特許第6861241号(P6861241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861241
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】照準器用折り返し中継ばね
(51)【国際特許分類】
   F41G 1/38 20060101AFI20210412BHJP
   G02B 23/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F41G1/38
   G02B23/00
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-112887(P2019-112887)
(22)【出願日】2019年6月18日
(65)【公開番号】特開2020-16430(P2020-16430A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年6月18日
(31)【優先権主張番号】16/045,190
(32)【優先日】2018年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512002367
【氏名又は名称】トリジコン インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TRIJICON,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン シー ザロニー
(72)【発明者】
【氏名】イアン ドーラン
(72)【発明者】
【氏名】ロドニー デラカ
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−191239(JP,A)
【文献】 実開昭63−109896(JP,U)
【文献】 特表2011−524998(JP,A)
【文献】 米国特許第5715607(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0325934(US,A1)
【文献】 米国特許第03161716(US,A)
【文献】 米国特許第03484148(US,A)
【文献】 特開昭56−004109(JP,A)
【文献】 特開平07−243795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G 1/38
G02B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照準器であって、
ハウジングと、
少なくとも1つの光学要素と、メインチューブと、少なくとも1つのトラックを有するトラックチューブと、レチクルアセンブリとを有する中継アセンブリであって、該メインチューブの縦軸に対して実質的に平行である軸に沿って該メインチューブ内の該少なくとも1つの光学要素の軸方向位置を調整するために、該トラックチューブは、該メインチューブの周りを、該メインチューブに対して選択的に回動可能であり、該レチクルアセンブリは少なくとも1つの光学要素を有する、中継アセンブリと、
取付用ストラップ及びばねを含む付勢要素であって、該取付用ストラップは前記ハウジングの内面に固定され、該ばねは前記中継アセンブリと接触する係合面を有し、該付勢要素は、前記中継アセンブリが前記ハウジング内に設置されるときに、前記中継アセンブリに力を及ぼす、付勢要素と、
を備え
前記ばねは、径方向外側と、前記径方向外側と反対の径方向内側と、
を有し、
前記径方向外側は、前記取付用ストラップを向き、
前記係合面は、前記径方向内側にある、照準器。
【請求項2】
少なくとも1つのタレットを有する調整アセンブリを更に備え、前記少なくとも1つのタレットは前記付勢要素と協働して、前記レチクルアセンブリ及び中継アセンブリの位置を調整する、請求項1に記載の照準器。
【請求項3】
前記少なくとも1つのタレットは第1のタレット及び第2のタレットを含み、前記付勢要素によって及ぼされる前記力は、前記第1のタレットによって及ぼされる前記力及び前記第2のタレットによって及ぼされる前記力に対して135度の角度にある、請求項2に記載の照準器。
【請求項4】
前記付勢要素の前記係合面は、前記中継アセンブリと前記第1のタレットとの間の接触
点に対して135度の角度で、かつ前記中継アセンブリと前記第2のタレットとの間の接触点に対して135度の角度で前記中継アセンブリと接触する、請求項3に記載の照準器。
【請求項5】
前記取付用ストラップは、前記取付用ストラップを前記ハウジングの内壁に固定する複数の締結具を収容するための複数の穴を有する弓形プレートである、請求項1に記載の照準器。
【請求項6】
前記ばねが自らの上方にわたって戻るように延在し、前記ハウジングの前記内壁の反対に位置する前記取付用ストラップの内側において前記取付用ストラップに重なるように、前記ばねは前記取付用ストラップの径方向に延在するエッジ面から延在し、折り返される、請求項5に記載の照準器。
【請求項7】
前記中継アセンブリは第1の端部及び第2の端部を含み、前記係合面は前記中継アセンブリの前記第1の端部上で前記レチクルアセンブリと接触する、請求項1に記載の照準器。
【請求項8】
前記中継アセンブリは第1の端部及び第2の端部を含み、前記第1の端部は前記係合面と接触し、前記中継アセンブリは前記第1の端部の反対に位置する前記第2の端部において枢動する、請求項1に記載の照準器。
【請求項9】
調整アセンブリの少なくとも1つのタレットが前記付勢要素と協働して、前記ハウジングに対して前記レチクルアセンブリ及び前記中継アセンブリを枢動させる、請求項8に記載の照準器。
【請求項10】
前記少なくとも1つのタレットは前記ハウジングの縦軸に直交する第1の方向において動く第1の調整ねじを有する第1のタレットであり、前記第1の調整ねじは、前記付勢要素によって及ぼされる前記力に少なくとも部分的に逆らう力を前記中継アセンブリに及ぼす、請求項9に記載の照準器。
【請求項11】
前記少なくとも1つのタレットは、前記ハウジングの前記縦軸に直交し、かつ前記第1の方向に直交する第2の方向において動く第2の調整ねじを有する第2のタレットを含み、前記第2の調整ねじは、前記付勢要素によって及ぼされる前記力に少なくとも部分的に逆らう力を前記中継アセンブリに及ぼす、請求項10に記載の照準器。
