220を保持するようになっている。
【0031】
感知器ベース210の本体211には、一対の第一ネジ挿通穴213と、一対の第二ネジ挿通穴214と、一対の第三ネジ挿通穴216が感知器ベース210の厚さ方向(上下方向)に貫通して設けられている。これらのネジ挿通穴213、214、216は、固定ネジN1用のネジ挿通穴(固定ネジN1の軸部が挿通可能な穴)として設けられたものであるが、本実施形態の場合、第一ネジ挿通穴213を、固定ネジN2用のネジ挿通穴(固定ネジN2の軸部が挿通可能な穴)として使用する。したがって、固定ネジN1用のネジ穴として設けられた第一ネジ穴213を、固定ネジN2用のネジ穴として使用できるよう、固定ネジN2として、固定ネジN1と同一形状のネジ、あるいは固定ネジN1と軸部の長さのみが異なるネジを用いる。
【0032】
第一ネジ挿通穴213は、略円盤状の感知器ベース210と同心の円周方向に沿って延びる円弧状に形成されている。そして、第一ネジ挿通穴213が配置される円周の中心と、第二ネジ挿通穴214が配置される円周の中心と、感知器ベース210の中心と、は同一である。なお、感知器ベース210の中心から第一ネジ挿通穴213までの距離は、感知器ベース210の中心から第二ネジ挿通穴214までの距離より僅かに短い。
円弧状の上記第一ネジ挿通穴213の一方の端部には、円弧部の幅よりも大きな径の大径部213aが形成されている。この大径部213aは、もともとは天井等の被取付け部Pに固定ネジN1の先端を螺合させた後に感知器ベースを装着させることができるように、つまり感知器ベースの装着の際に固定ネジN1の頭部が邪魔にならないようにするために設けられたものである。
【0033】
本実施形態では、第一ネジ挿通穴213の大径部213aを利用して固定ネジN1によって取付けベースプレート110を被取付け部Pに取付けることができるように、取付けベースプレート110にネジ挿通穴113A,113B(
図5参照)が形成されているとともに、第一ネジ挿通穴213の大径部と反対側の端部において固定ネジN1によって感知器ベース210を取付けベースプレート110に取付けられるように固定部(後述)が設けられている。大径部213aを利用して固定ネジN1によって取付けベースプレート110を取付けるとは、大径部213aを利用してドライバを挿入して固定ネジN1を回すことを可能とするという意味である。
上記のように構成することで、情報発信アダプタ100と感知器ベース210を新たに設置する際の取り付け作業が簡単になる。
【0034】
具体的には、例えば新築時のように、情報発信アダプタ100と感知器ベース210及び感知器ヘッド220を各々新規に取付ける場合、その手順は、脚立を使用してまず天井面に取付けベースプレート110を取付け、次に感知器ベースの取付け、感知器ベースへの結線、感知器ヘッドの取付け、情報発信アダプタの挿入となる。この場合、取付けベースプレートと感知器ベースを別々に天井面に取付けることとなるため、作業員が天井を向いて行う作業が多く負担がかかるが、本実施形態のような構成であれば、予め、脚立使用前に取付けベースプレート110と感知器ベース210を組み立てておいて、組み付いた状態の取付けベースプレートと感知器ベースを天井面に取付ければよいので、天井を向いて行う作業を減らすことができ、作業負担を軽くすることができる。
【0035】
また、既設備において、情報発信アダプタ100を後から装着する場合の感知器ベース210の付け替え作業においても、もともとの感知器ベース210の取付け穴が第一ネジ挿通穴213または第二ネジ挿通穴214または第三ネジ挿通穴216であれば、感知器ベースを天井面から取り外し、取付けベースプレートと感知器ベースとを組み立て、組み立てられた状態の取付けベースプレート110と感知器ベース210を天井面に取付けることができるため、天井を向いて行う作業を減らすことができ、作業負担を軽くすることができる。
また、感知器ベース210の本体211の略中央部には、感知器配線Qの先端部を感知器ベース210の上面側から下面側へと引込むための引込穴215が、感知器ベース210の厚さ方向(上下方向)に貫通して設けられている。
【0036】
図3〜
図6は、本実施形態に係る情報発信アダプタ100の一例を示す図である。このうち
図3は情報発信アダプタ100の分解斜視図、
