(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、各印字ラインの印字ドットの数を特定し、かつ、特定した印字ドットの数に基づいて、各印字ラインを印字するときの前記複数の発熱体の制御方式を、前記第1制御方式、前記第2制御方式、又は第3制御方式のいずれかに決定し、
前記第3制御方式は、前記複数の発熱体を同一のタイミングで発熱対象とする方式である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリンタ。
前記制御部は、前記制御方式が前記第1制御方式に決定された印字ラインを印字するときに前記発熱体に印加する電圧を第1電圧に決定し、前記制御方式が前記第1制御方式に決定された印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときに前記発熱体に印加する電圧を、前記第1電圧より高い第2電圧に決定する、
請求項1〜6のいずれかに記載のプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
(1)第1実施形態
第1実施形態について説明する。
【0020】
(1.1)プリンタの構成(
図1〜
図2)
第1実施形態のプリンタの構成について説明する。
図1は、第1実施形態のプリンタの構成を示す概略側面図である。
図2は、
図1の印字ヘッド12を構成する複数の発熱体を示す概略図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のプリンタ10は、プラテンローラ11と、印字ヘッド12と、収容部13と、を有する。
【0022】
収容部13は、ロール状の印字媒体PMを収容する機能を有する。
印字媒体PMは、感熱層および粘着層を有する連続状のラベルである。感熱層は、熱に反応して着色する。
【0023】
プラテンローラ11は、印字媒体PMを所定の搬送方向Y(+Yまたは−Y)に搬送する機能を有する。プラテンローラ11は、タイミングベルト(不図示)を介して、ステッピングモータ(不図示)に接続されている。ステッピングモータが駆動すると、プラテンローラ11は回転する。
プラテンローラ11が順方向に回転すると、収容部13に収容されたロール状の印字媒体PMは、搬送経路における収容部13側(以下「上流側」という)から排出口17側(以下「下流側」という)に向かって(つまり、方向+Yに)、帯状に繰り出される。収容部13から繰り出された帯状の印字媒体PMは、プラテンローラ11および印字ヘッド12に挟持されながら、排出口17に向かって搬送される。
プラテンローラ11が順方向とは反対の逆方向に回転すると、印字媒体PMは、下流側から上流側に向かって(つまり、方向−Yに)搬送される。
【0024】
印字ヘッド12は、印字媒体PMに画像を印字する機能を有する。
印字ヘッド12は、印字面12aを有する。印字面12aとは、印字ヘッド12の面のうち、プラテンローラ11に対向する面である。
本実施形態では、理解の容易のため、
図2に示すように、印字ヘッド12の印字面12aには、12個の発熱体E1〜E12が設けられる例について説明する。発熱体E1〜E12は、印字媒体PMが搬送される方向(以下「搬送方向」という)Yに直交する印字ラインの方向Xに沿って、配列されている。
プラテンローラ11および印字ヘッド12によって挟持された印字媒体PMの感熱層が印字ヘッド12の発熱体E1〜E12によって加熱されると、当該感熱層が発色する。これにより、印字媒体PMに画像が印字される。
画像は、例えば、テキスト、図形、バーコード、または、それらの組合せである。
【0025】
図1に示すように、収容部13から印字ヘッド12に至る印字媒体PMの搬送経路上には、光学センサ16が設けられている。光学センサ16は、受光素子16aと、発光素子16bと、を有する。プリンタ10は、光学センサ16の検出結果に応じて、印字タイミングを制御する。
【0026】
(1.2)プリンタの制御ユニット(
図3)
第1実施形態のプリンタの制御ユニットについて説明する。
図3は、
図1のプリンタ10の制御ユニット100の機能ブロック図である。
【0027】
図3に示すように、制御ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)101と、記憶装置102と、入力デバイス103と、表示デバイス104と、通信インタフェース105と、搬送制御回路106と、印字制御回路107、を備える。
【0028】
記憶装置102は、例えば、ROM、RAM、および、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)により構成される。記憶装置102には、プリンタ10の処理(例えば、印字処理)を制御するためのアプリケーションのプログラム(以下「ファームウェア」という)と、CPU101によって参照されるデータと、CPU101によって生成されるデータと、が格納される。
【0029】
CPU101は、記憶装置102に記憶されたファームウェアを実行することによって、プリンタ10の機能を実現する。
【0030】
入力デバイス103は、例えば、入力ボタン、タッチパネル、または、それらの組合せである。
【0031】
表示デバイス104は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0032】
通信インタフェース105は、プリンタ10と、外部の装置との間の通信を制御する。通信インタフェース105は、有線インタフェース、無線インタフェース、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信インタフェース、または、それらの組合せである。
外部の装置は、例えば、コンピュータ、携帯電話、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のフラッシュメモリ、または、それらの組合せである。
【0033】
搬送制御回路106は、プラテンローラ11の回転を制御する機能を有する。CPU101が、搬送制御回路106に、ステッピングモータの駆動を制御するための制御信号(例えば、パルス信号)を与えると、搬送制御回路106は、当該制御信号に従ってステッピングモータを駆動させる。
【0034】
印字制御回路107は、発熱体E1〜E12の発熱を制御する機能を有する。CPU101が、印字制御回路107に、発熱体E1〜E12の発熱を制御するための制御信号を与えると、印字制御回路107は、当該制御信号に従って発熱体E1〜E12に選択的に電圧を印加する。電圧が印加された発熱体E1〜E12は発熱する。
