特許第6861278号(P6861278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サウジ アラビアン オイル カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000002
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000003
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000004
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000005
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000006
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000007
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000008
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000009
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000010
  • 特許6861278-油井キックオフシステムおよび方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861278
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】油井キックオフシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/12 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   E21B43/12
【請求項の数】33
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-527528(P2019-527528)
(86)(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公表番号】特表2019-535938(P2019-535938A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】US2017063622
(87)【国際公開番号】WO2018102361
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】62/427,234
(32)【優先日】2016年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/812,256
(32)【優先日】2017年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ジンジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラストラ,ラジャエル,アドルフォ
(72)【発明者】
【氏名】ロート,ブライアン,エー.
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0326670(US,A1)
【文献】 米国特許第8851860(US,B1)
【文献】 米国特許第01559579(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0178210(US,A1)
【文献】 米国特許第05636687(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/12
F04B 47/02
F04B 47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下油井から流体を除去するための方法であって、前記方法は、
長尺部材を、前記地下油井のチューブ体内に、下部位置まで前記チューブ体自体が移動する長さ降下させることであって、前記長尺部材は、前記長尺部材の端部に配置されたプランジャを有し、前記プランジャが前記地下油井の中に向かう方向に移動すると、前記流体は前記プランジャの外面と、前記チューブ体の内径面との間の間隙を通過することと、
前記プランジャの外面が前記チューブ体の前記内径面と密封係合した状態で、前記地下油井から出る方向にバルブ本体を移動させ、流体を前記地下油井から引き上げることとを含み、
前記長尺部材を前記地下油井の前記チューブに降下させると、前記長尺部材はリールから広げられ、
前記バルブ本体を前記地下油井から出る方向に移動させることは、前記長尺部材を前記リール上に再び巻くことであり、
前記長尺部材が下部位置にあるとき、前記長尺部材は前記リールの周りにコイル状のままであり、
前記長尺部材は前記リールから広げられ地表に配置された液圧リニアポンプで前記リールに再び巻き戻される、方法。
【請求項2】
前記長尺部材は、ロッド、コイル状チューブ体、ワイヤライン、およびスリックラインからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プランジャは前記バルブ本体であり、前記バルブ本体が前記地下油井の中に向かう方向に移動すると、前記流体は一方向バルブのバルブ開口部を通過して前記バルブ本体に入る、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記地下油井から出る方向に前記バルブ本体を移動させることは、前記流体が前記バルブ開口部を通過できないように前記一方向バルブを閉鎖位置に移動させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
地下油井から流体を除去するための方法であって、前記方法は、
長尺部材を、前記地下油井のチューブ体内に、下部位置まで前記チューブ体の移動長さ降下させることであって、前記長尺部材は、前記長尺部材の端部に配置されたバルブ本体を有し、前記バルブ本体が前記地下油井の中に向かう方向に移動すると、前記流体は一方向バルブのバルブ開口部を通過して、前記バルブ本体内に入る、降下させることと、
前記一方向バルブが閉鎖位置に移動して、前記流体が前記バルブ開口部を通過できないように、前記バルブ本体が、前記地下油井から出る方向に移動され、前記流体を前記地下油井から出る方向に移動させることとを含み、
