(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861153
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】駆動系の状態変更を制御する方法
(51)【国際特許分類】
B60W 10/10 20120101AFI20210412BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20210412BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20210412BHJP
B60W 20/30 20160101ALI20210412BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
B60W10/10 900
B60K6/48ZHV
B60K6/54
B60W20/30
B60L15/20 K
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-528893(P2017-528893)
(86)(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公表番号】特表2018-500226(P2018-500226A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】FR2015053162
(87)【国際公開番号】WO2016087741
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年8月30日
(31)【優先権主張番号】1461765
(32)【優先日】2014年12月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ル−キャム, フロラン
(72)【発明者】
【氏名】ロンドー, フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーヴル, オーレリアン
【審査官】
小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−265024(JP,A)
【文献】
特開2009−132190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
B60L 50/00 − 58/40
B60W 10/00 − 20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの内燃機関及び/または1つの電気機械を、1つ以上のギア比で前記内燃機関及び/または前記電気機械から車輪へとトルクの伝達を提供する車両の駆動系のトランスミッションを介して、車両の前記車輪に接続する、前記トランスミッションの走行モードでの状態変更の制御方法であって、
現在状態(E_crt)から目標状態(E_cib)への切替の許可が、前記現在状態(E_crt)と前記目標状態(E_cib)との間の移行中の前記車両の加速を最低にする、中間状態(E_itr)における前記車両の前記加速の低下に依存し、
移行前の前記現在状態(E_crt)における実効的動作点と、前記中間状態(E_itr)における実効的動作点との間で、前記車両の加速度の差分が計算され、
前記現在状態(E_crt)と前記中間状態(E_itr)の間の加速度の差分は、前記現在状態(E_crt)と前記目標状態(E_cib)に応じた、最大許容加速低下閾値(Accel_dif_max_aut)と比較され、
前記加速度の差分(Accel_dif)が前記閾値(Accel_dif_max_aut)を上回る場合、前記現在状態からの前記目標状態(E_cib)への移行は禁止され、前記差分が前記閾値以下である場合には前記移行は許可されることを特徴とする、制御方法。
【請求項2】
前記中間状態における前記加速の低下の計算は、前記駆動系の前記現在状態(E_crt)、抵抗力(F_res)の推定、運転者の車輪における目標の力即ち目標のトルク(F_tgt)、並びに、前記現在状態での最大の力(F_trac_crt)及び前記中間状態での最大の力(F_trac_itr)に依存することを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記中間状態における前記加速の前記低下の計算が、
a) 前記移行の前に前記車両を加速させる力(F_accel_crt)であって、牽引力(F_trac_crt)から全ての抵抗力(F_res)を引いたものに等しい力を計算するステップ、
