特許第6861206号(P6861206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キャピタルバイオ コーポレーションの特許一覧

特許6861206マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法
<>
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000002
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000003
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000004
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000005
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000006
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000007
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000008
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000009
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000010
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000011
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000012
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000013
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000014
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000015
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000016
  • 特許6861206-マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861206
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】マイクロ流体バルブおよびマイクロ流体バルブを備えたチップ、ならびにマイクロ流体バルブの使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20210412BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20210412BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20210412BHJP
   F16K 3/04 20060101ALI20210412BHJP
   B81B 5/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01N35/08 A
   G01N37/00 101
   B01J19/00 321
   F16K3/04 Z
   B81B5/00
【請求項の数】14
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-516678(P2018-516678)
(86)(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公表番号】特表2019-501364(P2019-501364A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】CN2016000549
(87)【国際公開番号】WO2017054369
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年8月6日
(31)【優先権主張番号】201510640002.1
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504278260
【氏名又は名称】キャピタルバイオ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CapitalBio Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ,ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フゥ
(72)【発明者】
【氏名】リン,ミンシエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,トンジュン
(72)【発明者】
【氏名】バイ,リアン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,グオリアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ドン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ワンリー
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−522996(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/072053(WO,A1)
【文献】 特開2014−064591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00〜37/00
B01J 19/00
B81B 5/00
F16K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体バルブであって、
開口を備えるベースと、
前記ベースに配置されたスリーブと、
前記スリーブの内部に配置されたロータとを備え、前記ロータと前記スリーブと前記ベースとで混合チャンバを形成し、
前記開口は、前記混合チャンバと連通することが可能なように構成され、
前記マイクロ流体バルブはさらに、
前記ロータには、前記混合チャンバ内に位置するマイクロカラムが配置され、前記ロータが回転することで、前記マイクロカラムは、前記開口と前記混合チャンバとの間の連通を遮断もしくは閉鎖することが可能であるように構成されている、マイクロ流体バルブ。
【請求項2】
前記マイクロカラムは、前記混合チャンバ内で物質を混合または撹拌し易くするためのブレードを含む、請求項1に記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項3】
前記ロータは、前記ロータの、前記ベースと反対側の端面において、前記ロータを回転させるための突起および/または溝を含む、請求項1または請求項2に記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項4】
前記スリーブは、前記スリーブの、前記ベースと反対側の端部において、内向きの環状突起を含み、前記内向きの環状突起は、前記スリーブの内部での前記ロータの位置を、前記スリーブの軸に沿って固定する、請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項5】
前記スリーブに対して固定された、または取外し可能に接続されたカバープレートをさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項6】
複数のスリーブを備える、請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項7】
前記ロータに配置された、3つのマイクロカラムすなわち第1マイクロカラム、第2マイクロカラム、および第3マイクロカラムを備える、請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項8】
前記ベースは、前記ベースの、前記ロータ側の表面において、前記ロータに配置された前記マイクロカラムと係合可能な、または係合するように構成された環状溝を含み、前記マイクロカラムの、前記ベース側の端部は、前記環状溝の中でスライドするように構成されている、またはスライド可能である、請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項9】
弾力性ガスケットが、前記スリーブと、前記ロータに配置された前記マイクロカラムの外壁との間に設けられている、請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項10】
前記ロータは、前記ベース側の端面の周囲において案内スリーブを含む、請求項1〜9のいずれかに記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項11】
前記ロータに配置された前記マイクロカラムは、前記案内スリーブに設けられている、請求項10に記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項12】
前記開口は開口チャンバとチャネルとを含み、前記チャネルは、前記開口チャンバを通して前記混合チャンバと連通するように構成されている、請求項1〜11のいずれかに記載のマイクロ流体バルブ。
【請求項13】
チップ本体、および
請求項1〜12のいずれかに記載のマイクロ流体バルブを1以上備える、マイクロ流体チップ。
【請求項14】
1)請求項1〜13のいずれかに記載の前記マイクロ流体バルブの前記開口を開放するように前記ロータを回転させるステップと、
2)液体を前記開口を介して前記混合チャンバに導入するステップと、
3)前記ロータを回転させて前記混合チャンバ内の前記液体を撹拌またはかき混ぜステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年9月30日に出願された中国特許出願第201510640002.1号に基づく優先権を主張し、その内容全体をあらゆる目的のために本明細書に引用により援用する。
【0002】
技術分野
本開示は、概してたとえば生体分子の検出および/または解析のためのマイクロ流体装置およびその使用方法の分野に関する。具体的な局面において、本開示は、マイクロ流体技術、より具体的には、マイクロ流体バルブと、1以上のマイクロ流体バルブを備えたマイクロ流体チップ、キット、またはシステムと、試料および/または試薬を処理する(混合する等)、反応を実行する、および/または検体を検出もしくは解析するために、当該バルブ、チップ、キット、またはシステムを使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
マイクロ流体チップは、一般的に、マイクロ流体バルブを使用することにより、当該チップの内部の流体の移動を正確に制御することができる。現在のマイクロ流体バルブは、ロータの底部の流体構造体(ロータ自身を貫通する通路等)と、1以上の流体チャネルにつながるベース内の貫通孔との組合わせを通して、流体の移動を制御する。これらのマイクロ流体バルブは、ロータ自身の内部の通路を特定の目標流体チャネルに接続するために、ロータの回転を利用してさまざまな流体チャネルを多重化することができる。
【0004】
しかしながら、このようなマイクロ流体バルブは、流体経路のオン/オフ切替え機能しか果たすことができない。その他の流体操作、たとえば、混合および反応は、通常別々の機構の導入が必要なので、結果として流体部品の数が増し、および/またはチップ上の構造がより複雑になるため、チップの組立てが困難になる。
【0005】