前記チューブ体は、前記長尺部材が前記チューブ体の上端に近接する上部位置と前記下部位置との間で自由に移動するように、前記長尺部材の動きを制限する前記移動長さに沿ったチューブ体内径制限デバイスを含まず、
前記地下油井から前記流体は、前記長尺部材を通って産生される、方法。
【請求項6】
前記長尺部材を、前記地下油井の前記チューブ体内に降下させることは、前記長尺部材をリールから広げることを含み、前記バルブ本体を前記地下油井から出る方向に移動させることは、前記長尺部材を前記リール上に再び巻くことを含み、
前記長尺部材が下部位置にあるとき、前記長尺部材の一部はリールの周りにコイル状のままであり、
前記長尺部材は、前記リールから広げられ、地表に配置された液圧リニアポンプで前記リールに巻き戻す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記長尺部材は、コイル状チューブ体である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記長尺部材が前記地下油井から移動すると、前記バルブ本体が前記チューブ体の内径面と密封係合する、請求項5からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記長尺部材が前記地下油井に移動すると、および前記長尺部材が前記地下油井から移動すると、前記バルブ本体が前記チューブ体の内径面と密封係合する、請求項5からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記バルブ本体は、前記長尺部材の前記端部に固定される、請求項5からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記長尺部材内に延在するロッドをさらに含み、前記バルブ本体を前記地下油井から出る方向に移動させることは、前記ロッドを前記地下油井から出る方向に移動させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
地下油井から掘削および仕上げ流体を除去するための方法であって、前記方法は、
長尺部材を、前記地下油井のチューブ体内に、下部位置まで前記チューブ体の移動長さ降下させることであって、前記長尺部材は、前記長尺部材の端部に配置され、固定された、バルブ本体を有し、前記長尺部材が前記地下油井の中に向かう方向に移動すると、前記流体は、一方向バルブのバルブ開口部を通過して前記バルブ本体内に入る、降下させることと、
前記一方向バルブが閉鎖位置に移動して、前記流体が前記バルブ開口部を通過できないように、前記長尺部材が、前記地下油井から出る方向に移動され、前記流体を前記地下油井から出る方向に移動させることであって、前記長尺部材は、全移動長さを前記地下油井から出る方向に移動されることとを含み、
前記長尺部材を前記地下油井に向かう方向と前記地下油井から出る方向に移動して、前記坑井から掘削および仕上げ流体がなくなるまで、前記長尺部材を前記地下坑井から取り外し、前記地下坑井の流体が前記長尺部材のない表面に産生する、方法。
【請求項13】
前記長尺部材は、ロッドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記長尺部材を前記地下油井から出る方向に移動させた場合、前記バルブ本体の外径が、前記チューブ体の内径と密封係合する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記バルブ本体は、前記長尺部材の外径と前記チューブ体の前記内径との間の環と流体連通することによって、前記長尺部材を前記地下油井から出る方向に移動させると、前記環内の前記流体が、前記地下油井から出る方向に移動する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記長尺部材はコイル状チューブ体であり
前記長尺部材を前記地下油井の前記チューブに降下させると、前記長尺部材はリールから広げられ、
前記バルブ本体を前記地下油井から出る方向に移動させることは、前記長尺部材を前記リール上に再び巻くことであり、
前記長尺部材が下部位置にあるとき、前記長尺部材は前記リールの周りにコイル状のままであること、および
前記長尺部材は前記リールから広げられ、地表に配置された液圧リニアポンプで前記リールに再び巻き戻される、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
定置バルブが、前記チューブ体の前記移動長さよりも軸方向下方の前記チューブ体内に配置され、前記定置バルブは、前記長尺部材を前記地下油井の前記チューブ体内に降下させたときに、前記流体が前記チューブ体の下端から出ることを防ぐ、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記長尺部材を、前記地下油井の前記チューブ体内に降下させた場合、および、前記長尺部材を、前記地下油井から出る方向に移動させた場合、前記バルブ本体の外径は、前記チューブ体の内径と密封係合する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
地下油井から掘削および仕上げ流体を除去するための方法であって、前記方法は、
チューブ体の移動長さよりも軸方向下方で前記チューブ体内に定置バルブを設定することと、
中空の長尺部材を、前記地下油井の前記チューブ体内に、前記チューブ体の下端に近接する下部位置まで前記チューブ体の前記移動長さ降下させることであって、前記長尺部材を前記地下油井の前記チューブ体内に降下させるときに、前記定置バルブは、前記流体が前記チューブ体の前記下端から出るのを防ぎ、前記中空の長尺部材を前記チューブ体内に降下させている間、バルブ本体の外径が、前記チューブ体の内径と密封係合し、前記流体を、前記地下油井から出る方向に、前記長尺部材を通って移動させる、降下させることと、
前記長尺部材を、前記地下油井から出る方向に移動させることであって、前記長尺部材を、前記地下油井から出る方向に移動させている間、前記バルブ本体の前記外径が、前記チューブ体の前記内径と密封係合する、移動させることとを含み、
前記長尺部材は、全移動長さを前記地下油井から出る方向に移動され
前記長尺部材を前記地下油井に向かう方向と前記地下油井から出る方向に移動させ、前記地下油井から掘削および仕上げ流体がなくなるまで、前記長尺部材を前記地下油井への方向および前記地下油井から出る方向に移動させ、前記地下油井の前記流体が前記長尺部材なしで前記地表に産生するように、前記長尺部材を前記地下油井から出る方向に移動させる、方法。
【請求項20】