b) 前記切替前、前記移行前の実効的加速度(Accel_crt)を、力(F_accel_crt)及び前記車両の慣性に応じて、
Accel_crt=F_accel_crt/vechicle_inertia
により計算するステップ、
c) 前記移行中の前記車両を加速させる力(F_accel_itr)であって、全ての前記抵抗力(F_res)から牽引力(F_trac_itr)を引いたものに等しい力を計算するステップ、
d) 前記車両の前記慣性及び前記力(F_accel_itr)に応じて、前記切替中の実効的加速度(Accel_itr)を、
Accel_itr = F_accel_itr / vehicle_inertiaにより計算するステップ、及び
e) 前記車両の前記加速の前記低下を、
Accel_dif = Accel_crt−Accel_itr
により計算するステップ、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記現在状態(E_crt)からの前記目標状態(E_cib)への前記移行が禁止された場合、たとえその後前記移行が許可されたとしても、所定の期間の時間遅延の間は前記移行が保留されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワートレインの計算ユニットに実装される、制御ストラテジーに関する。
【背景技術】
【0002】
限定しないが好適である、その用途は、少なくとも1つの内燃機関と1つの電気牽引機械を備えるパワートレインである。
【0003】
より正確には、本発明の目的は、少なくとも1つの内燃機関及び/または電気機械を、1つ以上のギア比で内燃機関及び/または電気機械から車輪へとトルクを伝達するトランスミッションを介して、車両の車輪へと接続する、車両の駆動系の状態変更を制御する方法である。
【0004】
これらの状態は、内燃機関及び/または電気機械から車輪に対して、1つ以上のギア比でトルクを伝達するための、連結器と減速機との様々な組み合わせによって規定される。したがって、駆動系の状態は、要求される連結器と減速機との組み合わせによって規定され得る。駆動系の状態の目標は、パワートレインの動作点を最適化することである。内燃機関のパワートレインでは、駆動系の状態は、単に、あるギア比への係合と、機関とギアボックスとの間の入力クラッチのポジション(開または閉)によって規定されることができる。ハイブリッドのパワートレインでは、この規定は、必然的により複雑なものになる。なぜならば、内燃機関と同一の車軸または別の車軸を介して車両を推進可能な、1つ以上の電気機械の状態を組み込まなければならないからである。
【0005】
ハイブリッドの車両では、車両の静粛性は、とりわけ、電気出力と内燃機関出力との間の配分に依存する。パワートレインの性能にリンクされるハーシュネスもまた、走行用バッテリの充電状態に依存する。走行用バッテリが放電状態の場合、内燃機関だけが利用可能だからである。最後に、各動作点において、消費量の制約と汚染低減の制約に応じて、出力の分配を決定するのは、エネルギー管理法である。同様に、駆動系の最適状態の分類には、バッテリの充電状態もまた考慮に入れられなければならない。
【0006】
内燃機関車両の駆動系とハイブリッド車両の駆動系はまた、著しく異なる。
− ハイブリッド車両では、内燃機関は原動力の唯一の源ではない。
− 同一の出力需要に対して、内燃機関によって供給される出力と、(1または複数の)電気機械によって供給される出力との可能な組み合わせは、複数ある。
− 検討される技術的な規定に応じて、電気機械からの出力は、トランスミッションを通ってもよく、通らなくてもよい。
− ハイブリッドパワートレインの、静的及び動的な最大/最小限度は、バッテリの充電状態に依存し、したがって時間と共に変化する。
− 電気走行モード即ちZEV(排出ゼロ車両)走行モードは、駆動系の1つ以上の個別の状態(内燃機関の個別のギア比も同様)を、組み合わせている。
【0007】
概して、音響現象やハーシュネス、また同様に消費量や汚染低減のレベルは、ハイブリッド自動車の具体的な制約に対応する。同一の動作点(速度、原動力)に関して、パワートレインの音響レベルは、電気動力と内燃動力との間の配分に依存する(電気モータの方がより静穏である)。パワートレインの性能にリンクされるハーシュネスは、バッテリの充電状態に依存する。バッテリが充電されている場合、電気モータによって供給される動力と、内燃機関によって供給される動力とを同時に使用することが可能である。バッテリが放電されている場合、利用可能な唯一のエネルギー源が内燃機関であるため、利用可能な全体の動力は低下する。性能が低下する可能性もある。最後に、バッテリの充電状態に応じて、各ハイブリッド状態に関して、内燃機関によって供給される動力と電気機械によって供給される動力との間の配分を定める、エネルギー管理法の中で、消費量と汚染低減の要件が考慮に入れられる。
