特許第6861167号(P6861167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861167低温にて加硫されるように構成されたジエンゴム組成物およびゴム物品の製造方法
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  • 特許6861167-低温にて加硫されるように構成されたジエンゴム組成物およびゴム物品の製造方法 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861167
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】低温にて加硫されるように構成されたジエンゴム組成物およびゴム物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/24 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   C08J3/24 ZCEQ
【請求項の数】13
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-551216(P2017-551216)
(86)(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公表番号】特表2018-515641(P2018-515641A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】US2016024656
(87)【国際公開番号】WO2016160774
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-68140(P2015-68140)
(32)【優先日】2015年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520197561
【氏名又は名称】カリフレックス・ピー・ティー・イー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 文雄
(72)【発明者】
【氏名】中沢 好勝
【審査官】 深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/132718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28、99/00
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエンゴムから物品を形成する方法であって、
原料ジエンゴム物質であって、原料ジエンゴム物質は、1,2−ポリブタジエン、およびイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)、エチレンプロピレンゴム(EPR)および天然ゴム(NR)から成る群から選択される第2のゴム成分の混合物である、原料ジエンゴム物質を提供するステップ、
前記原料ジエンゴム物質に加硫剤として過酸化物を添加するステップ、
前記加硫剤として過酸化物を含む原料ジエンゴム物質を200℃以下の第1の温度で軟化させて軟化ジエンゴムを生成するステップであって、プロセスオイルを添加することを含まないステップ、
前記軟化ジエンゴムを押出機から押し出して、加硫前の成形物品を形成するステップ、および
周囲雰囲気下で200℃以下の第2の温度にて前記加硫前の成形物品を加硫して物品を生成するステップを含み、
前記物品はJIS K6251(ISO 37)で測定された、0.5MPa以上の100%の伸びにおける弾性率を有する、方法。
【請求項2】
過酸化物が有機過酸化物化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機過酸化物化合物がヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシケタールおよびケトンペルオキシドから成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
過酸化物の10時間半減温度が約20℃から約190℃の範囲、好ましくは約60℃から約150℃の範囲、より好ましくは約80℃から約120℃の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記過酸化物の1分半減温度が約100℃以上、好ましくは約120℃以上、より好ましくは約140℃以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の温度が約180℃以下、好ましくは約20℃から約170℃の範囲、より好ましくは約20℃から約150℃の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第2の温度が約180℃以下、好ましくは約20℃から約170℃の範囲、より好ましくは約60℃から約160℃の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
イソプレンゴム(IR)成分が低シスイソプレン、高シスイソプレン、ネオジム触媒イソプレン、リチウム触媒イソプレンおよびチーグラー−ナッタ触媒イソプレンから成る群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1,2−ポリブタジエンゴム成分の量が約5から95質量部、好ましくは約10から95質量部、より好ましくは約25から95質量部であり、ただしゴム成分の総量が100質量部である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
周囲雰囲気が酸素含有空気である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
軟化工程が押出機内で行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
フィラーを添加するステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ジエンゴムから物品を形成する方法であって、
押出に供されるように構成されたジエンゴム組成物を提供するステップであって、当該組成物は1,2−ポリブタジエンゴム成分を含む原料ジエンゴム物質および加硫剤としての過酸化物を含むステップ、
前記原料ジエンゴム物質を200℃以下の第1の温度で軟化させるステップ、および
周囲雰囲気下で200℃以下の第2の温度にて加硫して物品を生成するステップであって、当該加硫するステップは前記ゴムが押出機から加硫前の成形物品として押し出された後に行われるステップ
を含み、
