特許第6861151号(P6861151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861151骨および軟組織の治癒および再生を向上させるための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861151
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】骨および軟組織の治癒および再生を向上させるための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/644 20150101AFI20210412BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20210412BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20210412BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20210412BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 27/12 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 27/22 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 27/46 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 27/34 20060101ALI20210412BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   A61K35/644
   A61K47/42
   A61K47/34
   A61K47/02
   A61K9/70
   A61L27/12
   A61L27/18
   A61L27/22
   A61L27/46
   A61L27/56
   A61L27/58
   A61L27/34
   A61P19/00
   A61L27/20
【請求項の数】24
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-527194(P2017-527194)
(86)(22)【出願日】2015年8月5日
(65)【公表番号】特表2017-526739(P2017-526739A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】US2015043789
(87)【国際公開番号】WO2016022670
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2018年8月3日
(31)【優先権主張番号】62/033,599
(32)【優先日】2014年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517037238
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ メンフィス
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ボウリン ゲーリー リー
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス アイザック アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】バーガー ブレントン ウォルター
【審査官】 横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02484319(GB,A)
【文献】 特表2007−515950(JP,A)
【文献】 Carbohydrate Polymers, 2012, Vol.88 No.1, p.75-83
【文献】 Polymers for Advanced Technologies, 2011, Vol.22 No.12, p.2222-2230
【文献】 Biomacromolecules, 2009, Vol.10 No.8, p.2019-2032
【文献】 Key Engineering Materials, 2007, Vol.342/343, p.169-172
【文献】 Journal of Applied Polymer Science, 2010, Vol.117 No.1, p.542-547
【文献】 Biomacromolecules, 2006, Vol.7 No.2, p.635-643
【文献】 Carbohydrate Polymers, 2004, Vol.57 No.3, p.285-292
【文献】 Carbohydrate Pol., 2012, Vol.87, p.799-805
【文献】 Int J Appl Pol Sci., 2008, Vol.110, p.890-899
【文献】 Cells, 2013, Vol.2, p.244-265(doi:10.3390/cells2020244)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00
A61K 9/00
A61K 47/00
A61L 27/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)100重量部の生分解性タンパク質ポリマー、
b)100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜300重量部の量のハチミツ、および
c)ヒドロキシアパタイトまたはキチンウィスカーを含む結晶質フィラーであって、100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜300重量部の量の結晶質フィラーと、
を含み、
固形である、骨および軟組織の成長および治癒を促進させるための組成物。
【請求項2】
前記生分解性タンパク質ポリマーがゼラチンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記生分解性タンパク質ポリマーがコラーゲンを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記生分解性タンパク質ポリマーが、ポリ(乳酸)、ポリジオキサノン(PDO)とブレンドされたゼラチンまたはコラーゲンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記結晶質フィラーが、100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜100重量部の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ハチミツが、100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1重量部〜15重量部の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ハチミツが、100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して5重量部〜10重量部の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、少なくとも1種類のさらなるフィラーまたは少なくとも1種類の抗生物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
a)100重量部の生分解性タンパク質ポリマー、
b)100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜300重量部の量のハチミツ、および
c)ヒドロキシアパタイトまたはキチンウィスカーを含む結晶質フィラーであって、100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜300重量部の量の結晶質フィラーと、
を含み、固形である、骨および軟組織の成長および治癒を促進させるための膜。
【請求項10】
請求項に記載の膜の少なくとも2つの層を含む多重層膜。
【請求項11】
請求項に記載の膜の2〜4つの層を含む、請求項10に記載の多重層膜。
【請求項12】
請求項に記載の膜の4つの層を含む、請求項10に記載の多重層膜。
【請求項13】
前記少なくとも2つの層が架橋されている、請求項10に記載の多重層膜。
【請求項14】
前記少なくとも2つの層が、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ゲニピンまたはグルタルアルデヒドによって架橋されている、請求項10に記載の多重層膜。
【請求項15】
a)分散体を形成するために前記結晶質フィラーを溶媒中に分散させる工程、および
b)請求項1に記載の組成物を形成するために、前記生分解性タンパク質ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせる工程
を含む、請求項1に記載の組成物の作製方法。
【請求項16】
溶媒が2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)または9:1の酢酸:水である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
a)100重量部の生分解性タンパク質ポリマー、
b)100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜300重量部の量のハチミツ、および
c)ヒドロキシアパタイトまたはキチンウィスカーを含む結晶質フィラーであって、100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜300重量部の量の結晶質フィラーと、
を含み、固形である、骨および軟組織の成長および治癒を促進させるための繊維。
【請求項18】
a)分散体を形成するために、前記結晶質フィラーを溶媒中に分散させる工程と、
b)組成物を形成するために、前記生分解性タンパク質ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせる工程と、
c)請求項17に記載の繊維を形成するために、前記組成物をエレクトロスピニングする工程と
を含む、請求項17に記載の繊維の作製方法。
【請求項19】
a)分散体を形成するために、前記結晶質フィラーを溶媒中に分散させる工程と、
b)組成物を形成するために、前記生分解性タンパク質ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせる工程と、
c)繊維を形成することにより請求項に記載の膜を形成するために、前記組成物をエレクトロスピニングする工程と、
を含む、請求項に記載の膜の作製方法。
【請求項20】
