特許第6861138号(P6861138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861138苗押止め機構、および、それを備えた連続鉢苗移植機並びに作物の生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861138
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】苗押止め機構、および、それを備えた連続鉢苗移植機並びに作物の生産方法
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   A01C11/02 301D
   A01C11/02 301E
   A01C11/02 301A
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-200359(P2017-200359)
(22)【出願日】2017年10月16日
(65)【公開番号】特開2019-71827(P2019-71827A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231981
【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 靖信
(72)【発明者】
【氏名】千葉 勇気
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤司
(72)【発明者】
【氏名】坂井 啓之
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−023815(JP,A)
【文献】 実開昭57−027922(JP,U)
【文献】 特許第2717626(JP,B2)
【文献】 実開昭63−089718(JP,U)
【文献】 実開昭55−101162(JP,U)
【文献】 特開平08−308329(JP,A)
【文献】 特開平08−163909(JP,A)
【文献】 米国特許第04289080(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 1/00−61/04
A01B63/14−67/00
A01B71/00−79/02
A01C11/00−14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向後側の下面を接地面とした機台を有し、連続鉢苗を圃場に植付ける連続鉢苗移植機用の苗押止め機構であって、
前記苗押止め機構は、前記圃場に植付けられた鉢苗を固定するための苗押止め部材と、
該苗押止め部材と前記機台とを連結する牽引部材と、を備え
前記苗押止め部材は、前記圃場に差し込む圃場差込部と、該圃場差込部の上方に設けられ、前記鉢苗を押止する押止部とを備えていることを特徴とする苗押止め機構。
【請求項2】
前記機台には、前記牽引部材を連結するための連結部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の苗押止め機構。
【請求項3】
前記押止部は、前記圃場差込部の上方から側方に延びる押止片であることを特徴とする請求項1又は2に記載の苗押止め機構。
【請求項4】
前記苗押止め部材は、棒状部材であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の苗押止め機構。
【請求項5】
前記苗押止め部材は、前記圃場差込部の上方で屈曲していることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の苗押止め機構。
【請求項6】
前記苗押止め部材と前記牽引部材との結合部と、前記押止片とは、反対側に位置することを特徴とする請求項に記載の苗押止め機構。
【請求項7】
進行方向後側の下面を接地面とした機台を有し、連続鉢苗を圃場に植付ける連続鉢苗移植機用の苗押止め機構であって、
前記苗押止め機構は、前記圃場に植付けられた鉢苗を固定するための苗押止め部材と、
該苗押止め部材と前記機台とを連結する牽引部材と、を備え、