したがって、組立て易くするために、混合機能を統合し部品の数を減じた新たなタイプのマイクロ流体バルブが必要である。本開示はこのニーズおよび関連するニーズに応える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
この概要は、クレームされている主題の範囲を限定するために用いられることを意図している訳ではない。クレームされている主題のその他の特徴、詳細、効用、および利点は、添付の図面および添付の請求項に開示されている局面を含む詳細な説明から明らかになるであろう。
【0007】
マイクロ流体装置の内部の液体の流れは、一般的に、チップの内部においてマイクロバルブを用いることによって正確に制御することができる。一局面において、本開示の目的は、組立て易くするために、混合機能を有することで、マイクロ流体チップに設けられる部品の数を低減したマイクロ流体バルブを提供することである。
【0008】
一局面において、マイクロ流体バルブおよび当該バルブを備えたマイクロ流体チップが提供される。マイクロ流体バルブは、ベースを備え、開口たとえばマイクロポアがベースに設けられ、さらに、ベースに配置されたスリーブと、スリーブの内部に配置されベースの反対側のスリーブの端部に位置する回転可能なロータとを備え、ロータとスリーブとベースとで混合チャンバを形成する。一局面において、マイクロポアは、混合チャンバと連通するように構成されている、または連通することが可能である。一局面において、マイクロカラムは、ロータに配置され混合チャンバ内に位置する。いくつかの実施形態において、マイクロポアはマイクロカラムによって閉鎖することができる。
【0009】
別の局面において、本開示はマイクロ流体バルブを提供する。マイクロ流体バルブは、ロータの回転により、ベースに設けられた開口たとえばマイクロポアのオン/オフスイッチとして機能できるだけでなく、混合チャンバ内の液体を混合するおよび/またはかき混ぜることができる。したがって、一局面において、マイクロ流体バルブは、流路のオンオフを制御するだけでなく流体を撹拌するので、マイクロ流体チップに設ける部品数が減り、組立てが容易になる。
【0010】
他の一局面において、ベースを備えたマイクロ流体バルブが提供され、ベースは開口たとえばマイクロポアを含む。一実施形態において、マイクロ流体バルブはさらに、ベースに配置されたスリーブを備える。
【0011】
前述の実施形態のいずれかにおいて、回転可能なロータが、スリーブの内部に配置されてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータは、ベースの反対側のスリーブの端部に配置されてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータとスリーブとベースとで混合チャンバを形成することができる。前述の実施形態のいずれかにおいて、開口たとえばマイクロポアは、混合チャンバと連通するように構成されている、または連通することが可能である。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロカラムを、ロータに配置してもよく、混合チャンバに位置してもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロカラムは、マイクロポアと混合チャンバとの間の連通を遮断または閉鎖することができる。
【0012】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータは、このロータの、ベースと反対側の端面において、ロータを回転させるための界面構造体を含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、界面構造体は、任意で、ロータを回転させるための、突起、溝、またはその組合わせを含み得る。
【0013】
前述の実施形態のいずれかにおいて、スリーブは、このスリーブの、ベースと反対側の端部において、内向きの環状突起を含む。一局面において、内向きの環状突起は、スリーブの内部でのロータの位置を、スリーブの軸に沿って固定する。
【0014】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ベースと反対側のスリーブの端面は、ベースと反対側のロータの端面と同一の高さにあってもよく、またはそれよりも高くてもよい。
【0015】
前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは、スリーブに接続されたカバープレートをさらに備えてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、カバープレートは、そのベース側の端面において、スリーブの軸に沿ってスリーブおよびロータの位置を固定するための環状溝を含み得る。
【0016】
前述の実施形態のいずれかにおいて、カバープレートはさらに、環状溝に接続された操作貫通孔を含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、操作貫通孔は、マイクロ流体バルブの外部環境に対してロータを露出させることが可能である。
【0017】
前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは複数のスリーブを備えていてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは、カバープレートに複数の環状溝を備えていてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、各スリーブはカバープレートの環状溝に対応していてもよい。
【0018】
前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは、2つの開口たとえば2つのマイクロポアを備えていてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは、第1マイクロカラムと、第2マイクロカラムと、第3マイクロカラムとを備えていてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、第1マイクロカラムおよび第3マイクロカラムはロータの両側に配置してもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、第1マイクロカラムおよび第3マイクロカラムは2つのマイクロポアを同時に閉鎖もしくは開放するように構成し得る、または閉鎖もしくは開放することができる。前述の実施形態のいずれかにおいて、第2マイクロカラムは、2つのマイクロポアのうちの一方を個別に閉鎖もしくは開放する一方で他方のマイクロポアを開放または閉鎖されたままにしておく。
【0019】
前述の実施形態のいずれかにおいて、スリーブの、ベース側の端部と、マイクロカラムの、ベース側の端部とは、少なくとも部分的にベースに埋め込まれていてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、ベースは、そのマイクロカラム側の表面において、マイクロカラムと係合可能な環状溝を備えていてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロカラムの、ベース側の端部は、環状溝の中でスライドするように構成し得るまたはスライドすることが可能である。前述の実施形態のいずれかにおいて、弾力性ガスケットをスリーブとマイクロカラムの外側壁との間に設けてもよい。
【0020】
前述の実施形態のいずれかにおいて、開口たとえばマイクロポアを、弾力性ガスケットに設けてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロポアは、スリーブの接続端面とベースの接続端面との間に設けてられてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロカラムの外壁は、マイクロポアを遮断もしくは閉鎖するように構成されてもよい、または、マイクロポアを遮断もしくは閉鎖することができる。
【0021】
前述の実施形態のいずれかにおいて、開口たとえばマイクロポアは、ベースの厚み方向に沿う方向に設けてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータの反対側におけるマイクロカラムの端面は、マイクロポアを遮断もしくは閉鎖するように構成されてもよく、または、マイクロポアを遮断もしくは閉鎖することができる。
【0022】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータは、ベース側の端面の周囲において案内スリーブを含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、案内スリーブは、スリーブとともに回転し得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ構造体(マイクロカラム等)は案内スリーブに配置してもよい。
【0023】
前述の実施形態のいずれかにおいて、開口たとえばマイクロポアは、チャンバを含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロポアは、マイクロチャネルを含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロチャネルを、チャンバを通して混合チャンバと連通するように構成してもよい。
【0024】
前述の実施形態のいずれかにおいて、チャンバは、混合チャンバ側の第1部分と混合チャンバと反対側の第2部分とを含み得る。
【0025】
前述の実施形態のいずれかにおいて、第1部分の直径と第2部分の直径との比率は、約1:3と約1:10との間であってもよい。
【0026】
前述の実施形態のいずれかにおいて、開口たとえばマイクロポアの直径は、ロータの直径の約1パーセントよりも大きくてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、開口たとえばマイクロポアの直径は、ロータの直径の約1/2よりも小さくてもよい。
【0027】
別の局面において、チップ本体、および、前述の実施形態のいずれかに係るマイクロ流体バルブを1以上備えた、マイクロ流体チップが本明細書において提供される。
【0028】
一局面において、本明細書ではマイクロ流体バルブが提供され、マイクロ流体バルブは、ベースと、ベースに配置されたスリーブと、スリーブの内部に配置されたロータとを備え、ロータとスリーブとベースとで混合チャンバを形成し、マイクロ流体バルブはさらに、混合チャンバと連通するように構成されたまたは連通することが可能な開口と、ロータに配置された構造体とを備え、構造体は、開口と混合チャンバとの間の連通を遮断もしくは閉鎖するように構成されている、または遮断もしくは閉鎖することが可能である。一実施形態において、開口は、たとえばマイクロポアである開口である、または、マイクロポアである開口を含む。別の実施形態において、ベースは開口たとえばマイクロポアを含む。前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータに配置された構造体は、マイクロカラムである、またはマイクロカラムを含み得る。一実施形態において、マイクロカラムは、混合チャンバ内における物質の混合または撹拌を容易にする特徴を含む。
【0029】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータは、そのベースの反対側の端部において、ロータを回転させるための界面構造体を含み得る。一実施形態において、界面構造体は、突起、溝、またはその組合わせを含む。
【0030】
前述の実施形態のいずれかにおいて、スリーブは、そのベースと反対側の端部において、内向きの環状突起を含み得る。一実施形態において、内向きの環状突起は、スリーブ内におけるロータの位置を、スリーブの軸にそって固定する。
