(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者の脳組織を通る血流を測定するための脳組織用のカテーテルであって、 前記カテーテルは、前記患者の体外に位置する近位端と、前記患者の体内に挿入される遠位端とを備え、 前記カテーテルは、少なくとも1つの可撓性を有する第1の接続チューブと、少なくとも第1の窓と、第2の窓と、ガイド溝とを有する剛性要素を備え、 前記ガイド溝は、前記近位端から、前記剛性要素を通って、前記遠位端に向かって延びるとともに、当該ガイド溝が硬質のワイヤを受け入れ、それによって前記硬質のワイヤが前記カテーテルを通って移動可能となり、 前記脳組織内へ光を放出するための発光体、及び前記脳組織内で反射されカテーテルへと戻る光を受け入れるための少なくとも1つの光受信器が前記剛性要素内に配置され、 前記発光体から放出された光が、前記第2の窓を通って前記脳組織内に放出され、前記脳組織内で反射された光が、前記第1の窓を通って前記少なくとも1つの光受信器で受信される、カテーテル。
前記剛性要素が、互いに結合された上部部品と下部部品とを含み、前記少なくとも第1及び第2の窓が前記上部部品に配置され、前記上部部品が、使用される波長に対して透明でない、請求項1に記載のカテーテル。
前記剛性要素が中央部分であり、前記カテーテルが第2の接続チューブを含み、前記中央部分が、前記第1の接続チューブに固定するための遠位固定部分、及び、前記第2の接続チューブに固定するための近位固定部分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のカテーテル。
前記カテーテルが、さらに剛性ヘッド部分を有し、前記ヘッド部分が前記第1の接続チューブに固定するための第3の固定部分を有することにより、前記ヘッド部分が前記剛性要素から離れて配置される、請求項1〜4のいずれかに記載のカテーテル。
前記第2の接続チューブが、遠位端を有する内側チューブ、及び遠位端を有する外側チューブを含み、前記外側チューブの前記遠位端が、前記内側チューブの前記遠位端から突き出し、前記第2の接続チューブは、少なくとも前記外側チューブで前記近位固定部分に取り付けられる、請求項4に記載のカテーテル。
前記剛性要素に鏡が存在し、前記鏡は前記発光体の光出口面領域に対向して位置し、前記発光体から前記脳組織内へ放出される光を偏向する、請求項1〜18のいずれかに記載のカテーテル。
前記カテーテルが、少なくとも前記第1の接続チューブ、前記剛性要素及び前記第2の接続チューブに沿って、滑らかで不変の直径を有する、請求項4に記載のカテーテル。
カテーテル、及びその長さに沿って前記カテーテルを覆うカテーテル格納用の保護スリーブを備えるカテーテルシステムであって、前記保護スリーブが、前記カテーテルの遠位端から突出する遠位端を含み、前記保護スリーブが、遠位端で開いており、前記保護スリーブ内に位置する前記カテーテルと離れて延び、前記保護スリーブは少なくとも可視光に対して透明ではなく、 前記カテーテルが、請求項1〜22のいずれかに記載のカテーテルである、カテーテルシステム。
患者の脳組織を通る血流を測定する脳組織用のカテーテルであって、 前記カテーテルは、前記患者の体外に位置する近位端と、前記患者の体内に挿入される遠位端とを備え、 前記カテーテルは、第1の接続チューブと、第2の接続チューブと、中央部分とを有し、前記中央部分が、前記第1の接続チューブに固定される遠位固定部分と、前記第2の接続チューブに固定される近位固定部分とを有し、 前記中央部分は、少なくとも第1の窓と、第2の窓と、ガイド溝とを有し、 前記ガイド溝は、前記近位端から、前記中央部分を通って、前記遠位端に向かって延びるとともに、当該ガイド溝が硬質のワイヤを受け入れ、それによって前記硬質のワイヤが前記カテーテルを通って移動可能となり、 前記脳組織内に光を放出するための発光体、及び前記脳組織内で反射され前記カテーテルに戻る光を受け入れるための少なくとも1つの光受信器が前記中央部分内に配置され、 前記発光体から放出された光が、前記第2の窓を通って前記脳組織に放出され、前記脳組織内で反射された光が、前記第1の窓を通って前記少なくとも1つの光受信器で受信される、カテーテル。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様によれば、生体組織、特に深部にある脳組織を通る血流を測定し、容易且つ安価に製造でき、測定を歪めない装置が利用可能になる。
【0008】
本発明の他の態様によれば、生体組織、特に深部にある脳組織を通る血流を測定し、できるだけ狭い構造を有し、わずかな外傷、即ちわずかな損傷で、脳組織への装置の挿入を可能にする装置が利用可能になる。
【0009】
本発明の他の態様によれば、生体組織、特に深部にある脳組織を通る血流を測定し、わずかな外傷で脳組織への測定装置の挿入を可能にする装置が利用可能になる。
【0010】
本発明の他の態様によれば、生体組織、特に深部にある脳組織を通る血流を測定し、血流の信頼性の高い測定を可能にする装置が利用可能になる。
【0011】
本発明の他の態様によれば、生体組織、特に深部にある脳組織を通る血流を測定し、患者とともに運搬可能な装置が利用可能になる。
【0012】
本発明のカテーテルの好ましい実施形態では、放出される光及び反射される光のための光導体としてただ1つの光ファイバーがあり、光検出器及び排出用の排出溝がある。
【0013】
本発明のカテーテルの他の好ましい実施形態では、放出される光のための光導体としてただ1つの光ファイバーがあり、反射光のためにカテーテル内の光検出器があり、排出用の排出溝がある。
【0014】
本発明によるカテーテルの他の好ましい実施形態では、上述のヘッド部分、圧力センサ及び排出用の排出溝がある。
【0015】
前記排出溝は、付加的に又は代わりに、ガイド溝として使用することができる。大部分が可撓性材料からなるカテーテルでは、ガイド溝を通して堅いワイヤを引っ張ることができ、生体組織へのカテーテルの挿入を容易にする。
【0016】
