特許第6861187号(P6861187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861187
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20210412BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20210412BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20210412BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20210412BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20210412BHJP
【FI】
   H04W76/10
   H04W8/00 110
   H04W92/18
   H04M1/00 U
   H04W84/10 110
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-117367(P2018-117367)
(22)【出願日】2018年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-220863(P2019-220863A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年12月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515074086
【氏名又は名称】VIVITA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 翔三郎
(72)【発明者】
【氏名】柏本 和俊
(72)【発明者】
【氏名】ピライ シッダールタビジャイ
(72)【発明者】
【氏名】板本 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】新居 英明
(72)【発明者】
【氏名】今井 正敏
(72)【発明者】
【氏名】加々見 翔太
【審査官】 ▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−068076(JP,A)
【文献】 特開2010−177947(JP,A)
【文献】 特開2005−303947(JP,A)
【文献】 特開2017−044574(JP,A)
【文献】 特開2007−249425(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0026778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機能を夫々発揮する1以上の他の情報処理装置に対する情報通信を行う情報処理装置において、
前記1以上の他の情報処理装置のうち、1の他の情報処理装置を特定可能な情報を、特定情報として、他の情報処理装置と近接した非接触の状態で取得する取得手段と、
前記取得手段により前記特定情報が取得されたことをトリガとして送信された、前記1の他の情報処理装置から送信されるペアリングのために必要な情報をペアリング情報として取得する処理を開始し、取得した当該ペアリング情報を用いて前記1の他の情報処理装置との間のペアリングを実行するペアリング手段、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
所定の機能を発揮するために、他の情報処理装置と情報通信を行う情報処理装置において、
前記情報処理装置を特定可能な情報が特定情報として前記他の情報処理装置に近接した非接触の状態で取得されたことをトリガとして、前記他の情報処理装置において実行されるペアリングのために必要な情報を、ペアリング情報として前記他の情報処理装置に送信する制御を実行するペアリング手段、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有線ケーブルを用いることなく情報処理装置同士を接続して使用する場合には、赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信技術が用いられている。例えば、Bluetooth(登録商標)機器同士を無線接続して使用する場合には、まず「ペアリング」が必要となる。ペアリングでは、Bluetooth(登録商標)機器の無線接続に必要となる情報(以下「アドバタイジングパケット」と呼ぶ)が、無線接続の相手となるBluetooth(登録商標)機器に登録される。これにより、Bluetooth(登録商標)機器の認識が可能になる。
【0003】
このような近距離無線通信技術の分野では、近年のIoT(Internet of Things)の拡がりに伴い、消費電力を抑えるための研究・開発が進められている。例えば、通信可能距離が短く通信速度も低速であるが、電池交換なく数年間稼働可能とされるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)のような超低消費電力型の無線通信技術も開発されている。例えば、特許文献1には、固有の識別子(IDm)をアドバタイジングパケットに含めてBLEでブロードキャスト通信する情報処理装置についての技術が記載されている。また、特許文献2には、イベントに基づいてBLEを制御する通信装置についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−23072号公報