【0008】
さらに、ハイブリッド構造の型に応じて、動力源は様々な構成で車両に設置され得る。例えば、電気機械(単数または複数)は、後輪、クランクシャフト、ギアボックスのセカンダリシャフトなどに関連づけられる。しかし、あらゆるハイブリッド車の駆動系の状態は、複数のギア比による、トランスミッションを介する牽引ユニットやトランスミッションを介さない牽引ユニットの組合せとして規定される。したがって、2つの目標状態X及びYは、現在の駆動系の状態Zから、種々の方法で到達することが可能である。状態の変化は、例えば、
・ 内燃機関に関するギア比の変更なしの、電気機械の連結、
・ 電気機械のギア比を維持したままの、内燃機関のギア比の変更、
・ 内燃機関なしの、電気機械のギア比の変更、
などといった、トランスミッション内の種々の機械的変更に起因する。
【0009】
その結果、現在状態Zからの変更は、目標状態XもしくはYに応じて、またはトランスミッションによって生じた機械的変更に従って、車輪におけるトルクが完全に遮断された状態、車輪におけるトルクのレベルが低下した状態、またはトルクのレベルの低下がまったくない状態で進行し得る。状態変更中に車輪のトルクが低下または遮断されることは、加速の予期せぬ大幅な低下を通じて、運転者及び乗員によって、ハーシュネスの点でマイナスのものとして知覚され、車両の「活気(brio)」といった、性能を劣化させる。
【0010】
この問題には、例えば公報WO2012131259に記載のハイブリッドトランスミッションが対処している。この問題は、
図1で以下のように示されている。
図1には、トランスミッションの種々の走行モードに関する最大加速曲線が示されている。図の動作点1において、駆動系の現在状態がZEV1と名づけられた電気のギア比であり、車両がその状態における最高速度に到達していると考えられる場合、トランスミッションは、点1に関連付けられたハーシュネスの制約に対処しつつ、車両のエネルギー最適化にも対処する、別の駆動系の状態に切り替えられなくてはならない。ハーシュネスの観点から、点1からは、第1のハイブリッド比、内燃機関比、第2のハイブリッド比、及び別の電気比に対応する、それぞれHYB23、TH2、HYB33、及びZEV3と名付けられた状態が許容されている。しかし、一旦それらの状態に入ると、それらは異なる機能を提供する。さらに、HYB23及びTH2への変更は車両の加速の中断または低下なしに達成可能であるが、ZEV3及びHYB33への変更は、車両の加速の著しい低下に帰着する。なぜならば、これらの状態を作り出すことは、車輪に対してトルクが完全に遮断されることを伴う、トランスミッションのニュートラル状態を通過することを伴うからである。エネルギー最適化基準によってZEV3またはHYB33の状態が要求される場合、これらの状態のうちの1つへの変更動作は、トルクの遮断によって質の悪いものになるが、一方で他の2つの駆動系状態への変更は、より良い顧客サービスを提供し、より良い車両性能を提供するであろう。
【0011】
この種の文脈において、目的とするのは、その機能に結び付いた基準に従えばその駆動系状態に入れるのが適切であるが、許容できないような車両の加速の低下や車両の加速の完全な遮断を伴うような駆動系状態が、目標として選択されるのを防止することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、車両の加速をあまりにも大きく低下させる駆動系状態へのアクセスを、防止することを目的とする。本発明は、所定の閾値を超えた、車両の加速の低下または中断を生じる、あらゆる状態変更を禁止することによって、この目的を達成する。
【0013】
この目的のため、本発明は、現在状態と目標状態との間の移行中、車両の加速を最も低下させる中間状態での車両の加速の低下に応じて、現在状態から目標状態への変更を許容することを提案する。
【0014】
好ましくは、移行前の現在のギア比における実効的動作点と、中間状態における実効的動作点との間の、車両の加速度の差異が計算される。
【0015】
本発明の好適な一実施形態によると、中間状態における加速の低下の計算は、駆動系の現在状態、抵抗力の推定、運転者の車輪における目標の力即ちトルク、並びに、現在状態及び中間状態で達成可能な最大の力に依存する。
【0016】
