特許第6861296号(P6861296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイフク アメリカ コーポレイションの特許一覧 ▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000002
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000003
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000004
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000005
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000006
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000007
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000008
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000009
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000010
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000011
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000012
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000013
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000014
  • 特許6861296-垂直搬送装置を備える保管システム 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861296
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】垂直搬送装置を備える保管システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B65G1/04 561
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-555146(P2019-555146)
(86)(22)【出願日】2018年4月2日
(65)【公表番号】特表2020-512964(P2020-512964A)
(43)【公表日】2020年4月30日
(86)【国際出願番号】US2018025688
(87)【国際公開番号】WO2018187208
(87)【国際公開日】20181011
【審査請求日】2019年10月31日
(31)【優先権主張番号】62/482,395
(32)【優先日】2017年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519358047
【氏名又は名称】ダイフク アメリカ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】DAIFUKU AMERICA CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】伊井 太津喜
(72)【発明者】
【氏名】岡本 章
(72)【発明者】
【氏名】大森 和哉
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−072908(JP,A)
【文献】 特開2005−001886(JP,A)
【文献】 特開2009−173396(JP,A)
【文献】 特開平06−115615(JP,A)
【文献】 特開昭63−196050(JP,A)
【文献】 特開2016−137967(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0081010(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/035473(WO,A1)
【文献】 特開2015−009912(JP,A)
【文献】 特開2012−025549(JP,A)
【文献】 特表2010−514211(JP,A)
【文献】 特開2014−241377(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1406839(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0270063(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0152466(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準型コンテナを保持する荷保管システムであって、