【特許文献2】特開2017−208617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術の場合、BLEにより無線接続の相手となる機器(以下「BLE機器」と呼ぶ)が複数存在する場合には、以下のような問題が生じていた。
即ち、従来の技術の場合、図7に示すように、例えばBLE機器Aに接続しようとするBLE機器B及びCとが存在する場合には、BLE機器B及びCの夫々は、アドバタイジングパケット(図7中白抜き矢印)を一定間隔で送信する。これに対して、BLE機器Aは、送信されたアドバタイジングパケットを取得するためのスキャンを一定間隔で行う。ここで、BLE機器B及びCの夫々のアドバタイジングパケットの送信のタイミングと、BLE機器Aのスキャンのタイミングとが重なると、BLE機器Aは、BLE機器B及びCを検知するので、BLE機器B又はCとのペアリングが可能になる。具体的には、BLE機器Aのスキャンの結果、BLE機器B及びCの夫々に関する情報がBLE機器Aの画面に表示される。そして、BLE機器Aを操作するユーザが、BLE機器AとペアリングすべきBLE機器(B又はC)のうち1台選択すると、選択されたBLE機器(B又はC)とBLE機器Aとの間でペアリングが行われる。
【0006】
しかしながら、BLE機器の画面に接続先の候補として表示された複数のBLE機器のプロダクトが同種である場合には、これらを識別することは困難である。例えば、図7に示すBLE機器BのプロダクトとBLE機器Cのプロダクトとが同種である場合には、BLE機器Aの画面に表示された2つのBLE機器に関する情報の夫々がいずれのBLE機器を示す情報であるのかを判別することが困難となる。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数の装置の中からペアリングの相手を判別可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
所定の機能を夫々発揮する1以上の他の情報処理装置に対する情報通信を行う情報処理装置であって、
前記1以上の他の情報処理装置のうち、1の他の情報処理装置を特定可能な情報が特定情報として取得されたことをトリガとして、前記1の他の情報処理装置から送信されるペアリングのために必要な情報をペアリング情報として取得する処理を開始し、取得した当該ペアリング情報を用いて前記1の他の情報処理装置との間のペアリングを実行するペアリング手段、
を備える。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の別の一態様の情報処理装置は、
所定の機能を発揮するために、他の情報処理装置と情報通信を行う情報処理装置であって、
前記情報処理装置を特定可能な情報が特定情報として前記他の情報処理装置に取得されたことをトリガとして、前記他の情報処理装置において実行されるペアリングのために必要な情報を、ペアリング情報として前記他の情報処理装置に送信する制御を実行するペアリング手段、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の装置の中からペアリングの相手を判別可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るセントラル端末を含む情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2図1のセントラル端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明における他の情報処理装置の一実施形態に係るペリフェラル端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図2のセントラル端末及び図3のペリフェラル端末の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】セントラル端末とペリフェラル端末との間で行われるペアリングの具体例を示す図である。
図6図5に示すペアリングの問題点を解消するペアリングの具体例を示す図である。
図7】セントラル端末とペリフェラル端末との間で行われる従来の技術のペアリングの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
[システム構成]
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るセントラル端末1を含む情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す情報処理システムは、ユーザにより使用されるセントラル端末1と、m個のペリフェラル端末2−1乃至2−m(mは1以上の任意の整数値)とを少なくとも含む。また、図1に示す情報処理システムは、必要に応じて機能モジュール3−1乃至3−mを含む。
なお、以下、ペリフェラル端末2−1乃至2−mの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ペリフェラル端末2」と呼ぶ。また、機能モジュール3−1乃至3−mを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「機能モジュール3」と呼ぶ。
【0014】
ペリフェラル端末2は、機能モジュール3と接続して使用するハードウェアデバイスであり、近距離無線通信でセントラル端末1とのペアリングを行う。
ペアリングとは、端的に言えば、近距離無線通信を用いて、セントラル端末1に、ペリフェラル端末2及びそれに接続されている機能モジュール3の種別や接続状態等を認識させることをいう。