前記機台には、前記牽引部材を連結するための連結部材が設けられ、
前記連結部材と前記牽引部材との結合部は、前記連続鉢苗を前記圃場に植付ける位置に対して、左右方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とする苗押止め機構。
【請求項8】
進行方向後側の下面を接地面とした機台を有し、連続鉢苗を圃場に植付ける連続鉢苗移植機用の苗押止め機構であって、
前記苗押止め機構は、前記圃場に植付けられた鉢苗を固定するための苗押止め部材と、
該苗押止め部材と前記機台とを連結する牽引部材と、を備え、
前記機台には、前記牽引部材を連結するための連結部材が設けられ、
前記連結部材は、前記機台から上方に向かって延びる鉛直部と、前記鉛直部から左右方向に略水平に延びる水平部とを有していることを特徴とする苗押止め機構。
【請求項9】
進行方向後側の下面を接地面とした機台上に、連続鉢苗の搬送経路に沿って順次、前記連続鉢苗を載置する鉢苗載置部と、該鉢苗載置部から引き出された前記連続鉢苗を1列に整列させて案内する鉢苗案内部と、該鉢苗案内部から植付け面へ前記連続鉢苗を繰り出す鉢苗繰出部と、が設けられ、さらに、前記機台の接地面に、圃場に植付け溝を形成する溝切部が設けられる連続鉢苗移植機であって、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の苗押止め機構を備えていることを特徴とする連続鉢苗移植機。
【請求項10】
請求項に記載の連続鉢苗移植機にて苗を移植することを特徴とする作物の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鉢苗を圃場に固定する苗押止め機構、および、それを備えた連続鉢苗移植機並びに連続鉢苗移植機を用いた作物の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、進行方向後側の下面を接地面とした機台上に、順次、連続鉢苗を載置する鉢苗載置部と、該鉢苗載置部から引き出された連続鉢苗を1列に整列させて案内する鉢苗案内部と、該鉢苗案内部から植付け面に向けて連続鉢苗を繰り出す鉢苗繰出部と、を設けた連続鉢苗移植機が知られている。
【0003】
一般に、このような連続鉢苗移植機を用いて、連続鉢苗の先頭のポットを圃場の植付け溝に植付けするとき、連続鉢苗移植機の移動に伴って、連続鉢苗の先頭のポットが移動しないように、または、位置ずれが生じないように、杭や割り箸等の固定具を連続鉢苗の先頭のポット内部から圃場に差し込んで、連続鉢苗の先頭のポットを固定している(例えば、特許文献1および2参照)。あるいは、他の作業者が連続鉢苗の先頭のポットを把持することで、連続鉢苗の先頭のポットが移動しないように、または、位置ずれが生じないようにしている。
【0004】
さらに、苗継ぎする際、上述の固定方法や、ステープラまたは連結具(例えば、特許文献3参照)を用いて、植付けが完了した連続鉢苗の後尾のポットに、次に植付ける連続鉢苗の先頭のポットを連結さることで、次に植付ける連続鉢苗の先頭を移動させないように、または、位置ずれしないようにしている。
【0005】
ところで、特許文献1および3に記載された連続鉢苗移植機では、割り箸、ステープラの針または連結具を複数用意する必要があり、コストがかかる。また、他の作業者が連続鉢苗の先頭のポットを把持する場合、低姿勢を維持する必要があり、身体に負担がかかる。さらに、特許文献2に記載された連続鉢苗移植機では、植付け完了後、杭を取除く必要があり、回収作業に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−089718号公報
【特許文献2】特許第2717626号公報
【特許文献3】特開2011−41538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、圃場への連続鉢苗の先頭のポットの固定を容易にするとともに、固定具の回収作業にかかる手間を削減することができる苗押止め機構、および、それを備えた連続鉢苗移植機並びに連続鉢苗移植機を用いた作物の生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の苗押止め機構は、進行方向後側の下面を接地面とした機台を有し、連続鉢苗を圃場に植付ける連続鉢苗移植機用の苗押止め機構であって、
