(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6861308
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】車輪止め装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20210412BHJP
B60T 3/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
E04H6/42 A
B60T3/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-39538(P2020-39538)
(22)【出願日】2020年3月9日
【審査請求日】2020年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】算用子 徹
【審査官】
土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−030381(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3211048(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3118537(JP,U)
【文献】
特開2011−051577(JP,A)
【文献】
特開2006−103653(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3218816(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3216269(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
B60T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の中軸と、
前記中軸の一方の側に各一端を連結してスライド可能に取り付けた2つの第1フレームと、
前記中軸の他方の側に各一端をスライド可能に取り付け、前記2つの第1フレームの各他端に各他端をそれぞれ回動可能に接合した2つの第2フレームと、
前記2つの第2フレームに取り付けた一対の車輪止め具と、
を備える車輪止め装置。
【請求項2】
前記第1フレームと前記第2フレームとの接合部は、
前記第2フレームが前記中軸に対して垂直な位置で前記第1フレームと前記第2フレームとの回動を固定するロック機構を備える請求項1に記載の車輪止め装置。
【請求項3】
前記中軸と前記第1フレーム又は前記第2フレームとの間に取り付けられた弾性体を更に備える請求項1又は2に記載の車輪止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪止め装置は、停車時に車両が勝手に動いて事故に繋がることを防止するため、駆動輪(タイヤ)の前後に設置する装置である。従来の車輪止め装置は、一対の車輪止め具で構成されており、三角柱の構造を有するものが多く、タイヤと地面との間に形成されている概三角形の空間に両側から挟み込んで使用される(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“タイヤ輪止め(車留め・車輪止め)の使い方・用品の種類・安全効果!”、トラック王国ジャーナル、[2020年2月26日検索]、インターネット<URL : https://www.55truck.com/journal/24.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車輪止め装置は、一対の車輪止め具のみで構成されているため、車輪止め具の設置時及び撤去時に姿勢を大きく屈ませる必要があり、使用者の腰に大きな負担がかかる。また、車両が動かないように車輪止め具をタイヤと地面との間に上手く挟み込むことは難しく、片手での設置には時間や手間がかかる。そのため、悪天候時に片手で傘をさしながらもう一の手で輪止め具を設置しようとしても時間がかかったり、屈みこむ際に体が濡れたり、フェンダーやタイヤとの接触により手や服が汚れてしまうことがある。それ故、設置すべき傾斜面等の場所に車両を駐車した場合であっても、車輪止め具を設置しないことがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡単に設置及び撤去可能な車輪止め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の車輪止め装置は、棒状の中軸と、前記中軸の一方の側に各一端を連結してスライド可能に取り付けた2つの第1フレームと、前記中軸の他方の側に各一端をスライド可能に取り付け、前記2つの第1フレームの各他端に各他端をそれぞれ回動可能に接合した2つの第2フレームと、前記2つの第2フレームに取り付けた一対の車輪止め具と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単に設置及び撤去可能な車輪止め装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】車輪止め装置の設置例を示す正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施する一実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
[概要]
