(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
製造対象の三次元物体の1つの面上に光硬化樹脂を選択的に硬化することにより形成される層を用いる層ごとのプロセスによって製造対象の三次元物体を形成する三次元プリントシステムであって、
前記光硬化樹脂を含むための容器、および
少なくとも第1の光エンジンおよび第2の光エンジンを含む複数の光エンジン、
を備え、
前記第1の光エンジンが、第1の構築フィールドを画定する第1のアレイのピクセル要素を規定する第1の光変調器を含み、前記第2の光エンジンが、第2の構築フィールドを画定する第2のアレイのピクセル要素を規定する第2の光変調器を含み、前記第1の構築フィールドおよび前記第2の構築フィールドがオーバーラップ・ゾーンに沿ってオーバーラップし、
前記第1の光エンジンが、
(a)前記第1の構築フィールドに対応する第1の入射スライスエネルギーデータアレイを受け取る工程;
(b)前記第1の入射スライスエネルギーデータアレイを処理し、前記第1の光エンジンの前記第1のアレイのピクセル要素に対応する第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイを提供する工程であって、前記処理が前記オーバーラップ・ゾーン内の前記第1のピクセル要素に第1の透明マスクを適用する工程を含み、前記第1の透明マスクは2つの拡張閾値ゾーンの間の遷移ゾーンを画定し、前記拡張閾値ゾーンは、前記第1の構築フィールドのエッジに近接する第1の拡張閾値ゾーンを含み、前記第1の透明マスクは、前記拡張閾値領域において10パーセントより低い第1の透明値を有する、工程;および
(c)前記第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイに基づいて前記第1の構築フィールドに光エネルギーを供給し、前記樹脂を選択的に硬化する工程、
を行うように構成され、
前記遷移ゾーン中の前記透明値の平均勾配の大きさが、前記第1の拡張閾値ゾーン中の前記透明値の平均勾配の大きさの少なくとも2倍である
ことを特徴とする、三次元プリントシステム。
前記複数の光エンジンが、第3の光エンジンおよび第4の光エンジンを含み、前記第3の光エンジンは第3の構築フィールドを画定し、前記第4の光エンジンは第4の構築フィールドを画定し、前記第1、第2、第3、および第4の構築フィールドはオーバーラップして4フィールドオーバーラップ・ゾーンを画定し、前記第1の透明マスクはさらに、前記遷移ゾーンを囲む4面拡張閾値ゾーンを画定することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の三次元プリントシステム。
前記第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイをフォーマットしイメージフレームを規定する工程、および、前記イメージフレームをデジタルミラーデバイスに供給する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の三次元プリントシステム。
前記第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイをフォーマットする工程が、ピクセル要素エネルギー値を、ビット平面のシーケンスを表すバイナリ数に変換する工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の三次元プリントシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光源と組み合わせた空間光変調器は、光硬化樹脂内の「構築平面」を照射し、樹脂を選択的に硬化する。構築平面は、空間光変調器のピクセル要素に対応するピクセル要素に分けられる。標準的な空間光変調器は、100万以上のピクセル要素を有する。これは、製造対象の比較的小さい物体のために高解像度を提供しうる。製造対象のより大きい物体では、単一の空間光変調器を用いると、サイズに対応するために臨界寸法が生じる。
【0005】
より大きいサイズおよびより小さい臨界寸法を提供するための1つの方法は、光エンジンを組み合わせて構築平面を画定することである。しかしながら、これは課題を有する。1つの光エンジンが終わり別の光エンジンが開始する「横方向継ぎ目(lateral seam)」領域が、製造対象の三次元物体の重要場部分を作製するために利用される。このことは、光エンジンがエッジアーチファクトおよび欠陥を有する傾向にあり、これらは横方向継ぎ目領域の品質に悪影響を与えうるので、問題となりうる。これらのアーチファクトおよび欠陥の硬化を抑制しながら、光エンジンを組み合わせる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様において、三次元プリントシステムは、積層工程により製造対象の三次元物体を形成するよう構成される。層は、製造対象の三次元物体の下面の上に光硬化樹脂を選択的に付加することにより形成される。層は、「複合構築平面」に近接しかつその上の樹脂を固化することにより形成され、複合構築平面は、三次元プリントシステムによりアドレス可能な二次元横方向領域である。三次元プリントシステムは、容器、複数の光エンジン、およびコントローラを含む。容器は、光硬化樹脂を含むためのものである。複数の光エンジンは、少なくとも第1の光エンジンおよび第2の光エンジンを含む。第1の光エンジンは第1の構築フィールドを画定し、第2の光エンジンは第2の構築フィールドを画定する。第1の構築フィールドおよび第2の構築フィールドは、オーバーラップ・ゾーンに沿ってオーバーラップする。第1の光エンジンは、以下の工程を行うように構成される:(a)第1の構築フィールドに対応する第1の入射スライスエネルギーデータアレイを受け取る工程;(b)第1の入射スライスエネルギーデータアレイを処理し、第1の光エンジンの第1のピクセル要素に対応する第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイを提供する工程であって、前記処理がオーバーラップ・ゾーン内の第1のピクセル要素に第1の透明マスクを適用する工程を含み、第1の透明マスクは2つの拡張閾値ゾーンの間の遷移ゾーンを画定し、拡張閾値ゾーンは、分析された光エンジンの幾何エッジ欠陥の幅に基づき第1の構築フィールドのエッジに近接する第1の拡張閾値ゾーンを含む幅を有し、第1の透明マスクは、拡張閾値領域における透明閾値より低い第1の透明値を有する、工程;および(c)第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイに基づいて第1の構築フィールドに光エネルギーを供給し、樹脂を選択的に硬化する工程。
