特許第6861255号(P6861255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861255導電性ダイヤモンド電極で微量金属を検出するための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861255
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】導電性ダイヤモンド電極で微量金属を検出するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/48 20060101AFI20210412BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20210412BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20210412BHJP
   G01N 27/28 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01N27/48 301
   G01N27/30 B
   G01N27/416 353Z
   G01N27/28 321F
   G01N27/30 F
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-182481(P2019-182481)
(22)【出願日】2019年10月2日
(62)【分割の表示】特願2018-526617(P2018-526617)の分割
【原出願日】2016年8月8日
(65)【公開番号】特開2020-24211(P2020-24211A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】62/202,422
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518044240
【氏名又は名称】フラウンホーファー・ユー・エス・エイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FRAUNHOFER USA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,マイケル・フランク
(72)【発明者】
【氏名】シュエルク,トーマス
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−525758(JP,A)
【文献】 特表2007−501389(JP,A)
【文献】 特開平07−069792(JP,A)
【文献】 特開2006−250767(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0060864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
C30B 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にホウ素ドープダイヤモンド材料を析出させるステップと、
前記ホウ素ドープダイヤモンド材料上に絶縁材料を追加するステップと、
前記ホウ素ドープダイヤモンド材料の露出部分上に追加のホウ素ドープダイヤモンド材料を成長させるステップとを含む、ホウ素ドープダイヤモンド電極を形成する方法。
【請求項2】
前記成長させるステップの前に、前記絶縁材料を腐食させて除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成長させるステップの前に、ダイヤモンド材料の成長を防止するように前記絶縁材料を処理するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理するステップは、前記絶縁材料を水素プラズマで処理すること、前記絶縁材料を酸洗浄すること、または、傷のない絶縁表面を保証すること、という群から選択される少なくとも1つの処理を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記成長させるステップは、前記絶縁材料を腐食させる追加のステップなしで起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記成長させるステップの後に、前記絶縁材料を腐食させて除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2015年8月7日に出願された米国仮出願連続番号第62/202,422号の利益を主張する。当該仮出願はその全体がここに援用される。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、さまざまなサンプル中の金属を検出するように構成された導電性ダイヤモンド材料を含む微量金属分析検出器に向けられる。本発明は、陽極および陰極ストリッピングボルタンメトリーで使用される従来の電極では検出が非常に困難な微量金属の正確で精密で反復可能な検出を可能にするとともに、ドープダイヤモンド電極、具体的にはホウ素ドープダイヤモンド材料の薄膜を含む電極の使用を含む従来の検出器を用いて検出が困難な分析物を検出するための感度の向上を可能にする、装置および方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
2.先行技術の説明
多くの装置および方法が、サンプル中の特定の分析物を検出するために存在する。通常のサンプルは、地下水、食品分析、産業廃棄物、製品サンプル、飲料水、および、陽極または陰極ストリッピングボルタンメトリーにおいて電極を使用して特定の分析物を検出することが望ましい任意のサンプルを含む。より具体的には、陽極および陰極ストリッピングボルタンメトリーは、析出ステップ中に1つ以上の分析物を作用電極上に電気めっきするかまたは析出させ、場合によってはストリッピングステップ中に分析物を酸化させるかまたは電極から除去することにより、特定のイオン種の定量的判断のために使用されてきた。より具体的には、ストリッピングステップ中、具体的には陽極ストリッピングボルタンメトリー中に電流が測定され、種の酸化が、電極からの電流信号におけるピークとして、すなわち、イオン種が酸化され始める電位として検知される。
【0004】
従来、検出器システムは、作用電極と、補助電極または対極と、参照電極という3つの電極を使用する。これまで、作用電極は、(円板または平面ストリップ構成の)ビスマスまたは水銀膜電極から形成されている。水銀膜は、対象イオン分析物とともにアマルガムを形成し、それは酸化すると、測定可能な鋭いピークをもたらす。ある対象分析物は水銀の酸化電位を上回る酸化電位を有するため、または、水銀電極では適さない場合があるため、ならびに、毒性、安定性および揮発性の問題を含む水銀の環境問題を考慮して、現在、銀、金、または白金などの固体の不活性金属が、現代の検出器でより一般的に使用されている。(典型的にはベースまたは基板上にめっきされ、もしくは薄膜コーティングされた)固体金属電極であっても、金属電極を使用することは、所望の微量元素が覆うかもしれない、または検出不能かもしれないという問題も生み出す。たとえば、金属電極は、それを形成するのと同じ金属をサンプル中で検出することができない。さらに、金属電極はより小さい電位窓を有しており、それはある金属の測定を制限する。また、金属電極は、より高いバックグラウンド電流の影響を呈する。いくつかの代替的な電極材料は、Ir、Bi、Au、Ag、およびグラファイトを含む。むき出しの固体電極上での金属吸着層の析出は、Hgアマルガムを形成する場合(すなわち、大量のHg内での金属の析出)よりも複雑なプロセスである。析出物の活動は、析出量、電極と析出物との相互作用、および表面上の分布に依存する。どの電極の実用性も、水サンプルなどの「現実世界」のサンプル中の金属イオンを検出するためのその有効性に依存する。