本実施形態に係る車輪止め装置は、開閉式(折り畳み式)の車輪止め装置である。車輪止め装置は、一対の車輪止め具を有する左右のフレームを閉じた状態で地面に置き、当該フレームを上から押すと当該一対の車輪止め具が左右の両側に開いてロックがかかり、ロックを解除すると自動的に閉じる構造を持つ。これにより、タイヤの前後に挟み込む上記一対の車輪止め具をワンタッチで開閉可能となり、車輪止め装置の設置及び撤去が容易になる。
【0011】
[車輪止め装置の構成]
図1は、車輪止め装置の構成例を示す正面図である。車輪止め装置は、把持部1と、中軸2と、3つのスライドパイプ3a,3b,3cと、2つの第1フレーム4a,4bと、2つの第2フレーム5a,5bと、一対の車輪止め具6a,6bと、2つの弾性体7a,7bと、を備える。
【0012】
把持部1は、車輪止め装置の使用時(運搬時、設置時、撤去時)に使用者が把持する部位である。把持部1は、鉄鋼材等で構成されており、
図1の紙面奥行方向に約15cm程度の長さを備え、中軸2の上端にネジ止め等を行うことで中軸2に接合されている。
【0013】
中軸2は、車輪止め装置の基軸となる棒状の中心軸である。中軸2も細長い鉄鋼材等で構成されており、
図1の垂直方向に約150cm程度の長さを備えている。
【0014】
上側のスライドパイプ3aは、車輪止め装置の設置時及び撤去時に使用者が操作する部位である。スライドパイプ3aは、内部が中空である鉄パイプ等で構成されており、中軸2の上方の位置にスライド可能に取り付けられている。また、スライドパイプ3aは、
図1の水平方向の両側に2つの第1フレーム4a,4bをそれぞれ取り付けるための取付部3a1,3a2を備えている。
【0015】
下側のスライドパイプ3bは、上側のスライドパイプ3aの操作に連動して引き摺られてスライドする部位である。スライドパイプ3bも鉄パイプ等で構成されており、中軸2の下方の位置にスライド可能に取り付けられている。スライドパイプ3bも、
図1の水平方向の両側に2つの第2フレーム5a,5bをそれぞれ取り付けるための取付部3b1,3b2を備えている。
【0016】
中段のスライドパイプ3cも、上側のスライドパイプ3aの操作に連動して引き摺られてスライドする部位である。スライドパイプ3cも鉄パイプ等で構成されており、中軸2の中程の位置にスライド可能に取り付けられている。スライドパイプ3cも、
図1の水平方向の両側に2つの弾性体7a,7bをそれぞれ取り付けるための取付部(不図示)を備えている。
【0017】
2つの第1フレーム4a,4b及び2つの第2フレーム5a,5bは、一対の車輪止め6a,6bの位置を制御する部位である。つまり、一対の車輪止め6a,6bを
図1の水平方向に両外側に向けて開閉する(折りひろげ、折りたたむ)構造を備える。いずれも細長い鉄鋼材等で構成されている。
【0018】
2つの第1フレーム4a,4bは、各一端が上側のスライドパイプ3aを介して連結して中軸2の上側にスライド可能に取り付けられ、スライドパイプ3aを中心にしてバイポッドのような構造を備えている。具体的には、第1フレーム4aは、一端が上側のスライドパイプ3aの一方の取付部3a1に回動可能に取り付けられ、他端が第2フレーム5aの他端に回動可能に接合されている。また、第1フレーム4bは、一端が上側のスライドパイプ3aの他方の取付部3a2に回動可能に取り付けられ、他端が第2フレーム5bの他端に回動可能に接合されている。
【0019】
2つの第2フレーム5a,5bは、各一端が下側のスライドパイプ3bを介して連結して中軸2の下側にスライド可能に取り付けられ、スライドパイプ3bを中心にしてバイポッドのような構造を備えている。具体的には、第2フレーム5aは、一端が下側のスライドパイプ3bの一方の取付部3b1に回動可能に取り付けられ、他端が第1フレーム4aの他端に回動可能に接合されている。また、第2フレーム5bは、一端が下側のスライドパイプ3bの他方の取付部3b2に回動可能に取り付けられ、他端が第1フレーム4bの他端に回動可能に接合されている。
【0020】
第1フレーム4aと第2フレーム5aとの接合部20aは、ユニバーサルジョイント(自在継手)で接合されている。また、接合部20aは、第2フレーム5aが中軸2に対して垂直な位置で第1フレーム4aと第2フレーム5aとの回動を固定するロック機構を備えている。
【0021】
第1フレーム4bと第2フレーム5bとの接合部20bも、ユニバーサルジョイントで接合されている。接合部20bも、第2フレーム5bが中軸2に対して垂直な位置で第1フレーム4bと第2フレーム5bとの回動を固定するロック機構を備えている。
【0022】
ロック機構は、ロック可能な任意の機構や構造を用いて構成する。例えば、第1フレーム4aと第2フレーム5aとの各接合端に互いに嵌合し合う溝をそれぞれ形成し、第1フレーム4aと第2フレーム5aとの間が所望の角度であるときに、その2つの溝が互いに嵌合することでロックする。その他、一方の接合端に凸部を設けるとともに、他方の接合端に同じサイズの凹部を設け、接合時に生じる互いの摩擦力でロックしてもよいし、凸部の側面に内側からバネで押圧される小さい球体の力でロックしてもよい。
【0023】
一対の車輪止め具6a,6bは、側面が三角形の形状を有する三角柱の構造を備え、四角形からなる3つの側面のうち1つの側面を底面にして、1つのタイヤの前後の空間(タイヤと地面との間に形成されている概三角形の空間)に挟み込んで設置される車輪止め具である。一対の車輪止め具6a,6bは、それぞれ、第2フレーム5a,5bの各側面の所定位置にそれぞれ取り付けられた部材であって、