【0007】
1つの実装形態において、三次元プリントシステムはさらに、垂直方向に製造対象の三次元物体を平行移動するための移動機構を含む。コントローラは、複数の光エンジンおよび移動機構に電気的に接続または無線接続されている。三次元プリントシステムは、プロセッサおよび情報記憶装置を含む。情報記憶装置は、プロセッサにより実行されると、複数の光エンジン、移動機構、および三次元プリントシステム内の他の装置をコントロールする命令を記憶する。プロセッサおよび情報記憶装置は、コントローラ内に配置されてもよい、または、コントローラと光エンジンとの間に分散されてもよい。プロセッサおよび情報記憶装置は、単一の集積回路内に統合されてもよい、または、1つの場所にあるおよび/または三次元プリントシステム内に分配されてもよい複数の集積回路の中に分散されてもよい。
【0008】
別の実装形態において、透明閾値は、6パーセント未満である。別の実施形態において、透明閾値は、4パーセント未満である。さらに別の実施形態において、透明閾値は、2パーセント以下である。
【0009】
さらに別の実装形態において、オーバーラップ・ゾーンは、少なくとも約20ピクセル幅であり、この幅は構築フィールド間のオーバーラップの程度を画定する。別の実装形態において、オーバーラップ・ゾーンは、少なくとも約50ピクセル幅である。さらに別の実装形態において、オーバーラップ・ゾーンは、少なくとも約100ピクセル幅である。さらなる実施形態において、オーバーラップ・ゾーンは、100〜160ピクセル幅である。さらなる実施形態において、オーバーラップ・ゾーンは、110〜150ピクセル幅である。別の実施形態において、オーバーラップ・ゾーンは、120〜140ピクセル幅である。
【0010】
さらなる実施形態において、拡張閾値ゾーンは、少なくとも5ピクセル幅である。別の実施形態において、拡張閾値ゾーンは、少なくとも10ピクセル幅である。さらに別の実施形態において、拡張閾値領域は、少なくとも15ピクセル幅である。さらなる実施形態において、拡張閾値領域は、少なくとも19ピクセル幅である。
【0011】
さらなる実装形態において、遷移ゾーン中の透明度の平均勾配の大きさは、第1の拡張閾値ゾーン中の透明度の平均勾配の大きさの少なくとも2倍である。遷移ゾーンまたは拡張閾値ゾーンのいずれかにおける勾配は概して、オーバーラップ・ゾーンの短軸に沿って方向づけられる。
【0012】
別の実装形態において、第2の光エンジンは、以下の工程を行うように構成される:(a)第2の構築フィールドに対応する第2の入射スライスエネルギーデータアレイを受け取る工程;(b)第2の入射スライスエネルギーデータアレイを処理し、第2の光エンジンの第2のピクセル要素に対応する第2のスケーリングおよび修正されたデータアレイを提供する工程であって、前記処理がオーバーラップ・ゾーン内の第2のピクセル要素に第2の透明マスクを適用する工程を含み、第2の透明マスクは2つの拡張閾値ゾーンの間の第2の遷移ゾーンを画定し、拡張閾値ゾーンは、分析された光エンジンの幾何エッジ欠陥の幅に基づき第2の構築フィールドのエッジに近接する第2の拡張閾値ゾーンを含む幅を有し、第2の透明マスクは、第2の拡張閾値領域における透明閾値より低い第2の透明値を有する、工程;および(c)第2のスケーリングおよび修正されたデータアレイに基づいて第2の構築フィールドに光エネルギーを供給し、樹脂を選択的に硬化する工程。1つの実施形態において、第1の透明値および第2の透明値の合計は、オーバーラップ・ゾーンにおいて100パーセントに実質的に等しい。別の実施形態において、複数の光エンジンは、第3の光エンジンおよび第4の光エンジンを含み、第3の光エンジンは第3の構築フィールドを画定し第4の光エンジンは第4の構築フィールドを画定し、第1、第2、第3、および第4の構築フィールドはオーバーラップして4フィールドオーバーラップ・ゾーンを画定し、第1の透明マスクはさらに、遷移ゾーンを囲む4面拡張閾値ゾーンを画定し、第1の透明値は、4面拡張閾値ゾーンにおける閾値よりも低い。
【0013】
さらに別の実装形態において、第1の光エンジンはさらに、第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイをフォーマットし、イメージフレームを規定しこのイメージフレームをデジタルミラーデバイスに供給するよう構成される。1つの実施形態において、第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイをフォーマットする工程は、ピクセル要素エネルギー値を、ビット平面のシーケンスを表すバイナリ数に変換する工程を含む。
【0014】