【0036】
第1実施形態の発熱体の制御方式について説明する。
第1実施形態の発熱体の制御方式には、第1制御方式と、第2制御方式とがある。
【0037】
(1.3.1)第1制御方式(
図4)
第1制御方式について説明する。
図4は、第1実施形態の第1制御方式の説明図である。
【0038】
図4に示すように、第1制御方式では、発熱体E1〜E12を、複数の第1グループにグルーピングする。具体的には、発熱体E1〜E12を、発熱体E1〜E4から構成される第1グループと、発熱体E5〜E8から構成される第1グループと、発熱体E9〜E12から構成される第1グループと、にグルーピングする。
タイミングT1では、発熱体E1〜E4から構成される第1グループのみが発熱対象となる。この場合、発熱対象となる第1グループを構成する発熱体E1〜E4のうち、印字ドットに対応する発熱体が発熱する。
タイミングT1の後のタイミングT2では、発熱体E5〜E8から構成される第1グループのみが発熱対象となる。この場合、発熱対象となる第1グループを構成する発熱体E5〜E8のうち、印字ドットに対応する発熱体が発熱する。
タイミングT2の後のタイミングT3では、発熱体E9〜E12から構成される第1グループのみが発熱対象となる。この場合、発熱対象となる第1グループを構成する発熱体E9〜E12のうち、印字ドットに対応する発熱体が発熱する。
【0039】
つまり、第1制御方式では、複数の発熱体E1〜E12を複数の第1グループにグルーピングする。各第1グループは、互いに隣接する2以上の発熱体(例えば、E1〜E4)から構成される。そして、1つの印字ライン上の印字ドットが、複数の第1グループ毎に異なるタイミングT1〜T3で印字媒体PMに印字されるように、印字ヘッド12を制御する。
換言すると、第1制御方式では、1つのタイミングで発熱対象となる発熱体が互いに隣接している(つまり、連続している)。
【0040】
(1.3.2)第2制御方式(
図5)
第2制御方式について説明する。
図5は、第1実施形態の第2制御方式の説明図である。
【0041】
図5に示すように、第2制御方式の第1例では、発熱体E1〜E12を、複数の第2グループにグルーピングする。具体的には、発熱体E1〜E12を、発熱体E1、E4、E7、および、E10から構成される第2グループと、発熱体E2、E5、E8、および、E11から構成される第2グループと、発熱体E3、E6、E9、および、E12から構成される第2グループと、にグルーピングする。
換言すると、第2制御方式の第1例における第2グループでは、1つのタイミングで発熱対象となるすべての発熱体が互いに離間している(つまり、連続していない)。
タイミングT1では、発熱体E1、E4、E7、および、E10から構成される第2グループのみが発熱対象となる。
タイミングT1の後のタイミングT2では、発熱体E2、E5、E8、および、E11から構成される第2グループのみが発熱対象となる。
タイミングT2の後のタイミングT3では、発熱体E3、E6、E9、および、E12から構成される第2グループのみが発熱対象となる。
【0042】
第2制御方式の第2例では、発熱体E1〜E12を、複数の第2グループにグルーピングする。具体的には、発熱体E1〜E12を、発熱体E1、E2、E7、および、E8から構成される第2グループと、発熱体E3、E4、E9、および、E10から構成される第2グループと、発熱体E5、E6、E11、および、E12から構成される第2グループと、にグルーピングする。
換言すると、第2制御方式の第2例における第2グループでは、1つのタイミングで発熱対象となる発熱体の中に、互いに隣接する2つの発熱体の組合せが複数存在し、かつ、互いに隣接する2つの発熱体の組合せ同士が互いに離間している(つまり、連続していない)。
タイミングT1では、発熱体E1およびE2の組合せ、ならびに、発熱体E7およびE8の組合せから構成される第2グループのみが発熱対象となる。
タイミングT1の後のタイミングT2では、発熱体E3およびE4の組合せ、ならびに、発熱体E9およびE10の組合せから構成される第2グループのみが発熱対象となる。
タイミングT2の後のタイミングT3では、発熱体E5およびE6の組合せ、ならびに、発熱体E11およびE12の組合せから構成される第2グループのみが発熱対象となる。
【0043】
つまり、第2制御方式では、複数の発熱体E1〜E12を、複数の第2グループにグルーピングする。各第2グループは、互いに離間している2以上の発熱体(例えば、E1、E4、E7、および、E10)から構成される。そして、1つの印字ライン上の印字ドットが、複数の第2グループ毎に異なるタイミングT1〜T3で印字媒体PMに印字されるように、印字ヘッド12を制御する。
換言すると、第2制御方式では、1つのタイミングで発熱対象となる発熱体の少なくとも一部が離間している(つまり、連続していない)。
【0044】
(1.4)印字処理のフロー(
図6〜
図9)
第1実施形態の印字処理のフローについて説明する。
図6は、第1実施形態の印字処理のフローを示すフローチャートである。
図7は、第1実施形態の制御方式の決定(
図6のS12)の詳細なフローを示すフローチャートである。
図8は、
図7のフローチャートに対応する制御方式の説明図である。
図9は、第1実施形態の制御データの作成(
図6のS13)において作成される制御データの一例を示す図である。
図6〜
図7の各ステップは、CPU101がファームウェアを実行したときの処理の一部である。
【0045】
図7〜
図9の説明において、変数n(nは、1以上の整数)は印字ラインの識別番号であり、定数Mはnの最大値(つまり、印字データに含まれる印字ラインの数)であり、K(n)は印字ラインL(n)の印字ドットの数であり、D(n)は印字ラインL(n)の印字ドットの変化量であり、TH1は第1閾値である。
印字ラインL(n)の印字ドットの変化量D(n)とは、当該印字ラインL(n)の1ライン前の印字ラインL(n−1)の印字ドットの数K(n−1)、または、当該印字ラインL(n)の1ライン後の印字ラインL(n+1)の印字ドットの数K(n+1)と、印字ラインL(n)の印字ドットの数K(n)との差の絶対値である。
【0046】
図6に示すように、はじめに、CPU101は、印字データを作成する(S10)。
具体的には、CPU101は、通信インタフェース105を介して、コンピュータから、印字すべき画像のデータ(以下「画像データ」という)を受信する。
次に、CPU101は、受信した画像データを印字データに変換する。印字データは、印字ライン毎に、複数の発熱体E1〜E12に対応する印字ドットを含むデータである。
次に、CPU101は、印字データを記憶装置102に記憶する。