図1の紙面奥行方向に伸びた棒状又は板状の2つの取付部材10a,10bに取り付けられている。所定位置とは、第2フレーム5a,5bの各側面の任意の位置でもよいし、上記接合部20a,20bでもよい。尚、車輪止め具6a,6bは、公知のものを流用する。その側面形状は、三角形、四角形、五角形等、任意である。
【0024】
2つの弾性体7a,7bは、両外側に開いた各フレームを自動的、自律的に閉じるための部位である。2つの弾性体7a,7bは、それぞれ、バネやゴム等で構成されており、中軸2と第1フレーム4aとの間、中軸2と第1フレーム4bの間にそれぞれ取り付けられている。例えば、第1弾性体7aは、一端が第1フレーム4aの側面に取り付けられ、他端が中段のスライドパイプ3cの一方の取付部に取り付けられている。第2弾性体7bは、一端が第1フレーム4bの側面に取り付けられ、他端が中段のスライドパイプ3cの他方の取付部に取り付けられている。
【0025】
[車輪止め装置の動作]
図2は、車輪止め装置の動作例を示す図である。
【0026】
まず、使用者は、車両から降車後、把持部1を持ちながら車輪止め装置を所望のタイヤに近い位置まで移動させ、車輪止め装置を地面に置く(
図2(a)参照)。
【0027】
次に、使用者は、一方の手で把持部1を持ちつつ、他方の手で上側のスライドパイプ3aを下方へ押し下げる。これにより、上側のスライドパイプ3aに連結している2つの第1フレーム4a,4bが共に下方へ押し下げられ、2つの第2フレーム5a,5b及び下側のスライドパイプ3bも下方へ押し下げられる。同時に、2つの第1フレーム4a,4b及び2つの第2フレーム5a,5bは、各接合部20a,20bで折れ曲がった状態になり、徐々に両外側に向けて開かれていく(
図2(b)参照)。
【0028】
その後、下側のスライドパイプ3bは地面に到達し、到達しても引き継き、使用者は、上側のスライドパイプ3aを下方へ押し下げる。これにより、2つの第1フレーム4a,4b及び2つの第2フレーム5a,5bは、更に両外側に向けて開かれていく(
図2(c)参照)。
【0029】
そして、2つの第2フレーム5a,5bが地面に平行になると、接合部20a,20bがそれぞれロックし、一対の車輪止め6a,6bが固定される(
図2(d)参照)。尚、第2フレーム5a,5bに対する一対の車輪止め6a,6bの各取り付け位置は、1つのタイヤの前後の位置に合うように予め設計されている。
図3は、タイヤTに対する車輪止め装置の設置例を示す図である。
図3(a)は正面図、
図3(b)は側面図である。
【0030】
その後、車の運転を再開する場合、使用者は、上側のスライドパイプ3aを上方へ押し上げる。これにより、接合部20a,20bがそれぞれアンロックし、2つの弾性体7a,7bの元に戻る力により、2つの第1フレーム4a,4b及び2つの第2フレーム5a,5bは、徐々に中軸2に向けて閉じていき、
図2(a)の初期状態に戻る。
【0031】
[変形例1]
本実施形態では、2つの弾性体7a,7bを、中軸2と第1フレーム4aとの間、中軸2と第1フレーム4bの間にそれぞれ取り付ける場合を例に説明したが、中軸2と第2フレーム5aとの間、中軸2と第2フレーム5bの間にそれぞれ取り付けてもよい。
【0032】
[変形例2]
本実施形態では、2つの弾性体7a,7bを、中段のスライドパイプ3cに取り付ける場合を例に説明したが、中軸2の側面に直接取り付けてもよい。
【0033】
[効果]
本実施形態によれば、車輪止め装置は、棒状の中軸2と、前記中軸2の一方の側に各一端を連結してスライド可能に取り付けた2つの第1フレーム4a,4bと、前記中軸2の他方の側に各一端をスライド可能に取り付け、前記2つの第1フレーム4a,4bの各他端に各他端をそれぞれ回動可能に接合した2つの第2フレーム5a,5bと、前記2つの第2フレーム5a,5bに取り付けた一対の車輪止め具6a,6bと、を備えるので、ワンタッチで開閉が可能となり、簡単に設置及び撤去可能な車輪止め装置を提供できる。
【0034】
本実施形態によれば、前記第1フレーム4a,4bと前記第2フレーム5a,5bとの接合部20a,20bは、前記第2フレーム5a,5bが前記中軸2に対して垂直な位置で前記第1フレーム4a,4bと前記第2フレーム5a,5bとの回動を固定するロック機構を備えるので、一対の車輪止め具6a,6bを確実に固定可能となり、不慣れな利用者でも簡単に設置及び撤去可能な車輪止め装置を提供できる。
【0035】
本実施形態によれば、前記中軸2と前記第1フレーム4a,4b又は前記第2フレーム5a,5bとの間に取り付けられた弾性体7a,7bを更に備えるので、第1フレーム4a,4b及び第2フレーム5a,5bを自動的に閉じることが可能となり、不慣れな利用者でもより簡単に設置及び撤去可能な車輪止め装置を提供できる。
【符号の説明】
【0036】
1…把持部
2…中軸
3a,3b,3c…スライドパイプ
3a1,3a2…取付部
3b1,3b2…取付部
4a,4b…第1フレーム
5a,5b…第2フレーム
6a,6b…車輪止め具
7a,7b…弾性体
10a,10b…取付部材
20a,20b…接合部
【要約】
【課題】簡単に設置及び撤去可能な車輪止め装置を提供する。
【解決手段】車輪止め装置は、棒状の中軸2と、前記中軸2の一方の側に各一端を連結してスライド可能に取り付けた2つの第1フレーム4a,4bと、前記中軸2の他方の側に各一端をスライド可能に取り付け、前記2つの第1フレーム4a,4bの各他端に各他端をそれぞれ回動可能に接合した2つの第2フレーム5a,5bと、前記2つの第2フレーム5a,5bに取り付けた一対の車輪止め具6a,6bと、を備える。
【選択図】
図1