a)分散体を形成するために、前記結晶質フィラーを溶媒中に分散させる工程と、
b)前記生分解性タンパク質ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせる工程と、
c)スポンジを形成するために、前記分散体から溶媒を除去する工程と、および
d)請求項に記載の膜を形成するために、前記スポンジを圧縮する工程と
を含む、請求項に記載の膜の作製方法。
【請求項21】
前記圧縮する工程が、スポンジを少なくとも3000ポンドの圧力で圧縮することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、ブロック、粒状体、膨潤膜、非圧縮膜または圧縮膜を形成するために膜を加工する工程を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
a)100重量部の生分解性タンパク質ポリマー、
b)100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜300重量部の量のハチミツ、および
c)ヒドロキシアパタイトまたはキチンウィスカーを含む結晶質フィラーであって、100重量部の前記生分解性タンパク質ポリマーに対して1〜300重量部の量の結晶質フィラーと、
を含み、固形である、骨および軟組織の成長および治癒を促進させるための多重層膜。
【請求項24】
a)分散体を形成するために、前記結晶質フィラーを溶媒中に分散させる工程と、
b)前記生分解性タンパク質ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせる工程と、
c)繊維を形成するために前記組成物をエレクトロスピニングする工程と、
d)少なくとも2つの不織メッシュ膜を形成するために、前記繊維を収集する工程と、
および
e)請求項23に記載の多重層膜を形成するために、前記少なくとも2つの不織メッシュ膜を結合させる工程
を含む、請求項23に記載の多重層膜の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性バリア材料ならびに骨および軟組織の成長および治癒を促進させるためのかかる材料のインビトロおよびインビボでの使用方法を特色とするものである。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
臨床的に、上顎および下顎における骨吸収は歯列がなくなった後に起こる。部分的無歯(partial edentulism)は、成人集団の40%に起こっており、次の15年間で2億人を超えるまで増えると推計されている(Facts and Figures.2012,American College of Prosthodontics)。かかる症例では、骨吸収によって歯槽堤の幅と高さの減少が引き起こされ、歯を失ってから最初の1年間に骨幅の50%の減少が起こり、そのうち3分の2は最初の3ヶ月間に起こる(Schropp,L.,et al.,Int J Periodontics Restorative Dent,2003.23(4):p.313−23)。この結果は、患者の歯列を歯科インプラントによって回復させる前に、この失われた骨構造を元に戻すための別途の処置が必要とされるということである。高さと幅の両方のために欠損した歯槽堤を移植するための種々の外科処置が利用可能である。これを行なうため、骨移植片、一般的には同種移植片骨の粉末/粒状体またはブロックを空隙空間内に配置し、骨再生の標的化のための骨伝導性/骨誘導性の手がかりをもたらす。このような処置の多くは、所定の位置の骨移植片ならびに軟組織を維持するために、骨再生誘導(GBR)膜を利用する。これまでのところ、大きな欠損部の歯槽堤骨移植のための「理想的な」GBR膜はまだ開発されていない(Bottino,M.C.,et al.,Dent Mater,2012.28(7):p.703−21 ;Dimitriou,R.,et al.,BMC Med,2012.10:p.81)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
抜歯の際に膜バリアとして現在使用されているバイオマテリアルは、多くの場合、取扱いが困難であり、分解が速く、骨移植片上の組織の完全でタイムリーな閉鎖に重要な創傷再生の向上がもたらされないものである。骨成長を補助し、骨および軟組織の治癒を促進させ、感染を抑止し得る生分解性材料が緊急に必要とされている。かかる材料は、骨および軟組織を冒す傷害、病状および障害の処置に有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[発明の概要]
本明細書に記載のように、本発明は、生分解性バリア材料ならびに骨および軟組織の成長および治癒を促進させるためのかかる材料のインビトロおよびインビボでの使用方法を特色とするものである。
【0005】
一態様において、本発明により、
a)生分解性ポリマー、および
b)ハチミツ
を含む組成物を提供する。
【0006】
一部の特定の実施形態では、前記組成物はさらに、c)フィラーを含むものである。
【0007】
一部の特定の実施形態では、生分解性ポリマーがタンパク質を含むものである。一部の特定の実施形態では、前記タンパク質がゼラチンである。一部の特定の実施形態では、前記タンパク質がコラーゲンである。
【0008】
一部の特定の実施形態では、生分解性ポリマーがポリ(乳酸)を含むものである。
【0009】
一部の特定の実施形態では、ハチミツが、100重量部の生分解性ポリマー(例えば、ゼラチン)に対して約1重量部〜約300重量部の量で存在している。一部の特定の実施形態では、ハチミツが、100重量部の生分解性ポリマー(例えば、ゼラチン)に対して約1重量部〜約100重量部、約1重量部〜約50重量部、約1重量部〜約15重量部または特に約5重量部〜約10重量部の量で存在している。
【0010】
一部の特定の実施形態では、フィラーが、100重量部の生分解性ポリマーに対して1〜300重量部の量で存在している。好ましくは、フィラーが、約1〜100重量部、5〜50重量部または特に10〜20重量部の量で存在している。
【0011】
一部の特定の実施形態では、フィラーが、ナノフィラー、マイクロフィラーまたはその混合物を含むものである。ナノフィラーは、約1nm〜約999nmの範囲または約1μm未満のナノスケールの平均直径を有するものである。一部の特定の実施形態では、ナノフィラーは好適には、約990nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約200nm未満または約100nm未満の平均直径を有するものである。一部の特定の実施形態では、ナノフィラーは好適には、約1〜100nm、約10〜80nm、約25〜75nmまたは特に約50nmの平均直径を有するものである。マイクロフィラーは、少なくとも約1μmのマイクロスケールの平均直径を有するミクロンサイズのフィラーである。マイクロフィラーは好適には、ほぼ約10μm未満、約9μm未満、約8μm未満、約7μm未満、約6μm未満、約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満または特に約1〜2μmの平均直径を有するものである。
【0012】
一部の特定の実施形態では、フィラーがキチンウィスカーを含むものである。一部の特定の実施形態では、フィラーがヒドロキシアパタイトを含むものである。一部の特定の実施形態では、フィラー(キチンウィスカーなど)は、100重量部の生分解性ポリマーに対して約15重量部の量で存在している。一部の特定の実施形態では、キチンウィスカーが約25〜75nmの平均直径または特に約50nmの平均直径を有するものである。一部の特定の実施形態では、キチンウィスカーが約200〜400nm、約250〜300nmまたは特に約280nmの平均長さを有するものである。
【0013】
一部の特定の実施形態では、前記組成物は、さらに、少なくとも1種類もしくはそれ以上のさらなるフィラーまたは少なくとも1種類もしくはそれ以上の治療用薬剤(例えば、抗生物質)を含むものである。一部の特定の実施形態では、治療用薬剤が治療有効量のハチミツである。具体的な実施形態では、前記組成物は、さらに、100重量部の生分解性ポリマーに対して約50重量部〜約300重量部または約100重量部〜約200重量部の範囲である抗菌有効量のハチミツを含むものである。具体的な実施形態では、前記組成物は、さらに、再生(細胞の増殖および遊走)を刺激または向上させるために、100重量部の生分解性ポリマーに対して約10重量部〜約100重量部、約20重量部〜約70重量部の範囲または特に約50重量部である有効量のハチミツを含むものである。治療的使用のためのハチミツは、上記のハチミツと同じであるか、または異なっている。
【0014】
別の態様において、本発明により、
a)生分解性ポリマー、
b)ハチミツ
を含む膜を提供する。
【0015】
一部の特定の実施形態では、前記膜が、さらにフィラーを含むものであり得る。
【0016】
別の態様において、多重層膜は、本発明の膜の少なくとも2つの層を含む。
【0017】
一部の特定の実施形態では、多重層膜は本発明の膜の2〜4つの層を含む。一部の特定の実施形態では、多重層膜は前記膜の4つの層を含む。一部の特定の実施形態では、前記少なくとも2つの層が架橋型である。一部の特定の実施形態では、前記少なくとも2つの層が、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ゲニピン、グルタルアルデヒドまたはその混合物による架橋型である。
【0018】
別の態様において、本発明により、本発明の組成物(すなわち、生分解性ポリマーおよびハチミツを含む組成物)の作製方法を提供する。前記組成物は、さらにフィラーを含むものであってもよい。前記方法は、生分解性ポリマーおよびハチミツを溶媒と合わせることにより組成物を形成することを含むものである。
【0019】
好ましくは、前記方法は、
a)フィラーを溶媒中に分散させて分散体を形成すること、ならびに
b)生分解性ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせ、前記組成物を形成すること
を含むものである。
【0020】
一部の特定の実施形態では、溶媒は2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)または9:1の酢酸:水である。一部の特定の実施形態では、溶媒は前記組成物、繊維および/または膜を形成して加工するために使用される条件下でハチミツを有意に可溶化させないものである。
【0021】
別の態様において、本発明により、
a)生分解性ポリマー、および
b)ハチミツ
を含む繊維を提供する。
【0022】
前記繊維は、さらにフィラーを含むものであり得る。
【0023】