【0047】
次に、CPU101は、各印字ラインの印字ドットの数を特定する(S11)。
具体的には、CPU101は、S10において記憶装置102に記憶した印字データに含まれる各印字ラインの印字ドットの数を特定する。
【0048】
図8では、印字データに含まれる印字ラインの数Mは100であるので、nは、1〜100の整数である。
印字ラインL(1)〜印字ラインL(19)の印字ドットの数K(1)〜K(19)は0であり、印字ラインL(20)の印字ドットの数K(20)は100であり、印字ラインL(21)〜印字ラインL(79)の印字ドットの数K(21)〜K(79)は100から200に向かって漸増し、印字ラインL(80)の印字ドットの数K(80)は200であり、印字ラインL(81)〜印字ラインL(100)の印字ドットの数K(81)〜K(100)は0である。
【0049】
次に、CPU101は、制御方式を決定する(S12)。
S12の詳細なフローについて、
図7を参照して説明する。
【0050】
図7に示すように、CPU101は、変数nに初期値1を設定する(S120)。これにより、先頭の印字ラインL(1)が、制御方式を決定すべき印字ライン(以下「対象ライン」という)となる。
【0051】
次に、CPU101は、対象ラインL(n)の印字ドットの数K(n)が0であるか否か(つまり、対象ラインL(n)が印字ドットを含むか否か)を判定する(S121)。
対象ラインL(n)の印字ドットの数K(n)が0である場合(S121−YES)、CPU101は、S122〜S125の処理を実行することなく、S126の処理を実行する。この場合、制御方式は決定されないので、対象ラインL(n)は、印字ドットを含まない(つまり、印字対象とならない)印字ラインとして取り扱われる。
【0052】
次に、CPU101は、対象ラインと参照ラインとの間の印字ドットの変化量D(n)を算出する(S122)。
「参照ライン」とは、対象ラインL(n)に隣接する1つの印字ライン(つまり、対象ラインL(n)の1ライン前の印字ラインL(n−1)、または、対象ラインL(n)の1ライン後の印字ラインL(n+1))である。
具体的には、CPU101は、対象ラインL(n)の印字ドットの数K(n)と、対象ラインL(n)の1ライン前の参照ラインL(n−1)の印字ドットの数K(n−1)との差の絶対値である第1絶対値を変化量D(n)として算出する。なお、変数n=1(つまり、最小値)の場合、変化量D(n)は印字ドットの数K(n)と同一とする。
第1絶対値が後述の第1閾値TH1以上となる対象ラインL(n)が特定された後は、CPU101は、対象ラインL(n)の印字ドットの数K(n)と、対象ラインL(n)の1ライン後の参照ラインL(n+1)の印字ドットの数K(n+1)との差の絶対値である第2絶対値を変化量D(n)として算出する。なお、変数n=100(つまり、最大値)の場合、変化量D(100)は、印字ドットの数K(100)と同一とする。
第2絶対値が第1閾値TH1以上となる対象ラインL(n)が特定された後は、CPU101は、再び、第1絶対値および第2絶対値を、交互に、変化量D(n)として算出する。
【0053】
図8の場合、対象ラインL(1)〜L(19)の印字ドットの変化量D(1)〜D(19)は0であり、対象ラインL(20)の印字ドットの変化量D(20)は100であり、印字ラインL(21)〜印字ラインL(79)の変化量D(21)〜D(79)は100未満の一定値であり、印字ラインL(80)の変化量D(80)は200であり、印字ラインL(81)〜印字ラインL(100)の変化量D(81)〜K(100)は0である。
【0054】
次に、CPU101は、変化量D(n)と第1閾値TH1とを比較する(S123)。
変化量D(n)が第1閾値TH1以上である場合(S123−YES)、CPU101は、対象ラインL(n)を、画像IMGのエッジ部分を含む印字ライン(以下「エッジライン」という)と判定し、エッジラインの制御方式を第1制御方式に決定する(S124)。
変化量D(n)が第1閾値TH1未満である場合(S123−NO)、CPU101は、対象ラインL(n)を画像IMGのエッジ部分を含まない印字ライン(以下「非エッジライン」という)と判定し、非エッジラインの制御方式を第2制御方式に決定する(S125)。
【0055】
図8の場合、第1閾値TH1は50である。
対象ラインL(1)〜L(19)については、印字ドットの数K(1)〜K(19)が0であるので(S121−YES)、CPU101は、制御方式を決定しない(つまり、印字対象とならない印字ラインとして取り扱う)。
対象ラインL(20)については、印字ドットの数K(20)が1以上であり(S121−NO)、かつ、変化量D(20)が第1閾値TH1以上であるので(S123−YES)、CPU101は、制御方式を第1制御方式に決定する(S124)。
対象ラインL(21)〜L(79)については、印字ドットの数K(21)〜K(79)が1以上であり(S121−NO)、かつ、変化量D(21)〜D(79)が第1閾値未満であるので(S123−NO)、CPU101は、制御方式を第2制御方式に決定する(S125)。
対象ラインL(80)については、印字ドットの数K(80)が1以上であり(S121−NO)、かつ、変化量D(80)が第1閾値TH1以上であるので(S123−YES)、CPU101は、制御方式を第1制御方式に決定する(S124)。
対象ラインL(81)〜L(100)については、印字ドットの数K(81)〜K(100)が0であるので(S121−YES)、CPU101は、制御方式を決定しない(つまり、印字対象とならない印字ラインとして取り扱う)。
【0056】
つまり、CPU101は、印字ドットの数K(n)が1以上である(つまり、印字対象となる)印字ラインL(n)の中で、変化量D(n)が第1閾値TH1以上になる印字ラインであるエッジラインの制御方式を第1制御方式に決定し、変化量D(n)が第1閾値TH1未満になる印字ラインである非エッジラインの制御方式を第2制御方式に決定する。
換言すると、CPU101は、変化量D(n)が第1閾値TH1以上になる対象ラインL(n)をエッジラインと判定し、変化量D(n)が第1閾値TH1未満になる対象ラインL(n)を非エッジラインと判定する。そして、CPU101は、エッジラインと判定した対象ラインL(n)の制御方式を第1制御方式に決定し、非エッジラインと判定した対象ラインL(n)の制御方式を第2制御方式に決定する。
【0057】
次に、CPU101は、変数nの値が最大値M(
図8の場合、100)に達したか否かを判定する(S126)。