図4は情報発信アダプタ100を天井面等に取付けるための取付けベースプレート110を天井面等に固定する固定ネジN1とネジ穴との関係および感知器ベース210を取付けベースプレート110に固定する固定ネジN2とネジ穴との関係を示す図、
図5は取付けベースプレート110にアダプタケース120の蓋部120Bを取り付けた状態の斜視図である。また、
図6は情報発信アダプタ100を組み立てた状態を示す斜視図である。
【0037】
本実施形態の情報発信アダプタ100は、
図3に示すように、略円板状をなす取付けベースプレート110と、円盤状をなす合成樹脂製のアダプタケース120とを有する。取付けベースプレート110は、もともと感知器ベース210を固定するために設けられているネジ穴を利用してネジによって天井面等に固定されるとともに、後述するように、感知器ベース210を固定するため逆L字状のベース固定部111A,111Bが設けられ、該ベース固定部に感知器ベース210を固定した際に感知器ベース210の上面と取付けベースプレート110の下面との間に空間が生じるようにして、この空間に情報発信アダプタ100を介在させるという構成になっている。
【0038】
上記ベース固定部111A,111Bの上面には、
図5に示すように、取付けベースプレート110の中心から同一距離位置であって、感知器ベース210の第一ネジ挿通穴213と同一半径位置に、ネジ穴111a,111bが形成されている。また、取付けベースプレート110のプレート部には、ネジ穴111a,111bと同一半径位置に、一対の円弧状のネジ挿通用の長穴112A,112Bが形成されている。この長穴112A,112Bの端部には、ネジN1の頭部が通過可能な大径穴が設けられ、ネジN1を緩めるだけで取付けベースプレート110の着脱が可能になっている。
【0039】
感知器ベース210が、天井面等に一対のネジN1により第一ネジ挿通穴213を使用して取り付けられていた場合には、ネジN1を緩めて感知器ベースを外し、取付けベースプレート110のネジ挿通用の長穴112A,112Bを使用して取付けベースプレート110を天井面に取り付けた後、ベース固定部111A,111Bの上面のネジ穴111a,111bにネジN2を使用して感知器ベースを取り付けることができる。
また、新規に、天井面等の被取付け部に情報発信アダプタ100および感知器を取り付ける場合、取付けベースプレート110の一対のネジ挿通穴113A,113Bを使用して取付けベースプレート110をネジN1により被取付け部に取付けた後、取付けベースプレート110のベース固定部111A,111Bに、ネジN2により第一ネジ挿通穴213を使用して感知器ベース210を取り付けることができる。
【0040】
上記のように、ネジN1を挿通する取付けベースプレート110の穴112A,112Bと113A,113Bが、感知器ベース210を取り付けるネジN2が螺合されるネジ穴111a,111bと同一半径位置であっても、円周方向にずれているため、干渉することなくネジN1,N2を回すことができる。
しかも、取付けベースプレート110を被取付け部に取付けるためのネジN1を、
図4に示すように、感知器ベース210の円弧状の第一ネジ挿通穴213の大径部と取付けベースプレート110のネジ挿通穴113A(113B)に挿通して取り付けることができるので、取付けベースプレート110と感知器ベース210をネジN2により結合した後に、感知器ベース210の円弧状の第一ネジ挿通穴213の大径部にネジN1とドライバを挿入して回すことができる。そのため、天井を向いて行う作業を減らすことができ、作業者の負担を軽くすることができる。
【0041】
なお、天井面等の被取付け部Pに取付けられた取付けボックスの被取付け用の一対のネジ穴間隔が、感知器ベースの一対の第一ネジ挿通穴213(
図3)の間隔と異なる場合には、一対の第二ネジ挿通穴214または一対の第三ネジ挿通穴216がこの間隔になるように形成されており、この場合、取付けベースプレート110の第二ネジ挿通穴214に対応する穴117A、117Bまたは第三ネジ挿通穴216に対応する穴118A、118Bを使用して、取付けベースプレート110を取付けボックスに取り付けることができる。
【0042】
また、感知器ベース210が、天井面等に、ネジN1により直接、一対の第二ネジ挿通穴214や一対の第三ネジ挿通穴216を使用して取り付けられていた場合には、ネジN1により、取付けベースプレート110の穴117A、117Bまたは穴118A、118Bを使用して、取付けベースプレート110を天井面に取り付けても良い。