好ましい一態様において、「繊維」は、ナノファイバー、マイクロファイバー、またはナノ−マイクロファイバーを含むものであり得る。繊維は、数または総厚さに制限なく束に形成され得、ナノファイバー、マイクロファイバー、ナノ−マイクロファイバーまたはその混合物を含むものである。一部の特定の実施形態では、ナノファイバーは、約1nm〜約950nmの範囲のナノスケールの平均直径または厚さを有するものである。好ましくは、ナノファイバーは好適には、約100nm未満の平均直径または厚さを有するものである。マイクロファイバーは、約1μm〜約950μmの範囲のマイクロスケール平均直径または厚さを有するものである。好ましくは、マイクロファイバーは好適には、ほぼ約10μm未満の平均直径または厚さを有するものである。さらに、ナノ−マイクロファイバーは好適には、約100nm〜約10μmの範囲の平均直径または厚さを有するものである。
【0024】
別の態様において、本発明により、生分解性ポリマーおよびハチミツを含む繊維の作製方法を提供する。前記繊維は、さらにフィラーを含むものであり得る。前記方法は、
生分解性ポリマーおよびハチミツを溶媒と合わせることにより組成物を形成すること、ならびに
前記組成物をエレクトロスピニングして前記繊維を形成すること
を含むものである。
【0025】
好ましくは、前記方法は、
a)フィラーを溶媒中に分散させて分散体を形成すること、
b)生分解性ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせ、組成物を形成すること、ならびに
c)前記組成物をエレクトロスピニングして前記繊維を形成すること
を含むものである。
【0026】
別の態様において、本発明により、生分解性ポリマーおよびハチミツを含む膜の作製方法を提供する。前記膜は、さらにフィラーを含むものであり得る。前記方法は、
生分解性ポリマーおよびハチミツを溶媒と合わせることにより組成物を形成すること、ならびに
前記組成物をエレクトロスピニングして繊維を形成し、それにより前記膜を形成すること
を含むものである。
【0027】
好ましくは、前記方法は、
a)フィラーを溶媒中に分散させて分散体を形成すること、
b)生分解性ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせ、組成物を形成すること、ならびに
c)前記組成物をエレクトロスピニングして繊維を形成し、それにより前記膜を形成すること
を含むものである。
【0028】
別の態様において、本発明により、
a)フィラーを溶媒中に分散させて分散体を形成すること、
b)生分解性ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせること、
c)前記分散体から溶媒を除去してスポンジを形成すること、ならびに
d)前記スポンジを圧縮して膜を形成すること
を含む、本発明の膜の作製方法を提供する。
【0029】
一部の特定の実施形態では、前記圧縮工程が、スポンジを少なくとも3000ポンドの圧力で圧縮することを含む。
【0030】
一部の特定の実施形態では、前記膜をさらに加工し、ブロック、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または圧縮膜を形成する。
【0031】
別の態様において、本発明により、
a)生分解性ポリマー、および
b)ハチミツ
を含む多重層膜を提供する。
【0032】
前記多重層膜は、さらにフィラーを含むものであり得る。
【0033】
別の態様において、本発明により、
生分解性ポリマーおよびハチミツを溶媒と合わせることにより組成物を形成すること、
前記組成物をエレクトロスピニングして繊維を形成すること、
前記繊維を収集し、少なくとも2つの不織メッシュ膜を形成すること、ならびに
前記少なくとも2つの不織メッシュ膜を結合させ、多重層膜を形成すること
を含む、本発明の多重層膜の作製方法を提供する。
【0034】
好ましくは、前記方法は、
a)フィラーを溶媒中に分散させて分散体を形成すること、
b)生分解性ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせること、
c)前記組成物をエレクトロスピニングして繊維を形成すること、
d)前記繊維を収集し、少なくとも2つの不織メッシュ膜を形成すること、ならびに
e)前記少なくとも2つの不織メッシュ膜を結合させ、前記多重層膜を形成すること
を含むものである。
【0035】
多層膜は圧縮してもよく、圧縮しなくてもよい。
【0036】
別の態様において、本発明により、骨表面を本発明の組成物、繊維、圧縮膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、骨再生を促進させる方法を提供する。
【0037】
別の態様において、本発明により、骨欠損部を本発明の組成物、繊維、圧縮膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、骨欠損部の治癒を促進させる方法を提供する。
【0038】
別の態様において、本発明により、骨欠損部を別の態様において、本発明の組成物、繊維、圧縮膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、骨欠損部の感染を予防する方法を提供する。
【0039】
別の態様において、本発明により、損傷組織を本発明の組成物、繊維、圧縮膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、損傷組織において軟組織の治癒を促進させる方法を提供する。
【0040】
別の態様において、本発明により、組織を本発明の組成物、繊維、圧縮膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、組織におけるマクロファージの応答を促進させる方法を提供する。
【0041】
[定義]
特に定義していない限り、本明細書で用いる科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されている意味を有する。以下の参考文献は、当業者に、本明細書で用いている用語の多くの一般定義を示すものである。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(第2版 1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker編,1988)、The Glossary of Genetics,第5版,R.Rieger et al.(編),Springer Verlag(1991)、およびHale & Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。
【0042】
本明細書で用いる場合、特に指定のない限り、以下の用語は、以下にその用語について帰属する意味を有する。
【0043】
「薬剤」により、任意の低分子化合物、抗体、核酸分子、またはポリペプチド、またはその断片を意図する。
【0044】
「改善する」により、疾患の発症または進行の低減、抑制、減弱、減退、停止または安定化を意図する。
【0045】
「改変」により、本明細書に記載のものなどの当該技術分野で既知の標準的な方法によって検出される変化(増加または減少)を意図する。本明細書で用いる場合、改変としては、10%、25%、40%、50%またはそれより大きい変化が挙げられる。
【0046】
「軟組織の疾患または傷害」により、軟組織(1つまたは複数)の正常な機能または結合性を破壊する任意の疾患、障害または外傷を意図する。
【0047】
本開示において、“comprises(〜を含む)”、“comprising(〜を含む)”、“containing(〜を含む)”および“having(〜を有する)”などは、米国特許法において帰属する意味を有するものであり得、“includes(〜を含む)”“including(〜を含む)”などを意味するものであり得る;“consisting essentially of(本質的に〜からなる)”または“consists essentially(本質的に〜からなる)”も同様に、米国特許法において帰属する意味を有し、前記用語はオープンエンドであり、記載のものの基本的または新規な特徴が記載のものに追加のものの存在によって変更されない限り、前記記載のものに追加のものの存在を許容するが、先行技術の実施形態は除外する。
【0048】
「疾患」により、細胞、組織または器官、例えば骨の正常な機能を損傷または妨害する任意の病状または障害を意図する。
【0049】
「有効量」または「治療有効量」により、未処置の被験体と比べて疾患の症状に所望の効果または軽減がもたらされるのに必要とされる本発明の組成物の量を意図する。疾患の治療的処置のために本発明を実施するために使用される細胞組成物の有効量は、投与様式、被験体の年齢、体重および一般健康状態に応じて異なる。最終的には、担当の医師または獣医が適切な量および治療計画を決定する。かかる量は「治療有効」量と称される。「生着」は、対象の既に存在している組織(例えば、骨または軟組織)へのインビボでの細胞の接触および組込みのプロセスをいう。
【0050】
「骨治癒を向上させる」により、対照の状態と比べたときの骨の成長または治癒の程度の増大を意図する。好ましくは、前記増大は少なくとも2倍、2.5倍、3倍またはそれ以上である。
【0051】
「マイクロスケール」により、100nm〜999μmのサイズを意図する。マイクロスケールの粒子はナノチューブよりもサイズが大きい。
【0052】
本明細書で用いる場合、“obtaining an agent(薬剤を得る)”の場合のような“obtaining(〜を得る)”は、前記薬剤を合成すること、購入すること、または別の様式で取得することを包含している。
【0053】
「参照」により、標準または対照状態を意図する。
【0054】
「被験体」により、哺乳動物、例えば限定されないが、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジまたはネコを意図する。
【0055】
本明細書に示している範囲は、前記範囲内のすべての値の省略表現であると理解されたい。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50からなる群の任意の数、数の組合せまたは下位範囲を包含していると理解されたい。
【0056】
本明細書で用いる場合、用語「処置する(“treat”、“treating”)、「処置(“treatment”)」などは、障害および/またはそれに伴う症状の低減または改善をいう。除外はしないが、障害または病状の処置は、前記障害、病状またはそれに伴う症状が完全に消失することを必要とするものではないことを認識されたい。
【0057】
具体的に記載していない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で用いる場合、用語「または/もしくは(“or”)」は包含的であると理解されたい。具体的に記載していない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で用いる場合、用語“a”、“an”および“the”は単数形または複数形であると理解されたい。
【0058】
具体的に記載していない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で用いる場合、用語「約」は、当該技術分野で通常許容される範囲内、例えば、平均の2標準偏差以内であると理解されたい。約は、記載の値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%または0.01%以内であると理解され得る。文脈からそうでないことが明らかでない限り、本明細書に示している数値はすべて、約という用語によって修飾されている。