nの値が最大値M未満である場合(S126−NO)、CPU101は、変数nに1を加算する(つまり、対象ラインL(n)を1ライン分だけシフトする)(S127)。その後、CPU101は、新たな対象ラインL(n)について、S121〜S126の処理を実行する。
変数nの値が最大値Mである場合(S126−YES)、CPU101は、
図7の処理を終了し、
図6のS13の処理を実行する。
【0058】
図6に示すように、
図7の処理(つまり、S12の処理)が終了すると、CPU101は、制御データを作成する(S13)。
図9に示すように、制御データは、「印字ライン」フィールドと、「制御方式」フィールドと、を含む。
「印字ライン」フィールドには、印字ラインを識別するための情報(以下「ラインID」という)が格納される。
「制御方式」フィールドには、CPUが、S12において決定した制御方式を示す情報を格納する。「0」は制御方式が決定されていないこと(つまり、印字ドットを含まない印字ラインであること)を示し、「1」は第1制御方式を示し、「2」は第2制御方式を示す。
CPU101は、制御データを作成した後、作成した制御データを記憶装置102に記憶する。
【0059】
次に、CPU101は、印字を開始する(S14)。
具体的には、CPU101は、S13において記憶装置102に記憶した制御データの「制御方式」フィールドの情報に従って、印字制御回路107に制御信号を与える。印字制御回路107は、CPU101によって与えられた制御信号に従って、複数の発熱体E1〜E12のそれぞれに個別に電圧を印加する。その結果、発熱体E1〜E12が、印字ライン毎に設定された制御方式(第1制御方式および第2制御方式のいずれか)に従って発熱する。
なお、「制御方式」フィールドに「0」が格納された印字ラインについては、CPU101は、複数の発熱体E1〜E12のいずれにも電圧を印加しない。その結果、当該印字ラインには、画像が印字されない。
印字(S14)が終了すると、
図8の画像IMGが印字された印字媒体PMが排出口17から排出される。
【0060】
(1.5)小括
第1実施形態について小括する。
【0061】
第1実施形態のプリンタ10は、複数の印字ラインのそれぞれの印字ドットを含む印字データに基づいて、印字媒体PMに画像IMGを印字する。
このプリンタ10は、印字ラインの方向Xに沿って配列された複数の発熱体を有する印字ヘッド12と、各印字ラインの印字ドットの数を特定し、かつ、特定した印字ドットの数に基づいて、各印字ラインを印字するときの複数の発熱体の制御方式を、第1制御方式および第2制御方式のいずれかに決定するCPU101(制御部の一例)と、を備える。
第1制御方式は、複数の発熱体を複数の第1グループにグルーピングし、かつ、各第1グループを異なるタイミングで発熱対象とする方式である。各第1グループは、互いに隣接する2以上の発熱体から構成される。
第2制御方式は、複数の発熱体を複数の第2グループにグルーピングし、かつ、各第2グループを異なるタイミングで発熱対象とする方式である。各第2グループは、2以上の発熱体から構成され、かつ、少なくとも2つの発熱体が互いに離間している。
【0062】
第1グループを構成する2以上の発熱体は互いに隣接している。換言すると、第1制御方式では、1つのタイミングで発熱対象となる発熱体が互いに隣接している(つまり、連続している)。1つの第1グループを構成する2以上の発熱体は同一のタイミングで発熱対象となる。異なる第1グループを構成する発熱体同士は、互いに、異なるタイミングで発熱対象となる。したがって、第1制御方式に従って印字された印字ラインでは、各第1グループの境界に相当する位置(
図4の発熱体E1およびE5の間の位置、ならびに、発熱体E8およびE9の間の位置)にのみ段差が生じる。したがって、画像IMGにおいて段差が目立ちにくい。
一方、第1制御方式では、各タイミングで発熱対象となる発熱体が集中している。したがって、発熱対象とならない発熱体の温度が低下し易い。したがって、第1制御方式に従って印字された印字ラインでは、画像IMGにおいて濃度のバラツキが生じ易い。
【0063】
第2グループを構成する発熱体のうち少なくとも2つの発熱体は互いに離間している。換言すると、第2制御方式では、1つのタイミングで発熱対象となる発熱体の少なくとも一部が離間している(つまり、連続していない)。1つの第2グループを構成する2以上の発熱体は同一のタイミングで発熱対象となる。異なる第2グループを構成する発熱体同士は、互いに、異なるタイミングで発熱対象となる。したがって、第2制御方式に従って印字された印字ラインでは、各第2グループの境界に相当する位置(
図5の第2制御方式の第1例では、すべての発熱体E1〜E12の位置、ならびに、第2制御方式の第2例では、発熱体E2、E4、E6、E8、および、E10の位置)に段差が生じる。第2制御方式に従って印字したときに生じる段差は、第1制御方式に従って印字したときに生じる段差より多い。つまり、第2制御方式では、第1制御方式に比べて、画像IMGにおいて段差が目立ち易い。
一方、第2制御方式では、各タイミングで発熱対象となる発熱体が分散している。したがって、第2制御方式に従って印字された印字ラインでは、画像IMGにおいて濃度のバラツキが生じにくい。
【0064】
上記のとおり、第1制御方式には、段差が目立ちにくいというメリットはあるが、濃度のバラツキが生じ易いというデメリットがある。一方、第2制御方式には、濃度のバラツキが生じにくいというメリットはあるが、段差が目立ち易いというデメリットがある。
本実施形態では、印字ライン毎に、複数の発熱体を複数のグループにグルーピングし、かつ、各グループを異なるタイミングで発熱対象とする2種類の制御方式(第1制御方式および第2制御方式)の中から、印字ライン毎に、印字ドットの数に応じた最適な制御方式が適用される。したがって、第1制御方式および第2制御方式のデメリットを回避し、かつ、メリットを享受することができる。その結果、プリンタ10の消費電力を抑制し、かつ、印字媒体PMに印字された画像IMGの印字品質の低下を防ぐことができる。
【0065】
第1実施形態のCPU101は、印字データに基づいて、各印字ラインについて、画像のエッジ部分を含む印字ラインであるエッジライン、および、画像の非エッジ部分を含む非エッジラインのいずれであるかを判定し、エッジラインの制御方式を第1制御方式に決定し、非エッジラインの制御方式を第2制御方式に決定する。
【0066】
この場合、エッジラインには第1制御方式が適用されるので、互いに隣接する2以上の発熱体が発熱する。したがって、エッジ部分の段差が目立ちにくい。これにより、画像IMGのエッジ部分の印字品質の低下を防ぐことができる。
