特許第6861267号(P6861267)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6861267
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】回転ツール
(51)【国際特許分類】
   B23D 77/14 20060101AFI20210412BHJP
   A61C 5/42 20170101ALI20210412BHJP
【FI】
   B23D77/14
   A61C5/42
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-228929(P2019-228929)
(22)【出願日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠原 潤
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−148094(JP,U)
【文献】 特開2019−155491(JP,A)
【文献】 特表2013−537823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 77/14
A61C 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にツール部と、他端に把持部とが形成され、可撓性を有するシャフトと、少なくとも一部に湾曲部を有する円筒状の外装体と、を備え、
前記シャフトの少なくとも一部に螺旋突起が形成され、前記湾曲部の少なくとも一部に対して螺旋溝が形成されており、前記螺旋突起と前記螺旋溝が螺合することで、前記外装体の内部を前記シャフトが移動可能に構成され
前記螺旋溝のピッチが、前記湾曲部の曲率の中心点から離れるに従って、大きくなることを特徴とする、回転ツール。
【請求項2】
前記螺旋突起と前記螺旋溝が螺合する際に、対向する各々のねじ山が、任意の同じ傾斜角度で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の回転ツール。
【請求項3】
前記ツールが、前記シャフトに対して着脱可能に形成されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の回転ツール。
【請求項4】
前記ツールが、前記シャフトと一体に形成されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の回転ツール。
【請求項5】
前記シャフト又は前記外装体の少なくともどちらかに一方に、前記シャフトの移動を抑制するストッパー部材が設けられていることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の回転ツール。
【請求項6】
前記外装体外周の任意の位置に、着脱可能な保持部材を設けられていることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の回転ツール。
【請求項7】
前記螺旋溝が、前記外装体の両端部から任意の長さまで形成され、前記外装体の中間部には螺旋溝が設けられていないことを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の回転ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、狭い作業環境において穿孔、切削、螺合等の回転動作を伴う作業の際に用いるツールとして、回転軸の一方にツールを有し、他方に対して回動自在な把持部が設けられた回転ツールが考案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−141923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の回転ツールでは、作業者自身の手が作業者の視界を妨げ、作業がしづらくなるといった課題がある。また、回転軸方向に対する深さ等、ツールの微調整が作業者の力加減に依存する場合があり、極めて精密な作業の場合には高い熟練技能が要求されるという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の回転ツールの課題を考慮してなされたものであり、作業者の視界を妨げることなく作業が可能であって、かつツールの微調整が容易な回転ツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の回転ツールは、一端にツール部と、他端に把持部とが形成され、可撓性を有するシャフトと、少なくとも一部に湾曲部を有する円筒状の外装体と、を備え、
前記シャフトの少なくとも一部に螺旋突起が形成され、前記湾曲部の少なくとも一部に対して螺旋溝が形成されており、前記螺旋突起と前記螺旋溝が螺合することで、前記外装体の内部を前記シャフトが移動可能に構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
この構成によると、作業箇所の周囲に障害物があっても回避することが容易となり、作業者の手を作業箇所に近づけることなく回転運動を伝えることができるため、作業者の手が妨げになることがない。また、シャフトと外装体が螺合することで、シャフトが1回転したときに軸方向に進む距離が決定されるため、熟練技能を有していなくても深さ等を微調整することが容易となる。