【0031】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ベースの反対側のスリーブの端面は、ベースの反対側のロータの端面と同一の高さにあってもよい、またはそれより高くてもよい。
【0032】
前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブはさらに、スリーブに対して固定されたまたは取外し可能に接続されたカバープレートを備えてもよい。一局面において、カバープレートは、そのベース側の端面において、スリーブの軸に沿ってスリーブおよびロータの位置を固定する環状溝を含む。別の局面において、カバープレートはさらに、環状溝に接続された操作貫通孔を含み、操作貫通孔は、マイクロ流体バルブの外側に対してロータを露出させるように構成される、または露出させることが可能である。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは、そのカバープレートにおいて複数の環状溝を含み得る。
【0033】
前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは複数のスリーブを含み得る。一実施形態において、複数のスリーブは各々、カバープレートの環状溝に対応する。
【0034】
前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは、2つのマイクロポアのような1以上の開口を含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、マイクロ流体バルブは、ロータに配置された、3つのマイクロカラムすなわち第1マイクロカラム、第2マイクロカラム、および第3マイクロカラムのような1以上の構造体を含み得る。一実施形態において、第1マイクロカラムおよび第3マイクロカラムは、ロータの両側に配置される。一局面において、第1マイクロカラムおよび第3マイクロカラムは、2つのマイクロポアを同時に閉鎖もしくは開放するように構成されている、または、閉鎖もしくは開放することが可能である。別の局面において、第2マイクロカラムは、マイクロポアのうちの1つを個別に閉鎖もしくは開放するように構成されている、または閉鎖もしくは開放することが可能である。
【0035】
前述の実施形態のいずれかにおいて、スリーブの、ベース側の端部は、少なくとも部分的にベースに埋め込まれていてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータに配置された構造体の、ベース側の端部は、少なくとも部分的にベースに埋め込まれていてもよい。
【0036】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ベースは、そのロータ側の表面において、ロータに配置された構造体と係合可能な環状溝を含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、構造体の、ベース側の端部は、環状溝の中でスライドできるように構成されていてもよい。
【0037】
前述の実施形態のいずれかにおいて、弾力性ガスケットが、スリーブと、ロータに配置された構造体の外壁との間に設けられていてもよい。一実施形態において、開口は弾力性ガスケットに設けられる。他の一実施形態において、開口は、スリーブの接続端面とベースの接続端面との間に設けられている。別の実施形態において、開口は、弾力性ガスケットの上であってスリーブおよびベースそれぞれの接続端面の間に設けられている。いくつかの実施形態において、ロータに配置された構造体の外壁は、開口を遮断もしくは閉鎖するように構成されている、または、遮断もしくは閉鎖することが可能である。
【0038】
前述の実施形態のいずれかにおいて、開口は、ベースの厚みに沿う方向に設けられていてもよい。一局面において、ロータに配置された構造体は、ベース側の端面を有し、この端面は、開口を遮断もしくは閉鎖するように構成されている、または遮断もしくは閉鎖することが可能である。
【0039】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータは、ベース側の端面の周囲において、案内スリーブを含み得る。一局面において、案内スリーブは、スリーブとともに回転するように構成されている、またはスリーブとともに回転可能である。前述の実施形態のいずれかにおいて、ロータに配置された構造体は案内スリーブに設けられていてもよい。
【0040】
前述の実施形態のいずれかにおいて、開口は、開口チャンバとチャネルとを含み得る。一局面において、チャネルは、開口チャンバを通して混合チャンバと連通するように構成されている。別の局面において、開口チャンバは、混合チャンバ側の第1部分と、混合チャンバの反対側の第2部分とを含む。さらに別の局面において、第1部分の直径と第2部分の直径との比率は、約1:3と約1:10との間である。
【0041】
前述の実施形態のいずれかにおいて、開口の直径は、ロータの直径の約1パーセントよりも大きくてもよい。前述の実施形態のいずれかにおいて、開口の直径は、ロータの直径の約1/2よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態において、開口の直径は、ロータの直径の約1パーセントよりも大きく、ロータの直径の約1/2よりも小さい。
【0042】
前述の実施形態のいずれかにおいて、混合チャンバは、混合すべき物質、解析すべき1以上の試料、および/または反応のための1以上の試薬を含み得る。
【0043】
別の局面において、チップ本体、および、前述の実施形態のいずれかに係るマイクロ流体バルブを1つ以上備えたマイクロチップが、本明細書において提供される。
【0044】
別の局面において、本明細書に開示されるマイクロ流体チップを1以上と、任意でマイクロ流体チップにおける反応を検出するための手段とを備えたシステムが、本明細書において提供される。
【0045】
別の局面において、本明細書に開示されるマイクロ流体チップを1以上、任意で、マイクロ流体チップにおいて反応を実行するための1以上の試薬、および/またはマイクロ流体チップにおける反応を検出するための1以上の試薬を含むキットが、本明細書において提供される。
【0046】
さらに別の局面において、本明細書で開示される方法は、1)前述の実施形態のいずれかに係るマイクロ流体バルブの開口を開放するようにロータを回転させるステップと、2)液体を開口を介して混合チャンバに導入するステップと、3)ロータを回転させて混合チャンバ内の液体を撹拌またはかき混ぜて、たとえば物質を液体の中で混合するステップとを含む。一実施形態において、この方法は、液体を開口を通して混合チャンバから排出するステップをさらに含む。一実施形態において、液体は、遠心力をマイクロ流体バルブに加えることによって排出される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブの縦断面図、たとえば正面から見た図であり、1はベース、2はマイクロカラム、3はロータ、4はスリーブ、5は混合チャンバ、11はマイクロポア、12はマイクロチャネルである。
図2】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブの縦断面図、たとえば正面から見た図であり、1はベース、2はマイクロカラム、3はロータ、4はスリーブ、5は混合チャンバ、6はカバープレート、11はマイクロポア、12はマイクロチャネル、61は操作貫通孔である。
図3】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブの縦断面図、たとえば正面から見た図であり、1はベース、4はスリーブ、6はカバープレート、61は操作貫通孔である。
図4】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブの縦断面図、たとえば正面から見た図であり、1はベース、2はマイクロカラム、3はロータ、4はスリーブ、5は混合チャンバ、11はマイクロポア、12はマイクロチャネル、13は環状溝である。
図5】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのロータおよびマイクロカラムの水平断面図、たとえば、下または上から見た図であり、2はマイクロカラム、3はロータである。
図6】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのロータおよびマイクロカラムの水平断面図、たとえば下または上から見た図であり、2はマイクロカラム、3はロータ、31は案内スリーブである。
図7】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのロータおよびマイクロカラムの水平断面図、たとえば下または上から見た図であり、2はマイクロカラム、3はロータである。
図8】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのマイクロ開口およびマイクロカラムの水平断面図、たとえば下または上から見た図であり、この図はマイクロ開口とマイクロカラムとの相対的な位置を示し、2はマイクロカラム、3はロータ、11はマイクロポアである。
図9】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのマイクロ開口およびマイクロカラムの水平断面図、たとえば下または上から見た図であり、この図はマイクロ開口とマイクロカラムとの相対的な位置を示し、2はマイクロカラム、3はロータ、11はマイクロポアである。
図10】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのマイクロ開口およびマイクロカラムの水平断面図、たとえば下または上から見た図であり、この図はマイクロ開口とマイクロカラムとの相対的な位置を示し、2はマイクロカラム、3はロータ、11はマイクロポアである。
図11】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのマイクロ開口およびマイクロカラムの水平断面図、たとえば下または上から見た図であり、この図はマイクロ開口とマイクロカラムとの相対的な位置を示し、2はマイクロカラム、3はロータ、11はマイクロポアである。
図12】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのロータの界面構造体を示し、3はロータ、32は界面構造体である。
図13】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのロータの界面構造体を示し、3はロータ、32は界面構造体である。
図14】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのロータの界面構造体を示し、3はロータ、32は界面構造体である。
図15】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブのロータの界面構造体を示し、3はロータ、32は界面構造体である。
図16】本開示の一実施形態に係るマイクロ流体バルブの使用例を示し、2はマイクロカラム、5は混合チャンバ、11はマイクロポア、12はマイクロチャネルである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
詳細な説明