【請求項12】
照準器内の中継アセンブリを付勢する付勢要素であって、
取付板と、
前記取付板から延在するばねと、を備え、
前記取付板は前記ばねを前記照準器のハウジングの内面に固定し、
前記ばねは、前記中継アセンブリと接触する係合面を有する遊端を含み、
前記ばねは、前記取付板に隣接した前記ばねの第1の脚部が第1の方向に延在し、前記ばねの第2の脚部が前記第1の方向と反対の第2方向に延在し、前記第2の脚部が前記第1の脚部と重なり、かつ前記ばねの前記遊端が前記取付板に重なるように折り返される、付勢要素。
【請求項13】
前記取付板は前記ハウジングの前記内面の形状に類似している、請求項12に記載の付勢要素。
【請求項14】
前記取付板は弓形である、請求項12に記載の付勢要素。
【請求項15】
前記取付板は、前記取付板を前記ハウジングの前記内面に固定する複数の締結具を収容するための複数の穴を含む、請求項12に記載の付勢要素。
【請求項16】
前記ばねは前記取付板から延在するカンチレバー型の板ばねである、請求項12に記載の付勢要素。
【請求項17】
前記ばねは、前記第1の脚部及び前記第2の脚部を含む伸張ばねであり、前記第1の脚部が、前記ばね内の屈曲部を介して、前記第2の脚部に重なるように折り返される、請求項12に記載の付勢要素。
【請求項18】
前記係合面は前記中継アセンブリの端部に配置されるレチクルアセンブリのレチクルハウジングに当接する、請求項12に記載の付勢要素。
【請求項19】
前記係合面は、前記レチクルアセンブリ及び前記中継アセンブリが前記ハウジング内に設置されるときに、前記レチクルアセンブリに力を及ぼす、請求項18に記載の付勢要素。
【請求項20】
前記係合面は少なくとも1つのタレットを有する調整アセンブリと協働して、前記ハウジング内の前記レチクルアセンブリ及び前記中継アセンブリの位置を調整する、請求項19に記載の付勢要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は照準器に関し、より詳細には、照準器用中継ばねに関する。
【背景技術】
【0002】
本項は、必ずしも従来技術ではない、本開示に関する背景情報を提示する。
【0003】
ユーザーが標的をより明確に視認し、その標的に小火器の照準を定めることができるようにするために、ライフル及び/又は拳銃等の小火器とともに多くの場合に照準器が使用される。ユーザーが小火器の銃身に対して、拡大された標的の位置を合わせることができるようにするために、従来の照準器は像を拡大し、レチクルを与える一連のレンズ及び/又は他の光学構成要素を含む。照準器は、小火器の銃身に対してレチクルの位置を調整できるようにする1つ以上の調整機構を含むことができる。
【0004】
照準器は、ユーザーが照準器の倍率を容易に、かつ正確に調整できるようにする中継アセンブリを更に含むことができる。そのような中継アセンブリは、1つ以上の光学要素(すなわち、レンズ)を支持するメインチューブと、光学要素のうちの少なくとも1つとともに移動するように固定された軸受を摺動可能に収容する1つ以上のトラック又はスロットを有する、いわゆる「トラックチューブ」とを含む。
【発明の概要】
【0005】
本節では、本開示の全体的な概要が提供されるが、本開示の範囲全体又は全ての特徴が包括的に開示されるわけではない。
【0006】
本開示による例示的な照準器は、ハウジングと、中継アセンブリと、付勢要素とを含むことができる。中継アセンブリは少なくとも1つの光学要素と、メインチューブと、少なくとも1つのトラックを有するトラックチューブと、レチクルアセンブリとを更に含む。トラックチューブは、メインチューブの縦軸に対して実質的に平行である軸に沿ってメインチューブ内の少なくとも1つの光学要素の軸方向位置を調整するために、メインチューブの周りを、メインチューブに対して選択的に回動可能である。レチクルアセンブリは、少なくとも1つの光学要素を更に含む。付勢要素は、取付用ストラップ及びばねを含む。取付用ストラップは、ハウジングの内面に固定され、ばねは中継アセンブリと接触する係合面を有する。係合面は、取付用ストラップに面する径方向外側と反対に位置する、ばねの径方向内側にある。付勢要素は、中継アセンブリがハウジング内に設置されるときに、中継アセンブリに力を及ぼす。
【0007】
照準器は、少なくとも1つのタレットを有する調整アセンブリを更に備えることができる。少なくとも1つのタレットは付勢要素と協働して、レチクルアセンブリ及び中継アセンブリの位置を調整することができる。
【0008】
少なくとも1つのタレットは第1のタレット及び第2のタレットを含むことができる。付勢要素によって及ぼされる力は、第1のタレットによって及ぼされる力及び第2のタレットによって及ぼされる力に対して135度の角度にあってもよい。
【0009】
付勢要素の係合面は、中継アセンブリと第1のタレットとの間の接触点に対して135度の角度で、かつ中継アセンブリと第2のタレットとの間の接触点に対して135度の角度で中継アセンブリと接触することができる。
【0010】
取付用ストラップは、取付用部品をハウジングの内壁に固定する複数の締結具を収容するための複数の穴を有する弓形プレートであってもよい。
【0011】
ばねが自らの上方にわたって戻るように延在し、ハウジングの内壁の反対に位置する取付用ストラップの内側において取付用ストラップに重なるように、ばねは取付用ストラップの径方向に延在するエッジ面から延在し、折り返すことができる。
【0012】
中継アセンブリは第1の端部及び第2の端部を含むことができる。係合面は中継アセンブリの第1の端部上でレチクルアセンブリと接触することができる。
【0013】
中継アセンブリは第1の端部及び第2の端部を含むことができる。第1の端部は係合面と接触し、中継アセンブリは第1の端部の反対に位置する第2の端部において枢動することができる。
【0014】
調整アセンブリの少なくとも1つのタレットが付勢要素と協働して、ハウジングに対してレチクルアセンブリ及び中継アセンブリを枢動することができる。
【0015】