本開示の第2の態様において、三次元プリントシステムは、積層工程により製造対象の三次元物体を形成するよう構成される。層は、製造対象の三次元物体の下面の上に光硬化樹脂を選択的に付加することにより形成される。層は、「複合構築平面」に近接しかつその上の樹脂を固化することにより形成され、複合構築平面は、三次元プリントシステムによりアドレス可能な二次元横方向領域である。三次元プリントシステムは、容器、複数の光エンジン、およびコントローラを含む。容器は、光硬化樹脂を含むためのものである。複数の光エンジンは、対応する複数の構築フィールドを画定する。複数の構築フィールドは、複合構築平面を集合的に画定する。複数の構築平面は、1つ以上のオーバーラップ・ゾーンを画定し、各オーバーラップ・ゾーンは、横方向XおよびY軸に沿って画定される。複数の光エンジンは、以下の工程を行うように集合的に構成される:(a)複数の構築フィールドに対応する複数の入射スライスエネルギーデータアレイを受け取る工程;(b)複数の入射スライスエネルギーデータアレイを処理し、対応する複数のスケーリングおよび修正されたデータアレイを提供する工程であって、前記処理が1つ以上のオーバーラップ・ゾーンに複数の透明マスクを適用する工程を含み、複数の透明マスクが、少なくとも1つの横方向に沿って変化する光エンジンのための透明値を画定し、複数の透明マスクが、遷移ゾーンに隣接する拡張閾値ゾーンを画定し、拡張閾値ゾーン内の透明値は、横方向の限界に近い光エンジンについて6パーセント未満である、工程;および(c)スケーリングおよび修正されたデータアレイに基づいて複合構築平面に光エネルギーを供給し、樹脂を選択的に硬化する工程。
【0015】
1つの実装形態において、1つ以上のオーバーラップ・ゾーンは、2フィールドオーバーラップ・ゾーンを含み、その上で2つの構築フィールドがオーバーラップする。2フィールドオーバーラップ・ゾーンは、軸Xに沿って画定される主軸を有する。2フィールドオーバーラップ・ゾーン内の所定の光エンジンについての透明値T(Y)は、軸Yに沿って勾配GRADT(Y)を有する。2フィールドオーバーラップ・ゾーンは、その間に遷移ゾーンを有する2つの構築フィールドのエッジに近接する2つの拡張閾値ゾーンを含む。1つの実施形態において、2フィールドオーバーラップ・ゾーンの遷移ゾーン内のGRADT(Y)の大きさは、2フィールドオーバーラップ・ゾーンの拡張閾値ゾーンにおけるGRADT(Y)の大きさの少なくとも2倍である。別の実施形態において、T(Y)は、光エンジンの1つについて拡張閾値ゾーンにおいて4パーセント未満である。さらに別の実施形態において、T(Y)は、光エンジンの1つについて拡張閾値ゾーンにおいて2パーセント未満である。
【0016】
別の実装形態において、1つ以上のオーバーラップ・ゾーンは、4フィールドオーバーラップ・ゾーンを含み、その上で4つの異なる構築フィールドがオーバーラップする。4フィールドオーバーラップ・ゾーンは、遷移ゾーンを囲む4面拡張閾値ゾーンを含む。1つの実施形態において、4フィールドオーバーラップ・ゾーン内の透明値T(X,Y)は、横軸XおよびYで変化する勾配GRADT(X,Y)を有する。別の実施形態において、4フィールドオーバーラップ・ゾーンは、実質的に四角の形状を有する。遷移ゾーンにおけるGRADT(X,Y)は、拡張閾値ゾーンにおけるGRADT(X,Y)の大きさの少なくとも2倍の大きさを有しうる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、例示的な三次元プリントシステム2の概略ブロック図である。この図および後続の図を説明するに際し、互いに直交する軸X、YおよびZが使用される。軸XおよびYは横軸である。いくつかの実施形態では、XおよびYは水平方向軸でもある。軸Zは中心軸である。いくつかの実施形態では、Zは垂直方向軸である。いくつかの実施形態では、方向+Zは全体的に上に向かう方向であり、方向−Zは全体的に下に向かう方向である。
【0019】
三次元プリントシステム2は、光硬化可能な樹脂6を含む容器4を備えている。容器4は、容器4の下方表面9の少なくとも一部を規定する、透明シート8を含んでいる。複合光エンジン10は、透明シート8を介して上方に光を投射して光硬化樹脂6を固化するように配されており、これにより、製造対象の三次元物体12が形成される。製造対象の三次元物体12は、固定具14に取り付けられている。固定具14を垂直方向軸Zに沿って移動させるために、移動機構16が固定具14に連結されている。
【0020】
コントローラ18は、光エンジン10および移動機構16に電気的に接続または無線接続されている。コントローラ18は、情報記憶装置22に接続されたプロセッサ20を含んでいる。情報記憶装置は、非一時的なまたは不揮発性の記憶装置(図示せず)を含んでおり、その非一時的なまたは不揮発性の記憶装置は、プロセッサ20により実行される際に、移動機構16および/または複合光エンジン10を作動する命令を記憶している。コントローラ18は、単一のIC(集積回路)または複数のICに含まれてもよい。コントローラ18は、1つの場所にあるものであってもよいし、三次元プリントシステム2内の複数の場所に分散させられたものであってもよい。プロセッサ20は、光エンジン10と移動機構16とを制御する。
【0021】
製造対象の三次元物体12は、透明シート8に対向する下面24を有している。下面24と透明シート8との間には、光硬化樹脂の薄層26が存在する。複合光エンジン10が透明シート8を介して光エネルギーを印加すると、それにより、下面24と一致するまたは下面24の近傍にある「複合構築平面」28近傍の樹脂が重合する。
【0022】
複合光エンジン10は、2つ以上の個々の光エンジン30から形成される。
図1は、2つの光エンジン30Aおよび30Bの組合せにより形成される複合光エンジンを示す。図示される矢印は、各光エンジン30が構築平面28の異なる部分を照射することを示す。1つの光エンジン30により照射される構築平面28の部分は、光エンジン30についての「構築フィールド」31と称される。図示に従って、光エンジン30Aおよび30Bについての構築フィールド31は、「オーバーラップ・ゾーン」32の上でオーバーラップする。
【0023】
例示的な実施形態において、光エンジン30は、十分に近い近傍に配され、それにより同じイメージ平面に平行である。これにより、2つの光エンジン30によって生じたピクセル要素35(
図2参照)が、同じ最適横方向ピッチPおよび横方向寸法Sを有することが可能となる。