前記苗押止め機構は、前記機台に設けられた連結部材と、
前記連結部材と前記圃場に植付けられた鉢苗を固定するための苗押止め部材とを連結する牽引部材と、を備え
前記苗押止め部材は、前記圃場に差し込む圃場差込部と、該圃場差込部の上方に設けられ、前記鉢苗を押止する押止部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の連続鉢苗移植機は、進行方向後側の下面を接地面とした機台上に、連続鉢苗の搬送経路に沿って順次、前記連続鉢苗を載置する鉢苗載置部と、該鉢苗載置部から引き出された前記連続鉢苗を1列に整列させて案内する鉢苗案内部と、該鉢苗案内部から植付け面へ前記連続鉢苗を繰り出す鉢苗繰出部と、が設けられ、さらに、前記機台の接地面に、圃場に植付け溝を形成する溝切部が設けられる連続鉢苗移植機であって、前記機台に設けられた連結部材と、前記連結部材と前記圃場に植付けられた鉢苗を固定するための苗押止め部材とを連結する牽引部材と、を備え、前記苗押止め部材は、前記圃場に差し込む圃場差込部と、該圃場差込部の上方に設けられ、前記鉢苗を押止する押止部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の作物の生産方法は、本発明の連続鉢苗移植機を用いて苗を移植することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、圃場への連続鉢苗の先頭のポットの固定を容易にするとともに、固定具の回収作業にかかる手間を削減することができる苗押止め機構、および、それを備えた連続鉢苗移植機並びに連続鉢苗移植機を用いた作物の生産方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る連続鉢苗移植機の平面図である。
図2図1の連続鉢苗移植機の左側面図である。
図3図1の連続鉢苗移植機における鉢苗繰出部および連結部材を拡大して示す図である。
図4図1の連続鉢苗移植機における鉢苗案内部、鉢苗繰出部、連結部材、苗押止め部材および牽引部材を拡大して示す図である。
図5図1に示す連続鉢苗移植機の連結部材、苗押止め部材および牽引部材を示す概略図である。
図6図4におけるA−A矢視図である。
図7図4におけるB−B矢視図である。
図8】本実施形態の説明図であり、移植作業時の連続鉢苗移植機の平面図である。
図9】本実施形態の説明図であり、移植作業時の連続鉢苗移植機の図4におけるA−A矢視図である。
図10】本実施形態の説明図であり、苗押止め部材を連続鉢苗の先頭のポットに当接させた状態を拡大して示す図である。
図11図5に示す連結部材の水平部が連続鉢苗移植機の進行方向の後側に45度の角度をなすように、連結部材を鉢苗繰出部に設けた状態を拡大して示す図である。
図12】苗押止め部材の変形例1の説明図である。
図13】苗押止め部材の変形例2の説明図である。
図14】苗押止め部材の変形例3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
以下の説明おいて、便宜上、図1および図2における右方向(右側)を前方向(前側)と定義するとともに左方向(左側)を後方向(後側)と定義する。さらに、図1における下方向(下側)を左方向(左側)と定義するとともに上方向(上側)を右方向(右側)と定義する。なお、必要に応じて、図1図2図8および図9における右方向を連続鉢苗移植機1の進行方向という。また、図11における上方向(上側)を前方向(前側)と定義するととともに、下方向(下側)を後方向(後側)と定義する。
【0014】
図1および図2に示されるように、連続鉢苗移植機1は、後側の下面を接地面とする機台2を有する。機台2上には、前側から順に、鉢苗載置部3、鉢苗案内部4、鉢苗繰出部5が設けられる。また、連続鉢苗移植機1は、機台2に設けられた苗押止め機構60を備える。この苗押止め機構60は、連結部材61、苗押止め部材62Aおよび牽引部材63を有する。鉢苗案内部4は、上面に連続鉢苗41の滑動面が形成される底板6と、底板6上に設けられて左右対称に形成される一対の案内板7および7と、を有する。