当該加硫するステップから形成される物品は、約20%未満のヘーズおよび0.5MPa以上の100%伸びにおける弾性率を有し、かつ、プロセスオイルを実質的に有さない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエンゴム物品の形成方法に関し、特に低温にて加硫されたジエンゴム物品の形成方法に関する。本発明は、該方法によって作製された物品および該方法のための原料ジエンゴム材料にも関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムは弾性高分子物質であり、熱可塑性エラストマー(TPE)の一種として分類される。ゴムは、物理的および化学的性質で他の樹脂およびポリマー油とは区別されている。ジエンゴムは、主鎖が二重結合を有するゴムの一種である。ジエンゴムは一般に、実際には加硫する必要がある。
【0003】
加硫は、原料ジエンゴム物質を変換または改質する工程である。加硫工程は、幾つかの加硫剤および/または加熱を用いて、ジエンゴム中の鎖状分子間の強力な結合または架橋を生成する。加硫工程は、原料ジエンゴムを改質して、弾性や引張強度などの幾つかの機械的特性を向上させ、塑性流動を低減する。加硫は、ジエンゴムの少なくともある程度の膨張も防止できる。
【0004】
硫黄は、何十年も何世紀にもわたり、ゴム製造分野において最も普及した加硫剤として使用されてきた。しかし、硫黄粉末(S)などの硫黄系加硫剤は、原料ジエンゴム中の加硫工程を促進するために、より高い温度およびより長い時間を必要とする。
【0005】
従来の原料ジエンゴム組成物は、一般に加硫のために比較的大量の硫黄系加硫剤を必要とし、このため最終ゴムは硫黄によって着色または変色する。得られたゴム組成物は、大量の硫黄を含有し、悪質なヘーズまたは黄変を有する。
【0006】
加硫剤としての硫黄は、貯蔵時にゴムの表面でのブルーミングにつながる場合があることも知られている。ブルーミング現象は、ゴム貯蔵容器またはタンク付近の周囲の環境を汚染することがある。さらに、従来のゴム物品の硫黄含有レベルは、様々な国々や都道府県の工業規格または環境基準を満たさない場合がある。大量の硫黄によって悪臭も生じる。
【0007】
硫黄の毒性または有害な影響を軽減するために使用する硫黄の量を低減または停止するためのゴム加硫用の過酸化物に関する幾つかの研究が、当分野でなされている。
【0008】
特許文献1(NOF社が出願したJPH04275352A)には、ペルオキシモノカーボネートを使用する、エチレンプロピレンゴム(EPR)の従来の加硫方法が開示されている。
【0009】
特許文献2(日本化薬が出願したJPS4615420B)には、ペルオキシカーボネートを使用する、EPDMの従来の加硫方法が開示されている。
【0010】
JSRが出願した特許文献3(JPH04293946A)および特許文献4(JPH06100741A)には、ジクミルペルオキシドを使用して加硫させた、幾つかの従来のEPR組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平4−275352号公報
【特許文献2】特公昭46−015420号公報
【特許文献3】特開平4−293946号公報
【特許文献4】特開平6−100741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のジエンゴム組成物は、加硫工程が周囲雰囲気下で行われる場合(開放型工程)、良好な物品に工業的に形成できないことが知られている。射出成形法やプレス加硫法などの密閉成形金型を使用する方法とは異なり、原料ゴム材料は、過酸化物を使用する開放型加硫法中に酸素ガスを含有することが多い周囲雰囲気に自然に接触する。酸素ガスに由来する酸素ラジカルなどの酸化剤は、過酸化物の存在下でジエンゴム分子の主鎖に位置する二重結合を極度に攻撃することがある。次いで分子鎖が切断され、ゴムの表面が劣化して粘着性になる。結果として、従来方法は、実際に工業的または商業的に価値のないジエンゴム物品しか製造できない。加えて、従来のジエンゴム組成物は、一般に流動性が低く、押出成形すると溶融破断する。このため、従来のジエンゴムを開放型工程で加硫しないことになっていたが、過酸化物を使用してある樹脂(ゴムではない。)を押出成形することができる。ゴム製造の分野において、当業者は、ジエンゴムと過酸化物との組合せが実際に十分に押出できないことを理解していた。
【0013】
上記特許文献1から4に開示されているような従来技術では、EPRの主鎖は二重結合を欠いているために、ジエンゴムの代わりにEPRを使用することを提案しているだけである。特に特許文献3には、有機過酸化物を使用する従来の架橋工程では、ゴムが空気(例えば酸素)と接触すると従来のゴムが損なわれ、得られた架橋ゴム物品は粘着性表面を有することが段落0002に開示されている。上記の従来の研究は、過酸化物を用いた開放型の加硫工程によって引き起こされる問題に対処していない。
【0014】
加えて、純粋なEPRは一般に、油に弱く、加硫速度が比較的遅く、過酸化物によって加硫するためには、200℃を超えるより高い温度および20分を超えるより長い時間を必要とする。
【0015】
上記課題に鑑み、開放型加硫工程によるジエンゴム物品の新規製造方法および新規方法で使用できる新規原料ジエンゴム組成物の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは驚くべきことに、より低温における開放型工程において、ジエンゴム物質を過酸化物によって加硫して、物品を形成できることを見出した。本発明者らは、この発見に基づいて本発明を着想および完成した。
【0017】
一実施形態において、本発明は、ジエンゴムから物品を形成する方法であって、
1,2−ポリブタジエンゴム成分を含む原料ジエンゴム物質を提供するステップ、
原料ジエンゴム物質に加硫剤として過酸化物を添加するステップ、
原料ジエンゴムを200℃以下の第1の温度で軟化させるステップ、
ジエンゴムを周囲雰囲気に接触させながら、200℃以下の第2の温度にてジエンゴムを加硫するステップ、および
加硫ジエンゴムから物品を成形するステップ
を含む方法を提供することができる。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、上記方法によって製造したジエンゴム物品も提供することができる。
【0019】
なお別の実施形態において、本発明は、押出に供されるように構成されたジエンゴム組成物であって:
1,2−ポリブタジエンゴム成分を含む原料ジエンゴム物質および
加硫剤としての過酸化物
を含むジエンゴム組成物も提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、比較的低温で開放型工程によりジエンゴム物質を加硫して、ジエンゴム物質からジエンゴム物品を形成することが可能となる。本発明の方法は、ゴムに良好な流動性を与えて、溶融破断現象を低減または排除することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、試料#31から作製した押出チューブの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0023】
定義