【0005】
最近の開発は、ホウ素ドープダイヤモンド(boron-doped diamond:BDD)薄膜など
のドープダイヤモンド電極が、金属電極と比較して、より広い電気化学的電位窓、低く安定した容量性バックグラウンド電流、高い応答再現性、および長期応答安定性を含む、向上した特性を有することを示してきた。ホウ素ドープダイヤモンド電極はまた、有毒溶液中に存在する金属を分析するのにより適している。なぜなら、それらは、多くの金属ベースの電極とは異なり、一般に不活性でサンプルまたは溶液と反応しないためである。ホウ素ドープダイヤモンド電極の利益を考慮しても、それらは依然として多くの問題を含む。現在、微量金属検出器において、必要な3つの電極のうちの作用電極だけが、ホウ素ドープダイヤモンドから形成される。代わりに、参照電極は典型的には塩化銀で作られ、一方、対極は白金材料で作られる。今まで、どのシステムも、一貫した正確な結果を依然として提供しながら、参照電極、対極、または、参照電極および対極の双方を、ホウ素ドープダイヤモンド材料から形成することはできなかった。
【0006】
加えて、現在の方法は、各作用電極が、単一の析出ステップ中に、金属イオンなどの分析物を析出させるために動作され、次に、単一のストリッピングステップ中に、図1に示すように時間とともに電位の掃引を行なうことによって電流を測定することを必要とする。たとえば、陽極ストリッピングボルタンメトリーでは、電極に負電位を印加し、図1にBおよびCと標記された図示された期間のような特定された期間の間、それを保持することによって、所望の分析物が作用電極上に析出される。次に、図1にDと標記された期間において図示されるように、電位が負から正へゆっくりと増加され、このストリッピングステップ中に測定された電流変動が、サンプル中に存在する分析物またはイオン種のタイプを判断する。1つの問題は、ある金属イオンは同様の電位を有するため、特定の電位で測定されたピークが2つ以上の金属イオンを含むかもしれない、ということである。そのため、ある金属イオンは分離されることができず、この方法の下ではある金属イオンの測定を妨げるおそれがある。加えて、金属電極による金属間錯体の形成により、ピーク抑制、ピーク移動、およびピーク広がりが生じるおそれがある。たとえば、銅は、カドミウムおよび亜鉛に対して抑制効果を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は一般に、サンプル中の金属イオンなどのイオン種、またはある有機分子を検出するための検出器装置および方法に向けられる。検出器は一般に、サンプル中の選択されたイオン種の量を判断するための陽極または陰極ストリッピングボルタンメトリーに関連して使用される。
【0008】
本発明の検出器は、作用電極としてホウ素ドープダイヤモンド電極などの導電性ダイヤモンド電極を含むだけでなく、導電性ダイヤモンド材料から形成された対極または参照電極のうちの少なくとも1つも含んでいてもよい。そのため、対極および参照電極の双方が、ホウ素ドープダイヤモンド電極材料などの導電性ドープダイヤモンド材料で作られてもよい。本発明の導電性ダイヤモンド電極は、より広い電気化学的電位窓およびより低いバックグラウンド信号という利点を有し、それは、より広範囲の検出可能金属、および、より低い金属濃度を検出する高い感度または能力を可能にする。加えて、導電性ダイヤモンドから作られた電極は環境にやさしく、長期にわたって電気化学的に安定している。いったん較正されると、検出器は、アンチモン、ヒ素、ビスマス、カドミウム、銅、ガリウム、ゲルマニウム、金、インジウム、鉛、水銀、銀、タリウム、スズ、および亜鉛を含む少なくとも15個の金属イオンの、1兆分率(parts per trillion:ppt)レベルと同じくらい低い(<100ppt)微量金属濃度を、陽極ストリッピングボルタンメトリーで計算する特定のアルゴリズムを利用する。これと比較して、CSVは、ヒ素、塩化物、臭化物、ヨウ化物、セレン、硫化物、メルカプタン、チオシアン酸塩、およびチオ化合物を分析してもよい。
【0009】
本発明は少なくとも作用電極としてホウ素ドープダイヤモンド(BDD)を使用し、参照電極としてAg/AgClを使用し、対極としてPtを使用する。上述のように、3つのタイプの電極すべてが、ホウ素ドープダイヤモンド材料から形成されてもよい。すべての電極は、作用電極と対極との間に電流が流れ、作用電極と参照電極との間で電位が測定される溶液と接触している。
【0010】
作用電極に好適な電位を印加すると、金属イオンなどの分析物が作用電極の表面上に電気めっきされる。各金属イオンは、電気化学系列および利用される参照電極に従った、それが電気めっきされるかまたは析出される特定の電位を有する。金属などの分析物がいったん電気めっきされるかまたは析出されると、ストリッピングとしても公知である逆電位走査が正電位に向かって実行され、金属を酸化/放出して定量化する。
【0011】
検出器は、より広い電気化学的電位窓およびより低いバックグラウンド信号を有する、単一のダイヤモンド作用電極または複数のダイヤモンド作用電極で構成され、それは、より広範囲の検出可能金属、および、より低い金属濃度を検出する高い感度または能力を可能にする。
【0012】
本発明の方法では、作用電極の各々は、作用電極上に所望の分析物を析出させるために、異なる電位で作動される。ある方法では、これらの異なる電位は同時に行なわれ、一方、本発明の他の方法では、これらが順次行なわれることが重要であり、そのため、ASVチャート上の異なる電位の複数の分析物を有するサンプルは、それらの電位に依存して、異なる分析物を異なる電極上に分離するであろう。これは、より正確で精密な測定を可能にするとともに、特定の電極上の複数の分析物が同時に離れて、特にサンプル中の分析物の非常に低いレベルでの正しくない読み取り値を与えることを防止するであろう。すべての走査がいったん行なわれると、逆走査の各々によって得られたピークに基づいて、微量金属濃度が計算される。
【0013】
複数の電極を使用する本発明では、第1の電極は第1のレベルの電位まで駆動されてもよく、第2の電極は第1のレベルよりも負である第2のレベルの電位まで駆動されてもよく、追加の電極が存在する場合、各々は、他の電極よりも負のレベルまで駆動されるであろう。洗浄ステップの後に、複数の作用電極が異なる電位まで駆動される場合、同時に行なわれる場合、より負の電極が、それほど負ではない電極のイオンのうちのいくつかを収集するであろう。そのため、ストリッピング時、それほど負ではない電極から結果を読取ることは、人が、より負の電極のための金属をより良好に判断することを可能にする。なぜなら、人は、重複する、またはほぼ重複しているイオンのために何が剥がれているかをより確実に判断できるためである。
【0014】
微量金属分析検出器としての本発明は、作用電極が導電性ダイヤモンドからなるマイクロ流体ラボオンチップ設定上で実現されてもよい。別個の作用電極を各々有するさまざまな区画の発想は、各区画において、作用電極がある金属を、サンプル中の他の金属から、金属同士が互いに干渉しないように抽出または分離することである。区画の数は、何個の金属が分析されなければならないか、および、対象金属が互いにどれくらい影響を及ぼすか、に依存するであろう。より具体的には、サンプルから金属イオンを順次除去することによって、任意の特定の作用電極上の金属イオンの数は最小化され、それにより、ストリッピングプロセス中によりクリーンな信号を各電極に提供する。本発明の利点は、低いバックグラウンドノイズで広い電気化学的電位走査を可能にし、さもなくば容易には検出できない金属の検出と、鉛イオン、銅イオンおよび亜鉛イオンについての感度の増加とを可能にする。
【0015】