少なくとも1つのタレットはハウジングの縦軸に直交する第1の方向において動く第1の調整ねじを有する第1のタレットであってもよい。第1の調整ねじは、付勢要素によって及ぼされる力に少なくとも部分的に逆らう力をレチクルアセンブリに及ぼすことができる。
【0016】
少なくとも1つのタレットは、ハウジングの縦軸に直交し、かつ第1の方向に直交する第2の方向において動く第2の調整ねじを有する第2のタレットを含むことができる。第2の調整ねじは、付勢要素によって及ぼされる力に少なくとも部分的に逆らう力をレチクルアセンブリに及ぼすことができる。
【0017】
本発明による照準器の中継アセンブリ用の例示的な付勢要素は、取付板と、取付板から延在するばねとを含むことができる。取付板は、ばねを照準器のハウジングの内面に固定することができる。ばねは、中継アセンブリと接触する係合面を有する遊端を含むことができる。ばねは、ばねの遊端が取付板に重なるように折り返すことができる。
【0018】
取付板はハウジングの内面の形状に類似することができる。
【0019】
取付板は弓形であってもよい。
【0020】
取付板は、取付板をハウジングの内面に固定する複数の締結具を収容するための複数の穴を含むことができる。
【0021】
ばねは取付板から延在するカンチレバー型の板ばねであってもよい。
【0022】
ばねは、第1の脚部及び第2の脚部を含む伸張ばねであり、第1の脚部が、ばね内の屈曲部を介して、第2の脚部に重なるように折り返すことができる。
【0023】
係合面は中継アセンブリの端部に配置されるレチクルアセンブリのレチクルハウジングに当接することができる。
【0024】
係合面は、レチクルアセンブリ及び中継アセンブリがハウジング内に設置されるときに、レチクルアセンブリに力を及ぼすことができる。
【0025】
係合面は少なくとも1つのタレットを有する調整アセンブリと協働して、ハウジング内のレチクルアセンブリ及び中継アセンブリの位置を調整することができる。
【0026】
更なる適用分野は本明細書に提示される記載から明らかとなるであろう。本概要における記載及び特定の例は、例示目的のためだけに意図されており、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0027】
本明細書に記載されている図面は、選択された実施形態の例示のみを目的としており、可能な実施態様の全てではなく、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の原理による照準器を組み込む小火器の斜視図である。
図2図1の線2−2に沿って見た図1の照準器の断面図である。
図3図1の線3−3に沿って見た図1の照準器の断面図である。
図4図1の線4−4に沿って見た図1の照準器の断面図である。
図5図1のハウジング及び中継アセンブリの組立分解図である。
図6図1の中継アセンブリの斜視図である。
図7図6の線7−7に沿って見た中継アセンブリの断面図である。
図8A図6の中継アセンブリの付勢要素の異なる斜視図である。
図8B図6の中継アセンブリの付勢要素の異なる斜視図である。
【0029】
図面のいくつかの図を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0031】
例示的な実施形態は、本開示が完全なものとなるように、かつその範囲を当業者に十分に伝えるように提示される。特定の構成部材、装置及び方法の例のような多くの特定の詳細は、本開示の実施形態の完全な理解を与えるために記載される。特定の詳細を用いる必要はないこと、例示的な実施形態を多くの異なる形態で具現することができること、及び本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではないことが、当業者には明らかであろう。幾つかの例示的な実施形態では、既知のプロセス、既知の装置構造、及び既知の技術は詳細には説明しない。
【0032】
本明細書において用いられている術語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図しない。本明細書において用いられる場合、単数形である"a"、"an"及び"the"は、文脈がそうではないことをはっきりと示していない限り複数形も含むことを意図することができる。「備える("comprises", "comprising")」、「含む("including")」及び「有する("having")」は包括的であり、したがって、述べられている特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は構成部材の存在を明示しており、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成部材及び/又はその群の存在又は追加を排除するものではない。本明細書に記載の方法ステップ、プロセス及び動作は、実施順序として具体的に明記されていない限り、説明又は例示されている特定の順序でのそれらの実施を必ずしも必要とするものと解釈すべきではない。付加的又は代替的なステップを用いることができることも理解すべきである。
【0033】
或る要素又は層が別の要素又は層「の上にある(on:に接している)」、「に係合」、「に接続」又は「に連結」されるものと言及されている場合、或る要素又は層は他の要素又は層の直接上にあるか、直接係合、直接接続若しくは直接連結されることができるか、又は間に介在する要素若しくは層が存在する場合がある。逆に、或る要素が別の要素又は
層「の直接上に」、「に直接係合」、「に直接接続」又は「に直接連結」されるものと言及されている場合、間に介在する要素又は層が存在する場合はない。要素間の関係を説明するのに用いられている他の語も同様に(例えば、「間に」対「直接間に」、「隣接した」対「直接隣接した」等)解釈すべきである。本明細書において用いられる場合、用語「及び/又は」は関連の列挙されたもののうちの1つ以上のいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0034】