以下、明細書の記載を簡潔にするため、同一の符号が付与された相対関係にある構成要素の重複する符号を省略し、例えば、「一対の案内板7および7」を「一対の案内板7」と記載する。一対の案内板7は、両案内板7間を通過する連続鉢苗41を起立させる姿勢矯正部8と、起立させた連続鉢苗41を整列させて鉢苗繰出部5へ向けて案内する案内部9と、を有する。
【0015】
図3に示されるように、鉢苗繰出部5は、底板10を切欠いて形成した前後方向へ延びる切欠き部11を有する。また、鉢苗繰出部5は、後述する連結部材61が設けられている。底板10には、左右対称に形成される一対の誘導板12が設けられる。一対の誘導板12は、底板10に固定される取付片13と、切欠き部11に沿うようにして延びる垂直片14と、垂直片14の上部と屈曲辺15を介して連続するとともに垂直片14に対して外側へ傾倒される傾倒片16と、垂直片14の上部と屈曲辺17を介して連続するとともに垂直片14に対して外側へ傾倒される傾倒片18と、を有する。なお、垂直片14の上部とは、垂直片14における底板10に対して上側の部分である。また、垂直片14の下部とは、垂直片14における底板10に対して下側の部分である。
【0016】
図3に示されるように、取付片13は、前後方向へ間隔をあけて配置されて左右方向へ長く形成される一対の長穴19を有し、一対の長穴19に挿通される一対のボルト(図示省略)によって底板10に固定される。
【0017】
図2および図4に示されるように、連続鉢苗移植機1は、機台2の下部に設けられて圃場42の土を左右方向両側へ掻き分けて圃場42に植付け溝43(図6および図9参照)を形成する溝切部20(枠部材)を有する。溝切部20は、先端が鋭角に閉じられる、換言すると、水平面による断面がV形(楔形)に形成される前端部21と、前端部21の左右両端部から切欠き部11に沿うようにして後方へ延びる一対の側片22と、各側片22に連続して形成される一対の取付片23(図3参照)と、を有する。取付片23は、前後方向へ間隔をあけて配置される取付穴24および25を有し、各取付穴24および25に挿通されるボルト(図示省略)によって鉢苗繰出部5の底板10に固定される。
【0018】
取付片23の取付穴25は、左右方向へ長く形成された長穴である。したがって、取付片23は、取付穴25とボルトとが相対移動できる範囲内で、後端部を底板10に対して左右方向へ移動させることが可能である。これにより、溝切部20の一対の側片22間の間隔を、一対の誘導板12の対向する垂直片14間の間隔に合わせて調節することにより、図3に示されるように、誘導板12の垂直片14の後端部と溝切部20の側片22の後端部との間の隙間を閉塞させることが可能であり、誘導板12の垂直片14の後端部と溝切部20の側片22の後端部との間の隙間に圃場42の土が入り込むことを防止することができる。
【0019】
図4に示されるように、連続鉢苗移植機1は、鉢苗案内部4の底板6に設けられる複数個(本実施形態では3個)の穴26を有する。穴26は、連続鉢苗41の搬送経路、すなわち、一対の案内板7によって案内される連続鉢苗41が通過する道筋(案内路)に沿うようにして一列にかつ一定の間隔をあけて配置され、各々が、溝切部20の一対の側片22間の間隔よりも小さい一定の直径を有する円形に形成される(図7参照)。3個の穴26のうち前側の穴26は、一対の案内板7の対向する姿勢矯正部8間に配置される。そして、溝切部20の前端部21は、前側の穴26に臨むように配置、換言すると、前側の穴26を囲うように配置される。
【0020】
一方、3個の穴26のうち後側の穴26は、一対の案内板7の案内部9間に配置される。また、前側の穴26と後側の穴26との中間に位置する穴26は、案内板7の姿勢矯正部8と案内部9との境界部、すなわち、案内部9の入口に配置される。
【0021】
