(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861145
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】高活性複金属シアン化物触媒、及びその製造方法、並びにその応用
(51)【国際特許分類】
C08G 65/12 20060101AFI20210412BHJP
C08G 65/28 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
C08G65/12
C08G65/28
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-239830(P2017-239830)
(22)【出願日】2017年12月14日
(65)【公開番号】特開2019-77850(P2019-77850A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】106135943
(32)【優先日】2017年10月19日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517151501
【氏名又は名称】東聯化學股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】許 祐川
(72)【発明者】
【氏名】蔡 錫津
【審査官】
中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−526576(JP,A)
【文献】
特表2014−520938(JP,A)
【文献】
特開2003−034724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00− 67/04
B01J 21/00− 38/74
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの複金属シアン化物化合物と、炭素数2〜7の脂肪族アルコール及び有機脂環族カーボネートからなる混合物である少なくとも1つの有機錯体配位子と、を含み、
前記有機錯体配位子中の前記脂肪族アルコールの濃度が2〜98mol%であり、
前記有機脂環族カーボネートは、下式(I)で示す構造式を有する、高活性複金属シアン化物触媒。
【化1】
式(I)中、R及びR’は、同一でも異なってもよく、それぞれ、水素
原子、炭素数1〜20の飽和アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基(hydroxyl group)、ビニル基(vinyl group)及び/又はフェニル基(phenyl group)を表す。
【請求項2】
前記複金属シアン化物化合物は、少なくとも1つの金属塩類と少なくとも1つのシアン化金属塩類とを反応させた生成物であって、
前記金属塩類は、下式(II)の一般式を有し、
M(X)n (II)
式(II)中、Mは、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(IV)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)、及びCr(III)から選ばれるものであり、
Xは、ハロゲン、水酸化物イオン(hydroxide ion)、硫酸イオン(sulfate ion)、炭酸イオン(carbonate ion)、シアン化物イオン(cyanide ion)、イソシアン化物イオン(isocyanide ion)、イソチオシアネートイオン(isothiocyanate ion)、カルボン酸イオン(carboxylate ion)及び硝酸イオン(nitrate ion)から選ばれるものであり、
nは1〜3であり、式(II)中のMの電荷数に等しくなるための数である。
前記シアン化金属塩類は、下式(III)の一般式を有し、
(M’)aM(CN)b(A)c (III)
式(III)中、Mは、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、及びV(V)から選ばれるものであり、
M’は、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
Aはアニオンであり、ハロゲン化物(halide)、水酸化物イオン(hydroxide ion)、硫酸イオン(sulfate ion)、炭酸イオン(carbonate ion)、シアン化物イオン(cyanide ion)、シュウ酸イオン(oxalate ion)、チオシアン酸イオン(thiocyanate ion)、イソシアン化物イオン(isocyanide ion)、イソチオシアネートイオン(isothiocyanate ion)、カルボン酸イオン(carboxylate ion)、及び硝酸イオン(nitrate ion)から選ばれるものであり、及び
a、bは1以上の整数であり、且つa、b及びcの合計電荷数が式(III)中のMの電荷数に等しくなる、請求項1に記載の高活性複金属シアン化物触媒。
【請求項3】
式(II)中のMは、Zn(II)、Fe(II)、及びCo(II)から選ばれるものであり、
式(III)中のMは、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)、及びNi(II)から選ばれるものである、請求項2に記載の高活性複金属シアン化物触媒。
【請求項4】
前記金属塩類は、塩化亜鉛(zinc chloride)、硫酸亜鉛(zinc sulfate)、臭化亜鉛(zinc bromide)、蟻酸亜鉛(zinc formate)、酢酸亜鉛(zinc acetate)、プロピオン酸亜鉛(zinc propionate)、亜鉛アセトニルアセテート(zinc acetonylacetate)、安息香酸亜鉛(zinc benzoate)、硝酸亜鉛(zinc nitrate)、硫酸第一鉄(iron(II)sulfate)、臭化第一鉄(iron(II)bromide)、塩化コバルト(II)(cobalt(II)chloride)、チオシアン酸コバルト(II)(cobalt(II)thiocyanate)、蟻酸ニッケル(II)(nickel(II)formate)及び硝酸ニッケル(II)(nickel(II)nitrate)から選ばれるものであり、
前記シアン化金属塩類は、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム(potassium hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム(potassium hexacyanoferrate(II))、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(potassium hexacyanoferrate(III))、ヘキサシアノイリジウム(III)酸リチウム(lithium hexacyanoiridate(III))、ヘキサシアノコバルト(III)酸リチウム(lithium hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノコバルト(III)酸ナトリウム(sodium hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノコバルト(III)酸カルシウム(calcium hexacyanocobaltate(III))及びヘキサシアノコバルト(III)酸セシウム(Caesium hexacyanocobaltate(III))から選ばれるものである、請求項2に記載の高活性複金属シアン化物触媒。
【請求項5】
前記複金属シアン化物化合物は、ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛(zinc hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノ鉄(II)酸亜鉛(zinc hexacyanoferrate(II))、ヘキサシアノ鉄(III)酸亜鉛(zinc hexacyanoferrate(III))、ヘキサシアノ鉄(II)酸ニッケル(II)(nickel(II)hexacyanoferrate(II))及びヘキサシアノコバルト(III)酸コバルト(II)(cobalt(II)hexacyanocobaltate(III))から選ばれるものである、請求項2に記載の高活性複金属シアン化物触媒。