具体的には例えば、BLEでのペアリングとは、上述したように、セントラル端末1に無線接続しようとするペリフェラル端末2−Kから送信されたアドバタイジングパケットを、セントラル端末1に登録させる処理をいう。なお、以下の説明では、BLEでのペアリングが行われるものとする。
つまり、セントラル端末1は、所定のペリフェラル端末2−K(Kは、1乃至mのうち任意の整数値)とペアリングを行うことで、ペリフェラル端2−Kと、当該ペリフェラル端2−Kと接続された所定の機能モジュール3−Kとを認識する。
機能モジュール3−Kとは、例えば、温度センサ等の各種センサ、ブザー等の操作器具、モーターや扇風機等の駆動器具等により構成されるハードウェアデバイスである。
【0015】
[ハードウェア構成]
図2は、図1のセントラル端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0016】
セントラル端末1は、所定のハードウェアデバイス等で構成される。
セントラル端末1は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、バス24と、入出力インターフェース25と、タッチ操作入力部26と、表示部27と、入力部28と、記憶部29と、第一近距離無線通信部30と、第二近距離無線通信部31と、通信部32と、ドライブ33と、リムーバブルメディア34とを備えている。
【0017】
CPU21は、ROM22に記録されているプログラム、又は、記憶部29からRAM23にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM23には、CPU21が各種の処理を実行する上において必要な情報等も適宜記憶される。
【0018】
CPU21、ROM22及びRAM23は、バス24を介して相互に接続されている。このバス24にはまた、入出力インターフェース25も接続されている。入出力インターフェース25には、タッチ操作入力部26、表示部27、入力部28、記憶部29、第一近距離無線通信部30、第二近距離無線通信部31、通信部32及びドライブ33が接続されている。
【0019】
タッチ操作入力部26は、例えば表示部27に積層される静電容量式又は抵抗膜式(感圧式)の位置入力センサにより構成され、タッチ操作がなされた位置の座標を検出する。
表示部27は、液晶等のディスプレイにより構成され、プログラム作製に関する画像等、各種画像を表示する。
このように、本実施形態では、タッチ操作入力部26と表示部27とにより、タッチパネルが構成されている。
【0020】
入力部28は、各種ハードウェア等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
記憶部29は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種情報を記憶する。
第一近距離無線通信部30は、例えば、NFC(登録商標)の規格に従った方式で近距離無線通信を行う制御を実行する。
第二近距離無線通信部31は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の規格に従った方式で近距離無線通信を行う制御を実行する。本実施形態では上述の通り、セントラル端末1とペリフェラル端末2は、BLEの規格に従った方式で近距離無線通信によってペアリングを行う。
通信部32は、第一近距離無線通信部30及び第二近距離無線通信部31とは別個独立して、インターネット等を介して他の装置との間で行う通信を制御する。
【0021】
ドライブ33は、必要に応じて設けられる。ドライブ33には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア34が適宜装着される。ドライブ33によってリムーバブルメディア34から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部29にインストールされる。
また、リムーバブルメディア34は、記憶部29に記憶されている各種情報も、記憶部29と同様に記憶することができる。
【0022】
図3は、本発明における他の情報処理装置の一実施形態に係るペリフェラル端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
ペリフェラル端末2は、所定のハードウェアデバイス等で構成される。
ペリフェラル端末2は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、バス44と、第一近距離無線通信部45と、第二近距離無線通信部46と、接続部47と、電源部48とを備えている。
【0024】
ペリフェラル端末2の構成のうち、CPU41、ROM42、RAM43、バス44、第一近距離無線通信部45、第二近距離無線通信部46については、セントラル端末1の構成と基本的に同様であるので、ここではそれらの説明は省略する。
【0025】
接続部47は、他のハードウェアデバイス(例えば、図1の機能モジュール3)との間で接続を行う。なお、接続部47による接続の方式は特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)の規格に従った方式による接続がなされてもよい。接続部47は、後述する電源部48からの電力の供給を受けて、他のハードウェアデバイスに電力を伝達する。
電源部48は、電池等のバッテリーである。電源部48は、ペリフェラル端末2に電力を供給するとともに、接続部47を介して、適宜、機能モジュール3に電力を供給する。
【0026】
なお、図示はしないが、図1の情報処理システムのうち、機能モジュール3も、図3に示すハードウェア構成を有している。