図1および図2に示されるように、機台2の後端部には、植付け溝43へ繰り出された連続鉢苗41に周辺の土を掻き寄せる一対の培土板31と、培土板31によって掻き寄せられた土を鎮圧する一対の鎮圧ローラ32と、が設けられる。また、機台2の前端部には、ハンドル34を備えたスタンド35が設けられ、スタンド35の下端部には、圃場42を滑走可能な車輪36が左右方向に一対で設けられる。なお、図1および図2における符号37は、鉢苗案内部4の裏側のフレームに固定される補助ハンドルである。さらに、図2における符号33は、機台2の後部の圃場42に対する浮き上がりを防止するチゼルである。
【0022】
図5に示されるように、苗押止め機構60の連結部材61は、鉛直部64と、傾斜部65と、水平部66と、から構成されている。また、連結部材61は、鉛直部64の下部に、略L字形をなした取付治具74を有している。鉛直部64は、鉢苗繰出部5の後側の側部に取付けられ、鉢苗繰出部5から上方に向かって延びている。また、鉛直部64は、取付治具74に回動可能に取付けられている。傾斜部65は、この鉛直部64から左右方向外側へ斜め上方に向かって延びている。水平部66は、鉛直部64に対して左右方向外側に略水平に延びている。なお、水平部66は、連続鉢苗移植機1の進行方向の後側に約30度〜約60度の角度をなすように配置するとよい(図11では、45度)。取付治具74は、図3及び図11に示すように、略L字形をなし、各辺74a,74bにボルト等の締結具76,76を挿通する複数の挿通孔75,75が形成されている。ここで、連結部材61を鉢苗繰出部5の左右方向の右側(図11の実線参照)に設ける場合、取付治具74の一方の辺74aを鉢苗繰出部5の側壁(右側)に当接させ、締結具76,76によって、取付治具74を鉢苗繰出部5の左右方向の右側に固定する。また、連結部材61を鉢苗繰出部5の左右方向の左側(図11の二点鎖線参照)に設ける場合、取付治具74の他方の辺74bを鉢苗繰出部5の側壁(左側)に当接させて、締結具76,76によって、取付治具74を鉢苗繰出部5の左右方向の左側に固定する。
【0023】
ここで、連結部材61を鉢苗繰出部5の左右方向の右側から左側に設けるとき、締結具76,76を取外し、取付治具74を時計回りに90度回転させることで、水平部66を連続鉢苗移植機1の進行方向の後側に配置することができる(図11では、45度)。また、連結部材61を鉢苗繰出部5の左右方向の左側から右側に設けるとき、締結具76,76を取外し、取付治具74を反時計回りに90度回転させることで、水平部66を連続鉢苗移植機1の進行方向の後側に配置することができる(図11では、45度)。なお、水平部66を連続鉢苗移植機1の進行方向の後側に30度,60度または90度等のなす角度で配置する場合、作業者が適宜鉛直部64を回動させて、水平部66の角度を任意に変更することで、水平部66を連続鉢苗移植機1の進行方向の後側に30度,60度または90度等のなす角度で配置することができる。
【0024】
図5に示されるように、苗押止め機構60の牽引部材63は、ワイヤ等の紐状の部材であり、その一端部が水平部66の結合部67に着脱可能に結合されている。結合部67は、水平部66に所定の間隔を置いて複数(図5では、3つ)設けられており、牽引部材63を選択的に結合することができる。牽引部材63としては、例えば、ロープ、チェーン等の紐状部材を用いることができる。
【0025】
図5に示されるように、苗押止め機構60の苗押止め部材62Aは、棒状部材であり、一端側の圃場差込部68と、押止部69と、牽引部材63の他端部を着脱可能に取付ける他端側の結合部70と、が形成されている。この苗押止め部材62Aは、圃場差込部68の上方で屈曲しており、圃場差込部68に対して、結合部70がオフセットされるようになっている。押止部69は、圃場差込部68の上方に設けられ、圃場差込部68から略垂直に延びる辺を有する略三角形状の押止片である。結合部70と、押止部69とは、水平面上で反対側に位置している、すなわち、圃場差込部68の軸方向を基準にして、反対側に位置している。
【0026】
次に、前述した連続鉢苗移植機1を用いた作物の生産方法を説明する。
まず、鉢苗載置部3に育苗箱44(図8参照)をセットする。そして、苗押止め部材62Aの圃場差込部68を連続鉢苗41の先頭のポット内に差込み、育苗箱44から連続鉢苗41の先頭のポット45を引き出す。そして、育苗箱44から引き出した連続鉢苗41を、図8および図9に示されるように、鉢苗案内部4の一対の一対の案内板7間、ならびに鉢苗繰出部5の一対の誘導板12間を通過させ、その連続鉢苗41の先頭のポット45を、予め圃場42に形成された植付け溝43内に植付ける。