【0059】
本明細書における可変部の定義(あれば)における化学基の列挙の記載は、任意の単独の基または列挙した基の組合せとしての前記可変部の定義を包含している。本明細書における可変部または態様の実施形態の記載は、任意の単独の実施形態としての、または任意の他の実施形態もしくはその一部との組合せでの前記実施形態を包含している。
【0060】
本明細書において提供する任意の組成物または方法は、本明細書において提供するその他の任意の組成物および方法の1つ以上と組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、ゼラチン+15%のCW+ハチミツの非圧縮型および圧縮型のエレクトロスピニング骨格構造体(非架橋)のSEM画像を示す。スケールバーおよび倍率はそれぞれ、10μmおよび2000倍。
図2図2は、図1のSEM画像を用いたFibraQuant(商標)自動繊維直径解析を示す。上のヒストグラムは、繊維サイズ分布を平均および標準偏差(単位:ミクロン)とともに示す。
図3図3A〜3Bは、圧縮エレクトロスピニング膜の単軸引張試験の結果を示す。A.破損歪み,B.弾性率。
図4図4は、10%ハチミツの例示的な成形可能な含水圧縮膜を示す。
図5図5は、細胞を有する(HDF)圧縮エレクトロスピニング膜のDAPI画像を示す。スケールバーおよび倍率は、それぞれ200μmおよび10倍。
図6図6は、ゼラチン+10%CW+30mg/mLのハチミツの非圧縮型および圧縮型のスポンジの全体の肉眼的外観のDinoLite画像を示す。
図7A図7Aは、種々のサイズの例示的な膜(スポンジ)粒状体を示す。
図7B図7Bは、空隙(ソケット)内に具体的に充填された例示的なスポンジを示す。
図7C図7Cは、粒状体を空隙内に充填した場合の圧縮凍結乾燥膜によって被覆された前記粒状体の例示的な使用を示す。
図7D図7Dは、手で圧縮した例示的な乾燥凍結乾燥スポンジを示す。
図7E図7Eは、含水させた場合の膨潤が元のサイズに戻る例示を示す。
図8図8は、骨格構造体の圧縮に使用されるCarver液圧ユニットを示す。
図9図9は、例示的な機械試験法を模式的に示す。
図10図10は、ゼラチン+CW+MHの非圧縮型および圧縮型の膜のSEM画像(これは、それぞれ200μmおよび100倍のスケールバーおよび倍率を含む)を示す。
図11図11は、累加平均放出測定値で示したゼラチン+CW+MHの分解の結果(BCAアッセイ)を含むグラフを示す;図11Bは、累積放出パーセント測定値で示したゼラチン+CW+MHの分解の結果(BCAアッセイ)を含むグラフを示す。
図12図12は、ゼラチン+CW+MHの細胞を有する(HDF)圧縮膜のDAPI画像を示す。スケールバーおよび倍率は、それぞれ100μmおよび10倍。
図13図13は、例示的な成形可能な含水膜を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
[発明の詳細な説明]
本発明は、ハチミツを含む生分解性ポリマーベースの材料またはマトリックス(例えば、繊維または膜)、ならびに傷害または病状(例えば、歯科の手術に伴う骨の傷害または外傷)を改善するためのかかる組成物のインビトロおよびインビボでの使用方法を特色とするものである。
【0063】
本発明は、少なくとも一部において、ハチミツを含んでいる生分解性の膜が骨および組織の成長と再生を支持し、促進させ得るという知得に基づいている。また、この生分解性の膜は抗菌有効量のハチミツを含むものであり、それにより、感染に対する抗菌的バリアがもたらされ、創傷治癒のための滅菌環境が促進される。
【0064】
[骨格構造体]
一般に、本発明の材料は、生分解性ポリマーとハチミツ(例えば、抗菌量、殺菌性量および/または創傷治癒量のハチミツ)を含むものである。好ましくは、前記材料は、さらにフィラーを含むものであり得る。
【0065】
さまざまな生分解性ポリマーが当該技術分野で知られている。好ましい生分解性ポリマーとしては、タンパク質(ゼラチンおよびコラーゲンなど)、天然に存在しているモノマーから誘導されるポリマー(ポリ(乳酸(PLA)など)、ならびに合成モノマーから誘導されるポリマー(ポリジオキサノン(PDO)など)が挙げられる。望ましくは、生分解性材料は、1年未満、より好ましくは6ヶ月未満の期間で分解するものである。一般に、生体適合性であり、繊維および膜に成形または形成され得る任意の生分解性ポリマーが本発明の材料に使用され得る。また、生分解性ポリマーのコポリマーまたは混合物/ブレンド(多成分)を使用してもよい。
【0066】
他の生体適合性ポリマー(一部のものは生分解性である)としては、例えば、が挙げられる。かかるポリマーとしては、限定されないが、以下のもの、ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)またはシリコーン、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ナイロン、ポリアミド、ポリ無水物、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)(EVOH)、ポリカプロラクトン、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリビニルヒドロキシド、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)およびポリオルトエステルまたは開発されるであろう生物学的に適合性である任意の他の同様の合成ポリマーが挙げられる。好ましい合成マトリックス材料の一例としては、PLA、PGA、PLAとPGAコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、(EVOH)、PVAおよびPEOが挙げられる。また、米国特許第7,374,774号(これは引用により本明細書に組み込まれる)も参照のこと。
【0067】
用語「フィラー」は、本明細書で用いる場合、ポリマー繊維、フィラメントまたは膜に構造的強化または剛直性をもたらす生体適合性の有機材料または無機材料をいう。フィラーは、結晶質のもの、繊維または粒子であり得る。あるいはまた、フィラーは、好適には、ロッド、繊維、球体、長円体、多面体の結晶などの形状を有するものであるが、フィラーの形状は、これらに特に限定されない。フィラーは約1nm〜約950nmの範囲のナノスケールの平均直径を有するもの(ナノフィラー)である。ナノフィラーは好適には、約1〜100nm、約10〜80nm、約25〜75nmまたは特に約50nmの平均直径を有するものである。あるいはまた、フィラーは、少なくとも約100nmより大きいマイクロスケールの平均直径を有するもの(マイクロフィラー)である。マイクロフィラーは好適には、ほぼ約10μm未満、約9μm未満、約8μm未満、約7μm未満、約6μm未満、約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満または特に約1μm未満の平均直径を有するものである。例えば、フィラーはナノ結晶質または繊維材料であり、約100nm未満の平均直径または厚さを有するものであり、好都合には約500nm未満の平均長さを有するものであり得る。好都合には、ナノフィラーは静電電荷を有するものであり得、これにより、創傷部位に埋め込まれるか、または適用された場合、成長因子に付着し得るか、または成長因子を誘引し得る。本発明の材料における使用に適したナノフィラー材料の例としては、キチンウィスカーおよびヒドロキシアパタイトナノ結晶が挙げられる。また、ナノフィラーとマイクロフィラーを含むフィラー混合物も、制限なく使用され得る。
【0068】
本発明の材料は、さらにハチミツを含むものである。任意の型のハチミツが使用され得る。ハチミツの型の例としては、マヌカハニー、レプトスペルムムハニー(Leptospermum Honey)またはソバ蜂蜜が挙げられる。また、異なるハチミツの混合物を使用してもよい。例えば、マヌカハニーは、10より高いUMF値を有する活性な、または治療性のマヌカハニーである。ハチミツは本発明の組成物および材料中に、細菌(例えば、病原性の細菌)の成長または拡延の抑止がもたらされる量で存在させる。例示的な細菌としては、黄色ブドウ球菌(例えば、メタシリン(methacillin)耐性黄色ブドウ球菌(MRSA))、P.gingivalis、表皮ブドウ球菌、Enterococcus faecium、大腸菌、緑膿菌、E.cloacae、およびKlebsiella oxytocaが挙げられる。また、ソバ蜂蜜を、治癒のための有効量で含めてもよい。
【0069】
使用されるハチミツの量は、一部において、本発明の組成物での処置対象の創傷または傷害の性質、抑制する細菌の型、ハチミツの濃度、および使用される具体的なハチミツの抗菌特性に依存する。ハチミツの抗菌(“antibacterial”,“antimicrobial”)特性および殺菌特性は、種々の要素、例えば、メチルグリオキシル(MGO)濃度、ユニーク・マヌカ・ファクター(UMF)、ハチミツ中におけるさらなるフェノール系化合物の存在、創傷部のpH、ハチミツのpH、およびハチミツによってもたらされる浸透圧に依存する。当業者は、本発明の組成物における使用のためのハチミツの好適な型および量を、常套的な範囲内の実験手法を用いて選択することができよう。一部の特定の実施形態では、ハチミツの量は生分解性ポリマーの量の重量に対して1重量部〜15重量部(1〜15重量パーセント)
【0070】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、100重量部の生分解性ポリマーおよび約1重量部〜約15重量部のハチミツを含むものである。前記組成物は、さらに10〜20重量部のフィラーを含んでいてもよい。また、さらなる化合物または薬剤を本明細書に記載のとおりに存在させてもよい。
【0071】
好ましい実施形態では、前記組成物は、さらに、治療有効量のハチミツを含むものである。例えば、100重量部の生分解性ポリマーに対して約50重量部〜約300重量部または約100重量部〜約200重量部の範囲である抗菌有効量のハチミツが前記組成物に添加される。また、再生(細胞の増殖および遊走)を刺激または向上させるために100重量部の生分解性ポリマーに対して約10重量部〜約100重量部、約20重量部〜約70重量部の範囲または特に約50重量部であるさらなる量のハチミツが前記組成物に添加される。
【0072】
[組成物の調製方法]
生分解性ポリマー、フィラーおよびハチミツを含む組成物は、任意の適当な方法(そのいくつかは当該技術分野で知られている)によって調製され得る。一般に、フィラーを溶媒(これは前記フィラーを実質的に溶解させない)中に懸濁または分散させ、分散体または懸濁液が形成され得る。次いで、生分解性ポリマーおよびハチミツをこの分散体または懸濁液と混合し、本発明の組成物を形成する。一部の特定の実施形態では、抗菌効果のため、または再生の向上のために、治療有効量のハチミツが前記組成物にさらに添加される。一部の特定の実施形態では、溶媒は2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)または9:1の酢酸:水である。使用される溶媒の量は、前記組成物を繊維および膜にするエレクトロスピニングまたは他の加工を助長するための最小限であるのがよい。