【請求項6】
前記脂肪族アルコールは、エタノール(ethanol)、n−プロピルアルコール(n−propyl alcohol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、n−ブタノール(n−butanol)、イソブチルアルコール(isobutyl alcohol)、sec−ブチルアルコール(sec−butyl alcohol)、tert−ブチルアルコール(tert−butyl alcohol)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(2−Methyl−3−buten−2−ol)及びtert−アミルアルコール(tert−amyl alcohol)から選ばれた1種以上であり、
前記有機脂環族カーボネートは、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、1,2−ブチレンカーボネート(1,2−butylene carbonate)、ペンチレンカーボネート(pentylene carbonate)、ヘキシレンカーボネート(hexylene carbonate)、オクチレンカーボネート(octylene carbonate)、ドデシレンカーボネート(dodecylene carbonate)、グリセロールカーボネート(glycerol carbonate)、スチレンカーボネート(styrene carbonate)、3−フェニルプロピレンカーボネート(3−phenyl propylene carbonate)、シクロヘキセンカーボネート(cyclohexene carbonate)、ビニルエチレンカーボネート(vinyl ethylene carbonate)、4,4−ジメチル−5−メチレン−(1,3)−ジオキソラン−2−オン(4,4−dimethyl−5−methylene−(1,3)dioxolan−2−one)、及び4−アリル−4,5−ジメチル−5−(10−ウンデシレン)−1,3−ジオキソラン−2−オン(4−allyl−4,5−dimethyl−5−(10−undecenyl)−1,3−dioxolan−2−one)から選ばれるものである、請求項1に記載の高活性複金属シアン化物触媒。
【請求項7】
前記有機錯体配位子中の前記有機脂環族カーボネートの濃度が2〜98mol%である、請求項1に記載の高活性複金属シアン化物触媒。
【請求項8】
少なくとも1つの機能化重合物又はそれらの水溶性塩類をさらに含み、
前記高活性複金属シアン化物触媒中の前記機能化重合物又はそれらの水溶性塩類の含有量は2〜80wt%であり、
前記機能化重合物は、少なくとも1種の官能基を有する重合物であり、
前記官能基は、酸素(oxygen)、窒素(nitrogen)、硫黄(sulfur)、リン(phosphorus)、又はハロゲン(halogen)である、請求項1に記載の高活性複金属シアン化物触媒。
【請求項9】
前記機能化重合物は、ポリエーテル類(polyethers)、ポリエステル類(polyesters)、ポリカーボネート類(polycarbonates)、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル類(polyalkylene glycol sorbitan esters)、ポリアルキレングリコールグリシジル類(polyalkylene glycol glycidyl ethers)、ポリアクリルアミド類(polyacrylamide)、ポリアクリル酸−アクリルアミド類(Poly(acrylamide−co−acrylic acids))、ポリアクリル酸類(polyacrylic acids)、アクリル酸マレイン酸共重合体(poly(acrylic acid−co−maleic acid))、N−ビニルピロリドン−アクリル酸共重合体(poly(N−vinylpyrrolidone−co−acrylic acids))、アクリル酸−スチレン共重合体(poly(acrylic acid−co−styrenes))及びその塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体(styrenes andmaleic anhydride copolymers)及びその塩、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitriles)、ポリアルキルアクリレート(polyalkyl acrylates)、ポリアルキルメタクリレート(polyalkylmethacrylates)、ポリビニルメチルエーテル(polyvinyl methyl ethers)、ポリビニルエチルエーテル(polyvinyl ethyl ethers)、ポリビニルアセテート(polyvinyl acetates)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohols)、ポリ−N−ビニルピロリドン(poly−N−vinylpyrrolidones)、ポリビニルメチルケトン(polyvinyl methyl ketones)、ポリ(4−ビニルフェノール)(poly(4−vinylphenols))、オキサゾリン重合物(oxazoline polymers)、ポリアルキレンイミン(polyalkyleneimines)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcelluloses)、ポリアセタール(polyacetals)から選ばれるものである、請求項8に記載の高活性複金属シアン化物触媒。
【請求項10】
請求項1に記載の前記高活性複金属シアン化物触媒の製造方法であって、
2種類の金属前駆体溶液を前記有機錯体配位子の存在下で混合、反応し、少なくともその中の1種類である金属前駆体溶液がシアン化物(cyanide)配位子を含む工程、
混合反応後の溶液を洗浄、濾過する工程、及び
前記溶液から前記高活性複金属シアン化物触媒を分離させる工程を含む、高活性複金属シアン化物触媒の製造方法。
【請求項11】
前記有機錯体配位子は、前記少なくともその中の1種類の金属前駆体溶液中に存在し、金属前駆体と予めに混合する、又は、
前記有機錯体配位子は、前記2種類の金属前駆体溶液を混合した後、直ちに添加する、請求項10に記載の高活性複金属シアン化物触媒の製造方法。
【請求項12】
前記2種類の金属前駆体溶液を混合反応する工程において、少なくとも1つの機能化重合物又はそれらの水溶性塩類を添加する、請求項11に記載の高活性複金属シアン化物触媒の製造方法。
【請求項13】
前記2種類の金属前駆体溶液を混合反応する工程において、水溶液系で反応し、前記水溶液系の温度範囲が10〜80℃である、請求項11に記載の高活性複金属シアン化物触媒の製造方法。
【請求項14】
ポリオールの製造方法であって、請求項1に記載の高活性複金属シアン化物触媒を提供して、少なくとも1種のアルキレンオキシド(alkylene oxide)と少なくとも1種の構造に活性水素原子を有する初期化合物とを重付加反応することで、前記ポリオールを生成する、ポリオールの製造方法。
【請求項15】
前記重付加反応において、単体として、1種類のアルキレンオキシド、任意に配列した2〜3種類の異なるアルキレンオキシド、又はブロック状(blockwise)に配列した2〜3種類の異なるアルキレンオキシドを使用し、アルコキシ化(alkoxylation)により前記ポリオールの構造中のポリエーテル鎖を形成する、請求項14に記載のポリオールの製造方法。
【請求項16】
前記アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びそれらの混合物から選ばれるものであり、