以下、クレームされている主題の原理を示す添付の図面とともに、クレームされている主題の1以上の実施形態を詳細に説明する。クレームされている主題は、このような実施形態に関連付けて説明するが、特定の実施形態に限定される訳ではない。クレームされている主題はさまざまな形態で実施し得るものであり数多くの代替形、修正、および均等物を包含することが、理解されねばならない。したがって、本明細書に開示される具体的な詳細は、限定としてではなく、請求項の基礎をなすものとして、かつ、クレームされている主題は適切に詳述された事実上いかなるシステム、構造、または態様でも使用されることを当業者に対して教示するための代表的な基礎をなすものとして、解釈されねばならない。以下の説明では、本開示が十分に理解されるよう、数多くの具体的な詳細事項を記載する。これらの詳細事項は、例示を目的としているのであって、クレームされている主題は、これらの具体的な詳細事項のうちの一部またはすべてがなくても、請求項に従って実施し得る。その他の実施形態を使用することができ、クレームされている主題の範囲から逸脱することなく構造上の変更を加えられることが、理解されねばならない。個々の実施形態のうちの1つ以上に記載されているさまざまな特徴および機能は、その用途がこれらの特徴および機能が記載されている特定の実施形態に限定される訳ではない。これらの特徴および機能は、単独でも組合わせとしても、本開示の他の実施形態のうちの1つ以上に、これらの実施形態が記載されているか否かに関係なく、または、このような特徴が、記載されている一実施形態の一部として示されているか否かに関係なく、適用することができる。明確にするために、クレームされている主題に関連する技術分野において公知の技術的材料は、クレームされている主題を不必要に曖昧にするのを避けるために、説明していない。
【0049】
特に明記しない限り、本明細書で使用する、すべての当該技術用語、表記、ならびにその他の技術および科学用語または専門用語は、クレームされている主題が関連する技術の当業者が通常理解するのと同じ意味を有することを意図している。場合によっては、一般的に理解される意味を有する用語を、明確にするためおよび/または簡単に参照できるようにするために、本明細書で定義することがある。このような定義を本明細書に含めることは、必ずしも、当該技術で一般的に理解されているものとの実質的な違いを示すと解釈される必要はない。本明細書において記載または参照される技術および手順のうちの多くは、当業者が十分に理解し通常従来の方法を用いて使用するものである。
【0050】
本願において参照される、特許文献、科学論文およびデータベースを含むすべての刊行物は、各刊行物が個別に引用により援用されるのと同程度まで、あらゆる目的のために、その全体が引用により援用される。本明細書に記載の定義が、本明細書に引用により援用される特許、特許出願、公開出願またはその他の刊行物に記載されている定義とは異なるまたはそれに矛盾する場合は、本明細書に記載の定義が、引用により援用される定義に優先する。刊行物または文献の引用は、それらのうちのいずれかが関連する先行技術であることを容認することを意図しているのではなく、これらの刊行物または文献の内容または日付について何らかの承認を構成するものでもない。
【0051】
すべての見出しは、読み手の便宜のためであり、そのように明記されない限り、見出しに続く本文の意味を限定するのに使用されるべきではない。
【0052】
本開示全体において、クレームされている主題のさまざまな局面が、範囲の形式で示される。範囲の形式での説明は、便宜と簡潔さのためにすぎず、クレームされている主題の範囲を不変の範囲に限定するものとして解釈されてはならない。したがって、範囲の説明は、考えられる部分的な範囲すべてと、その範囲内の個々の数値とを具体的に開示するとみなされねばならない。たとえば、値の範囲が与えられている場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各値、およびその範囲に含まれるその他の明記されたまたは介在する値が、クレームされている主題に含まれることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、除外された上限/下限が、記載されている範囲にある場合、これらの範囲に独立して含まれてもよく、クレームされている主題にも含まれる。記載されている範囲が上限および下限のうちの一方または双方を含む場合、含まれているこれらの上限および下限のうちのいずれかまたは双方を除外した範囲も、クレームされている主題に含まれる。これは範囲の広さには関係ない。
【0053】
A.定義
本明細書および添付の請求項で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、明らかに文脈がそうでないことを示す場合を除いて、複数のものを含む。たとえば、「a」または「an」は「少なくとも1つ」または「1以上」を意味する。したがって、「a valve(バルブ)」と言う場合は1以上のバルブを指しており、「the method(方法)」と言う場合は本明細書に記載のおよび/または当業者には周知の等価の複数のステップおよび複数の方法を指している。
【0054】
本明細書で使用する、「マイクロ流体装置」という用語は一般的に、材料、特に液体等の流体搬送材料を、いくつかの実施形態ではマイクロスケールで、いくつかの実施形態ではナノスケールで送ることができる装置を指す。よって、ここに開示される主題によって説明されるマイクロ流体装置は、マイクロスケールの特徴、ナノスケールの特徴、およびそれらの組合わせを含み得る。マイクロ流体装置は、マイクロ流体バルブ、マイクロ流体チップ、マイクロ流体システム等を含み得る。
【0055】
したがって、例示的なマイクロ流体装置は、典型的には、μL/分以下のオーダの流量で流体を操作できる、ミリメートルスケール以下のオーダの寸法の構造的特徴または機能的特徴を含む。典型的に、このような特徴は、限定される訳ではないが、流体槽、反応チャンバ、混合チャンバ、および分離領域を含む。いくつかの例において、チャネルは、約0.1μm〜約500μmの範囲に含まれる少なくとも1つの断面寸法を有する。このオーダの寸法を使用することにより、より小さな面積により多くの数のチャネルを含めることができ、より小さな体積の流体を使用することができる。
【0056】
マイクロ流体装置は、単独で存在してもよいし、マイクロ流体システムの一部であってもよい。このマイクロ流体システムは、たとえば、限定される訳ではないが、例として試料、試薬、緩衝剤等の流体をシステムの中におよび/またはシステムを通して導入するためのポンプと、検出機器またはシステムと、データ記憶システムと、装置内での流体の搬送および/または方向を制御し、たとえば温度、電流等の、装置内の流体が晒される環境条件をモニタし制御するための、制御システムとを含み得る。
【0057】
本明細書で使用される、「チャネル」、「マイクロチャネル」、「流体チャネル」、および「マイクロ流体チャネル」という用語は、区別なく使用され、パターニングされた基板から得られたパターンをある材料に与えることによってもしくは任意の適切な材料除去技術によって材料に形成されたリセスもしくはキャビティを意味し得る、または、管、毛細管等の任意の適切な流体案内構造体が中に搭載されこの構造体と組合されたリセスまたはキャビティを意味し得る。本開示において、チャネルサイズは、マイクロ流体チャネルの断面積を意味する。マイクロ流体チャネルは、たとえば気体または液体である流体等の材料がその中を流れることができるマイクロ流体装置内のチャネルを含み得る。マイクロ流体チャネルは、対象材料たとえば溶媒または化学試薬が中を流れることができるチャネルを含み得る。さらに、「制御チャネル」という用語は、たとえば気体または液体である流体等の材料が、バルブまたはポンプを作動させるように中を流れることができる流路を指している。
【0058】
本明細書で使用される「チップ」は、1次元、2次元、または3次元の複数のマイクロ構造体またはマイクロスケール構造体を有する固体基板であって、物理、化学、生物学、生物物理学、または生化学プロセス等の特定のプロセスを実行する対象とすることができる固体基板を指す。チャネルおよびウェル、電極素子、電磁素子等のマイクロ構造体またはマイクロスケール構造体は、チップに対する物理、生物物理学、生物学、生化学、化学反応またはプロセスを容易にするために、基板に組込まれ、基板上に形成され、または基板に装着されている。このチップは、1つの寸法が薄くてもよく、その他の寸法がさまざまな形状、たとえば、矩形、円形、楕円形、またはその他の不規則な形状をなしてもよい。本開示のチップの主面のサイズは、たとえば約1mm〜約0.25mというように大きく異なり得る。好ましくは、チップのサイズは約4mm〜約25cmであり、特徴寸法が約1mm〜約5cmである。チップ表面は平坦であってもなくてもよい。平坦でない表面を有するチップは、この表面に形成されたチャネルまたはウェルを含み得る。
【0059】
本明細書で使用される「試料」は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性試料、非水性試料、またはその任意の組合わせであってもよい。本開示の生物試料は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性試料、または非水性試料の形態の試料を含む。本明細書で使用される「生物試料」は、生体またはウィルス(またはプリオン)ソース、またはその他の巨大分子および生体分子ソースから得られた任意の試料を含み、また、核酸、タンパク質、および/またはその他の巨大分子を得ることができる被験者の任意の細胞型または組織を含む。生物試料は、生物ソースから直接得られた試料であってもよく、または処理された試料であってもよい。たとえば、増幅された孤立核酸は生物試料を構成する。生物試料は、限定される訳ではないが、動物および植物から得られた、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗等の体液、組織および器官試料、ならびにそこから得られた処理後の試料を含む。
【0060】
本開示の局面および実施形態は、「consisting」および/または「consisting essentially of"」局面および実施形態を含むことが理解される。
【0061】
B.マイクロ流体バルブ、チップ、およびシステム
一局面において、本開示のマイクロ流体バルブは、ベースと、スリーブと、回転可能なロータと、マイクロカラムとを備え、たとえばマイクロポアである開口がベースに設けられ、スリーブはベースの上に配置され、回転可能なロータは、ベースの端部の反対側において、スリーブの内部に配置され、回転可能なロータとスリーブとベースとで混合チャンバを形成する。一局面において、マイクロポアは混合チャンバと連通する。別の局面において、マイクロカラムはロータ内に配置されかつ混合チャンバ内に位置し、マイクロポアはマイクロカラムによって閉鎖することができる。
【0062】
ロータを回転させて、たとえばマイクロポアである開口をマイクロカラムで閉鎖することにより、流体通路を遮断することができる。次に、ロータを回転させてマイクロカラムをマイクロポアから移動させると、マイクロポアはマイクロポアを混合チャンバと接続するために開くことができる。このようにして流体通路が開かれる。ロータの回転中、マイクロカラムも、液体を混合および/または撹拌するために、混合チャンバ内で回転することができる。
【0063】
一局面において、本開示は、ロータを回転させることにより、ベースに設けられたたとえばマイクロポアである開口のオン/オフを制御できるだけでなく、混合チャンバ内で液体を混合し撹拌することもできるマイクロ流体バルブを提供する。本開示では、撹拌機能を有することにより、マイクロ流体チップ上に設けられる部品の数を低減して組立てを容易にするマイクロ流体バルブも提供される。本開示はまた、チップ本体と、チップ本体上に配置された、本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかに係るマイクロ流体バルブとを含むマイクロ流体チップも提供する。
【0064】
いくつかの局面において、本明細書では、図1図16のうちのいずれかに示されるバルブが提供される。各図面は、本開示の1以上の局面を示すための一例として提供され、クレームされている主題の範囲を限定するために使用されてはならない。クレームされている主題のその他の特徴、詳細、効用、および利点は、詳細な説明および添付の請求項から明らかになるであろう。
【0065】