生体組織を通る血流を測定するための装置は、生体組織の内部に挿入するためのカテーテルヘッドを備えたカテーテル、カテーテル内部の光導体、光導体を用いて生体組織中に光線を放出するための光源、及び生体組織から反射される光線を用いて血流速度を決定するための処理ユニットを含む。カテーテルは、剛性要素、例えば、凹所、切り込み部、隙間、又はくぼみを備えた中央部分を有し、凹所等は剛性要素へと内側に配向し、カテーテルの長手方向軸に対し横方向に設けられる。凹所等は、円形、長円形又は放物線形の内面を有することができ、又は、例えばくぼみの場合、複数の壁からなることもできる。凹所等は、光導体が開口し、光線が出てくる面領域、及び、光導体が開口する面領域に対向して位置し、光導体の軸に対し少なくとも部分的に斜めに、及び好ましくはカテーテルの長手方向軸に対しても斜めに配向するさらなる面領域を有する。簡単のために、これら2つの面領域を、以下、光出口面又は光出口面領域、及び反射面又は反射面領域と呼ぶ。光導体は、光源から放出された光線が反射面へ向かい、反射面によって周囲の生体組織内へと偏向されるように、光出口面から出て来る。光線は、血流に特徴的な方法で、生体組織に吸収及び反射され、その結果、反射面で反射されて光導体へと連結される反射光線が形成される。反射光線は、好ましくは、反射面に焦点が合わされる。反射光線は、光導体を通って処理ユニットへと送られ、この処理ユニットにおいて、放射された光線による入力信号と比較することによってこの送られた信号から血流速度を決定することができる。
【0017】
従って、カテーテルは、生体組織を通る血流を測定するためのプローブ又はカテーテルプローブを形成する。カテーテルは、好ましくは、以下で説明するように、特別に設計されるカテーテルヘッドを有し、この結果、脳組織、特に深部にある脳組織上の測定に特に適する。光導体は、例えば、光ファイバー・ケーブル又は他の光導体によって形成することができ、カテーテルを通って剛性要素、例えば中央部分、及びその光出口面へと向かう。反射面は、それ自身、光導体からの光線を反射できるように、十分な質の、好ましくは鏡状の質の面粗さを有することができる。好ましくは、反射体、例えば、鏡は、周囲の生体組織へと光線を反射するように、斜面上に配置される。また、一方で、入射光線が集束して組織で反射し、他方で、組織で反射した光が確実に光導体に送り込まれるように、反射面領域は、曲線形であることが有利である。反射面が曲線形を有する場合、関連する面領域を有する凹所の構造では、光導体から放出される光線の出口点と対向する反射面との間の距離がわかっており、光導体が反射面の焦点上に放射光線を集めるように設けられる。放射光線は、好ましくは、45°の角度で周囲の組織へと反射される。しかしながら、反射の他の角度も考えられ、例えば30°〜60°の範囲であることも可能である。
【0018】
好ましくは、凹所は、光透過性の材料を用いて充填される又は密閉される又は塞がれる。充填材料の外面は、好ましくは、周囲領域の円周面と同一面であり、なめらかな移行部が得られる。充填材料としては、例えば、エポキシ樹脂を使用できる。凹所を充填することによって、ビーム路の空気含有物を避けることができる。
【0019】
コヒーレント光を有する光源、例えば、780〜910nmの近赤外範囲の光を放射することができるレーザー又はレーザーダイオードを使用することが好ましい。この波長範囲の光は、生体組織に侵入できる。特に、選択する測定技術に適する波長を使用することが好ましい。好ましくは、785nm、850nm及び905nmの波長を有する光が用いられ、この光は特に、酸素化及び脱酸素化ヘモグロビン、及びマーカー物質であるインドシアニングリーンによって吸収及び反射される。可変周波数のパルス光線を使用することも有利である。組織上で反射される入射光線の一部は、アナログ−デジタルコンバータを用いて、処理ユニットで、酸素化及び脱酸素化血液及びマーカー物質の存在の時間プロフィールに関係する有意信号へと変換される。
【0020】
しかしながら、広範囲の波長スペクトルにわたって光を放射する光源、例えば白色光源を使用することもできる。その場合、血流の測定に有意味な波長範囲は、スペクトロメータによって検出することができる。しかしながら、コヒーレント光源は、必要とするエネルギーがより少ないという利点がある。
【0021】
カテーテルプローブは、また、脳内の遠くにある組織領域に好適である。このため、有利には、カテーテルヘッドと、剛性要素、例えば中央部分、の間の距離を変えることができる。例えばチューブ状の、様々な長さの接続要素を、所望の測定範囲又は脳への所望の侵入深さに応じて使用することができる。カテーテルヘッドは、例えば、とりわけ、剛性要素、例えば中央部分の位置決めのための基準点として働く脳室床まで、脳内へと挿入することができる。従って、血流の測定は、生体組織の関心領域にて現位置で、直接行うことができる。
【0022】
生体組織を通る血流を測定するための装置は、また、好ましくはホルダを含み、このホルダは、頭蓋の挿入開口部を覆って頭部の表面に置かれ、所定の位置にカテーテルプローブを保持する。例えば、ホルダは、頭部の表面上に位置するための接触面、及び、この接触面から突出して、カテーテル用のガイドチューブを有する。ホルダは、測定時、脳内へ感染性物質が侵入するのを回避することができる。これは、病原体及び汚染物質に対するバリアとして働く。ガイドチューブは、好ましくは、接触面上に垂直に配置されるため、頭蓋を通って垂直にカテーテルヘッドをガイドし、続いて垂直に定位置にカテーテルヘッドを保持する。この位置において、カテーテルプローブは、その位置からそらされたり、周囲の組織にダメージを与えたりすることなしに、その軸の周りに回転することができる。プローブを回すことによって、到達可能な測定領域が大幅に拡大される。カテーテルプローブの剛性部分、例えば中央部分、の周り360°の領域で測定を行うことができる。
【0023】
カテーテルプローブは、また、少なくとも1つのX線マーカーを有することができ、X線測定が行われるとき、組織内でのプローブの位置及び方向を示すことができる。
【0024】
カテーテルヘッドと剛性要素(中央部分等)が金属からなる場合、これらの位置は、X線法によってモニターすることができる。しかしながら、原則として、他の生体適合性材料も考えられ、この場合、X線法によるモニタリングは、オパール添加剤によって、カテーテルで既に使用される電子部品によって、又はマーカーによって得ることができる。さらに、カテーテルには、生体組織への侵入の深さに対するスケール、及び剛性要素(中央部分等)の角度位置を示すための角度スケールを設けることができる。これらの特徴は、脳内の測定領域の精密な配置を可能とする。
【0025】