【0027】
次に、図9に示されるように、苗押止め機構60の苗押止め部材62Aを圃場42に差し込んで、先頭のポット45を固定する。このとき、図10に示すように、圃場差込部68を植付け溝43内に植付けられた先頭のポット45の外縁の左右方向外側の圃場42に差し込み(図10参照)、押止部69(押止片)を先頭のポット45の上面に当接させて、先頭のポット45を固定する。この状態では、苗押止め部材62Aの結合部70は、連続鉢苗移植機1の機台2の左右方向外側(押止部69の反対側)に向いている。
【0028】
次に、ハンドル34を引くことにより、連続鉢苗移植機1を図8および図9における右方向へ移動させる。連続鉢苗移植機1の移動に伴い、圃場42には、溝切部20によって植付け溝43が形成される。同時に、連続鉢苗41が鉢苗載置部3上の育苗箱44から順次引き出され、鉢苗案内部4の一対の案内板7の姿勢矯正部8間、案内部9間、および鉢苗繰出部5の一対の誘導板12の垂直片14間、を通過して、整列された状態で、切欠き部11から植付け溝43へ繰り出される。そして、切欠き部11から繰り出された連続鉢苗41は、機台2の後端部まで延びる一対の誘導板12の垂直片14の支持によって植付け姿勢が保持された状態で、一対の培土板31によって掻き寄せられた周囲の土が一対の鎮圧ローラ32によって鎮圧されることにより、圃場42に固定される。
【0029】
ここで、連続鉢苗移植機1が移動することで、牽引部材63も図8および図9における右方向へ引張られる。そして、連続鉢苗移植機1の移動距離が所定の距離に達すると、牽引部材63により、その他端部に結合された苗押止め部材62Aが連続鉢苗移植機1の進行方向(図8および図9における右方向)へ引張られる。このとき、結合部70が圃場差込部68から左右方向にオフセットされているので、圃場差込部68を中心としてモーメントが生じて、苗押止め部材62Aが回動する。この回動に伴って、押止部69も回動して、連続鉢苗41の先頭のポット45の上面との当接が解除される。
【0030】
そして、連続鉢苗移植機1がさらに移動することで、苗押止め部材62Aが引張られた方向に傾き、圃場差込部68が圃場42から抜けて、苗押止め部材62Aが連続鉢苗移植機1に追従する。このとき、連結部材61と牽引部材63との結合部67が溝切部20に対して、左右方向に重ならない(オフセットされた)位置に配置されているため、苗押止め部材62Aが植付けられた鉢苗に接触することがない。
そして、連続鉢苗41の植付け終了後、牽引部材63を手繰って、苗押止め部材62Aを回収する。
【0031】
この一実施形態では以下の効果を奏する。
一実施形態によれば、連続鉢苗移植機1の鉢苗繰出部5に設けらた連結部材61と、圃場42に植付けられた鉢苗(連続鉢苗41の先頭のポット45)を固定する苗押止め部材62Aとを、牽引部材63を用いて、連結することで、連続鉢苗移植機1の移動に伴って、苗押止め部材62Aが連続鉢苗移植機1に追従することができるので、回収作業が容易になる。
【0032】
また、一実施形態では、苗押止め部材62Aの圃場差込部68を植付け溝43内に植付けた連続鉢苗41の先頭のポット45の外縁の左右方向外側の圃場42に差し込んでいるため、圃場差込部68が圃場42から抜けても、先頭のポット45の位置ずれを防ぐことができる。
【0033】
さらに、一実施形態では、苗押止め部材62Aの押止部69によって、連続鉢苗41の先頭のポット45が固定されるので、作業者が連続鉢苗41の先頭のポット45を把持する必要がなくなくなり、作業者が単独で効率的に作業を行うことができる。
【0034】
また、一実施形態では、連結部材61と牽引部材63との結合部67が溝切部20に対して、左右方向に重ならない(オフセットされた)位置に配置されているので、連続鉢苗移植機1の移動に伴って、苗押止め部材62Aが追従しても、苗押止め部材62Aが植付けらえた鉢苗との接触を回避することができる。さらに、結合部67は、3カ所設けられているため、連続鉢苗41を植付ける植付け溝43に隣接する畝の間隔に応じて、結合部67の位置のオフセット量を調整することができる。
