特許第6861199号(P6861199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861199
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】核酸の抽出方法およびその抽出カセット
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20210412BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20210412BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   C12M1/00 A
   C12N15/10 120Z
   C12M1/26
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-240434(P2018-240434)
(22)【出願日】2018年12月24日
(65)【公開番号】特開2019-115338(P2019-115338A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年3月11日
(31)【優先権主張番号】62/610,444
(32)【優先日】2017年12月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】201811535018.6
(32)【優先日】2018年12月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鐘 ▲威▼宇
(72)【発明者】
【氏名】黄 菘斌
(72)【発明者】
【氏名】劉 興倫
(72)【発明者】
【氏名】高 于凱
(72)【発明者】
【氏名】李 怡臻
【審査官】 太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−87071(JP,A)
【文献】 特開2008−61649(JP,A)
【文献】 特開2015−73485(JP,A)
【文献】 特表2009−529883(JP,A)
【文献】 特表2016−527510(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/106579(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0024436(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0015993(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体受容モジュールと、前記液体受容モジュールと連通する抽出モジュールとを含む抽出カセットにおいて、
前記抽出モジュールは、
抽出モジュール体、
前記抽出モジュール体に形成された拡張室、
前記抽出モジュール体に形成され、反応室入口、反応室出口、および反応室ノッチを含み、前記拡張室は前記反応室ノッチを介して前記反応室に連通され、前記反応室ノッチは前記反応室入口と前記反応室出口の間に位置する反応室、
前記反応室に配置され、前記反応室出口をカバーするフィルタ、
前記抽出モジュール体に形成され、前記反応室出口と連通する収集室、
前記抽出モジュール体に形成され、前記反応室出口と連通する第1の廃液室、および
前記抽出モジュール体に形成され、前記反応室出口と連通する第2の廃液室
を含み、
前記抽出モジュールは、第1の経路および第2の経路を更に含み、前記第1の経路は、前記反応室出口を前記第1の廃液室と前記第2の廃液室に連結し、前記第2の経路は、前記反応室出口を前記収集室に連結し、
前記第1の経路および前記第2の経路は、前記反応室を中心にして前記収集室の反対側に配置されることを特徴とする抽出カセット。
【請求項2】
前記反応室は円錐形状部を含み、前記フィルタは前記円錐形状部に配置され、前記反応室出口は前記円錐形状部の一端に形成される請求項1に記載の抽出カセット。
【請求項3】
前記第1の経路は前記反応室出口で前記第2の経路と交差し、ストッパー壁が前記第2の経路に形成され、前記ストッパー壁は、前記第2の経路の一端に形成され、前記反応室出口に隣接する請求項1に記載の抽出カセット。
【請求項4】
前記抽出モジュールは、第3の経路および第4の経路を更に含み、前記第3の経路は、前記第1の経路と前記第1の廃液室を連結し、前記第4の経路は、前記第1の経路と前記第2の廃液室を連結する請求項1に記載の抽出カセット。
【請求項5】