前記構造に活性水素原子を有する初期化合物は1〜8個のヒドロキシ基を有し、その平均分子量の範囲が18〜2000である、請求項14に記載のポリオールの製造方法。
【請求項17】
前記構造に活性水素原子を有する初期化合物は、ポリオキシプロピレンポリオール(polyoxypropylene polyols)、ポリオキシエチレンポリオール(polyoxyethylene polyols)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(poly(tetramethylene ether)glycols)、グリセロール(glycerol)、プロポキシル化グリセロール(propoxylated glycerols)、プロピレングリコール(propylene glycol)、トリプロピレングリコール(tripropylene glycol)、アルコキシ化アリルアルコール(alkoxylated allylic alcohols)、ビスフェノールA(bisphenol A)、ペンタエリトリトール(pentaerythritol)、ソルビトール(sorbitol)、スクロース(sucrose)、分解デンプン(degraded starch)、マンニッヒポリオール(Mannich polyols)、水、及びそれらの混合物から選ばれるものである、請求項16に記載のポリオールの製造方法。
【請求項18】
前記重付加反応の温度範囲が25〜200℃であり、圧力範囲が0.0001〜20バール(bar)である、請求項14に記載のポリオールの製造方法。
【請求項19】
前記重付加反応において、前記高活性複金属シアン化物触媒の濃度範囲が0.0005〜1wt%である、請求項14に記載のポリオールの製造方法。
【請求項20】
前記ポリオールの構造に1〜8個のヒドロキシ基を有し、前記ポリオールの分子量の範囲は500〜100,000g/molである、請求項14に記載のポリオールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高活性複金属シアン化物(Double Metal Cyanide;DMC)触媒に関する。特に、有機錯体配位子(organic complexing ligand)の組成成分として有機脂環族カーボネートを利用することで、複金属シアン化物触媒の活性を向上する。また、前記高活性複金属シアン化物触媒を使用して製造したポリオール(polyols)生成物に明確な高分子量成分(high molecular−weight components)が存在しない。
【背景技術】
【0002】
複金属シアン化物(Double Metal Cyanide;DMC)触媒は優れるエポキシ化合物重合反応触媒とすることができる。複金属シアン化物触媒の活性は高く、水酸化カリウム(KOH)触媒と比べて、複金属シアン化物触媒を使用して製造したポリオール(polyols)はより低い不飽和度(unsaturation levels)を有する。DMCは、ポリエーテルポリオール(polyether polyol)、ポリエステルポリオール(polyester polyol)、及びポリエーテルエステルポリオール(polyether−ester polyol)の製造に用いる。それらのポリオールは、主にポリウレタン(polyurethane)、コーティング(coatings)、エラストマー(elastomers)、シーラント(sealants)、フォーム(foams)、及び粘着剤(adhesives)に用いられる。
【0003】
典型的なDMC製造方法としては、金属塩類(metal salts)とシアン化金属塩類(metal cyanide salts)水溶液との反応によりDMC化合物沈澱を起こすことで製造する。例えば、米国特許US3427256、US3289505、及びUS5158922を参照できる。その製造方法の改良としては、DMCの製造中に有機錯体配位子を添加することで、DMCに適切な活性を付与する。例えば、米国特許US3278459、US3829505、US4477589、及びUS5470813を参照できる。また、他に機能化重合物(functionalized polymer)を添加することで、触媒活性を更に向上できる。例えば、米国特許US5482908、US5545601、及びUS5627120を参照できる。
【0004】
KOH触媒と比べて、DMCを使用して製造したポリオール化合物は、反応が速く、不飽和度が低いという利点があるが、ポリオール化合物中の高分子量化合物(high molecular weight compounds)(例えば平均分子量が400,000より大きい)の含有量が増加する。その高分子量化合物は、ポリオール化合物の加工性を低下させ、例えば、加工した後に緻密なフォーム(tight foam)、又は沈降(settle)したフォーム又は崩壊(collapse)したフォームを生成する。
【0005】
上記欠点を解決するため、ポリウレタンの調合原料を再配合(re−formulation)するか、又はポリオール化合物から高分子量化合物を除去する等、多くの方法が提案されている。しかし、それらの方法のコストが高すぎるので、工業上の使用に合わない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情を鑑み、本発明の目的として、高活性複金属シアン化物触媒、及びその製造方法、並びにその応用を提供する。有機錯体配位子の組成成分として有機脂環族カーボネートを利用することで、高活性を有する複金属シアン化物触媒を製造する。本発明において、製造した複金属シアン化物触媒の活性を向上する上に、ポリオール化合物中の高分子量化合物含有量を低減できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも1種の複金属シアン化物化合物、及び少なくとも1種の有機錯体配位子を含有する高活性複金属シアン化物触媒を提供する。その中に、有機錯体配位子は炭素数2〜7(C2〜C7)の脂肪族アルコール及び有機脂環族カーボネートからなる混合物であり、有機錯体配位子中の脂肪族アルコール濃度が2〜98mol%であり、有機錯体配位子中の有機脂環族カーボネートが下式(I)で示す構造式を有する。
【化1】
式(I)中、R及びR’は、同一でも異なってもよく、それぞれ、水素、炭素数1〜20の飽和アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基(hydroxyl group)、ビニル基(vinyl group)及び/又はフェニル基(phenyl group)を表す。
【0008】
前記高活性複金属シアン化物触媒において、複金属シアン化物化合物は、少なくとも1種の金属塩類と少なくとも1種のシアン化金属塩類とを反応させた生成物である。
【0009】
具体的に、金属塩類は、下式(II)の一般式を有する。
M(X)
n (II)
式(II)中、Mは、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(IV)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)及びCr(III)から選ばれるものであり、
Xは、ハロゲン、水酸化物イオン(hydroxide ion)、硫酸イオン(sulfate ion)、炭酸イオン(carbonate ion)、シアン化物イオン(cyanide ion)、イソシアン化物イオン(isocyanide ion)、イソチオシアネートイオン(isothiocyanate ion)、カルボン酸イオン(carboxylate ion)、及び硝酸イオン(nitrate ion)から選ばれるものであり、
nは1〜3であり、式(II)中のMの電荷数に等しくなるための数である。
【0010】
具体的に、シアン化金属塩類は下式(III)の一般式を有する。
(M’)
aM(CN)
b(A)
c (III)
式(III)中、Mは、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、及びV(V)から選ばれるものであり、
M’は、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