図2の図示される実施形態において、ピクセル横方向寸法Sは、ピッチPより大きく、それにより、ピクセル要素35は横方向寸法に沿ってオーバーラップする。
【0024】
複合光エンジン10はまた、温度制御モジュール11を備える。温度制御モジュール11は、光エンジン30を囲む環境における最適温度を提供する。光エンジン30の部品および位置合わせは温度に敏感であり、このことはオーバーラップ・ゾーン32において特に重要である。温度の調節をしないと、ピクセルサイズ、位置合わせなどは均一とならないかもしれない。1つの実施形態において、温度制御モジュール11は、光エンジン30のために適度に上昇する温度環境を維持するための温度センサおよびヒーターを備えてもよい。
【0025】
別の実施形態において、各光エンジン30は、別個の温度制御モジュール11を有する。別個の温度制御モジュール11を利用して、光エンジン30のために一定のかつ最適な温度を確保することができる。
【0026】
さらに別の実施形態において、複合光エンジン10は、樹脂6の上に配される。この実施形態において、固定具14は、樹脂6内で上昇および下降するプラットフォームである。
【0027】
図2は、2つの光エンジン30Aおよび30Bのための複合構築平面28を示す。光エンジン30Aは構築フィールド31Aを規定し、光エンジン30Bは構築フィールド31Bを規定する。構築フィールド31Aおよび31Bは、組み合わされて複合構築平面28を規定する。オーバーラップ・ゾーン32もまた図示され、その上で構築フィールド31Aおよび31Bがオーバーラップする。オーバーラップ・ゾーン32は、光エンジン30Aの横方向限界により規定される第1のエッジ33Aを有する。オーバーラップ・ゾーン32は、光エンジン30Bの横方向限界により規定される第2のエッジ33Bを有する。図示されるように、エッジ33Aおよび33Bは、オーバーラップ・ゾーン32の長軸である軸Xに沿って伸長する。軸Yは、オーバーラップ・ゾーン32の長軸に垂直であり、オーバーラップの方向である。
【0028】
複合構築平面28および構築フィールド31Aおよび31Bは長方形として図示されているが、実際は歪んだ形状を有してもよい。光エンジン30の不十分な光によって導入される欠陥は、さまざまのアーチファクトを含みうる。これらのいくつかは、2つ例をあげると、「樽型歪み」および「キーストーン効果」として知られる。光エンジン30Aおよび30Bにより規定されるエッジ33Aおよび33Bは、波状であるか、歪んでいる、または、軸Xに関して一定の角度を規定しうる。
【0029】
各構築フィールド31は、ピクセル要素35の長方形アレイを規定する。説明の目的が非常に大きく単一のピクセル要素35が
図2に示されるが、各構築フィールド31は、100万以上のピクセル要素35を有するであろう。ピクセル要素は、ピッチPだけ横軸XおよびYに沿って間隔をあけられる。各ピクセル要素は、実質的に四角の形状であり、Sの横方向寸法を有する。好ましい実施形態において、ピクセル要素35がある程度構築フィールド31においてオーバーラップするように、S>Pである。これによって、製造対象の三次元物体12の滑らかで均一な表面仕上げが提供される。したがって、ピクセル要素35はわずかに焦点がはずれる。例示的な実施形態において、ピッチPは、50〜60マイクロメートルの範囲内または約56マイクロメートルである。横方向ピクセル寸法Sは、約90〜100マイクロメートルの範囲内または約94マイクロメートルである。他のオーバーラップ構成が異なる寸法で可能である。また、異なる長さおよび幅を有する長方形のピクセルを用いてもよい。ピクセル要素間のこのオーバーラップ構成は、オーバーラップ・ゾーン32におけるスムーズな移動に有利である。
【0030】
図3は、エッジ33Aおよび33Bにより境界を示されるオーバーラップ・ゾーン32の一部の拡大図を示す。オーバーラップ・ゾーン32はさらに、2つの拡張閾値ゾーン34Aおよび34B、および遷移ゾーン36に分割されうる。拡張閾値ゾーン34は、光変調器30により規定される実際のエッジのYにおける最悪の場合の変化により規定される。拡張閾値ゾーン34の内側の境界38が存在する。境界33と38との間は、拡張閾値領域幅であり、光エンジン30により生じる全てのエッジ−関連の凹凸、アーチファクト、および変化が含まれる。遷移ゾーン36は、オーバーラップ・ゾーン32における任意の明らかな継ぎ目を避けるためにその上で光エンジン30が上下に傾斜されるゾーンである。
【0031】
拡張閾値ゾーン34A内において、構築フィールド31Aは、光エンジン30Aの横方向限界に近い。拡張閾値ゾーン34B内において、構築フィールド31Bは、光エンジン30Bの横方向限界に近い。
【0032】
図4は、例示的な光エンジン30の電気的ブロック図である。光エンジン30は、情報記憶装置42、光源モジュール46、およびデジタルミラーデバイスモジュール44に接続されるシステムプロセッサ40を含む。デジタルミラーデバイスモジュール44は、イメージスケーラ48、デジタルミラーデバイスフォーマッタ50、およびデジタルミラーデバイス52を含んでいる。光源モジュール46は、光源ドライバ54および光源56を含んでいる。
【0033】
システムプロセッサ40は、光エンジン30の動作を統合する。システムプロセッサ40は、光エンジン30により照射される構築フィールド31に対応する入射スライスエネルギーデータアレイを受け取るように構成される。入射スライスエネルギーデータアレイは、XおよびY方向の位置に対して印加される光硬化エネルギーを規定する、エネルギー値の二次元アレイを定義する。XおよびY方向におけるエネルギー値のピッチは、空間光変調器52上のピクセルアレイに対応するものであっても、対応しないものであってもよい。システムプロセッサ40は、入射スライスエネルギーデータアレイを、デジタルミラーデバイスモジュール44のイメージスケーラ48に伝達する。
【0034】