前記第1の廃液室は、第1の廃液室連結孔を含み、前記第2の廃液室は、第2の廃液室連結孔を含み、前記第3の経路は、前記第1の経路と前記第1の廃液室連結孔を連結し、前記第4の経路は、前記第1の経路と前記第2の廃液室連結孔を連結し、前記第2の廃液室の少なくとも一部は、前記第1の廃液室連結孔と前記第2の廃液室連結孔の間に位置する請求項4に記載の抽出カセット。
【請求項6】
前記第4の経路の少なくとも一部は、第1の方向に延伸し、前記第1の方向は、前記第1の廃液室から離れる方向である請求項5に記載の抽出カセット。
【請求項7】
前記第2の廃液室は、第2の廃液室圧力孔を含み、前記廃液室の少なくとも一部は、前記第1の廃液室と前記第2の廃液室圧力孔の間に位置する請求項5に記載の抽出カセット。
【請求項8】
前記第2の経路の少なくとも一部は、第1の方向に延伸する請求項7に記載の抽出カセット。
【請求項9】
前記収集室は収集室圧力孔を含み、前記収集室の少なくとも一部は、前記第1の廃液室と前記収集室圧力孔の間に位置する請求項7に記載の抽出カセット。
【請求項10】
前記抽出モジュールは吸収材料を更に含み、前記吸収材料は、前記第1の廃液室に配置され、前記第1の廃液室は、第1の廃液室圧力孔を含み、前記吸収材料の少なくとも一部は、前記第1の廃液室圧力孔と前記第1の廃液室連結孔の間の前記第1の廃液室の空間に位置する請求項9に記載の抽出カセット。
【請求項11】
前記第1の廃液室圧力孔、前記第2の廃液室圧力孔、および前記収集室圧力孔は同一平面上にある請求項10に記載の抽出カセット。
【請求項12】
前記拡張室は、拡張室入口、拡張室圧力孔、および拡張室スペーサを更に含み、前記拡張室スペーサは、前記拡張室入口と前記拡張室圧力孔の間に位置し、前記拡張室スペーサは前記拡張室圧力孔に向かって屈曲する請求項1に記載の抽出カセット。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12に記載のいずれか1つの前記抽出カセットを提供するステップ、
サンプルとアルコールの混合液を前記液体受容モジュールから前記抽出モジュールに移動させ、前記フィルタにより前記混合液から核酸を捕捉するステップ、
前記混合液を前記第1の廃液室に移動させるステップ、
第1の洗剤を前記液体受容モジュールから前記抽出モジュールに移動させ、前記反応室と前記フィルタを通過させるステップ、および
前記第1の洗剤を前記第1の廃液室に移動させるステップを含む方法。
【請求項14】
第2の洗剤を前記液体受容モジュールから前記抽出モジュールに移動させ、前記反応室と前記フィルタを通過させるステップ、
前記第2の洗剤を前記第2の廃液室に移動させるステップ、
溶離剤を前記液体受容モジュールから前記抽出モジュールに移動させ、前記反応室に静置させるステップ、および
正圧を前記第2の廃液室の第2の廃液室圧力孔を介して提供し、且つ負圧を前記収集室の収集室圧力孔を介して提供し、前記核酸を含む溶離剤を前記収集室に移動させるステップを更に含む請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月26日に出願された米国特許仮出願番号第62/610444号からの優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【0002】
本出願は、一部継続出願であり、2016年2月8日に出願された継続中の米国特許出願番号第15/018067号「Nucleic acid extracting device」からの優先権を主張するものである。
【0003】
本出願は、2018年12月14日に出願された中国特許出願番号第2018115350186号についての優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【背景技術】
【0004】
本発明は、抽出カセットに関するものであり、特に、抽出モジュールを有する抽出カセットに関するものである。
【0005】
従来の抽出モジュールは、廃液を受容することができない、核酸を抽出するためだけのものである。廃液は反応室内のフィルタを汚染する可能性があるため、従来の廃液室は収集室から離れている。廃液室と反応室は異なるモジュールに配置され、従来の抽出カセットのサイズおよびコストが増加する。
【0006】
従来、磁気ビーズの抽出技術によって核酸を抽出する一体型(all−in−one)の抽出モジュールが提供されている。しかしながら、磁気ビーズの抽出技術の効率および純度は適切ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、抽出カセットが提供される。抽出カセットは、液体受容モジュールおよび抽出モジュールを含む。抽出モジュールは液体受容モジュールと連通する。抽出モジュールは、抽出モジュール体、拡張室、反応室、フィルタ、収集室、第1の廃液室、および第2の廃液室を含む。拡張室は抽出モジュール体に形成される。反応室は抽出モジュール体に形成され、反応室は、反応室入口、反応室出口、および反応室ノッチを含み、拡張室は反応室ノッチに連結され、反応室ノッチは反応室入口と反応室出口の間に位置する。フィルタは反応室に配置され、反応室出口に対応する。収集室は、抽出モジュール体に形成され、反応室出口と連通する。第1の廃液室は、抽出モジュール体に形成され、第1の廃液室は反応室出口と連通する。第2の廃液室は抽出モジュール体に形成され、第2の廃液室は反応室出口と連通する。