Aは、ハロゲン化物(halide)、水酸化物イオン(hydroxide ion)、硫酸イオン(sulfate ion)、炭酸イオン(carbonate ion)、シアン化物イオン(cyanide ion)、シュウ酸イオン(oxalate ion)、チオシアン酸イオン(thiocyanate ion)、イソシアン化物イオン(isocyanide ion)、イソチオシアネートイオン(isothiocyanate ion)、カルボン酸イオン(carboxylate ion)、及び硝酸イオン(nitrate ion)から選ばれるものであり、
a、bは1以上の整数であり、a、bとcの合計電荷数は、式(III)中のMの電荷数に等しくなる。
【0011】
前記高活性複金属シアン化物触媒において、脂肪族アルコールは、エタノール(ethanol)、n−プロピルアルコール(n−propyl alcohol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、n−ブタノール(n−butanol)、イソブチルアルコール(isobutyl alcohol)、sec−ブチルアルコール(sec−butyl alcohol)、tert−ブチルアルコール(tert−butyl alcohol)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(2−Methyl−3−buten−2−ol)、及びtert−アミルアルコール(tert−amyl alcohol)から選ばれた1種以上である。
【0012】
前記高活性複金属シアン化物触媒において、有機脂環族カーボネートは、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、1,2−ブチレンカーボネート(1,2−butylene carbonate)、ペンチレンカーボネート(pentylene carbonate)、ヘキシレンカーボネート(hexylene carbonate)、オクチレンカーボネート(octylene carbonate)、ドデシレンカーボネート(dodecylene carbonate)、グリセロールカーボネート(glycerol carbonate)、スチレンカーボネート(styrene carbonate)、3−フェニルプロピレンカーボネート(3−phenyl propylene carbonate)、シクロヘキセンカーボネート(cyclohexene carbonate)、ビニルエチレンカーボネート(vinyl ethylene carbonate)、4,4−ジメチル−5−メチレン−(1,3)−ジオキソラン−2−オン(4,4−dimethyl−5−methylene−(1,3)dioxolan−2−one)、及び4−アリル−4,5−ジメチル−5−(10−ウンデシレン)−1,3−ジオキソラン−2−オン(4−allyl−4,5−dimethyl−5−(10−undecenyl)−1,3−dioxolan−2−one)から選ばれるものである。
【0013】
前記高活性複金属シアン化物触媒において、少なくとも1種の機能化重合物又はそれらの水溶性塩類をさらに含むことができる。その含有量としては、高活性複金属シアン化物触媒の2〜80wt%である。前記機能化重合物の定義としては、少なくとも1種の官能基を有する重合物である。官能基としては、酸素(oxygen)、窒素(nitrogen)、硫黄(sulfur)、リン(phosphorus)、又はハロゲン(halogen)が挙げられる。
【0014】
また、本発明は前記高活性複金属シアン化物触媒の製造方法を提供する。その工程としては、前記有機錯体配位子の存在下で2種類の金属前駆体溶液を混合反応し、少なくともその中の1種類の金属前駆体溶液がシアン化物(cyanide)配位子を有し、そして、混合反応後の溶液を洗浄、濾過を繰り返し、系中の塩類を充分に除去させ、溶液から高活性複金属シアン化物触媒を分離する。
【0015】
前記製造方法において、少なくともその中の1種類の金属前駆体溶液に有機錯体配位子が存在して金属前駆体と予めに混合するか、又は、2種類の金属前駆体溶液を混合した後、直ちに有機錯体配位子を添加できる。
【0016】
前記製造方法において、金属前駆体溶液及び/又は有機錯体配位子に機能化重合物又はそれらの水溶性塩類をさらに添加できる。
【0017】
また、本発明はポリオールの製造方法を提供する。その工程としては、まず、前記高活性複金属シアン化物触媒を提供し、少なくとも1種のアルキレンオキシドと、少なくとも1種の構造に活性水素原子を有する初期化合物とを重付加反応することで、ポリオールを生成する。
【0018】
その中で、重付加反応の温度範囲は約25〜200℃であり、圧力範囲は約0.0001〜20バール(bar)である。
【0019】
前記ポリオールの製造方法において、重付加反応中の高活性複金属シアン化物触媒の濃度範囲は約0.0005〜1wt%である。
【発明の効果】
【0020】
従来の複金属シアン化物触媒と比べて、本発明の高活性複金属シアン化物触媒は、より高い活性を有し、ポリオールの製造に用いたときに、生成物に明確な高分子量化合物が存在しない。
【0021】
以下、本発明の目的、技術的な内容、特徴及び達成できる効果をより理解するために、具体的な実施例によって詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の高活性複金属シアン化物触媒の製造方法のフローチャートである。
【
図2】本発明のポリオールの製造方法のフローチャートである。
【
図3】6KポリオキシプロピレントリオールのGPC解析チャートであり、実施例1の方法で触媒を製造するものである。
【
図4】6KポリオキシプロピレントリオールのGPC解析チャートであり、実施例3の方法で触媒を製造するものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、組成として、少なくとも1種の複金属シアン化物化合物、及び少なくとも1種の有機錯体配位子を含有する高活性複金属シアン化物触媒が開示されている。その中で、有機錯体配位子は、炭素数2〜7(C2〜C7)からなる脂肪族アルコール及び有機脂環族カーボネートからなる混合物である。有機錯体配位子中の脂肪族アルコール濃度は2〜98mol%である。有機脂環族カーボネートは下式(I)で示す構造式を有する。
【化2】
式(I)中、R及びR’は、同一でも異なってもよく、それぞれ、水素、炭素数1〜20の飽和アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基(hydroxyl group)、ビニル基(vinyl group)、及び/又はフェニル基(phenyl group)を表す。
【0024】
本発明に使用する複金属シアン化物化合物は、金属塩類(metal salts)とシアン化金属塩類(metal cyanide salts)とを反応した生成物である。
【0025】
本発明に使用する金属塩類は、下式(II)の一般式(general formula)を有する。
M(X)
n (II)
式(II)中、Mは、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(IV)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)、及びCr(III)が挙げられるが、それらに限定されていない。Mは、好ましくはZn(II)、Fe(II)、及びCo(II)から選ばれるものである。
式(II)中、Xはアニオンであり、ハロゲン、水酸化物イオン(hydroxide ion)、硫酸イオン(sulfate ion)、炭酸イオン(carbonate ion)、シアン化物イオン(cyanide ion)、イソシアン化物イオン(isocyanide ion)、イソチオシアネートイオン(isothiocyanate ion)、カルボン酸イオン(carboxylate ion)、及び硝酸イオン(nitrate ion)が挙げられるが、それらに限定されていない。
式(II)中、nは1〜3であり、式(II)中のMの電荷数に等しくなるための数である。
【0026】