同時に、カテーテルプローブは、付加的な測定センサを備えることができる。例えば、温度測定センサ、例えばサーミスタ又は熱電対を剛性要素(中央部分等)に設けることができる。温度センサは、剛性要素の外側領域、例えば溝に配置することができる。金属は優れた熱伝導係数を有するため、剛性要素の周りの組織を通る血流を測定するのと同時に、組織の温度を検出することもできる。この場合、組織との接触は必要ではない。しかしながら、剛性要素(中央部分等)がプラスチックからなる場合、測定センサと組織との間の接触は確保されなければならない。測定のために必要なリード線は、カテーテルを通って処理ユニットに送ることができ、処理ユニットで、温度信号が受信され変換される。しかしながら、プローブの先端と剛性要素(中央部分等)との間のチューブ領域に、温度測定センサを配置することもできる。
【0026】
さらに、カテーテルヘッド及びカテーテルの剛性要素(中央部分等)には、カテーテルを通って周囲組織を排出することを可能にする通路又は排出溝を設けることができる。このために、例えば、カテーテルヘッドは、周囲の組織に通じ排出溝に接続される少なくとも1つの開口部を有し、流体を組織から溝を通って吸引することができる。排出開口部の近くには、一方で周囲の組織内の圧力を測定するように、他方で排出溝内の圧力を測定するように設計される少なくとも1つの圧力センサが配置される。排出溝内に閉塞やそれに続く圧力変化がある場合、処理ユニットへと信号を出力することができ、アラームを作動することができる。原則として、排出開口部を経て組織へ液体を運ぶ、即ち液体を注入することもできる。
【0027】
好ましくは、生体組織への挿入のためのカテーテルヘッドが設けられ、カテーテルヘッドは、挿入領域及びそれに隣接する接続領域に分けられる。挿入領域は、その表面に複数の隙間を含む。さらに、挿入領域は、接続領域の方向に増加する直径を有する。隙間は、接続領域の方向に延びるウェブがカテーテルヘッドの表面に沿って隙間の間に形成されるように、挿入領域に設けられる。ウェブは、挿入領域の直径の小さい領域に始まり、直径がより大きい領域で終わる。
【0028】
カテーテルヘッドの形状により、生体組織、特に脳組織への及びこれを通るカテーテルヘッドの優しくほとんど傷つけない挿入が可能となる。カテーテルヘッドの挿入時、組織は最初最前方の領域及びウェブの表面によってのみ広げられる。ウェブの間の隙間の領域では、組織にまだ圧力が加えられていない。この最初の拡張の後、カテーテルヘッドはもっと先まで挿入され、隙間にある組織領域が接続領域の円周面によって広げられる。このやり方においては、最小の直圧だけが組織にかけられる。
【0029】
カテーテルヘッドの接続領域は、好ましくは円形又は楕円形であり、均一の直径を有する。直径は、好ましくは、最大3mmである。挿入領域は、先端の最前方領域で閉じられ、例えば放物線形、円形、又は切頂円錐形である。隙間は、挿入領域から接続領域へと細長い形状で延びることができる。挿入領域の直径が増加するため、隙間の間のウェブは、カテーテルの長手方向に湾曲する。先端の平面図において、これは、隙間の数に応じて、ウェブの十字形又は星形配置となる。
【0030】
隙間は、好ましくは開口部を有し、又は好ましくは開口部によって完全に形成される。隣接する表面の滑らかな移行部を提供するために、隙間又は開口部の縁又は境界は丸く又は斜めになっている。カテーテルヘッドは、内部に、カテーテルの溝とともに、近位方向に排出路を形成できる溝を有することができる。この溝は、隙間を形成する開口部に接続される。従って、周囲の組織から液体を取り除く又は周囲の組織へ液体を供給するための排出開口部として、開口部を使用することができる。排出溝を形成するために、カテーテルの、接続パイプ、好ましくは可撓性チューブ部分への固定に適した固定部分を、長手方向に接続領域に隣接できる。固定部分上の接続パイプ又はチューブ部分の直径は、実質的に接続領域の直径に対応するため、これらの構造部分の間に滑らかな移行部を与える。
【0031】
本発明によれば、凹部は少なくとも2つの窓からなる。好ましい実施形態では、これらの窓は蓋等の剛性要素の上部に配置される。
【0032】
発光体及び光受信器は、先端要素等の剛性要素内に配置することもできる。 剛性要素はまた、剛性要素(中央部分等)と先端要素とが、これらの間に可撓性チューブ要素を有さずに互いに結合した組み合わせであってもよい。しかしながら、カテーテル装置の構造及びレイアウトは同じままである。従って、この実施形態は別個の発明として同様にクレームされる。
【0033】
他の実施形態では、発光体及び光受信器の一方のみが剛性要素、例えば中央部分に配置され、他方(好ましくは光受信器)は先端要素内に配置される。第1の可撓性チューブ部分は、好ましくは、先端要素と剛性要素又は中間部分との間に存在する。これにより、発光体と光受信器との距離を可変に変更することが可能となる。光受信器は光検出器であることが好ましい。しかしながら、カテーテル装置の構造及びレイアウトは同じままである。従って、この実施形態は別個の発明として同様にクレームされる。
【0034】
上述の実施形態の変形例として、1より多い光受信器、好ましくは1より多い光検出器が存在し、光受信器は互いに離れて配置される。それらは全て、剛性要素、例えば中央部分、又は先端要素に配置してもよく、又はこれらのうちいくつかは剛性要素、例えば中央部分に配置し、いくつかは先端要素に配置してもよい。
【0035】
好ましい実施形態において、装置の構造部品の滑らかな移行は、内側チューブと外側チューブとからなる第2のチューブを使用することによって可能になる。剛性要素は、少なくとも外側チューブに、好ましくは外側チューブのみに接続され、これにより、外側チューブが内側チューブを突出させる。
【0036】
この種の二重チューブは他のカテーテル及び他の種類の装置にも使用することができる。例えば、カテーテル装置の他の実施形態では、発光体及び光受信器が先端要素内に配置され、剛性要素又は中間要素が存在しない。さらに他の実施形態では、剛性要素又は中央部分、及び先端要素は、間に可撓性チューブ要素を有さずに互いに結合される。両方の実施形態において、上述したチューブを同様に使用することができる。従って、一方の端部又は両端部に段差を有するただ1つのチューブを形成する二重チューブの組み合わせは、別個の発明として同様にクレームされる。
【0037】
好ましい実施形態において、カテーテルは保護スリーブで覆われる。スリーブは、カテーテルをその長さに沿って覆う。保護スリーブは、カテーテルの遠位端から突出する遠位端を含む。保護スリーブは、その遠位端で開いており、スリーブ内に配置されたカテーテルと一定の距離をおいて延びており、保護スリーブは少なくとも可視光に対して透明ではない。これにより、カテーテルのセンサ、特に光感応型圧力センサのゼロ設定が容易になる。この種の保護スリーブは剛性要素及び/又は中間部分を有さないが、先端要素に配置された光感知型センサを備えたカテーテル等、他のカテーテルにも使用することができる。従って、この保護スリーブは、別個の発明として同様にクレームされる。