【0008】
一実施形態では、反応室は円錐形状部を含み、フィルタは円錐形状部に配置され、反応室出口は円錐形状部の一端に形成される。
【0009】
一実施形態では、抽出モジュールは、第1の経路および第2の経路を更に含み、第1の経路は、反応室出口を第1の廃液室と第2の廃液室に連結し、第2の経路は、反応室出口を収集室に連結する。
【0010】
一実施形態では、第1の経路は反応室出口で第2の経路と交差し、ストッパー壁が第2の経路に形成され、ストッパー壁は、第2の経路の一端に形成され、反応室出口に隣接する。
【0011】
一実施形態では、抽出モジュールは、第3の経路および第4の経路を更に含み、第3の経路は、第1の経路と第1の廃液室を連結し、第4の経路は、第1の経路と第2の廃液室を連結する。
【0012】
一実施形態では、第1の廃液室は、第1の廃液室連結孔を含み、第2の廃液室は、第2の廃液室連結孔を含み、第3の経路は、第1の経路と第1の廃液室連結孔を連結し、第4の経路は、第1の経路と第2の廃液室連結孔を連結し、第2の廃液室の少なくとも一部は、第1の廃液室連結孔と第2の廃液室連結孔の間に位置する。
【0013】
一実施形態では、第4の経路の少なくとも一部は、第1の方向に延伸し、第1の方向は、第1の廃液室から離れる方向である。
【0014】
一実施形態では、第2の廃液室は、第2の廃液室圧力孔を含み、廃液室の少なくとも一部は、第1の廃液室と第2の廃液室圧力孔の間に位置する。
【0015】
一実施形態では、第2の経路の少なくとも一部は、第1の方向に延伸する。
【0016】
一実施形態では、収集室は収集室圧力孔を含み、収集室の少なくとも一部は、第1の廃液室と収集室圧力孔の間に位置する。
【0017】
一実施形態では、抽出モジュールは吸収材料を更に含み、吸収材料は、第1の廃液室に配置され、第1の廃液室は、第1の廃液室圧力孔を含み、吸収材料の少なくとも一部は、第1の廃液室圧力孔と第1の廃液室連結孔の間の第1の廃液室の空間に位置する。
【0018】
一実施形態では、第1の廃液室圧力孔、第2の廃液室圧力孔、および収集室圧力孔は同一平面上にある。
【0019】
一実施形態では、拡張室は、拡張室入口、拡張室圧力孔、および拡張室スペーサを更に含み、拡張室スペーサは、拡張室入口と拡張室圧力孔の間に位置し、拡張室スペーサは拡張室圧力孔に向かって屈曲する。
【0020】
一実施形態では、核酸の抽出方法が提供される。核酸の抽出方法は以下のステップを含む。まず、液体受容モジュールおよび抽出モジュールを含み、抽出モジュールが液体受容モジュールと連通し、抽出モジュールが反応室、フィルタ、収集室、第1の廃液室および第2の廃液室を含む抽出カセットを提供する。次に、サンプルとアルコールの混合液を液体受容モジュールから抽出モジュールに移動させ、フィルタにより混合液から核酸を捕捉する。次いで、混合液を第1の廃液室に移動させる。次に、第1の洗剤を液体受容モジュールから抽出モジュールに移動させ、第1の洗剤を反応室とフィルタを通過させる。次いで、第1の洗剤を第1の廃液室に移動させる。
【0021】
一実施形態では、核酸の抽出方法は以下のステップを更に含む。まず、第2の洗剤を液体受容モジュールから抽出モジュールに移動させ、第2の洗剤を反応室とフィルタを通過させる。次いで、第2の洗剤を第2の廃液室に移動させる。次に、溶離剤を液体受容モジュールから抽出モジュールに移動させ、溶離剤を反応室に静置させる。次いで、正圧を第2の廃液室の第2の廃液室圧力孔を介して提供し、負圧を収集室の収集室圧力孔を介して提供し、核酸を含む溶離剤を収集室に移動させる。
【発明の効果】
【0022】
一実施形態では、本発明の実施形態の抽出モジュールを用いると、反応室および廃液室は単一の抽出モジュールに組み込まれ、抽出カセットのサイズおよびコストが減少される。特に、経路、反応室、収集室、第1の廃液室、および第2の廃液室の設計によって、且つ圧力の供給によって、廃液は、第1の廃液室と第2の廃液室に移動されるように制御されることができ、核酸を含む溶離液は、収集室に移動されるように制御される。廃液が反応室および収集室を汚染するのを防止する。
【0023】
詳細な説明は、添付の図面と併せて以下の実施形態に説明される。
【0024】