「ジエンゴム物質」という用語は、主鎖に二重結合を有する少なくとも1種のジエンゴム成分を含むゴム状物質を意味する。ジエンゴム物質としては、これに限定されるわけではないが、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(または1,2−ポリブタジエンエラストマー)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、クロロプレンゴム(CR)および任意の等級の天然ゴム(NR)が挙げられる。一実施形態において、ジエンゴム物質は、1種以上のジエンゴム成分のみを含んでよい。別の実施形態において、ジエンゴム物質は、1種以上のジエンゴム成分と1種以上の非ジエンゴム成分との組合せを含んでよい。ジエンゴムは、共役ジエンゴムおよび非共役ジエンゴムを含み得る。
【0024】
本明細書において、「原料ゴム」とは、実質的にまだ加硫されていないゴム組成物を意味する。
【0025】
「過酸化物の半減温度」という用語は、希釈溶液中の所定量の過酸化物の半分が分解するのに要する温度を意味する。有機過酸化物の場合、この現象は以下の式に従う:
ln(C/C)=K
式中、Cは、有機過酸化物の初期濃度であり、Cは、時間tにおける過酸化物の濃度であり、Kは熱分解速度定数である。半減期t1/2は:
1/2=(ln2)/(K
によって計算する。
【0026】
半減温度は、一般に、当分野にて、1分半減温度、1時間半減温度(T1)または10時間半減温度(T10)として表される。
【0027】
本明細書における「成形する」または「成形」という用語は、ゴム物質が物品に変形されることを意味し、加硫ステップおよび/または形成ステップを含み得る。一実施形態において、成形工程または形成工程は、ヘッドモールドまたは押出ダイによって行われ得る。
【0028】
「透明の」という用語は、物品を透過した透過光が正透過で主に構成され、正透過においては、正透過された可視光線の割合が大きい。本出願において、透明度は、ヘーズの値または全光線透過率の値から求められる。上記で定義した「透明性」のない物品は、「不透明」または「半透明」と呼ぶことができる。
【0029】
「ヘーズ」という用語は、JIS K7163(またはISO 14782)に従って測定した、透明材料のぼやけ度を意味する。ヘーズの値は、前方散乱によって0.044rad以上の角度で入射光から逸れる透過光の割合として決定される。
【0030】
「全光線透過率」を意味する「TT」とは、JIS K7361−1(またはISO 13468−1)に従って測定した、透明材料を透過した光線の割合を意味する。全光線透過率の値は、被験物品上の平行な入射光束に対する全透過光束の比として求められる。
【0031】
「A型硬度計硬度」または「Hs」という用語は、JIS K6253に従って測定したゴム物質の硬度を意味する。本明細書においてHsの値は、以下の手順:被験物品にプランジャを絶えず押し当て、押し当ててから0秒または30秒後に物品中に押し込まれたプランジャの深さを測定することによって求める。
【0032】
「引裂強さ」という用語は、JIS K6252に従って測定したゴム物質の引裂強さを意味する。本明細書において、引裂強さの値は、被験材料の厚さ2mmのシートを使用して求め、N/mm単位に換算する。
【0033】
「破断時引張」、「引張」または「Tb」という用語は、JIS K6252に従って測定した、一定速度で延伸された試験片の破断時の最大応力を意味する。本明細書において、引張の値は、試験片に与えた最大応力を試験片の元の断面積で割り、得られた値をMPa単位に変換することによって算出される。
【0034】
「破断時伸び」、「伸び」または「Eb」という用語は、JIS K6251(IS037)に従って測定した、延伸された試験片に対する延伸(長さ)軸に沿った変形を意味する。本明細書において、伸びの値は、試験片の伸びた長さの、試験片の元の長さに対する比によって表され、パーセンテージの形式で表す。
【0035】
「引張応力」または「弾性率」という用語は、JIS K6251(ISO 37)に従って測定した、試験片が所定の長さだけ伸びたときの応力を意味する。本明細書において、弾性率の値は、所定の長さだけ伸びた試験片に対する荷重を試験片の断面積で割り、得られた値をMPa単位に変換することによって算出される。100%、300%または500%の伸びにおける弾性率は、それぞれ「M100」、「M300」または「M500」と呼ばれ得る。
【0036】
「ムーニー粘度」という用語は、JIS K6300−1またはASTM D1646に従って測定した未加硫ゴムの粘度を意味する。ムーニー粘度の値は、本明細書において、JIS K6300−1の規格に適合するムーニー粘度計によって測定される。
【0037】
「屈折率」という用語は、例えばJIS K7142に従って測定した、物質中の光の速度を表す指数を意味する。
【0038】
「ビニル含有率」という用語は、1,2付加(ブタジエンの場合−イソプレンでは3,4付加となる。)によって重合される共役ジエンの量を示す。純粋な「ビニル」基は、1,3−ブタジエンの1,2付加重合の場合にのみ形成されるが、イソプレンの3,4付加重合(および他の共役ジエンへの同様の付加)のブロックコポリマーの最終特性に対する効果は、同様となる。上記の付加の結果、ポリマー骨格上にペンダントビニル基が生成される。ポリマー中のビニル含有率は、プロトンNMRのような当分野における従来技術を用いて測定され得る。
【0039】
ビニル含有率は、分配剤の相対量を変えることによって効果的に制御される。認識されるように、分配剤は、モノアルケニルアレーンおよび共役ジエンの制御分布を生成し、共役ジエンの微細構造も制御するという、2つの目的を果たす。分配剤のリチウムに対する好適な比率は、U.S.Pat.No.Re 27,145に開示および教示され、この開示は参照により組み入れられている。
【0040】
本明細書で使用する場合、別途記載しない限り、「分子量」という用語は、コポリマーのポリマーまたはブロックの真の分子量(g/mol)を示す。本明細書および特許請求の範囲で示す分子量は、ASTM 3536に従って行われるように、ポリスチレン較正標準を使用してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。GPCは、ポリマーが分子サイズに従って分離される周知の方法であり、最大分子が最初に溶離する。クロマトグラフは、市販のポリスチレン分子量標準を使用して較正する。このように較正されたGPCを使用して測定したポリマーの分子量は、見掛け分子量としても知られる、スチレン換算分子量である。スチレン換算分子量は、ポリマーのスチレン含有率およびジエンセグメントのビニル含有率が既知である場合、真の分子量に換算され得る。使用した検出器は、好ましくは複合紫外線および屈折率検出器である。本明細書で表す分子量は、真の分子量に換算されたGPCトレースのピークにて測定され、一般に「ピーク分子量」と呼ばれる。見掛けの分子量として表される場合、ブロックコポリマー組成を検討せず、後続の真の分子量への変換を行わないことを除いて、分子量を同様に求める。
【0041】
本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」および「含有する」という用語は、別途記載しない限り、物品または構成成分が(複数の)要素を伴うまたは有することを意味する。該用語の意図は、内的および外的付加の両方を含み得る。
【0042】