加えて、発明者らは驚くべきことに、本発明の装置が微量金属についてテストするために使用され得るだけでなく、水を消毒して水の浄化を提供するためにも使用され得る、ということを見出した。より具体的には、電極は、高い正電位を印加することによって−OHラジカルを生成し、それは有機物を分解し、水を消毒する。そして、ホウ素ドープダイヤモンド電極は、より多くのフリーラジカル、具体的にはヒドロキシルラジカルを生成する。
【0016】
図面の簡単な説明
本発明の他の利点は、添付図面に関連して以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるため、容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の陽極ストリッピングボルタンメトリーについての、時間に対する電位のグラフである。
図2】線形ストリッピング法のグラフ表示である。
図3】階段状線形ストリッピング法のグラフ表示である。
図4】矩形波ストリッピング法のグラフ表示である。
図5】微分ストリッピング法のグラフ表示である。
図6】金属イオンの電位のグラフ表示である。
図7】単一の作用電極を使用する本発明の方法の、時間に対する電位のグラフ表示である。
図8】3つの作用電極を使用する本発明の方法の、時間に対する電位のグラフ表示である。
図9】本発明を具現化する例示的なシステムの分解斜視図である。
図10】本発明を具現化する例示的なシステムの透視図である。
図11】本発明を具現化する例示的なシステムの透視図である。
図12A】本発明を具現化し、pH調節モジュールを含む例示的なシステムの透視図である。
図12B】本発明を具現化し、pH調節モジュールを含む例示的なシステムの透視図である。
図13】オプションの酸貯蔵部を含む例示的なシステムの透視図である。
図14】pH調節モジュールを含む例示的なシステムの透視図である。
図15】本発明の並列システムを含む例示的なシステムの透視図である。
図16】本発明の直列システムを含む例示的なシステムの透視図である。
図17】本発明のループ構成の直列システムを含む例示的なシステムの透視図である。
図18】通路における作用電極の拡大斜視図である。
図19】例示的な作用電極のものを含む、本発明の断面図である。
図20】例示的な作用電極のものを含む、本発明の断面図である。
図21】例示的な対極の断面図である。
図22】コントローラおよびシステムの概略制御図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本発明は一般に、サンプル中の金属イオンなどのイオン種、またはある有機分子を検出するための検出器装置10および方法に向けられる。検出器20とコントローラ110とを有する検出器装置10は一般に、サンプル中の選択されたイオン種の量を判断するための陽極または陰極ストリッピングボルタンメトリーに関連して使用される。検出器20は主として、陽極ストリッピングボルタンメトリー(anodic stripping voltammetry:ASV)法において使用されるように、以下におよび明細書全体にわたって説明されるであろ
う。しかしながら、検出器20は代わりに、わずかな変更で、陰極ストリッピングボルタンメトリー(cathodic stripping voltammetry:CSV)法を用いて容易に使用され得る、ということが認識されるべきである。したがって、陽極ストリッピングボルタンメトリーへのどの言及も、陰極ストリッピングボルタンメトリーと置換えられてもよく、その時に印加される正電流および負電流を取り替える変更、および他のわずかな変更を加えてもよい。
【0019】
検出器装置10はさまざまなサイズ、形状および構成で形成されてもよいが、一般に、検出器20の一部としての3つの異なるタイプの電極40、50、および60と通信するコントローラ110を含む。検出器20で使用される電極のタイプは、作用電極40、参照電極50、および対極60を含む。ASV法では、作用電極40は一般に、その表面上に負電位で所望の分析物を析出させるかまたは予め濃縮し、次に、電位掃引中に金属または他のイオン種などの分析物を選択的に酸化させるかまたは作用電極40の表面46から剥ぎ取るために使用される。参照電極50は、作用電極40の電位が適切に維持されることを保証するために使用され、作用電極40上に蓄積する電界の影響を最小化する。より具体的には、参照電極50は安定した電位であり、ベースライン測定電極電位であって、その性能は、重金属検出、安定性、再現性、および精度に直接影響を与える。対極60は電流の流れを測定し、逆流を作用電極40に提供する。
【0020】
本発明の検出器20は、作用電極40としてホウ素ドープダイヤモンド電極などの導電性ダイヤモンド電極を含むだけでなく、導電性ダイヤモンド材料から形成された対極60または参照電極50のうちの少なくとも1つ、もしくは、ホウ素ドープダイヤモンド電極材料などの導電性ドープダイヤモンド材料で作られた対極60および参照電極50の双方も含んでいてもよい。ホウ素ドープダイヤモンド電極に言及する場合、当該電極はバルクホウ素ドープダイヤモンドであり得るものの、一般にバルクホウ素ドープダイヤモンドではなく、しかしながら一般に、電極を形成するためにベースまたは基板42上に置かれたホウ素ドープダイヤモンド材料の膜または薄膜44である、ということが認識されるべきである。水銀電極およびビスマス電極を使用する従来の設計に比べ、導電性ダイヤモンド電極は、より広い電気化学的電位窓およびより低いバックグラウンド信号という利点を有し、それは、より広範囲の検出可能金属、および、より低い金属濃度を検出する高い感度または能力を可能にする、ということが分かっている。加えて、導電性ダイヤモンドから作られた電極は環境にやさしく、長期にわたって電気化学的に安定している。蛍光センサ、表面プラズモン共鳴センサ、または表面励起ラマン散乱センサと比較して、追加のデバイスは必要ない。
【0021】
上述のように、この発明は、電極として導電性ダイヤモンド電極材料を使用する微量金属分析検出器装置10である。いったん較正されると、検出器装置10は、以下に説明するような、1兆分率(ppt)レベルと同じくらい低い(<100ppt)微量金属濃度を計算する特定のアルゴリズムを利用する。本発明の検出器装置10は、アンチモン、ヒ素、ビスマス、カドミウム、銅、ガリウム、ゲルマニウム、金、インジウム、鉛、水銀、銀、タリウム、スズ、および亜鉛を含む少なくとも15個の金属イオンを、陽極ストリッピングボルタンメトリーで分析してもよい。これと比較して、CSVは、ヒ素、塩化物、臭化物、ヨウ化物、セレン、硫化物、メルカプタン、チオシアン酸塩、およびチオ化合物を分析してもよい。本発明の検出方法は一般に、特定の変型を有するASVの電気化学的手法を採用する。陽極ストリッピングボルタンメトリーおよび陰極ストリッピングボルタンメトリーは、従来百万分率で水溶液中の微量レベルの金属不純物を調べるために使用される、感度のよい電気化学的分析手法であるが、本発明は、1兆分率で金属を検出するために見出されたものである。さまざまな種類のASVおよびCSVが存在し、水中の金属を定量化するために使用されてきた。ASV、および負または正へのどの言及も、CSVでの使用のために反転され得る、ということが認識されるべきである。
【0022】
ASV手法は、大抵の電記化学的手法と同様に、3電極セル設定を採用する。3つの電極40、50、および60は、上述のように、作用電極40、参照電極50、および対極60である。本発明は少なくとも作用電極40としてホウ素ドープダイヤモンド(BDD)を使用し、および典型的には、参照電極50として銀または塩化銀(Ag/AgCl)を使用し、対極60として白金(Pt)を使用する。上述のように、および以下により詳細に説明されるように、3つのタイプの電極40、50、および60すべてが、ホウ素ドープダイヤモンド材料から形成されてもよい。すべての電極40、50、および60は、作用電極40と対極60との間に電流が流れ、作用電極40と参照電極50との間で電位が測定される溶液と接触している。