【0035】
また、一実施形態では、苗押止め機構60の連結部材61の水平部66は、連続鉢苗移植機1の進行方向の後側に約30度〜約60度の角度をなすように配置することで、牽引部材63が連結部材61の内側に配置されても、水平部66の上面からすり抜けて、連結部材61に絡まなくすることができる。さらに、一実施形態では、連結部材61は、傾斜部65を設けることで、牽引部材63が連結部材61の内側に配置されても、牽引部材63が傾斜部65の斜面に沿って、水平部66に導かれるため、牽引部材63を連結部材61の内側からよりすり抜けやすくすることができる。
【0036】
なお、連続鉢苗移植機1の苗押止め部材62Aは、前述した構成に限定されるものではなく、例えば、次の変形例1〜3のように構成することができる。以下の説明において、前述した実施形態と同一あるいは相当の構成要素については、同一の名称および符号を付与する。
【0037】
(変形例1)
前述した一実施形態に係る連続鉢苗移植機1の苗押止め部材62Aは、圃場差込部68の上方が屈曲している(図5参照)。また、押止部69(押止片)は、圃場差込部68の上方から側方に延びる略三角形状をなしている。これに対して、図12に示される変形例1では、苗押止め部材62Bは、屈曲しない棒状部材であり、押止部79として、圃場差込部68の上方に、圃場差込部68と直交して両側に突出する軸部が形成されている。また、圃場差込部68の上方には、上方に延びて、上端部に結合部70が形成された板状部材80が取り付けられている。
【0038】
次に、変形例1における連続鉢苗移植機1を用いた作物の生産方法を説明する。
まず、連続鉢苗41の先頭のポット45およびこれに連結された次のポット46を、予め圃場42に形成された植付け溝43内に植付け、これらのポット45,46間の連結部47(図8参照)の左右方向の側部から圃場差込部68を圃場42に差し込む。そして、苗押止め部材62Bの押止部69を先頭のポット45およびこれと連結されたポット46の上面に当接させて、これらのポット45,46を固定する。
その後、連続鉢苗移植機1が所定の距離だけ移動すると、牽引部材63により、苗押止め部材62Bが引張られ、苗押止め部材62Bが引張られた方向に傾きつつ、圃場差込部68が圃場42から抜ける。これにより、押止部69は、先頭のポット45およびこれと連結されたポット46の上面の当接が解除される。そして、連続鉢苗移植機1の移動に伴って、牽引部材63によって、苗押止め部材62Bが連続鉢苗移植機1に追従する。
そして、連続鉢苗41の植付け終了後、牽引部材63を手繰って、苗押止め部材62Bを回収する。
【0039】
(変形例2)
また、図13に示される変形例2では、苗押止め部材62Cは、圃場差込部68の上方が屈曲しない棒状部材である(一部のみ図示する)。また、押止部89は、2カ所または3カ所の先端部83を有する略L字状または略T字状(図示では、略T字状)の部材であり、先端の1つが圃場差込部68の上方に回動可能に取付けられている。この先端部83Aに対して、直交に延びる先端部83Bに鉢苗のポットに掛止する掛止片84が設けられている。苗押止め部材62Cには、牽引部材63の他端部に取付けられたリング部材85が上方から外嵌(遊嵌)され、このリング部材85は、連結部材86を介して、押止部89の先端部83A,83B間の角部に連結されている。
【0040】
次に、前述した変形例2における連続鉢苗移植機1を用いた作物の生産方法を説明する。
まず、連続鉢苗41の先頭のポット45を、予め圃場42に形成された植付け溝43内に植付け、苗押止め部材62Cの圃場差込部68を連続鉢苗41の先頭のポット45の外縁の左右方向の外側の圃場42に差し込む。そして、押止部89を回動させて、掛止片84を先頭のポット45の上部に差し込み、苗押止め部材62Cと掛止片84とによって、先頭のポット45を挟んで、先頭のポット45を圃場42に固定する。
その後、連続鉢苗移植機1が所定距離だけ移動すると、牽引部材63により、リング部材85が引張られ、リング部材85が苗押止め部材62Cの軸方向上方に移動しながら、連結部材86を介して、押止部89を引張って回動させる。これにより、掛止片84は、先頭のポット45の押えが解除される。そして、連続鉢苗移植機1の移動に伴って、牽引部材63によって、苗押止め部材62Cが引き抜かれ、連続鉢苗移植機1に追従する。