情報記憶装置42は、システムプロセッサ40のための入射または処理済データを記憶する1つまたは複数のメモリデバイスを含み得る。かかるデータは、入射スライスエネルギーデータアレイを含み得る。
【0035】
イメージスケーラ48は、オーバーラップ・ゾーン32のための、修正、較正、スケーリングおよび透明度調整のうちの1つ以上を提供するように、スライスエネルギーデータアレイを処理する。修正は、湾曲歪みの補正(de-warping)、または樽型歪みならびにキーストーン効果といったような歪みの補正を含む。較正は、光源56の出力、および光エンジン30から構築平面28までの光路長の変化に対する、補償を含み得る。スケーリングは、再マッピング、およびフレームの再スケーリングを含み得る。再マッピングは、入射データアレイピッチを、デジタルミラーデバイス52のピクセルアレイのピッチに変換する処理である。フレームの再スケーリングは、ピクセルごとの合計エネルギーから、1つのフレームのピクセルごとのエネルギーへの、エネルギー値のスケーリングである。フレームの再スケーリングは、フレーム周期が硬化時間と異なる場合に必要とされる。透明度調整は、オーバーラップ・ゾーン32において正しいエネルギー値を提供するためのエネルギー調節に関する。代替的な実施形態において、修正、較正、スケーリングおよび透明度調整の一部は、コントローラ18によって実行されてもよいし、デジタルミラーデバイスフォーマッタ50によって実行されてもよい。イメージスケーラ48は、スケーリングされたエネルギーデータアレイを、デジタルミラーデバイスフォーマッタ50へと受け渡す。
【0036】
デジタルミラーデバイスフォーマッタ50は、スケーリングされたエネルギーデータアレイを、デジタルミラーデバイス52と直接互換性のあるイメージフレームに変換する。スケーリングされたエネルギーデータアレイは、各ピクセルにつき、(フレーム周期に対して)スケーリングされたエネルギー値を有する。デジタルミラーデバイスフォーマッタ50は、エネルギー値の各々を、変動する幅または持続時間を有するビット平面のシーケンスに対応するバイナリ数に変換する。次いで、生じたデジタルミラーデバイスフォーマッタ50は、1つまたは複数のイメージフレームをデジタルミラーデバイス52へ送る。
【0037】
システムプロセッサ40は、コントローラ18から切換信号を受信し、その切換信号を、光源モジュール46の光源ドライバ54に受け渡すように構成されている。光源ドライバ54は、光源56に電力を付与する。1つの例示的な実施形態では、光源56は、紫外(UV)光を発する発光ダイオード(LED)とされる。切換信号は、光源56をアクティブ化する(オン状態とする)「オン」信号と、光源56を非アクティブ化する(オフ状態とする)「オフ」信号とを含む。別の実施形態では、光源56は、1つまたは複数のレーザおよび青色光発光器を含むものとされる。
【0038】
例示的な実施形態において、光源56は、340ナノメートル(nm)、355nm、約365nm、および/または405nmの1つまたは複数である最適波長ピークを発する。これらの最適波長は、光硬化可能樹脂6中で用いられる光開始剤によって容易に吸収され、それにより、必要とされる光開始剤の量が減少する。このことによって今度は、重合効率が改善され、それにより、オーバーラップ・ゾーン32における混合の不連続が低減される。
【0039】
図3には、光エンジン30を介するおよび光エンジン30からの光の伝達も図示されている(より太い矢印58および59)。要素58は、光源56により発せられた「生の」または処理を受けていない光を表している。要素59は、デジタルミラーデバイス52により光学系に向けて反射されたピクセル化された光を表しており、その後、光学系が、ピクセル化された光を構築平面28へと届ける。
【0040】
光エンジン30はまた、構築フィールド31上にピクセル要素35の焦点を最適に合わせるための焦点制御システム47を含む。1つの実施形態において、焦点制御システム47は、光エンジン30中の光学系を調製するためのステッピング・モーターを含む。特定の実施形態において、焦点制御システム47は、個々のピクセル要素35寸法Sを感知するセンサを含む。
【0041】
図5は、複合光エンジン10に組み立てられた複数の光エンジン30を有する三次元プリントシステム2の例示的な動作方法60を表したフローチャートである。各光エンジン30は、別個の構築フィールド31を照射する。構築フィールド31は、横方向に部分的にオーバーラップし、複合構築フィールド28を規定する。構築フィールド31間の横方向のオーバーラップは、「オーバーラップ・ゾーン」である。
【0042】
本発明の方法は、最初のステップ62により開始し、ここで各光エンジンは透明度マップを含む。2つの光エンジン30のオーバーラップについての例示的な透明度マップが、
図6Aおよび6Bに示される。所定の光エンジン30についての透明度マップは、光エンジン30に記憶されてもよい、または、コントローラ18のメモリ22に記憶されてもよい。ステップ64〜74は、1つの光エンジン30について説明されるが、この手順は、製造対象の物体を形成するために利用されている全ての光エンジン30について並行して行われることが理解されるべきである。
【0043】
ステップ64に従って、光エンジン30は、入射スライスエネルギーデータアレイを受け取る。ステップ66に従って、光エンジン30は、入射スライスエネルギーデータアレイを処理し、修正、較正、およびスケーリングを提供する。ステップ68に従って、光エンジン30は、データアレイを処理し、オーバーラップ・ゾーン内のエネルギー値を低減する透明度マップを適用する。ステップ70に従って、光エンジン30は、スケーリングされたエネルギーデータをフォーマットし、光エンジンと互換性のあるイメージフレームを提供する。ステップ72に従って、光エンジン30は、フレームデータを用いてデジタルミラーデバイス52をアクティブ化する。光エンジン30は、光源56もアクティブ化する。ステップ72中、樹脂6の層は、構築平面28の近傍でかつ製造対象の三次元物体12の下面24上に、選択的に硬化される。ステップ74に従って、下面は、増分的に上方に移動される。製造対象の三次元物体12が完全に形成されるまで、ステップ64〜74が繰り返される。