なお、感知器ベース210は、ネジN2により、取付けベースプレート110のネジ穴111a、111bを使用して取り付けられるが、作動表示灯の向きを考慮して、感知器ベースにおいては、ネジ穴111a、111bと同径の感知器ベース210の穴213が統一して使用される。
【0043】
また、新規に、天井面等被取付け部に取付けベースプレート110を取り付ける場合も、一対の長穴112A、112Bを使用せずに、穴117A、117Bまたは穴118A、118Bを使用して取り付けても良い。
取付けベースプレート110の長穴112A,112Bの縁部に付されているマークM1(
図3)と感知器ベース210の長穴213の縁部に付されているマークM2(
図2)は、天井等に既に設置されている感知器を外して取付けベースプレート110を固定し、感知器を付け替える際に、ネジN1,N2を取り付ける位置を示す目印である。これにより、位置合わせがし易くなる。
【0044】
なお、上記取付けベースプレート110は、感知器ベース210の外径よりも大きな外径を有するように形成され、該取付けベースプレート110に、情報発信モジュールや電池を内蔵したアダプタケース120が接合される。
アダプタケース120は、円筒の外周の一部を切り欠いたような形状を有するケース本体120Aと上記切欠き部分を補完するように係合される蓋部120Bとからなり、情報発信モジュールや電池などの発振器の構成部品は、ケース本体120Aの内部空間に収納される。
【0045】
本実施形態においては、
図5に示すように、先ず蓋部120Bが取付けベースプレート110に接合された状態で結合され、その後、
図6に示すように、ケース本体120Aに蓋部120Bが係合されることで、全体として円盤状をなすように構成されている。ここで、蓋部120Bは、取付けベースプレート110にネジで結合されるように構成されている。具体的には、蓋部120Bが合成樹脂で形成されているとともに、取付けベースプレート110の蓋部120B装着部位には、
図7に示すように、ネジ挿通穴119が設けられ、取付けベースプレート110の裏面(上面)のネジ挿通穴119の縁にはすり鉢状の凹みが形成されている。
【0046】
そのため、このネジ挿通穴119に皿ネジ190Aを挿通してねじ込むと、皿ネジ190Aがタップを切りながら蓋部120Bに進入することによって、取付けベースプレート110と蓋部120Bの結合が行われる。
なお、蓋部120Bは装着後に取り外す必要がないので、樹脂にタップを切るようにして皿ネジ190Aを取り付けても問題がない。また、取付けベースプレート110の裏面(上面)から皿ネジ190Aをねじ込む構成であるため、ネジの頭を天井面と金属板の間に隠すことができるので、施工現場で不用意にネジを操作されることがない。また、ネジ挿通穴119の縁にはすり鉢状の凹みが形成されているため、ネジの頭が取付けベースプレート110の裏面から突出せず、取付けベースプレート110と天井面との間に隙間が生じることもないという利点がある。
【0047】
さらに、取付けベースプレート110は蓋部120Bが装着された状態で、ネジN1によって天井面等に取付けることができるように工夫がなされている。具体的には、蓋部120Bが、取付けベースプレート110のネジ挿通用の穴113B,117Bが形成されている部位に結合されるように構成されており、蓋部120Bの当該部位には、
図6に示すように、穴113B,117Bを囲むようにしてドライバの先端を挿入可能な大きさの貫通孔120dが形成されている。また、取付けベースプレート110に設けられている長穴112Bや穴118Bと重ならないように、蓋部120Bの形状が設定されている。
これにより、蓋部120Bに邪魔されることなく、穴112B、118Bあるいは貫通孔120d内に位置する穴113Bまたは117Bに挿通されたネジN1をドライバで回して、天井面等の被取付け部に設けられているネジ穴に螺合させて、取付けベースプレート110を固定することができる。
【0048】
また、ケース本体120Aは、
図3に示すように、本体の中央に、感知器配線を挿通可能にする開口123が形成されているとともに、本体外周の一部に、上記開口123と外側とを連通させる開口入口部124が形成されている。