【0038】
本発明のさらなる変形例及び追加の実施形態は、従属請求項に記載される。以下に詳細に記載されていない追加の実施形態を得るために従属請求項の特徴を組み合わせることも同様に可能であり、本開示の一部であることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明による実施形態を図に示す。図から明らかな測定装置の特徴は開示の範囲に属するものと見なされるべきであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
以下、カテーテル先端を有する端部をカテーテルプローブの遠位端、反対側の端部を近位端とする。
【0041】
以下において、WO2010/015094による実施形態が記載され、加えて、本発明はこれらの実施形態に基づいて記載される。
【0042】
図1は、WO2010/015094による測定装置であり、カテーテルヘッドである先端要素1、第1の接続チューブ2、中央部分3、及び第2の接続チューブ4を有する。第1及び第2の接続チューブ2,4はそれぞれ、好ましくは可撓性チューブ部分からなる。従って、以下、チューブ部分に言及するが、生体組織へのカテーテルの挿入を可能にする他のタイプの接続チューブ2,4を意味すると理解することもできる。
【0043】
先端要素1は、測定装置の遠位端に設けられる。近位端には、測定装置はプラグコネクタ(図示せず)を有するか、又は測定信号の変換及び評価のための処理ユニットへと直接ガイドされる。先端要素は複数の細長い開口部5を有し、この開口部がカテーテルヘッドの表面に隙間を形成する。開口部5は、周囲の組織における流体の排出のために設けられる。さらに、圧力センサが配置できる丸い開口部6が、二つの細長い開口部5の間に設けられる。しかしながら、圧力センサは、これら洗浄開口部5の間でなく、これらのすぐ近傍に配置することもできる。電子又は光学機械手段、例えばシリコンマイクロ膜を、圧力センサとして使用することもできる。中央部分3は、くぼみ又は隙間16を有し、これへと光導体が開口し、これを通って、光導体を通って運ばれる光を周囲の媒体へと放出することができる。第1のチューブ部分2は、測定装置の使用の意図される特質に応じて、その長さを変えることができる。
【0044】
図2は、先端要素1の形をしたカテーテルヘッドの三次元図を示す。先端要素はプラスチック又は金属からなってよい。先端要素は、遠位挿入領域及び隣接する接続領域に分けることができる。挿入領域では、楕円形、放物線形、又は丸い先端8を有する。挿入領域は、先端8から接続領域の方向に増加する直径を有する。先端8はその中心で閉じられる。先端には、そのすぐ後ろに、1以上の細長い隙間又は開口部5が続き、これらが円周方向に互いに並んで配置される。
図2に示す実施形態は4つの開口部を有し、
図2ではこのうちの2つを見ることができる。細長い開口部5の間には、ウェブ11が円周領域に形成され、接続領域から先端8の先細の領域へと延び、その結果わずかに湾曲している。細長い開口部5の縁領域は丸く又は角がとられているため、カテーテルヘッドの円周面から開口部5の縁領域へと緩やかな移行部を与える。ウェブのわずかな湾曲は、先端領域で、ウェブが中心のほうへ、又は互いのほうへ半径方向に寄ることを意味する。2つの隣りにある細長い開口部5の間の空間(この空間がウェブ11を形成する)は、1つの細長い開口部の幅とほぼ同じ幅である。ウェブのわずかな湾曲のために、この円周領域は、先端の方向に次第に細くなる。
【0045】
近位端では、先端要素1は固定部分9を有し、これに第1のチューブ部分2が隣接する。固定部分9は接続領域の一部であり、又は接続領域に隣接する。固定部分9はスリーブ状に形成される。チューブ状の構造を、固定部分9の周囲にかぶせて形状嵌合で配置することができる。固定部分9の円周壁には、溝10が、遠位端から挿入領域へと長手方向に切れ目なく延びる。溝10は、圧力測定要素の通路として役立つ。例えば、電子又は光学リード線が、開口部6まで溝10を通ることができ、この開口部に圧力センサを配置できる。
【0046】
細長い開口部5は、周囲組織の排出のために役立つ。排出流体は、軸方向に延びる溝12を通って運ばれ、この溝はカテーテルヘッドの挿入領域へと延びる。利点は、圧力センサを細長い開口部5の間に配置することができ、そのため、排出開口部を介して流体を放出できる周囲組織において、同じレベルで圧力測定を行うことである。
【0047】
先端及び中央部分がプラスチックからなる場合、先端は、先端の位置付けがチェックできるように、好ましくは、X線マーキングを有する。
【0048】
図3は、先端要素1の概略正面図を示す。中心に、先端8をカテーテルヘッドの最前方の曲線として見ることができる。この中心の周りに、細長い開口部5の形をした4つの隙間が配置され、平面図では、互いの間に自由空間を形成する。細長い開口部5の間の円周領域はウェブ11を形成し、ウェブは先端部8の中心から、接続領域の外周へ延び、脳組織への挿入時、先端要素1のための一種のガイド構造を形成する。ウェブ11は、
図3の平面図では、十字形配置として現れる。カテーテルヘッドが組織に挿入されると、先端要素全体の直径より小さい直径を有する先端8、及びウェブ11の表面が、組織に直接押しつけられる。最初、隙間の領域、即ち細長い開口部5の領域では、組織に圧力がかからない。組織はウェブ11によって慎重に引っ張られて広げられるため、カテーテルヘッドが組織に入り込むことができ、その際、最小の外傷をもたらす。先端要素1の挿入領域の組織がまずウェブ11によって広げられた後初めて、組織は、接続領域の直径全体を完全に越えて広げ開けられる。測定装置のカテーテルヘッドのこのような設計によって、測定装置を実質的に無傷で脳の内部領域へと挿入可能となる。
【0049】
図4は、先端要素1の長手方向軸に沿った断面図を示す。挿入領域内の先端要素1をはっきりと見ることができ、先端部8の直径はより小さく、固定部分9が隣接する接続領域まで近位方向に増加する。溝10は、圧力センサのために設けられる開口部6まで長手方向に直線的に延びる。内部では、四つの細長い開口部5にガイド溝12が隣接し、ガイド溝は排出流体を取り除くために設けられる。この図において、先端8の最前方領域は尖って示されるが、組織を最適に広げる一方で、引っ掻き又は切断による損傷がないことを保証する。先端8、又はカテーテルヘッドのウェブ11の断面は、実質的に放物線形である。