【0044】
図6Aは、2つのオーバーラップする光エンジン30Aおよび30Bについての透明度マップの第1の実施形態を示す。透明度マップは、オーバーラップ・ゾーン32の長軸に略垂直なY軸に沿った位置に対する透明度をプロットする。所定のピクセル要素について、透明度は、利用されるエネルギー値のパーセンテージである。透明度マップがないと、オーバーラップ・ゾーン32に印加されるエネルギーは、最大100%と高すぎる。したがって、AおよびBマップは相補的である−所定のY値において、一方の透明度はT(Y)であり他方は100%−T(Y)である。
【0045】
オーバーラップ・ゾーン32は、33Bおよび33AのY値の間の領域である。光エンジン30Bについての構築フィールド31Bのエッジは、縦線33Bにより表される。エッジ33Bにおいて、光エンジン30Bについての透明度T
B(Y)は0パーセントである。右に移動すると、T
B(Y)の値は増加し、光エンジンAのエッジ33Aにおいて100%に達する。33Bと33Aとの間で移動すると、T
A(Y)+T
B(Y)=100%である。
【0046】
33Bと33Aとの間のゾーンは、「拡張閾値ゾーン」34Bと称される。拡張閾値ゾーン34Bは、光エンジン30Bのエッジ近傍の光を受け取る。この拡張閾値ゾーン34Bにおいて、光変調器30Bについてエッジ−関連アーチファクトまたは幾何エッジ欠陥の可能性が高い。いくつかの光エンジン30について、これらの欠陥またはアーチファクトは、新しい樹脂層の硬化された厚さに実質的に影響する。したがって、光変調器30Bのエッジについての透明値T
Bは、閾値より低くに減少する。この近傍では、相補的な光変調器30Aはエッジ欠陥およびアーチファクトを有さず、したがってこのゾーンにおける複合硬化の精度はずっと高い。1つの実施形態において、光変調器30Bのエッジに近接する拡張閾値ゾーン34Bにおける透明度T
Bは、10%以下に減少する。別の実施形態においては5%以下に減少する。さらに別の実施形態においては2%以下に減少する。
図6Aの図示される実施形態において、透明度T
Bは、拡張閾値ゾーン34BにおけるT
B(Y)対Yの勾配を小さくすることにより減少する。
【0047】
38Aと33Aとの間のゾーンは、拡張閾値ゾーン34Aである。拡張閾値ゾーン34Aにおいて、T
A(Y)の値は、拡張閾値ゾーン34Bについて上述したのと同じ理由で閾値より低くに減少する。
【0048】
38Bと38Aとの間には「遷移ゾーン」36が提供され、これは、2つの光エンジン38Aおよび38B間の遷移を提供する。透明度曲線の勾配は、遷移ゾーン36のほとんどで直線に近くなりうる。
【0049】
T(Y)関数について、GRADT(Y)としてT(Y)の数学的ベクトル勾配を規定しうる。
図2、3、および6Aの実施形態について、勾配は実質的にY軸に沿って方向づけられる。したがって、GRADT(Y)の大きさは、T対Yの勾配と同じである。例示的な実施形態において、遷移ゾーン36におけるGRADT(Y)の平均の大きさは、拡張閾値ゾーン34におけるGRADT(Y)の平均の大きさの少なくとも2倍である。
【0050】
図6Bは、光エンジン30Aおよび30Bについての透明度マップの第2の実施形態を示す。光エンジン30Bのエッジ33Bの近くの拡張閾値ゾーン34B(グラフ上の33Bと38Bとの間)において、変調器Bについての透明度T
B(Y)は、低い一定レベルにある。T
B(Y)の値は、光エンジン30Bのエッジアーチファクトまたは欠陥をどの程度低減するのが所望であるかに依存して、10%より低く、5%より低く、または2%より低くてもよい。オーバーラップ領域の外から拡張閾値ゾーンへの遷移は、エッジ33Aおよび33Bについての曲線というよりも段階的遷移である。したがって、エッジ33Bにおいて、T
A(Y)の曲線は、T
B(Y)の曲線が減少する量だけ減少する。同様に、エッジ33Aにおいて、T
A(Y)の曲線は、T
B(Y)の曲線が減少する量だけ減少する。
【0051】
光エンジン30Aのエッジ33Aの近くの拡張閾値ゾーン34A(グラフ上の38Aと33Aとの間)において、変調器Bについての透明度T
A(Y)は、低い一定レベルにある。拡張閾値ゾーン34Aおよび34Bの間は、遷移ゾーン36である(グラフ上の38Bと38Aとの間)。遷移ゾーンにおいて、透明度Tのプロットは、直線的に変化するものとして示される。
【0052】
他の可能性が考えられる。拡張閾値ゾーンは、光変調器30のエッジ32から上方に「階段状に段階的(stair stepped)」であってもよい。所定の光変調器30について欠陥またはアーチファクトの可能性がより高いY位置に、より小さい透明値Tを付与してもよい。
【0053】
図7は、4つの光エンジン30A、30B、30C、および30Dについての複合構築平面28を示す。光エンジン30Aは構築フィールド31Aを規定し、光エンジン30Bは構築フィールド31Bを規定し、光エンジン30Cは構築フィールド31Cを規定し、光エンジン30Dは構築フィールド31Dを規定する。上記と同様に、光エンジン30の各対についての構築フィールド31の対の間にオーバーラップ・ゾーン32が存在する。一対の光エンジンのオーバーラップについて、
図6Aおよび6Bに示されるのと同様の透明度マップが適用できる。
【0054】
しかしながら、この配置では、4フィールドオーバーラップ・ゾーン76も存在し、その中で4つ全ての光エンジン30についての構築フィールド31がオーバーラップする。4フィールドオーバーラップ・ゾーン76において、所定の光エンジン30についての透明度T(X,Y)は、横軸XおよびYの両方に沿って変化する。
【0055】