建物の一階に配置される第1のストッカ、及び、建物の二階に配置される第2のストッカであって、それぞれ、標準型コンテナを支持する少なくとも1つの荷支持部を備える前記第1のストッカ及び前記第2のストッカと、
前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間に配置された床であって、前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間の入口を規定し、前記入口は、前記第1のストッカと前記第2のストッカとを直接接続して、標準型コンテナが前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間を移動することを許容すると共に、前記入口は、前記第1のストッカにおける前記荷支持部のうちの少なくとも1つ、及び、前記第2のストッカにおける前記荷支持部のうちの少なくとも1つに平面視で重なる状態で規定される、床と、
前記第1のストッカにおける前記荷支持部のうちの少なくとも1つ、及び、前記第2のストッカにおける前記荷支持部のうちの少なくとも1つに平面視で重なる状態で配置される垂直搬送装置であって、標準型コンテナを、前記入口を介して前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間で移動させるように構成された垂直搬送装置と、を備える、荷保管システム。
【請求項2】
前記垂直搬送装置は、把持機構を備える巻き上げ機を含み、標準型コンテナ上に設けられた対応する取っ手に選択的に係合して、前記標準型コンテナを前記巻き上げ機の垂直方向下方で移動させる、請求項1に記載の荷保管システム。
【請求項3】
各前記ストッカは、クレーンをさらに備え、前記巻き上げ機は、前記巻き上げ機の運動を提供する前記クレーンに結合されている、請求項2に記載の荷保管システム。
【請求項4】
前記第1のストッカの少なくとも1つの荷支持部、及び、前記第2のストッカの少なくとも1つの荷支持部は、それぞれ、2つの脚部を備える棚板を含み、前記2つの脚部は、標準型コンテナを保持するように互いに近接し合って配置された第1の構成と、互いに離隔されて前記垂直搬送装置及び標準型コンテナが前記脚部の間を通過することを許容する第2の構成との間を、互いに対して移動可能である、請求項1に記載の荷保管システム。
【請求項5】
前記垂直搬送装置は、裏壁をさらに備え、前記脚部は、互いに並行の関係で、前記裏壁に直角である前方方向に伸びており、前記脚部は、前記裏壁に滑動可能に結合されて、前記裏壁に沿って前記第1の構成と前記第2の構成との間を移動可能である、請求項4に記載の荷保管システム。
【請求項6】
前記垂直搬送装置は、前記入口を通って前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間を伸びる少なくとも1つのレールを含み、前記荷支持部のうちの少なくとも1つが、前記レールに結合されていると共に、前記レールに沿って前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間を移動可能である、請求項1に記載の荷保管システム。
【請求項7】
前記荷支持部は、標準型コンテナを包囲するハウジングを備え、前記ハウジングは、前記少なくとも1つのレールに結合されている、請求項6に記載の荷保管システム。
【請求項8】
各前記ストッカにおける前記少なくとも1つの荷支持部は、互いに垂直に揃えられて配置された複数の荷支持部を含む、請求項1に記載の荷保管システム。
【請求項9】
各前記ストッカは、標準型コンテナを前記複数の荷支持部の間で移動させるクレーンをさらに含む、請求項8に記載の荷保管システム。
【請求項10】
荷保管システム内において標準型コンテナを、建物の一階にある第1の荷支持部を備える第1のストッカと、前記第1のストッカのすぐ上の建物の二階にある、第2の荷支持部を備える第2のストッカとの間で直接移動させる方法であって、前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間に床が配置されており、前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間の床によって、入口が、前記第1のストッカにおける前記第1の荷支持部、及び、前記第2のストッカにおける前記第2の荷支持部に平面視で重なる状態で規定されている、方法において、
前記標準型コンテナを前記第1のストッカ内の前記第1の荷支持部の上に設置するステップと、
前記標準型コンテナを垂直搬送装置に係合させるステップと、
前記標準型コンテナを前記垂直搬送装置と共に、前記入口を介して、前記第1のストッカから前記第2のストッカまで移動させて、前記標準型コンテナを前記第2のストッカ内の前記第2の荷支持部の上に設置するステップと、
前記標準型コンテナを前記垂直搬送装置から離すステップと、を含む方法。
【請求項11】