添付の図面とともに以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A図1Aは、本発明の一実施形態の抽出カセットの組立図である。
図1B図1Bは、本発明の実施形態の抽出カセットの分解図である。
図2図2は、本発明の実施形態の抽出モジュールの詳細を示している。
図3A】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3B】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3C】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3D】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3E】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3F】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3G】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3H】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3I】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図3J】本発明の実施形態の抽出モジュールの動作を示している。
図4A図4Aは、本発明の実施形態の核酸の抽出方法を示している。
図4B図4Bは、本発明の実施形態の核酸の抽出方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明では、本発明を実施するベストモードを開示している。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のものであり、本発明を限定するものではない(本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にして決定される)。
【0027】
図1Aは、本発明の実施形態の抽出カセットCの組立図である。図1Bは、本発明の実施形態の抽出カセットCの分解図である。図1A図1Bに示すように、抽出カセットCは、抽出モジュール1、液体受容モジュール2、サンプリングモジュール3、および連結モジュール4を含む。抽出カセットCは分析装置内に配置されるように構成される。分析装置は、第1の圧力供給モジュール、分析モジュール、および第2の圧力供給モジュールを含む。第1の圧力供給モジュールおよび第2の圧力供給モジュールは、抽出カセットCに向かって圧力を加え、抽出カセットC内の液体の流動を制御する。分析モジュールは抽出カセットCを加熱または冷却し、抽出カセットC内の試料を分析する。
【0028】
図1Bに示すように、液体受容モジュール2は、連結モジュール4を介して抽出モジュール1と連通する。図2は、抽出モジュール1の詳細を示している。図2に示すように、抽出モジュール1は、抽出モジュール体19、拡張室18、反応室11、フィルタ111、収集室12、第1の廃液室13、および第2の廃液室14を含む。拡張室18は抽出モジュール体19に形成される。反応室11は抽出モジュール体19に形成される。反応室11は、反応室入口114、反応室出口112、および反応室ノッチ115を含む。拡張室18は反応室ノッチ115に連結される。反応室ノッチ115は、反応室入口114と反応室出口112の間に位置する。フィルタ111は反応室11に配置され、反応室出口112に対応する。収集室12は抽出モジュール体19に形成され、反応室出口112と連通する。第1の廃液室13は、抽出モジュール体19に形成される。第1の廃液室13は反応室出口112と連通する。第2の廃液室14は、抽出モジュール体19に形成され、第2の廃液室14は反応室出口112と連通する。
【0029】
図2に示すように、一実施形態では、拡張室18は、拡張室入口181、拡張室圧力孔182、および拡張室スペーサ183を更に含む。拡張室スペーサ183は、拡張室入口181と拡張室圧力孔182の間に位置する。拡張室スペーサ183は拡張室圧力孔182に向かって屈曲する。拡張室スペーサ183は、拡張室入口181を介して拡張室18に入る液体が拡張室圧力孔182を汚染するのを防止する。
【0030】
図2に示すように、一実施形態では、反応室11は円錐形部113を含む。フィルタ111は、円錐形部113に配置される。反応室出口112は、円錐形部113の一端に形成される。一実施形態では、抽出モジュール1は、第1の経路15および第2の経路16を更に含む。第1の経路15は、反応室出口112と第1の廃液室13および第2の廃液室14を連結する。第2の経路16は反応室出口112と収集室12を連結する。