本明細書において、「約」、「およそ」、または「適宜」という語が値の前に付されている場合、この値は少なくともプラスマイナス10パーセントの許容範囲を含むことができる。
【0043】
本明細書において、ASTM、ISOおよびJISなどの規格の参照番号は、本出願の出願日または優先日に当分野の当業者に知られているものである。
【0044】
過酸化物の概要
本実施形態において、ゴムが周囲雰囲気と接触する開放型環境下で加硫工程が良好に完了する限り、いずれの過酸化物を用いて原料ジエンゴム物質を加硫してもよい。過酸化物は、有機過酸化物および無機過酸化物を含み得る。有機過酸化物は一般に、半減温度が適切であり、不純物が相対的により微量であるために、本方法にとって好ましい。
【0045】
有機過酸化物としては、これに限定されるわけではないが、ヒドロペルオキシド(R−O−O−H)、ジアルキルペルオキシド(R−O−O−R)、ペルオキシエステル(R−C(O)−O−O−R)、ジアシルペルオキシド(R−C(O)−O−O−C(O)−R)、ペルオキシジカーボネート(R−O−C(O)−O−O−C(O)−O−R)、ペルオキシケタール(R−O−O−C(−R)(−R)−O−O−R)およびケトンペルオキシド(H−O−O−C(−R)(−R)−O−O−H)が挙げられる。R、R、RおよびRは、独立してまたは別個に、1から24個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、より好ましくは1から10個の炭素原子を有する脂肪族基、脂環基または芳香族基を表し得る。R、R、RおよびRは分枝または非分枝であってよく、ハロ、CからC脂肪族基、脂環基または芳香族基でさらに置換されてよい。
【0046】
有機過酸化物としては、これに限定されるわけではないが、ジイソブチリルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸ペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ブタン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、ビス−3.5.5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンおよび1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサンが挙げられる。
【0047】
一実施形態において、本方法は、好ましくは、これらの沸点および半減温度の観点から、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネートおよびペルオキシケタールを使用し得る。
【0048】
一実施形態において、過酸化物は、好ましくは、約20℃から約190℃、好ましくは約60℃から約150℃の範囲、より好ましくは80℃から約120℃の範囲の10時間半減温度を有し得る。10時間半減温度が低すぎる場合、例えば20℃未満の場合、ジエンゴム物質はあまりにも早く加硫(即ちスコーチング)し得る。10時間半減温度が高すぎる場合、例えば約190℃を超える場合、加硫は実際には遅すぎることがある。
【0049】
一実施形態において、過酸化物は、好ましくは、約100℃以上、好ましくは約120℃以上、より好ましくは約140℃以上の1分半減温度を有し得る。1分半減温度が低すぎる場合、例えば約100℃未満であると、ジエンゴム物質があまりにも早く加硫され得て、ゴムが押出されにくい。
【0050】
本材料は、材料の全質量の100質量部に対して約20質量部以下の過酸化物、好ましくは約15質量部以下の過酸化物、より好ましくは約0.1から10質量部の過酸化物、なおより好ましくは約4から8質量部の過酸化物を含み得る。
【0051】
過酸化物は、硫黄の量が本発明の目的のために有害でない限り、加硫温度および速度を調節するために、硫黄含有化合物と併用してよい。例えば、本方法では、材料の全質量の100質量部に対して、1.0質量部以下の硫黄、好ましくは0.5質量部以下の硫黄、より好ましくは約0.05から0.5質量部の硫黄を使用し得る。過酸化物の量は好ましくは、得られた物品中の汚染を低減し、製造工程中の悪臭を抑制するために、比較的低くてよい。過酸化物と硫黄との併用に関する幾つかの従来技術は、Manik,SP and Banerjee,S,Rubber Chemistry and Technology,July 1969,Vol.42,No.3,pp.744−758に開示され、この開示は参照により組み入れられている。
【0052】
過酸化物は、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、トリメチロールプロパンメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジエチレングリコールジアクリレートおよびネオフェニレングリコールジアクリレートなどの他のラジカル架橋剤とさらに併用してよい。
【0053】
一実施形態において、過酸化物は、アルカリ金属の過酸化物、周期表の第II族の金属の過酸化物または過酸化銅、過酸化チタン、過酸化セリウムおよび過酸化クロムを含む重金属の過酸化物から選択される無機過酸化物であってよい。無機過酸化物は好ましくは、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛および過酸化カドミウムから成る群から選択され得る。この群において、過酸化カルシウムまたは過酸化ストロンチウムの使用が特に好ましい。このような無機過酸化物は、酸化物またはガラスの形態で存在し得ることが好ましい。
【0054】
ジエンゴムの概要
一実施形態において、ジエンゴム物質は、1種以上のジエンゴム成分を含み得る。ゴム成分は、これに限定されるわけではないが、C−C20オレフィン(ジオレフィンおよびα−オレフィンを含む。)、好ましくはC−C12オレフィン、より好ましくはC−Cオレフィンから調製され得る。
【0055】
オレフィンとしては、これに限定されるわけではないが、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(即ちイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、4−メチル−1−ペンテン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、1,3−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,3−ノナジエン、1,3−デカジエン、1,9−デカジエン、1,3−ドデカジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネンおよび5−メチレン−2−ノルボルネンが挙げられる。オレフィンポリマーは、任意の数平均分子量を有することができるが、例えば100g/molから100,000g/molの数平均分子量を有し得る。オレフィンは、ビニル芳香族炭化水素、例えばスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンおよびこれらの混合物も含み得る。
【0056】