【0008】
また、本発明は、前記螺旋溝のピッチが、前記湾曲部の曲率の中心点から離れるに従って大きくなる、という構成であってもよい。この構成によると、前記シャフトが前記湾曲部を移動したとき、合わせて湾曲する前記シャフトに生じるピッチの変化に対応ができ、前記シャフトを滑らかに移動させることが可能になる。
【0009】
また、本発明は、前記螺旋突起と前記螺旋溝が螺合する際に、対向する各々のねじ山が、任意の同じ傾斜角度で形成されているという構成であってもよい。この構成によると、前記シャフトが前記湾曲部を移動したとき、合わせて湾曲する前記シャフトに設けられている螺旋突起のねじ山と、前記湾曲部に設けられている螺旋溝のねじ山が並行な状態で螺合するため、前記シャフトを滑らかに移動させることが可能になる。
【0010】
また、本発明は、前記ツール部が、前記シャフトに対して着脱可能に形成されているという構成であってもよい。この構成によると、用途や使用頻度に合わせて、シャフトにツールを固定するか形状違いのツールを着脱して使用することができ、また前記湾曲部を通過できないツールの使用が可能になる。
【0011】
また、本発明は、前記ツール部が、前記シャフトと一体に形成されているという構成であってもよい。この構成によると、シャフトの一端に必要形状のツールを一体に形成することで、低コストでの提供が可能になる。
【0012】
また、本発明は、前記シャフト又は前記外装体の少なくともどちらかに一方に、前記シャフトの移動を抑制するストッパー部材が設けられているという構成であってもよい。この構成によると、前記ツール部の前記外装体からの突出量を調整することが可能になる。
【0013】
また、本発明は、前記外装体外周の任意の位置に、着脱可能な保持部材を設けられているという構成であってもよい。この構成によると、前記外装体の曲率が変わることを抑制できるうえ、前記外装体を安定して保持することが可能になる。
【0014】
また、本発明は、前記螺旋溝が、前記外装体の両端部から任意の長さまで形成され、前記外装体の中間部には螺旋溝が設けられていないという構成であってもよい。この構成によると、前記螺旋溝と前記螺旋突起による螺合部を減少させることで摩擦抵抗を低減することができるため、前記シャフトが滑らかに移動することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、作業者の視界を妨げることなく作業が可能であって、かつツールの微調整が容易な回転ツールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態における全体を示した図である。
図2】第1実施形態における外装体の全体を示した図である。
図3】第1実施形態におけるシャフトの全体を示した図である。
図4】第1実施形態における外装体の断面を示した図である。
図5】第1実施形態における外装体とシャフトの螺合状態を示した図である。
図6】第2実施形態における全体を示した図である。
図7】第2実施形態における回転ツールの両端部の断面を示した図である。
図8】第2実施形態におけるシャフトの全体を示した図である。
図9】第2実施形態におけるツールの固定方法を示した図である。
図10】第2実施形態におけるツールが取り外し可能な固定方法を示した図である。
図11】第2実施形態におけるツールが一体形成されているシャフトの全体を示した図である。
図12】第3実施形態における全体を示した図である。
図13】第3実施形態における着脱可能な保持部材を示した図である。
図14】第3実施形態における保持部材の固定方法を示した図である。
図15】各実施形態におけるツール部として利用可能な螺旋状ツールの例を示した図である。
図16】各実施形態におけるツール部として利用可能なドライバーツールの例を示した図である。
図17】各実施形態におけるツール部として利用可能な研削ツールの例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図17を参照し、本発明の回転ツールの実施形態について説明する。なお、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0018】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態について、図1から図5図15から図17を参照しながら詳述する。
【0019】
(回転ツールの全体構成)
以下に、本実施形態の回転ツールの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態の回転ツール1において、外装体2とシャフト3が螺合し、ツール部32と、把持部33が外装体2から突出した状態を示している。また、図2は外装体2の全体を示した図である。また、図3は、ツール部32と把持部33を備えるシャフトの全体を示した図である。また、図4は、外装体2の円筒内面の螺旋溝を示した図である。また、図5は外装体2とシャフト3が螺合し、その螺合状態を詳細に示した図である。
【0020】
図1から図3に示すように、回転ツール1は、外装体2及びシャフト3を備えている。
【0021】
本実施形態においては、図1に示す回転ツール1において、紙面に対して左側を曲率中心方向、右側を曲率外周方向、上側をツール部方向、下側を把持部方向とする。
【0022】
本実施形態の回転ツール1では、図1に示すように外装体2の内部にシャフト3が螺合し、ツール部32と、把持部33が外装体2から突出可能に構成されている。以下、本実施形態の回転ツール1の各構成について説明する。