種々の要素、構成部材、領域、層及び/又はセクションを説明するのに第1の、第2の、第3の等の用語を本明細書において用いることができるが、これらの要素、構成部材、領域、層及び/又はセクションはこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、或る要素、構成部材、領域、層又はセクションを別の領域、層又はセクションと区別するためだけに用いることができる。本明細書において用いられる場合の「第1の」、「第2の」及び他の数詞的な用語等の用語は、文脈によってはっきりと示されていない限り、或るシーケンスすなわち順序を示唆するものではない。したがって、以下に説明する第1の要素、構成部材、領域、層又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく第2の要素、構成部材、領域、層又はセクションと呼ぶことができるであろう。
【0035】
「内」、「外」、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」等のような、空間的に相対的な用語は、図面に示されているように、或る要素又は特徴部の、別の要素(複数の場合もある)又は特徴部(複数の場合もある)に対する関係を説明するために、記載しやすくするために本明細書において用いることができる。空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加え、使用時又は動作時の装置の異なる向きを含むことを意図することができる。例えば、図面の装置を逆さにした場合、他の要素又は特徴部の「下方」又は「下」として記載されている要素は、他の要素又は特徴部の「上方」の向きになる。したがって、「下方」という例示的な用語は上方及び下方の向きの双方を含むことができる。装置は別様の向きにある(90度又は他の向きで回転されている)こともでき、本明細書において用いる空間的に相対的な記述はそれに従って解釈することができる。
【0036】
図1図3を参照すると、照準器10が提供され、ハウジング14と、光学要素列(optics train)18と、調整システム22と、中継アセンブリ26とを含むことができる。ハウジング14は、小火器30に取外し可能に取り付けられ、光学要素列18及び調整システム22を支持する。光学要素列18はハウジング14と協働して、標的の拡大像を与え、一方、調整システム22は、ハウジング14に対して光学要素列18及び中継アセンブリ26の少なくとも一部を位置決めし、光学要素列18及び中継アセンブリ26に関連付けられるレチクルパターン(図示せず)を小火器30に対して適切に位置合わせする。発光ダイオード(LED、図示せず)又は他の照明システムが光学要素列18と協働して、レチクルパターンを照明し、ユーザーが標的を照準器10及び小火器30に対して位置合わせするのを支援することができる。
【0037】
ハウジング14は小火器30に取外し可能に固定することができ、本体34と、アイピース38と、アイピース38を本体34に固定する取付カラー42とを含む。本体34は全体として筒状の部材とすることができ、内部空洞46と、ハウジング14の第1の端部54と第2の端部58との間に延在する縦軸50と、ハウジング14を、本体34を介して小火器30に取り付けるためにマウント64(図5)と協働する取付部分62とを含む。
【0038】
図2に示されるように、第1の端部54は一連のねじ山66を含み、一連のねじ山は取付カラー42のねじ山70と協働して、第1の端部54において取付カラー42を本体34に固定する。第1の端部54は一連のねじ山74を更に含み、ねじ山74は、本体34
の内部空洞46の反対に位置するように、第1の端部において、本体34の、ねじ山66とは反対側に形成される。第2の端部58は、本体34の、第1の端部54とは反対側に配置され、一連の雌ねじ78を有する開口部76を含む。雌ねじ78は光学要素列18の一部と協働して、光学要素列18を本体34内に保持する。
【0039】
取付部分62は縦軸50に沿って配置され、全体として第1の端部54と第2の端部58との間に位置する。取付部分62は一連のねじ穴82(図2)を含むことができ、一連のねじ穴はマウント64(図5)と協働して、ハウジング14の取付部分62において、照準器10を小火器30に取り付けられるようにする。例えば、ねじ穴82は締結具84を収容することができ、締結具はマウント64内の穴を貫通し、取付部分62をマウント64に固定する。他の実施形態では、ねじ穴82は小火器30に関連付けられる取付機構86(図1)と直接協働し、ハウジング14の取付部分62において、照準器10を小火器30に取り付けられるようにする。
【0040】
アイピース38は、上記のように、取付カラー42を介して、第1の端部54において本体34に取り付けられる。アイピース38は、一連の雄ねじ94及び一連の雌ねじ56を有するハウジング90を含む。雄ねじ94は取付カラー42の雌ねじ98と係合し、本体34に対してアイピース38を調整できるようにする。
【0041】
アイピース38は取付カラー42によって本体34の第1の端部54に対して位置決めされ、アイピース38が、本体34に対して光学要素列18の一部を所定の距離において支持できるようにする。すなわち、図2及び図3に示されるように、光学要素列18の一部が、取付カラー42によって、縦軸50に沿って中継アセンブリ26から所定の距離に位置決めされる。
【0042】
図2図4を特に参照すると、光学要素列18は、接眼レンズアセンブリ102と、ズームアセンブリ106と、レチクルアセンブリ110と、対物レンズアセンブリ114とを含むものとして示される。接眼レンズアセンブリ102は一連のレンズ118を含むことができる。接眼レンズアセンブリ102は、1つ以上の保持カラー122によって、ハウジング14の本体34に対してアイピース38によって支持することができる。1つの構成では、保持カラー122はアイピース38の雌ねじ56に螺合し、接眼レンズアセンブリ102のレンズ118をアイピース38内に保持し、位置決めする。
【0043】
ズームアセンブリ106は、中継アセンブリ26によって照準器10のハウジング14内に支持され、第1の中継レンズアセンブリ126と、第2の中継レンズアセンブリ130と、第3の中継レンズアセンブリ134と、1つ以上の固定レンズ136とを含むことができる。第1の中継レンズアセンブリ126、第2の中継レンズアセンブリ130及び第3の中継レンズアセンブリ134はそれぞれレンズ(又は一連のレンズ)132を含むことができ、レンズは互いに、かつ固定レンズ136と協働して、開口部76においてハウジング14によって取り込まれる像の倍率を調整する。