前記長尺部材の循環バルブは、前記中空の長尺部材を、前記チューブ体内に降下させている間、閉鎖位置にあり、前記循環バルブは、前記長尺部材を前記地下油井から出る方向に移動させている間、開放位置にある、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記長尺部材が前記地下油井の中に向かう方向に移動すると、前記流体は一方向バルブのバルブ開口部を通過して前記バルブ本体に入り、前記一方向バルブは閉鎖位置に移動し、前記長尺部材を前記地下油井から出る方向に移動させている間、前記流体はバルブ開口部を通過することができない、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
地下油井から掘削および仕上げ流体を除去するための方法であって、前記方法は、
中空の長尺部材を、前記地下油井のチューブ体内に、下部位置まで前記チューブ体の移動長さ降下させることであって、前記長尺部材は、前記長尺部材の端部にバレルを有し、前記長尺部材内にロッドが延在し、前記ロッドは、前記ロッドの端部および前記バレル内に配置されたバルブ本体を有する、降下させることと、
前記地下油井から出る方向と、前記地下油井の中に向かう方向との間で、前記ロッドを往復運動させ、これによって、
前記ロッドを前記地下油井から出る方向に移動させると、下部一方向バルブが閉じ、上部一方向バルブが開き、前記バルブ本体内の前記流体が、前記バルブ本体から、および前記長尺部材へ移動し、
前記ロッドを前記地下油井の中に向かう方向に移動させると、前記下部一方向バルブが開き、前記上部一方向バルブが閉じ、前記地下油井内の前記流体が、前記バルブ本体に移動すること、および
前記地下油井に掘削および仕上げ流体がなくなるまで、前記地下油井に向かう方向と前記地下油井から出る方向に前記ロッドを移動し、前記地下油井から前記ロッドを取り外して、前記地下油井の前記流体が前記ロッドなしで地表に産生することを含み、
前記チューブ体は、前記長尺部材の移動を制限する、前記移動長さに沿ったチューブ体内径制限デバイスを含まず、これによって、前記長尺部材は、前記チューブ体の上端に近接する上部位置と下部位置との間で自由に移動できる、方法。
【請求項23】
前記長尺部材は、コイル状チューブ体であり、コイルチューブ体リールの端部に配置された表面の液圧リニアポンプが、前記地下油井から出る方向と、前記地下油井の中に向かう方向との間で前記ロッドを往復運動させる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ロッドは、個々のロッド、連続的なコイル状ロッド、またはワイヤからなる群から選択される、請求項22または請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ロッドが前記長尺部材の内径面に係合することを防ぐために、前記ロッドを前記長尺部材内に集中させることをさらに含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
地下油井から掘削および仕上げ流体を除去するための地下油井の流体除去システムであって、前記流体除去システムは、
前記地下油井のチューブ体内に、前記チューブ体の下端に近接した距離だけ、下部位置まで前記チューブ体の移動長さ延在するように寸法決めされた長尺部材と、
前記長尺部材の端部に配置されたバルブ本体と、
前記バルブ本体が前記地下油井に移動すると流体がバルブ開口部を通過して前記バルブ本体内に入ることができる開放位置と、前記バルブ本体が前記地下油井から移動すると前記流体が前記バルブ開口部を通過することができない閉鎖位置との間で移動可能である一方向バルブとを有し、
前記チューブ体は、前記移動長さに沿ったチューブ体内径制限デバイスを含まないので、前記長尺部材は、前記チューブ体の上端に近接する上部位置と前記下部位置との間で自由に移動可能となり、
前記長尺部材は、前記地下油井から取り外し可能であり、前記地下油井に掘削および仕上げ流体がなくなった後、前記地下油井の流体は前記長尺部材なしで地表に産生される、流体除去システム。
【請求項27】
前記長尺部材の一部は、流体除去操業中にリールの周りにコイル状のままであり、前記長尺部材が前記リールから広げられ、地表に配置された液圧リニアポンプで前記リールに巻き戻される、請求項26に記載の流体除去システム。
【請求項28】
前記長尺部材は、コイル状チューブ体である、請求項26または請求項27に記載の流体除去システム。
【請求項29】
前記長尺部材は、ロッド、ワイヤライン、およびスリックラインからなる群から選択される、請求項26に記載の流体除去システム。
【請求項30】
前記長尺部材が前記地下油井から移動すると、前記バルブ本体は前記チューブ体の内径面と密封係合する、請求項26から29のいずれか一項に記載の流体除去システム。
【請求項31】
前記長尺部材が前記地下油井に移動すると、および前記長尺部材が前記地下油井から移動すると、前記バルブ本体は前記チューブ体の内径面と密封係合する、請求項26から30のいずれか一項に記載の流体除去システム。
【請求項32】
前記バルブ本体は、前記長尺部材の前記端部に固定される、請求項26から31のいずれか一項に記載の流体除去システム。
【請求項33】
前記長尺部材内に延在するロッドをさらに含み、前記バルブ本体は、前記ロッドの端部に固定される、請求項26に記載の流体除去システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、油井キックオフ操業に関し、特に、油井キックオフ操業中に地下の炭化水素油井から重質流体を除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素開発油井の掘削および仕上げは、通常、油井制御の目的で、泥のような重質流体とのオーババランスによって行われる。重質流体の密度は、流体カラムによる静水圧が地層圧力よりも高くなるように、バライト、硫酸バリウムのような増量剤を使用して調整される。油井が抑圧される、または、枯渇すると、表面に炭化水素は産生されず、安全な操業が保証される。仕上げまたは改修の後、一部の油井では、貯留層の圧力が低いために、最初は何らかの形態の人工的な引き上げがないと生産を開始できない。したがって、油井が抑圧される、または、枯渇すると、油井キックオフと呼ばれる操業でこれらの流体を抜き取らないと生産を開始できない。
【0003】
他の状況では、油井は、高い含水率または濃厚な凝縮物を生成する可能性があり、意図的であろうとなかろうと、一時休業が起こると、液体が坑井に蓄積し沈降する可能性がある。この一時休業は、施設のメンテナンスなどの理由で発生する可能性がある。水と凝縮物が坑井内に沈殿し、静水頭が高くなり、油井の再操業を自然に防ぐ。この液体の充填は、キックオフ操業なしでの油井再操業を阻止し得る。
【0004】