一方、取付けベースプレート110は、上記アダプタケース120の外径と略同一の外径を有する略円形状の板部材であり、1枚の金属プレートをプレス加工等により成型して形成されており、ほぼ中央部に、感知器配線を挿通させるため、情報発信アダプタ100に火災感知器200を取付けた状態において感知器ベース210の引込穴215(
図2参照)と対向するよう開口部114が設けられている。また、取付けベースプレート110には、周縁部からこの開口部114まで連続するように配線の挿入口115が形成されている。
上記のような構成を有することにより、既設の火災感知器に情報発信アダプタ100を取り付ける際に、感知器から配線を外すことなく作業が行える。
【0049】
さらに、取付けベースプレート110には、配線の挿入口113の縁部に沿ってガイド片116が形成されている。一方、アダプタケース120のケース本体120Aの表面(上面)には、上記ガイド片116と係合する溝(図示省略)が形成されており、この溝をガイド片116に係合させた状態でケース本体120Aを移動させることで、アダプタケース120のケース本体120Aを案内するレールとして機能するようになっている。また、特に限定されるものでないが、ガイド片116の延長上にガイド片116と直線をなすガイド片を形成しても良い。さらに、ベース固定部111Bを挟んで反対側の位置に、ガイド片116と平行をなすガイド片を形成しても良い。
【0050】
上述したように複数のガイド片(レール)を設けることにより、ケース本体120Aの移動を円滑にすることも考えられるが、本実施形態のように、ガイド片(レール)を1本にすることで、金属プレートに余計な肉抜き加工をする必要がなくなり、取付けベースプレート110の強度が低下するのを回避することができる。また、アダプタケース120のケース本体120A側に、2本のレールと係合する2つの溝を形成する必要がなくなるため、溝を設けることに伴い内部空間が狭められるのを回避することができ、アダプタケース120の収容部の容積も広げられ、電池等より多くの構成部品を収納することができるようになるという利点がある。
【0051】
アダプタケース120のケース本体120Aの表面(上面)には、
図6に示すように、蓋部120Bと反対側の部位に、中央側へ向かって下り傾斜するテーパ面を有する押圧用リブ125A,125Bが形成されている。取付けベースプレート110と感知器ベース210との間に形成される空間にアダプタケース120を挿入し易くするには、アダプタケース120の厚みを若干薄くするのが良いが、そのようにすると、装着後のアダプタケース120が上下に揺れてがたついてしまうおそれがある。そのため、上記のような押圧用リブ125A,125Bを形成することによって、アダプタケース装着の際にこの押圧用リブ125A,125Bの上に感知器ベース210の外壁の一部が乗り上げることでアダプタケース120の表面が押圧され、それによって、装着後におけるアダプタケース120のがたつきを抑えることができるようになる。
【0052】
また、アダプタケース120のケース本体120Aの下面を支える面積を大きくしている。具体的には、
図5に示されているように、取付けベースプレート110のベース固定部111A下端の水平片に、中心側へ広がる膨出部111cを設けてある。これにより、ケース本体120Aの下面とベース固定部111A下端の水平片部との接触面積が大きくなるとともに、膨出部111cがアダプタケース120の重心のある中心側へ広がるように形成されているので、安定してアダプタケース120を支えることができる。
また、ケース本体120Aの開口側の蓋部120Bと接する部位やベース固定部111B下端の水平片部と接触する部位には段差が形成され、蓋部120Bやベース固定部111Bの縁部に引っ掛けることができ、より安定してアダプタケース120を支えることができるようになっている。
【0053】
さらに、本実施形態においては、アダプタケース120の開口入口部124が広がってケース本体120Aが外れてしまわないように、ケース本体120Aと蓋部120Bおよび取付けベースプレート110との結合力を高める工夫がなされている。以下、工夫された結合構造について説明する。
先ず、第1に、