【0050】
図17は、
図2に代わるものとしての先端要素1の実施形態を示す。同一の部分には、同一の参照記号を付与する。先端8は再び丸くなっている。開口部5は、
図2による実施形態より互いにより近く位置し、それらは短いウェブによってのみ互いから分離される。好ましくは、ウェブは、個々の開口部の幅より数倍小さい幅を有する。排出溝12は、先端部分1の長手方向の中心軸に対しずれて軸方向に延びる。圧力センサ溝10、又は他の電気線用の溝は、この場合開いている。圧力センサは、好ましくは、先端8に対向して位置する開口部5の側面に配置され、又は中央部分に位置する。
【0051】
図5は、WO2010/015094による中央部分3を示す。中央部分3は、遠位固定部分13及び近位固定部分14を有する。固定部分13,14は、固定部分9と類似する。これらはスリーブ形状であり、流体の排出用の排出溝12’のための中央路を有し、これらの円周壁には、先端要素1内の圧力センサ用のリード線のための連続的な溝10を有する。中央部分3内のガイド溝又は排出溝12’は、先端要素1中の溝12に類似し、その延長部を形成する。
【0052】
中央部分3では、近位固定部分13と近位固定部分14の間に中間領域15が形成される。
図5による実施形態では、中間領域15はくさび形のくぼみ16を有し、くぼみは、排出溝12’まで延びるのではなく、排出溝を閉じたままにする。くぼみ16は、その近位端部で、光導体が出てくる光出口面17にて、長手方向軸に垂直に延びる。くぼみ16は、その遠位端に反射面18を有し、この反射面は好ましくは、中央部分3の長手方向軸及び表面17に対し45°の角度で延びる。遠位固定部分14の外周及び中央部分3の近位端を通って、前記中央部分3の長手方向に溝20が延び、くぼみ16の光出口面17で終わる。従って、くぼみ16内の溝20の開口部は、斜面18に対向して位置する。溝20は、光導体をガイドするために設けられる。光導体はまた、光出口面を通り越して延び、くぼみ16に突出する。光導体からの光は、対向する反射面18にぶつかる。反射面18上に鏡又は他の種類の反射体が配置され、光導体からの光を、中央部分3の周りの周囲組織へと反射する。反射体は、反射面18上に別個の要素として取り付けられるか、又は反射面18それ自身を反射体面として構成することができる。例えば、反射面として金めっきを設けることができる。表面18又は反射体をわずかに湾曲した形にすることも可能であり、ぶつかった光線がわずかに広げられる。くぼみ16はエポキシ樹脂で充填されるため、中間領域15の表面は円筒形である。
【0053】
好ましくは、光導体として、個々の光ファイバーが適している。好ましくは、5つより多くない光ファイバーが存在する。同様に、2又は3のファイバーを使用することもできる。
【0054】
図6a及び6bはそれぞれ、WO2010/015094のカテーテルプローブの第1の実施形態の長手方向の断面図を示し、これらの長手方向の断面図は、互いに90°ずれている。
図6aは、左から右へ、
図1の図の先端要素1、第1のチューブ部分2、中央部分3及び第2のチューブ部分4を示す。第1のチューブ部分2は、一端を先端要素1の固定部分9に押しかぶせ、他端を中央部分3の固定部分13に押しかぶせられる。第1のチューブ部分の内部には、先端要素1と中央部分3の間に、先端要素及び中央部分のガイド溝12及び12’と相互接続する別の可撓性チューブ21がある。溝12及び12’は、チューブ21とともに、開口部5によって、カテーテルの先端の周りの組織から取り除かれることになる流体のための排出溝を形成する。チューブ部分4及び21の長さは変えることができるため、組織内の中央部分3の位置も調節でき、即ち、異なる長さのチューブ部分を、先端要素と中央部分の間に取り付けることができる。
【0055】
中央部分3上には、光出口面17及び反射面18を有するくさび形のくぼみ16が見られる。溝20は、光出口面17へ開口する。光出口面17はカテーテルの長手方向軸にほぼ垂直に延びるが、軸に対しある角度をなして配置することもできる。光導体は、溝20を通ってガイドされるが、光源(図示せず)まで第2のチューブ部分4を通って先へとガイドされる。
【0056】
中央部分3の円周壁の、近位側には、温度測定溝22も設けられ、前記温度測定溝22は、第2のチューブ部分4の側で始まり、大体中央部分3の中央で終わる。温度測定溝22は、周囲の組織の温度を測定する温度センサのために設けられる。温度センサは、カテーテルの外側周辺近くのこの位置に配置され、障害又は歪みなしに組織内の温度を測定することができる。温度センサから第2のチューブ部分4を通って処理ユニットまで、リード線(図示せず)が延び、処理ユニットへ温度信号を送る。
【0057】
図6bは、先端要素1の内部に、圧力センサ溝10を示し、この溝は、先端要素1の近位端から開口部6まで延びる。開口部6には圧力センサがあり、圧力センサのリード線が、溝10、及び、第1のチューブ部分2と内側チューブ21の間の空間を通って、中央部分3内の溝10’まで延びる。中央部分の近位端で、リード線は溝10’から出て来て、さらに第2のチューブ部分4を通って処理ユニットまで送られ、先端要素1の周囲の媒体又はガイド溝内の圧力に対応する信号を処理ユニットへ送る。処理ユニットは、圧力センサからの圧力信号に応じて排出溝を通る流体の排出を制御することができる。手動排出も行うことができる。
【0058】
中央部分3の溝12’は、遠位端で円錐形に広がる。この漏斗状の開口部によって、ガイドワイヤの挿入が容易になり、ガイドワイヤは、生体組織への挿入時カテーテルプローブをガイドするのに使用される。
【0059】
光導体、及び、圧力センサ及び温度センサ用のリード線は、第2のチューブ部分4の内側で自由に経路を決めることができる。しかしながら、このチューブ部分に内側チューブを設けることもでき、リード線を外側チューブと内側チューブの間の空間に通すこともできる。第2のチューブ部分4には、リード線が終わるプラグが隣接することができる。プラグは、処理ユニットに直接、又は処理ユニットにつながる他のプラグに取り付けることができる。
【0060】