一実施形態において、図1に示されるマイクロ流体バルブ等のバルブが開示される。一局面において、このバルブは、ベースと、スリーブと、ロータと、マイクロカラム等のマイクロ構造体とを備える。図1に示されるように、スリーブ4はベース1上に配置することができる。スリーブおよびベースは、一体的に製造されてもよいし、別々の部品として製造されてから同じバルブの中で機能するために接合されてもよい。一局面において、ベースは、1以上のチャネルに接続できるマイクロポア等のマイクロ開口を含む。図1において、マイクロポア11はマイクロチャネル12に接続される。一実施形態において、ロータは、スリーブの内部に配置され、たとえばベースの反対側に位置する。図1において、ロータ3は、スリーブ4の内部で回転可能であり、ベース1の反対側の、スリーブの一端に設けられる。一局面において、ロータとスリーブとベースとがともに混合チャンバを形成する。たとえば、図1において、混合チャンバ5は、ロータ3と、スリーブ4と、ベース1とによって形成されている。一局面において、ベースにおけるマイクロ開口は、マイクロ構造体がマイクロ開口を遮断しておらずバルブが開放構成のときに、混合チャンバと連通することができる。一実施形態において、混合チャンバは液体を含み、ベースにおけるマイクロ開口は、マイクロ構造体がマイクロ開口を遮断しておらずバルブが開放構成のときは、混合チャンバと流体連通することができる。特定の局面において、マイクロ構造体は、ロータ上に直接または間接的に設けることができる、または、スリーブ内でマイクロ構造体がロータの回転によって駆動されるように、ロータに結合することができる。一実施形態において、図1に示されるマイクロカラム2等のマイクロ構造体は、混合チャンバ内で液体を混合することができ、かつ、ベースにおけるマイクロ開口を遮断することもできる。一局面において、マイクロ構造体およびロータは、製造、装置組立て、および/またはアッセイの処理を容易にするために一体的に構成されている。別の局面において、マイクロ構造体およびロータを(成形等によって)別々に製造してから、マイクロ構造体をロータに対して恒久的に装着してもよく、または取外しできる態様でロータに装着してもよい。
【0066】
一局面において、図1に示されるように、ロータ3を起動して、マイクロ構造体2がマイクロ開口11を閉じてマイクロ開口11(およびチャネル12)と混合チャンバ5との間の流体の流れおよび/または流体連通を遮断する位置まで回転させる。別の局面において、ロータ3は、別の位置まで回転し、マイクロ構造体2をマイクロ開口11から移動させて流体が流れるようにするおよび/またはマイクロ開口11(およびチャネル12)と混合チャンバ5との間を流体連通させる。一局面において、ロータ3の回転中、マイクロ構造体2はまた、液体を混合および/または撹拌するために、混合チャンバ5において移動および/または回転する。
【0067】
一局面において、ロータを回転させることにより、ベースに設けられたマイクロ開口を通る流体の流れおよび/または流体連通のオン/オフを制御できるだけでなく、混合チャンバ内で液体を混合および/または撹拌することもできる、マイクロ流体バルブが提供される。したがって、このマイクロ流体バルブは、両機能、すなわち、流路のオンオフと流体の撹拌とを行なうことにより、マイクロ流体チップ内に設けられる部品の数を低減し、チップならびにバルブまたはチップを含むシステムの組立てを容易にする。
【0068】
別の局面において、本明細書に開示されるマイクロ流体バルブは、一定量の液体を運ぶことができる、および/または図5に示されるように混合チャンバ5内で、たとえば試料および試薬、複数の異なる試薬、または複数の異なる試料を、十分に混合する機能を果たすことができる。したがって、一局面において、本明細書に開示されるマイクロ流体バルブは、流体の流れ、試料および/または試薬の混合、反応の開始および/または容易化等を、制御する。一局面において、本明細書に開示されるマイクロ流体バルブを用いて、部品を追加しなくても、複数の機能を同時に果たすことができる。このように、本明細書に開示されるマイクロ流体バルブの機能は多面的である。
【0069】
一局面において、図12図15に示されるように、ロータ3を回転し易くするために、ベースの反対側のロータの表面、たとえばロータの上面に、界面構造体32が設けられる。いくつかの実施形態において、この界面構造体は、突起、溝、またはその組合わせをロータの表面に含む。この界面構造体は、モータ等のロータの駆動手段に直接または間接的に接続されてもよい。一局面において、ロータの上面の界面構造体を介して外力を与えてロータを回転させると、混合チャンバ内の液体を撹拌および/または混合するために、ロータの下面のマイクロ構造体が起動される。
【0070】
この界面構造体は、適切ないかなる形状または大きさであってもよい。特定の実施形態において、界面構造体は、突起、溝、またはその組合わせを含む。たとえば、突起または溝は、図12図15に示されるように、直線状、十字形、T字形、三角形であってもよい。特定の形状および大きさは、ロータと係合するおよび/またはロータを駆動する外部駆動手段またはユニットに応じて、設計および/または調整することができる。たとえば、混合チャンバ5内の液体を混合または撹拌するために、および、マイクロ開口を開閉して液体を流すまたは動かすために、ロータ3を、ねじを用いて手動で回転させてもよく、または、マイクロ流体装置内の制御部によって自動的に回転させてもよい。
【0071】
その他の実施形態において、界面構造体は、ロータを駆動するためにロータにまたはマイクロ流体バルブのその他の部分に設けられる訳ではない。むしろ、ロータは、物理的接触、磁力、または電磁力が不要な外力によって駆動することができる。たとえば、ロータが金属を含む場合は、磁石または金属コイル(コイルの電磁場を生成するために交流が与えられる)によってロータを駆動することができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、本開示のマイクロ流体バルブ、チップ、または装置は、回転シリンダ等の、ロータを駆動するための手段を含む。
【0073】
一実施形態において、スリーブは、スリーブ内においてロータを位置決めおよび/または固定するために、ベースの反対側の端部において、内向きの環状突起を含む。一局面において、この内向きの環状突起は、ロータを、スリーブ内において、その軸に沿って位置決めする。たとえば、図1に示されるように、内向きの環状突起はロータ3と、共通軸を共有する。その他の実施形態において、内向きの環状突起、ロータ3、およびスリーブ4すべてが共通軸を共有する。一局面において、ロータ3および環状位置決め突起が同軸で配置された場合、(ベースの反対側にあるスリーブの端部の中心で)内向きの環状突起によって孔が形成され、この孔は、ロータ3の上面の領域よりも小さい。よって、一局面において、ロータ3の上面の領域が露出し、たとえば上面のこの露出領域上の界面構造体を通してロータ3を回転させることができる。その他の実施形態において、ロータを適所で保持するために環状突起を用いる代わりに、ロータをスリーブの内壁に埋め込んで、ロータが、縦軸上でスリーブに対する相対位置を保ちつつ水平面上のスリーブ内で回転できるようにする。
【0074】
別の局面では、スリーブおよびロータはいずれも、ベースの反対側の端部の表面を有する。一実施形態において、このスリーブの表面とロータの表面とは同一の高さにある。たとえば、図2および図3に示されるように、ベース1の反対側にあるスリーブ4の端面は、ベース1の反対側にあるロータ3の端面と同じレベルである。その他の実施形態において、ベース1の反対側にあるスリーブ4の端面は、ベース1の反対側にあるロータ3の端面よりも高い。
【0075】
その他の実施形態において、マイクロ流体バルブは、スリーブに固定または搭載されたカバープレートをさらに備える。たとえば、軸方向においてスリーブおよびロータを適所で維持するために、カバープレート6および/またはスリーブ4上に構造体が設けられる。図2に示されるように、スリーブ4および/またはロータ3を収容するために、ベース1に面する面上のカバープレート6上に環状溝が設けられる。別の実施形態において、カバープレートは、ロータの上面にアクセスできるようにするために、1以上の操作貫通孔を含む。いくつかの実施形態において、この操作貫通孔は、環状溝に接続している。図2に示されるように、操作貫通孔61はカバープレート6上に設けられてロータ3を露出させ、カバープレートの環状溝に接続される。したがって、一実施形態において、カバープレート6は、鉛直軸に沿ってロータ3およびスリーブを適所で固定する機能を果たす。一局面において、製造および加工に好都合なスリーブは直線状の円筒形である。
【0076】
本開示において、ロータの材料は硬質材料であってもよい。いくつかの実施形態において、ロータは、プラスチック、金属、および複合材料からなる群から選択される材料を含む。別の局面において、ロータは、ゴム、シリカゲル、PDMS(ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン)等の可撓性材料を含む。さらに他の局面において、ロータは、硬質材料と可撓性材料との組合わせを含む。
【0077】
一局面において、ロータ、スリーブ、ベース、およびカバープレートの材料は、混合プロセス中に液体がこぼれるのを減じるために、親水性材料および/または疎水性材料を含み得る。いくつかの実施形態において、これらの材料は、疎水性材料または疎水性になるように表面処理された材料を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、マイクロ流体チップに必要なさまざまな機能の要件を満たすために、カバープレートは、複数の環状溝を含み、環状溝は各々、本開示のマイクロ流体バルブのスリーブを収容するように構成される。同じマイクロチップのカバープレートに接続されている複数のマイクロバルブは、設計が同じであっても異なっていてもよい。図3に示されるように、複数のスリーブ4は各々、対応するロータ3と高さが同一であってもよく、これらのスリーブは同じカバープレート6によって固定される。この構成において、複数のスリーブ4は同じベース1を共有してもよく、この構造は、単純であり製造し易い。各スリーブ4は、対応するロータ3とともに、(複数のマイクロバルブのうちの)同じ混合チャンバ5、または異なる混合チャンバ5を形成し得る。これらの混合チャンバ5は、多様な試料および/または試薬の条件に合うように、異なる形状、異なる容積、異なる材料、異なる内側の表面処理等であってもよい。たとえば、同一のマイクロ流体チップの同一のベース上に異なるマイクロ流体バルブを設けて、これらをさまざまな試薬との反応のためにおよび/またはさまざまな試料または標的分子の検出のために使用してもよい。このように、同一チップ上でマイクロ流体バルブの異なる混合チャンバにおいてさまざまな機能を実現できる。別の実施形態では、スリーブ4が1つだけ設けられてもよく、環状溝はカバープレート6に1つだけ設けられる。
【0079】
任意の数の流路をオン/オフする必要を満たすために、ベースにおけるマイクロ開口とロータに配置されたマイクロ構造体との間で任意の適切な調整モードを使用してもよい。一局面において、1つまたは複数のマイクロカラム2を各ロータ3に対して設けてもよい。図5図7に示されるように、マイクロ構造体、たとえばマイクロカラム2を、アッセイの具体的な必要に合わせてさまざまな配置で構成することができる。本開示のマイクロ流体バルブまたはチップのユーザは、さまざまな配置に応じて流路をオンまたはオフすることができる。
【0080】
一例において、図5に示されるように、ベースに1つのマイクロ開口がありロータに1つのマイクロカラムがある。マイクロカラム2がマイクロ開口を完全に覆わないまたは遮断しない位置までマイクロカラム2を回転させたときに、流体をピペットでマイクロ開口から導入することができる。この構成では、たとえば遠心力がマイクロ流体バルブに働くと、混合チャンバ内の流体の排出も起こり得る。
【0081】