この方法は、牽引トルクの一部または全部の遮断を特徴とするかどうかに関わらず、駆動系の2つの個別の状態を有し、オートマチックトランスミッションを装備する全ての内燃機関自動車、ハイブリッド自動車、及び電気自動車に適用可能である。
【0017】
本発明は、下記の添付図面を参照しながら後述の非限定的な本発明の一実施形態の説明を読むことによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】上記のフロー図のサブセクションの1つである。
【
図4】上記のフロー図のサブセクションの別の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の方法は、少なくとも1つの内燃機関及び/または電気機械を、1つ以上のギア比で内燃機関及び/または電気機械から車輪へとトルクを伝達するトランスミッションを介して、車両の車輪へと接続する、車両の駆動系の状態変更を制御する。本方法は、移行によって生じる車両の加速の低下に応じて、駆動系を現在状態E_crtから目標状態E_cibに切り替えるのを禁止または許可することにつながる、複数のステップへと細分化されている。この方針は、駆動系の、あり得る全ての目標状態に関して同じ方法で適用される。しかし、検討される目標状態が現在状態に相当する場合、その状態を維持することは、本方針の主題ではない。
【0020】
第1のステップは、現在状態E_crtから目標状態E_cibへの切替に関する、必須のデータを規定することである。これが、それら2つの状態の間で車両の加速を最低にする、中間状態E_itrである。(常にではないが)ほとんどの場合、これがトランスミッションのニュートラル位置であり、後者がトルクの完全な遮断につながる場合には、とりわけそうである。他のケースで、移行中のトルクの遮断が部分的に過ぎないかまたは全くない場合には、これは移行中に最小のトルクを供給する状態である。本発明によると、現在状態E_crtと目標状態E_cibとの間の移行中、現在状態から目標状態への切替の許可は、車両の加速を最も低下させる中間状態E_itrでの、車両の加速の低下に依存する。
【0021】
第2のステップの目的は、状態E_crtから状態E_cibへの切替によって生じる、車両の加速度の低下を計算することである。この低下は、とりわけ、切替前、及び切替中の加速に、したがって車両に対して加えられる力に、依存する。これらの力は、車両に加えられる合計抵抗力F_res、F_trac_crtと名付けられた切替前の車輪における牽引力、及びF_trac_itrと名付けられた切替中の車輪における牽引力である。牽引力F_trac_itrは、目標牽引力F_tgtと中間状態E_itrにおける最大可能力の中の、最小の力である。同様に、力F_trac_crtは、目標牽引力F_tgtと現在状態E_crtにおける最大可能力の中の、最小の力である。
【0022】
第2のステップでは、移行前の現在のギア比E_crtにおける実効的動作点と、中間状態E_itrにおける実効的動作点との間の、車両の加速度の差異が計算される。中間状態における加速の低下は、駆動系の現在状態E_crt、抵抗力F_resの推定、運転者の車輪における目標の力即ち目標のトルクF_tgt、並びに、現在状態及び中間状態で達成可能な最大の力F_trac_crt及びF_trac_itrに依存する。
【0023】
第2のステップ中のシーケンスは、以下のとおりである。
a) 移行の前に、車両を加速させる力(F_accel_crt)の計算。牽引力(F_trac_crt)から全ての抵抗力(F_res)を引いたものに等しい。
b) 車両の慣性及び力F_accel_crtに応じた、変更前の実効的な加速度(Accel_crt)の計算(Accel_crt=F_accel_crt/vehicle_inertia)。
c) 移行中に車両を加速させる力(F_accel_itr)の計算。これは、全ての抵抗力F_resから牽引力F_trac_itrを引いたものである。
d) 車両の慣性及び力F_accel_itrに応じた、切替中の実効的な加速度Accel_itrの計算(Accel_itr = F_accel_itr / vehicle_inertia)。
e) E_crtからE_cibへの移行によって生じた、車両の加速度の低下の計算(Accel_dif=Accel_crt−Accel_itr)。
【0024】
現在状態と中間状態の間の加速度の差分は、現在状態(E_crt)と目標状態(E_cib)に応じた、最大許容加速度低下閾値(Accel_dif_max_aut)と比較される。第3のステップは、最大許容車両加速度低下閾値Accel_dif_max_autを規定することである。この閾値は、状態E_cib及びE_crtに依存し、目標状態における、許容される最大の加速の低下を表す。