【0023】
(外装体)
外装体2は、少なくとも一部に湾曲部を有する円筒状であり、図4に示すように、外装体2の内周には、シャフト3と螺合可能に配置された螺旋溝21が設けられている。
【0024】
外装体2の長さは、外装体2の外径に対して20倍以上であり、且つ、外径が10mm以下であることが望ましい。また、外装体2の湾曲部の曲率の半径は、外装体2の外径に対して40倍以上とすることが望ましい。
【0025】
外装体2は、金属または樹脂で形成され、柔軟性があり塑性変形が起きない範囲で、曲率を変えることができる材質を用いることが望ましい。例えば、金属ではステンレス、チタン、黄銅、真鍮等、樹脂ではPOM、PPS、PC、ABS樹脂等を用いることが望ましい。
【0026】
これによれば、回転ツール1の使用中に作業者の保持力等で曲率がわずかに変化した場合であっても、折損せずにシャフト3を回転させることができる。
【0027】
但し、外装体2の材料や形状、寸法は、図示例に限定されるものではなく、デザイン性や用途、加工性等を勘案しながら、適宜変更しても構わない。
【0028】
(シャフト)
シャフト3は、図3に示すように、可撓性を有する材料によって形成され、外周の少なくとも一部に螺旋突起31が設けられている(螺旋突起は図3には不図示)。
【0029】
また、シャフト3の一端にはツール部32が設けられており、もう一端にはシャフトを保持するための把持部33が設けられている。
【0030】
シャフト3は、例えば、樹脂材料や金属材料、あるいは、これらの各材料を適宜組み合わせることで構成されている。但し、シャフト3の形状は、図示例の形状に限定されるものではなく、デザイン性やサイズ面を勘案しながら、適宜変更しても構わない。
【0031】
シャフト3は、金属または樹脂で形成され、可撓性があり、塑性変形が起きない範囲で、曲率を変えることができる材質を用いることが望ましい。これによれば、回転しながら進むシャフト3が、折損せずに湾曲部を通過することができる。
【0032】
(螺旋溝の構成)
図4に示すように、外装体2湾曲部内周の一部には螺旋溝21が設けられている。湾曲部の曲率をr、円弧長をPとした場合の、曲率中心方向に最も近い螺旋溝を、螺旋溝21aとし、そのピッチ長をL1とする。同様に、曲率中心方向から最も遠い螺旋溝を螺旋溝21bとし、そのピッチ長をL2とする。
【0033】
そして、本実施形態における回転ツール1では、螺旋溝21a及び螺旋溝21bにおけるピッチ長L1、L2がL1<L2となるように構成されていることが望ましい。
【0034】
(螺旋突起の構成)
図5に示すように、シャフト3外周の一部には、螺旋突起31が設けられている。曲率中心方向に最も近い螺旋突起を螺旋突起31aとし、そのピッチをM1とする。同様に、曲率中心方向から最も遠い螺旋突起を螺旋突起31bとし、そのピッチをM2とする(M1及びM2は、図5には不図示)。
【0035】
そして、本実施形態における回転ツール1では、螺旋突起31a及び螺旋突起31bにおけるピッチ長M1、M2がそれぞれ同一のピッチで配置されており、外装体2と螺合していないシャフト3単体の状態で、M1=M2となるように構成されていることが望ましい。
【0036】
(シャフトが外装体内を移動する際の動作)
シャフト3が湾曲部を有する外装体2内を移動する際、シャフト3も湾曲部の曲率に合わせて湾曲し、曲率中心側の円弧長と、曲率外周側の円弧長が異なるため、螺旋突起31のピッチ長は、曲率中心方向の螺旋突起31aでは短くなり、曲率外周方向の螺旋突起31bでは長くなる。すなわち、ピッチ長M1、M2がM1<M2となる。
【0037】
本実施形態では、外装体2において、L1<L2を満たす螺旋溝21が、螺旋突起31a及び螺旋突起32bのピッチ長の変化に対応するように形成されている。
【0038】
これにより、螺旋溝と螺旋突起の螺合時のピッチを全周で同等とすることができるため、シャフト3の回転時には、全ての螺旋溝と螺旋突起の摺動部が接触または極微小な隙間をもつ位置となる。
【0039】
したがって、接触している摺動部に応力が集中した場合には、螺旋溝21または螺旋突起31が微小に変形し、他の螺旋溝21または螺旋突起31が接触することで、応力を分散して摺動部の抵抗を軽減できるため、外装体2内をシャフト3がスムーズに回転しながら移動することが可能となる。
【0040】
(望ましい螺合状態)
図5に示すように、本実施形態において、外装体2とシャフト3が螺合する際、摺動・対向するそれぞれの螺旋溝21とそれに対応する螺旋突起31が、任意の同じ傾斜角度で形成されていることが望ましい。また、螺旋溝21及び螺旋突起31のそれぞれの角度は15度から90度未満であることが望ましい。
【0041】
これによれば、外装体2内でシャフト3を螺旋溝21に沿って摺動しながら回転する際に、螺旋溝21と螺旋突起31の摩擦抵抗を低減してスムーズに回転させることができる。
【0042】
(ツール部)
以下に、本実施形態における、ツール部32で利用可能な先端部材について図15から図17を参照しつつ説明する。なお、寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法、形状等は一例であって、それらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0043】
(ツール部で用いるツール)