非エッジラインには第2制御方式が適用されるので、少なくとも2つの発熱体が離間している2以上の発熱体が発熱する。発熱している発熱体の間に位置する発熱体(つまり、発熱していない発熱体)は、発熱している発熱体の熱によって暖められる。したがって、発熱体の温度のバラツキが抑制される。これにより、画像IMGの非エッジ部分の印字品質の低下を防ぐことができる。
【0067】
第1実施形態のCPU101は、複数の印字ラインのうち、制御方式を決定すべき印字ラインである対象ラインと、対象ラインに隣接する印字ラインである参照ラインとの間の印字ドットの変化量を算出し、変化量が所定の第1閾値以上である場合、対象ラインをエッジラインと判定し、変化量が第1閾値未満である場合、対象ラインを非エッジラインと判定する。
【0068】
この場合、エッジラインには第1制御方式が適用されるので、互いに隣接する2以上の発熱体が発熱する。したがって、画像IMGのエッジ部分には、段差が生じにくい。これにより、画像IMGのエッジ部分の印字品質の低下を防ぐことができる。
非エッジラインには第2制御方式が適用されるので、少なくとも2つの発熱体が離間している2以上の発熱体が発熱する。発熱している発熱体の間に位置する発熱体(つまり、発熱していない発熱体)は、発熱している発熱体の熱によって暖められる。したがって、発熱体の温度のバラツキが抑制される。これにより、画像IMGの非エッジ部分の低下を防ぐことができる。
【0069】
(2)第2実施形態
第2実施形態について説明する。第1実施形態では、各印字ラインの制御方式を、2種類の制御方式(第1制御方式および第2制御方式)のいずれかに決定する例について説明した。これに対して、第2実施形態では、各印字ラインの制御方式を、3種類の制御方式(第1制御方式〜第3制御方式)のいずれかに決定する例について説明する。
なお、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0070】
(2.1)発熱体の制御方式(
図10)
【0071】
第2実施形態の発熱体の制御方式について説明する。
第2実施形態の発熱体の制御方式には、第1制御方式〜第3制御方式がある。
なお、第1制御方式および第2制御方式は、第1実施形態と同様である。
【0072】
第2実施形態の第3制御方式について説明する。
図10は、第2実施形態の第3制御方式の説明図である。
【0073】
図10に示すように、第3制御方式では、すべての発熱体E1〜E12を、1つのタイミングT1で発熱対象とする。
つまり、第3制御方式は、複数の発熱体E1〜E12を、グルーピングすることなく、同時に発熱対象とする点において、第1制御方式および第2制御方式と異なる。
【0074】
(2.2)印字処理のフロー(
図11〜
図13)
第2実施形態の印字処理のフローについて説明する。
図11は、第2実施形態の制御方式の決定の処理(
図6のS12)の詳細なフローを示すフローチャートである。
図12は、
図11のフローチャートに対応する制御方式の説明図である。
図13は、第2実施形態の制御データの作成の処理(
図6のS13)において作成される制御データの一例を示す図である。
図11の各ステップは、CPU101がファームウェアを実行したときの処理である。
【0075】
図11〜
図13の説明において、変数n、定数M、K(n)、D(n)、および、TH1は第1実施形態と同様であり、TH2は第2閾値である。
【0076】
図11に示すように、CPU101は、第1実施形態と同様にS120〜S121の処理を実行した後、対象ラインL(n)の印字ドットの数K(n)と第2閾値TH2とを比較する(S220)。
対象ラインL(n)の印字ドットの数K(n)が第2閾値TH2未満である場合(S220−NO)、CPU101は、対象ラインL(n)の制御方式を第3制御方式に決定する(S221)。
一方、対象ラインの印字ドットの数K(n)が第2閾値TH2以上である場合(S220−YES)、CPU101は、第1実施形態と同様に、S122〜S125の処理を実行する。
【0077】
図12の場合、第1閾値TH1は50であり、第2閾値TH2は150である。
対象ラインL(1)〜L(19)については、印字ドットの数K(1)〜K(19)が0であるので(S121−YES)、CPU101は、制御方式を決定しない(つまり、印字対象とならない印字ラインとして取り扱う)。
対象ラインL(20)については、印字ドットの数K(20)が第2閾値TH2以上であり(S121−NO、かつ、S220−YES)、かつ、変化量D(20)が第1閾値TH1以上であるので(S123−YES)、CPU101は、制御方式を第1制御方式に決定する(S124)。
対象ラインL(21)〜L(50)については、印字ドットの数K(21)〜K(50)が第2閾値TH2以上であり(S121−NO、かつ、S220−YES)、かつ、変化量D(21)〜D(50)が第1閾値TH1未満であるので(S123−NO)、CPU101は、制御方式を第2制御方式に決定する(S125)。
対象ラインL(51)〜L(80)については、印字ドットの数K(51)〜K(80)が1以上であり(S121−NO)、かつ、第2閾値TH2未満であるので(S220−NO)、CPU101は、対象ラインL(51)〜L(80)の制御方式を第3制御方式に決定する(S221)。
対象ラインL(81)〜L(100)については、印字ドットの数K(81)〜K(100)が0であるので(S121−YES)、CPU101は、制御方式を決定しない(つまり、印字対象とならない印字ラインとして取り扱う)。
【0078】
その後、CPU101は、制御データを作成する(
図6のS13)。
図13に示すように、第2実施形態の制御データは、「制御方式」フィールドに、制御方式が決定されていないことを示す「0」、第1制御方式を示す情報「1」、および、第2制御方式を示す情報「2」だけでなく、第3制御方式を示す情報「3」が格納される点において、第1実施形態の制御データ(
図9)と異なる。
【0079】
(2.3)小括
第2実施形態について小括する。
【0080】
第2実施形態のプリンタ10は、複数の印字ラインのそれぞれの印字ドットを含む印字データに基づいて、印字媒体PMに画像IMGを印字する。
このプリンタ10は、印字ラインの方向に沿って配列された複数の発熱体を有する印字ヘッド12と、各印字ラインの印字ドットの数を特定し、かつ、特定した印字ドットの数に基づいて、各印字ラインを印字するときの複数の発熱体の制御方式を、第1制御方式〜第3制御方式のいずれかに決定するCPU101(制御部の一例)と、を備える。
第1制御方式は、複数の発熱体を複数の第1グループにグルーピングし、かつ、各第1グループを異なるタイミングで発熱対象とする方式である。各第1グループは、互いに隣接する2以上の発熱体から構成される。