いくつかの現在のシステムでは、油井キックオフまたは操業開始は、窒素キックオフとして知られているように、コイルチューブ体を使用して窒素注入を用いて行われる。油井を活性化するための1つの一般的な実施は、業界でN2キックオフとして知られているように、コイルチューブ体を使用してN2注入を用いることである。コイルチューブ体は、すべての制御バルブを開いた状態で、クリスマスツリーの頂部から油井生産チューブ体内に挿入される。安全な操業を保証するために、コイルチューブ体の吹き出し防止装置として知られている油井制御機器が操業に使用される。N2は、現場で発生させることも、液体としてタンクに入れて坑井現場に持ち込み、加熱して気体にすることもできる。窒素は、油井に注入されると、チューブ体内に気泡を形成する。これらの気泡は、チューブ体内の重質流体を引き上げるのに役立つ。この揚力作用は、坑井内の静水圧のカラム重量を低減させる。坑井内の圧力が貯留層の圧力を下回ると、油井は流れ始める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に開示された実施形態は、現在のシステムおよび方法と比較して、効率的にかつ低い運用コストで油井生産を開始するためのシステムおよび方法を提供する。本開示の特定のシステムおよび方法は、コイルチューブ体の必要性を排除する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態では、地下油井から流体を除去するための方法は、長尺部材を、地下油井のチューブ体内に、下部位置までチューブ体の移動長さ降下させることを含み、長尺部材は、長尺部材の端部に配置されたプランジャを有し、プランジャが地下油井の中に向かう方向に移動すると、流体はプランジャの外面と、チューブ体の内径面との間の間隙を通過する。プランジャは、プランジャの外面がチューブ体の内径面と密封係合した状態で地下油井から出る方向に移動し、流体を地下油井から引き上げる。
【0007】
代替実施形態では、長尺部材は、ロッド、コイル状チューブ体、ワイヤライン、およびスリックラインであり得る。プランジャはバルブ本体とすることができ、バルブ本体が地下油井の中に向かう方向に移動すると、流体は一方向バルブのバルブ開口部を通過してバルブ本体に入ることができる。地下から出る方向にバルブ本体を移動させることは、流体がバルブ開口部を通過できないように一方向バルブを閉鎖位置に移動させることを含み得る。
【0008】
本開示の一実施形態では、地下油井から流体を除去するための方法は、長尺部材を、地下油井のチューブ体内に、下部位置までチューブ体の移動長さ降下させることを含み、長尺部材は、長尺部材の端部に配置されたバルブ本体を有し、バルブ本体が地下油井の中に向かう方向に移動すると、流体は一方向バルブのバルブ開口部を通過して、バルブ本体に入る。一方向バルブが閉鎖位置に移動して、流体がバルブ開口部を通過できないように、バルブ本体が地下油井から出る方向に移動され、流体を地下油井から出る方向に移動させる。チューブ体は、長尺部材の動きを制限する、移動長さに沿ったチューブ体内径制限デバイスを含まないので、長尺部材は、チューブ体の上端に近接する上部位置と下部位置との間で自由に移動する。
【0009】
代替実施形態では、長尺部材を地下油井のチューブ体内に降下させることは、長尺部材をリールから広げることを含むことができ、バルブ本体を地下油井から出る方向に移動させることは、長尺部材をリール上に再び巻くことを含むことができる。長尺部材は、コイル状チューブ体、ロッド、ワイヤライン、またはスリックラインであり得る。
【0010】
他の代替実施形態では、長尺部材が地下油井から移動すると、バルブ本体がチューブ体の内径面と密封係合することができる。長尺部材が地下油井に移動すると、および長尺部材が地下油井から移動すると、バルブ本体は交互にチューブ体の内径面と密封係合することができる。バルブ本体は、長尺部材の端部に固定され得る。ロッドは、長尺部材内に延在し、バルブ本体を地下油井から出る方向に移動させることは、ロッドを地下油井から出る方向に移動させることを含み得る。
【0011】
本開示の代替実施形態では、地下油井から流体を除去するための方法は、長尺部材を、地下油井のチューブ体内に、下部位置までチューブ体の移動長さ降下させることを含み、長尺部材は、長尺部材の端部に配置され、固定された、バルブ本体を有し、長尺部材が地下油井の中に向かう方向に移動すると、流体は、一方向バルブのバルブ開口部を通過してバルブ本体内に入る。一方向バルブが閉鎖位置に移動し、流体がバルブ開口部を通過できないように、長尺部材が、地下油井から出る方向に移動され、流体を地下油井から出る方向に移動させ、長尺部材は、全移動長さを地下油井から出る方向に移動される。
【0012】
代替実施形態では、長尺部材を地下油井から出る方向に移動させたとき、バルブ本体の外径がチューブ体の内径と密封係合することができる。バルブ本体の外径は、長尺部材を地下油井のチューブ体内に降下させたとき、および、長尺部材を地下油井から出る方向に移動させたとき、チューブ体の内径と交互に密封係合することができる。バルブ本体は、長尺部材の外径とチューブ体の内径との間の環と流体連通することができ、それにより、長尺部材を地下油井から出る方向に移動させると、環内の流体を、地下油井から出る方向に移動させることができる。長尺部材はコイル状チューブ体とすることができ、長尺部材を地下油井から出る方向に移動させると、コイル状チューブ体内の流体を、地下油井から出る方向に移動させることができる。チューブ体の移動長さよりも軸方向下方のチューブ体内に定置バルブを配置することができ、定置バルブは、長尺部材を地下油井のチューブ体内に降下させるときに、流体がチューブ体の下端から出ることを防ぐことができる。
【0013】
本開示のさらに別の代替実施形態では、地下油井から流体を除去するための方法は、チューブ体の移動長さよりも軸方向下方でチューブ体内に定置バルブを設定することを含む。中空の長尺部材が、地下油井のチューブ体内に、下部位置までチューブ体の移動長さ降下され、長尺部材を地下油井のチューブ体内に降下させるときに、定置バルブは、流体がチューブ体の下端から出ることを防ぎ、中空の長尺部材をチューブ体内に降下させている間、バルブ本体の外径が、チューブ体の内径と密封係合し、流体を、地下油井から出る方向に、長尺部材を通って移動させる。長尺部材は、地下油井から出る方向に移動され、長尺部材を、地下油井から出る方向に移動させている間、バルブ本体の外径がチューブ体の内径と密封係合する。長尺部材は、全移動長さを地下油井から出る方向に移動される。
【0014】