図8は、例示的な4フィールドオーバーラップ・ゾーン76のより詳細な図である。4フィールドオーバーラップ・ゾーン76の左のエッジは、光エンジン30Bおよび30Dのエッジ33B、33Dを含む。4方向オーバーラップ・ゾーン76の他の4つのエッジは、光エンジン30の各エッジ33を示す。4フィールドオーバーラップ・ゾーン76は、実質的に四角の線にゾーン82を囲む4面拡張閾値ゾーン80を含む。4つの光変調器30からのエッジ欠陥およびアーチファクトは、概して、4面拡張閾値ゾーン80に含まれる。
【0056】
所定の光エンジン30について、エッジに沿った透明度は、T(THRESHOLD)にまたはそれより低くに減少する。遷移ゾーン82において、光エンジン30の寄与はそれぞれ、エッジから略直線的に離れて変化し、全ての位置について、以下が必要とされる:T
A(X,Y)+T
B(X,Y)+T
C(X,Y)+T
D(X,Y)=100%。これを行うために多くの方法があることが明らかであるが、エッジ欠陥が許容できるように十分低い閾値透明度を選択することが重要な態様である。
【0057】
このことは、複合構築平面28を形成するために任意の数のオーバーラップする光エンジン30に一般化できる。より大きい数の光エンジン30について、2フィールドオーバーラップ・ゾーン32および4フィールドオーバーラップ・ゾーン76があり、これらの内部で、透明度マスク関数T(X,Y)が用いられて光エンジン30間を遷移し、エッジアーチファクトおよび欠陥の効果が低減される。
【0058】
T(X,Y)関数について、GRADT(X,Y)としてT(X,Y)の数学的ベクトル勾配を定めることができる。4フィールドオーバーラップ・ゾーンについて、勾配は概して、4フィールドオーバーラップ・ゾーンの中心84に向かってまたはそこから離れて方向づけられる。例示的な実施形態において、遷移ゾーン82におけるGRADT(X,Y)の平均的な大きさは、拡張閾値ゾーン80におけるGRADT(X,Y)の平均的な大きさの少なくとも2倍である。
【0059】
図9は、三次元プリントシステム2についてのスタートアップ手順を示すフローチャートである。このスタートアップ手順によって、オーバーラップ・ゾーン32において不連続およびアーチファクトを最小限にすることが確保される。手順は、ステップ92で温度制御モジュール11をアクティブ化することにより開始する。温度制御モジュール11は、光エンジン30を含む環境で温度を感知し、複合光エンジン10内の光学系の配置および要素の動作のための最適なレベルに温度を上昇する。
【0060】
ステップ94に従って、最適温度で複合光エンジン10が熱平衡を達成するために、所定の時間に待機時間が提供される。光学的調整は、この待機時間中は中断され、そのような調整がより良好に維持される。
【0061】
ステップ96に従って、焦点制御システム47が、ピクセル要素35の最適な焦点を提供するように動作される。特に、異なる構築フィールドについてピクセル要素35の焦点の程度は、複合構築平面28に亘って一定であり、製造対象の三次元物体12の表面仕上げは、オーバーラップ・ゾーン32に亘って一定である。
【0062】
ステップ98に従って、製造オペレーションが始まる。
図5の方法60は、ステップ98の製造オペレーションの一部でありうるステップを含む。
【0063】
上記で説明した具体的な実施形態およびそのアプリケーションは、専ら説明目的のためのものであり、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される変更形態およびバリエーション
を、除外するものではない。
他の実施形態
1. 製造対象の三次元物体の1つの面上に光硬化樹脂を選択的に硬化することにより形成される層を用いる層ごとのプロセスによって製造対象の三次元物体を形成する三次元プリントシステムであって、
前記光硬化樹脂を含むための容器、および
少なくとも第1の光エンジンおよび第2の光エンジンを含む複数の光エンジン、
を備え、
前記第1の光エンジンが第1の構築フィールドを画定し、前記第2の光エンジンが第2の構築フィールドを画定し、前記第1の構築フィールドおよび前記第2の構築フィールドがオーバーラップ・ゾーンに沿ってオーバーラップし、
前記第1の光エンジンが、
(a)前記第1の構築フィールドに対応する第1の入射スライスエネルギーデータアレイを受け取る工程;
(b)前記第1の入射スライスエネルギーデータアレイを処理し、前記第1の光エンジンの第1のピクセル要素に対応する第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイを提供する工程であって、前記処理が前記オーバーラップ・ゾーン内の前記第1のピクセル要素に第1の透明マスクを適用する工程を含み、前記第1の透明マスクは2つの拡張閾値ゾーンの間の遷移ゾーンを画定し、前記拡張閾値ゾーンは、分析された光エンジンの幾何エッジ欠陥の幅に基づき前記第1の構築フィールドのエッジに近接する第1の拡張閾値ゾーンを含む幅を有し、前記第1の透明マスクは、前記拡張閾値領域における透明閾値より低い第1の透明値を有する、工程;および
(c)前記第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイに基づいて前記第1の構築フィールドに光エネルギーを供給し、前記樹脂を選択的に硬化する工程、
を行うように構成されていることを特徴とする、三次元プリントシステム。
2. 前記透明閾値が、6パーセント未満であることを特徴とする、実施形態1に記載の三次元プリントシステム。
3. 前記透明閾値が、4パーセント未満であることを特徴とする、実施形態1に記載の三次元プリントシステム。
4. 前記透明閾値が、2パーセント未満であることを特徴とする、実施形態1に記載の三次元プリントシステム。
5. 前記遷移ゾーン中の前記透明度の平均勾配の大きさが、前記第1の拡張閾値ゾーン中の前記透明度の平均勾配の大きさの少なくとも2倍であることを特徴とする、実施形態1に記載の三次元プリントシステム。
6. 前記第2の光エンジンが、
(a)前記第2の構築フィールドに対応する第2の入射スライスエネルギーデータアレイを受け取る工程;