第2制御方式は、複数の発熱体を複数の第2グループにグルーピングし、かつ、各第2グループを異なるタイミングで発熱対象とする方式である。各第2グループは、2以上の発熱体から構成され、かつ、少なくとも2つの発熱体が互いに離間している。
第3制御方式は、複数の発熱体を同一のタイミングで発熱対象とする方式である。
【0081】
第1実施形態と同様に、第1制御方式には、段差が目立ちにくいというメリットはあるが、濃度のバラツキが生じ易いというデメリットがある。
第1実施形態と同様に、第2制御方式には、濃度のバラツキが生じにくいというメリットはあるが、段差が目立ち易いというデメリットがある。
第3制御方式は、印字ライン上のすべての印字ドットに対応する発熱体(つまり、発熱対象となる発熱体のすべて)を同一のタイミングで発熱させるため、印字ラインに段差および濃度のバラツキが生じないというメリットがある。しかしながら、バッテリ等の消費電力の制約により、印字ドットの数K(n)が第2閾値TH2以上である印字ラインには適用できないというデメリットがある。
本実施形態では、印字ライン毎に、複数の発熱体を複数のグループにグルーピングし、かつ、各グループを異なるタイミングで発熱対象とする2種類の制御方式(第1制御方式および第2制御方式)、ならびに、複数の発熱体を同時に発熱対象とする制御方式(第3制御方式)の中から、印字ライン毎に、印字ドットの数に応じた最適な制御方式が適用される。したがって、第1制御方式〜第3制御方式のデメリットを回避し、かつ、メリットを享受することができる。その結果、プリンタ10の消費電力を抑制し、かつ、印字媒体PMに印字された画像IMGの印字品質の低下を防ぐことができる。
【0082】
第2実施形態のCPU101は、複数の印字ラインのうち、制御方式を決定すべき印字ラインである対象ラインの印字ドットの数と、対象ラインに隣接する印字ラインである参照ラインとの間の印字ドットの変化量を算出し、変化量が所定の第1閾値以上であり、かつ、対象ラインの印字ドットの数が所定の第2閾値以上である場合、対象ラインの制御方式を第1制御方式に決定し、変化量が第1閾値未満であり、かつ、対象ラインの印字ドットの数が前記第2閾値以上である場合、対象ラインの制御方式を前記第2制御方式に決定し、対象ラインの印字ドットの数が第2閾値未満である場合、対象ラインの制御方式を前記第3制御方式に決定する。
【0083】
この場合、印字ドットの数が多く、かつ、印字ドットの変化量が大きい印字ラインには第1制御方式が適用されるので、互いに隣接する2以上の発熱体が発熱する。したがって、画像IMGの当該変化量が大きい部分には、段差が生じにくい。これにより、画像IMGの当該変化量が大きい部分の印字品質の低下を防ぐことができる。
当該変化量が小さい印字ラインには第2制御方式が適用されるので、少なくとも2つの発熱体が離間している2以上の発熱体が発熱する。発熱している発熱体の間に位置する発熱体(つまり、発熱していない発熱体)は、発熱している発熱体の熱によって暖められる。したがって、発熱体の温度のバラツキが抑制される。これにより、画像IMGの当該変化量が小さい部分の印字品質の低下を防ぐことができる。
【0084】
(3)第3実施形態
第3実施形態について説明する。上述の実施形態では、印字ヘッド12の制御方式を決定する例について説明した。これに対して、第3実施形態では、印字ヘッド12の制御方式だけでなく、各印字ラインを印字するときに発熱対象となる発熱体に電圧を印加する時間(以下「ストローブ時間」という)を、印字ライン毎に決定する例について説明する。
なお、上述の実施形態と同様の説明は省略する。
【0085】
(3.1)プラテンローラの制御パターン(
図14)
第3実施形態のプラテンローラの制御パターンについて説明する。
図14は、第3実施形態のCPU101が搬送制御回路106に与えるパルス信号の波形、および、発熱体に印加する電圧を示す図である。このパルス信号は、ステッピングモータの駆動を制御するための制御信号である。
【0086】
第3実施形態では、CPU101は、
図6のS12の処理において、印字ヘッド12の制御方式だけでなく、プラテンローラ11の制御パターンを決定する。
【0087】
図14において、縦軸OUTはパルス信号の出力を示し、縦軸Vは発熱対象となる発熱体に印加する電圧を示し、横軸TIMEは時間を示している。P1およびP2は、それぞれ、第1パターンおよび第2パターンを示している。Q1およびQ2は、ストローブ時間を示している。R1およびR2は、プラテンローラ11の回転を停止させる時間(以下「停止時間」という)を示している。
図14に示すように、CPU101は、印字ラインL(n)毎に、搬送制御回路106に与えるパルス信号、および、発熱体に印加する電圧のパターンを、第1パターンP1および第2パターンP2のいずれかに決定する。
第1パターンP1は、印字媒体PMを1印字ライン分搬送するためにプラテンローラ11を回転させた後、時間R1だけプラテンローラ11の回転を停止させ、かつ、プラテンローラ11の回転が停止している時間R1の間に、時間Q1(Q1<R1)だけ発熱体に電圧を印加するパターンである。
第2パターンP2は、第2パターンP2は、印字媒体PMを1印字ライン分搬送するためにプラテンローラ11を回転させた後、時間R1より長い時間R2だけプラテンローラ11の回転を停止させ、かつ、プラテンローラ11の回転が停止している時間R2の間に、時間Q1より長い時間Q2(Q2<R2)だけ発熱体に電圧を印加するパターンである。
印字対象となる印字ラインのうち、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ライン以外の印字ラインには、第1パターンP1が適用される。印字対象となる印字ラインのうち、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインには、第2パターンP2が適用される。
【0088】
例えば、
図12の画像IMGを印字する場合、CPU101は、第1制御方式が適用される印字ラインL(20)を印字するときのパターンを、第1パターンP1に決定する。このとき、CPU101は、時間Q1の間、発熱対象となる発熱体に電圧を印加し続ける。したがって、時間Q1の間に、発熱体が発熱し続ける。
【0089】
CPU101は、第1制御方式が適用される印字ラインL(20)の1ライン後の印字ラインL(21)を印字するときのパターンを、第2パターンP2に決定する。このとき、CPU101は、時間Q2の間、発熱対象となる発熱体に電圧を印加し続ける。したがって、時間Q2の間に、発熱体が発熱し続ける。