【0073】
[繊維および膜の調製方法]
生分解性ポリマー、フィラーおよび抗菌有効量のハチミツを含む組成物を使用し、任意の適当な方法(そのいくつかは当該技術分野で知られている)によって繊維および膜が調製され得る。一実施形態において、繊維または膜はエレクトロスピニングによって形成される。エレクトロスピニングは既知の手法(例えば、Li et al.,Biomaterials.2005 Oct;26(30):5999−6008参照)であり、エレクトロスピニング装置は市販品として購入することができる。例えば生分解性ポリマーを含む荷電溶液を、例えば、小開口部またはノズル(通常、ニードルまたはピペット先端)から供給される。その電荷のため、溶液は、典型的には5〜30cm離れた接地収集プレート、例えば、金属製のスクリーン、プレートまたは回転マンドレルに向かって噴流として誘引される。噴流の噴出中、溶媒は徐々に蒸発し、荷電繊維が生じて接地ターゲットに蓄積される。繊維上の電荷は、最終的に周囲環境に放散される。ターゲットがノズルの位置に対して可動である場合、特定の繊維配向(整列またはランダム)が得られ得る。
【0074】
本発明の組成物は、エレクトロスピニング繊維組成物として作製され得る。
一実施形態において、本発明により、
a)フィラーを溶媒中に分散させて分散体を形成すること、
b)生分解性ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせ、組成物を形成すること、ならびに
c)前記組成物をエレクトロスピニングして繊維を形成し、それにより、生分解性ポリマー、フィラーおよび抗菌有効量のハチミツを含む膜を形成すること
を含む、膜の作製方法を提供する。
【0075】
一部の特定の実施形態では、フィラーは前記組成物に、工程a)が省略され得、生分解性ポリマーとハチミツを溶媒と合わせて組成物が形成され得るように添加される。
【0076】
前記方法に、さらに、エレクトロスピニングする前に、少なくとも1種類のさらなるフィラー、少なくとも1種類の治療用薬剤または治療有効量のハチミツを前記組成物に添加することを含めてもよい。エレクトロスピニング膜は多重層に形成され得る。例えば、前記組成物は、1つの層または他の複数層の上面にさらにエレクトロスピニングされ、多重層エレクトロスピニング膜が作出され得る。
【0077】
別の実施形態では、生分解性ポリマー、フィラーおよび抗菌有効量のハチミツを含む分散体から溶媒を除去してスポンジが形成され得る。溶媒は、エバポレーションまたは凍結乾燥(フリーズドライ)によって除去され得る。したがって、一実施形態では、本発明により、
a)フィラーを溶媒中に分散させて分散体を形成すること、
b)生分解性ポリマーおよびハチミツを前記分散体と合わせること、
c)前記分散体から溶媒を除去してスポンジを形成すること、ならびに
d)前記スポンジを圧縮して生分解性ポリマー、フィラーおよび抗菌有効量のハチミツを含む膜を形成すること
を含む、膜の作製方法を提供する。
【0078】
一部の特定の実施形態では、フィラーは前記組成物に、工程a)が省略され得、生分解性ポリマーとハチミツを溶媒と合わせて組成物が形成され得るように添加される。
【0079】
前記方法に、さらに、少なくとも1種類のさらなるフィラー、少なくとも1種類の治療用薬剤または治療有効量のハチミツを前記組成物に添加することを含めてもよい。
【0080】
文脈から、用語「膜」は、本明細書において、いずれかのエレクトロスピニングマット/膜の圧縮後または本明細書に記載のスポンジの圧縮後の生成物をいうために用いていることは認識されよう。したがって、本明細書における「膜」には、繊維圧縮物および圧縮スポンジ両方が包含される(そうでないことが文脈から明らかでない限り)。
【0081】
スポンジを、圧縮する前に凍結乾燥させてもよい。
【0082】
一部の特定の実施形態では、スポンジ(凍結乾燥体または非凍結乾燥体)は、好適には、圧縮する前に、例えば、その用途に基づいて骨移植の用途に応じてブロックまたは粒状体または粉砕形態に加工され得る。
【0083】
あるいはまた、圧縮型のスポンジ、繊維または膜は好適には、圧縮後に骨移植の用途に応じてブロックまたは粒状体または粉砕形態に加工され得る。
【0084】
あるいはまた、スポンジは圧縮しないか、または膨潤潜在能をもたらすだけのために低圧力または実質的に低圧力で、例えば、手で圧縮する(図7D〜7E)。
【0085】
多重層膜は、少なくとも2つの前記膜を結合させることにより形成され得る。
【0086】
一部の特定の実施形態では、多重層膜は、多重層のスポンジを圧縮することによって形成される。具体的な実施形態では、多重層膜は、多数の凍結乾燥スポンジから、その多重層を圧縮することによって形成される。多重層膜は圧縮しても圧縮しなくてもよい。例えば、多重層膜は、本明細書に記載の方法のいずれかによって形成される膜の多重層を圧縮することによって形成され得る。一般に、2〜10の膜(より好ましくは、2〜4つの膜)を2つの表面間で(例えば、ステンレス鋼のプレートまたはブロック、例えば液圧プレスで)4,000〜24,000ポンドの圧力で圧縮することにより、一般的に膜同士の圧縮接合がもたらされ、多重層膜が形成される。
【0087】
あるいはまた、多重層膜は多種類の溶媒を用いて形成され得る。一部の特定の実施形態では、フィラーを溶解させるため、および他の成分(例えば、生分解性ポリマーとハチミツ)を合わせるために、異なる密度を有する少なくとも2種類またはそれ以上の溶媒が使用される。例えば、前記組成物で作製した溶液と種々の溶媒を合わせ、合わせたこれらの溶液により、溶媒の密度に基づいて相違する層が形成され得る。溶媒を除去した後、多重層型のスポンジおよび多重層型の膜が調製され得る。多重層膜は圧縮してもよく、圧縮しなくてもよい。
【0088】
膜を、架橋試薬を用いて架橋させてもよい。したがって、一部の特定の実施形態では、本発明により、少なくとも2つの層を有し、前記少なくとも2つの層が、例えば多重層型の膜構造を安定化させるために架橋型である多重層膜を提供する。例示的な架橋試薬としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(もしくは他のカルボジイミド)、ゲニピンまたはグルタルアルデヒドが挙げられる。膜は、エタノールなどの溶媒中の架橋剤の溶液(例えば、20〜40mM)中に浸漬され得る。所望の量の架橋が行なわれたら、膜は溶液から取り出され、すすぎ洗浄された後、使用され得る。
【0089】
本発明の治療方法における使用のための膜は、周囲の軟組織を支持するのに充分な剛直性を有し、そのガラス転移温度(Tg)では展性であるが冷却すると剛直性を回復し(すなわち、形成された形状をインサイチュで保持する)、オッセオインテグレーションを促進させ、周囲の軟組織に有害な影響を及ぼさないという点で生体適合性であるものであるのがよい。下顎骨および上顎骨の移植手術では同種移植片骨が一体化して新しい骨になるのにおよそ6ヶ月間かかるため、膜は6〜9ヶ月以内に吸収されるものであるのがよい。本発明の膜は柔軟性であり、加熱すると成型可能であり、冷却するとその形状が維持され、分解中の酸性度が低く、繊維質構造によりマクロファージ(MAC)応答が調節され、炎症型(M1 MAC表現型)と比べて骨および組織(M2 MAC表現型)の再生が可能である。
【0090】
本発明の膜のサイズおよび厚さは、意図される使用に応じて異なり得る。膜は所望のサイズにスピニング加工され得るか、またはスポンジが所望のサイズにキャスト加工され、その後、所望の密度と厚さに圧縮され得る。例えば、バリア膜は一般的に0.1〜0.4mmの厚さであり、そのため、スポンジは好適には約0.1〜0.4mmの厚さに圧縮され得る。
【0091】
前記膜は任意の形状(円形、四角、長方形、不定形)を有するものであり得る。例示的な実施形態では、本発明の膜は1〜20mmの幅および1〜20mmの長さを有するものである。一部の特定の実施形態では、膜は1mm未満の厚さ、0.5mm未満の厚さ、0.3mm未満の厚さまたは100ミクロン未満の厚さである。
【0092】
一部の特定の実施形態では、本発明の膜は少なくとも90%、100%、110%または120%の破損歪みを有するものである。一部の特定の実施形態では、本発明の膜は、少なくとも約5mPa、または10、15、20もしくは25mPaの弾性率を有するものである。一部の特定の実施形態では、本発明の膜は、少なくとも約0.26Nの最大圧縮荷重を有するものである。
【0093】
[治療的および予防的用途]
本発明により、骨または軟組織の疾患または傷害に伴う病状改善するのに有用な即応供給材料を提供する。本発明の組成物および材料は、損傷しているか、または病気の組織または器官に投与され(例えば、直接または間接的に)、そこに生着させて標的組織(例えば、骨、筋肉、歯ぐき、歯肉、粘膜、皮膚)との機能的結合を確立させる。一実施形態において、本発明の膜は骨治癒向上させる。損傷した組織または器官の修復のための方法は、インビトロ、インビボまたはエキソビボのいずれかで行なわれ得る。具体的な一実施形態では、前記膜は歯科用途に、例えば、下顎骨および上顎骨の移植手術に使用される。
【0094】
別の実施形態では、本発明により、骨表面を本発明の組成物、繊維、圧縮膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、骨再生を促進させる方法を提供する。一部の特定の実施形態では、前記方法は、骨に対する外科処置後、例えば、ソケットプリザベーション、仮骨延長、上顎洞骨移植または骨移植後に骨再生を促進させる方法である。
【0095】
別の実施形態では、本発明により、骨欠損部を本発明の組成物、繊維、圧縮膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、骨欠損部の治癒を促進させる方法を提供する。
【0096】
別の実施形態では、本発明により、骨欠損部を本発明の組成物、繊維、膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、骨欠損部の感染を予防する方法を提供する。
【0097】
さらに別の実施形態では、本発明により、損傷組織を本発明の組成物、繊維、膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、損傷組織において軟組織の治癒を促進させる方法を提供する。
【0098】
上記の態様の一部の特定の実施形態では、前記方法は、骨に対する外科処置後、例えば、ソケットプリザベーション、仮骨延長、上顎洞骨移植または骨移植後に骨再生を促進させる方法である。
【0099】
また別の実施形態では、本発明により、組織を本発明の組成物、繊維、膜、粒状体、膨潤性膜、非圧縮膜または多重層膜(圧縮型もしくは非圧縮型)と接触させることを含む、組織におけるマクロファージの応答を促進させる方法を提供する。