図9図10に示されるように、同一のロータ3の各マイクロカラム2の断面は、大きさ、形状、材料、および/または表面処理が同一であっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、ベースは1以上のマイクロ開口を含み得る。マイクロ開口は、同じまたは異なるマイクロチャネルに接続し得る。マイクロ開口は大きさおよび/または形状が異なっていてもよく、ロータに配置された各マイクロ構造体を、マイクロ開口各々に対応するように設計して、ロータがマイクロ構造体を対応するマイクロ開口の上方まで移動させたときにマイクロ構造体がその対応するマイクロ開口を塞ぐことができるようにしてもよい。いくつかの実施形態において、マイクロ開口の形状および/またはマイクロ構造体の断面は、円形、正方形、矩形、三角形、楕円形、五角形、六角形、八角形、または十角形、または、その他適切な形状であってもよい。いくつかの実施形態において、ロータのマイクロ構造体は、形状または大きさが同じであっても異なっていてもよい。たとえば、マイクロ構造体は、円柱、扇形柱、もしくは矩形柱の形状、またはその他適切な形状であってもよい。いくつかの実施形態において、マイクロ構造体は、混合チャンバ内の液体を効果的に混合および撹拌するために1以上の撹拌ブレードを含む。
【0082】
一実施形態において、マイクロ流体バルブは、ベースに設けられた2つのマイクロ開口と、ロータに設けられた2つのマイクロカラムとを含む。図9に示されるように、2つのマイクロ開口の大きさおよび形状は、同じであっても異なっていてもよい。一局面において、対応する2つのマイクロカラムの大きさおよび形状も、同じであっても異なっていてもよい。一例において、たとえば2つの流体を混合チャンバ内で反応させるために混合するとする。各流体は、マイクロ流体バルブのベースのマイクロ開口を介して混合チャンバに導入することができる。2つの流体各々の性質に応じて、2つのマイクロ開口はサイズおよび/または形状が異なっていてもよい。したがって、2つのマイクロカラムの大きさおよび/または形状も異なっていてもよい。一局面において、2つのマイクロポア11は、2つのマイクロカラム2によって同時にオンまたはオフすることができる。別の局面において、2つのマイクロポアのうちの一方のみを開放または閉鎖することが可能である。一実施形態において、2種類の流体を同時に混合チャンバ5に加えることにより、2つの流体を混合してもよい。別の実施形態において、先ず試料を混合チャンバ5に入れ、次に2種類の流体を、各々ベースのマイクロポアを介して混合チャンバに導入し、これら2つの流体を、たとえば1以上の反応を生じさせるために試料と混合してもよい。2種類の流体は、同時に加えても連続して加えてもよい。結果として、これらの流体は、同時に試料と反応し得る。これに代わるものとしては、最初に一方の流体を加えて試料と反応させ、次に他方の流体をこの反応混合物に加えてさらに反応を生じさせる。試料および/または試薬の反応または混合の終了後、混合物は、たとえば一方のマイクロポアを開き他方のマイクロポアは閉じたままにして、混合チャンバ5から排出し、次に、遠心力をマイクロ流体バルブに加えて液体混合物を混合チャンバ5から排出する。
【0083】
一実施形態において、ベースには2つのマイクロポアがある。たとえば、図10に示されるように、2つのマイクロポアは、ロータの中心と同一線上にあってもよい。一局面において、2つのマイクロポアはベースの反対側に設けられる。一局面において、2つのマイクロポアはベース1において同一線上にあり、この線はロータの3鉛直軸と交差する。別の局面において、2つのマイクロポアは、図11に示されるように配置される。
【0084】
一実施形態において、3つのマイクロカラム、すなわち、第1マイクロカラム、第2マイクロカラム、および第3マイクロカラムがある。一局面において、第1および第3マイクロカラムとベースの中心とは同一線上にある。たとえば、図10に示されるように、第1および第3マイクロカラムは、ロータ3の鉛直軸と交差するベース1上の同じ線上で、同一線上にある。この構成において、第1および第3マイクロカラムは2つのマイクロポアを同時に閉鎖または開放することができるのに対し、第2マイクロカラムは、2つのマイクロポアのうちのいずれか一方を個々に閉鎖または開放することができる。1つ以上の液体を混合チャンバ5に導入するために、3つのマイクロカラムは各々、いずれのマイクロポアからも離れた位置に配置して、どちらのマイクロポアも開いているようにする。次に、同じ試薬および/または試料または異なる試薬および/または試料を、2つのマイクロポアを介して混合チャンバ5に導入することができる。次に、この流体、試料、および/または試薬を混合チャンバ5において混合するために、ロータを回転させて3つのマイクロカラムを移動させる。いくつかの局面において、混合が開始され、および/または混合チャンバ内の1以上の反応を生じ易くする。一局面において、次に、第2マイクロカラムを回転させることにより、2つのマイクロポアのうちの一方を塞ぎ、その一方で、第1および第2マイクロカラムは、他方のマイクロポアから離れた位置にある。このようにして、他方のマイクロポアは開いたままにしておき、混合チャンバ5内の混合物を、たとえば遠心力をマイクロバルブに加えることにより、開いているマイクロポアから排出することができる。
【0085】
一実施形態において、ベース1側のスリーブ4の端部は、ベースと係合している。一局面において、この係合により、ベースに対するスリーブの相対的な位置は固定される。別の局面において、このスリーブの端部はベースに封止係合することにより、液体が混合チャンバから漏れるのを防ぐ。たとえば、スリーブ4のこの端部の先端を、ベースのリセスに埋め込む、固定する、結合する、または挿入することができる。一実施形態において、マイクロ構造体2の、ベース1側の端部は、ベースと係合している。一局面において、この係合により、鉛直方向においてはベースに対するスリーブの相対的な位置が固定されるが、混合チャンバ内の内容物を混合するために、水平面におけるマイクロ構造体の移動は可能である。別の局面において、このマイクロ構造体の端部は、ベースのリセスに挿入されるおよび/または嵌め合い係合する。上記実施形態のいずれにおいても、ベースのリセスは、環状溝、たとえば図4に示される環状溝13を含み得る。一局面において、マイクロ構造体に面するベースの面に環状溝が設けられる。たとえば、環状溝13は、マイクロカラム2がスライドするのと協働することで、混合チャンバ5内でマイクロカラムが移動し易いようにする。一局面において、ロータを回転させると、マイクロカラムは環状溝に沿ってスライドする。一局面において、図4に示されるように、マイクロカラム2は、環状溝13およびスリーブ4に封止状態で嵌め合わされるので、マイクロカラムが環状溝13に沿ってスライドするときに、これはスリーブ4にも適合するまたはこれを封止する。一実施形態において、スリーブ4は、図4に示されるように、スリーブの下端面およびスリーブの側面を介してベース1に接続(たとえば接合)される。これにより、スリーブとベースとの接触面積および接続強度が増すので、混合チャンバ5の封止性能が改善される。別の実施形態において、スリーブ4および/またはマイクロカラム2の一部がベース1に埋め込まれるのではなく、スリーブおよび/またはマイクロカラムはベースの上面と封止状態で接触している。
【0086】
一局面において、混合チャンバ5の封止性能をさらに高めるために、ガスケット(図示せず)がスリーブ4とマイクロカラム2の外壁との間に設けられる。一局面において、ガスケットは弾力性ガスケットである。一局面において、マイクロカラム2の外壁は、ロータ3の外壁と同一の高さにある。弾力性ガスケットおよびスリーブ4の内面は、ホットプレス、接着、レーザ溶接、超音波溶接、ねじ止め、一体成形、または一体射出成形によって固定する等により、相互に装着することができる。一実施形態において、弾力性ガスケットは、スリーブ4とマイクロカラム2との間に、何の処理も施さずに直接挟むこともできる。
【0087】
一実施形態において、図4に示されるように、1以上のマイクロポア11が、スリーブ4とベース1との間、たとえば接触しているスリーブ4の表面とベース1の表面との間に設けられる。一局面において、スリーブとベースとは、マイクロポアを除いて密封を形成するので、液体は、マイクロポアのみを通して混合チャンバに導入するおよび/または混合チャンバから排出することができ、ベースとスリーブとの間の他の界面では導入および/または排出は行なわれない。一局面において、1つのまたは複数のマイクロポアは、スリーブの接続面とベースの接続面との間に配置され、スリーブとマイクロカラムの間で弾力性ガスケットを使用した場合は、弾力性ガスケットを通して、これらの接続面の間に配置される。一局面において、マイクロカラムを、その外壁がマイクロポアを塞ぐ位置まで回転させたときに、マイクロポアをマイクロカラム2の外壁で閉鎖することができる。一局面において、こうすることで、確実に、マイクロカラム2によってマイクロポアを塞ぎ、混合チャンバ5の封止性能を改善する。一実施形態において、図4に示されるように、マイクロポアの開口は、図1図3に示されるようにマイクロカラムの下面に面するのではなく、マイクロカラムの外面に面している。一局面においてマイクロポアは、ベースに面するスリーブの面にある第1リセスと、スリーブに面するベースの面にある第2リセスとの間に形成される。たとえば、図4に示されるように、マイクロポアは、スリーブ4の下面の第1リセスと、ベース1の上面の第2リセスとの間に形成される。一局面において、マイクロカラムの外面は、マイクロポアを塞ぐことができ、マイクロカラムの回転を利用して、マイクロポアの閉鎖と開放を制御することができる。
【0088】
一局面において、ロータは、弾力性ガスケットまたはワッシャー等のガスケットまたはワッシャーによってスリーブの内側に設けることができる。一局面において、弾性ワッシャーを用いてロータ3をスリーブ4に固定することができる。弾性ワッシャーは、シリカゲル、PDMS、またはゴム状材料から作ることができる。いくつかの実施形態において、ガスケットまたはワッシャーは、スリーブ4に直接固定するおよび/または埋め込むことができる。弾性ワッシャーとスリーブ4の内面を、ホットプレス、接着、レーザ溶接、超音波溶接、ねじ止め、成形、または一体射出成形により、相互に接続することができる。いくつかの実施形態において、カバープレートとスリーブを、ホットプレス、接着、レーザ溶接、超音波溶接、ねじ止め、成形、または一体射出成形により、相互に接続することができる。他の実施形態において、スリーブとベースを、ホットプレス、接着、レーザ溶接、超音波溶接、ねじ止め、成形、または一体射出成形により、相互に接続することができる。
【0089】
前述の実施形態のいずれにおいても、マイクロポアは、ロータの反対側にあるマイクロカラムの端面によって閉鎖することができるよう、ベースの厚みに沿う方向に設けてもよい。図1に示されるように、マイクロポアは、ベース1の厚みの方向に沿ってベースに設けられる。ロータ3の反対側にあるマイクロカラム2の端面(すなわち図1に示されるようにマイクロカラム3の下面)により、マイクロポア11の開口を塞いでマイクロポアを閉鎖することができる。一局面において、マイクロカラム2の断面積は、マイクロポア11の開口の断面積よりも大きい。別の局面において、マイクロカラム2とベース1とは、良好な封止を設けて、マイクロバルブがマイクロポアに対して「オフ」モードのときに液体の漏れを防止するために、マイクロポア11の開口の周りにおいて平らで滑らかな界面を形成する。一局面において、マイクロポアを有するベースは製造し易い。
【0090】
一局面において、ロータ3の下面は、マイクロカラム2等の1以上のマイクロ構造体のみを含み得る。このような構成の一例は図5に示される。図5は、ロータ3およびマイクロカラム2の断面図を示す。この構成において、マイクロカラム2は、ロータの外周に沿って設けられている。他の実施形態において、マイクロカラム2は、たとえば図1に示されるように、ロータと外周を共有しないよう、内部に設けられてもよい。他の実施形態において、マイクロ構造体は、混合を改良するために、マイクロカラム(マイクロシリンダー等)、薄い側壁、および/またはブレード構造を含む。一局面において、マイクロ構造体自体は、撹拌および混合の効率を高めるために使用できる薄い壁またはブレードの形態である。