【0044】
レチクルアセンブリ110は、レチクル−レンズハウジング142によって支持される1つ以上のレチクルレンズ138を含むことができる。レチクル−レンズハウジング142は、中継アセンブリ26に取り付けられ、中継アセンブリ26によって、本体34の内部空洞46内に支持される。したがって、中継アセンブリ26がハウジング14の内部空洞46内で、内部空洞46に対して動かされるとき、レンズ138も同じく内部空洞46内で、内部空洞46に対して動かされる。レンズ138は、その上に刻まれたレチクルパターンを含むので、ハウジング14の内部空洞46内で、内部空洞46に対してレチクル−レンズハウジング142及びレンズ138が動くと、レチクルパターンの位置も同じく、ハウジング14内で、ハウジング14に対して調整される。さらに、ハウジング14は
、本体34の取付部分62を介して、かつ小火器30のマウント64及び/又は取付機構86を介して、小火器30に固定されるので、ハウジング14に対してレチクルパターンを調整することにより、小火器30に対するレチクルパターンの位置も同じく調整される。
【0045】
対物レンズアセンブリ114は、ハウジング14の第2の端部58に近接して配置することができ、一連の対物レンズ146を含むことができる。対物レンズ146は、少なくとも1つの保持カラー150を介して、ハウジング14内に保持及び支持することができる。1つの構成において、保持カラー(複数の場合もある)150は開口部76の雌ねじ78に螺合し、ハウジング14の縦軸50に沿って所望の場所に対物レンズ146を位置決めし、保持する。
【0046】
光学要素列18の上記の説明は、光学構成要素の例示的な構成を示すために与えられる。本開示の原理は、上記の特定の構成要素及び/又は構成要素の配列を含む、光学要素列を有する照準器への適用例には限定されない。照準器10は、所与の適用例に適合する光学構成要素の任意の他の構成又は配列を含むことができ、照準器10に実質的に任意の倍率を与えることができる。
【0047】
引き続き図2図4を参照すると、第1及び第2のアジャスターアセンブリ又はタレット154、158を含む調整システム22が示される。1つの構成において、調整タレット154は、ハウジング14に対して位置決めされ、ハウジング14によって支持され、それにより、調整タレット154は、図2に示されるように、縦軸50に対して実質的に垂直な方向に、かつ方向(X)にレチクル−レンズハウジング142、それゆえ、レンズ138の位置を調整できるようにする。レンズ138を方向(X)に動かすことは、同じくレチクルパターンも方向(X)に動かすことになり、それにより、小火器30に対してレチクルパターンの位置が調整される。方向(X)においてレチクルパターンの位置を調整することは、小火器30の上面162に対して近接離反する方向においてレチクルパターンの位置を、それゆえ、レチクルパターンの仰角位置を調整し、異なる距離の標的に向かって発砲するときに、ユーザーが仰角を考慮できるようにする。
【0048】
調整タレット158は、縦軸50に対して実質的に垂直に位置決めされるが、調整タレット154に対して縦軸50の周りを90度だけ回動する。調整タレット158も同様に、調整タレット154と同じようにして、ハウジング142に対するレチクル−レンズハウジング142及び関連するレンズ138の位置を調整することができる。しかしながら、調整タレット158は、方向(Y、図3)においてレンズ138の位置を調整し、それにより、方向(X)に対して実質的に90度の方向においてレンズ138を動かす。レンズ138を方向(Y)に動かすことによって、レチクルパターンも同じく方向(Y)に、かつ小火器30の上面162に対して実質的に平行に動く。したがって、調整タレット158によって、ユーザーは、照準器10及び小火器30を使用するときに偏流を考慮できるようになる。
【0049】
調整タレット154、158は実質的に同一である。したがって、調整タレット154に関する説明のみが与えられる。
【0050】
調整タレット154は、カバー166と、本体170と、調整ねじ174とを含む。カバー166はアジャスターねじ174に固定される。したがって、カバー166が本体170に対して回動するとき、調整ねじ174も同じく本体170に対して動く。本体170に対してカバー166が回動する方向に応じて、調整ねじ174は、方向(X)に沿って、レチクル−レンズハウジング142に対して近接又は離反するように動く。本体170はハウジング14に対してカバー166を回動可能に支持し、ハウジング14に対して
方向(X)に動くように調整ねじ174も支持する。
【0051】
本体170は一連のねじ山178を含み、一連のねじ山は本体34のねじ穴182と螺合する。本体170のねじ山178とハウジング14のねじ穴182との係合によって、本体170がハウジング14に取り付けられる。さらに、本体34に対して本体170を位置決めすることによって、調整ねじ174がハウジング14の内部空洞46の中に延在できるようになり、それにより、調整ねじ174がレチクル−レンズハウジング142と接触できるようになる。後に更に詳細に説明されるように、レチクル−レンズハウジング142は、中継アセンブリ26によって、調整ねじ174と係合するように付勢される。
【0052】
照準器10はレチクルの輝度を設定する輝度制御アセンブリ186を更に含むことができる。ハウジング14に固定される輝度制御ハウジング又は輝度制御ノブ194の内部空洞190内に輝度制御ノブボードアセンブリ188を配置することができる。輝度エレクトロニクスカバー198が輝度制御ノブ194の内部空洞190を封止することができ、輝度制御ノブボードアセンブリ186にアクセスできるようにする。輝度エレクトロニクスカバー198は、輝度制御ノブ194の環状面202と(例えば、ねじ山又は別の方法によって)係合することができ、内部空洞190を画定する。輝度制御ノブボードアセンブリ186は、ケーブル206(図2)によってレチクルアセンブリ110に電気的に接続することができる。
【0053】