前記垂直搬送装置は、把持機構を備える巻き上げ機を含み、前記方法は、前記標準型コンテナに設けられた取っ手に係合して、前記標準型コンテナを前記巻き上げ機の垂直方向下方に配置するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の荷支持部及び前記第2の荷支持部のうちの少なくとも1つは、互いに対して移動可能な一対の脚部を備える棚板を含み、前記方法は、前記脚部を、前記標準型コンテナを保持するように互いに近接し合って配置された第1の構成に互いに対して移動させ、前記脚部を、互いに離隔された第2の構成に移動させ、前記垂直搬送装置と前記標準型コンテナのうちの1つとを、前記脚部の間を通過させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記垂直搬送装置は、前記入口を通って前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間を伸びる少なくとも1つのレールを含み、前記荷支持部のうちの少なくとも1つが、前記レールに沿って、前記入口を介して前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間を移動可能であり、前記方法は、前記荷支持部のうちの少なくとも1つを、前記レールに沿って前記第1のストッカから、前記入口を通って前記第2のストッカまで移動させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記荷支持部のうちの少なくとも1つは、標準型コンテナを包囲するハウジングを備え、前記ハウジングは、前記少なくとも1つのレールに結合されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のストッカの前記第1の荷支持部は、互いに垂直に揃えられて配置された複数の前記第1の荷支持部を含み、前記第2のストッカの前記第2の荷支持部は、互いに垂直に揃えられて配置された複数の前記第2の荷支持部を含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本PCT国際特許出願は、2017年4月6日に出願された「垂直搬送装置」を名称とする米国仮特許出願番号第62/482,395号の利益を主張するものである。当該出願の開示内容全体は、本願の開示内容の一部と見なされ、参照することにより援用される。
【0002】
保管システムを提供する。より詳細にいえば、標準型コンテナを、建物の異なる階のストッカ間で直接移動させるための垂直搬送装置を備える保管システムを提供する。
〔従来技術〕
【0003】
ストッカ(STK)とは、多くの工業分野において使用される、標準型コンテナ、製造品、又は、その部品を保持するための一種の保管室である。ストッカの特定の形は、特定の用途のための特定の特徴を含み得る。例えば、半導体製造プラントにおいて前面開閉式一体型ポッド(FOUP:front opening unified pod)を保持するために使用されるストッカは、管理された雰囲気を維持するための筐体と、自動マテリアルハンドリングシステム(AMHS)と相互作用するために特化されたインターフェースとを備え得る。いくつかの用途では、複数のストッカが、建物の異なる複数の階に必要とされる。図1図4に示されるように、建物の二階4のストッカ2と一階3のストッカ2との間で標準型コンテナ1を移動させる従来の方法は、標準型コンテナ1を、二階4のストッカ2の棚5から別体のリフト装置6に水平移動させることを必要とする。一旦、標準型コンテナ1がリフト装置6に配置されると、標準型コンテナ1は、リフト装置6により一階3まで垂直に移動する。その後、標準型コンテナ1は、コンベア7により、一階3のストッカ2の棚5の中に水平移動する。このシステムは、標準型コンテナ1をストッカ2の異なる領域に移動させるための天井搬送システム8をさらに含み得る。したがって、この方法は、複数のステップを必要とし、標準型コンテナ1を移動させる複数の設備を含む。この方法はまた、標準型コンテナ1を複数の異なる空間を通って移動させることを必要とするため、汚れが生じる可能性が高くなる。
【0004】
これらの点に鑑み、荷保管システム内、特に、建物の異なる階にわたる垂直ラック間で標準型コンテナを移動させるためのシステムには、改善の余地がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様によれば、標準型コンテナを保持する荷保管システムが提供される。この荷保管システムは、建物の一階に配置される第1のストッカ、及び、建物の二階に配置される第2のストッカを含む。前記第1のストッカ及び前記第2のストッカは、それぞれ、標準型コンテナを支持する少なくとも1つの荷支持部を備える。前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間に、床が配置されている。前記床は、前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間の入口を規定し、前記入口は、前記第1のストッカと前記第2のストッカとを直接接続して、標準型コンテナが前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間を移動することを許容する。前記入口は、前記第1のストッカにおける前記荷支持部のうちの少なくとも1つ、及び、前記第2のストッカにおける荷支持部の少なくとも1つに平面視で重なる状態で配置されている。垂直搬送装置が、前記第1のストッカにおける前記荷支持部のうちの少なくとも1つ、及び、前記第2のストッカにおける荷支持部の少なくとも1つに平面視で重なる状態で配置されており、標準型コンテナを、入口を通して前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間で移動させるように構成されている。