ストローブ時間Q1およびQ2は、印字が行われる時間(以下「印字時間」という)に相当する。つまり、第2パターンP2の印字時間は、第1パターンP1の印字時間より長い。
【0090】
CPU101は、第2パターンP2が適用される印字ラインL(21)の1ライン後の印字ラインL(22)を印字するときのパターンを、第1パターンP1に決定する。このとき、CPU101は、時間Q1の間、電圧を印加し続ける。したがって、時間Q1の間に、発熱体が発熱し続ける。
【0091】
図14に示すように、印字ラインL(20)は、第1制御方式に従って印字される。第1制御方式では、タイミングT1において発熱した発熱体E1〜E4の温度は、タイミングT2〜T3の間に低下する。
印字ラインL(21)は、第2制御方式に従って印字される。このとき、第2制御方式の第2グループを構成する発熱体のうち、温度が低下した発熱体E1〜E4には、時間Q2の間だけ、電圧が印加される。
一般に、印字媒体PMに印字される画像IMGの印字濃度は、ストローブ時間、および、発熱体に印加する電圧の積に比例する。したがって、ストローブ時間が時間Q1より長い時間Q2である印字ラインL(21)において、発熱体E1〜E4の温度の低下に起因する印字濃度の低下を防ぐことができる。
【0092】
換言すると、第2パターンP2の、印字媒体PMの平均搬送速度(印字媒体PMの搬送距離/第2パターンP2の所要時間)は、第1パターンP1の印字媒体PMの平均搬送速度(印字媒体PMの搬送距離/第2パターンP2の所要時間)より遅い。つまり、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときには、CPU101は、他の印字ラインを印字するときより印字媒体PMの搬送速度を遅くする。したがって、第2パターンP2が適用される印字ラインL(21)の印字時間は、第1パターンP1が適用される印字ラインL(20)およびL(22)の印字時間より長くなる。
【0093】
(3.2)小括
第3実施形態について小括する。
第3実施形態のプリンタ10は、印字媒体PMを搬送するプラテンローラ11(搬送部の一例)をさらに備え、
CPU101は、制御方式が第1制御方式に決定された印字ラインを印字するときのプラテンローラ11の制御パターンを第1パターンP1に決定し、制御方式が第1制御方式に決定された印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときのプラテンローラ11の制御パターンを第1パターンP1より印字時間が長い第2パターンP2に決定する。
【0094】
上記のとおり、第1制御方式では、発熱対象とならない発熱体の温度が低下し易い。したがって、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときの発熱体の温度は、他の印字ラインを印字するときの発熱体の温度より低い。そのため、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインの印字濃度は、他の印字ラインの印字濃度より低くなり易い。
これに対して、第3実施形態では、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインの印字時間が、第1制御方式が適用される印字ラインの印字時間より長くなる。したがって、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときのストローブ時間は、第1制御方式が適用される印字ラインを印字するときより長くなる。ストローブ時間が長い程、印字媒体PMに印字される画像の印字濃度は高くなる。したがって、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインの印字濃度が高くなり、結果として、印字品質の低下を防ぐことができる。
【0095】
(3.3)変形例
第3実施形態の変形例について説明する。
本変形例は、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときに、いわゆるマルチストローブを行う例である。
【0096】
例えば、CPU101は、
図14の第2パターンP2の時間R2の間に、マルチストローブを行うための制御信号を印字制御回路107に与える。「マルチストローブ」とは、プラテンローラ11の回転が停止している間に、同一の発熱体に、複数回電圧を印加する(つまり、同一の発熱体を複数回発熱させる)ことを意味する。印字制御回路107は、当該制御信号に従って、第2グループを構成する発熱体のうち印字ドットに対応する発熱体を複数回発熱させる。その結果、マルチストローブを行う場合のストローブ時間は、マルチストローブを行わない場合よりも長くなる。
マルチストローブは、すべてのタイミング(例えば、
図5のT1〜T3)で実行してもよいし、最初のタイミング(例えば、
図5のT1)のみで実行してもよい。
【0097】
本変形例によれば、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときにマルチストローブを行うので、ストローブ時間が、第1制御方式が適用される印字ラインより長くなる。これにより、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインにおいて、発熱体の温度の低下に起因する印字濃度の低下を防ぎ、かつ、消費電力を抑制することができる。
【0098】
(4)第4実施形態
第4実施形態について説明する。第3実施形態では、印字ライン毎に、ストローブ時間を決定する例について説明した。これに対して、第4実施形態では、印字ライン毎に、発熱体に印加する電圧を決定する例について説明する。
なお、上述の実施形態と同様の説明は省略する。
【0099】
(4.1)発熱体に印加する電圧(
図15)
第4実施形態の発熱体に印加する電圧について説明する。
図15は、第4実施形態のCPU101が搬送制御回路106に与えるパルス信号の波形、および、発熱体に印加する電圧を示す図である。
【0100】
第4実施形態では、CPU101は、
図6のS12の処理において、印字ヘッド12の制御方式だけでなく、各発熱体E1〜E12に印加する電圧を決定する。
【0101】
図15において、縦軸OUTはパルス信号の出力を示し、縦軸Vは発熱対象となる発熱体に印加する電圧を示し、横軸TIMEは時間を示している。P1、P2、Q1、および、R1は、第3実施形態と同様である。
第3実施形態のパターンP1およびP2は、それぞれ、停止時間R1およびストローブ時間Q1が共通であり、かつ、発熱体に印加する電圧V1およびV2が異なる点において、第3実施形態のパターンP1およびP2と異なる。