生体組織、例えば脳の内部の脳組織を調べる場合には、頭蓋に開口部を作る。この開口部の上にカテーテル用のホルダを設け、挿入時及び挿入した状態で、頭部の表面にできるだけ垂直に、カテーテルを保持する。従って、ホルダは、一方で頭部の開口部を覆い、他方で、カテーテルが挿入時及び測定時に目的とするコースから誤ってそれないように保証する。このようにして、検査される領域の汚染を避け、周囲の組織への不必要な損傷を避けることができる。
【0061】
カテーテルプローブは、所望の測定位置まで、例えば脳室床に載るまで、組織を通って注意深く挿入される。カテーテルヘッドの設計は、そうすることで、脳組織に与える衝撃が最小となって、組織が不必要に損傷を受けず、測定が歪められないことを意味する。
【0062】
脳組織を通る血流を測定するために、近赤外領域の光を、溝20内の光導体を通って反射面18へと運ぶ。光源は、例えば、処理ユニット自身に設けることもできる。面18上に向けられた光線は、そこで反射され、脳組織内へ送り出される。そこで、とりわけ酸素化及び脱酸素化ヘモグロビン、及び適切な場合インドシアニングリーンで吸収及び反射される。反射光の一部は、反射面18上に再び落ち、その結果、面18での反射によって、溝20内の光導体に送り込まれる。溝は、反射光をガイドして処理ユニットへと戻し、処理ユニットにて、例えばアナログ/デジタルコンバータによって評価される。同時に、測定される組織内の温度は、溝22内の温度センサによって測定でき、プローブの先端の周囲の領域内の圧力は、圧力センサによって測定できる。必要ならば、溝12,12’を介して即座に排出を行うことができる。
【0063】
測定プローブをホルダによってガイドすることにより、プローブは、そらされたり、周囲の組織を傷つけたりせずに、測定位置で回転させることができる。プローブを回転させることによって、組織内の測定範囲を格段に広げることができる。中央部分3の周り360°にわたって広がる測定領域をカバーすることができる。先端と中央部分との間のチューブ部分は、可撓性又は剛性であってよい。
【0064】
図7は、WO2010/015094による中央部分の第2の実施形態を示す。この中央部分の構造では、排水溝12’は長手方向軸に対し偏心している。このようにして、中央部分は、より小さい直径で構成することができる。さらに、凹所は、この場合、中央部分へと湾曲又は丸い形で沈み込む隙間16’の形で設けられる。こうして形成される内面23は、近位領域に光出口面領域を有し、遠位領域に反射面領域を有し、この反射面領域は光出口面領域に対向して位置する。その機能の観点から、光出口面領域は、
図1〜6に記載の実施形態での光出口面17に対応し、それに応じて反射面領域は、機能の観点から、反射面18に対応する。光伝導溝20は、光出口面領域から外へ開く。光伝導溝20内の光導体から放出される光は、対向する反射面領域にぶつかり、そこから、周囲組織内へと反射される。隙間16’の湾曲は、組織からの反射光が光導体へと集束されるように形成される。
【0065】
図8は、
図7の中央部分を備える測定装置の長手方向断面を示すが、排出溝12’はこの場合中央位置に配置される。隙間16’はほとんど排出溝12’まで達するが、排出溝は閉じたままである。隙間16’の湾曲又は丸みは、溝20からの光が焦点上に直接向けられるようになっている。この実施形態における測定装置の他の要素は、
図6a及び6bの要素に対応する。
【0066】
図9〜14は、好ましい実施形態でのWO2010/015094の中央部分3を示す。同一の部分には、上述の実施例と同じ参照記号を付す。中央部分3はプラスチックからなり、好ましくは射出成形によって製造される。中央部分は、少なくとも2つの部分、つまり、下部部品31と蓋30から成る。蓋30に対する
図10に見られるように、両部分は半分の管として構成される。これらはともに、中間領域15、遠位固定部分13及び近位固定部分14を備える管を形成する。隣接するチューブへの接続を可能にするために、2つの固定部分13,14の円周の周りに半径方向に延びる溝130,140が設けられる。これらの溝は、形状嵌合及び圧力嵌合のための接着溝として働く。
図17に同等の溝を見ることができる。
【0067】
可撓性のチューブの代わりに、剛性のコネクタ部分が、両側又は片側にあってもよい。
【0068】
上記の実施例とは対照的に、ここでは、鏡、ファイバー端部及び任意の測定手段が配置される凹所を、蓋30によって覆うことができる。蓋30は、形状嵌合、及び/又は圧力嵌合及び/又は材料的密着嵌合を用いて下部に接続することができる。
【0069】
蓋30及び下部部品31は、好ましくは同じ材料から作られる。しかしながら、少なくとも蓋30は、使用される光の波長に対し透明な材料から作られなければならない。これらは、好ましくは、ポリアミド又はポリカーボネートから作られる。
【0070】
図9からわかるように、下部部品31及び蓋30は、ケーブル溝120を備える共通の内側排出溝12’を形成する。既に上述した排出路及び任意の測定路は、この排出溝12’を通って、カテーテルの遠位ヘッド部分まで延びる。
【0071】
図11は、排出溝12’を備える中央部分3の遠位端を示す。
図12は、
図9では見えない中央部分3の内側近位端を示す。光導体溝20は、排出溝12’に平行して延びるが、排出溝から間隔をあけて延びる。この場合もまた、好ましくは、光導体として光ファイバーをちょうど1つ使用することができる。しかしながら、光ファーバーが5つまで、特に2つ又は3つあってもよい。
【0072】
隙間16の下に、排出溝12’が中央部分3の全長に沿って延びる。
【0073】
図13〜15に、下部部品31をより詳しく示す。下部は隙間16を有する。この隙間16には、電子機器用の受け入れ領域150が存在する。近位及び遠位受け入れ面151,152は、受け入れ領域150の両端領域上に一体に形成される。これらの平らな受け入れ面151,152上に、回路基板24を固定でき、例えば接着して取り付ける又はねじ留めすることができる。
【0074】
回路基板24上に、光検出器25を固定することができる。また、温度センサ26及び/又は圧力センサ27が存在することもできる。しかしながら、これらのセンサは、別の位置に配置することもできる。既に他の実施例を参照して上述したように、圧力センサは、好ましくは、先端要素1に配置される。
【0075】
この受け入れ領域150の外側に、傾斜面180がある。この傾斜面180は、それ自身、反射面として設計することができる。しかしながら、好ましくは、鏡18用のホルダとして働く。この実施例での鏡18は平行平面鏡であるため、傾斜面180も平面として形成される。傾斜面180は、好ましくは、中央部分3の長手方向に対し45°の角度で配向される。