【0027】
このようなセントラル端末1及びペリフェラル端末2の各種ハードウェアと各種ソフトウェアの協働により無線接続処理の実行が可能となる。ここで、無線接続処理とは、セントラル端末1にペリフェラル端末2を無線接続する処理をいう。
【0028】
[機能的構成]
セントラル端末1及びペリフェラル端末2は、上述の無線接続処理を実現すべく、図4に示すような機能的構成を有している。
図4は、図2のセントラル端末1及び図3のペリフェラル端末2の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0029】
(セントラル端末)
図4に示すように、セントラル端末1のCPU21において無線接続処理が実行される場合には、ペアリング部101と、表示制御部104と、通信制御部105とが機能する。また、セントラル端末1の記憶部29の一領域には、アドバタイジングDB500が設けられている。
【0030】
ペアリング部101は、第一近距離無線通信部30によるセントラル端末1との無線通信をトリガとして、第二近距離無線通信部31を介して、セントラル端末1とペリフェラル端末2とのペアリングを行う。
ペアリング部101は、読取制御部111と、検知部112と、ペアリング実行部113と、接続確認部114とを備える。
【0031】
読取制御部111は、ペリフェラル端末2−1乃至2−mのうち、1のペリフェラル端末2を一意に特定するための情報(以下「個体識別情報」と呼ぶ)を読み取る制御を実行する。具体的には、読取制御部111は、第一近距離無線通信部30を介するNFC(登録商標)での近距離無線通信によって、1のペリフェラル端末2の個体識別情報を読み取る制御を実行する。
【0032】
検知部112は、読取制御部111によりペリフェラル端末2の個体識別情報が読み取られたことを検知する。
【0033】
ペアリング実行部113は、検知部112による検知をトリガとして、BLEによる近距離無線通信でペリフェラル端末2から送信されたアドバタイジングパケットを、第二近距離無線通信部31を介して取得して、固体識別情報が読み取られた1のペリフェラル端末2との間のペアリングを実行する。
【0034】
接続確認部114は、セントラル端末1とペアリングしたペリフェラル端末2、及びそれに接続された機能モジュール3の種別や接続の状況を確認する。
【0035】
プログラム作製部102は、ユーザのタッチ操作を受付けて、実際にプログラムの作製を行う。ここで、プログラムとしては、ペアリングされたペリフェラル端末2に接続された機能モジュール3に対して所定の機能を発揮させるものである。
プログラム実行部103は、プログラム作製部102により作製されたプログラムのうちから、ユーザが実行を望むプログラムを抽出して実行する。即ち、プログラム実行部103は、作製されたプログラムの実行結果(コマンド等)を、ペリフェラル端末2及び機能モジュール3へと送信し、機能モジュール3に機能を発揮させる。
【0036】
表示制御部104は、各種情報等を表示部27に表示するための制御を実行する。例えば、表示制御部104は、接続確認部114に確認された機能モジュール3の種別や接続の状況を表示部27に表示させる制御を実行することもできる。
【0037】
通信制御部105は、各種情報を第一近距離無線通信部30又は第二近距離無線通信部31を介してペリフェラル端末2に送信するための制御等を行う。
【0038】
(ペリフェラル端末)
図4に示すように、ペリフェラル端末2のCPU41において無線接続処理が実行される場合には、ペアリング部201と、端末通信制御部202と、機能モジュール通信制御部203と、主制御部204とが機能する。
ペアリング部201は、第一近距離無線通信部45によるセントラル端末1との無線通信が行われたことをトリガとして、第二近距離無線通信部46によるBLEでのセントラル端末1との間のペアリングを行う。
【0039】
端末通信制御部202は、セントラル端末1から送信されてきた各種情報を第二近距離無線通信部46を介して取得するための制御等を実行する。
【0040】
機能モジュール通信制御部203は、ペリフェラル端末2と機能モジュール3とが接続部47を介して接続されている場合に、機能モジュール3との通信の制御を実行する。
【0041】
主制御部204は、ペリフェラル端末2で実行される各種処理の主たる制御を実行する。
【0042】
次に、図4に示す機能的構成を有するセントラル端末1とペリフェラル端末2との間で行われるペアリングの詳細について説明する。
図5は、セントラル端末1とペリフェラル端末2との間で行われるペアリングの具体例を示す図である。なお、本実施形態では、後述するように、図5の例のペアリングではなく、図6の例のペアリングが実行される。
図5において、白抜き矢印は、アドバタイジングパケットを示している。上述したように、BLEでは、ペリフェラル端末2から出力されるアドバタイジングパケットが、セントラル端末1で受信され登録されることで、ペアリングが行われる。
【0043】
図5の例では、セントラル端末1は、アドバタイジングパケットを取得するためのスキャンを所定の間隔で行う。その一方で、ペリフェラル端末2−1及び2−2の夫々は、自身のアドバタイジングパケットを送信する。
セントラル端末1によるスキャンのタイミングと、ペリフェラル端末2によるアドバタイジングパケットの送信のタイミングとが重なった場合、セントラル端末1は、当該ペリフェラル端末2とペアリングを行うことができる。