【0023】
作用電極40に好適な電位を印加すると、金属イオンなどの分析物が作用電極40の表面上に電気めっきされる。各金属イオンは、図6に示すような電気化学系列および利用される参照電極に従った、それが電気めっきされるかまたは析出される特定の電位を有する。このめっき電位から、わずかにより負であるどの電位も、電気めっきまたは析出をもたらすであろう。金属などの分析物がいったん電気めっきされるかまたは析出されると、ストリッピングとしても公知である逆電位走査が正電位に向かって実行され、金属を酸化/放出して定量化する。以下に説明されるように、さまざまなASV手法が逆走査に依存する。最も一般的な走査手法は、(1)線形ボルタンメトリー(Linear voltammetry:LV)、(2)矩形波ボルタンメトリ(Square wave voltammetry:SWV)、および(3)
微分パルスボルタンメトリー(Differential pulse voltammetry:DPV)である。走査がいったん行なわれると、作用電極40は、残りの金属を除去して次の分析のために作用電極40を準備するために、より正の電位で保持されるであろう。より具体的には、現在の方法は、単一の電極上に所望の分析物をすべて析出させ、次に、線形、矩形波または微分パルス掃引であり得る電位掃引を実行する。陰極ストリッピングボルタンメトリーと陽極ストリッピングボルタンメトリーとの間には、電位掃引が反対方向に行なわれること、具体的には、陽極ストリッピングボルタンメトリーについては負から正へ、陰極ストリッピングボルタンメトリーについては正から負へ行なわれることを含む、いくつかの違いがあるが、一般に、掃引のタイプは同一であり、線形、微分または矩形波のうちの1つとして規定されてもよい。図2に示すような線形掃引は一般に、電位が時間とともに線形状に変化することを意味する。より具体的には、電位の個々の変化は階段状であってもよいが、それらは一般に限りなく小さく、グラフで表現される場合、経時変化の見かけが概して線であるようになっている。図3は、階段状掃引として公知である、線形掃引の変形を表わす。図5に示す微分パルス掃引では、ステップサイズ、具体的にはパルス振幅または高さ、パルス幅および休止幅(利用可能な場合)はすべて、感度を高めるために調節可能な可変要因である。微分パルス掃引中、微分パルス波形は、線形掃引の階段状波形の上に重畳された一定振幅の小さいパルスを含み、パルスの初めの1ヶ所とパルスの終わりの1ヶ所というパルス中の2ヶ所で電流がサンプリングされ、それら2つの値の差が変位されるかまたは記録されるようになっている。図4に示す矩形波ボルタンメトリーでは、電位波形は、階段状波形の上に重畳された一定振幅の矩形波を含む。電流は各半周期の終わりで測定され、電流は逆半周期で測定され減算される。差異は印加電位の関数として表示され、データとして記録される。矩形波ボルタンメトリー分析では、電位周期の間で拡散層が新しくされないことに留意することが重要である。このため、各周期を切り離して見ることは可能ではなく/正しくなく、各周期について存在する条件は、以前の電位周期すべてを通して進化してきた複雑な拡散層である。特定の周期についての条件はまた、他の電気化学的考慮事項とともに、電極反応速度の関数である。
【0024】
検出器20は、単一のダイヤモンド作用電極40、または複数のダイヤモンド作用電極40で構成される。水銀電極およびビスマス電極を使用する従来の設計に比べ、導電性ダイヤモンド電極は、より広い電気化学的電位窓およびより低いバックグラウンド信号を有
するという利点を有し、それは、より広範囲の検出可能金属、および、より低い金属濃度を検出する高い感度または能力を可能にする、ということが分かっている。加えて、導電性ダイヤモンドから作られた電極は環境にやさしく、長期にわたって電気化学的に安定している。蛍光センサ、表面プラズモン共鳴センサ、または表面励起ラマン散乱センサと比較して、追加のデバイスは必要ない。
【0025】
本発明の方法では、作用電極40は、作用電極40上に所望の分析物を析出させるために、望ましい電位で作動される。複数の作用電極40を使用するシステムでは、作用電極40の各々は、作用電極40上に所望の分析物を析出させるために、異なる電位で作動されてもよい。ある方法では、これらの異なる電位は同時に行なわれ、一方、本発明の他の方法では、これらが順次行なわれることが重要であり、そのため、ASVチャート上の異なる電位の複数の分析物を有するサンプルは、それらの電位に依存して、異なる分析物を異なる電極上に分離するであろう。これは、より正確で精密な測定を可能にするとともに、特定の電極上の複数の分析物が同時に離れて、特にサンプル中の分析物の非常に低いレベルでの正しくない読み取り値を与えることを防止するであろう。微量金属分析の難しさは、同時に存在するさまざまな金属間の電位干渉である。たとえば、銅は、銅の存在がカドミウムおよび亜鉛のピークを抑制するように、カドミウムおよび亜鉛に干渉する。較正されたダイヤモンド作用電極40上での分離された走査を利用して、個々の金属濃度をより正確に判断することが可能である。
【0026】
より具体的には、図6および図7のASVチャートで提供されるように、作用電極40は、陽極ストリッピングボルタンメトリーでは、洗浄ステップを行なうために高い正電位まで駆動されるであろう。洗浄ステップ中、誤検出を与え得るどの析出材料も、作用電極40から追い出されるであろう。図6および図7に提供されるように、作用電極40は典型的には、方法の最中、洗浄ステップの直後に、最も低い負電位まで駆動される。以下のステップが次に、単一の作用電極40設定のために行なわれる:
1) 作用電極40の表面46を整える/洗浄するために、正電位を保持する;
2) 第1の対象金属(最も正のめっき電位の金属)を電気めっきするために、予め定められた第1の電気めっき用電位を印加する;
3) 第1の金属を定量化するために、作用電極40上で正電位まで逆走査(LV、SWVまたはDPV)を実行する;
4) 作用電極40の表面46を整える/洗浄するために、正電位を保持する;
5) 第1および第2の金属をともに作用電極40上に電気めっきするために、第1の電気めっき用電位よりも負である予め定められた第2の電気めっき用電位を印加する;
6) 第1および第2の金属をともに定量化するために、作用電極40上で正電位まで逆走査(LV、SWVまたはDPV)を実行する;
7) 作用電極40の表面46を整える/洗浄するために、正電位を保持する;
8) 第1、第2および第3の金属をともに作用電極40上に電気めっきするために、第1および第2の電気めっき用電位よりも負である予め定められた第3の電気めっき用電位を印加する;
9) 第1、第2および第3の金属をともに定量化するために、作用電極40上で正電位まで逆走査(LV、SWVまたはDPV)を実行する;
10) 作用電極40の表面46を整える/洗浄するために、正電位を保持する;
11) 追加の望ましい金属をめっきして定量化するために、追加のより負である電気めっき用電位について、上述のステップを何回でも好きなだけ繰り返す。
【0027】
すべての走査がいったん行なわれると、逆走査の各々によって得られたピークに基づいて、微量金属濃度が計算される。
【0028】
上述のプロセスのための設定全体は、図10に示すような、3電極設定を有する単一の
センサチップ検出器20と、図22に概略的に示すような、分析を実行し、データを収集し、データを有線または無線でコンピュータ、スマートフォン、またはタブレットへ転送する読出しユニットを含む小型ポテンショメータとを含んでいてもよい。作用電極40は、図10に示すような個々の作用電極40であるマクロまたはミクロ電極から、もしくは、導電性ダイヤモンド、具体的にはホウ素ドープダイヤモンドのアレイからなってもよい。
【0029】
図10図15、および図17に示すような複数の作用電極40設定のための測定原理は、以下の通りである:
1) すべての作用電極40の表面46を同時に整える/洗浄するために、正電位を保持する;
2) 対象金属を電気めっきするために、予め定められた電気めっき用電位を各作用電極40に同時に、重複して順次、または間隔をあけて順次(またはその変形)印加する。各作用電極40は、その特定の作用電極に関連してどの金属が分析されるかに依存して、異なる電位で保持される;
3) 各作用電極40上の金属を定量化するために、各作用電極40上で正電位まで逆走査(LV、SWVまたはDPV)を同様に同時に、重複して順次、または間隔をあけて順次(またはその変形)実行する;および
4) 次の測定のためにすべての作用電極40の表面46を整える/洗浄するために、正電位を保持する。設定全体は、3電極設定を有する複数のセンサチップと、分析を実行し、データを収集し、データを有線または無線でコンピュータ、スマートフォン、またはタブレットへ転送する読出しユニットを含む多重ポテンショメータとを含んでいてもよい。
【0030】
より具体的には、複数の電極を使用する本発明では、第1の電極は第1のレベルの電位まで駆動されてもよく、第2の電極は第1のレベルよりも負である第2のレベルの電位まで駆動されてもよく、少なくとも図10図15、および図17に示すように追加の電極が存在する場合、各々は、他の電極よりも負のレベルまで駆動されてもよい。そのため、第1の作用電極40は第1の電位まで駆動されてもよく、一方、残りの4つの電極40は電位全体を等しく分割してもよく、または、各々異なる金属をターゲットとする電位で構成されてもよい。たとえば、図6は、金属イオンの相対配置を示す陽極ストリッピングボルタンメトリーチャートを示す。このチャートから、第1の作用電極40は、セレンを取り込むために駆動され得る。一方、第2の作用電極40は、より負へ駆動されるものの、依然として正電圧範囲にあり、金およびクロムを引きつけるように構成されるであろう。一方、第3の作用電極40は、ヒ素および水銀を引きつけるために、他の作用電極よりも負へ駆動されるものの、依然として正電圧範囲にある。次の作用電極40は実際に、銅を引きつけるために負へ駆動されてもよい。別の作用電極40は次に、ニッケル、鉛およびカドミウムを引きつけるためにより負へ駆動され得る。最後の作用電極40は、亜鉛を引きつけるためにより負へ駆動されるように構成され得る。もちろん、上述の分割は、作用電極の数とともに、単なる例示である。方法は、作用電極40を2つだけ、または何個でも実際に好きなだけ用いて行なうことができ、図面に示された電極の数は単なる例示である。作用電極はまた、同時に機能してもよいが、それらはまた、いくつかの追加の分析利点を有して順次、または重複して順次行なわれ得る。
【0031】
洗浄ステップの後に、複数の作用電極が異なる電位まで駆動される場合、同時に行なわれる場合、より負の電極が、それほど負ではない電極のイオンのうちのいくつかを収集するであろう。もちろん、収集におけるこの重複は、図10および図17に示すように電極が直列に配置される場合、図15の並列トラックよりも少ない。そのため、ストリッピング時、それほど負ではない電極から結果を読取ることは、人が、より負の電極のための金属をより良好に判断することを可能にする。なぜなら、人は、重複する、またはほぼ重複
しているイオンのために何が剥がれているかをより確実に判断できるためである。さらに、以下に説明されるように、向上した結果を提供するために、より多くの分析が行なわれてもよい。
【0032】
洗浄ステップの後に、複数の作用電極40が異なる電位まで駆動される場合、および、それらが順次行なわれ、次に同時にまたは順次剥ぎ取られる場合、電極は、より正確な読み取り値を提供してもよい。より具体的には、第1の電極は、サンプル中の分析物の所望のイオンのみを引きつける。これらは、電極を洗浄するために使用されるレベルに最も近い電位を有するものであると思われるため、引きつけられるイオンは、別の電極がより負の電位へ駆動された場合に通常引きつけられるものである。したがって、第1の分析物のすべてを引きつけることにより、次の分析物を有する第2の電極は、よりクリーンな信号を得るであろう。分析物を分離させるためにより多くの電極が使用されるにつれて、信号はよりクリーンになる。図16における電極の直列配置は、所望の金属の実質的にすべてが液体から収集されてから、次の所望の金属を収集するかまたは取り込むために次の作用電極40用の次のチャンバへ移動されることを可能にしてもよく、それにより、2つ以上の金属を取り込む作用電極のために、最小限の調節で、ないし全く調節せずに、非常に正確な結果を与える。
【0033】
微量金属分析検出器としての本発明は、作用電極40が導電性ダイヤモンドからなるマイクロ流体ラボオンチップ設定上で実現されてもよい。較正された検出器は、低い1兆分率(ppt)レベル(<100ppt)の微量金属濃度を計算する特定のアルゴリズムを利用する。検出方法は、陽極ストリッピングボルタンメトリー(ASV)の電気化学的技術を採用しているが、陰極ストリッピングボルタンメトリーについても実現され得る。ラボオンチップ設定は、注入ポートまたはチャンバ72と、オプションのマイクロポンプ90と、オプションの前処理区画またはチャンバ74と、少なくとも1つの分析区画またはチャンバと、チャンバ間のチャネルまたは通路70と、オプションの酸、塩基または緩衝溶液区画またはチャンバ102と、追加の体積チャンバ104と、オプションのpH調節機構106と、希釈機構108と、出口またはエンドポートまたはチャンバ78とを含む。多くの図面上の図示を容易にするために、出口またはエンドポート、およびポンプ90は、他のチャンバのうちのいくつかと同様に図示されない。加えて、図示されたチップのいずれも、異なる構成の上述のオプションのまたは他のチャンバのいずれかを含んでいてもよく、また、図示された構成は、本発明のどの項目が含まれるかについて限定的であると考えられるべきではない。ラボオンチップ設定の測定の方法は、以下の通りである。
【0034】
水サンプルなどのサンプルに依存して、前処理ステップが、有機的に結合した金属などの所望の分析物を解放するために有機分子を分解するために含まれてもよい。このステップがなければ、遊離金属イオンしか検出されず、サンプル中の金属分析物の総量は正しくないであろう。前処理ステップは、作用電極を含む導電性ダイヤモンド電極に対して行なわれてもよいが、電極を含むものの作用電極ではない、前処理エリアまたはチャンバ74における電極に対しても起こり得る。前処理電極はまた、pH調節電極80または任意の他の電極であってもよく、任意の材料から形成されてもよいが、ホウ素ドープダイヤモンドは前処理電極として長寿命および効率的な使用のためにうまく機能する、ということが分かっている。動作中、pH電極80などの前処理電極は一般に、前処理電極80の表面近くで有機分子を酸化させ得るヒドロキシルラジカルを生成するのに十分高い電位で保持される。この前処理ステップの後で、前処理サンプルはチャネル70を通って分析チャンバ76へ送リ出され、それは分析用の作用電極40を含む。
【0035】
前処理電極がない構成では、前処理ステップは、作用電極40の洗浄工程中にも起こり得る。各測定に先立って、作用電極は、上述のような分析用の作用電極40を整える/洗浄するために、正電位で保持されてもよい。より具体的には、対象水サンプルは入口ポー
トまたはチャンバ72へ挿入され、第1の反応または分析区画76へ送リ出される。ここで、サンプル体積は、洗浄ステップの一環として有機物を酸化させるために十分高い陽極電位にさらされ、それにより、洗浄ステップと前処理ステップとを組合せる。もちろん、水サンプルの純度に依存して、前処理ステップは必要とされてもされなくてもよい。非常に汚染された水サンプルについては、このステップは、結果を偽る有機物(すなわち、Hgなどの結合金属)の影響を避けるために必要である。これにより、方法は、金属の一部が有機物に結合される場合に、「遊離」金属含有量に対する、存在する総金属含有量を判断できるようになるであろう。