【0091】
一局面において、ロータは、ベースに面するその端部において、案内用突起を含む。たとえば、図6に示されるように、ロータ3は、ベース1側の外周において、案内用突起または突出部の形態の端面を有する案内用円筒または管(または案内スリーブ)31を含む。一局面において、案内用円筒31は回転可能にスリーブ4と係合し、マイクロカラム2は案内用円筒31の内部に設けられる。この例において、混合チャンバ5の内容物は、スリーブ4の内面に直接接触するのではなく、案内用円筒31と接触する。一局面において、この構成により、漏れを防止するためのより良好な封止が得られる。
【0092】
別の局面において、マイクロ開口は開口チャンバを含む。開口チャンバは、任意で、1以上のチャネルと流体接続を形成することができる。たとえば、図1に示されるように、マイクロ開口11は、マイクロチャネル12に接続されている開口チャンバを含む。このため、マイクロ開口11は、マイクロチャネル12を混合チャンバ5に接続する。開口チャンバは、第1部分と第2部分とを含み得る。第1部分は混合チャンバにより近い。いくつかの実施形態において、第1部分(混合チャンバ側の部分)の直径は、第2部分(混合チャンバの反対側の部分)の直径よりも大きい。特定の実施形態において、開口チャンバの第1部分の直径と第2部分の直径との比率は、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:11、約1:12、約1:13、約1:14、約1:15、約1:16、約1:17、約1:18、約1:19、約1:20、約1:21、約1:22、約1:23、約1:24、約1:25、約1:26、約1:27、約1:28、約1:29、または約1:30である。特定の実施形態において、開口チャンバの第1および第2部分の直径比は、約1:1.5と約1:50との間である。そうすると、混合チャンバ側の部分の断面積は、混合チャンバの反対側の部分の断面積よりも小さくなるので、マイクロ開口が開いているときに、偶発的に液体がこぼれるまたは漏れることを、防止するおよび/または減じることができる。混合チャンバからおよび/またはマイクロ開口から液体が偶発的にこぼれるまたは漏れることを防止できる。言い換えると、開口チャンバの第1および第2部分の構成により、混合チャンバからマイクロ開口に、または、マイクロ開口から混合チャンバにこぼれることや漏れることを防止できる。
【0093】
図1図2図4、および図16に示されるように、マイクロチャネル12をマイクロ流体バルブに設け、マイクロ開口11と協働して液体がいずれの方向にも流れるようにしている。いくつかの実施形態において、マイクロチャネル12により、液体を混合チャンバ5に導入し易くなるおよび/または液体を混合チャンバ5から排出し易くなる。マイクロ開口は、たとえば円錐形で先細り形状の穴といったように任意の適切な形状であればよい。いくつかの実施形態において、マイクロ流体バルブは、マイクロチャネルを含まず、開口チャンバだけを含む。その他の実施形態において、マイクロ開口は、その軸に沿って直径が一定である円筒形の孔であってもよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、マイクロ開口の直径とロータの直径との比率は、約1:100よりも大きい。いくつかの実施形態において、マイクロ開口の直径とロータの直径との比率は、約1:2よりも小さい。たとえば、マイクロ開口の直径とロータの直径との比率は、約1:90、約1:80、約1:70、約1:60、約1:50、約1:40、約1:30、約1:20、約1:10、または約1:5であってもよい。いくつかの実施形態において、マイクロ開口の直径とロータの直径との比率は、約1:100と約1:500との間である。
【0095】
いくつかの実施形態において、ロータの直径は、約0.3cmと約3cmとの間である。いくつかの実施径チアにおいて、ロータの直径は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3.0、約4.0、約5.0cm、または約5.0cmよりも大きい。
【0096】
いくつかの実施形態において、マイクロ開口の直径は、約0.003cmと約0.6cmとの間である。いくつかの実施形態において、マイクロ開口の直径は、約0.0005、約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、または約1.0cm、または約1.0cmよりも大きい。
【0097】
前述の実施形態のいずれにおいても、液体を混合チャンバに導入するときも液体を混合チャンバから排出するときも確実に最適な液体の通路が得られるようにするために、また、別の局面では、混合チャンバ内での液体の混合または撹拌中の液体の漏れを防止または低減するために、マイクロ開口は、混合チャンバの大きさに対して適切な大きさを有する。
【0098】
本明細書ではまた、前述の実施形態のいずれかに係るマイクロ流体バルブを1以上備えたマイクロ流体チップが提供される。一局面において、このマイクロ流体チップは、チップ本体と、チップ本体に配置された1以上のマイクロ流体バルブとを備える。一局面において、本明細書に開示されるマイクロ流体バルブを使用することにより、マイクロ流体チップに設置する必要がある部品の数が減じられ、かつこれは組立て易い。一局面において、これらの利点は、前述の実施形態のいずれかに係るマイクロ流体バルブから得られる。
【0099】
一局面において、前述の実施形態のいずれかに係るマイクロ流体バルブおよび/またはチップの使用方法も提供される。一実施形態において、図16に示されるように、マイクロカラム2を動かして、チャンバA、B、またはDに接続されているマイクロ開口(およびマイクロチャネルが使用される場合はマイクロ開口に接続されているマイクロチャネル)を開放または閉鎖するためには、ロータ3を反時計回りまたは時計回り方向に回転させればよい。チャンバA内の液体とチャンバB内の液体とを、個別に、連続的に、または同時に混合チャンバ5に導入することができる。たとえば、ロータは、90度の角度で配置された2つのマイクロカラムを含み得る。マイクロカラムは先ず、チャンバAに接続されているマイクロ開口のみが開放されるように、チャンバBおよびチャンバDに接続されているマイクロ開口を塞ぐ。液体Aが混合チャンバに導入される。次に、ロータを時計回りに90度回転させて、今度はマイクロカラムがチャンバDおよびチャンバAに接続されているマイクロ開口を塞ぐ一方で、チャンバBに接続されているマイクロ開口が開きこれが開いている唯一の開口になるようにする。そうすると、液体Bが混合チャンバに導入される。ロータをさらに時計回りに0度よりも大きく90度未満の角度だけ回転させると、チャンバAおよびチャンバBに接続されているマイクロ開口はいずれも開放され、液体AおよびBを同時に混合チャンバ5に導入できる。
【0100】
2つの液体(たとえば図16に示される液体Aおよび液体B)は、粘性液体、非粘性液体、および/または固体粒子を含む液体試薬であってもよい。混合チャンバ(図16に示されるチャンバ5)に、液体をマイクロ開口から導入する前に、液体試薬/試料および/または固体試薬/試料を予め投入しておいてもよい。たとえば、混合チャンバ5に、液体または固体試薬Cを予め投入しておきまたは埋め込んでおき、次に2つの試薬AおよびBを、マイクロカラム2でかき混ぜることによってCと混合するために混合チャンバ5に導入することにより、溶液内で固体試薬Cを再構成および/またはいくつかの試薬を完全に混合してもよい。適切な条件下で、試薬、試料、または試薬/試料の混合物を、混合チャンバ5内に留めておくことで、1以上の反応を直接チャンバ内で発生させる、および/またはその次に反応を検出および/または解析する。その他の実施形態において、反応は混合チャンバ内で生じ得る。次に、反応混合物のうちの一部またはすべてがチャンバDに移動して次の反応が発生し(たとえば前の反応では存在しなかった異なる試薬との反応)その後検出される。さらに他の実施形態において、試薬および/または試料を反応チャンバ内で単純に混合し、その後、この混合物のうちの一部またはすべてを、1以上の反応および/または検出のためにチャンバDに送る。
【0101】
前述の実施形態のいずれにおいても、本明細書に開示されるマイクロ流体バルブを1以上用いて単一のチップ上に複数の機能を統合することができる。たとえば、単一のチップにおいて、本明細書に開示される撹拌機能を有するマイクロ流体バルブは、試料を装置に供給または与えること、混合、反応、分離、および/または検出を含む、いくつかの機能を、合理化されたプロセスに統合することができる。その結果、時間およびコスト両方が節約される。
【0102】
前述の実施形態のうちいずれにおいても、マイクロ流体バルブまたはチップは、平坦構造であってもよい、たとえば実質的に平坦であるまたは少なくとも1つの平坦面を有する、固体または半固体基板を用いることができる。たとえば、マイクロ流体バルブの基材は、固体または半固体基板であってもよい。適切な基板が、さまざまな材料のうちのいずれか1つまたは材料の組合わせから製造されてもよい。たとえば、ガラス、石英、シリコン、またはポリシリコン等のシリカ系基板、および、その他周知の基板、たとえばガリウムヒ素といった、マイクロ製造分野で一般的な固体基板を用いて平坦基板が製造されることが多い。これらの基板の場合、マイクロ流体装置および基板の製造において、一般的なマイクロ製造技術として、フォトリソグラフィ技術、湿式エッチング、マイクロ機械加工、たとえばドリリング、フライス加工等を簡単に適用することができる。これに代えて、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリカーボネート等のポリマー基板材料を用いて本開示の装置を製造してもよい。このようなポリマー材料の場合、射出成形またはエンボス加工方法を用いて、本明細書に記載のチャネルおよび槽形状を有する基板を形成してもよい。このような場合、元の金型は、上記材料および方法のうちのいずれかを用いて製造してもよい。
【0103】
このマイクロ流体バルブまたはチップのチャネルおよびチャンバを、平坦な基板の1表面に、溝、ウェル、または凹部として形成してもよい。典型的には同一または同様の材料から作られた平坦な第2基板を第1基板の上に載せて接合することにより、装置のチャネルおよび/またはチャンバを画定して封止する。第1基板の上面と、上側の基板の係合する下面とで、装置の内側部分を画定する、すなわち装置のチャネルおよびチャンバを画定する。いくつかの実施形態において、上側の層を反転させて下側の層に接合してもよい。
【0104】
このマイクロ流体バルブまたはチップはまた、当該バルブまたはチップ自体の本体の外側であるが、試料/試薬投入チャネルと流体連通する、試料および/または試薬源を含み得る。いくつかの実施形態において、このシステムはさらに、マイクロチャネルまたはチャンバ(図に示される混合チャンバ5等)の入口および/または出口を含み得る。いくつかの実施形態において、システムはさらに、試料をマイクロチャネルまたはチャンバに導入するための搬送手段を含み得る。いくつかの実施形態において、システムはさらに、液体をマイクロチャネルまたはチャンバに導入するための注入手段を含み得る。ピペット、ポンプ等の液体操作機器を注入手段として用いて液体をマイクロチャネルまたはチャンバに導入してもよい。
【0105】
マイクロ流体バルブまたはチップは、任意の適切な材料を含み得る。一例において、マイクロ流体バルブまたはチップは、シリコン、プラスチック、ガラス、セラミック、ゴム、金属、ポリマー、紙、およびその組合わせからなる群より選択された材料を含む。一局面において、マイクロ流体バルブまたはチップは射出成形される。別の局面において、プラスチックは、ポリカーボネート、メチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン、およびポリプロピレンからなる群より選択される。さらに別の例において、マイクロ流体バルブまたはチップはガラスを含む。一局面において、マイクロ流体バルブまたはチップは、接着、ダイシング/切断、スライシング、陽極接合、超音波溶接、およびその組合わせからなる群より選択された方法によって製造される。