代替実施形態では、長尺部材の循環バルブは、中空の長尺部材をチューブ体内に降下させている間、閉鎖位置にあることができ、循環バルブは、長尺部材を地下油井から出る方向に移動させている間、開放位置であることができる。長尺部材が地下油井の中に向かう方向に移動すると、流体は一方向バルブのバルブ開口部を通過してバルブ本体に入ることができ、一方向バルブは閉鎖位置に移動することができ、長尺部材を地下油井から出る方向に移動させている間、流体はバルブ開口部を通過することができない。
【0015】
本開示のさらに別の代替実施形態では、地下油井から流体を除去するための方法は、中空の長尺部材を、地下油井のチューブ体内に、下部位置までチューブ体の移動長さ降下させることを含み、長尺部材は、長尺部材の端部にバレルを有し、ロッドが、長尺部材内に延在し、ロッドは、ロッドの端部およびバレル内に位置するバルブ本体を有する。ロッドは、地下油井から出る方向と地下油井の中に向かう方向との間で往復運動し、これによって、ロッドを地下油井から出る方向に移動させると、下部一方向バルブが閉じ、上部一方向バルブが開き、バルブ本体内の流体が、バルブ本体の外および長尺部材に移動し、ロッドを地下油井の中に向かう方向に移動させると、下部一方向バルブが開き、上部一方向バルブが閉じ、地下油井内の流体が、バルブ本体に移動する。チューブ体は、移動長さに沿ったチューブ体内径制限デバイスを含まないので、長尺部材は、チューブ体の上端に近接する上部位置と下部位置との間で自由に移動する。
【0016】
代替実施形態では、長尺部材をコイル状チューブ体とすることができ、コイルチューブ体リールの端部に位置する表面における液圧リニアポンプが、地下油井から出る方向と地下油井の中に向かう方向との間でロッドを往復運動させることができる。ロッドは、個々のロッド、連続的なコイル状ロッド、またはワイヤからなる群から選択され得る。ロッドが長尺部材の内径面に係合するのを防ぐために、ロッドを長尺部材内に集中させることができる。
【0017】
本出願の他の実施形態では、地下油井のための流体除去システムは、地下油井のチューブ体内に、下部位置までチューブ体の移動長さ、延在するように寸法決めされた長尺部材を含む。バルブ本体は、長尺部材の端部に配置されている。一方向バルブは、バルブ本体が地下油井に移動すると流体がバルブ開口部を通過してバルブ本体内に入ることができる開放位置と、バルブ本体が地下油井から移動すると流体がバルブ開口部を通過することができない閉鎖位置との間で移動可能である。チューブ体は、移動長さに沿ったチューブ体内径制限デバイスを含まないので、長尺部材は、チューブ体の上端に近接する上部位置と下部位置との間で自由に移動可能である。
【0018】
代替実施形態では、長尺部材の一部は、流体除去操業中、リールの周りにコイル状のままであり得る。長尺部材は、コイル状チューブ体またはロッドであり得る。長尺部材が地下油井の外へ移動すると、バルブ本体はチューブ体の内径面と密封係合することができる。長尺部材が地下油井に移動すると、および長尺部材が地下油井から移動すると、バルブ本体はチューブ体の内径面と密封係合することができる。バルブ本体は、長尺部材の端部に固定され得る。ロッドは長尺部材内に延在することができ、バルブ本体はロッドの端部に固定され得る。
【0019】
本開示の実施形態の上記の特徴、態様、および利点、ならびに明らかになるであろうその他が達成され、詳細に理解できるように、上記で簡単に要約される開示のより具体的な記載が、本明細書の一部を構成する図面に例示されているその実施形態を参照することによってなされ得る。しかしながら、添付の図面は本開示の好ましい実施形態のみを例示し、したがって本開示の範囲を限定するとみなされるべきではなく、本開示は他の同等に有効な実施形態を認め得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態による流体除去システムの断面図である。
図2a】地下油井に移動することを図示する、請求項1の流体除去システムのバルブ本体の断面図である。
図2b】地下油井から移動することを図示する、請求項1の流体除去システムのバルブ本体の断面図である。
図3a】本開示の一実施形態による、地下油井に移動するプランジャとして図示する、流体除去システムのバルブ本体の断面図である。
図3b】本開示の一実施形態による、地下油井から移動するプランジャとして図示する、流体除去システムのバルブ本体の断面図である。
図4】本開示の一実施形態による流体除去システムの断面図である。
図5】本開示の一実施形態による流体除去システムの断面図である。
図6】本開示の一実施形態による流体除去システムの断面図である。
図7】本開示の一実施形態による、図6の流体除去システムと関連して使用されるコイル状チューブ体リールの側面図である。
図8】本開示の一実施形態による、図6の流体除去システムと関連して使用される液圧ピストンポンプを有するコイル状チューブ体リールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施形態は、本開示の実施形態を例示する添付の図面を参照して、以下により十分に記載される。しかしながら、本開示のシステムおよび方法は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の例示された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろこれらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全であり、かつ開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。全体を通して、類似の番号は類似の要素を指し、プライム表記が用いられる場合、代替実施形態または配置における類似の要素を示す。
【0022】
以下の説明では、本開示の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が述べられる。しかしながら、本開示の実施形態がそのような具体的な詳細なしで実施され得ることは当業者には明らかであろう。さらに、大部分は、油井掘削、貯留層試験、油井仕上げなどに関する詳細は、本開示の完全な理解を得るために必要とはみなされず、当業者の熟練内であるとみなされるので省略される。
【0023】
図1を見ると、地下油井12のための流体除去システム10が図示されている。地下油井12は、地表14(図7)から、炭化水素貯留層16に隣接する地下位置まで延在する。地下油井は、炭化水素貯留層16を通過してそれを越えて第2または第3またはそれ以上の貯留層まで延在することができる。地下油井12は略垂直な油井として図示されているが、地下油井12は代わりに、傾斜したまたは水平な部分のような非垂直な部分を有することができる。地下油井12の側面から炭化水素貯留層16への穿孔18は、炭化水素貯留層16と地下油井12との間の流体連通を助けることができ、その結果、生産された流体は、矢印「F」で図示されるように炭化水素貯留層16から地下油井12へと流れ得る。