「非ジエンゴム」という用語は、単位が2個の二重結合を実質的に欠いているゴム物質を意味する。非ジエンポリマーとしては、これに限定されるわけではないが、ブチルゴム(IIR)、フッ素ゴム(FKM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)およびシリコーンゴム(Q)が挙げられ、当分野で既知のいずれの炭化水素からも調製されるいずれのポリマーもさらに含み得る。
【0057】
ジエンまたは非ジエンゴムは、幾つかの幾何異性体を有し得る。異性体のシス含有率(比)が特性に影響を及ぼし得る。シス含有率は、JIS 6230またはISO 4650に従うIR分光法により測定され得る。
【0058】
シス含有率は、ゴムの種類によって変わる。例えば、ポリイソプレンゴム(IR)の場合、「低シス」ジエンゴムは、約90%から約95%のシス含有率、より通例は約90%から約94%のシス含有率、さらに通例は約90%から約92%のシス含有率を有し得て、「高シス」ジエンポリマーは、約95%を超えるシス含有率、通例は約95%から約99%のシス含有率、より通例は約96%から約99%のシス含有率を有し得る。
【0059】
ポリブタジエンゴム(BR)の場合、「低シス」ゴムは約20%から約40%のシス含有率を有し得て、「高シス」ゴムは約94%から約98%のシス含有率を有し得て、「中度のシス」ゴムは中間のシス含有率を有し得る。
【0060】
高シスジエンゴムポリマーとしては、これに限定されるわけではないが、LHIR−80(Moaming Luhua製のネオジム触媒高シスポリイソプレンゴム、Mw:約1800から2100kg/mol、シス含有率:約96から97%)、LHIR−90(Moaming Luhua製のネオジム触媒高シスポリイソプレンゴム、23℃における屈折率:1.519)、ニポールIR2200(ゼオン製の非ネオジム触媒、チーグラーナッタ触媒高シスポリイソプレンゴム、Mw:約1700kg/mol、シス含有率:約98.5%、ムーニー粘度:82、23℃における屈折率:1.519)およびニポールIR2200L(ゼオン製の非ネオジム触媒、チーグラーナッタ触媒高シスポリイソプレンゴム、ムーニー粘度:72)が挙げられる。
【0061】
低シスまたは中度のシスジエンゴムポリマーとしては、例えばカリフレックスIR0307およびカリフレックスIR0310(クレイトンポリマーズ製のリチウム触媒ポリイソプレン、シス含有率:約87%から約91%、23℃における屈折率:1.519)、ソルプレン255およびアサプレン755A(旭化成製のスチレン系エラストマー)、ジエン35NR、ジエン35RNF、ジエン55RNF、ジエン35NF、ジエン55NFおよびジエン51(ファイアストンポリマーズ製の中度シスポリブタジエン、シス含有率:約40%、ムーニー粘度:約35から約55)ならびにニポールBR1241SおよびニポールBR1242S(ゼオン製の低シス1,4−ポリブタジエン、ムーニー粘度:約35から約55)が挙げられる。
【0062】
1,2−ポリブタジエンとしては、これに限定されるわけではないが、JSR RB805、JSR RB810、JSR RB820、JSR RB830およびJSR RB840(JSR製の低結晶性シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、1,2結合含有率:約90%から約96%)が挙げられる。23℃における屈折率は、JSR RB810:約1.513、JSR RB820:約1.515、JSR RB830:約1.517である。
【0063】
十分な可撓性を得るために、ゴムポリマーは好ましくは低い結晶性を有し得る。ポリブタジエンブロックコポリマーの場合、水素添加後の結晶化を避けるために、特に低温での高すぎる硬度を避けるために、1,2付加の比率は好ましくは約30%以上であり得る。
【0064】
上記ゴム物質は、当分野において有用であることが知られている任意の従来の不活性炭化水素溶媒を使用することによって調製され得る。適切な溶媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびこれのアルキル置換誘導体などの直鎖または分枝炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキセン、シクロヘプタンおよびこのアルキル置換誘導体などの脂肪族環状炭化水素、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、キシレンおよびこのアルキル置換誘導体などの芳香族炭化水素ならびにテトラリンおよびデカリンなどの水素化芳香族炭化水素が挙げられる。
【0065】
別途記載しない限り、「ポリマー」という用語は、末端が改質剤によって改質された改質ポリマーも含み得る。改質剤としては、例えばアミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、尿素基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基およびピリジル基から選択される1個以上の官能基を有する化合物が挙げられる。改質剤としては、これに限定されるわけではないが、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)トリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールおよび四塩化ケイ素が挙げられる。
【0066】
一実施形態において、ジエンゴム物質はリチウム触媒イソプレンを含み得る。リチウム触媒は、有機リチウム触媒であってよい。有機リチウム触媒は、CからC20のヒドロカルビル基を有する、または好ましくはCからCのヒドロカルビル基を有するモノ、ビス、トリスまたはテトラキス置換リチウム化合物であってよい。
【0067】
有機リチウム触媒としては、これに限定されないが、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウムおよびt−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、フェニルリチウムおよびトリルリチウムなどのアリールリチウム、ビニルリチウムおよびプロペニルリチウムなどのアルケニルリチウム、ならびにテトラメチレンリチウムおよびペンタメチレンリチウムなどのアルキレンリチウムが挙げられる。
【0068】
別の実施形態において、ジエンゴム物質は、ネオジム触媒イソプレンゴム成分、即ちネオジム含有触媒を用いて調製されたイソプレンゴムを含み得る。ネオジム含有触媒は、これに限定されないが、金属ネオジムならびにネオジムのカルボキシレート、ホスフェート、ホスファイト、アルコキシドおよびジケトン錯体を含む。ネオジム含有触媒は、例えば炭化水素溶媒の溶液の形態で使用され得る。
【0069】
ネオジムのカルボキシレートは、これに限定されないが、3価ネオジムに結合したカルボキシレートの残基を有する構造を含有する化合物を含み得る。カルボキシレートは、好ましくは、CからC20直鎖または分枝鎖およびアルキル基またはアルケニル基を有する飽和または不飽和カルボキシレートであり得る。カルボキシレートとしては、これに限定されないが、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、オレイン酸、ステアリン酸および安息香酸が挙げられる。