しかしながら、図5に示すように、セントラル端末1におけるスキャンの期間内に、2台のペリフェラル端末2−1及び2−2の夫々からアドバタイジングパケットが送信されたような場合、セントラル端末1は、2台のペリフェラル端末2−1及び2−2の夫々からアドバタイジングパケットを取得する。この時点では、セントラル端末1は、2台のペリフェラル端末2−1及び2−2が近傍に存在することは検知できるものの、どちらがペリフェラル端末2−1で、どちらがペリフェラル端末2−2であるのかについて判別することはできない。
【0044】
そこで、ユーザは、2台のペリフェラル端末2−1及び2−2のうちペアリングを望む方(例えばペリフェラル端末2−2とする)を、セントラル端末1に接触又は近接させる動作を行うとよい。この場合、ペリフェラル端末2−2の第1近距離無線通信部45と、セントラル端末1の第一近距離無線通信部30とは、NFC(登録商標)による近距離無線通信を行う。このようなセントラル端末1とペリフェラル端末2(本例ではペリフェラル端末2−2)とが接触又は近接することによりNFC(登録商標)による近距離無線通信が行われるイベントを、以下、「タッチイベント」と呼ぶ。ペリフェラル端末2−2によるタッチイベントが行われれば、セントラル端末1は、ペリフェラル端末2−2がペアリング対象であることを判別することができる。
【0045】
ただし、セントラル端末1とペリフェラル端末2−2とのペアリングを行うためには、このタッチイベントの後であってセントラル端末1のスキャンの間に、ペリフェラル端末2−2のアドバイタイジングパケットが送信される必要がある。
したがって、セントラル端末1のスキャンタイミングと、ペリフェラル端末2−2のアドバイタイジングパケットの送信タイミングとがうまく一致しないと、タッチイベントが行われてから、セントラル端末1とペリフェラル端末2−2とのペアリングが行われるまでに、時間を要してしまうことになる。つまり、ペアリングの時間が長くなってしまうという第1問題が生じる。
【0046】
そこで、第1問題を解消すべく、セントラル端末1によるスキャンの時間を長くするか、又はスキャンの間隔を短くすることで、ペリフェラル端末2−2から送信されるアドバタイジングパケットを取得し易くしてもよい。しかしながら、この場合、セントラル端末1によるスキャンの時間がトータルで長くなるため、消費電力が増大してしまうという第2問題が生ずる。
この第2問題を解消すべく、セントラル端末1によるスキャンの時間をトータルで短縮させることで消費電力を下げることができるが、逆に第1問題が生じてしまう。
【0047】
また、第1問題を解消すべく、ペリフェラル端末2−2によるアドバタイジングパケットの送信の間隔を短くすることで、送信されたアドバタイジングパケットをセントラル端末1が取得し易くしてもよい。しかしながら、ペリフェラル端末2−2による送信する回数がトータルで多くなるため、消費電力が増大してしまうという第2問題が生じてしまう。
この第2問題を解消すべく、ペアリングにかける時間を長くすれば、ペリフェラル端末2−2による送信する回数がトータルで少なくしてもよいが、逆に第1問題が生じてしまう。
【0048】
そこで、このような第1問題と第2問題を同時に解消すべく、本実施形態では、図6の例のペアリングが行われている。
図6は、図5に示すペアリングの問題点(第1問題及び第2問題の何れか一方が生じてしまう問題点)を解消するペアリングの具体例を示す図である。
【0049】
図6に示すように、セントラル端末1とペリフェラル端末2−2とによるタッチイベントが行われたことをトリガとして、セントラル端末1はスキャンを開始すると共に、ペリフェラル端末2−2はアドバタイジングの送信を開始する。
具体的には、セントラル端末1の読取制御部111が、タッチイベントの相手となったペリフェラル端末2−2の個体識別情報を読み取る制御を実行する。これにより、セントラル端末1は、ペリフェラル端末2−2の個体識別情報を即座に読み取る。
このとき、セントラル端末1の検知部112は、ペリフェラル端末2−2の個体識別情報が読み取られたことを検知するので、ペアリング実行部113は、この検知をトリガとしてスキャンを開始する。
これと略同時に、ペリフェラル端末2−2のペアリング部201は、同様に、タッチイベントにより固体識別情報がセントラル端末1に読み取られたことを検知し、この検知をトリガとしてアドバタイジングパケットを送信する。
これにより、ペリフェラル端末2−2のペアリング部201は、タッチイベントと時間的に略同一に、ペリフェラル端末2−2のアドバタイジングパケットを即座に受信して、ペアリングを実行することができる。
【0050】
このようにして、セントラル端末1は、プロダクトが同種である2台のペリフェラル端末2(図6の例ではペリフェラル端末2−1及び2−2)のうち1台のペリフェラル端末2(図6の例ではペリフェラル端末2−2)との間でペアリングを、タッチイベントと時間的に略同一に即座に行うことができる。即ち、第1問題が解消する。
さらに、セントラル端末1は、一定間隔でスキャンを行うことなく、タッチイベントをトリガとしてスキャンを開始するので、スキャンに要する電力を節約することができる。同様に、ペリフェラル端末2は、一定間隔でパケット送信を行うことなく、タッチイベントをトリガとしてアドバタイジングパケット送信を開始することができるので、スキャンされない無駄なアドバタイジングパケットの送信を抑制できるので、電力を節約することができる。即ち、第2問題が解消する。
【0051】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0052】
例えば、上述の実施形態では、セントラル端末1がスキャンのみを行い、ペリフェラル端末2がパケット送信のみを行う構成となっているが、この構成に限定されない。セントラル端末1及びペリフェラル端末2が、いずれもスキャンとパケット送信との両方を行う構成としてもよい。この場合、より効率良くペアリングを行うことができる。