【0031】
図2に示すように、一実施形態では、第1の経路15と第2の経路16は反応室出口112で交差する。第2の経路16にストッパー壁161が形成され、このストッパー壁161は、第2の経路16の一端に形成され、反応室出口112に隣接する。一実施形態では、抽出モジュール1は、第3の経路151および第4の経路152を更に含む。第3の経路151は、第1の経路15と第1の廃液室13を連結する。第4の経路152は、第1の経路15と第2の廃液室14を連結する。一実施形態では、第1の廃液室13は、第1の廃液室連結孔131を含む。第2の廃液室14は、第2の廃液室連結孔141を含む。第3の経路151は、第1の経路15と第1の廃液室連結孔131を連結する。第4の経路152は、第1の経路15と第2の廃液室連結孔141を連結する。第2の廃液室14の少なくとも一部は、第1の廃液室連結孔131と第2の廃液室連結孔141の間に位置する。一実施形態では、第4の経路152の少なくとも一部は、第1の方向Zに延伸し、第1の方向Zは、第1の廃液室13から離れる方向である。この開示は本発明を限定するものではない。
【0032】
図2に示すように、一実施形態では、第2の廃液室14は、第2の廃液室圧力孔142を含む。第2の廃液室14の少なくとも一部は、第1の廃液室13と第2の廃液室圧力孔142の間に位置する。一実施形態では、第2の経路16の少なくとも一部は、第1の方向Zに延伸する。この開示は本発明を限定するものではない。一実施形態では、収集室12は収集室圧力孔121を含む。収集室12の少なくとも一部は、第1の廃液室13と収集室圧力孔121の間に位置する。
【0033】
図2に示すように、一実施形態では、抽出モジュール1は吸収材料17を更に含む。吸収材料17は、第1の廃液室13に配置される。第1の廃液室13は、第1の廃液室圧力孔132を含む。吸収材料17の少なくとも一部は、第1の廃液室圧力孔132と第1の廃液室連結孔131の間の第1の廃液室13の空間に位置する。一実施形態では、吸収材料17はスポンジであることができる。一実施形態では、第1の廃液室圧力孔132、第2の廃液室圧力孔142および収集室圧力孔121は同一平面上にある。
【0034】
図3A図3Jは、本発明の実施形態の抽出モジュール1の動作を示している。図3Aに示されるように、サンプルとアルコールの混合液286が、拡張室入口181を介して液体受容モジュール2から拡張室18および反応室11に移動され、フィルタ111が混合液286から核酸を捕捉する。次いで、図3Bに示すように、混合液286は、第1の廃液室圧力孔132を介して提供される負圧(<−10kpa)によって、第1の廃液室13に移動される。次に、図3Cに示すように、第1の洗剤282が拡張室入口181、拡張室18、および反応室11を介して、液体受容モジュール2からフィルタ111に徐々に移動され、フィルタ111上の塩類濃度およびPH値が調整される。次いで、図3Dに示すように、第1の洗剤282は、第1の廃液室圧力孔132を介して提供される負圧(<−10kpa)によって、第1の廃液室13に移動される。次いで、図3Eに示されるように、第2の洗剤283の一部は、拡張室入口181、拡張室18、および反応室11を介して液体受容モジュール2からフィルタ111に移動され、フィルタ111上の塩類濃度およびPH値が調整される。次に、図3Fに示されるように、第2の洗剤283は、第1の廃液室圧力孔132を介して提供された負圧(<−10kpa)によって、第1の廃液室13に移動される。次に、図3Gに示すように、第2の洗剤283の他の部分は、拡張室入口181、拡張室18、および反応室11を介して液体受容モジュール2からフィルタ111に移動され、フィルタ111上の塩類濃度およびPH値が調整される。次に、図3Hに示されるように、第2の洗剤283は、第2の廃液室圧力孔142を介して提供される負圧(<−10kpa)によって、第2の廃液室14に移動される。次いで、図3Iに示すように、溶離液284が反応室入口114を介して液体受容モジュール2から反応室11に移動され、溶離液284は反応室11に3分間静置され、核酸はフィルタ111から溶離液284に放出される。次に、図3Jに示すように、大きな正圧(45kpa)が提供され、核酸を含む溶離液284を収集室12に移動させる。図2に示すように、図3Jのステップでは、小さな正圧が第2の廃液室圧力孔142を介して提供され、核酸を含む溶離液284が第1の経路15に入るのを防ぐ。この実施形態では、大きな正圧(45kpa)は、反応室入口114によって液体受容モジュール2を介して提供される。
【0035】