ツール部32で用いる先端部材は、螺旋運動によって作用するツールであることが望ましい。図15から図17は、本実施形態において利用可能な螺旋運動によって作用するツールの例である。
【0044】
図15各図に示すように、先端部が、螺旋状のツールであってもよい。図15(a)は、従来の歯科根管治療に用いるツールの例である。図15(b)は、ゆるやかな螺旋状の刃を持った、根管を拡大及び清掃する歯科根管治療用ツールであるリーマの先端形状を示した図であり、図15(c)は、リーマよりねじれが強い螺旋状の歯科根管治療用ツールであるファイルの先端形状を示した図である。
【0045】
ツール部32で利用可能な螺旋状ツールは、歯科根管治療ツールだけに限らず、ドリルやエンドミル等、その他の用途に用いる螺旋状ツール等も含まれる。
【0046】
また、図16に示すように、先端部が、ねじ回しにおける先端部材の機能を持つツールであってもよい。図16(b)にあるように、一般的なねじ頭のくぼみ形状であるプラスやマイナス、六角等、用途に応じて適宜変更して実施することが可能である。
【0047】
加えて、図17に示すように、先端部が、研磨等の機能を持つツールであってもよい。丸棒形状の先端部材にDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)等の研磨粒を表面固着させることで、極めて精密な研磨ツールとして利用することが可能である。
【0048】
本実施形態で説明した各先端部は、シャフトと一体または別体で形成され、その形状については、用途や寸法等に応じて、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0049】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、図6から図11を参照しながら詳述する。なお、第1の実施形態と共通の項目については、説明を省略する場合がある。
【0050】
(回転ツールの全体構成)
以下に、本実施形態の回転ツール10の全体構成について説明する。
図6は、本実施形態の回転ツール10において、外装体20とシャフト30が螺合し、ツール部32と、把持部33、及びストッパー部材37が外装体20から突出した状態を示している。また、図7は外装体20とシャフト30が螺合し、ツール部32近傍と把持部33近傍における螺合状態を詳細に示した図である。
【0051】
図6に示すように、回転ツール10は、外装体20及びシャフト30を備えている。
【0052】
(外装体)
外装体20は、少なくとも一部に湾曲部を有する円筒状であり、図7に示すように、外装体20の内周が、螺旋溝等が設けられていない中間部211と、シャフト30と螺合可能に配置された、ツール部側端部から任意の長さに形成されている螺旋溝212、及び把持部側端部から任意の長さに形成されている螺旋溝213、で構成されている。
【0053】
(シャフト)
シャフト30は、図7に示すように、螺旋突起等が設けられていない中間部311と、外装体20と螺合可能に配置された、ツール部側に任意の長さで形成されている螺旋突起312、及び把持部側に任意の長さで形成されている螺旋突起313、で構成されている。
【0054】
また、図8に示すように、シャフト30の一端にはツール部32が設けられており、もう一端にはシャフトを保持するための把持部33及び、シャフト30の移動を抑制するストッパー部材37が設けられている。
【0055】
(ツール部)
図9に示すように、ツール部32は、シャフト30と別体で形成し、シャフト30に対して取付固定可能に構成されていてもよい。これによれば、シャフト30と外装体20を螺合させた後、突出してるシャフト30の一端にツールを取り付けることで、外装体20内を通過できない長尺のツールを利用することが可能となる。
【0056】
ツールの固定方法は、図9に示すように、シャフト30の一端から長手方向に任意の深さで形成された開口部を持つツール接続部34に、ツール部32を挿入し、接着によってツール部32を固定する、といった方法でもよい。
【0057】
但し、本実施形態で説明したツール部32の固定方法は一例であり、圧入や溶接等、一般的な固定に用いられる方法であればすべて含まれる。
【0058】
図10に示すように、ツール部32は、シャフト30と別体で形成し、シャフト30に対して着脱可能に構成されていてもよい。これによれば、形状が異なるツールを連続して使用する場合や、使い捨てもしくは交換頻度の高いツールを使用する場合等において、ツールの交換が容易となり、利便性が向上する。
【0059】
ツールの着脱方法は、図10に示すように、シャフト30のツール側の一端から長手方向に任意の深さで形成された開口部を持つツール接続部34に、シャフト30の短手方向から貫通孔34cを設け、ツール部32を開口部からツール接続部34に挿入後、貫通孔34cにツール固定ねじ36を挿入し固定する、といった方法であってもよい。
【0060】
また、ツールの着脱方法は、シャフト先端面に付勢バネやボールが可動する構造の異形穴を設け、シャフト30と別体で形成されたツール部32の作業に用いない一端の任意の位置の外周に、付勢バネやボールが収まる溝や穴を形成し、ツールを異形穴に押し込むことで保持される構造であってもよい。
【0061】
加えて、ツールの着脱方法は、シャフト30のツール側端面を三ツ割のチャック状に加工し、チャック部外周に雄ネジを形成し、ツールをチャックに挿入後、チャック部外周ネジ部にナット状部品を締め込むことでツールを固定する方法であってもよい。