【0053】
また、上述の図5及び図6の例では、セントラル端末1がペアリング対象のペリフェラル端末2を認識し、ペアリングの開始のトリガとして用いるイベントは、NFCによる近距離無線通信を用いた(NFCリーダとNFCタグとの組み合わせを用いた)タッチイベントとされたが、特にこれに限定されない。
その他例えば、カメラとQRコード(登録商標)との組み合わせ、ホールセンサと磁石との組み合わせ、加速度センサと振動モータとの組み合わせを採用することができる。これらの組み合わせは、前者から後者、又は後者から前者への片方向でトリガを受け取ることができる組み合わせとなっているが、特にこれに限定されないことは言うまでもない。
つまり例えば、NFCリーダとNFCホストカードエミュレーションデバイスとの組み合わせ、スピーカとマイク(又はマイクとスピーカ)との組み合わせを採用してもよい。これらの組み合わせは、前者から後者、及び後者から前者への双方向でトリガを受け取ることができる組み合わせとなる。
【0054】
また例えば、上述の実施形態では、セントラル端末1とペリフェラル端末2のペアリングは、BLEの規格に従った近距離無線通信により行っているが、特にこれに限定されない。ペアリングは、近距離無線通信に限らず、いかなる手段によってペアリングを行ってもよい。
【0055】
また例えば、上述の本実施形態では、ペリフェラル端末2の数と機能モジュール3の数をともにmとして説明を行ったが、特にこれに限定されない。即ち、ペリフェラル端末2の数と機能モジュール3の数は、同一でも構わないし、また、異なっていても構わない。
つまり、1台のペリフェラル端末2に対して、s台(sは1以上の任意の整数値)の機能モジュール3を接続してもよい。
【0056】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図4の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図4に特に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0057】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0058】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0059】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0060】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば図3のセントラル端末1)は、
所定の機能を夫々発揮する1以上の他の情報処理装置(例えば図3のペリフェラル端末2)に対する情報通信を行う情報処理装置において、
前記1以上の他の情報処理装置のうち、1の他の情報処理装置(例えば図6のペリフェラル端末2−2)を特定可能な情報が特定情報(例えば上述の個体識別情報)として取得されたことをトリガとして、前記1の他の情報処理装置から送信されるペアリングのために必要な情報をペアリング情報(例えば上述のアドバタイジングパケット)として取得する処理を開始し(例えば図6参照)、取得した当該ペアリング情報を用いて前記1の他の情報処理装置との間のペアリングを実行するペアリング手段(例えば図4のペアリング部101)、
を備える。
【0061】
また、本発明が適用される情報処理装置(例えば図3のペリフェラル端末2。より具体的には例えば図6のペリフェラル端末2−2)は、
所定の機能を発揮するために、他の情報処理装置(例えば図3のセントラル端末1)と情報通信を行う情報処理装置であって、
前記情報処理装置を特定可能な情報が特定情報(例えば上述の個体識別情報)として前記他の情報処理装置に取得されたことをトリガとして、前記他の情報処理装置において実行されるペアリングのために必要な情報を、ペアリング情報(例えば上述のアドバタイジングパケット)として前記他の情報処理装置に送信する制御を実行するペアリング手段(例えば図4のペアリング部201)、
を備える。
【0062】
これにより、複数の装置の中からペアリングの相手を判別可能にすることが可能になる。
さらに、上述の図6で説明したように、特定情報の取得(図6の例ではタッチイベント)から短時間でかつ低消費電力で、ペアリングが可能になる。
【符号の説明】
【0063】
1・・・セントラル端末、2,2−1,2−2,2−m・・・ペリフェラル端末、3,3−1,3−2,3−m・・・機能モジュール、21・・・CPU、22・・・ROM、23・・・RAM、24・・・バス、25・・・入出力インターフェース、26・・・タッチ操作入力部、27・・・表示部、28・・・入力部、29・・・記憶部、30・・・第一近距離無線通信部、31・・・第二近距離無線通信部、32・・・通信部、33・・・ドライブ、34・・・リムーバブルメディア、41・・・CPU、42・・・ROM、43・・・RAM、44・・・バス、45・・・第一近距離無線通信部、46・・・第二近距離無線通信部、47・・・接続部、48・・・電源部、101・・・ペアリング部、102・・・プログラム作製部、103・・・プログラム実行部、104・・・表示制御部、105・・・通信制御部、111・・・読取制御部、112・・・検知部、113・・・ペアリング実行部、114・・・接続確認部、201・・・ペアリング部、202・・・端末通信制御部、203・・・機能モジュール通信制御部、204・・・主制御部、500・・・アドバタイジングDB
図1
図2
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図5
図6
図7