そして、連続鉢苗41の植付け終了後、牽引部材63を手繰って、苗押止め部材62Cを回収する。
【0041】
(変形例3)
また、図14に示される変形例3では、苗押止め部材62Dは、圃場差込部68の上方が屈曲しない棒状部材である(一部のみ図示する)。また、押止部99は、略アーチ形状をなし、内側湾曲面93が圃場42に対向するように、その一端が圃場差込部68の上方に固定されている。また、押止部99は、その内径が、鉢苗繰出部5の一方のフレームを跨ぐことが可能な寸法、すなわち、鉢苗繰出部5の外面から切欠き部11までの寸法で形成されている。
【0042】
次に、前述した変形例3における連続鉢苗移植機1を用いた作物の生産方法を説明する。
まず、連続鉢苗41の先頭のポット45を、予め圃場42に形成された植付け溝43内に植付け、圃場差込部68を鉢苗繰出部5の左右方向外側から圃場42に差し込む。そして、苗押止め部材62Dの略アーチ形状の押止部99は、鉢苗繰出部5を跨いで、押止部99の他端を先頭のポット45の上面に当接させて、このポット45を固定する。
その後、連続鉢苗移植機1が所定の距離だけ移動すると、牽引部材63により、苗押止め部材62Dが引張られ、苗押止め部材62Dが引張られた方向に傾きつつ、圃場差込部68が圃場42から抜ける。これにより、押止部69は、先頭のポット45の上面の当接が解除される。そして、連続鉢苗移植機1の移動に伴って、牽引部材63によって、苗押止め部材62Dが連続鉢苗移植機1に追従する。
そして、連続鉢苗41の植付け終了後、牽引部材63を手繰って、苗押止め部材62Dを回収する。
【0043】
なお、一実施形態および変形例1〜3に係る連続鉢苗移植機1において、苗押止め部材62A〜62Dの圃場差込部68を圃場42に差し込んでいるが、連続鉢苗41のポットの上面に載置するおもりであってもよい。
【0044】
また、一実施形態および変形例1〜3に係る連続鉢苗移植機1において、連結部材61は、機台2に設けられている、具体的には、締結具76,76を用いて、鉢苗繰出部5に取付けているが、鉢苗繰出部5に一体に設けてもよい。さらに、連結部材61は、鉢苗繰出部5に設けているが、機台2上に設けられた鉢苗案内部4または鉢苗載置部3、または、ハンドル34、補助ハンドル37に設けてもよい。なお、本説明において、「連結部材61が機台2に設けられている」は、一体に設けられている、または、別体に設けられていることを含む意味である。
【0045】
更に、一実施形態および変形例1〜3に係る連続鉢苗移植機1において、牽引部材63は、連結部材61を介して、機台2(鉢苗繰出部5)に連結されているが、機台2(鉢苗繰出部5)に直接連結されていてもよい。また、牽引部材63は、機台2上に設けられた鉢苗案内部4または鉢苗載置部3、または、ハンドル34、補助ハンドル37に直接連結されていてもよい。
【0046】
また、一実施形態および変形例1〜3に係る連続鉢苗移植機1において、牽引部材63は、ワイヤー、ロープ、チェーン等の紐状部材であるが、柔軟性を有する細長い棒状部材であってもよい。
【0047】
また、一実施形態および変形例1〜3に係る連続鉢苗移植機1において、連続鉢苗移植機1は、牽引部材63を巻き取る機構を設けてもよい。これにより、牽引部材63が巻き取られることで、牽引部材63により、苗押止め部材62A〜62Dが引張られ、苗押止め部材62A〜62Dが引張られた方向に傾きつつ、圃場差込部68が圃場42から抜けて、苗押止め部材62A〜62Dが連続鉢苗移植機1に追従することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 連続鉢苗移植機、2 機台、3 鉢苗載置部、4 鉢苗案内部、5 鉢苗繰出部、6 底板、20 溝切部(枠部材)、26 穴、41 連続鉢苗、42 圃場、43 植付け溝、61 連結部材、62A〜62D 苗押止め部材、63 牽引部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14