【0006】
本開示の他の一態様によれば、荷保管システム内において標準型コンテナを、建物の一階にある第1の荷支持部を備える第1のストッカと、前記第1のストッカのすぐ上の建物の二階にある、第2の荷支持部を備える第2のストッカとの間で直接移動させる方法が提供される。前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間に床が配置されている。前記第1のストッカと前記第2のストッカとの間の床によって、入口が、前記第1のストッカにおける前記第1の荷支持部、および、前記第2のストッカにおける前記第2の荷支持部に平面視で重なる状態で規定されている。この方法は、標準型コンテナを前記第1のストッカ内の荷支持部の上に設置するステップと、前記標準型コンテナを垂直搬送装置に係合させるステップと、前記標準型コンテナを前記垂直搬送装置と共に、前記入口を介して、前記第1のストッカから前記第2のストッカまで移動させて、前記標準型コンテナを前記第2のストッカ内の前記第2の荷支持部の上に設置するステップと、前記標準型コンテナを前記垂直搬送装置から離すステップと、を含む。
【0007】
従って、本発明の垂直搬送装置は、標準型コンテナを従来技術のシステムよりも素早く搬送することが可能である。なぜなら、この垂直搬送装置により、コンテナを、入口を介してストッカ間で直接搬送することができ、他の運搬装置による搬送を必要としないからである。また、場合によっては生じ得る汚れに関連する懸念も最小化される。なぜなら、本発明は、標準型コンテナを、建物の異なる階に設けられた垂直ラック間で直接移動させることができ、標準型コンテナを(コンベア又は天井搬送装置などに設けられた)複数の異なる空間を通って移動させる必要がないからである。本発明はまた、標準型コンテナを、従来技術の方法よりも少ない搬送回数で、異なる運搬装置間を移動させることを許容する。このため、各搬送により標準型コンテナの内容物が損傷する恐れを最小化する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の他の利点は、添付の図面とともに考慮された場合、以下の詳細な説明を参照すればより良く分かるので、容易に理解されよう。
【0009】
図1は、従来技術の荷保管システムを備える製造施設を示す側方断面図である。
【0010】
図2は、図1の製造施設の上部にあるクリーンルーム階を示すレイアウト上面図である。
【0011】
図3は、図1の製造施設の中間にあるサブ製造/ユーティリティ階を示すレイアウト上面図である。
【0012】
図4は、図1の製造施設の中間にあるサブ製造/ユーティリティ階に設けられたストッカの側方断面図を示す設計図である。
【0013】
図5は、本開示の一態様に係る、垂直搬送装置の第1の実施形態を含む製造施設を示す概略的な側方断面図である。
【0014】
図6Aは、本開示の一態様に係る、第1の構成における分割された棚板を示す上面図である。
【0015】
図6Bは、本開示の一態様に係る、第2の構成における図6Aの分割された棚板を示す上面図である。
【0016】
図7は、本開示の一態様に係る、垂直搬送装置の第2の実施形態を含む製造施設を示す概略的な側方断面図である。
【0017】
図8Aは、本開示の一態様に係る、標準型コンテナを包囲するキャブフレームを含む荷支持部を示す側面図である。
【0018】
図8Bは、図8Aの標準型コンテナを包囲するキャブフレームを含む荷支持部を示す正面図である。
【0019】
図9は、標準型コンテナを荷保管システム内で移動させる方法を示すフローチャートである。
【0020】
図10は、本開示の一態様に係る、図9の方法のサブステップを含むフローチャートである。
【0021】
図11は、本開示の他の態様に係る、図9の方法のサブステップを含むフローチャートである。
【0022】
図12は、本開示の他の態様に係る、図9の方法のサブステップを含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔発明の詳細な説明〕
図面を参照すると、標準型コンテナを保管するための荷保管システム20、120が提供されている。図面では、幾つかの図にわたって対応する部品には、類似の番号が示されている。図5図8Bに最も良好に示されるように、標準型コンテナ22は、通常、半導体製造プラントにおいて、半導体ウエハを保持及び搬送するために使用されるような前面開閉式一体型ポッド(FOUP)であり得る。他のコンテナを用いてもよいことは理解されよう。図示されるように、システム20、120は、互いの上に垂直に積み重ねられた、上方室24、中間室26、及び、下方室28を含み得る。これらの各室24、26、28は、地上面、地上面の上方、又は、地上面の下方といった任意の物理的高さにあってもよく、任意の数の室が設けられ得る。さらに、これらの室を様々な目的に利用してもよく、様々な目的には、半導体組立作業用のサブ製造室、ユーティリティルーム、及び、クリーンルームとしての目的が含まれるが、これらには限定されない。第1の多孔板30又は床が、上方室24と中間室26とを分け、第2の多孔板32又は床が、中間室26と下方室28とを分けている。下方室28には底床34が設けられており、上方室24には天井36が設けられている。多孔板30及び32、底床34、並びに、天井36は、下降流システムによって、室を清浄に保つことを許容し得る。下降流システムでは、清浄な空気が天井36を介して供給され、第1の多孔板30及び第2の多孔板32を通って下方に流れ、最終的に底床34を介して外に流れ出ることによって、管理された雰囲気が提供される。他の種類の床/板を用いてもよいことは理解されよう。