【0100】
[投与]
本発明の組成物、繊維および膜は、対象の組織または器官に直接提供され得る(例えば、骨もしくは組織の表面への直接適用によって、または外科的埋込みによって)。膜は、骨もしくは組織欠損部、創傷、皮膚/創傷治癒部、歯肉退縮部または外科処置部位を覆うように、囲むように、充填するように、またはその他の様式で接触するように適用され得る。所望により、前記組成物、繊維または膜の投与の前、投与中または投与後に、インビボ細胞、例えば、被験体の骨から、または任意の型の骨移植材料/移植片、すなわち、同種移植骨、異種移植骨、無生物材料移植骨もしくは遺伝子工学的に作製した骨からの骨細胞の生成または分化を増大、維持または向上させるために、増殖剤および分化剤を提供してもよい。
【0101】
本発明の組成物としては医薬組成物が挙げられる。本発明の治療用の組成物または材料(例えば、医薬組成物)を投与する場合、これは一般的に単位投薬形態に配合される。製作中に、さらなる治療用薬剤を繊維に適用してもよく、繊維中に組み込んでもよい。
【0102】
[配合物]
本発明の本発明の組成物、繊維、膜または多重層膜は、滅菌調製物として簡便に提供され得る。一実施形態において、本発明の組成物は液状、液体懸濁状、ゲル状、粘性の組成物、または固形組成物として提供される。液状、ゲル状および粘性の組成物の方が、いくぶん、特に注射により、投与が簡便である。特定の組織とのより長期の接触期間がもたらされるように適切な粘度範囲内の粘性組成物を配合してもよい。液状または粘性の組成物には、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)およびその適当な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る担体が含まれ得る。
【0103】
滅菌注射用液剤は、所望に応じた細胞(例えば、胚性幹細胞、神経前駆細胞、分化ニューロン)を組み込むことにより調製され得る。かかる組成物は、適当な担体、希釈剤または賦形剤、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどと混合され得る。前記組成物には、投与経路および所望の調製物に応じて、補助物質、例えば、湿潤剤、分散化剤または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝、ゲル化または粘度向上添加剤、保存料、フレーバー剤、着色料などが含有され得る。標準的な教本、例えば、“REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE”,第17版,1985(引用により本明細書に組み込まれる)は、必要以上に実験を行なうことなく適当な調製物を調製するのに参考になり得よう。
【0104】
前記組成物の安定性および滅菌性を向上させる種々の添加剤、例えば、抗菌的保存料、抗酸化剤、キレート剤およびバッファーが添加され得る。微生物の作用の抑制は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にされ得る。前記組成物は等張性であり得る、すなわち、血液および涙液と同じ浸透圧を有するものであり得る。本発明の組成物の所望の等張性は、塩化ナトリウムあるいは他の薬学的に許容され得る薬剤、例えば、デキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコールまたは他の無機もしくは有機の溶質を用いて得られ得る。塩化ナトリウムは、特に、ナトリウムイオン含有バッファーに好ましい。
【0105】
前記組成物の粘度は所望により、選択されたレベルに、薬学的に許容され得る増粘剤を用いて維持され得る。メチルセルロースは、容易に経済的に入手可能であり、操作が容易であるため好ましい。他の好適な増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどが挙げられる。また、銀塩を増粘剤として使用することができる。また、米国特許第8,367,094号;米国特許第8,173,151号;および米国特許第7,998,498号(これらは引用により本明細書に組み込まれる)も参照のこと。銀塩は、前記組成物の抗菌効果をさらに改善するために添加され得る。増粘剤の好ましい濃度は、選択される薬剤に依存する。重要なポイントは、選択された粘度が得られる量を使用することである。明らかに、適当な担体および他の添加剤の選択は、厳密な投与経路および具体的な投薬形態(例えば液状投薬形態)の性質(例えば、前記組成物が液剤、懸濁剤、ゲル剤または別の液状形態、例えば、時限放出形態または液剤充填形態のいずれに配合されるか)に依存する。
【0106】
グリセリンまたは同様の成分は、繊維および膜の柔軟性を改善するために混合物に添加され得る。
【0107】
本発明の組成物、繊維、膜または多重層膜と一緒に送達され得る例示的な薬剤としては、限定されないが、抗生物質(例えば、抗菌性銀塩など)、鎮痛薬、抗凝血薬、免疫抑制薬が挙げられ、前記治療用物質は、麻酔薬、睡眠薬、鎮静薬、睡眠導入薬、鎮抗精神病薬、抗鬱薬、抗アレルギー薬、抗狭心症薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗糖尿病薬、下痢止め薬、抗痙攣薬、抗痛風薬、抗ヒスタミン薬、止痒薬、催吐薬、制吐薬、鎮痙薬(antispasmondic)、食欲抑制薬、向神経活性物質、神経伝達物質作動薬、拮抗薬、受容体遮断薬、再取り込修飾薬、アドレナリンβ受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、ジスルファリン(disulfarim)、筋弛緩薬、鎮痛薬、解熱薬、興奮薬、抗コリンエステラーゼ剤、副交感神経作用剤、ホルモン、抗血栓薬、血栓溶解薬、免疫グロブリン、ホルモン作動薬、ホルモン拮抗薬、ビタミン、抗新生物薬、制酸薬、消化薬、緩下薬、下剤、防腐剤、利尿薬、消毒薬、防かび剤、外寄生生物撲滅薬、駆虫薬、重金属、重金属拮抗薬、キレート剤、アルカロイド、塩、イオン、オータコイド、ジギタリス、強心配糖体、抗不整脈薬、抗高血圧薬、血管拡張薬、血管収縮薬、抗ムスカリン様作用薬、神経節刺激薬、神経節遮断剤、神経筋遮断剤、アドレナリン作用性神経阻害薬、抗酸化剤、抗炎症薬、創傷ケア製剤品、抗腫瘍薬剤、血管新生抑制剤、抗原性薬剤、創傷治癒剤、植物エキス、成長因子、成長ホルモン、サイトカイン、免疫グロブリン、エモリエント剤、保湿剤、抗拒絶薬、殺精子剤、コンディショナー、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、精神安定薬、コレステロール低下薬、鎮咳薬、ヒスタミン遮断薬およびモノアミンオキシダーゼ阻害薬からなる群より選択される。他の薬剤としては、アクチビンA、アドレノメデュリン、酸性FGF、塩基性線維芽細胞増殖因子、アンギオジェニン、アンジオポエチン−1、アンジオポエチン−2、アンジオポエチン−3、アンジオポエチン−4、アンギオスタチン、アンギオトロピン(angiotropin)、アンギオテンシン−2、骨形成タンパク質1、2または3、カドヘリン、コラーゲン、コロニー刺激因子(CSF)、内皮細胞由来増殖因子、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞成長阻害薬、内皮細胞バイアビリティ維持因子、エフリン、エリスロポエチン、肝細胞増殖因子、ヒト成長ホルモン、TNF−α、TGF−β、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)、血小板由来内皮増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子−1または−2(IGF)、インターロイキン(IL)−1または8、FGF−5、フィブロネクチン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、心臓由来の血管細胞増殖の阻害薬、IFN−γ、IFN−γ、インテグリン受容体、LIF、平滑筋腫由来増殖因子、MCP−1、マクロファージ由来増殖因子、単球由来増殖因子、MMP2、MMP3、MMP9、ニューロピリン、ニューロセリン(neurothelin)、一酸化窒素供与体、一酸化窒素シンターゼ(NOS)、幹細胞因子(SCF)、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、VEGF、およびVEGF164のうちの任意の1種類以上などのタンパク質が挙げられる。本発明の細胞と一緒に送達され得る他の薬剤としては、LIF、骨形成タンパク質(BMP)、レチノイン酸、トランス−レチノイン酸、デキサメタゾン、インスリン、インドメタシン、フィブロネクチンおよび/または10%ウシ胎仔血清またはその誘導体のうちの1種類以上が挙げられる。他の薬剤としては、低分子オリゴヌクレオチド、例えば、治療標的に対する配列の少なくとも一部分を含むSiDNAまたはSiRNAが挙げられる。
【0108】
当業者には、前記組成物の高分子成分は、化学的に不活性であるように選択されるのがよく、本発明に記載の細胞のバイアビリティまたは有効性に影響しないものであることが認識されよう。これにより、当業者に対して化学的および薬学的本質における問題は提示されないか、または問題は、標準的な教本を参照することによって、もしくは本開示および本明細書において挙げた文献の簡単な実験(必要以上の実験を伴わない)によって容易に回避することができる。
【0109】
[投薬]
本発明の組成物、繊維または膜は、創傷治癒または他の特性がもたらされるのに有効な量で適用され得る、または埋め込まれ得る。一部の特定の実施形態では、本発明の膜は、創傷部位内への病原性細菌の浸潤を抑制するために有効なバリアをもたらすものであり得る。当業者は、本発明の方法において投与すべき本発明の組成物、繊維または膜の量を容易に決定することができよう。もちろん、動物またはヒトに対して投与される任意の組成物について、および任意の具体的な投与方法について、そのために、毒性(例えば、適当な動物モデル、例えば、マウスなどの齧歯類における致死用量(LD)およびLD50を測定することにより)、ならびに適当な応答が誘起される前記組成物(1種類または複数種)の投薬量、その成分濃度および前記組成物(1種類または複数種)の投与のタイミングが測定されることが好ましい。かかる測定には、当業者の知識、本開示および本明細書において挙げた文献から必要以上の実験は必要とされない。また、逐次投与のタイミングは必要以上に実験を行なうことなく確認され得よう。
【0110】
[送達方法]
本発明の組成物(例えば、細胞を含む骨格構造体)は、対象の組織または器官、例えば、傷害または疾患により損傷した組織に直接提供され得る(例えば、中枢神経系または末梢神経系内への投与により)。前記組成物は、それを必要とする被験体に、さまざまな投与経路によって投与され得る。投与方法は、一般的に言うと、医学的に許容され得る任意の投与様式(臨床的に許容され得ない副作用を引き起こすことなく活性化合物の有効レベルをもたらす任意の様式を意味する)を用いて実施され得る。かかる投与様式としては、外科的生着または注射(例えば、筋肉内、心臓内、眼内、脳室内)が挙げられる。
【0111】
[キット]