図5に示されているように、上記ベース固定部111A,111B下端の水平片の両側部に、突起P1,P2がそれぞれ設けられており、該突起P1,P2に対応してアダプタケース120のケース本体120Aの側面には突起P1,P2と係合可能な小さな凹部が形成されている。突起P1,P2が凹部と係合することで、挿入されたケース本体120Aが抜けにくくなる。ベース固定部111Bも同様である。
【0054】
第2に、
図8(A)に示すように、アダプタケース120のケース本体120Aの蓋部120Bに対向する外壁に、水平方向へ突出する係止片128が設けられ、蓋部120Bの外壁の対応する部位には係止片128が入り込む切欠き129が形成され、該切欠き129の上端に上記係止片128の先端の爪128aが係合する段差部129aが設けられている。図示しないがケース本体120Aの開口入口部124を挟んだ反対側にも同様な構造が設けられている。
そのため、ケース本体120Aを前記ガイド片116および取付けベースプレート110の上面に沿ってスライド移動させながら押し込むと、
図8(B)に示すように、上記係止片128の先端の爪128aが上記蓋部120Bの切欠き129の段差部129aに係合して、ケース本体120Aと蓋部120Bとを結合させることができる。
【0055】
なお、係止片128の先端の爪128aが切欠き129の段差部129aに係合した状態では、先端の爪128aが蓋部120Bの外側に臨むようになるため、指あるいはドライバ等の工具で係止片128の先端の爪128aを押し下げると、ケース本体120Aと蓋部120Bとの結合を解除することができる。
さらに、本実施形態においては、係止片128の先端の爪128aを工具で押し下げる際に、力を入れ過ぎることで係止片128が破損されるのを防止するため、係止片128の背部(下方)へ延出するフランジ部120fがケース本体120Aに設けられている。また、蓋部120Bの外壁には、
図8(A)に示すように、ケース本体120Aを装着する際に上記フランジ部120fを案内するカイド溝120gが設けられている。
【0056】
このようなカイド溝120gを設けることで、前述したように、ガイド片116が配線の挿入口115の近傍に1つだけ設けられていても、ケース本体120Aを装着する際に正しい挿入方向へ誘導することができるとともに、係止片128が切欠き129に係合するまでの間、本体ケースの変形による開口の広がりを抑制することができる。
さらに、蓋部120Bには、
図6に示すように、弓形補完部126の周縁部中央に、厚さ方向に貫通された貫通穴127が形成されている。この貫通穴127は、内部に侵入した水を排出させる水抜き穴として機能するとともに、ケース本体120Aの挿入方向と平行な中心線上に設けられているため、特開2005−352801号公報に記載されている感知器を着脱する器具に似た構成の着脱器具を用いてケース本体120Aを取付けベースプレート110に着脱する際に、着脱器具の一部を上記貫通穴127や蓋部120Bの切欠き129に係合させることで、器具のふらつきを押さえて着脱作業を容易に行えるようにするために利用することができる。
【0057】
次に、
図5に示すように、アダプタケース120の蓋部120Bを、取付けベースプレート110を天井面等に固定するための複数のネジ挿通穴112B,113B,117B、118Bが集中して設けられている位置(配線挿入口115と反対側の位置)に固定するようにした理由について説明する。
第1の理由は、本実施形態においては、前述したように、既設の火災感知器に情報発信アダプタ100を装着した際に、ランプL1の位置は元の位置から所定角度(20〜30°)回転した位置になるが、その角度が大きいとランプL1の視野角すなわち見え方が極端に変わってしまうので望ましくなく、角度を小さくするには、蓋部120Bを上記のような位置に設定するのが良いためである。
【0058】
第2の理由は、アダプタケース120と感知器ベース210とを一体に結合した状態で天井面等に固定するための3種類のネジ挿通穴112B,113B,117B(112A,113A,117A)を分散して設けると、それらの穴に挿通されるネジを回せるようにするためにアダプタケースに設けられるドライバ挿入穴(120d)も分散することになり、それによってアダプタケースの部品収納空間が狭められてしまうためである。3種類のネジ挿通穴112B,113B,117Bを互いに近接して1直線上に並べて配置することで、ドライバ挿入穴(120d)を小さくすることができる。
【0059】