【0076】
光導体溝20は、下部部品31で延び、傾斜面180に隣接して終わる。光導体32を
図15に示す。光導体は鏡18の前で終わり、光導体32から放出される光が鏡18によって偏向されて、半径方向外向きに運ばれるのがわかるであろう。
【0077】
この実施例では、組織内で反射した光は、もはや光導体を介してフィードバックされず、評価されない。その代わり、光検出器によって検出され、電気的信号が信号路を介して外部の評価ユニットへと送られる。このために必要なケーブルは、ケーブル溝120の内部を延びる。
【0078】
この中央部分3は、上述の先端要素1の1つと共に使用することができる。しかしながら、他の先端要素1と共に使用することもできる。
【0079】
図16は、総合システムを示す。カテーテル又はプローブ40は、ルアーロックを備えるY字コネクタを備える排出溝の端部に設けられる。第1のライン42は、導電体、及び少なくとも1つの光導体を含み、プローブ40に遠位端で接続される。近位端の領域には、キャリブレーションユニット43を有し、この端部に第1のプラグ44が備わっている。このプラグ44により、携帯型電子装置45に接続できる。この電子装置45は、好ましくは、電位分離、A/Dコンバータ、プリアンプ、及びカテーテルの中央部分3に至る光導体へ光を連結するための光源を含む。
【0080】
携帯型電子装置45は、第2の、純粋な送電線46を介して評価ユニット48へとつながり、送電線には第2のプラグ47が備わっている。第3のライン49は、幹線電源ケーブルを表す。しかしながら、評価ユニット48は、もちろん、電池式であってもよい。
【0081】
この総合システムの利点は、電子装置45が比較的患者に近いということである。従って、感度の高い光学路を比較的短く形成することができる。
【0082】
上記の実施例では、好ましくは、近赤外領域の光グラスファイバーが使用される。その直径は、好ましくは、そのシースを含めて約0.6mmであり、シースなしで約0.2mmである。中央部分3の長さは、好ましくは、20〜30mm、その直径は好ましくは3mmである。鏡面は、好ましくは1×1mmである。排出溝は、好ましくは、0.9〜1.5mm、好ましくは1.0又は1.2mmの直径を有する。回路基板の幅は好ましくは1.4mmである。中央部分3の内部には、通常、9極又は10極ケーブルが使用され、プラグ44まで延びる。
【0083】
図18から
図38は測定装置を示す。WO2010/015094による実施形態と同じ要素には同じ符号を付す。
【0084】
測定装置は、
図18に示すように、上述したチップ1と、第1のチューブ部分2と、中央部分3と、Y字コネクタ41で終端する第2のチューブ部分4とを含む。Y字コネクタ41は2以上のポート420を含み、これらのうちの少なくとも1つはキャップ410によって閉鎖される。中央部分は、中央部分ではなくカテーテルの端部に配置された剛性要素とすることができる。 しかしながら、以下の説明では、より一般的な配置方法における「剛性要素」も同様に意味する場合には「中央部分」という表現を使用する。
【0085】
図22に見られるように、光導体32、純粋な送電線46及び圧力センサライン460は、開放ポート420を通って延び、閉鎖された他のポートは、ガイドワイヤを導入するため、及び/又は流体を送るために使用される。
【0086】
図22にも示されるように、Y字コネクタ41は、装置を識別するEEPROM等のデータチップ480を含んでもよい。例えば、センサ、キャリブレーションデータ、装置の最初の使用に関する日付、及び製造データに関する情報を含んでもよい。符号481は、光導体32、第2のライン46及び圧力センサライン46''のための取り付け補助具を示す。これは、例えばY字コネクタ41の内部空間に突出しているノーズである。第2のチューブ部分4は、好ましくは、2つのチューブ、内側の第2のチューブ4’及び外側の第2のチューブ4''からなる。これは
図33に見ることができる。内側の第2のチューブ4’は外側の第2のチューブ4''より僅かに小さい直径を有する。これらは、好ましくはこれらの長さの少なくとも一部に沿って互いに結合する。
【0087】
外側の第2のチューブ4''の遠位端は内側の第2のチューブ4’の遠位端から突出し、外側の第2のチューブ4''だけが中央部分3の近位固定部分14を覆って延び、これに接続される。内側の第2のチューブ4’は、近位固定部分14から離れて終端する。これにより装置の外径を小さくし、それにもかかわらず、第2のチューブ部分4は患者に導入されたときにチューブの安定性を確保するのに十分な厚さを有する。第2のチューブ部分4の近位端において、内側及び外側の第2のチューブ4’、4''の2つの端部は、好ましくは共通の平面内で終端する。他の実施形態では、これらは段差で終端する。
【0088】
第1のチューブ部分2は、同様に内側及び外側チューブから構成されてもよく、外側チューブは、少なくとも近位端において、好ましくは遠位端においても内側チューブから突き出る。しかしながら、この実施形態では、第1のチューブ部分2は、既知のカテーテルチューブのような形状である。
【0089】
図20は、突出した状態の内側の第2のチューブ4’を示すことに留意されたい。これは、より見やすくする目的のみであり、上述の説明と矛盾しない。さらに、導電線及び光ファイバー、即ち光導体は、第1及び第2のチューブ部分2、4の外側で延び、これもより見やすくするためである。組み立てられた装置では、これらのチューブ部分2、4の内部で延びる。
【0090】
図29〜32に最もよく示されるように、この実施形態の中央部分3は蓋又は上部部品30と下部部品31とを含む。2つの部品30、31は、好ましくは、互いに固定されてチューブを形成するような半チューブとして形成される。
図30に示すように、上部部品30は、径の両側にノッチ304を含む。
図29に示すように、下部部品31は、このノッチ304に係合する、対応する調節長手方向ノーズ310を両側に含む。
【0091】
中央部分3は、第1のチューブ部分2及び第2のチューブ部分4とそれぞれ接続するための遠位固定部分13及び近位固定部分14を含む。
図20に示すように、図示の実施形態では、好ましくは、X線マーカー303が遠位固定部分13の穴302に配置される。他の実施形態では、X線マーカーは、好ましくは先端要素1に配置され、より好ましくはその遠位端に配置される。
【0092】
下部部品31の内側は好ましくは滑らかであり、凹み又は突起を含まない。
【0093】