さらに、レチクルアセンブリ110、又は光学要素列18の任意の他の部分に電力を供給する電池(図示せず)を、ハウジング14に固定される電池ハウジング210の内部空洞(図示せず)内に配置することができる。電池キャップ212が電池ハウジング210を封止することができ、電池にアクセスできるようにする。電池キャップ212は、電池ハウジング194の環状面と(例えば、ねじ山又は別の方法によって)係合することができ、内部空洞を画定する。電池は、ケーブル及び/又はコンタクトサブアセンブリによって、レチクルアセンブリ110、又は光学要素列18の他の部分に電気的に接続され、電力を供給することができる。
【0054】
図5図8Bを特に参照すると、中継アセンブリ26が図示されており、メインチューブ214と、トラックチューブ218と、エンドキャップ222と、付勢要素230とを含む。メインチューブ214は、図2及び図3に示されるように、縦軸50に実質的に平行な方向に動かすために、その中に第1の中継レンズアセンブリ126、第2の中継レンズアセンブリ130及び第3の中継レンズアセンブリ134を摺動可能に支持する。メインチューブ214は更に、内部空洞46内にトラックチューブ218を回動可能に支持し、トラックチューブ218が縦軸50の周りで、メインチューブ214に対して回動できるようにする。
【0055】
メインチューブ214は、第1の端部234と、第2の端部238と、第1の端部234と第2の端部238との間に延在する内部空洞242と、スロット246とを含む。第1の端部234は係合面250を含み、第2の端部238は、メインチューブ214の、第1の端部234とは反対端に配置され、係合面254を含む。スロット246がメインチューブ214の外面258から内部空洞242の中に延在するように、スロット246はメインチューブ214を貫通して形成される。スロット246は全体として第1の端部234と第2の端部238との間に延在し、縦軸50に対して実質的に平行である。
【0056】
トラックチューブ218がメインチューブ214上に設置されるときに、トラックチューブ218の内面262がメインチューブ214の外面258に向かい合うように、トラックチューブ218はメインチューブ214によって摺動可能に、かつ回動可能に収容される。トラックチューブ218は、第1の端部266と、第2の端部270と、第1のス
ロット274と、第2のスロット278と、第3のスロット282とを含む。第1の端部266は、係合面290及び穴294を有するカラー286を含む。第2の端部270は、トラックチューブ218の、第1の端部266とは反対の端部に配置される。
【0057】
第1のスロット274、第2のスロット278及び第3のスロット282はそれぞれ、縦軸50に対して或る角度に形成される。例えば、図6に示されるように、第1のスロット274は角度(φ)に形成することができ、一方、第2のスロット278は角度(β)に形成され、第3のスロット282は角度(α)に形成される。角度(φ、β、α)はそれぞれ、図6に最もわかりやすく示されるように、スロット274、278、282が互いに同じ方向に角度を付けられるように鋭角である。角度(φ、β、α)は、後に更に詳細に説明されるように、中継レンズアセンブリ126、130、134を異なる程度に調整できるようにするために、異なる鋭角とすることができる。スロット274、278、282は、トラックチューブ218を貫通して内面262と外面296との間に延在する。
【0058】
エンドキャップ222は、球状外面298と、エンドキャップ222を貫通して延在する穴(図示せず)とを含む。穴はエンドキャップ222の周りに間隔を置いて配置される。それらの穴は、メインチューブ214のそれぞれの取付穴において、エンドキャップ222をメインチューブ214に取り付ける締結具を収容する。
【0059】
エンドキャップ222は、ハウジング14の本体34内に配置されるカラー310内に形成されるソケット又はシート306と係合している。ソケット又はシート306はハウジング14に固定することができるか、ハウジング14の中に機械加工することができ、内部空洞46内に配置される。エンドキャップ222の球状外面298は、中継アセンブリ26が内部空洞46内に設置されるときに、ハウジング14のソケット306と係合している。エンドキャップ222は内部空洞46内に保持され、保持器314(図2及び図7)によって、ソケット306と接触した状態に保たれる。保持器314は係合面318を含み、係合面はカラー310のソケット306と協働して、エンドキャップ222のための座面を与える。
【0060】
エンドキャップ222がカラー310のソケット306と、かつ保持器314の係合面318と接触しているとき、エンドキャップ222は、ハウジング14内でソケット306の周りを回動できるようになる。エンドキャップ222がハウジング14内で、ハウジング14に対して回動することによって、同じく、メインチューブ214、それゆえ、トラックチューブ218が、ハウジング14の内部空洞46内で、内部空洞46に対してエンドキャップ222の周りを枢動する。エンドキャップ222が、締結具を介して、メインチューブ214とともに動くように固定され、トラックチューブ218がメインチューブ214に取り付けられ、全体としてエンドキャップ222とレチクルレンズアセンブリ270との間に延在するので、メインチューブ214及びトラックチューブ218はエンドキャップ222とともに枢動する。それゆえ、メインチューブ214の第2の端部238付近に力が加えられるとき、エンドキャップ222の球状外面298がソケット306によって方向付けられ、ソケット306と接触しているので、メインチューブ214及びトラックチューブ218がハウジング14に対して動き、エンドキャップ222の周りを枢動する。
【0061】
保持器314はねじ切り部分322を含み、ねじ切り部分322がねじ山74と係合するとき、係合面318がエンドキャップ222の球状外面298と接触するまで、ねじ切り部分322を本体34の第1の端部54に螺入することができる。すなわち、ソケット306内で、ソケット306に対して球状外面298が動かないように望ましい程度の抵抗力を与えるために、球状外面298においてエンドキャップ222に所望の力が加えら