具体的に、金属塩類は、塩化亜鉛(zinc chloride)、硫酸亜鉛(zinc sulfate)、臭化亜鉛(zinc bromide)、蟻酸亜鉛(zinc formate)、酢酸亜鉛(zinc acetate)、プロピオン酸亜鉛(zinc propionate)、亜鉛アセトニルアセテート(zinc acetonylacetate)、安息香酸亜鉛(zinc benzoate)、硝酸亜鉛(zinc nitrate)、硫酸第一鉄(iron(II)sulfate)、臭化第一鉄(iron(II)bromide)、塩化コバルト(II)(cobalt(II)chloride)、チオシアン酸コバルト(II)(cobalt(II)thiocyanate)、蟻酸ニッケル(II)(nickel(II)formate)、硝酸ニッケル(II)(nickel(II)nitrate)、及びそれに類似する物質である。上記金属塩類は、単独又は複数を組み合わせて用いる。その中で、金属塩類としては、鹵化亜鉛(zinc halides)が好ましく使用される。
【0027】
本発明に使用するシアン化金属塩類は下式(III)の一般式を有する。
(M’)
aM(CN)
b(A)
c (III)
式(III)中、Mは、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、及びV(V)が挙げられるが、それらに限定されていない。Mは、好ましくはCo(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)、及びNi(II)である。本発明に使用するシアン化金属塩類の金属としては、1種類又は複数の上記金属を含む。
式(III)中、M’は、アルカリ金属イオン(alkalimetal ion)又はアルカリ土類金属イオン(alkaline earth metal ion)である。
式(III)中、Aはアニオンであり、ハロゲン化物(halide)、水酸化物イオン(hydroxide)、硫酸イオン(sulfate ion)、炭酸イオン(carbonate ion)、シアン化物イオン(cyanide ion)、シュウ酸イオン(oxalate ion)、チオシアン酸イオン(thiocyanate ion)、イソシアン化物イオン(isocyanide ion)、イソチオシアネートイオン(isothiocyanate ion)、カルボン酸イオン(carboxylate ion)、及び硝酸イオン(nitrate ion)が挙げられるが、それらに限定されていない。
式(III)中、a、bは1以上の整数であり、a、bとc合計電荷数は、式(III)中のMの電荷数に等しくなる。
【0028】
具体的に、シアン化金属塩類は、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム(potassium hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム(potassium hexacyanoferrate(II))、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(potassium hexacyanoferrate(III))、ヘキサシアノイリジウム(III)酸リチウム(lithium hexacyanoiridate(III))、ヘキサシアノコバルト(III)酸リチウム(lithium hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノコバルト(III)酸ナトリウム(sodium hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノコバルト(III)酸カルシウム(calcium hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノコバルト(III)酸セシウム(Caesium hexacyanocobaltate(III))、及びそれに類似する物質である。上記シアン化金属塩類は、単独又は複数を組み合わせて用いる。その中で、シアン化金属塩類は、好ましくはヘキサシアノコバルト(III)酸アルカリ金属塩である。
【0029】
本発明に使用する複金属シアン化物化合物の実例は、ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛(zinc hexacyanocobaltate(III))、ヘキサシアノ鉄(II)酸亜鉛(zinc hexacyanoferrate(II))、ヘキサシアノ鉄(III)酸亜鉛(zinc hexacyanoferrate(III))、ヘキサシアノ鉄(II)酸ニッケル(II)(nickel(II)hexacyanoferrate(II))、ヘキサシアノコバルト(III)酸コバルト(II)(cobalt(II)hexacyanocobaltate(III))、及びそれに類似する物質が挙げられるが、それらに限定されていない。他の実例としては、米国特許US5158922を参照できる。その中で、好ましくはヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛である。
【0030】
本発明に使用する有機錯体配位子は、炭素数2〜7の脂肪族アルコール及び有機脂環族カーボネートからなるものである。具体的に、脂肪族アルコールは、エタノール(ethanol)、n−プロピルアルコール(n−propyl alcohol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、n−ブタノール(n−butanol)、イソブチルアルコール(isobutyl alcohol)、sec−ブチルアルコール(sec−butyl alcohol)、tert−ブチルアルコール(tert−butyl alcohol)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(2−Methyl−3−buten−2−ol)、tert−アミルアルコール(tert−amyl alcohol)、又はそれに類似する物質から選ばれるものである。上記脂肪族アルコールは、単独又は複数を組み合わせて用いる。その中で、好ましくは分支構造を有するアルコール類(branched alcohol)であり、さらに好ましくはtert−ブチルアルコール及び2−メチル−3−ブテン−2−オールである。
【0031】
具体的に、有機脂環族カーボネートは、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、1,2−ブチレンカーボネート(1,2−butylene carbonate)、ペンチレンカーボネート(pentylene carbonate)、ヘキシレンカーボネート(hexylene carbonate)、オクチレンカーボネート(octylene carbonate)、ドデシレンカーボネート(dodecylene carbonate)、グリセロールカーボネート(glycerol carbonate)、スチレンカーボネート(styrene carbonate)、3−フェニルプロピレンカーボネート(3−phenyl propylene carbonate)、シクロヘキセンカーボネート(cyclohexene carbonate)、ビニルエチレンカーボネート(vinyl ethylene carbonate)、4,4−ジメチル−5−メチレン−(1,3)−ジオキソラン−2−オン(4,4−dimethyl−5−methylene−(1,3)dioxolan−2−one)、4−アリル−4,5−ジメチル−5−(10−ウンデシレン)−1,3−ジオキソラン−2−オン(4−allyl−4,5−dimethyl−5−(10−undecenyl)−1,3−dioxolan−2−one)、及びそれに類似する物質から選ばれるものである。
【0032】