【0025】
このシーケンスにおける最終の第4のステップは、駆動系の目標状態を許可するか禁止するかを、決定することである。加速度の差分Accel_difが閾値Accel_dif_max_autよりも大きい場合、現在状態E_crtから目標状態E_cibへの移行は禁止される。差分が当該閾値以下である場合、移行は許可される。
【0026】
最後に、この方針を適用することによって生じ得る状態変更の連続を防止するため、時間遅延が採用される。具体的には、本方法の適用がなければ選択されていたであろう状態Bではなく、目標状態Aへの変更が実施されたとき、この状態Bへの移行は一時的に禁止される(後にこの移行が状態Aから許可されるとしても)。この禁止は、時間遅延の間、維持される。時間遅延の長さは、パラメータ化が可能である。言い換えれば、状態Aへの移行が先に行われていたときに保留されていたが、後に状態Aから許可されるであろう、現在状態Aから目標状態Bへの移行は、時間遅延の期間中は一時中止されているのである。
【0027】
図5に、
図1の加速曲線を再び示す。2つの現在動作点1及び2が現在状態HYB11にあることから、以下の表は、点1(表1)及び点2(表2)における目標状態ZEV3及びHYB21への切替に関する、本方法の適用を表している。
【0030】
図5の動作点1から、
a) 目標がZEV3である場合に、(それによって最大閾値Accel_dif_max_autを上回る加速の低下が生じるため)ZEV3状態へのアクセスが禁止されるケース1において、実際に、
・ 目標状態E_cib ZEV3に切り替えるための中間状態E_itrはニュートラルの状態であり、
・ 現在状態における推定加速度はAccel_crt=0.9m/s
2であり、
・ 移行中のニュートラル状態における推定加速度はAccel_itr=−0.1m/s
2であり、
・ 車両の加速度の低下は、Accel_dif=1m/s
2であり、
・ HYB11からZEV3への切替に関する許容最大車両加速度低下Accel_dif_max_autは0.75m/s
2である。
b) 目標がHYB21である場合に、(車両加速度の低下が最大閾値を下回るため)この状態へのアクセスが許可されるケース2において、実際に、
・ 目標状態E_cib HYB21に切り替えるための中間状態E_itrは状態ZEV1であり、
・ 現在状態における推定加速度はAccel_crt=0.9m/s
2であり、
・ 移行中の状態ZEV1における推定加速度はAccel_itr=0.9m/s
2であり、
・ 車両の加速度の低下は、Accel_dif=0m/s
2であり、
・ HYB11からHYB21への切替に関する許容最大車両加速度低下Accel_dif_max_autは1m/s
2である。
【0031】
図5の動作点2から、
a) 目標がZEV3である場合に(車両加速度の低下が最大閾値を下回るため)この状態が許可されるケース1において、実際に、
・ 目標状態E_cib ZEV3に切り替えるための中間状態E_itrはニュートラルの状態であり、
・ 現在状態における推定加速度はAccel_crt=0.1m/s
2であり、
・ 移行中のニュートラル状態における推定加速度はAccel_itr=−0.1m/s
2であり、
・ 加速度の低下は、Accel_dif=0.2m/s
2であり、
・ HYB11からZEV3への切替に関する許容最大車両加速度低下Accel_dif_max_autは0.75m/s
2である。
b) したがって、目標がHYB21である場合に、(車両加速度の低下が最大閾値Accel_dif_max_autを下回るため)この状態が許可されるケース2において、実際に、
・ 目標状態E_cib HYB21に切り替えるための中間状態E_itrは状態ZEV1であり、
・ 現在状態における推定加速度はAccel_crt=0.1m/s
2であり、
・ 移行中の状態ZEV1における推定加速度はAccel_itr=0.1m/s
2であり、
・ 車両の加速度の低下は、Accel_dif=0m/s
2であり、
・ HYB11からHYB21への切替に関する許容最大車両加速度低下Accel_dif_max_autは1m/s
2である。
【0032】
結論として、提案されている方法には数々の利点があり、その中で言及されるべきは、
・ 実装の容易さ、
・ 移行状態における最大力や外力などのような、車両のパラメータの変化を考慮に入れることを可能にするリアルタイムの動作、
・ 少なくとも2つの個別の駆動系状態を持つトランスミッションを有する、全てのハイブリッド構造への適用性である。