【0036】
前処理ステップが使用される場合、マイクロポンプ90は次に体積を前処理区画74から第2の区画へ送リ出し、それは、作用電極40を含む分析区画76であってもよい。なお、ポンプは体積を追加または補足の体積チャンバ100へ、もしくは他のチャンバへ要望通り送リ出してもよい。分析チャンバ76(第1の作用電極40)である次の区画またはチャンバで、サンプル体積は、AgおよびCuなどのより正の金属を電気めっきするのに好適な電位にさらされる。なお、前処理ステップと洗浄ステップとが組合される場合、前処理ステップを行なった第1のチャンバ電極も、第1の作用電極40であるであろう。第1の金属が電気めっきされた後で、マイクロポンプ90はサンプル体積を第3の区画へ送リ出す。このプロセスにおける第3の区画または第2の分析区画76(第2の作用電極40)で、サンプル体積は、使用された前の作用電極よりも大きい負電位にさらされ、それはたとえば、Pbなどのより負の金属を電気めっきするのに好適な電位であるであろう。第2の金属または第2の一組の金属が第2の作用電極40に電気めっきされた後で、マイクロポンプ90は、残りのサンプル体積を第4の区画へ送リ出す。この例示的なプロセスにおける第4の区画、第3の分析チャンバ76(第3の作用電極40)で、サンプル体積は、Cdなどのより負の金属を電気めっきするのに好適な電位にさらされる。方法は次に、上述のステップを繰り返して続く。すべての区画74/76がいったん通過されると、逆電位走査が各作用電極40上で行なわれ、金属を酸化/放出して定量化する。各チャンバは参照電極50と対極60とを含むと予想されるが、いくつかの実施形態では、それらはチャンバ間に配置され得る。電極40、50、および60は、順次ASVが実行される場合、電極40、50、および60の間で干渉がないように、互いから絶縁されている。したがって、すべての電極にわたってではなく、単一の電極のみの電位が測定される。
【0037】
さまざまな区画の利点は、各分析区画76が別個の作用電極40を有し、作用電極がある金属を、サンプル中の他の金属から、金属同士が互いに干渉しないように抽出または分離することを可能にする、ということである。区画の数は一般に、何個の金属が分析されなければならないか、および、対象金属が互いにどれくらい影響を及ぼすか、に依存するであろう。しかしながら、分析される金属の数よりも多い追加の区画を有するチップが常に使用されてもよい。より具体的には、サンプルから金属イオンを順次除去することによって、任意の特定の作用電極40上の金属イオンの数は最小化され、それにより、ストリッピングプロセス中によりクリーンな信号を各作用電極40に提供する。本発明の利点は、低いバックグラウンドノイズで広い電気化学的電位走査を可能にし、さもなくば容易には検出できない金属の検出と、鉛イオン、銅イオンおよび亜鉛イオンについての感度の増加とを可能にする。加えて、ラボオンチップは、制御された量がマイクロ流体アレイまたはチャンバ76へ分配されることを可能にする。ラボオンチップは、テスト用の化学分析アルゴリズムを実現することを可能にし、一連のマイクロ流体チャンバは、液体サンプルからの化学物質およびイオンの順次除去を可能にし、それは、システム10における各後続チャンバ76および作用電極40の感度を高める。
【0038】
加えて、本発明の装置および方法はまた、サンプル中のさまざまな金属の微量成分分析を妨げることなく、サンプルのpHを変更することができる。より具体的には、pHは、3つの方法を通して変更されてもよい。第1に、pHは、ある期間の間、高い正電位で電
極を作動することによって、より塩基性になるように変更されてもよい。第2に、pHは、高い負電位で電極を作動することによって、電極電位を通してより酸性になるように変更されてもよいが、これは典型的には、金属分析を妨げる。なぜなら、それは金属を電極にめっきするためである。発明者らは驚くべきことに、上述のような微量金属検出といった安定し正確で反復可能な分析物検出を依然として提供しながら、pHを変更するH+イオンを生成する制御バーストが機能することを見出した。たとえば、この発明の上述の方法に続いて、電位掃引がそのままサンプルに対して行なわれてもよい。この分析の完了後、電極は、制御されたバーストを提供して、pHを低下させて分析中のサンプルをより酸性にするH+イオンを生成し、次に、掃引を再度行なって、サンプルの酸性の性質が金属イオンを解放して遊離金属イオンだけでなく金属イオン全体のより良好な読み取り値を提供するかどうかを判断してもよい。より具体的には、有機物に結合される金属イオンの部分、およびどんな金属イオンが環境において遊離しているか、ならびに総金属イオン含有量を判断することが、重要であるかもしれない。ある状況では、何が結合されていて自由に利用できないかを知ることが、重要であるかもしれない。
【0039】
pHを調節するための第3の方法では、本発明の方法の一環として、再現可能な表面を提供するための前処理の方法ステップが使用されてもよい。たとえば、電極の表面上または電極近傍の残った微量分析物、具体的には金属イオンを排除するように表面を洗浄するために、濃縮された1モルの酸が装置に導入されてもよい。塩基貯蔵部にも容易になり得る酸貯蔵部102を含むような例示的な構成を、図13に示す。酸は上述されたほど濃縮されなくてもよく、電極40は、電極を酸洗浄するために電荷を通して酸を要望通りに濃縮するために使用されてもよい。上述のように、第3の方法はさらに、酸が一般に少なくとも1つの電極上に高い負のバーストで作成される第2の方法に関連して使用されてもよい。加えて、図12に示すように、別個の経路で、第3の方法と第2の方法との組合せが使用されてもよい。
【0040】
方法はまた、合間に基準水で洗うステップを含んでいてもよく、それはまた、上述の酸洗浄の後で起こってもよい。金属が残らなくなるまで、作用電極40は洗浄され、高い電位まで循環されるであろう。高い正電位を用いる洗浄周期は金属を表面から追い出し、その後、電極は無金属水を使用して較正されてもよい。水および/または酸は再現可能な表面を提供する。加えて、較正ステップが、装置に、または、少なくともラボオンチップ設計用のチップ上に組み込まれてもよい。この組み込まれた洗浄ステップは再現可能な表面を与え、その再現可能な表面は、各電極40についてチップに組み込まれた値を有していてもよく、または、デフォルト表面として各電極40が設けられてもよく、それは、電極を毎回手動で較正することを排除する。言い換えれば、発明者らは驚くべきことに、製造業者が電極を形成してそれを較正し、較正情報を顧客に提供することができること、および、以前の銀または塩化銀電極とは異なり、較正は比較的、経時的に安定したままであることを見出した。次に顧客は、さらに較正することなく、反復可能な態様で洗浄し、テストし、洗浄し、テストして、提供された値を使用して時間を節約してもよい。作用電極40に前処理ステップを行なわせることによって、または、電極40を洗浄するために酸チャンバ102を使用することによって、それは、較正された表面と一致する再現可能な表面を作成する。サンプルの前に水中で走査を実行することは、存在するいかなる金属も検出して、電極表面からいかなる金属も除去するためにさらに洗浄するようユーザに通知し、それにより、走査開始前に金属が電極上に残っていないことを保証するであろう。そのため、金属がないことは、電極を予め公知の較正へ戻すであろう。そして、ここに説明された洗浄ステップは、電極が較正された状態に戻ることを可能にする。システムが使用するように構成され得る1つのプロセスは洗浄するステップであり、その後に、金属についてのテストステップ走査が続き、金属が存在する場合、再度洗浄し、金属についてテスト走査し、金属がしきい値を下回るまで、または測定不能になるまで繰り返す。水を用いた洗浄が機能しない場合、酸洗浄が、電極を通して、または酸の添加を通して行なわれても