本発明において、脂肪族アルコール及び有機脂環族カーボネートを混合してなる有機錯体配位子によって、複金属シアン化物触媒がより高い活性を有し、ポリオールを生産するときに生成物中の高分子量化合物(平均分子量が400,000より大きい)の含有量を低減できる。有機錯体配位子に有機脂環族カーボネートを含まずに脂肪族アルコールのみで構成すると、例えば、米国特許US5470813に開示の技術と同じように、複金属シアン化物触媒が高い活性を有する。しかし、ポリオールの製造に用いる時に、生成物中の高分子量化合物(平均分子量が400,000より大きい)の含有量が多すぎるので、期待を満足できない。有機錯体配位子に脂肪族アルコールを含まずに有機脂環族カーボネートのみで構成すると、複金属シアン化物触媒の活性が大幅に低下し、生産した生成物の分子量の範囲が広くなり、粘度が大幅に向上する。
【0033】
本発明に開示の有機錯体配位子は、その中の脂肪族アルコール及び有機脂環族カーボネートの混合比例の範囲を調整することで、複金属シアン化物触媒の活性及びポリオールの粘度等他の類似性質を調整できる。その中で、有機錯体配位子中の有機脂環族カーボネートについて、好ましい濃度範囲は2〜98mol%であり、さらに好ましい濃度範囲は5〜95mol%であり、最も好ましい濃度範囲は10〜50mol%である。
【0034】
本発明に開示の高活性複金属シアン化物触媒は、少なくとも1種の機能化重合物又はそれらの水溶性塩類を選択的に含む。機能化重合物の定義は、1種類又は複数官能基を有する重合物である。前記官能基は、酸素(oxygen)、窒素(nitrogen)、硫黄(sulfur)、リン(phosphorus)、又はハロゲン(halogen)が挙げられるが、それらに限定されていない。具体的に、機能化重合物は、ポリエーテル類(polyethers)、ポリエステル類(polyesters)、ポリカーボネート類(polycarbonates)、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル類(polyalkylene glycol sorbitan esters)、ポリアルキレングリコールグリシジル類(polyalkylene glycol glycidyl ethers)、ポリアクリルアミド類(polyacrylamide)、ポリアクリル酸−アクリルアミド類(Poly(acrylamide−co−acrylic acids))、ポリアクリル酸類(polyacrylic acids)、アクリル酸マレイン酸共重合体(poly(acrylic acid−co−maleic acid))、N−ビニルピロリドン−アクリル酸共重合体(poly(N−vinylpyrrolidone−co−acrylic acids))、アクリル酸−スチレン共重合体(poly(acrylic acid−co−styrenes))及びその塩、マレイン酸(maleic acids)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(styrenes andmaleic anhydride copolymers)及びその塩、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitriles)、ポリアルキルアクリレート(polyalkyl acrylates)、ポリアルキルメタクリレート(polyalkylmethacrylates)、ポリビニルメチルエーテル(polyvinyl methyl ethers)、ポリビニルエチルエーテル(polyvinyl ethyl ethers)、ポリビニルアセテート(polyvinyl acetates)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohols)、ポリ−N−ビニルピロリドン(poly−N−vinylpyrrolidones)、ポリビニルメチルケトン(polyvinyl methyl ketones)、ポリ(4−ビニルフェノール)(poly(4−vinylphenols))、オキサゾリン重合物(oxazoline polymers)、ポリアルキレンイミン(polyalkyleneimines)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcelluloses)、ポリアセタール(polyacetals)、グリシジルエーテル(glycidyl ethers)、グリコシド類(glycosides)、ポリオールカルボン酸エステル(carboxylic acid esters of polyhydric alcohols)、胆汁酸(bile acids)及びその塩又はエステル又はアミド類、シクロデキストリン類(cyclodextrins)、リン化合物、不飽和カルボン酸エステル(unsaturated carboxylic acid esters)、及びイオン型表面又は界面活性剤(ionic surface−or interface−active compounds)から選ばれるものである。機能化重合物は、好ましくはポリエーテル類である。他に適用できる本発明の機能化重合物の種類について、米国特許US 5714428を参照できる。
【0035】
機能化重合物又はそれらの水溶性塩類は、室温で水、又は水と互溶できる溶剤からなる溶液に対する溶解度が3wt%以上である。具体的に、水と互溶できる溶剤はテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、アセトン(acetone)、アセトニトリル(acetonitrile)、tert−ブチルアルコール(tert−butyl alcohol)、及びそれに類似する物質である。機能化重合物又はそれらの水溶性塩類の水溶性は非常に重要である。複金属シアン化物を形成、沈澱した時に、機能化重合物又はそれらの水溶性塩類がそれと結合するかどうかは、前記性質によって決定される。
【0036】
機能化重合物の好ましい含有量は、複金属シアン化物触媒の2〜80wt%であり、好ましい含有量は5〜70wt%であり、より好ましい含有量は10〜60wt%である。
【0037】
図1を参照しながら本発明の高活性複金属シアン化物触媒の製造方法の工程を説明する。
【0038】
まず、工程S100のように、2種類の金属前駆体溶液を前記有機錯体配位子の存在下で混合反応し、少なくともその中の1種類の金属前駆体溶液はシアン化物(cyanide)配位子を含む。その中に、少なくともその中の1種類の金属前駆体溶液中に有機錯体配位子を存在させ、金属前駆体溶液中の金属前駆体と予めに混合した後、2種類の金属前駆体溶液を混合する処理工程、又は、2種類の金属前駆体溶液のいずれも有機錯体配位子を含まず、2種類の金属前駆体溶液を混合した後、直ちに有機錯体配位子を添加することで、沈澱物を生成する処理工程を採用できる。本発明に使用する金属前駆体溶液中及び/又は有機錯体配位子において、少なくとも1つの機能化重合物又はそれらの水溶性塩類を別で添加又は不添加することができる。
【0039】
上記各反応物の結合は、任意な混合方法、例えば一般混合(simple mixing)、高せん断混合(high−shear mixing)、又は均質化(homogenization)等の方法で行う。その中で、好ましくは均質化又は高せん断混合の方法で反応物を均一混合する。
【0040】
本発明に開示の高活性複金属シアン化物触媒の製造方法において、金属前駆体溶液混合反応の環境は、好ましくは水溶液系であり、前記水溶液系の温度範囲は10〜80℃である。
【0041】
そして、工程S110のように、混合反応後の溶液を洗浄、濾過を繰り返すことで、反応系中の塩類を充分に除去する。
【0042】
反応溶液に生成した高活性複金属シアン化物触媒は、一般的な従来技術、例えば遠心分離(centrifugation)、濾過(filtration)、加圧濾過(filtration under pressure)、デカンテーション(decanting)、相分離(phase separation)又は水分離(aqueous separation)によって液体から分離することができる。
【0043】