【0106】
一局面において、本開示はある製品に関し、この製品は、a)パッケージング材料と、b)本明細書に開示されるマイクロ流体バルブまたはチップと、任意でc)本製品がアッセイ用であること、たとえば検体をアッセイするためのものであることを表示するためのラベルと、任意でd)たとえばアッセイ用の本製品を使用するための使用説明書とを備える。
【0107】
本開示は、本明細書に開示されるマイクロ流体バルブもしくはチップまたはアッセイ装置を備えたキットを含む。たとえば、病気もしくは疾患(たとえば癌)を診察するもしくはその診察を支援するための、または、病気または疾患をモニタリングするためのキットが含まれる。一実施形態において、このキットは、1以上の検体、たとえばある病気または疾患に関連するバイオマーカーを検出するための1以上の試薬を含む。試薬は、生体試料内のバイオマーカーに対応するポリペプチドまたはポリペプチドをコード化するmRNAを検出することができる標識された化合物または試薬を含み、これは、試料内のポリペプチドまたはmRNAの不在、存在、および/または量を求めるための手段を含む(たとえば、ポリペプチドをコード化するDNAまたはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ、またはポリペプチドに結合する抗体)。バイオマーカーに対応するポリペプチドに結合するための適切な試薬は、抗体、抗体誘導体、抗体破片等を含む。核酸(たとえばゲノムDNA、mRNA,スライスされたmRNA、cDNA等)に結合するための試薬は、相補核酸を含む。一実施形態において、このキットは基準試料を含む。一局面において、基準試料は、試験中の試料から得られた結果を比較するために使用される。キットはまた、緩衝剤、防腐剤、タンパク質安定化剤等の他の成分を含み得る。キットはさらに、検出可能な標識(たとえば酵素または基質)を検出するのに必要な成分を含み得る。
【0108】
このキットの各構成要素は、個々の容器に収容することができ、さまざまな容器すべてを、このキットを用いて実行されたアッセイの結果を解釈するための使用説明書とともに、単一のパッケージに含めることができる。
【0109】
一局面において、本明細書に開示される製品またはキットは、患者の病気または疾患を診断するため、患者が病気または疾患を発現するリスクを評価するため、および/またはたとえば患者に治療を施した後の患者の病気または疾患の予後を評価するために使用される。一局面において、この製品は、病気または疾患を有するまたはその疑いのある患者から取得した試料をアッセイするために使用される。
【0110】
C.マイクロ流体バルブ、チップ、キット、またはシステムの使用
ここに開示されるマイクロ流体バルブ、チップ、キット、またはシステムは、いかなる適切な用途にも使用できる。ここに開示されるマイクロ流体バルブ、チップ、キット、またはシステムは、何らかの適切なアッセイにおいて、アッセイの精度、再現性、および/または感度を改善するために、特に反応量が少ないアッセイのために使用できる。たとえば、マイクロ流体チップは、さまざまな部分(moiety)、たとえば核酸、タンパク質を伴う免疫反応、タンパク質と核酸との相互作用、リガンド−レセプター相互作用、および小分子およびタンパク質または核酸の相互作用等のアッセイに使用できる。
【0111】
ここに開示されるマイクロ流体バルブ、チップ、キット、またはシステムは、検体、たとえば、細胞、細胞小器官、ウィルス、分子およびその集合体または複合体をアッセイするために使用できる。代表的な細胞は、動物細胞、植物細胞、真菌細胞、バクテリア細胞、組換え細胞、および培養細胞を含む。動物、植物、真菌、バクテリア細胞は、動物界、植物界、真菌またはバクテリア界から得ることができる。繊毛上皮、細胞性粘菌、鞭毛室、および微胞子虫の属または亜属から得た細胞も、この方法によってアッセイできる。ニワトリ等の鳥、魚等の脊椎動物、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、牝牛、雄牛、ヒツジ、ヤギ、ウマ、サル、およびその他ヒト以外の霊長目等の哺乳動物、ならびにヒトから得た細胞を、この方法によってアッセイできる。
【0112】
ここに開示されるマイクロ流体バルブ、チップ、キット、またはシステムは、いかなる試料のアッセイにも使用できる。たとえば、この方法を用いて哺乳動物の試料をアッセイできる。代表的な哺乳動物は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、モルモット、ブタ、ネズミ、ヒト、ネコ、サル、イヌ、およびブタを含む。このマイクロ流体チップは、臨床試料のアッセイにも使用できる。代表的な臨床試料は、生検からの、血清、血漿、全血、痰、脳脊髄液、羊水、尿、胃腸内容物、毛髪、唾液、汗、歯茎片、および組織を含む。好ましくは、本マイクロ流体チップは、ヒトの臨床試料のアッセイに使用される。
【0113】
適切な試薬は、ここに開示されるマイクロ流体バルブまたはチップを用いて行なわれるアッセイで使用することができる。このアッセイは、全体または一部のみをマイクロ流体バルブまたはチップ内で行なってもよい。一局面において、本開示で使用される試薬は、特に試料内の検体と結合または相互作用する。代表的な試薬は、細胞、細胞小器官、ウィルス、分子、およびその集合体または複合体を含む。一局面において、試薬は、抗体または核酸である。
【0114】
本マイクロ流体バルブまたは当該バルブを備えたチップは、何らかの適切なアッセイフォーマット、たとえば、直接アッセイフォーマット、サンドイッチアッセイフォーマット、または競合アッセイフォーマットで使用できる。一実施形態では、異なる複数の試薬を用いて1つの検体をアッセイする。別の実施形態では、異なる複数の試薬を用いて異なる複数の検体をアッセイする。さらに別の実施形態では、複数の試薬を反応チャンバの内面に付着させ、たとえば、1以上の試料内の1以上の検体をアッセイするために使用する。
【0115】
本開示のマイクロ流体バルブおよびチップは、さまざまな用途、および、核酸増幅反応、生化学反応、免疫反応などを含むがこれらに限定されない反応に使用することができる。
【0116】
当業者によるこれらの実施形態のさまざまな修正は容易に明らかになるであろう。本明細書において定義された一般原理は、その他の実施形態で実現された場合、本開示の精神または範囲から逸脱することなく実現し得る。よって、本開示は、本明細書に示されるこれらの実施形態に限定されるのではなく、むしろ、一貫した最も広い範囲の中でここに開示されている原理および新規の特徴に従う。
【0117】
以下の実施形態は、本開示のさまざまな側面をさらに説明し明らかにすることを意図しているが、本開示の範囲をいかなる態様、形状、または形態にも、明示的または暗示的に限定することは意図していない。
【0118】
実施形態1:マイクロ流体バルブであって、このバルブが、
マイクロポアを含むベース(1)と、
ベース(1)に配置されたスリーブ(4)と、
スリーブ(4)の内部に配置され、ベース(1)の反対側のスリーブ(4)の端部に位置する回転可能ロータ(3)とを備え、ロータ(3)とスリーブ(4)とベース(1)とで混合チャンバ(5)を形成し、マイクロポアは混合チャンバ(5)と連通することが可能であり、
ロータ(3)に配置され、混合チャンバ(5)内に位置するマイクロカラム(2)を備え、マイクロカラム(2)は、マイクロポアと混合チャンバ(5)との間の連通を遮断または閉鎖することが可能であることを特徴とする。
【0119】
実施形態2:実施形態1のマイクロ流体バルブであって、ロータ(3)は、ベース(1)と反対側の端面において、ロータ(3)を回転させるための界面構造体(32)を含み、界面構造体(32)は任意でロータ(3)を回転させるための突起および/または溝を含むことを特徴とする。
【0120】
実施形態3:実施形態1のマイクロ流体バルブであって、スリーブ(4)は、スリーブの、ベース(1)の反対側の端部において、内向きの環状突起を含み、内向きの環状突起は、スリーブ(4)の内部でのロータ(3)の位置を、スリーブ(4)の軸に沿って固定することを特徴とする。
【0121】
実施形態4:実施形態1のマイクロ流体バルブであって、
スリーブ(4)の、ベース(1)と反対側の端面は、ロータ(3)の、ベース(1)の反対側の端面と同一の高さにあり、またはそれよりも高く、
マイクロ流体バルブはスリーブ(4)に接続されたカバープレート(6)をさらに備え、カバープレート(6)は、そのベース(1)側の端面において、スリーブ(4)の軸に沿ってスリーブ(4)およびロータ(3)の位置を固定する環状溝を含み、
カバープレート(6)はさらに、環状溝に接続された操作貫通孔(61)を含み、操作貫通孔(61)はマイクロ流体バルブの外側に対してロータ(3)を露出させることができることを特徴とする。
【0122】
実施形態5:実施形態4のマイクロ流体バルブであって、マイクロ流体バルブは、複数のスリーブ(4)と、カバープレート(6)の複数の環状溝とを備え、各スリーブ(4)はカバープレート(6)の環状溝に対応することを特徴とする。
【0123】
実施形態6:実施形態1のマイクロ流体バルブであって、
マイクロ流体バルブは2つのマイクロポアを含み、
マイクロ流体バルブは、第1マイクロカラムと第2マイクロカラムと第3マイクロカラムとを含み、
第1マイクロカラムおよび第3マイクロカラムは、ロータ(3)の両側に配置され、2つのマイクロポアを同時に閉鎖または開放できるように構成され、
第2マイクロカラムは、2つのマイクロポアのうちの一方を個別に閉鎖または解放できるように構成されていることをと特徴とする。
【0124】
実施形態7:実施形態1のマイクロ流体バルブであって、
ベース(1)側のスリーブ(4)の端部と、ベース(1)側のマイクロカラム(2)の端部とは、少なくとも部分的にベース(1)に埋め込まれており、
ベース(1)は、そのマイクロカラム(2)側の表面において、マイクロカラム(2)と係合可能な環状溝(13)を含み、ベース(1)側のマイクロカラム(2)の端部は、環状溝(13)の中でスライドできるように構成されており、
弾力性ガスケットがスリーブ(4)とマイクロカラム(2)の外壁との間に設けられ、
マイクロポアは、弾力性ガスケットに設けられ、スリーブ(4)の接続端面とベース(1)の接続端面との間にあり、マイクロカラム(2)の外壁は、マイクロポアを遮断または閉鎖することができるように構成されていることを特徴とする。
【0125】
実施形態8:実施形態1のマイクロ流体バルブであって、
マイクロポアは、ベース(1)の厚みに沿う方向に設けられ、
ロータ(3)の反対側のマイクロカラム(2)の端面は、マイクロポアを遮断または閉鎖することができるように構成されていることを特徴とする。
【0126】
実施形態9:実施形態8のマイクロ流体バルブであって、
ロータ(3)は、ベース(1)側の端面の周囲において、案内スリーブ(31)を含み、案内スリーブ(31)はスリーブ(4)とともに回転し、マイクロカラム(2)は案内スリーブ(31)に設けられることを特徴とする。
【0127】
実施形態10:実施形態1〜9のいずれかのマイクロ流体バルブであって、
マイクロポアはチャンバ(11)とマイクロチャネル(12)とを含み、マイクロチャネル(12)は、チャンバ(11)を通して混合チャンバ(5)と連通するように構成されており、
チャンバ(11)は、混合チャンバ(5)側の第1部分と、混合チャンバ(5)の反対側の第2部分とを含み、
第1部分の直径と第2部分の直径との比率は約1:3と約1:10との間であり、マイクロポアの直径は、ロータ(3)の直径の約1パーセントよりも大きく、ロータ(3)の直径の約1/2よりも小さいことを特徴とする。
【0128】
実施形態11:チップ本体、および、前述の実施形態のうちのいずれかに係るマイクロ流体バルブを1以上、備えることを特徴とする、マイクロ流体チップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16