れるまで、保持器314を第1の端部54に挿入することができる。カラー310のソケット306に対して保持器314が所望の位置に到達し、エンドキャップ222がソケット306内に位置決めされると、例えば、ロックタイト(登録商標)、別の適切な接着剤、又は別の適切な固定方法を用いて、ハウジングに対する保持器314の位置を固定することができる。
【0062】
レチクルレンズアセンブリ110のレチクルレンズハウジング142は、トラックチューブ218の穴(図示せず)によって収容される締結具326によってトラックチューブ218の第2の端部270に固定される。レチクルレンズハウジング142及びエンドキャップ222の組み合わせが、メインチューブ214に沿ってトラックチューブ218を位置決めする。
【0063】
付勢要素230は、取付用ストラップ330と、係合面338を有するV字形ばね334とを含むことができる。ばね334は、取付用ストラップ330から軸方向に延在し、取付用ストラップ330は、ばね334を、ハウジング14の本体34の内壁342に取り付ける。取付用ストラップ330は、取付用ストラップ330を内壁342に固定する締結具350を収容するための複数の穴又は貫通孔346を有する弓形プレートとすることができる。取付用ストラップ330は、内壁342の表面の湾曲形状に一致するような弓形とすることができる。締結具350は穴346に挿入することができ、その後、内壁342内に形成されるそれぞれの穴354の中に挿入することができる。内壁342内の穴354は、一連のねじ山358を含むことができ、それらのねじ山が締結具350を収容し、締結具350と螺合する。付勢要素230が内壁342に取り付けられると、付勢要素230はハウジング14の本体34に対して固定される。
【0064】
ばね334は板ばねとすることができ、ばね334が自らの上方にわたって戻るように延在し(すなわち、ばね334の第1の脚部360が、ばね334内の屈曲部368を介して、ばねの第2の脚部364の上方にわたって折り返し)、内壁342の反対に位置する取付用ストラップ330の内側366において取付用ストラップ330に重なるように、ばね334は取付用ストラップ330の径方向に延在するエッジ面362から延在し、折り返されるか、又は曲げられる。ばね334は、単一の端部において取付用ストラップ330に取り付けられるだけであるので、ばね334は、カンチレバー構造を与える。ばね334の折り返し形状は伸張ばね構造(expansion spring structure)を与え、径方向外向きの付勢力がレチクルレンズハウジング142に及ぼされるように、ばね334の自由高さは、ばねがはめ込まれる間隙より大きい。係合面338は、ばね334の遊端370上に、かつ取付用ストラップ330に面する径方向外側378の反対に位置するばね334の径方向内側374上に位置する。
【0065】
ばね334は折り返し、ハウジング14の内壁342から離れていき、係合面338が、内部空洞46内でレチクルアセンブリ110のレチクルレンズハウジング142の外面382と当接できるようにする。係合面338は、レチクルレンズハウジング142の遊端386付近の場所においてレチクルレンズハウジング142の外面382と当接し、調整タレット154、158から円周方向に離間し、付勢要素230が、調整タレット154、158のそれぞれに同時に力を及ぼすことができるようにする。一例にすぎないが、図4を参照すると、調整タレット154は、レチクルレンズハウジング142上の12時の位置に接触する場合があり、調整タレット158は、レチクルレンズハウジング142上の9時の位置に接触する場合があり、ばね334の係合面338は、4時の位置から5時の位置の範囲内の位置で、より好ましくは、4時の位置と5時の位置との間の中間において、レチクルレンズハウジング142と接触する場合がある。
【0066】
1つの構成では、図4に最もわかりやすく示されるように、付勢要素230のばね33
4は、ばね334上の係合面338に対して垂直に貫通して延在する軸Aが、調整タレット154、158のそれぞれに対して(詳細には、調整ねじ174の縦軸B及びCに対して)角度α及び角度φをなすように位置する。一例にすぎないが、角度α及び角度φはそれぞれ、好ましくは、調整ねじ174の縦軸B及びCに対して45度〜185度の範囲にあることができ、最も好ましくは、調整ねじ174の縦軸B及びCに対して135度に実質的に等しくすることができる。言い換えると、ばね334は、調整タレット154及び調整タレット158から円周方向に約135度だけオフセットされる。ばね334を上記のようにして位置決めすることによって、付勢要素230は調整タレット154、158の調整ねじ174に対して同時に力を及ぼすことができるようになり、それにより、レチクルパターンを正確に調整できるようになる。好ましくは、ばね334を上記のようにして位置決めすることによって、付勢要素230は、調整タレット154、158の調整ねじ174のそれぞれに等しい力を同時に及ぼすことができるようになる。
【0067】
例えば、調整タレット154によって、調整ねじ174が方向(X)に沿って、取付用ストラップ330から離れるように動くとき、レチクルレンズハウジング142のレンズ(複数の場合もある)138は、方向(X)に沿って取付用ストラップ330から離れる方向に動く。逆に、調整タレット154によって、調整ねじ174が方向(X)において取付用ストラップ330に向かって動くとき、ばね334が撓み、そのような運動への抵抗を与え、それにより、ユーザーが、X方向においてレンズ(複数の場合もある)138を正確に調整できるようにし、それゆえ、レチクルパターンを正確に調整できるようにする。
【0068】
同様に、調整タレット158によって、調整ねじ174が方向(Y)に沿って取付用ストラップ330から離れるように動くとき、レチクルレンズハウジング142のレンズ(複数の場合もある)138は、方向(Y)に沿って取付用ストラップ330から離れる方向に動く。逆に、調整タレット158によって、調整ねじ174が方向(Y)において取付用ストラップ330に向かって動くとき、ばね334が撓み、そのような運動への抵抗を与え、それにより、ユーザーが、Y方向においてレンズ(複数の場合もある)138を正確に調整できるようにし、それゆえ、レチクルパターンを正確に調整できるようにする。