よい。
【0041】
電極40が洗浄され、ひいては電極用の較正値にできるだけ近づく能力を最大化するために、ラボオンチップ設計を含む作用電極を有するチャンバは、適切な洗浄周期を保証するために、pHメータ82を含んでいてもよい。pHメータ82を有する装置は、河川水または地下水といった有機物などを含む汚れたサンプルにおいて微量金属についてテストする場合、非常に有用である。テスト前に有機物を分解し、サンプルを洗浄するために、pHメータ82は、反復可能な結果を保証するために酸レベルおよび酸性溶液の確認を可能にする。なぜなら、ある溶液についてのpHレベルの違いが、微量金属分析において異なる結果を提供するかもしれないためである。作用電極40が高い正電位で洗浄される場合のpHメータ82は、電極40および電子機器が適切に機能してphの予想された変化を提供することを保証するために、pHの変化を探すであろう。加えて、本発明は、システムが液体を並行して作成し準備するために図15に示すような並列トラックシステムを使用するように、図9図15に示すように複数のトラックまたは経路を有していてもよく、それは、上述のようなpHを調節するための追加の機構により、異なるpHでの異なるトラックの使用を可能にする。なお、pH調節機構のいずれも、並列トラックへと増やされてもよい。異なるpHは、異なるpHレベルの同時の迅速な分析を可能にしてもよく、それは、最終結果に組合され得るより正確な結果を可能にする。より具体的には、第1のトラックは、順次、微量金属を洗浄し、微量金属についてテストするために、上述の方法を使用してもよく、並列トラックは電極を使用して、上述のように順次、pHを変更し、テストして、好きなだけの数の他の並列トラック上で異なるpHでサンプルを分析してもよい。次に、システム10は、並列チャネルからの結果を分析して比較し、アルゴリズムを使用してより良好な感度で所望の分析物を判断してもよい。さらに、並列トラックはまた、以下に説明される希釈機構108を使用してサンプルを希釈し、従来の見識に反して、微量金属についての感度を向上させてもよい。従来、希釈は感度を減少させ、先行技術はサンプルを濃縮しようとした。加えて、希釈機構108は、並列トラックにおいて、上述の酸または塩基修正102方法と組合せて使用されてもよい。
【0042】
図9に示されたものなどのチップ上に形成された場合の装置またはシステムは、電極40、50、および60を含む下部ベース材料または基板22と、ガスケットまたは中間材料24と、封止チャンバ30を提供する上部材料またはカバー26とから容易に形成されてもよい。
【0043】
装置はまた、所望する場合、サンプルを希釈するための希釈機構108を含んでいてもよい。上述のように、金属は有機物に結合され、または有機物内にあってもよく、ホウ素ドープ電極(作用電極40、pH電極80、または前処理電極75)が有機材料を分解してより良好な分析を可能にしてもよく、もしくは、酸チャンバ102または他の補足チャンバ100が使用されてもよい。より具体的には、有機材料中の金属は、金属イオンの形では利用できないため、検出から遮蔽されてもよく、したがって酸または塩基を使用することは、有機材料を分解するのに役立つ。そのため、作用電極40、pH電極80(存在する場合)、または前処理電極75(存在する場合)などのシステム10は、サンプルのpHを変更するために、高い正電位または高い負電位のいずれかを生成するように構成されてもよい。もちろん、pHは、補足チャンバ100、具体的には、図13に示すような酸または塩基チャンバ102、もしくは、図12に示すようなpH調節電極80を含む別個のトラックといった、上述の他の機構を通して変更されてもよい。たとえば、OHまたはヒドロキシルラジカルを生成することは、有機材料を分解し、検出のために金属イオンを解放するのに役立つ。システムの1つの利点は、それが、溶液を酸性または塩基性にするためにラジカルを自己生成し得る、ということである。図12に示すpH電極は、入力チャンバ72またはサンプルの貯蔵部と直接通信していなくてもよく、代わりに、水などの液体用の別個の注入ポートを有していてもよく、次にシステム10は、pHが調節さ
れた液体を分析チャンバ76に注入することによって、pH電極でpHを修正してもよい。電極40は次に洗浄ステップを受け、方法は、洗浄およびテストのために上に列挙されたステップに従ってもよい。希釈機構108はまた、分析に有用な任意のタイプの液体を添加してもよい。それは、サンプル調製中に、または各チャンバで添加されてもよい。
【0044】
加えて、発明者らは驚くべきことに、本発明の装置が微量金属についてテストするために使用され得るだけでなく、水を消毒して水の浄化を提供するためにも使用され得る、ということを見出した。より具体的には、電極は、高い正電位を印加することによって有機物を分解して、−OHラジカルを生成してもよい。それは、有機物を分解し、水を消毒する。そして、ホウ素ドープダイヤモンド電極は、より高いパーセントのフリーラジカル、具体的にはヒドロキシルラジカルを有する。加えて、チャンバを出る水に概して有害な病原体がなく、また飲料水において望ましくない重金属がないように、電極40は次に、水中のいかなる重金属も引きつけるために負電位へ駆動されてもよい。もちろん、固体および有機物を除去するために浄水器が使用されてもよく、その場合、上述の方法は、いかなる残留病原体も消毒して死滅させ、いかなる溶解性重金属も除去するために使用されてもよい。加えて、そのような除去後、装置は、金属を検出するために使用されてもよい。
【0045】
本発明は、水、血液、尿、および他の水性サンプルを含むさまざまなサンプルで使用されてもよい。加えて、本発明はまた、塩素生成および塩素検出のために使用されてもよい。ラボオンチップは、重金属検出に効果的である。
【0046】
図10に示すのは、本発明のための2つの異なるシステムである。システムの1つは、入力チャンバ72と出口ポート78との間の通路70において単一の作用電極40を使用する第1の例示的なシステム、および、入力チャンバ72と出口チャンバ78との間の通路70において複数の作用電極40を有する第2の例示的なシステムである。システムはまた、通路72の各々において参照電極50と対極60とを含む。図11は、マイクロポンプ90も含む。図面の多くはマイクロポンプなしで図示されているが、それらは図示されていなくても含まれると予想される、ということが理解されるべきである。なぜなら、入口72と分析チャンバとの間でサンプルを移動させる何らかの方法が予想されるためである。ただし、いくつかのチップは、サンプルを移動させるために毛管作用を使用してもよいが、毛管作用のみに頼ることは、小さい体積のサンプルを可能にし、サンプル中の残骸によって容易にふさがれ、要望通りおよび上述のようにステップを精密に行なうための制御を欠く。
【0047】
図12Aに示すように、別個のpH電極80が、pHを調節するために含まれてもよく、pH電極がpHを修正しながらいくつかの金属をめっきする場合に、分析中のサンプルに影響を与えないように別個の通路を使用する。図12Bに示すように、pH電極は、蒸留水などの無金属液体が注入され得る第2の入力または注入チャンバ72から入力を受信してもよく、次にシステム10はpH電極を使用して、液体のpHを修正し、それを分析チャンバに注入する。pHを監視するために、pHメータ82が分析チャンバに含まれてもよい。このシステムの利点は、システムがユーザからの最小の入力でpHを自動設定または自動調節できる、ということである。チャンバ100はまた、希釈機構108として機能してもよい。
【0048】
図13に示すように、酸または塩基チャンバ102などの補足チャンバ100が使用されてもよい。マイクロポンプ(図示せず)が、酸を要望通り分析チャンバ70へ送り出してもよい。pHメータ82も分析チャンバ76に含まれてもよい。システムは、酸または塩基を要望通り送り出してもよく、pHメータは、含まれる場合、分析チャンバで所望のpHを作り出すためにどれくらいの量が添加されるかを監視し調節することができる。このシステムはかなり自動的であるが、それは、図12Aおよび図12Bと比較して、ユー