【0024】
各室24、26、28は、ストッカ(STK)38、40、42を備える。より詳細にいえば、上方室24は第1のストッカ38を備え、中間室26は第2のストッカ40を備え、下方室28は第3のストッカ42を備える。各ストッカ38、40、42は、前面開閉式一体型ポッド(FOUP)等の標準型コンテナ22が1つ以上収容される区域である。各ストッカ38、40、42は、管理された雰囲気を維持するための筐体と、自動マテリアルハンドリングシステム(AMHS)と相互作用するために特化されたインターフェースとを含む。
追加的/選択的に、ストッカ38、40、42が位置する室全体が、上述のような管理された雰囲気であってもよい。各ストッカ38、40、42は、複数の荷支持部44、144を含み、各荷支持部は、標準型コンテナ22のうちの少なくとも1つを保持するように構成されている。荷支持部44、144は、例えば、標準型コンテナ22のうちの1つ以上を保持するための棚、コンパートメント、ラック、フック、クランプ、又は、他の構造又は機構を含み得る。例として挙げた実施形態では、荷支持部44、144は、棚である。各ストッカ38、40、42は、コンテナをストッカ38、40、42内部の異なる荷支持部44、144間で移動させるように構成されたクレーン46をさらに含む。各クレーン46は、(概略的に示される)アームアセンブリ48を含み得る。アームアセンブリ48は、コンテナ22をストッカ38、40、42内部で移動させるための、対応する滑車、ケーブル、及び/又は、他の機構を含む。
【0025】
第1の入口50が、上方室24における第1のストッカ38と中間室26における第2のストッカ40とを接続している。第2の入口51が、中間室26における第2のストッカ40と下方室28における第3のストッカ42とを接続している。第1の入口50は、第1のストッカ38と第2のストッカ40との間の直接的なアクセスを提供し、第2の入口51は、第2のストッカ40と第3のストッカ42との間の直接的なアクセスを提供する。第1の入口50及び第2の入口51は、第1の多孔板30及び第2の多孔板32における開口部の形をしている。入口50、51は、標準型コンテナ22が通過し得るような寸法を有している。建物の上方室24、中間室26、及び、下方室28は、図5及び図7に示されるように互いに直接隣接していてもよい。あるいは、上方室24、中間室26、及び、下方室28は、狭い通路又はプレナム室といった1つ又は複数の中間階又は他の空間によって分離されていてもよい。このような場合、入口50、51は、上方室24、中間室26、及び、下方室28のストッカ38、40、42の間を垂直に延びる、エレベーターシャフトに似た、1つ又は複数の管又は他の延伸された通路の形をしていてもよい。
【0026】
1つ又は複数の垂直搬送装置52、152が、標準型コンテナ22を、入口50、51を通ってストッカ38、40、42間で搬送するために設けられている。垂直搬送装置52、152は、荷支持部44、144及び入口50、51に垂直に揃った状態で設けられ、直線状に移動可能であり、標準型コンテナ22が、荷支持部44、144に垂直に揃った状態を維持しつつ、ストッカ38、40、42の間を直線状に移動し得るようになっている。
【0027】
一態様によれば、1つ又は複数の荷支持部44、144は、標準型コンテナ22を保持するための第1の構成と、標準型コンテナ22が垂直搬送装置52、152によってその間を垂直に通過することを許容するための第2の構成との間を移動可能である。例えば、図5図6Bに示されるシステムの実施形態によれば、荷支持部44は、2つの脚部54を備える分割された棚板であり得る。2つの脚部54は、一般に互いに平行であり、それぞれ、裏壁56から前方に延びており、前方方向に対して直角に、横方向外側に向かって移動するように構成されている。分割された棚板44は、図6Aに示される、脚部54が標準型コンテナ22をその上で保持するために互いに近接しあった第1の構成と、図6Bに示される、脚部54が互いに離隔されて標準型コンテナ22が脚部54の間を垂直に通過することを許容する第2の構成との間を移動し得る。各脚部54に、直線運動(LM)ブロック58が取り付けられていてもよく、直線運動(LM)ブロック58は、裏壁56に沿って設置された直線運動レール60に沿って移動可能であり、各脚部54を、第1の構成と第2の構成との間で横方向に移動させることができる。
【0028】