図3Dおよび図3Fのステップでは、第1の洗剤282は、液体受容モジュール2からフィルタ111に徐々に移動されるか、または一回の移動で液体受容モジュール2からフィルタ111に完全に移動され、第2の洗剤283も移動されることができる。一実施形態では、第1の洗剤282はPH値を中和することができ、第2の洗剤283はタンパク質および有機不純物を除去することができる。
【0036】
上述の実施形態では、拡張室18は、混合液286、第1の洗剤282、および第2の洗剤283が反応室入口114に接触して反応室入口114が汚染されるのを防ぐ。
【0037】
図2に示すように、上述の実施形態では、ストッパー壁161は、混合液286、第1の洗剤282、および第2の洗剤283が収集室12に入るのを防ぐ。一実施形態では、第2の経路16は屈曲部162を有する。屈曲部162は、核酸を含む溶離液284を収集室12に十分に入るようにする。一実施形態では、収集室12は、収集室傾斜面122および収集室出口123を更に含む。収集室傾斜面122は、収集室出口123を連結する。収集室傾斜面122は、核酸を含む溶離液284が収集室出口123を介して収集室12から(図1Bに示すように、サンプリングモジュール3に)完全に流出するようにする。一実施形態では、屈曲部162は収集室傾斜面122に向かって屈曲する。
【0038】
図2および図3Hに示すように、第2の廃液室14に最後に入った第2の洗剤283は、最もクリーンな廃液である。図3Jのステップでは、小さな正圧が第2の廃液室圧力孔142を介して提供され、核酸を含む溶離液284が第1の経路15に入るのを防ぐ。第2の廃液室14内の第2の洗剤283は最もクリーンな廃液であるため、第2の廃液室14内の空気による溶離液284への汚染が低減されることができる。
【0039】
図2に示すように、図3Fのステップでは、第1の廃液室13の廃液は、吸収材料17と接触する。吸収材料17は、廃液の気泡を除去し、廃液が第1の廃液室圧力孔132から溢れ出るのを防止する。一実施形態では、フィルタ111は、シリコンフィルタまたは他のフィルタであることができる。一実施形態では、抽出モジュールは一体的に形成されることができる。
【0040】
図4Aおよび図4Bに示すように、一実施形態では、核酸の抽出方法が提供される。核酸の抽出方法は以下のステップを含む。まず、液体受容モジュールおよび抽出モジュールを含み、抽出モジュールが液体受容モジュールと連通し、抽出モジュールが反応室、フィルタ、収集室、第1の廃液室および第2の廃液室を含む抽出カセットを提供する(S11)。次に、サンプルとアルコールの混合液を液体受容モジュールから抽出モジュールに移動させ、フィルタにより混合液から核酸を捕捉する(S12)。次いで、混合液を第1の廃液室に移動させる(S13)。次に、第1の洗剤を液体受容モジュールから抽出モジュールに移動させ、第1の洗剤を反応室とフィルタを通過させる(S14)。次いで、第1の洗剤を第1の廃液室に移動させる(S15)。次に、第2の洗剤を液体受容モジュールから抽出モジュールに移動させ、第2の洗剤を反応室とフィルタを通過させる(S16)。次いで、第2の洗剤を第2の廃液室に移動させる(S17)。次に、溶離剤を液体受容モジュールから抽出モジュールに移動させ、溶離剤を反応室に静置させる(S18)。次いで、正圧を第2の廃液室の第2の廃液室圧力孔を介して提供し、負圧を収集室の収集室圧力孔を介して提供し、核酸を含む溶離剤を収集室に移動させる(S19)。
【0041】
本発明の実施形態の抽出モジュールを用いると、反応室および廃液室は単一の抽出モジュールに組み込まれ、抽出カセットのサイズおよびコストが減少される。特に、経路、反応室、収集室、第1の廃液室、および第2の廃液室の設計によって、且つ圧力の供給によって、廃液は、第1の廃液室と第2の廃液室に移動されるように制御されることができ、核酸を含む溶離液は、収集室に移動されるように制御される。廃液が反応室および収集室を汚染するのを防止する。
【0042】
クレーム要素を変えるための、請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数詞の使用は、それ自体が、1つのクレーム要素を他のクレーム要素と比較して優先度、序列、又は順序、もしくは方法を実施する行為の時間的順序を示唆するものではなく、むしろ、単にクレーム要素を区別するために、特定の名前を有する1つのクレーム要素を同じ名前を有する他の要素から区別するためのラベルとして(だけ、序数詞を)使用している。
【0043】
本発明は、例として及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の特許請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4A
図4B