【0024】
チューブ体20は地下油井12内に延在することができる。チューブ体20は、生産された流体を、炭化水素貯留層16から坑口19(図6)のような地表システムに送るために、地表14から炭化水素貯留層16付近まで延在する生産チューブ体であり得る。パッカは、チューブ体20を取り囲み、チューブ体20の外径と地下油井12の内径との間に画定された外環24を密封することができる。
【0025】
流体除去システム10は、長尺部材26を含む。長尺部材26は、地下油井12のチューブ体20内に、下部位置までチューブ体20の移動長さ21(図6)延在するように寸法決めされる。図1の例では、下部位置はチューブ体20の下端に近接しているように図示されている。代替実施形態では、下部位置は、チューブ体20の頂部とチューブ体20の下端との間の任意の距離にあり得る。特定の実施形態では、本明細書でさらに十分に説明されるように、長尺部材26は、コイル状チューブ体のような中空の長尺部材であり得るか、またはロッドもしくはワイヤであり得る。長尺部材26は、金属材料または複合材料で形成することができる。
【0026】
バルブ本体28は、長尺部材26の端部に配置されている。バルブ本体28は、チューブ体20の内径内に嵌合するような大きさの外径を有する略管状形状の部材である。いくつかの実施形態では、本明細書でさらに詳しく説明するように、バルブ本体28は一方向バルブ30を有する。一方向バルブ30は、バルブ本体28が地下油井12に移動すると、流体がバルブ開口部32を通過してバルブ本体28内に入ることができる開放位置と、バルブ本体28が地下油井12から移動すると、流体がバルブ開口部32を通過できない閉鎖位置との間で移動可能である。
【0027】
他の代替実施形態では、バルブ本体28は循環バルブ34(図5)を有する。循環バルブ34は、長尺部材26をチューブ体20内に下降させている間は閉鎖位置にあり得、循環バルブ34は、地下油井12から出る方向に長尺部材26を移動させている間は開放位置にあり得る。
【0028】
本開示の各実施形態では、チューブ体20は、長尺部材26の外径よりも小さい内径開口部を有するチューブ体20の移動長さ21に沿ったチューブ体内径制限デバイスを含まないので、長尺部材26は、チューブ体20の上端に近接する上部位置と下部位置との間で自由に移動可能である。たとえば、最初に回収する必要なしに、長尺部材26がチューブ体20の移動長さ21に沿って移動することを防ぐような、チューブ体20の移動長さ21に沿ったチューブ体20内のアンカ、バルブ、または他のセット機器はあり得ない。しかしながら、干渉しないチューブ体20には若干の制限があり得る。たとえば、ニップル内径、背圧バルブのための坑口形状、または長尺部材26が上部位置と下部位置との間で自由に移動するようにチューブ体20内に十分な内径空間を依然として提供する地下安全バルブが存在し得る。流体除去システム10は、キックオフ中にのみ使用される一時的なシステムであり、チューブ体20の移動長さ21に沿って完全に自由に移動可能なシステムを有することは、より効率的な流体除去方法を提供する。
【0029】
図1の実施形態をより具体的に見ると、バルブ本体28は、長尺部材26の端部に固定された略円筒形の部材である。図1の実施形態では、長尺部材26は、ロッドのような中実部材、またはコイル状チューブ体のような中空部材であり得る。長尺部材26がロッドであるとき、ロッドは、互いに接続された個々のロッド、連続的なコイル状ロッド、またはワイヤライン、またはスリックラインから構成され得る。
【0030】
バルブ本体28は、長尺部材26の外径とチューブ体20の内径との間で、バルブ本体28の内部と内環38との間の流体連通をもたらす上部開口部36を有する。
【0031】
図2aを見ると、一方向バルブ30は、ボール40とシート42とを有するボール逆止型バルブとして図示されている。代替実施形態では、一方向バルブ30は、当該技術分野で知られている他のタイプの一方向バルブとすることができる。バルブ本体28が地下油井12の中に向かう方向に移動すると、一方向バルブ30は開放位置にあり、流体は一方向バルブ30のバルブ開口部32を通過してバルブ本体28内に入る。その後、流体は、上部開口部36を通過して内環38内に入ることができる。図2aに図示されるように、バルブ本体28が地下油井12の中に向かう方向に移動すると、バルブ本体28の外径は、チューブ体20の内径と密封係合することなく収縮位置にあることができる。バルブ本体28は、その自重によってチューブ体20の中に向かう方向に移動することができるか、または長尺部材26によって下方に押され得る。
【0032】
図1および図2bを見ると、バルブ本体28を地下油井12から出る方向に移動させると、一方向バルブ30が閉鎖位置に移動し、流体はバルブ開口部32を通過することができない。図1および図2bに図示されるように、長尺部材26およびバルブ本体28が地下油井12から出る方向に移動すると、バルブ本体28の外径は膨張位置にあり、チューブ体20の内径面と密封係合することができる。したがって、バルブ本体28を地下油井12から出る方向に移動させると、バルブ本体28内、および内環38内でバルブ本体28の軸方向上方にある流体が、地下油井12から出る方向に移動し、地表に産生され得る。
【0033】
バルブ本体28は、特別に設計されたシールまたは1つ以上の一方向バルブのいずれかを使用して、流体がバルブ本体28を越えて上方方向にのみ循環することを可能にするプランジャであり得る。バルブ本体28は、バルブ本体28が地下油井12から出る方向に移動すると、バルブ本体28内に閉じ込められた流体の重量によって膨張位置に移動し得る。あるいは、当該技術分野で知られているアクチュエーションシステムを使用して、バルブ本体28を膨張位置に移動させることができる。他の代替実施形態では、バルブ本体28の周囲に配置された別個のシールまたは一方向バルブは、バルブ本体28の外径と、チューブ体20の内径面との間に環状シールを形成するために、チューブ体20の内径面を密封係合することができる。
【0034】