【0070】
ネオジムのホスフェートおよびホスファイトとしては、これに限定されないが、ネオジム[ホスフェートビス(2−エチルヘキシル)]、ネオジム[ホスフェートビス(1−メチルヘプチル)]、ネオジム[2−エチルヘキシルホスホネートモノ−2−エチルヘキシル]、ネオジム[ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィネート]、ネオジム[ビス(1−メチル−ヘプチル)ホスフィネート]およびネオジム[(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィネート]が挙げられる。
【0071】
ネオジムのアルコキシドは、3価のネオジムに結合したアルコキシ基を有する構造を有し得る。アルコキシ基は、好ましくはCからC20であってよく、例えば飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状の骨格を有し得る。アルコキシ基としては、これに限定されないが、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基およびフェノキシ基が挙げられる。
【0072】
もちろんネオジムのβ−ジケトン錯体は、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体、ベンゾイルアセトン錯体、プロピオニトリルアセトン錯体およびバレリルアセトン錯体などのβ−ジケトン錯体部分を含有する。
【0073】
一実施形態において、ジエンゴム物質は、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴムおよびスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などのゴムポリマー成分を含み得る。これらのゴムは同様の特性を有し、ポリイソプレンゴムと混合される場合には十分に軟化されて好適な特性を発揮し得る。一実施形態において、ゴムポリマーとしては、好ましくはシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンまたは低シスBRが挙げられる。特に、シンジオタクチック構造を有するものは、該構造が耐熱性に寄与し得るため好ましい。
【0074】
一実施形態において、本発明の原料ゴム材料は、1,2−ポリブタジエンゴム成分および第2のゴム成分の両方を含み得る。第2のゴム成分は、ジエンゴム、非ジエンゴム、または両方であり得る。本実施形態の一態様において、第2のゴムは、これに限定されないが、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)、エチレンプロピレンゴム(EPR)および天然ゴム(NR)から成る群から選択される1つ以上を含み得る。本実施形態の一態様において、1,2−ポリブタジエンゴム成分の量は、約5質量部以上、好ましくは約5から95質量部、より好ましくは約10から95質量部、なおより好ましくは約20質量部から95質量部であり、ただしゴム成分の総量は100質量部である。
【0075】
追加の成分
本実施形態による材料は、本発明の目的が達成できる限り、追加の成分または添加剤をさらに含み得る。追加成分としては、これに限定されないが、着色剤、改質剤、仕上剤(例えばラウリン酸)、酸化防止剤(例えばモノフェノール、ビスフェノール、ポリフェノール、硫黄、リン系化合物、例えばBASF製のイルガノックス800、イルガノックス1010、イルガノックス1726、イルガフォス168およびイルガノックスPS800)、還元剤、酸素捕捉剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、表面処理剤、熱安定剤、着色剤、フィラー(例えばタルク、粘土、炭酸カルシウム、シリカ、ヒュームドシリカおよびカーボンブラック)、界面活性剤、ゲル化剤、殺生物剤、UV吸収剤(例えばサリチル酸、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、シアノアクリレートおよびヒンダードアミン)、散布剤(dusting agents)(例えばポリエチレンなどのポリオレフィン、シリカ、タルク、炭酸カルシウム粉末)、難燃剤およびポリリン酸が挙げられる。
【0076】
物品が透明青色、透明赤色および透明緑色のなどの幾つかの色を有し得るように、着色剤が使用され得る。着色剤としては、着色顔料、体質顔料、耐食性顔料および機能性顔料(例えばフタロシアニングリーン、チタン、鉄青、酸化鉄、亜酸化鉛および硫化亜鉛)などの当分野で使用されるいずれの従来の着色剤も挙げられる。
【0077】
一実施形態において、本方法は、得られた物品の表面安定性または表面平滑性を改善するために、シリカ、ヒュームドシリカ、粘土およびカーボンブラックなどの1つ以上のフィラーの添加を含み得る。
【0078】
本実施形態の組成物は、例えば、材料の全量の100質量部に対して約0.10から約10.0質量部の追加成分、好ましくは約0.20から約5.00質量部の追加成分、より好ましくは約0.25から約2.00質量部の追加成分を含み得る。また別の実施形態において、追加成分は別の量で添加され得る。
【0079】
一実施形態において、本発明の材料は、油の滲みを避けるために、柔軟剤としての油を実質的に含み得ない。別の実施形態において、本発明の方法は、汚染を低減し、最終物品の品質を改善するために、いずれのプロセスオイルも実質的に使用しない。
【0080】
軟化工程
上記の原材料を同時に、逐次的にまたは連続的に装置内に投入して、原材料を軟化させてよい。材料はマスターバッチ(MB)としても調製され得る。一実施形態において、放出されるジエンゴム物質は、粉末、ペレット、化合物、ブロックまたは半固体の形態であり得る。
【0081】
一実施形態において、ジエンゴム物質および他の材料は、押出機、ヒートローラーおよびバレルなどの装置内/装置上に供給され、軟化され得る。
【0082】
一実施形態において、本工程は、単軸、二軸および多軸押出機、遊星歯車押出機、ラム押出機、共混練機、ディスクパック押出機およびドラム押出機などの押出機を使用し得る。本実施形態の一態様において、押出機は、ホッパー、1個以上の供給区域およびヘッドモールドを有する。一態様において、原料ゴム物質、過酸化物および他の添加剤を同時に、逐次的にまたは連続的にホッパーを介して押出機内に投入してよい。別の態様において、原材料は、押出機の各供給区域に連結された個別の入口から個別に放出されてよい。一実施形態において、押出機は、対象材料を加熱する1個以上の内部または外部ヒータを有し得る。
【0083】
別の実施形態において、原材料はカレンダー加工装置に供され得る。対象物品がフィルムまたはシートの形態である場合、カレンダー加工装置が好ましいことがある。
【0084】
なお別の実施形態において、原材料は混練され、次いで周囲雰囲気に暴露されて、加熱されてエージングされ得る。工程の1つはオープンエア・スチーミング・エージング(open−air steaming aging)(日本語で「巻き蒸し」)と呼ばれ得て、該工程では、原料ゴム材料を混練して芯棒の周囲に付け、湿った布を材料の周囲に配置し、巻かれた材料を蒸して加硫する。
