【課題を解決するための手段】
【0007】
この場合、最初に述べた課題は本発明に従い、補聴器の第1入力変換器によって、周囲の音響信号から第1入力信号を生成し、補聴器の外側の外部入力変換器によって、周囲の音響信号から外部入力信号を生成し、第1入力信号に基づいておよび/または外部入力信号に基づいて、目標信号源に関しての、補聴器に対する外部入力変換器の相対伝達関数を決定し、外部入力信号を相対伝達関数によってろ波し、これによって推定された目標信号を生成し、推定された目標信号に基づいて補聴器内での雑音抑制を行う、補聴器を作動させるための方法によって解決される。有利で、一部はそれ自体発明的である実施形は、従属請求項と以下の記載の対象である。
【0008】
この場合、入力変換器にはそれぞれ特に、例えば少なくとも1個のマイクロホンとしての音響−電気的な変換器が含まれる。この場合、外部入力変換器は補聴器には含まれておらず、この補聴器から空間的に分離され、そして特にハウジング内に配置されている。この場合、外部入力変換器は好ましくは、ハウジングによって画成されたその上位装置、例えば携帯電話内に配置されているかまたは特に付加的な外部ユニット内に配置されている。この外部ユニットは特に補聴器と共に使用するためのものであり、かつそのように形成されているが、耳には装着されない。外部ユニットはさらに、補聴器の規定通りの作動にとっては任意であり、従ってこのような外部ユニットとして補聴器に付設する必要はない。
【0009】
方法を実施するために、外部入力信号が上位装置から補聴器に伝送可能であるので、個々の方法ステップを補聴器内で実施することができる。その代わりに、第1入力信号を外部入力変換器の上位装置に伝送してもよい。それによって、方法の一部が上位装置内で行われ、例えば推定された目標信号がそこでの他の処理のために補聴器に伝送される。
【0010】
この場合、異なる場所で生成した2つの入力信号x
1(n)、x
2(n)の、音響源Sに関する相対伝達関数は、不連続の周波数空間内で、音響源から入力信号のそれぞれの生成場所への両伝達関数H
S1(k)、H
S1(k)の商として定められる。すなわち周波数空間内で、
X
1(k)=H
S1(k)・S(k)
X
2(k)=H
S2(k)・S(k)
X
1(k)=H
21/S(k)・X
2(k)
であり、Sに関する相対伝達関数H
21/S(k)=H
S1(k)/H
S2(k)である。ここで、X
j(k)はX
j(n)に対応する周波数空間内の信号であり、S(k)は源Sから生成された信号(周波数空間内の)を表す。この場合特に、両生成場所の間の音響的な遅延、ひいては周波数空間内で生じる両入力信号の位相差が考慮される。
【0011】
目標信号源に関しての、補聴器に対する外部入力変換器の相対伝達関数によって、外部入力信号をろ波することにより、推定された目標信号(推定目標信号)は、相対伝達関数の申し分のない決定の仮の理想的ケースでは、目標信号源の方向から補聴器に入る音響信号に正確に一致する。適当な手段を介して、相対伝達関数の決定における偏差を、最小限に抑えることができるので、実質的に、推定目標信号は目標信号源から生成された目標信号の信号成分を含む。この情報は雑音抑制のために利用可能である。
【0012】
この場合さらに、外部入力変換器を目標信号源に関して有利なように、例えば装着者のからだの前に配置するために、補聴器の装着者が外部入力変換器の位置を自由に選択可能であることを利用することができる。それによって、一方では拡散背景雑音と比較して、空間的により近くにあるために目標信号のより大きな信号振幅が達成可能であり、他方では目標信号源の方向から離れたところで生成された指向性妨害騒音に逆らって、装着者のからだの遮蔽作用は外部入力信号のSNRを改善するために付加的に貢献する。
【0013】
雑音抑制は特に、推定目標信号と第1入力信号に基づいて生成された推定された雑音信号(推定雑音信号)に基づいて行われる。推定目標信号内に存在する、目標信号の信号成分に関する情報により、生成および場合によっては他の処理に基づいて同様に大きな目標信号成分を有する他の存在信号との適切な比較手段を介して、雑音成分に関する情報を含む推定雑音信号を適切に決定することができる。推定雑音信号に基づく雑音抑制は例えば、スペクトルの雑音出力密度を求めることによって行うことができる。この雑音出力密度に基づいて、補聴器内で第1入力信号を処理するための周波数帯域特有の重み付け係数が決定される。
【0014】