本発明の組成物、繊維、膜または多重層膜を、さらなる試薬とともにキットで供給してもよい。キットには、材料(膜など)の調製、治療計画、試薬および用具(試験管、反応槽、ニードル、シリンジなど)のための取扱説明書が含められ得る。本発明によるキットに備えられる取扱説明書は、ラベルまたは独立した挿入物の形態の適当な操作パラメータに関するものであり得る。
【0112】
一実施形態において、本発明の組成物、繊維、膜または多重層膜は、骨または軟組織の傷害または疾患の処置または予防に有用である。本発明により、細胞の減損または組織の構造、機能もしくは活性の減損を特徴とするかかる傷害または疾患および/またはその症状を処置する組成物および方法を提供する。本発明の方法は、治療有効量の本明細書に記載の組成物、繊維、膜または多重層膜を被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することを含むものである。したがって、一実施形態は、細胞の減損または組織の構造、機能もしくは活性の減損を特徴とする疾患、病状または障害に苦しんでいるか、または易罹患性である被験体を処置する方法である。前記方法は、前記哺乳動物に、前記疾患、病状もしくは障害またはその症状が、前記疾患、病状もしくは障害またはその症状が処置されるような条件下で処置されるのに充分な本明細書における特徴とする細胞の減損または組織の構造、機能もしくは活性の減損の治療量が投与する工程を含むものである。
【0113】
本明細書における方法は、被験体(例えば、かかる処置を必要とすると認定された被験体)に、有効量の本明細書に記載の組成物、繊維、膜または多重層膜投与してかかる効果をもたらすことを含むものである。かかる処置を必要とする被験体の認定は、被験体もしくは保険医療の専門家の判断におけるものであってもよく、主観的(例えば、意見)であっても客観的(例えば、試験もしくは診断方法によって測定可能なもの)であってもよい。
本発明の治療方法(これは予防的処置を含む)は、一般に、治療有効量の本明細書における組成物、例えば、本明細書に記載の組成物、繊維、膜または多重層膜を、それを必要とする被験体(例えば、動物、ヒト)、例えば哺乳動物、特にヒトに投与することを含むものである。かかる処置は好適には、疾患、障害またはその症状に苦しんでいるか、有するか、易罹患性であるか、またはリスクのある被験体、特にヒトに施される。「リスクのある」被験体の判定は、診断試験または被験体もしくは保険医療提供者の意見(例えば、遺伝子検査、酵素またはタンパク質マーカー、マーカー(本明細書に定義したとおり)、家族歴など)による任意の客観的または主観的な測定によって行なわれ得る。
【実施例】
【0114】
以下の実施例は、当業者に、完全な開示、ならびに本発明のアッセイ、スクリーニングおよび治療方法をどのようにして行ない、使用するかの説明を提供するために示したものであり、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。
【0115】
[実施例1.繊維および膜の調製]
この試験の目的は、抗菌特性および再生特性を有し、6〜12週間以内に分解し、覆った組織のより迅速は閉鎖を促進させつつ移植片の保持が可能である膜を設計することであった。これを行なうため、ゼラチン+キチンウィスカー(CW)+ハチミツのエレクトロスピニング膜を製作し、続いて圧縮した。圧縮膜は、高い取扱い性を有し、低多孔質であり、非圧縮繊維の直径を維持している。低多孔質の骨格構造体は、組織閉鎖のための再生誘導をもたらすためにこの用途に所望される。さらに、より大きな繊維およびハチミツ(本質的に抗菌性)の添加は独立して、再生促進応答を向上させ得ることが記録されている。キチンウィスカー(CW)は、新たに登場した新規なフィラーであり、合成高分子構造および天然高分子構造のどちらも強化することが示されている。また、その良好な生体適合性および生分解性により、最も将来有望なフィラーの1つとなっている。
【0116】
いくつかの実験において、ゼラチンを1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)または9:1の酢酸:脱イオン(DI)水に溶解させ、MEDIHONEY(登録商標)またはMANUKAGARD(登録商標)(0〜50wt.%)とともにエレクトロスピニングを行なった。HFPまたは酢酸:DI水を溶媒として用いたエレクトロスピニングでは、それぞれミクロンサイズおよびナノサイズの繊維を有する骨格構造体がもたらされた。膜(25mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドによる架橋型および非架橋型)を、液圧プレスを用いて圧縮した(単層または多重層)。圧縮膜は、高い取扱い性を有し、低多孔質であり、非圧縮繊維の直径を維持している。低多孔質の骨格構造体は、組織閉鎖のための再生誘導をもたらすためにこの用途に所望される。さらに、より大きな繊維およびハチミツ(本質的に抗菌性)の添加は独立して、再生促進応答を向上させ得ることが記録されている。この試験では、複合膜上に播種したヒト皮膚線維芽細胞の再生応答をさらに解析する。
【0117】
[材料および方法]
CWを、軽微な修正を伴ったDufresneの方法に従って調製した(Ji,Y−L,et al.Carbohydrate Polymers,87,2313−2319,2012)。所望の量のCW(ゼラチンの15wt%)を2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)中に超音波処理によって再分散させた。ゼラチン(Bタイプ)をCW溶液に140mg/mLで添加した。次いで、MEDIHONEY (登録商標)(100%活性レプトスペルムムハニー)をゼラチン+CW溶液にゼラチンの0、5、10重量%で添加した。溶液を混合し、すべての成分の完全な溶解/混合を確実にするため、37℃で一晩インキュベートした。溶液を5mL容シリンジ内に負荷し、以下のパラメータ:5mL/時、+22kVおよび5インチのエアギャップ距離を用いてエレクトロスピニングを行なった。繊維を1インチ(直径)の接地ステンレス鋼回転マンドレル上に収集した。
【0118】
骨格構造体を圧縮し、繊維質ナノ構造を維持しつつ改善された機械的完全性を有する多層膜を作出した。同じ骨格構造体の4つ層を、金属プラテンを用いて液圧プレスで30秒間、4500ポンドで圧縮した。各骨格構造体(0、5、10 wt ハチミツ)の非圧縮サンプルおよび圧縮サンプルを、走査型電子顕微鏡(SEM)を+20kVで用いてイメージングし、繊維直径および全体的多孔度を観察した。すべての非架橋型の骨格構造体の繊維直径は、圧縮型および非圧縮型のどちらも、FibraQuant(商標) 1.3ソフトウェア(nanoScaffold Technologies,LLC)を用いて平均繊維直径および標準偏差を計算することによってさらに解析した。
【0119】
4層型の膜ではすべて、架橋は、エタノール中40mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(EDC)を入れた中程度のペトリ皿に各膜を室温で21時間、入れることによって行なった。終了したら、膜をエタノール中に浸漬させ、6mmの円板を打ち抜き、細胞試験に使用した。
【0120】
打ち抜きした犬の骨(最も狭い箇所で2.71mm幅、長さは18.63mm)を機械的試験に使用した。この犬の骨のサンプル(n=3)に対して単軸引張試験を、100Nのロードセル、1mm/秒の伸長速度および7.7mmの開始時グリップ間距離を用いて行なった。弾性率および破損歪みを応力−歪み出力から計算した。
【0121】
膜の臨床的適合性/成形性を、口腔外科医が、乾燥および含水(0.9%NaCl,30分間)の両方の条件下でスコア化した。COLLAPLUG(登録商標)コラーゲン膜(Zimmer Dental)は、現在、ソケットプリザベーション手術での標準的な膜バリアの1つであるため対照として使用した。
【0122】
[細胞バイアビリティ(DAPI)]
圧縮膜の6mmの打ち抜き加工体を、架橋直後に30分間のエタノール浸漬によって消毒した後、3回の10分間のPBS洗浄を行なった。ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を骨格構造体の打ち抜き加工体(n=3)上に、96ウェルプレート内で5,000細胞/ウェルで播種した。試験は、1日、3日および7日の時間点で、7日間で終了した。各時間点で培地の交換を行なった。各時間点後、細胞を有する骨格構造体を10%緩衝ホルマリン中で固定した。次いで、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)での細胞の核染色を行なった。骨格構造体を、Olympus製蛍光顕微鏡を用いてイメージングし、バイアブル細胞を可視化した。
【0123】
[結果、考察および結論]
非圧縮型および圧縮型のゼラチン+15%のCW+ハチミツエレクトロスピニング骨格構造体(非架橋)のSEM画像を図1に示す。繊維サイズ分布を図2に示す。図3は破損歪み(3A)および弾性率(3B)の測定値を示す。
【0124】
[適合性/成形性]
表1は、種々の量のハチミツを有する乾燥膜および含水膜の臨床的適合性の評価を示す。最良の膜(湿潤):0%および10%のハチミツ。最も不良の膜(湿潤):CollaPlug対照(形状は保持されず、適合が困難)。臨床的意義:圧縮膜は使用前に含水させる必要がある。成形性は、より少ない、またはより多くの層を圧縮することによって個別調整することができる(図4)。
【0125】
[表1.口腔外科医(上側)によってスコア化された乾燥(D)および含水(湿潤,W)圧縮膜ならびにCollaPlug対照の臨床的適合性]
【0126】
【表1】
【0127】
[エレクトロスピニングおよび圧縮]
図5は、圧縮エレクトロスピニング膜の画像を示す。繊維質構造および寸法を維持したまま圧縮がなされた。圧縮後にいくらかの繊維溶着がみとめられた。これは、おそらく、ハチミツの結晶化状態によるものである。より除水させた骨格構造体(デシケータ内)では、より結晶質のハチミツ構造がもたらされ、最終的に圧縮時の非溶着繊維が少なくなる。
【0128】
[機械的試験]
骨格構造体はすべて、90〜120%の歪みで破壊された(有意差なし)。10%のハチミツを含む骨格構造体は、0%のハチミツと比べて有意に高い弾性率値を有していた。これは、直感的には、ハチミツが多いほど骨格構造体の剛直性の低下が引き起こされ得るため、最初は予想外であった。機械的試験をエタノールから直接行なったため、ハチミツが除水(より結晶性の)状態であり、これが弾性率の増大を引き起こすという仮説がたてられた。今後の研究でグリセリンを組み込み、PBSで含水させたサンプルを解析すると、おそらく低結晶質のハチミツ構造が誘導され、剛性の低い骨格構造体がもたらされる。
【0129】
[細胞バイアビリティ]
バイアブル細胞(HDF)を、各時間点で、どの骨格構造体の表面上においても視認可能にした。目視では、差(あれば)を判定することは困難である。しかしながら、今後の研究で、細胞増殖および細胞分泌再生マーカーおよび細胞外マトリックスを解析する。
【0130】
[実施例2.スポンジの調製]