【0085】
一実施形態において、本軟化工程は、200℃以下の温度で実施され得る。本実施形態の一態様において、軟化温度は、約180℃以下、好ましくは約20℃から約170℃の範囲、より好ましくは約20℃から約150℃の範囲であり得る。
【0086】
加硫工程
本工程は、様々な方法で加硫ステップを行い得る。例えば押出の場合、押出されたゴムは、押出直後に加硫され得るか、またはオーブン、加熱、熱風もしくはスチームチャンバもしくはオートクレーブに入れて、熱、熱風または蒸気によって加硫が促進され得る。一実施形態において、加硫工程の時間窓は、約20分以下、好ましくは約1分から20分以下、より好ましくは約2分から20分以下であり得る。
【0087】
一実施形態において、本発明による加硫ステップは、ジエンゴムを周囲雰囲気に接触させながら、200℃以下の温度で実施される。本実施形態の一態様において、加硫温度は約180℃以下、好ましくは約20℃から約170℃の範囲、より好ましくは約60℃から約160℃の範囲であり得る。例えば加硫は、低温オーブンまたはスチームオートクレーブもしくはチャンバーにより、約110から160℃、より好ましくは約120から140℃にて行われ得る。
【0088】
形成した物品の架橋密度
一実施形態において、本発明の方法によって作製されたジエンゴム物品は、好ましくは良好な架橋密度を有し得る。好ましい密度値は、ゴムの硬度に依存するが、例えば約60の硬度においてほぼ10−5mol/cc程度であり得るか、または約20から30の硬度においてほぼ10−6mol/cc程度であり得る。
【0089】
架橋密度は、30℃におけるn−ヘプタン中の平衡体積膨潤データおよび簡略化フローリー−レナー式(クラウス表記法)から計算できる。架橋密度vは、式:
=−(1/V{(ln(1−V)+V+μV}/{V1/3−(2V/f)}
によって計算することができ、式中、
μ=μ+βVであり、
μおよびβVは、問題のポリマーの定数特性であり、
Vrは、膨潤加硫物中のポリマーの体積分率であり、
Vr=(ポリマーの体積)/{(ポリマーの体積)+(溶媒の体積)}、
VSは、n−ヘプタンのモル体積=148.1であり、
VOは、未膨潤状態のポリマーの体積分率であり、
四官能性網目の場合、f=4である。
【0090】
形成した物品の透明性
一実施形態において、本方法によって作製したジエンゴム物品は、好ましくは透明であり得る。物品は好ましくは、十分な透明性の観点から、JIS K6252に従って2mmシートとして測定する場合、約20%未満のヘーズ、好ましくは約18%未満のヘーズ、より好ましくは約15%以下のヘーズ、さらにより好ましくは約10%以下のヘーズを有し得る。ヘーズが約20%以上である場合、物品の透明性が低すぎて、市場の実用的および美観上の要求を満足し得ない。
【0091】
一実施形態において、本ジエンゴム物品は、十分な機械的特性の観点から、約0.5MPa以上、より好ましくは約1.0MPa以上、より好ましくは約2.0MPa以上の弾性率を有し得る。弾性率が低すぎる場合(例えば、M100が約0.5MPa未満の場合)、物品は十分な機械的特性を欠くおそれがある。
【0092】
一実施形態において、本ジエンゴム物品は、約30以上、好ましくは約30から70、より好ましくは約40から70、さらにより好ましくは50から70のA型デュロメータ硬度を有し得る。本物品をゴムタイヤなどの過酷な環境下で使用する製品に組み入れる場合、A型デュロメータ硬度は好ましくはおよそ60から70であり得る。本物品は好ましくは、0秒にて測定したA型デュロメータ硬度の約80%以上、好ましくは0秒にて測定したA型デュロメータ硬度の約90%以上、より好ましくは0秒にて測定したA型デュロメータ硬度の約95%以上である、30秒にて測定したA型デュロメータ硬度を有し得る。
【0093】
一実施形態において、本ジエンゴム物品は、約1.5MPa以上、好ましくは約2.0MPaから15MPa、より好ましくは約3.0MPaから15MPa、なおより好ましくは約5.0MPaから15MPaの破断時引張(Tb)を有し得る。Tbが低すぎる(例えば約1.5MPa未満)場合、物品は脆弱すぎて外力に耐えられないことがある。
【0094】
一実施形態において、本ジエンゴム物品は、約150%以上、好ましくは約20%以上、より好ましくは約250%以上、なおより好ましくは約300%以上の破断時伸び(Eb)を有し得る。Ebが低すぎる(例えば約150%未満)場合、物品は十分な弾性を欠くおそれがある。
【0095】
一実施形態において、本ジエンゴム物品は、JIS K6252に従って厚さ2mmの試料シートを使用して測定した、約10N/mm以上、好ましくは約10N/mmから50N/mm、より好ましくは約20N/mmから50N/mmの引裂強さを有し得る。引裂強さが低すぎる場合(例えば約10N/mm未満)、物品は十分な耐久性を欠くおそれがある。
【0096】
一実施形態において、本ジエンゴム物品は、好ましくは、特に製品が身体に直接接触する場合(例えば医療または食品等級の管、導管またはチューブ)、Fe、Li、Al、NdおよびTiなどの低い金属微量含有率を有し得る。
【0097】
一実施形態において、本ジエンゴム物品は、好ましくは、良好な透明性を有するため同様の屈折率を有する2種以上のゴム成分から作製され得る。例えば、2種のゴム成分の屈折率の差(絶対値)は、約0.100以下、好ましくは約0.050以下、より好ましくは約0.020以下、なおより好ましくは約0.010以下、約0.005以下、約0.002以下または約0.001以下であり得る。
【0098】
一実施形態において、本物品は、JIS K7361−1に従って測定した全光線透過率の約88%以上、好ましくは約89%以上、より好ましくは約90%以上、なおより好ましくは約91%以上を有し得る。全光線透過率が約88%未満である場合、物品は十分な透明性を欠くおそれがある。
【0099】
本物品は、あらゆる工業用ジエンゴム分野で使用され得る。該物品としては、例えば管、チューブ、ホース、タイヤ、人工乳首、フィルム、シート、制振または建築材料、食品トレー、電線、ケーブルならびに樋およびフレームなどの外形押出製品が挙げられる。該物品は、医学、生物学または食品等級の用途に適用され得る。
【実施例】
【0100】
本発明の実施形態を以下の実施例、比較例および参考例を参照して説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。
【0101】
プロトコル
実施例を作製するために使用した材料を以下の表に示す。以下、成分量をphrの単位で記載する。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
ゴム物質
カリフレックスIR307:クレイトンポリマーズ製のリチウム触媒ポリイソプレン、シス含有率:約87%から約91%、23℃における屈折率:1.519、密度:0.91g/cm
【0107】
カリフレックスIR310:クレイトンポリマーズ製のリチウム触媒ポリイソプレン、シス含有率:約87%から約91%、23℃における屈折率:1.519、密度:0.91g/cm
【0108】