図3a〜図3bを見ると、バルブ本体28は、特別に設計されたシールまたは1つ以上の一方向バルブのいずれかを使用して、流体がプランジャ29を越えて上方方向にのみ循環することを可能にするピストンまたはプランジャ29であり得る。図3a〜図3bの実施形態では、プランジャ29は一方向バルブを有していない。プランジャ29は、プランジャ29の重量によって、または長尺部材26がロッドまたはコイル状チューブ体であるときに長尺部材26によって及ぼされる押力との組み合わせのいずれかによって、チューブ体20の中に向かう方向に移動することができる。プランジャ29がチューブ体20の中に向かう方向に移動すると、プランジャ29の外面とチューブ体20の内径面との間のギャップによって、流体がプランジャ29を迂回することが可能になる(図3a)。プランジャ29は、長尺部材26によって及ぼされる引張力で、チューブ体20から出る方向に移動する。プランジャ29がチューブ体20から出る方向に移動すると、プランジャ29の外面はチューブ体20の内径面と密封係合し、流体を地下油井12から引き上げる(図3b)。
【0035】
チューブ体20は、バルブ本体28の外径よりも小さい内径開口部を有する、チューブ体20の移動長さ21に沿った内径制限デバイスを含まないので、バルブ本体28は、図2a〜図2bおよび図3a〜図3bに図示されるように、地下油井12から流体を引き出すために、移動長さ21全体を、チューブ体20の上端の地表14に近接する上部位置から、下部位置まで延在するストロークにわたって往復運動させることができ、効率的なポンプシステムを提供する。チューブ体20および油井近くの領域に、激しい掘削、仕上げ、または他の流体がなくなるまで、バルブ本体を移動長さ21に沿って必要に応じて何度でも往復運動させることができ、地下油井12が地表にそれを産生させることができる。
【0036】
図4を見ると、代替実施形態では、バルブ本体28は、長尺部材26の端部に固定された略円筒形の部材である。図4の実施形態では、長尺部材26は、コイル状チューブ体のような中空部材であり得る。バルブ本体28の内部は、長尺部材26の孔44と流体連通している。
【0037】
図4の実施形態では、バルブ本体28は、流体がバルブ本体28の内部にのみ循環し、長尺部材26に上方向に入ることを可能にする。一方向バルブ30は、ボール40とシート42とを有するボール逆止型バルブとして図示されている。代替実施形態では、一方向バルブ30は、当該技術分野で知られている逆止バルブまたは他のタイプの一方向バルブとすることができる。バルブ本体28が地下油井12の中に向かう方向に移動すると、一方向バルブ30は開放位置にあり、流体は一方向バルブ30のバルブ開口部32を通過してバルブ本体28内に入る。その後、流体は長尺部材26の孔44に入ることができる。
【0038】
バルブ本体28を地下油井12から出る方向に移動させると、一方向バルブ30は閉鎖位置に移動し、流体はバルブ開口部32を通過することができない。したがって、バルブ本体28を地下油井12から出る方向に移動させると、長尺部材26およびバルブ本体28内の流体は、地下油井12から出る方向に移動し、地表に産生され得る。チューブ体20は、バルブ本体28の外径よりも小さい内径開口部を有するチューブ体20の移動長さ21に沿った内径制限デバイスを含まないので、バルブ本体28は、地下油井12から流体を引き出すために、移動長さ21全体を、チューブ体20の上端の地表14に近接する上部位置から、下部位置まで延在するストロークにわたって往復運動させることができ、効率的なポンプシステムを提供する。チューブ体20および油井近くの領域に、激しい掘削、仕上げ、または他の流体がなくなるまで、バルブ本体を移動長さ21に沿って必要に応じて何度でも往復運動させることができ、地下油井12が地表にそれを産生させることができる。
【0039】
図5を見ると、代替実施形態では、バルブ本体28は、長尺部材26の端部に固定された略円筒形の部材である。図5の実施形態では、長尺部材26は、コイル状チューブ体のような中空部材であり得る。バルブ本体28の内部は、長尺部材26の孔44と流体連通している。図5の実施形態では、バルブ本体は一方向バルブ30、循環バルブ34、または一方向バルブ30と循環バルブ34との両方を有することができる。
【0040】
スワブカップ46は、長尺部材26が地下油井12に移動すると、および長尺部材26が地下油井12から移動すると、バルブ本体28の外径とチューブ体20の内径面との間に環状シールを形成するようにバルブ本体28を囲むことができる。定置バルブ48は、チューブ体20の移動長さ21よりも軸方向下方でチューブ体20内に配置されている。定置バルブ48は、長尺部材26を地下油井12のチューブ体20内に降下させるときに、流体がチューブ体20の下端から出ることを防ぐ。したがって、定置バルブ48は、長尺部材26を地下油井12のチューブ体20内に降下させるときに、流体が炭化水素貯留層16内に押し込められることを防ぐ。
【0041】
長尺部材26がチューブ体20の中に向かう方向に移動すると、スワブカップ46がチューブ体20内の流体を押しのけ、流体を、地表に産生するように、地下油井12から出る方向に長尺部材26の上に押し上げる。より軽量の流体をスワブカップ46の背後のチューブ体20にポンプで送り込んで、長尺部材26が地下油井12の中に向かう方向に移動するのを助けることができる。長尺部材26がチューブ体20内でチューブ体20の移動長さ21だけ延びると、長尺部材26は方向を変え、地下油井12から出る方向に移動することができる。
【0042】
一方向バルブ30を有する図5の実施形態では、一方向バルブ30は、ボール40およびシート42を有するボール逆止型バルブとして図示されている。代替実施形態では、一方向バルブ30は、当該技術分野で知られている他のタイプの一方向バルブとすることができる。バルブ本体28が地下油井12の中に向かう方向に移動すると、一方向バルブ30は開放位置にあり、流体は一方向バルブ30のバルブ開口部32を通過してバルブ本体28内に入る。その後、流体は長尺部材26の孔44に入ることができる。バルブ本体28を地下油井12から出る方向に移動させると、一方向バルブ30は閉鎖位置に移動し、流体はバルブ開口部32を通過することができない。したがって、バルブ本体28を地下油井12から出る方向に移動させると、長尺部材26およびバルブ本体28内の流体は、地下油井12から出る方向に移動し、地表に産生され得る。
【0043】
循環バルブ34を有する図5の実施形態において。循環バルブ34は、長尺部材26をチューブ体20内に下降させている間は閉鎖位置にあり得、循環バルブ34は、地下油井12から出る方向に長尺部材26を移動させている間は開放位置にあり得る。閉鎖位置では、循環バルブ34は、長尺部材26の外径とチューブ体20の内径との間の内環38内の流体が、長尺部材26の孔44内の流体と連通することを防ぐ。長尺部材26をチューブ体20内に降下させる間、スワブカップ46の下方の流体は孔44に入り、地表に産生されるであろう。長尺部材26の上方への移動は、循環バルブ34を開き、孔44内の流体が内環38と連通することを可能にし、長尺部材26の容易な回収を提供する。
【0044】