(b)前記第2の入射スライスエネルギーデータアレイを処理し、前記第2の光エンジンの第2のピクセル要素に対応する第2のスケーリングおよび修正されたデータアレイを提供する工程であって、前記処理が前記オーバーラップ・ゾーン内の前記第2のピクセル要素に第2の透明マスクを適用する工程を含み、前記第2の透明マスクは2つの拡張閾値ゾーンの間の第2の遷移ゾーンを画定し、前記拡張閾値ゾーンは、分析された光エンジンの幾何エッジ欠陥の幅に基づき前記第2の構築フィールドのエッジに近接する第2の拡張閾値ゾーンを含む幅を有し、前記第2の透明マスクは、前記第2の拡張閾値領域における透明閾値より低い第2の透明値を有する、工程;および
(c)前記第2のスケーリングおよび修正されたデータアレイに基づいて前記第2の構築フィールドに光エネルギーを供給し、前記樹脂を選択的に硬化する工程、
を行うように構成されていることを特徴とする、実施形態1に記載の三次元プリントシステム。
7. 前記第1の透明値および前記第2の透明値の合計が、前記オーバーラップ・ゾーンにおいて100パーセントに実質的に等しいことを特徴とする、実施形態6に記載の三次元プリントシステム。
8. 前記複数の光エンジンが、第3の光エンジンおよび第4の光エンジンを含み、前記第3の光エンジンは第3の構築フィールドを画定し、前記第4の光エンジンは第4の構築フィールドを画定し、前記第1、第2、第3、および第4の構築フィールドはオーバーラップして4フィールドオーバーラップ・ゾーンを画定し、前記第1の透明マスクはさらに、前記遷移ゾーンを囲む4面拡張閾値ゾーンを画定することを特徴とする、実施形態6に記載の三次元プリントシステム。
9. 前記第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイをフォーマットしイメージフレームを規定する工程、および、前記イメージフレームをデジタルミラーデバイスに供給する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態1に記載の三次元プリントシステム。
10. 前記第1のスケーリングおよび修正されたデータアレイをフォーマットする工程が、ピクセル要素エネルギー値を、ビット平面のシーケンスを表すバイナリ数に変換する工程を含むことを特徴とする、実施形態9に記載の三次元プリントシステム。
11. 製造対象の三次元物体の1つの面上に光硬化樹脂を選択的に硬化することにより形成される層を用いる層ごとのプロセスによって製造対象の三次元物体を形成する三次元プリントシステムであって、
前記光硬化樹脂を含むための容器、および
対応する複数の構築フィールドを画定する複数の光エンジン、
を備え、
前記複数の構築フィールドが、オーバーラップして複合構築平面を画定し、前記複数の構築フィールドが、1つ以上のオーバーラップ・ゾーンを画定し、各オーバーラップ・ゾーンが、横方向XおよびY軸に沿って画定され、
前記複数の光エンジンが、
(a)前記複数の構築フィールドに対応する複数の入射スライスエネルギーデータアレイを受け取る工程;
(b)前記複数の入射スライスエネルギーデータアレイを処理し、対応する複数のスケーリングおよび修正されたデータアレイを提供する工程であって、前記処理が、前記1つ以上のオーバーラップ・ゾーンに複数の透明マスクを適用する工程を含み、前記複数の透明マスクが、少なくとも1つの横方向に沿って変化する前記光エンジンのための透明値を画定し、前記複数の透明マスクが、遷移ゾーンに隣接する拡張閾値ゾーンを画定し、前記拡張閾値ゾーン内の透明値は、前記横方向の限界に近い光エンジンについて6パーセント未満である、工程;および
(c)前記スケーリングおよび修正されたデータアレイに基づいて前記複合構築平面に光エネルギーを供給し、前記樹脂を選択的に硬化する工程、
12. 前記1つ以上のオーバーラップ・ゾーンが、2つの構築フィールド間に2フィールドオーバーラップ・ゾーンを含み、前記2フィールドオーバーラップ・ゾーンが、軸Xに沿って画定される主軸を有し、前記2フィールドオーバーラップ・ゾーン内の所定の光エンジンについての透明値T(Y)は、軸Yに沿って勾配GRADT(Y)を有することを特徴とする、実施形態11に記載の三次元プリントシステム。
13. 前記2フィールドオーバーラップ・ゾーンが、その間に遷移ゾーンを有する2つの構築フィールドのエッジに近接する2つの拡張閾値ゾーンを含むことを特徴とする、実施形態12に記載の三次元プリントシステム。
14. 前記2フィールドオーバーラップ・ゾーンの前記遷移ゾーン内のGRADT(Y)の大きさが、前記2フィールドオーバーラップ・ゾーンの前記拡張閾値ゾーンにおけるGRADT(Y)の大きさの少なくとも2倍であることを特徴とする、実施形態13に記載の三次元プリントシステム。
15. T(Y)が、前記光エンジンの1つについて前記拡張閾値ゾーンにおいて4パーセント未満であることを特徴とする、実施形態13に記載の三次元プリントシステム。
16. T(Y)が、前記光エンジンの1つについて前記拡張閾値ゾーンにおいて2パーセント未満であることを特徴とする、実施形態13に記載の三次元プリントシステム。
17. 前記1つ以上のオーバーラップ・ゾーンが、4フィールドオーバーラップ・ゾーンを含み、該4フィールドオーバーラップ・ゾーンが、遷移ゾーンを囲む4面拡張閾値ゾーンを含むことを特徴とする、実施形態11に記載の三次元プリントシステム。
18. 前記4フィールドオーバーラップ・ゾーン内の透明値T(X,Y)は、横軸XおよびYで変化する勾配GRADT(X,Y)を有することを特徴とする、実施形態17に記載の三次元プリントシステム。
19. 前記遷移ゾーン内のGRADT(X,Y)の大きさは、前記拡張閾値ゾーンにおけるGRADT(X,Y)の大きさの少なくとも2倍であることを特徴とする、実施形態18に記載の三次元プリントシステム。
20. 前記拡張閾値ゾーンが、それぞれ少なくとも5ピクセル幅であることを特徴とする、実施形態1〜19のいずれか一項に記載の三次元プリントシステム。