RB−820:JSR製のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、結晶化度:25%、融点:約95℃、密度:0.906g/cm
【0109】
RB−810:JSR製のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、結晶化度:18%、密度:0.901g/cm
【0110】
NR#1:天然ゴム、タイで製造したリブドスモークドシート#1、密度:約0.91g/cm
【0111】
SBR1502:Astlett Rubber社製のスチレンブタジエンゴム、密度:0.94g/cm、ムーニー粘度:52。
【0112】
EPT3091:三井化学社製のEPDMゴム、密度:0.87g/cm、ムーニー粘度:57。
【0113】
過酸化物
カヤレン6−70:化薬アクゾ社製の1,6−ビス(t−ブチル−ペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン。
【0114】
カヤカーボン(Kayacarbon)BIC−75:化薬アクゾ社製のt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート。
【0115】
トリゴノックス117:アクゾノーベル製のtert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート。
【0116】
パーヘキサ25B:日油(株)製の2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン。
【0117】
パーブチルH−69:日油(株)製のt−ブチルペルヒドロキシド。
【0118】
他の添加剤
ラウリン酸
イルガノックス1010(BASF製)
イルガノックスPS800(BASF製)
EGDMA(エチレングリコールジメタクリレート)
S(硫黄)
別途記載しない限り、材料の量はphrの単位で示す。
【0119】
5インチミキシングローラー(安田精機製191−TMテストロール)を使用して、以下の工程で上記材料から原料ゴム化合物を生成した。
【0120】
(a)試験ゴム物質の融点付近の温度までローラーを加熱した。(複数の)試験ゴム物質をローラーに吊り下げた後、ローラーにプレスして巻き付けた。
【0121】
(b)プレスした(複数の)ゴム物質をローラー上で均一に混練した。
【0122】
(c)ローラー上の得られた均一なゴムバンドに加硫剤以外の添加剤を添加し、さらに混練した。一部の添加剤がより高い融点を有する場合、ローラーをより高い温度まで加熱した。(例えばイルガノックス1010は、110から120℃の融点を有する。)
(d)ゴム物質に(複数の)加硫剤を添加してゴム物質中に均一に分散させた。
【0123】
(e)得られたゴム物質を切断して、厚さ約5mm、幅約3cmから5cmのリボン状ストリップ(化合物)または厚さ約2mmのシートとした。
【0124】
(f)得られたストリップまたはシートをMDR(東洋精機製レオメーター、RLR−4)に供してレオメーター曲線を得て、適切な加硫温度および時間範囲を推定した。次にストリップまたはシートを以下の試験で使用した。
【0125】
試験1:ロールシートの作製およびギヤーオーブンまたはスチームオートクレーブにおけるロールシートの加硫ならびに機械的特性の測定
上記の表に挙げた本発明の試料(#1、...)および比較試料(#c1、...)の幾つかは、原料化合物シートとして作製した。原料シートを所定の(複数の)温度にて所定の(複数の)期間にわたって、ギヤーエージングオーブン(上島製作所製)またはスチームオートクレーブに入れて加硫した。
【0126】
加硫試料をオーブンから取り出し、周囲環境に1日放置した。次に試料をTb、M100、M300、M500およびEbの測定に供した。結果を下の表に示す。
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
【表7】
【0130】
本発明の試料は良好な機械的特性を示したが、比較試料はTbが不良であった。
【0131】
試験2:チューブ押出試験
上記配合物から作製した試験リボンストリップを、単軸押出機(東洋精機製ラボプラストミル10C100、スクリューサイズ:φ15mm、スクリュータイプ:フルフライト型、圧縮比=2.5、L/D=20、押出速度90から100rpm)に供した。温度設定は、区域1:95から100℃、区域2および区域3:100℃、区域4(ヘッドモールド):110から120℃であった。
【0132】
ストリップを押出機のホッパーに入れた。押出されたチューブを切り取り、しばらく冷却した。次いで、チューブを所定の(複数の)温度にて所定の(複数の)期間にわたって、ギヤーエージングオーブン(上島製作所製)に入れて加硫した。
【0133】
加硫チューブ試料をオーブンから取り出し、周囲環境に1日放置した。次いで試料をTbの測定に供した。結果を下の表に示す。
【0134】
【表8】
【0135】
本発明の試料は良好なTbを有し、押出されたチューブは当分野の工業的要件を満たすであろう。
【0136】
試験3:架橋密度の測定
上記の本発明の試料および比較試料をバイアル内のn−ヘプタンに浸漬して膨潤させた。次いで溶媒を除去し、得られた重量を測定した。試験は一般に各試料について2回繰り返した。架橋密度は、上で説明したフローリー−レナーの式から計算した。結果を以下の表に示す。
【0137】
【表9】
【0138】
本発明の試料は一般に良好な架橋密度を有していた。比較試料#clは全く加硫されず、溶媒に溶解した。比較試料#c2および#c3は溶媒に完全には溶解しなかったが、これらは十分なTbを欠いていた。さらに、比較試料#c2を含有する溶媒は濁った。
【0139】
試験4:表面観察
本発明の試料#31を作製し、押出機の温度設定を区域1、区域2および区域3:120℃、区域4(ヘッドモールド):120℃としたことを除いて、上記試験2と同様にチューブとして押出した。ギヤーオーブンにおける硬化温度は120℃であり、硬化時間は2、4、6または10分であった。硬化した試料は平滑な表面を有し、表面には粘着性はなかった。硬化した試料の写真を図1に示す。
【0140】
試験5:ヘーズの測定
本物品のヘーズを評価するために、カリフレックスIR307、RB−820、ラウリン酸、パーヘキサ25BおよびEGDMAを混合、混練して厚さ2mmのシートを得た。得られたシートをヘーズおよびTT測定に供した。結果を以下に示す。
【0141】
試料#a1
カリフレックスIR307:95phr
RB−820:5phr
ラウリン酸:0.25phr
パーヘキサ25B:2phr
EGDMA:4phr
硬化温度:150℃
硬化時間:13分
ヘーズ:5%
TT:91%
試料#a2
カリフレックスIR307:80phr
RB−820:20phr
ラウリン酸:0.25phr
パーヘキサ25B:2phr
EGDMA:4phr
硬化温度:150℃
硬化時間:7分
ヘーズ:5%
TT:91%
試料#a3
カリフレックスIR307:90phr
RB−820:10phr
ラウリン酸:0.25phr
パーヘキサ25B:2phr
EGDMA:4phr
硬化温度:160℃
硬化時間:10分
ヘーズ:16%
TT:92%
図1