この場合特に、外部入力変換器またはその上位装置が目標信号源に関して有利に位置決めされている結果として、外部入力信号は元々第1入力信号よりも良好なSNRを既に有するという事情を利用することができる。補聴器内で雑音抑制するための普通の方法は話し相手の発言の間の休止のときの雑音成分を決定する。しかし、このようなやり方は、例えば装着者のほぼ背後に位置する話し手の発言で生じるような指向性妨害騒音の場合にもはや不可能である。それによって、雑音抑制は出力信号内に大きなエラーおよび人工物をもたらすことになる。本方法はこの問題を回避する。というのは、補聴器の第1入力変換器と異なり、このような妨害騒音がその非停止性の結果として誤って「有効信号」として解釈されないように、外部入力変換器を配置することができる。
【0015】
その際、目標信号源の目標信号の信号成分を表す推定された目標信号が、第1入力信号からまたは第1入力信号から導き出された第1中間信号から導き出されると有利である。この場合、少なくとも第1入力信号と同じ目標信号成分または少なくとも同じSNRを有するように、第1中間信号が構成されているときわめて有利である。第1入力信号内の有効信号成分が事実上目標信号に由来しているという仮定の下では、第1中間信号から推定目標信号を差し引くと、特に上記の場合推定雑音信号が提供される。この推定雑音信号は一方では第1中間信号の生成時の雑音抑制にとって重要であり、他方では推定目標信号の品質、ひいては相対伝達関数の推定の品質にとって重要である。
【0016】
その際、第1中間信号は特に、周波数帯域特有の雑音抑制を適用することによって第1入力信号から生成することができる。この場合、個々の周波数帯域の減衰率は例えば静的モデルを介しておよび/またはスペクトル出力密度に基づいて求めることができる。この場合、第1中間信号は雑音を抑制した第1信号であり、この雑音を抑制した第1信号から、第1雑音信号を生成するために推定目標信号が差し引かれる。
【0017】
相対伝達関数が外部入力信号に基づいて適応フィルタによって生成させられるときわめて有利である。この適応フィルタには、エラー信号として推定雑音信号が入り、この適応フィルタ内で外部入力信号のろ波が行われるので、有利には適応フィルタの出力信号は推定された目標信号である。この場合、特に第1中間信号としての雑音を抑制した第1信号が小さな雑音成分と特に高いSNRを有することを有利に利用することができる。それにより、適応フィルタによって出力される推定目標信号の減算は第1中間信号内の目標信号の信号成分を十分に除去し、このようにして生成した推定雑音信号によって表される残りの雑音は、相対伝達関数への適応の質にとって重要となる。
【0018】
その際好ましくは、適応フィルタの増分値が外部入力信号および/または第1入力信号に依存して制御される。これは例えば、外部入力信号および/または第1入力信号に基づいて、雑音抑制が最適化される所定の信号の生成の可能性が求められ、そしてこの可能性に依存して増分値が制御されることによって行われる。特に、雑音抑制が最適化されるこのような信号は正面の方向からの目標信号である。
【0019】
補聴器の第2入力変換器によって周囲の音響信号から第2入力信号を生成し、第1入力信号に基づいておよび/または第2入力信号に基づいておよび/または外部入力信号に基づいて、目標信号源に関しての、補聴器に対する外部入力変換器の相対伝達関数を求めると有利である。これにより、外部入力信号は付加的な空間的情報を提供する。この情報は、特に第1入力信号と第2入力信号に基づいて指向性信号を求める際に、特に装着者の前頭面に関しての、指向性信号の指向特性の不所望な対称姓を低減するために用いることができる。
【0020】
この場合、両耳性補聴器の2つの異なるローカル機器内で、第1入力信号と第2入力信号をそれぞれ生成すると有利である。それによって、この両入力信号の一方が装着者の頭の左側で生成され、他方の入力信号が頭の右側で生成される。しかし、この両入力信号を両方とも、装着者の耳に装着したモノラル式補聴器で生成することができる。
【0021】
上記の相対伝達関数を求めることは特に、第1入力信号に基づいておよび第2入力信号に基づいて第1指向性信号を生成し、目標信号源に関しての、補聴器に対する外部入力変換器の相対伝達関数を第1指向性信号と外部入力信号に基づいて求めることによって行われる。この場合、特に指向作用の結果として周波数帯域毎のまたは広帯域の雑音抑制が行われるように、第1指向性信号を生成することができるので、第1指向性信号は雑音を抑制した第1信号の形成、従って第1中間信号の特別な形成を行う。
【0022】
その際、第1指向性信号から推定目標信号を差し引くことによって推定雑音信号を求めると有利である。第1指向性信号を求める際に行われる、特に拡散した妨害騒音の雑音抑制によって、第1指向性信号は既に、使用される両入力信号よりも改善されたSNRを有する。減算は、特に関与する入力信号内に目標信号成分が存在する場合に、第1指向性信号からの推定目標信号成分の偏差から、相対伝達関数の推定の質に関する情報を得ることを可能にする。
【0023】