ザが酸または塩基を扱うことを必要とする。図14は、サンプルが入力チャンバ72から分析チャンバ76へ移動される際にサンプルのpHを調節するために、pH電極80を通路70に含む。pHメータもチャンバ76に含まれるであろうということが予想される。
【0049】
例示的なシステムまたは検出器のいずれにも追加され得る前処理電極75を有する前処理チャンバ74を、図14に示す。前処理チャンバ74および電極75は、上述のように機能してもよい。
【0050】
複数の並列トラックを有する検出器チップを、図15に示す。図示されるように、いくつかは、オプションのpH電極80およびpHメータ82、作用電極構成の変形を、すべて上述のさまざまな機能を達成するために有していてもよい。図示された検出器は単なる例示であり、もちろん、他の構成、形状およびスタイルで形成されてもよく、図示されたものとは異なる機能性を含んでいてもよい。上述のように、並列方法は、はるかにより高速の分析を提供することが分かっているが、並列方法は、はるかによりデータ集約型である。
【0051】
図16は、一連の分析チャンバと、追加の体積チャンバとを示す。追加の体積チャンバは、サンプルの分析チャンバへのよりよい計量を可能にする。好きなだけ多くの追加の分析チャンバが追加されてもよい。この直列方法は、図15の並列方法よりも正確である、ということが分かっている。図16はまた、新しい各チャンバへ送リ出すのに十分な水またはサンプル体積があるようにサンプル体積を緩衝するための追加の体積チャンバを示す。加えて、電極からのクロス電位を避けるために、電極同士が有効範囲の2〜3倍の間隔をあけることが推奨されるが、これは変わり得る。チャンバ同士の間隔をさらにあけることはまた、追加の体積チャンバ104を必要とすることなく、通路が流体の緩衝量として作用する、という利点を有する。これらの追加の体積チャンバ104はまた、金属を剥ぎ取る際に流れを止めるのに役立つ。いくつかのシステムは、銅、後に鉛などの金属を取り除くための一定の流れを有し得るものの、チャンバ内にいったん十分な体積があると、流れは停止され、次に、分析チャンバにおいてサンプル中の金属が剥ぎ取られることが予想される。もちろん、図10および図11に示すように、電極40はチャネルにあるため、それらは動きながら剥ぎ取ってもよく、また、対極60は通路70の壁であってもよい。いくつかのプロセスでは、十分な時間および流れの後で、銅がめっきされ、次に、陽極ストリッピングを適用して、銅が放出される際に信号を得ることができる。分析チャンバ76が1つだけ利用可能である場合には、それを複数回行なわなければならないが、図16などのように複数のチャンバが利用可能である(3つ以上の多くの分析チャンバ76を有し得る)場合には、上述のような第1のチャンバは停止して第1の金属を剥ぎ取り、中性電位に近づき、体積は次に、第1の金属がない次のチャンバへ送り出される。しかしながら、次の分析チャンバと交わる新しいサンプルの汚染を避けるために、それは、剥ぎ取るためにその流体の一部を体積チャンバ104へ送リ出し、それを繰り返して、所望の金属が第1の分析チャンバを通り過ぎて導かれないことを保証し、正確で精密な測定を保証してもよい。いずれにせよ、電極は、干渉を防止するように構成される必要があり、十分に離れるよう適切に間隔をあける必要がある。なお、10ppm対0.20ppbといった利用可能な金属の範囲は、正確な読み取り値を得るためにサンプルを通り過ぎる必要な体積の量に違いをもたらしてもよい。
【0052】
図16の検出器20に類似した検出器を、図17に示す。それは本質的に環状であるものの、それはまた、始点と終点とが異なる状態で直列に作用し得る。図17の検出器は、流体を第1の分析チャンバV1へ送リ出し、次に、銅などの所望の金属のすべてが電気めっきされるまで、所望期間sの間、その作用電極40を循環させる、ということが予想される。体積は次に、第1の分析チャンバから第2の分析チャンバへ送リ出され、次に、チャンバv2(76)における電極40は、金属2が除去されるまで、所望時間の間、循環
オン/オフされる。なお、チャンバ1は、第1の金属について同時に周期を繰り返してもよく、または、オフのままであってもよい。繰り返す場合、それは、よりクリーンなサンプルをチャンバ2に提供するであろう。プロセスは次にv3について、次にv4について繰り返される。
【0053】
図18は、表面から盛り上がった、通路における作用電極を示す。他の分析チャンバでは、図示されるように、チャンバにわたって延在する、または中心に丸い点を形成する、または側面から挿入される、類似した構成が使用され得る。
【0054】
図19は、本発明において使用可能である、ダイヤモンド電極を形成する以前の方法を示しており、ドープダイヤモンドの薄膜44を基板44に施し、次に、絶縁層48を上部に施し、次に腐食させて除去し、電極を露出させる。上述の電極は、本発明の方法のためにうまく機能するが、発明者らは、チャンバまたはチャネルへと延在する新しい電極を開発し、それにより、よりよい読み取り値、およびサンプルとのよりよい相互作用を提供する。より具体的には、電極は、窪むのではなく、表面から盛り上がっており、または周囲の表面に比べて突出している。図20に示すように、ホウ素ドープダイヤモンドなどのドープダイヤモンドの層が、基板上に設けられる。次に、酸化物の層が、ダイヤモンドの上に設けられる。酸化物は、下にあるダイヤモンド層を露出させるために選択的に設けられるかまたはエッチング除去される。酸化物は、それに欠陥がない場合、ダイヤモンドを成長させないが、それはまた、ダイヤモンド成長を防止するために水素プラズマで処理されてもよい。電極は次に、ダイヤモンドを成長させるためにシステムに配置され、ダイヤモンドは、それらが酸化物の表面に対して盛り上がる地点に到達するまで、酸化物ではなくダイヤモンド材料上で直ちに成長する。それらがいったん盛り上がると、ダイヤモンド材料が酸化物材料の上部で横向きに成長するのを防止するために、プロセスを停止させるように注意を払う必要がある。上述の水素プラズマ法に加えて、絶縁膜への予熱または変更の他のやり方が、ダイヤモンドの成長を防止するために行なわれてもよい。加えて、図19の電極を始点として使用して、ダイヤモンドを成長させた後で酸化物または絶縁層を腐食させて除去するために、硫酸および硝酸などの化学物質が使用されてもよく、ダイヤモンドは既存のダイヤモンド層の上で成長して、表面に対して盛り上がり、絶縁層は、エッジがクリーンな電極を提供するように腐食されるようになっている。断面における対極60を、図21に示す。
【0055】
コントローラ110と検出器20とを含む検出器装置10の概略図を、図22に示す。コントローラは、図示されたポテンショメータ ポテンシオスタット122、ポンプ流体制御装置126、洗浄制御装置124、およびpH制御装置120といった、さまざまなモジュールを有していてもよい。検出器20は、上述の検出器のいずれかであってもよいが、一般に、ポテンシオスタットと通信する作用電極40、参照電極50、および対極60と、オプションで、pH制御装置120と通信するpH電極80およびpHメータ82とを含むであろう。
図1
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図9
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図12A
図12B
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図19
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図21
図22