具体的には、
図15に示すように、CPU101は、印字ラインL(n)毎に、各発熱体E1〜E12に印加する電圧を、第1電圧V1、および、第1電圧V1より高い第2電圧V2のいずれかに決定する。CPU101は、印字制御回路107に、時間Q1だけ、決定した電圧(第1電圧V1または第2電圧V2)を各発熱体E1〜E12に印加し続けるための制御信号を与える。
印字対象となる印字ラインのうち、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ライン以外の印字ラインには、第1電圧V1が適用される。印字対象となる印字ラインのうち、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインには、第2電圧V2が適用される。
【0102】
例えば、
図12の画像IMGを印字する場合、CPU101は、第1制御方式が適用される印字ラインL(20)を印字するときに各発熱体E1〜E12に印加する電圧を第1電圧V1に決定する。
CPU101は、第1制御方式が適用される印字ラインL(20)の1ライン後の印字ラインL(21)を印字するときに各発熱体E1〜E12に印加する電圧を第2電圧V2に決定する。
CPU101は、第2電圧V2を印加した後の印字ラインL(22)を印字するときに各発熱体E1〜E12に印加する電圧を第1電圧V1に決定する。
【0103】
図15に示すように、印字ラインL(20)を印字するときには、各発熱体E1〜E12には、第1電圧V1が印加される。第1制御方式では、各発熱体E1〜E12の温度は、第1電圧V1の印加が終了した後に低下する。
印字ラインL(21)を印字するときには、各発熱体E1〜E12には、第1電圧V1より高い第2電圧V2が印加される。
一般に、印字媒体PMに印字される画像IMGの印字濃度は、ストローブ時間、および、発熱体に印加する電圧の積に比例する。したがって、発熱体に印加する電圧が第1電圧V1より高い第2電圧V2である印字ラインL(21)において、各発熱体E1〜E12の温度の低下に起因する印字濃度の低下を防ぐことができる。
【0104】
換言すると、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときには、CPU101は、他の印字ラインを印字するときより各発熱体E1〜E12に印加する電圧を高くする。したがって、第1制御方式が適用される印字ラインを印字した後に各発熱体E1〜E12が冷めたとしても、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインの印字濃度の低下を防ぐことができる。
【0105】
(4.2)小括
第4実施形態について小括する。
第4実施形態のCPU101は、制御方式が第1制御方式に決定された印字ラインを印字するときに発熱体に印加する電圧を第1電圧V1に決定し、制御方式が第1制御方式に決定された印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときに発熱体に印加する電圧を、第1電圧V1より高い第2電圧V2に決定する。
【0106】
上記のとおり、第1制御方式では、発熱対象とならない発熱体の温度が低下し易い。したがって、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときの発熱体の温度は、他の印字ラインを印字するときの発熱体の温度より低い。そのため、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインの印字濃度は、他の印字ラインの印字濃度より低くなり易い。
これに対して、第4実施形態では、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときに発熱体に印加する電圧が、他の印字ラインを印字するときに発熱体に印加する電圧より高くなる。印加される電圧が高い程、印字媒体PMに印字される画像の印字濃度は高くなる。したがって、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインの印字濃度が高くなり、結果として、印字品質の低下を防ぐことができる。
また、第4実施形態では、第1制御方式が適用される印字ラインの1ライン後の印字ラインを印字するときのストローブ時間Q1が、第1制御方式が適用される印字ラインを印字するときのストローブ時間Q1と同一であるので、第3実施形態に比べて、全体の印字時間を短縮することができる。
【0108】
上記実施形態では、印字媒体PMの形態が連続状のラベルである例について説明したが、印字媒体PMの形態はこれに限られない。
印字媒体PMは、連続状の台紙に複数のラベルが仮着された形態であってもよいし、RFID(Radio Frequency IDentification)が埋め込まれた形態であってもよいし、粘着層を有さない形態(例えば、タグ、リストバンド等)であってもよい。
【0109】
上記実施形態の数値例(例えば、印字ヘッド12が有する発熱体の数、印字ラインの数、第2グループにおいて隣接する発熱体の数、ならびに、第1閾値TH1および第2閾値TH2の値)は、一例に過ぎず、本実施形態はこれらの値に限定されない。
また、第1閾値TH1および第2閾値TH2は、ユーザの指示に基づいて変更可能である。例えば、ユーザが入力デバイス103を介して第1閾値TH1および第2閾値TH2を変更する指示を与えた場合、CPU101は、当該指示に基づく値を、記憶装置102に記憶する。そして、CPU101は、
図7および
図11のS123、ならびに、
図11のS220において、記憶装置102に記憶された値を参照する。これにより、ユーザの指示に基づいて変更された第1閾値TH1および第2閾値TH2を用いて、印字処理が実行される。
【0110】
上記実施形態では、プリンタ10が、通信インタフェース105を介して受信した画像データから印字データを作成する例について説明したが、本実施形態はこれに限られない。プリンタ10は、例えば、入力デバイス103を介して受け付けられたユーザの指示に基づいて、印字データを作成してもよい。
【0111】
上記実施形態では、プリンタ10が、感熱層を発色させて印字を行う例について説明した。しかし、本実施形態は、例えば、インクリボンを用いて印字媒体PMに画像を転写するプリンタにも適用可能である。
【0112】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態および変形例は、組合せ可能である。