上記のやり方は特に、相対伝達関数を決定するためにおよび特に外部入力信号から推定目標信号を生成するために、適応フィルタと組合せられる。この場合、第1指向性信号と推定目標信号から推定された雑音信号がエラー信号として適応フィルタに入ると有利である。
【0024】
その際特に、外部入力信号および第1入力信号および/または第2入力信号に基づいて決定される、正面の目標信号源の生成確率に依存して、適応フィルタの増分値を制御することができる。この場合、正面方向からの目標信号の生成確率が高いときに、適応が大きな増分値で行われると有利である。この場合、推定雑音信号が、関与する入力信号内の高い目標信号成分の結果として、適応フィルタの適応の質にとってきわめて重要である。上記の生成確率を決定するための方法は、非特許文献1に記載されている。
【0025】
その際、雑音抑制は一方では、推定雑音信号に基づいて雑音抑制のパラメータが決定され、このパラメータが第1入力信号から導き出された第2中間信号に適用され、この場合雑音抑制した第2中間信号に基づいて出力信号が生成され、この出力信号から、補聴器の出力変換器によって出力音響信号が生成されるように行うことができる。これは特に、推定雑音信号を次のために使用することを意味する。すなわち、外部入力信号の信号成分が出力信号に直接入ることなく、スペクトルの出力密度等の決定に関して、増幅率のような周波数帯域に依存するパラメータあるいは第2中間信号としての指向性信号の場合には指向作用に該当するパラメータを決定するために使用することを意味する。特に、第1中間信号と第2中間信号は互いに同一であってもよいし、また結果としてその信号成分が別々に生じてもよい。この場合特に、第2中間信号は第1指向性信号によって生じることができる。
【0026】
他方では、推定目標信号に基づいておよび第1入力信号に基づいて、第2指向性信号を生成することができ、この場合第2指向性信号に基づいて出力信号が生成され、この出力信号から、補聴器の出力変換器によって出力音響信号が生成される。これは、外部入力信号の信号成分が出力信号に入ることを意味する。この場合、相対伝達関数による外部入力信号のろ波が新たに有利に利用される。これは特に、外部入力変換器に対するまたは第1と第2の入力変換器に対する目標信号の遅延差の結果としての位相差の適合を意味する。補聴器の入力信号と共に外部入力信号に基づいて指向性信号を求めるために、一般的にこの位相差は補聴器に対する外部入力変換器の不正確な位置決めのために、相対伝達関数を介してのこの位相差の「ろ波除去」によって取り除かれる障害である。これは特に、第1と第2の入力信号がそれぞれ異なるローカル機器で生成される両耳性補聴器にとって有利である。というのは、両ローカル機器によって空間内で既に優先平面または優先方向が定められるからであり、この優先平面または優先方向に関して、外部入力信号の信号成分によって生成された指向性信号が方向づけられる。
【0027】
第2指向性信号またはこれから導き出された信号または第2指向性信号を生成するために第1入力信号および/または第2入力信号から導き出された第2中間信号はさらに、雑音抑制を受けることができる。この雑音抑制のパラメータは推定雑音信号に基づいて上述の方法で求められる。推定目標信号が第2指向性信号を求める前にさらに、特に単チャンネルの雑音抑制を受けると有利である。推定目標信号と第2中間信号または雑音抑制された第2中間信号の間の音量の差が、第2指向性信号を求める前に除去されると有利である。この第2中間信号または雑音抑制された第2中間信号は、外部入力変換器が目標信号源により近いことに基づいておよび/または関与する入力変換器の異なる感度に基づいて生成し得る。
【0028】
2番目に述べた課題は本発明に従い、周囲の音響信号から第1入力信号を生成するための少なくとも1つの第1入力変換器を備えた補聴器と、周囲の音響信号から外部入力信号を生成するための外部入力変換器と、上記の方法を実施するように構成されたプロセッサユニットとを具備する補聴器システムによって解決される。方法とその発展形態について記載した効果は、補聴器システムに準用的におよび逆に、同様に適用可能である。
【0029】
その際、補聴器システムは特に、周囲の音響信号から第2入力信号を生成するための第2入力変換器を備えることができる。この第2入力変換器は第1入力変換器と共にローカル機器内に配置されているかあるいは両入力変換器がそれぞれ両耳姓補聴器の異なるローカル機器内に配置され、それによって両入力信号が装着者の頭の異なる側で生成される。外部入力変換器とプロセッサユニットは特に共通のハウジング内に配置可能である。この場合、補聴器とプロセッサユニットの間で包含信号を伝送するための手段がハウジング内に設けられていると有利である。これは好ましくは携帯電話によって達成可能である。伝送するための手段は特にブルートゥース(登録商標)によって提供可能である。
【0030】
次に、図に基づいて本発明の実施の形態を詳しく説明する。