図5に示されるように、垂直搬送装置52は、ストッカ38、40、42内部に設置された1つ又は複数の巻き上げ機を含み得る。巻き上げ機は、把持機構62を備えていてもよく、標準型コンテナ22のうちの1つに設けられた対応する取っ手49に選択的に係合して、当該標準型コンテナ22を、巻き上げ機の垂直方向下方でストッカ38、40、42の間を移動させ得る。巻き上げ機は、従来技術のクリーンウェイ(cleanway)天井搬送車両(CLW)において使用されている種類と同様であってもよい。図示されるように、巻き上げ機は、巻き上げ機の運動を提供するためのクレーン46に接続されていてもよいし、又は、別の駆動機構に接続されていてもよい。
【0029】
図7〜8Bに示されるシステム120の実施形態によれば、荷支持部144のうちの少なくとも1つは、標準型コンテナ22を包囲するためのキャブフレーム64(ハウジングに相当)を備えていてもよく、この荷支持部144は、この中に入った標準型コンテナ22を運搬するために、ストッカ38、40、42の間を移動可能であってもよい。このようにして、荷支持部144は、標準型コンテナ22を垂直にストッカ38、40、42の間で運搬するためのエレベータかごと同様に機能し得る。
【0030】
図8に示される一態様によれば、垂直搬送装置152は、荷支持部144のうちの1つ又は複数を、その上に設置された対応する標準型コンテナ22と共に、ストッカ38、40、42の間で移動させるための棚板又はレールを含み得る。この棚板は、例えば、荷支持部144のうちの2つ以上を一緒に動かすことを提供し得る。一態様によれば、荷支持部144のうちの1つ又は複数は、棚板に移動可能に接続されて、棚板に対して垂直に移動し得る。このようにして、移動可能な棚板のうちの選択された棚板をストッカ38、40、42の間で移動させ、他の棚板は動かさずに維持することが可能である。あるいは、棚板は、残りのストッカ38、40、42に対して移動可能に構成されていてもよく、荷支持部144が、棚板に固定されて、これと一緒に移動してもよい。
【0031】
図9を参照すると、荷保管システム20、120内において、第1の荷支持部44、144を備える建物の上方室(地下の一階)24の第1のストッカ38と、第1のストッカ38のすぐ下の建物の中間室(地下の二階)26の、第2の荷支持部44、144を備える第2のストッカ40との間で、標準型コンテナ22を直接移動させるための方法100が提供される。ここで、第1のストッカ38と第2のストッカ40との間には、床及び/又は多孔板30が配置されており、第1のストッカ38と第2のストッカ40との間の床及び/又は多孔板30によって、入口50が、第1のストッカ38における第1の荷支持部44、144、及び、第2のストッカ40における第2の荷支持部44、144に揃えられた状態で規定されている。この方法100は、標準型コンテナを第1のストッカ38内の荷支持部44、144の上に設置するステップ102を含む。この方法はまた、標準型コンテナを垂直搬送装置52、152に係合させるステップ104を含む。この方法はまた、標準型コンテナ22を、垂直搬送装置52、152と共に、入口50を通って第1のストッカ38から第2のストッカ40に移動させるステップ106を含む。この方法はまた、標準型コンテナ22を第2のストッカ40内の第2の荷支持部44、144の上に設置するステップ108を含む。
【0032】
図5に示されると共に図10のフローチャートに示される実施形態によれば、標準型コンテナを垂直搬送装置20に係合させるステップ104は、標準型コンテナ22に設けられた取っ手49を、巻き上げ機に取り付けられた対応する把持機構62に直接係合させるサブステップ110を含んでいてもよい。
【0033】
図7に示されると共に図11のフローチャートに示されるシステム120の実施形態によれば、標準型コンテナを垂直搬送装置20に係合させるステップ104は、荷支持部144を、レールに沿って第1のストッカ38から、入口50を通って第2のストッカ40まで移動させるサブステップ112を含んでいてもよい。
【0034】
図12のフローチャートによれば、標準型コンテナを垂直搬送装置20に係合させるステップ104はまた、荷支持部44のうちの1つ又は複数を、標準型コンテナ22を保持するための第1の構成と、標準型コンテナ22がその間を垂直に通過することを許容するための第2の構成との間で移動させるサブステップ114を含んでいてもよい。具体的には、図6A及び6Bに示されるように、この方法は、荷支持部44の2つの脚部54を横方向外側に向かって移動させるステップを含んでいてもよい。
【0035】
本発明は、上記の教示に関する多数の変更又は変形が可能であり、これらの変更又は変形は、具体的に説明した方法以外の方法で、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく実施され得ることは明らかであろう。上記記述は、本発明の新規性がその効力を発揮する任意の組み合わせを含むものと解釈されるべきである。装置の請求項における用語「前記(said)」の使用は、特許請求の範囲に含まれることを意図する肯定的記述である先行詞を指し、これに対して、用語「その(the)」は、特許請求の範囲に含まれることを意図しない語の前に置かれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12