中央部分3の上部部品30は、2つの凹部を形成する2つの開口部又は窓300、301を含む。遠位の第1の窓300は、患者から信号を受信するためのものであり、近位の第2の窓301は患者に光を放射するためのものである。
図19〜21に示すように、第1の窓300はセンサカバー33で閉じられ、第2の窓301は鏡ホルダ34で閉じられる。
【0094】
他の実施形態では、光源はこの第2の窓301内に直接配置され、光導体は存在しない。この場合、光源は好ましくはLED又はレーザチップであり、好ましくはベアチップである。
【0095】
センサカバー33及び鏡ホルダ34は、装置で使用される少なくとも1つの波長に対して透明であることが好ましい。好ましくは、これらはポリカーボネート製である。好ましくは、808nm及び/又は905nmの波長が使用される。他の波長も同様に使用可能である。
【0096】
下部部品31は、UV光を用いてより容易に上部部品30に接続可能とするために、同様に透明であることが好ましい。下部部品が透明であると、中央部分3内に配置される要素の固定も、より容易に確立できる。好ましくは、配置される要素が取り付けられ、固定されるときに見えるように、下部部品はUV光に対してのみでなく可視光に対しても透明である。
【0097】
好ましくは、上部部品30は不透明材料からなる。好ましくは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)からなる。不透明な上部部品30は、散乱光又は反射光が第1の窓300を通してのみ光検出器25に到達可能であるという利点を有する。
【0098】
上部部品30は、第2の窓301に向けられた出口開口部305を有する溝を含む。光導体32はこの開口部まで延び、これにより、光を、装置の長手方向軸に沿って第2の窓内に配置された鏡18まで誘導することができる。鏡18はこの窓に固定される。窓ホルダ34は、装置の長手方向軸に対して鏡18を特定の角度に保持する。
図21に示す、第2の窓301の底部に配置された取り付け穴306は、鏡18を所定の場所及び角度に取り付ける助けをする。
【0099】
第1の窓300の下にセンサ板が配置される。このセンサ板は少なくとも光検出器25を含むが、好ましくは温度センサ26及び/又は他のセンサも含む。第1の変形例では、1つの光検出器25のみが存在する。他の変形例では、特に1より多い波長が使用される場合に、1より多い光検出器が存在する。
【0100】
図23に見られるように、少なくとも1つの光検出器25が第1の窓300内に配置され、センサカバー33によって覆われる。
【0101】
窓を1つのみ用いる代わりに2つ用いることは、測定精度が向上するという利点を有する。中央部分3内において、光導体から光検出器まで光が送られないためである。この配置は光路を最適化する。
【0102】
温度センサ26は、好ましくは、第1の窓300と第2の窓301との間において、上部部品30の不透明領域の下に配置される。好ましくは、ダイオードが温度センサとして使用される。光が入らない領域に配置されるため、温度測定は発光や反射光によって妨げられない。
【0103】
図19、20及び24に示すように、圧力センサ27が遠位の先端要素1に配置される。好ましくはセンサチップであり、より好ましくはベアチップである。この実施形態では、先端要素1の排出口の近位側に配置される。他の実施形態では、先端要素の遠位端、即ち排出開口部の前方に配置される。
【0104】
先端要素1は、シリコーン製のシーリング化合物等のシーリング要素19で閉じられた空洞100を含む。
【0105】
圧力センサ27は、この空洞100内に配置され、電子圧力センサライン46''は、装置に沿ってセンサ27からY字コネクタ41まで延びる。
【0106】
図26〜28は、
図25に示すように、装置に沿った断面図を示す。
図26において、排出溝12を備える遠位先端要素1と、シーリング要素19で閉じられた空洞100が見られる。図示される通り、圧力センサ27の下に空間110が存在する。空間110は、装置の外側に延びる圧力均等化溝46’に接続されており、これによりセンサ27は大気圧に曝される。他の実施形態では、圧力センサは絶対圧センサ又は光ファイバーセンサである。
【0107】
図27において、第1のチューブ部分2の遠位端は、
図20及び24でも見られるように、先端要素1の固定部分9を覆って配置され、結合される。
【0108】
図27において、圧力均等化溝46’及び圧力センサライン46''が見られる。先端要素1内に形成された圧力均等化溝46’は、装置の長手方向軸に沿って延びる圧力均等化チューブ460に変化する。
【0109】
図28は、光検出器25を覆って配置された第1のセンサカバー33、圧力センサライン46''、圧力均等化チューブ460及び内側チューブ21を示す。
【0110】
図34〜38は、上述した測定装置に対する任意の特徴を示す。本発明の測定装置は、通常、使用直前にゼロに調整される。キャリブレーションしてもよい。従って、現在の技術水準において、当該測定装置は水又は他の適切な液体に浸漬される。圧力センサ又は他のセンサも光に敏感なので、水リザーバは、関連する波長に対して不透明である必要がある。通常、ゼロ調整中に可視光がセンサに到達しないように黒色である。特定の波長に対する圧力センサの感度に応じて、他の波長に対して、又は他の波長に対してのみ不透明であってもよい。
【0111】
装置の少なくともセンサ部分を覆う不透明保護スリーブ50内に測定装置を格納することは、追加の発明的思想である。この保護スリーブは、関連する波長、即ちセンサが感知する波長に対して少なくとも不透明である。好ましくは、保護スリーブは黒色である。
【0112】
好ましくは、スリーブ50は、Y字コネクタ41の遠位端を覆って押し込まれ、先端要素1の遠位端から突出する。
図35〜38に見られるように、チューブ2、4、中央部分3及び先端要素1から離れて配置される。このスリーブは、装置が輸送されるときに保護としての機能を果たす。
【0113】
ゼロ調整又はキャリブレーションのために、測定装置は保護スリーブ50と共にあらゆる種類の容器に浸漬することができる。あらゆる場合において光がセンサに到達することができないからである。スリーブ50は、装置が患者に実際に導入される直前にのみ測定装置から取り外される。これによりデバイスの取り扱いが簡単になり、取り扱いミスが減る。
【0114】
図18〜38による実施形態は、先に説明した実施形態の教示及び開示に従って組み合わせることができ、また変更できることに留意されたい。