スポンジを、30mg/mLのゼラチン溶液(脱イオン水中)を用いて製作し、すべてのゼラチンが溶液状になるのを確実にするため37℃まで加熱した。10%のCW(キチンウィスカー)をゼラチン溶液に添加し、超音波処理した。次いで、0〜30mg/mLのハチミツをゼラチン+CW溶液に添加した。ハチミツが溶液状になった後、25mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(EDC)をゼラチン+CW+ハチミツ溶液に添加し、即座に柱状成形型に移し、−80℃で凍結させ、凍結乾燥させた。乾燥スポンジを、液圧プレスを用いて4,500ポンドで30秒間圧縮した。
【0131】
図6は、ゼラチン+10%CW+30mg/mLのハチミツの非圧縮型および圧縮型のスポンジ全体の肉眼的外観のDinoLite画像を示す。非圧縮型:5.5mm厚;圧縮型:0.3mm厚。
【0132】
スポンジは、任意のサイズ(成形型に応じた)で製造され、続いて圧縮され得る。
【0133】
粒状体は、さらなる工程を伴って凍結乾燥膜と同様に形成される(図7A〜7B)。粒状体を、図7Cに示すように凍結乾燥膜と組み合わせて使用してもよい。複合溶液を凍結させた後、凍結材は粉砕され(例えば、ブレンダーを使用)、「クラッシュアイス」と同様のものが形成され得る。次いで、このクラッシュアイスを一晩凍結乾燥させると粒状体が形成される。粒状体は骨再生を意図したものであるため、骨伝導性を向上させるためにフィラー(例えば、ヒドロキシアパタイト)の濃度を高くする(例えば、50%またはそれ以上まで)。粒状体の開発および改良は、かなり一貫性のある粒径を得るための製造プロセスを最適化することからなるものであり得る。これは、凍結複合材のブレンドを、クラッシュアイスが得られるように制御すること、または大きな凍結乾燥片を小片に凍結粉砕すること(液体窒素中)によってなされ得る。粒径は、篩または一様な/規定の粒状体サイズを得るための同等の技術を用いてサイズごとにフィルタリングされ得る。粒状体サイズを最適化するために、粒径を得るための多種類の方法(「クラッシュアイス」を凍結乾燥させることと、大きな(mmサイズの)粒状体凍結粉砕すること)を行なってもよい。好ましくは、粒状体は、約100μm〜約10mmまたは特に約1mm〜約5mmの範囲のサイズまたは平均直径を有するものである。
【0134】
この組成物の圧縮膜は、乾燥および含水のどちらの膜も、使用前に含水させるのがよく(図7E)、はさみで容易に切断/サイズにすることができ、高い取扱い性を有する。含水させると、膜は、より柔軟性になり、移植の際に手術部位内で容易に扱うことができる。いったん最初に含水させると、取扱い性だけでも、COLLAPLUG (登録商標)などの既存の膜から有意に改善される。BIO−GIDE(登録商標)などの現在使用されている天然の生分解性の膜は、含水させてから数日後であっても、機械的完全性が損なわれ始める。
【0135】
[実施例3.骨移植の用途のための圧縮膜]
さらに、この優れた生体適合性および生分解性によってもまた、最も将来有望なフィラーの1つとなっている。このような圧縮膜は、細胞の応答および組織再生の誘導(GTR)をさらに向上させるための生物活性表面を有するフィルム様材料の利点も兼ね備えている。ゼラチン+CW+MHの膜は、向上した生体適合性および生分解性を示し、これにより、現在使用されている臨床的製品の代替品としての使用が示唆される。
【0136】
[方法および材料]
(骨格構造体の製作)
骨格構造体を、30mg/mLのゼラチン溶液を用いて製作した。10%のCW(ゼラチンに対するwt%)をDI水中に分散させ、マイクロティップ(microtip)を用いて2%の振幅で30秒間、超音波処理した。次いで、ゼラチンおよび0、5または25%のMH(ゼラチンに対するwt%)をこのCW溶液中で、37℃で1時間のインキュベーションによって可溶化させた。一様な溶液が得られた後、40mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)EDC架橋剤を添加し、手短に混合し、即座に小さいペトリ皿に移し、−80℃で一晩、凍結させ、凍結乾燥させた。次いで、凍結乾燥スポンジを4mm厚の切片にスライスし、液圧プレスを用いて(図8)4500ポンドで30秒間、圧縮し、最終の膜(300〜400μmの厚さ)を作出した。
【0137】
(分解)
放出速度論による骨格構造体の分解を、14日間にわたる各6mmの骨格構造体からのタンパク質の放出を定量することにより試験した。骨格構造体を37℃にて1×PBS中でインキュベートし、各時間点でPBSを交換した。1、4、7、11および14日後、放出液を一般的なタンパク質について、Pierce BCA Protein Assayを用いて解析した。ゼラチンとMHは識別することができず、両方が定量的累加平均濃度の結果に寄与した。これを考慮するため、累積放出パーセントを、完全分解非架橋骨格構造体を初期の全タンパク質含有量として使用することにより計算した:放出%=(放出)/(初期の全含有量)*100。
【0138】
(細胞の付着)
各型の骨格構造体の6mm円板を96ウェルプレート内に負荷し、現在使用されている臨床用の膜GEISTLICH BIO−GIDE(登録商標)(コラーゲン)およびKLS MARTIN RESORB−X(登録商標)(ポリ乳酸,PLAフィルム)を打ち抜き加工し、臨床的対照として使用した。膜はすべて、細胞の播種の前に消毒した(エタノールに30分間および3回の10分間のPBS洗浄)。20,000個のヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を膜上に播種し、14日間、培養した。1、7および14日後、培地を除去し、凍結させるとともに、細胞を有する膜を10%ホルマリン中で固定した。固定した骨格構造体を4’−6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で染色し、その細胞播種表面を蛍光によりイメージングし、細胞接着を可視化した。
【0139】
(機械的試験)
含水無細胞骨格構造体を、単軸プラテン圧縮システムを用いて解析し、ピーク負荷量を調べた。長方形(2.5×0.5cm)を切り出し、両端を1cm離してアンカリングすることによりアーチ状に固定する(図9)。上側プラテンを骨格構造体の表面まで下げ、以下のパラメータ:10mm/分の試験速度および250サンプル/秒のデータ収集速度を使用した。圧縮は、上側プラテンがアンカーに達するまで連続した。実施は、この接触が起こる直前で終了し、骨格構造体によって負荷される最大の力を単位:ニュートン(N)で記録した。
【0140】
(臨床的適合性/成形性)
含水後、ゼラチン+CW+MHの膜をすべて、口腔外科医が乾燥および含水(0.9%NaCl,30分間)の両方の条件下でスコア化した。KLS MARTIN、BIO−GIDEおよびCOLLAPLUG(登録商標)(コラーゲン膜,Zimmer Dental)を臨床的対照膜として使用した。
【0141】
[考察および結論]
(スポンジおよび圧縮)
ゼラチン+CW+MHの骨格構造体ではすべて、非圧縮型(多孔質)および圧縮型(低多孔質)で同じ表面構造が示され、これらの型の骨格構造体間に目視による識別可能な差はなかった(図10)。圧縮表面には、多孔質膜と比べて、細胞が初期に骨格構造体全体に遊走するGTRのための鋳型がもたらされている。
【0142】
(分解)
5%のMHの添加では、0%のMHと比べて同様の濃度放出プロフィールがもたらされ、どちらも、14日後にプラトー状態になり始める(図11A〜11B)。+25%のMHの膜は、14日間にわたって、より線形の放出プロフィールを示し、一定速度での分解が示唆される。1日後、0%、+5%および+25%のMHでは、それぞれ初期の全含有量の17%、17%および22%が放出された。14日後、0%、+5%および+25%のMHでは、それぞれ初期の全含有量の44%、34%および49%が放出された。累積放出パーセントのグラフにより、5%のMHの添加が骨格構造体の分解速度を低速化させることを示唆する興味深いプロフィールが示された。これは、いずれの量のMHの添加も分解速度を増大させる(+25%のMHのグラフにおいて明らか)と考えられるため予想外であった。このデータは、種々の濃度のMHの組込みのみに基づいて分解速度が個別調整可能であるという洞察を示す。
【0143】
(適合性/成形性)
乾燥(D)および含水(湿潤,W)圧縮膜ならびにBio−Gide、KLS Martin、およびCollaPlug対照の臨床的適合性を口腔外科医がスコア化した。含水させた場合、ゼラチン+CW+MHの膜はすべて、Bio−Gide対照と同様に取り扱われ、MHの組み込みパーセンテージが高いと膜の裂けが多くなった(表2)。しかしながら、乾燥ゼラチン+CW+MHの膜は、対照と比べて適合性が大きかった。外科医の手では、圧縮膜は臨床的コラーゲン膜と同様に取り扱われた(図13)。
【0144】
[表2.適合性/成形性]
【0145】
【表2】
【0146】
(圧縮試験)
ゼラチン+CW+MHの膜ではすべて、0.02〜0.03Nの範囲内の最大の力が負荷されたが、Bio−GideおよびKLS Martin対照では、それぞれ0Nおよび0.75Nが負荷された。ゼラチン+CW+MHの膜は、Bio−Gide対照(これは、試験のためのアーチが維持され得ないであろう)と比べて改善された機械的特性を示す(表3)。KLS Martinは非多孔質PLAフィルムであるため高値が予測される。
【0147】
[表3.圧縮試験]
【0148】
【表3】
【0149】
(細胞の付着)
MHの添加により、1日目の細胞接着が、0%のMH and Bio−Gide膜と比べて有意に増大した(図12)。また、KLS Martin膜にも、その組織培養プラスチックと同様の2Dフィルム表面のため、大量数の細胞が接着した。KLS Martin(PLA)の欠点はその分解であり、これは酸性の微小環境をもたらす。7および14日後、ゼラチン+CW+MHの膜はすべて、細胞で覆われており、このとき、Bio−Gide対照はまだ、視認可能な細胞の接着はなかった。7および14日目、おそらく、細胞が膜をリモデリングする際のいくらかの遊走のため、蛍光イメージングはより困難になった。今後の試験で、細胞の増殖、バイアビリティ、分泌再生マーカーおよび細胞外マトリックスの生成を解析する。
【0150】
[他の実施形態]
前述の説明から、種々の用法および条件を採用するために、本明細書に記載の発明に対して変形および修正が行なわれ得ることは自明であろう。かかる実施形態もまた、以下の特許請求の範囲の範囲に含まれる。
【0151】
本明細書における可変部の定義(あれば)における要素の列挙の記載は、任意の単独の要素または列挙した要素の組合せ(もしくは下位の組合せ)としての前記可変部の定義を包含している。本明細書における実施形態の記載は、任意の単独の実施形態としての、または任意の他の実施形態もしくはその一部との組合せでの前記実施形態を包含している。
【0152】
本明細書において言及した特許および刊行物はすべて、引用により、個々の各特許および刊行物があたかも具体的に個々に示されて引用により組み込まれているのと同程度に本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12