【0069】
中継アセンブリ26がハウジング14内に設置され、アイピース38が第1の端部54に取り付けられると、照準器10は、取付部分62、マウント64及び取付機構86を用いて小火器30に取り付けることができる。この時点で、それぞれの調整ねじ174を選択的に、内部空洞46の中に更に挿入させるか、又は内部空洞46から更に後退させ、それにより、ハウジング14の内部空洞46内で、内部空洞46に対してレチクルレンズハウジング142の位置を調整することによって、ユーザーが、調整タレット154、158の一方又は両方を用いて仰角及び偏流を考慮できるようになる。上記のように、偏流及び仰角を正確に調整するために、付勢要素230は、レチクルレンズハウジング142の遊端386に力を及ぼし、レチクルレンズハウジング142及びレンズ(複数の場合もある)138を取付用ストラップ330から離れる方向に、かつ調整タレット154、158と接触するように付勢する。内部空洞46内で、内部空洞46に対してレチクルレンズハウジング142をそのように動かすことによって、同じく、レンズ(複数の場合もある)138も動き、それにより、ハウジング14に対してだけでなく、小火器30に対してもレチクルパターンの位置が調整される。
【0070】
調整ねじ174によってレチクルレンズハウジング142に力を加えることによって、レチクルレンズハウジング142を動かすことができ、それにより、中継アセンブリ26がエンドキャップ222の周りで枢動する。エンドキャップ222がそのように動くことによって、球状外面298がソケット306と係合する。球状外面298とソケット30
6とがそのように係合することにより、内部空洞46内で、内部空洞46に対する中継アセンブリ26の動きが制御される。
【0071】
ハウジング14によって、かつ取付カラー42(図2)によって回動可能に支持される調整カラー390に回動力を加えることによって、倍率の拡大縮小を成し遂げることができる。調整カラー390は、調整カラー390とともに動くように固定され、トラックチューブ218の穴294によって収容されるポスト394を含む。したがって、調整カラー390に回動力が加えられ、調整カラー390がハウジング14に対して動かされるとき、その力は、ポスト394によってトラックチューブ218に伝達される。伝達される力は、同じく、トラックチューブ218を縦軸50の周りでハウジング14に対して回動させる。
【0072】
縦軸50の周りでトラックチューブ218が回動することにより、第1の中継レンズアセンブリ126、第2の中継レンズアセンブリ130及び第3の中継レンズアセンブリ134が縦軸50に沿って軸方向に動くことによって、照準器10の倍率が調整される。すなわち、第1の中継レンズアセンブリ126、第2の中継レンズアセンブリ130及び第3の中継レンズアセンブリ134はそれぞれ、ねじ穴410をそれぞれ有する、それぞれのハウジング398、402、406を含む。穴410は、軸受416を有する締結具412を収容する。したがって、締結具412が穴410内に設置されるときに、軸受416は、全体として、締結具412の頭部とそれぞれのハウジング398、402、406の外面との間に配置される。
【0073】
軸受416はトラックチューブ218のそれぞれのスロット274、278、282内に回動可能に収容され、メインチューブ214のスロット246(図5)内に同じく収容される。軸受416は、それぞれの締結具412の周りを回動し、軸受416が、トラックチューブ218のスロット274、278、282内で、それらのスロットに対して、かつメインチューブ214のスロット246内で動くことができるようにする。
【0074】
調整カラー390に回動力が加えられ、ポスト394を介して、トラックチューブ218にその回転力が加えられるとき、第1のスロット274、第2のスロット278及び第3のスロット282に角度がついていることに起因して、その力は軸受416にも伝達される。すなわち、トラックチューブ218がメインチューブ214の周りを、メインチューブ214に対して回転するとき、軸受416は第1のスロット274、第2のスロット278及び第3のスロット282を横断する。そのような動きによって、同じく、軸受416が、縦軸50に対して実質的に平行な方向に、かつメインチューブ214のスロット246内で動く。
【0075】
メインチューブ214のスロット246に沿って軸受416が動くと、同じく、ハウジング398、402、406が、縦軸50に対して実質的に平行な方向に、かつメインチューブ214の内部空洞242内で動く。縦軸50に対して実質的に平行な方向に、かつメインチューブ214内でハウジング398、402、406がそのように動くと、同じく、ハウジング398、402、406に関連付けられるそれぞれのレンズ132がメインチューブ214内で、メインチューブ214に対して動く。レンズ132が動くと、照準器10の倍率が調整される。所望の倍率が達成されると、調整カラー390に加えられる力は解除することができ、第1の中継レンズアセンブリ126、第2の中継レンズアセンブリ130及び第3の中継レンズアセンブリ134の位置、それゆえ、メインチューブ214内の関連するレンズ132の位置が、メインチューブ214及びトラックチューブ218のそれぞれのスロット246、274、278、282内の軸受416間の係合に起因して保持される。
【0076】
実施形態の上述の記載は例示及び説明のために提示されている。上述の記載は網羅的にすることも本開示を限定することも意図しない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は概して、その特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合、具体的に図示又は説明がされていないとしても、入れ替え可能であり、選択された実施形態において用いることができる。特定の実施形態の個々の要素又は特徴を多くの方法で変えることもできる。そのような変形は、開示から逸脱するものとしてみなされるべきではなく、そのような変形が全て開示の範囲内に含まれることを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B