【0062】
但し、本実施形態で説明したツールの着脱方法は一例であり、一般的な着脱に用いられる方法であればすべて含まれる。
【0063】
図11に示すように、ツール部32は、シャフト30と一体に形成されていてもよい。これによれば、外装体20内を通過できる短尺のツールを、取り替えることなく使用する場合において、シャフトの一端に必要形状のツールを一体に形成することで、低コストでの提供が可能となる。
【0064】
また、本実施形態で説明したツール部32は、本実施形態以外においても、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0065】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、図12から図14を参照しながら詳述する。なお、第1及び第2の実施形態と共通の項目については、説明を省略する場合がある。
【0066】
(回転ツールの全体構成)
以下に、本実施形態の回転ツール100の全体構成について説明する。
図12は、本実施形態の回転ツール100において、外装体2とシャフト3が螺合した状態で、ツール部32と、把持部33が外装体2から突出し、外装体2の外周に保持部材4が取り付けられた状態を示している。また、図13は、保持部材4のみを抽出した図であり、図14は、保持部材4と外装体2の接続部について詳細を示した図である。
【0067】
図12に示すように、回転ツール100は、外装体2及びシャフト3、保持部材4を備えている。以下、本実施形態の回転ツール100の各構成について説明する。
【0068】
(外装体及びシャフト)
本実施形態における外装体2及びシャフト3は、第1実施形態または第2実施形態で説明した、外装体2または外装体20、シャフト3またはシャフト30を、要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能であるため、本実施形態での説明は省略する。
【0069】
(保持部材)
保持部材4は、図12及び13に示すように、外装体2の任意の位置に取付可能な保持部材固定部41と、回転ツール100を保持することが可能な大きさに形成されているアーム部42と、複数のアーム部を接続し、保持部材固定部41の固定位置に合わせて回動可能に設けられている軸部43と、保持部材固定部41を固定するための保持部材固定ねじ44から構成されている。以下、保持部材4の各構成について説明する。
【0070】
(保持部材固定部)
保持部材固定部41は、図14に示すように、アーム部42の一端に設けられており、外装体2を挟持するための凹部と、保持部材固定ねじ44用の貫通孔が形成された、一対の固定部材から構成されていてもよい。
【0071】
保持部材固定部41は、前記凹部にて外装体2を挟み込み、前記貫通孔にて保持部材固定ねじ44を嵌合させることで、外装体2と接続及び固定することができる。
【0072】
また、保持部材固定部41は、前記凹部が外装体2の湾曲部の曲率に対応する形状であることが望ましい。これによれば、保持部材の取付位置を任意に変更でき、用途や使用者の好み等によって調節することが可能となる。
【0073】
(アーム部)
アーム部42は、図12及び図13に示すように、1本以上の長尺部材のアームで構成されており、一端には保持部材固定部41が設けられている。
【0074】
また、アーム部42は、アーム中間部が柱体であることが望ましい。これによれば、一定の強度を確保でき、保持のしやすさを向上させることが可能となる。
【0075】
但し、アーム部42の形状及び寸法は、外装体2の曲率及び寸法、保持のしやすさ等を考慮し、適宜変更して実施することが可能である。
【0076】
(軸部)
軸部43は、アーム部42が2本以上で構成されているとき、保持部材固定部41側と異なる一端に設けることができる。
【0077】
軸部43は、アーム同士を接続し、且つそれぞれのアームが軸部43を中心として回動可能に構成されていることが望ましい。これによれば、2本以上あるアーム同士の角度を適宜変更でき、用途や使用者の好み等によって調節することが可能となる。
【0078】
本実施形態で説明した、保持部材の構成及び形状、固定方法等は一例であり、要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0079】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1………回転ツール
2………外装体
21……螺旋溝
3………シャフト
31……螺旋突起
32……ツール部
33……把持部
34……ツール接続部
35……ツール固定材
36……ツール固定ねじ
37……ストッパー部材
4………保持部材
41……保持部材固定部
42……アーム部
43……軸部
44……保持部材固定ねじ
【要約】
【課題】作業者の視界を妨げることなく作業が可能であって、かつツールの微調整が容易な回転ツールを提供する
【解決手段】一端にツール部と、他端に把持部とが形成され、可撓性を有するシャフトと、少なくとも一部に湾曲部を有する円筒状の外装体と、を備え、
前記シャフトの少なくとも一部に螺旋突起が形成され、前記湾曲部の少なくとも一部に対して螺旋溝が形成されており、前記螺旋突起と前記螺旋溝が螺合することで、前記外装体の内部を前記シャフトが移動可能に構成されている、回転ツール。
【選択図】図1
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