第3の理由は、ケース本体120Aを安定して支えられるようにするためである。取付けベースプレート110に装着されたアダプタケース120を支持するのが、L字状のベース固定部111Aと111B下端の水平片の2点のみであると不安定である。そこで、支持の安定性を高めるために水平片の面積を大きくすることが考えられるが、取付けベースプレート110は金属であるため、この水平片の面積を大きくするとビーコン信号の送信の妨げとなる。また、アダプタケース120のケース本体120Aの差込み方向は、配線挿入口115との関係でベース固定部111Aと111Bの並びの方向と同一の方向であるが望ましいので、ケース本体120Aは差込み方向の手前側と先端側の2箇所で支えるのが良い。また、差込み方向の先端側に蓋部120Bを配設して蓋部120Bと結合することで、ケース本体120Aの先端を支えることができる。そのため、本実施例のように、差込み方向の手前側のベース固定部111A下端の水平片を大きくすることで、ケース本体120Aを安定して支えることができる。
【0060】
さらに、本実施形態においては、上記複数のネジ挿通穴112A,112B;113A,113B;117A,117B;118A,118BのいずれかにネジN1を挿入して取付けベースプレート110を天井面等に固定した際に、取付けベースプレート110の表面(下面)からネジN1の頭部が突出することになるため、
図9に示すように、ケース本体120Aの上面に逃がし用の凹部120aが形成されている。そして、この凹部120aは、
図10(C)にメッシュ(網掛け模様)が付されている部位に形成されている。
上記のような凹部120aが形成されていることで、ケース本体120Aをスライドさせて装着する際に、ケース本体120Aの上壁にネジN1の頭部が干渉するのを回避することができる。また、ケース本体120Aの上面にはスライド方向と平行な方向に沿って所定の間隔をおいて複数のリブRが形成されており、これによりケース本体120Aを取付けベースプレート110に沿って移動させる際の摩擦力を減らせるようになっている。
【0061】
ここで、ケース本体120Aの上面に逃がし用の凹部120aを形成すると、その分内部の部品収納空間が狭められることになる。従って、凹部120aの形成範囲(
図10(C)のメッシュ部分)はできるだけ小さいことが望ましい。本実施形態において、上述したように、ネジ挿通穴112A,113A,117A,118Aとネジ挿通穴112B,113B,117B,118Bを、それぞれ集中して設けられているのは、そのためである。
具体的には、
図10(A)に破線B1,B2で示すような範囲に、ネジ挿通穴112A,113A,117A,118Aと112B,113B,117B,118Bがある場合、
図10(B)に示す網掛けの範囲が、ケース本体120Aの上壁とネジN1の頭部が干渉する範囲となる。そこで、
図10(C)にメッシュが付されている部位に凹部120aを形成するようにしたものである。
【0062】
なお、火災感知器200は、天井又は天井とみなせる固定器材(取付け具)に確実に取付けられる必要があるが、本実施形態の情報発信アダプタ100は、ネジを用いて取付けベースプレート110を天井等の被取付け部Pに固定する構成であるため、取付けベースプレート110は天井とみなせる固定器材であると言える。そして、その取付けベースプレート110に、ネジを用いて火災感知器200を取付けるため、火災感知器200を確実に取付けることができる。すなわち、情報発信アダプタ100は、火災感知器200を取付け可能な被取付け部Pと同等の設置条件を満たし、火災感知器200を取付けることができる。よって、本実施形態の情報発信アダプタ100は、火災感知器200の機能や性能に影響を与えることなく、火災感知器200と被取付け部Pとの間に設置可能である。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、情報発信アダプタ100として発信機能を有するモジュールを内蔵した例を示したが、発信機能の他、受信機能を有するモジュールを内蔵するようにしても良い。また、火災感知器200は、感知器ベース210と感知器本体220とに分離可能なものに限定されず適宜変更可能であり、例えば、感知器ベース210を備えない火災感知器、すなわち、感知器ベースを介することなく、被取付け部Pに一体的な構成のまま取付けられる火災感知器であっても良い。