チューブ体20は、長尺部材26の外径よりも小さい内径開口部を有する、チューブ体20の移動長さ21に沿った内径制限デバイスを含まないので、バルブ本体28は、地下油井12から流体を引き出すために、移動長さ21全体を、チューブ体20の上端の地表14に近接する上部位置から下部位置まで延在するストロークにわたって往復運動させることができ、効率的なポンプシステムを提供する。チューブ体20および油井近くの領域に、重い穴あけ、仕上げ、または他の流体がなくなるまで、バルブ本体を移動長さ21に沿って必要に応じて何度でも往復運動させることができ、地下油井12が地表にそれを産生することができる。
【0045】
図6図8を見ると、長尺部材26は、コイル状チューブ体のような中空部材であり得る。ロッド50は、長尺部材26内に延在する。ロッド50は、個々のロッド、連続的なコイル状ロッド、またはバルブ本体28を往復運動させるのに十分な剛性および強度を有するワイヤから構成することができる。ロッド50が長尺部材26の内径面に係合することを防ぐために、ロッド50を長尺部材26内のセントラライザ62を用いて集中させ、ロッド50と長尺部材26との両方の磨耗と裂けを低減する。
【0046】
バルブ本体28は、ロッド50の端部に固定され、長尺部材26の端部に配置された略円筒形の部材である。バルブ本体28は、長尺部材26の孔44と流体連通する内部を有する。図6の実施形態では、バルブ本体28はポンププランジャであり、長尺部材26の端部はポンプバレル52を画定する。バルブ本体28はバレル52内に配置されている。バルブ本体28の外径はバレル52の内径と密封係合する。
【0047】
図6の実施形態では、バルブ本体28は、2つの一方向バルブ30、下部一方向バルブ54、および上部一方向バルブ56を有する。地下油井12から出る方向にロッド50を移動させると、下部一方向バルブ54が閉じ、上部一方向バルブ56が開き、バルブ本体28内の流体がバルブ本体28の外および長尺部材26の中に移動する。ロッド50を地下油井12の中に向かう方向に移動させると、下部一方向バルブ54が開き、上部一方向バルブ56が閉じ、地下油井12内の流体がバルブ本体28に移動する。あるいは、地下油井12から出る方向にロッド50を移動させることは、地下油井12から出る方向にバルブ本体28内の流体を移動させるために、下部一方向バルブ54および上部一方向バルブ56の両方を閉じることができ、地下油井12の中に向かう方向にロッド50を移動させることは、地下油井12内の流体がバルブ本体28に移動するように、下部一方向バルブ54および上部一方向バルブ56の両方を開く。このようにして、ロッド50を長尺部材26内で往復運動させて、地下油井12内の流体を地表にポンプ輸送することができる。
【0048】
図6を見ると、一方向バルブ30は、ボールおよびシートを有するボール逆止型バルブとして図示されている。代替実施形態では、一方向バルブ30は、フラッパバルブのような当該技術分野で知られている他のタイプの一方向バルブとすることができる。
【0049】
チューブ体20は、長尺部材26の外径よりも小さい内径開口部を有する、チューブ体20の移動長さ21に沿った内径制限デバイスを含まないので、長尺部材26は、チューブ体20の上端の地表14に近接した上部位置から下部位置まで移動長さ21全体に沿ってチューブ体20内に下部位置まで降下され、追加の構成要素を設定および回収する必要なしに、再び効率的に除去することができる。
【0050】
図7図8を見ると、コイル状チューブ体として図示されている長尺部材26が、コイル状チューブ体リール58の周りに巻かれている。流体除去システム10は一時的なシステムであるので、長尺部材26の外側端部は、流体除去システム10の動作期間中、コイル状チューブ体リール58の周りにコイル状のままであり得る。ロッド50は、地表14に配置されかつコイル状チューブ体リール58の端部に取り付けられた液圧リニアポンプ60を用いて、地下油井12から出る方向と、12地下の中に向かう方向との間で往復運動することができる。
【0051】
図1図8を参照すると、動作の一例では、流体除去システム10の実施形態によるキックオフ動作中に地下油井から流体を除去するために、長尺部材26は、チューブ体20の移動長さ21にわたって地下油井12のチューブ体20内に、下部位置まで降下させることができる。バルブ本体28が地下油井12の中に向かう方向に移動すると、流体がバルブ開口部32を通過してバルブ本体28内に入ることができる。その後、バルブ本体28は、地下油井12から出る方向に移動することができ、往復運動は、地下油井12から出る方向に流体を移動させる。チューブ体20は、移動長さ21に沿って、長尺部材26およびバルブ本体28の外径よりも小さい内径開口部を有するチューブ体内径制限デバイスを含まないので、バルブ本体28は、チューブ体20の上端に近接した上部位置と下部位置との間で自由に移動する。特定の実施形態では、長尺部材26は移動長さ21全体に沿って往復運動することができる。
【0052】
長尺部材26がコイル状チューブ体またはロールされたロッドである場合、長尺部材26をリールから広げることによって、長尺部材26をチューブ体20内に下降させることができ、地下油井12から出る方向にバルブ本体28を移動させることは、長尺部材26を再び巻いてリールに戻すことを含むことができる。流体除去システム10は一時的なシステムとして使用することができるので、長尺部材26の一部は、流体除去動作中にリールの周りにコイル状のままにすることができる。
【0053】
したがって、既存の貯留層圧力が流体を地表に引き上げるのに不十分であり、外部揚力エネルギが必要とされるときに、油井生産を開始するためのシステムおよび方法が本明細書に開示される。本開示のシステムおよび方法の特定の実施形態は、ストロークの長さが生産チューブ体の長さにのみ制限されるように、生産チューブ体がポンプバレルとして使用されるか、またはコイル状チューブ体の全長がバレルとして使用されることを提供する。特定の実施形態の往復動作は、コイル状チューブ体ユニットの動力およびリールを使用して達成される。本明細書に記載のシステムおよび方法は、必要に応じて、一時的用途または長期的用途のために使用することができる。
【0054】
したがって、本明細書に記載の開示の実施形態は、目的を実行し、言及された目標および利点、ならびにそれに固有の他のものを達成するようによく適合されている。本開示の現時点で好ましい実施形態が、開示の目的で与えられているが、所望の結果を達成するための手順の詳細には多数の変更が存在する。これらおよび他の同様の変更は当業者に容易に示唆され、そして本開示の精神および添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8