反応溶液に生成した高活性複金属シアン化物触媒は、脂肪族アルコールと水を混合した脂肪族アルコール水溶液で洗浄できる。前記脂肪族アルコール水溶液において、少なくとも1種の機能化重合物、又は2種類以上の機能化重合物の混合物又は結合物を含有できる。高活性複金属シアン化物触媒を洗浄して分離した後、さらに脂肪族アルコール水溶液又はアルコール類を含有する水溶液を利用して洗浄できる。その中で、脂肪族アルコール水溶液又はアルコール類を含有する水溶液において、少なくとも1種の機能化重合物、又は2種類以上の機能化重合物の混合物又は結合物を含有できる。高活性複金属シアン化物触媒の最終洗浄工程は、好ましくは水を含まない溶液を使用する。
【0044】
最後に、工程S120にように、高活性複金属シアン化物触媒を溶液から分離する。
【0045】
さらに、本発明において、ポリオールの製造方法、特にポリエーテルポリオール類の製造方法が開示されている。次に、
図2を参照しながら、本発明により製造した高活性複金属シアン化物触媒をポリオールの製造方法に用いる工程を説明する。
【0046】
工程S200のように、本発明により製造した高活性複金属シアン化物触媒を使用し、1種類又は複数アルキレンオキシド(alkylene oxide)と、1種類又は複数構造に活性水素原子を有する初期化合物(starter compound)とを重付加(polyaddition)反応することで、ポリオールを生成する。
【0047】
本発明において、好ましくはアルキレンオキシドを使用する。前記アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されていない。単体として、1種類のアルキレンオキシド、任意に配列した2〜3種類の異なるアルキレンオキシド、又はブロック状(blockwise)に配列した2〜3種類の異なるアルキレンオキシドを使用し、アルコキシ化(alkoxylation)することで任意なポリオール構造にポリエーテル鎖を形成できる。
【0048】
本発明に使用する構造に活性水素原子を有する初期化合物は1〜8個のヒドロキシ基を有するが、それらに限定されていない。その平均分子量の範囲は18〜2000であり、好ましい範囲は32〜2000である。具体的に、構造に活性水素原子を有する初期化合物は、ポリオキシプロピレンポリオール(polyoxypropylene polyols)、ポリオキシエチレンポリオール(polyoxyethylene polyols)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(poly(tetramethylene ether)glycols)、グリセロール(glycerol)、プロポキシル化グリセロール(propoxylated glycerols)、プロピレングリコール(propylene glycol)、トリプロピレングリコール(tripropylene glycol)、アルコキシ化アリルアルコール(alkoxylated allylic alcohols)、ビスフェノールA(bisphenol A)、ペンタエリトリトール(pentaerythritol)、ソルビトール(sorbitol)、スクロース(sucrose)、分解デンプン(degraded starch)、マンニッヒポリオール(Mannich polyols)、水、及び上記いずれかの混合物である。
【0049】
本発明に使用する構造に活性水素原子を有する初期化合物は、任意な従来方法、例えばバッチ(batch)、半バッチ(semi−batch)、又は連続式(continuous)プロセスによりアルコキシ化を行うが、それらに限定されていない。アルコキシ化の温度範囲は25〜200℃であり、好ましい温度範囲は50〜180℃であり、より好ましい範囲は60〜150℃である。アルコキシ化の圧力範囲は0.0001〜20バール(bar)である。アルコキシ化するときに、本発明の高活性複金属シアン化物触媒の好ましい添加量は、選択した反応条件で反応を充分に制御できる必要量である。一般的に、反応系中の高活性複金属シアン化物触媒の濃度範囲は0.0005〜1wt%であり、好ましい濃度範囲は0.001〜0.1wt%であり、より好ましい濃度範囲は0.001〜0.005wt%である。
【0050】
本発明により製造したポリオール構造に1〜8個のヒドロキシ基を有し、好ましいヒドロキシ基数が2〜6であり、より好ましいヒドロキシ基数が2〜4である。アルキレンオキシド及び構造に活性水素原子を有する初期化合物の比例は、得ようとするポリオールの目標分子量に関する。前記比例が高いほど、得られるポリオールの分子量が高い。一般的に、前記ポリオールの分子量の範囲は500〜100,000g/molであり、好ましい分子量の範囲は1,000〜20,000g/molであり、より好ましい分子量の範囲は2,000〜16,000g/molである。
【0051】
本発明の高活性複金属シアン化物触媒をポリオールの生産に使用するときに、生成物中の高分子量化合物(平均分子量が400,000より大きい)の含有量を低減できる。また、従来技術の複金属シアン化物触媒と比べて、本発明の高活性複金属シアン化物触媒は明らかにより良い反応性を有する。高分子量化合物(平均分子量が400,000より大きい)は任意適切な方法により定量できる。本発明において、高分子量化合物(平均分子量が400,000より大きい)の定量方法はゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)であり、使用する分析設備としては、台湾ウォーターズ株式会社から提供した型番:ACQUITY APC Systemであり、検出器型番:ACQUITY ELSDであり、使用するカラムの組み合わせは、ACQUITY APC XT 45Å, 1.7μm,4.6mm X 150mm、ACQUITY APC XT 125Å, 2.5μm,4.6mm X 150mm、及びACQUITY APC XT 200Å, 2.5μm,4.6mm X 150mmの三本を直列に接続したものである。さらに、ポリオール中の高分子量化合物含有量分析を行って、分子量が20,000〜1,000,000のポリスチレンを利用して検量線を作成する。定量分析の検出限界は5ppmであり、分子量の分析範囲は1,000〜2,000,000である。
【実施例】
【0052】
以下、いくつの具体的な実施例により、本発明において、高活性複金属シアン化物触媒を効率的に生成し、アルキレンオキシド類化合物と、構造に活性水素原子を有する初期化合物とを、前記触媒により重付加反応することで、ポリオールを生産することを説明する。
【0053】
実施例1
[有機錯体配位子としてエチレンカーボネート(EC)及びtert−ブチルアルコール(TBA)を利用して高活性複金属シアン化物触媒を製造]
塩化亜鉛(ZnCl
2)94g、エチレンカーボネート(EC)33g、tert−ブチルアルコール(TBA)176g、及び水1375gを混合して溶液Aを製造した。ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム(K
3Co(CN)
6)38g、エチレンカーボネート(EC)13g、tert−ブチルアルコール(TBA)71g、及び水500gを混合して溶液Bを製造した。室温で溶液Aと溶液Bを混合して均一攪拌した後、溶液中に白い固体が生成した。加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、それをtert−ブチルアルコール508g及び水275gからなる混合溶液中に分散し、室温で攪拌して均一分散させた。そして、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、それをtert−ブチルアルコール723gに分散し、室温で攪拌して均一分散させた。次に、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、60℃で真空乾燥した後、高活性複金属シアン化物触媒を得た。
【0054】
実施例2
[有機錯体配位子としてエチレンカーボネート(EC)及びtert−ブチルアルコール(TBA)を利用して高活性複金属シアン化物触媒を製造]
製造方法は実施例1と同じであるが、溶液A中のエチレンカーボネートを51gに、tert−ブチルアルコールを159gに変更し、溶液B中のエチレンカーボネートを20gに、tert−ブチルアルコールを64gに変更した。
【0055】
実施例3
[有機錯体配位子としてエチレンカーボネート(EC)及びtert−ブチルアルコール(TBA)を利用し、機能化重合物であるポリプロピレングリコール(PPG)を添加して高活性複金属シアン化物触媒を製造]
塩化亜鉛(ZnCl
2)94g、エチレンカーボネート(EC)33g、tert−ブチルアルコール(TBA)176g、及び水1375gを混合して溶液Aを製造した。ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム(K
3Co(CN)
6)38g、エチレンカーボネート(EC)13g、tert−ブチルアルコール(TBA)71g、及び水500gを混合して溶液Bを製造した。分子量400のポリプロピレングリコール40g、テトラヒドロフラン(THF)9g、及び水250gを混合して溶液Cを製造した。室温で溶液Aと溶液Bを混合して均一攪拌した後、溶液Cを溶液Aと溶液Bの混合溶液に添加して3分間攪拌した。そして、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、それを分子量400のポリプロピレングリコール10g、テトラヒドロフラン9g、tert−ブチルアルコール508g、及び水275gからなる混合溶液中に分散させ、室温で攪拌して均一分散させた。次に、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、それを分子量400のポリプロピレングリコール5g、テトラヒドロフラン9g、及びtert−ブチルアルコール723gの混合溶液中に分散させ、室温で攪拌して均一分散させた。そして、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、60℃で真空乾燥することで、高活性複金属シアン化物触媒を得た。
【0056】
比較例1
[有機錯体配位子としてtert−ブチルアルコール(TBA)を利用して高活性複金属シアン化物触媒を製造]
塩化亜鉛100g、tert−ブチルアルコール388g、及び水1000gを混合して溶液Aを製造した。ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム(K
3Co(CN)
6)40g、及び水400gを混合して溶液Bを製造した。室温で溶液Aと溶液Bを混合して均一攪拌した後、溶液中に白い固体が生成した。加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、それをtert−ブチルアルコール680g及び水375gからなる混合溶液中に分散させ、室温で攪拌して均一分散させた。次に、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、それをtert−ブチルアルコール970g中に分散させ、室温で攪拌して均一分散させた。そして、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、60℃で真空乾燥することで、高活性複金属シアン化物触媒を得た。
【0057】
比較例2
[有機錯体配位子としてtert−ブチルアルコール(TBA)を利用し、機能化重合物であるポリプロピレングリコール(PPG)を添加して高活性複金属シアン化物触媒を製造]
塩化亜鉛100g、tert−ブチルアルコール388g、及び水750gを混合して溶液Aを製造した。ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム(K
3Co(CN)
6)40g、及び水400gを混合して溶液Bを製造した。分子量400のポリプロピレングリコール40g、tert−ブチルアルコール8g、及び水250gを混合して溶液Cを製造した。室温で溶液Aと溶液Bを混合して均一攪拌した後、溶液Cを溶液Aと溶液Bの混合溶液に添加して3分間攪拌し、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、それを分子量400のポリプロピレングリコール10g、tert−ブチルアルコール680g、及び水375gからなる混合溶液に分散させ、室温で攪拌して均一分散させた。次に、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、それを分子量400のポリプロピレングリコール5g及びtert−ブチルアルコール970gの混合溶液に分散させ、室温で攪拌して均一分散させた。そして、加圧濾過方法により固体を溶液から分離させ、60℃で真空乾燥することで、高活性複金属シアン化物触媒を得た。
【0058】
触媒の触媒活性の評価:ポリエーテルポリオールの合成
【0059】
実施例4
[分子量2000のポリオキシプロピレンジオール(polyoxypropylene diol、Poly(PO)diol)の製造方法]
ポリプロピレングリコール開始物(starter)750g(ヒドロキシル価(hydroxyl value)=280mg KOH/g)及び触媒50ppm(生成物の総重量に基づく)を耐圧反応器に添加し、窒素環境で120℃に加熱しながら攪拌した。次に、第1段階のプロピレンオキシド(PO)添加を行い、即ちプロピレンオキシド225gを反応器に添加した。反応器の圧力が低下し始めた時(触媒が活性化することを示す)に、第2階段階のプロピレンオキシド添加を行い、即ちプロピレンオキシド2891gを連続フィード方法で反応器に添加した。プロピレンオキシドの添加を完成した後、120℃で30分間攪拌した後、室温まで冷却した。反応器で生成したポリエーテルポリオールを取り出して必要な鑑定をした。触媒活性化時間の定義としては、一回目のプロピレンオキシド添加から反応器の圧力が低下し始めるまでの時間である。触媒活性の定義としては、1分間に触媒1gあたりプロピレンオキシドをプロポキシル化する触媒作用量である。反応の結果は表1に示す。
【0060】
実施例5
分子量6000のポリオキシプロピレントリオール(polyoxypropylene triol、Poly(PO)triol)の製造方法は実施例4と同じであり、その中に、ポリプロピレングリコール開始物(starter)(ヒドロキシル価(hydroxyl value)=280mg KOH/g)750gをプロポキシ化グリセリン(propoxylated glycerin)(ヒドロキシル価=240mg KOH/g)650gに変更し、第1段階のプロピレンオキシド添加を110gに、第2階段階のプロピレンオキシド添加を4875gに変更する。反応の結果は表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
図3及び
図4において、それぞれ実施例1及び実施例3の製造方法で製造した触媒を使用した6KポリオキシプロピレントリオールのGPC解析チャートを示す。
【0064】
実施例1及び実施例2の実験結果(表1)から分かるように、本発明により製造した高活性複金属シアン化物触媒は、エチレンカーボネート添加量の変更により触媒特性を制御できることで、ポリオール生成物の特性を調整する目標を達成できる。
【0065】
実施例1、実施例3、比較例1及び比較例2の実験結果(表1、表2、
図3、及び
図4)から分かるように、従来の複金属シアン化物触媒を利用するのと比べて、本発明で製造した高活性複金属シアン化物触媒は、明らかにより良い触媒活性を有し、触媒活性化の必要時間が短く、単位時間内のプロピレンオキシドの触媒作用反応量がより高く、また、生産したポリエーテルポリオール製品において、明確な高分子量化合物が存在(濃度検出限界は5ppmであり、分子量検出範囲は1,000〜2,000,000である)しない。
【0066】
結論として、本発明の高活性複金属シアン化物触媒、及びその製造方法、並びにその応用によってポリオールを生産すると、従来技術に開示の触媒合成プロセスに有機脂環族カーボネートを添加するだけで、その触媒活性を向上し、生産したポリオール製品の高分子量化合物の含有量を低減できるので、産業上の利用可能性が高い。
【0067】
以上の内容は本発明の好ましい実施例を示すものであり、本発明の範囲を制限するものではない。すなわち、本発明の請求項に記載の特徴及び趣旨に基いて行った均等論的な変更及び追加は、当然本発明に包含されるものである。