特許第6861315号(P6861315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861315
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】流体注入システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   A61M5/32 510H
【請求項の数】43
【外国語出願】
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2020-132167(P2020-132167)
(22)【出願日】2020年8月4日
(62)【分割の表示】特願2017-546239(P2017-546239)の分割
【原出願日】2016年2月26日
(65)【公開番号】特開2021-3558(P2021-3558A)
(43)【公開日】2021年1月14日
【審査請求日】2020年8月18日
(31)【優先権主張番号】645/DEL/2015
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】201611002989
(32)【優先日】2016年1月28日
(33)【優先権主張国】IN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517302619
【氏名又は名称】ラソア,ジャイ ヒンド
(73)【特許権者】
【識別番号】517302620
【氏名又は名称】ラソア,バハラッティ
(73)【特許権者】
【識別番号】517302631
【氏名又は名称】ラソア,プラティバ
(73)【特許権者】
【識別番号】517302642
【氏名又は名称】ラソア,ニーラム
(73)【特許権者】
【識別番号】517302653
【氏名又は名称】ラソア,ブヴァン チャンドラ
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ラソア,ジャイ ヒンド
(72)【発明者】
【氏名】ラソア,バハラッティ
(72)【発明者】
【氏名】ラソア,プラティバ
(72)【発明者】
【氏名】ラソア,ニーラム
(72)【発明者】
【氏名】ラソア,ブヴァン チャンドラ
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/080420(WO,A2)
【文献】 国際公開第03/030961(WO,A2)
【文献】 特表2003−516794(JP,A)
【文献】 特開2007−061623(JP,A)
【文献】 特開2008−100111(JP,A)
【文献】 特表2009−540875(JP,A)
【文献】 特表2012−519510(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3062087(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3152136(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
A61M 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体注入システムであって、
注入器本体を有する注入器と、
プランジャシャフトと、
外側プランジャバレル内で摺動可能な内側プランジャバレルを有し、前記内側プランジャバレルが、前記外側プランジャバレルの前方への移動を制限するように構成されたロック手段を有し、前記外側プランジャバレル及び前記内側プランジャバレルは、前記外側プランジャバレルがその全長で引き出されたときに一体化されたプランジャバレルを形成するように構成されたプランジャ組立体と、
注入可能な部位に流体を注入するための皮下注射針と前記流体とを備える流体カートリッジと
を含み、
前記流体カートリッジが、前記注入器の近位端で前記注入器に解放可能に係合するように構成され、
前記一体化されたプランジャバレルの形成時に、前記外側プランジャバレルと前記内側プランジャバレルとの間に真空が生成され、
前記一体化されたプランジャバレルが前方に移動すると、前記流体カートリッジから前記注入可能な部位に前記流体が移送され、前記内側プランジャバレルと前記皮下注射針とが連結され、
前記真空解放されて減圧されることにより、前記内側プランジャバレルが前記外側プランジャバレルに対して後方に移動し、前記内側プランジャバレルと連結されている前記皮下注射針が空の流体カートリッジ内に引き込まれ、前記注入器が再利用のために前記流体カートリッジから外される、流体注入システム。
【請求項2】
前記注入器本体が、前記注入器本体の近位端に仕切りリング及びフランジリングを備え、前記プランジャシャフトを前記注入器本体の中心に保持する、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項3】
前記注入器本体が、前記注入器を保持するためのフィンガフランジを前記注入器本体の遠位端に、前記流体カートリッジを係合するための内側係合手段及び外側係合手段を前記注入器本体の近位端にさらに備える、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項4】
前記内側係合手段及び前記外側係合手段がL字型溝である、請求項3に記載の流体注入システム。
【請求項5】
前記プランジャ組立体の前記外側プランジャバレルが、サムレストを遠位端に、内側に突出したフランジ縁部を前記外側プランジャバレルの近位端に備える、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項6】
前記サムレストがゴム製Oリングを有する、請求項5に記載の流体注入システム。
【請求項7】
前記内側に突出したフランジ縁部が、前記プランジャ組立体の前記内側プランジャバレルの外径に等しい内径を有する、請求項5に記載の流体注入システム。
【請求項8】
前記プランジャ組立体の前記外側プランジャバレルが、前記注入器本体の内径に等しい外径を有する、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項9】
前記プランジャ組立体の前記内側プランジャバレルが、前記プランジャ組立体の前記内側プランジャバレルの遠位端に、前記内側プランジャバレルの外側と前記外側プランジャバレルの内側との間にピストンシールを保持するためのピストン・シール・ホルダを有する、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項10】
前記プランジャシャフトが、2つの外側に突出したフラップを含む軸方向に溝のある鉗子ロックヘッドを有するように構成される、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項11】
前記2つの外側に突出したフラップが、前記2つの外側に突出したフラップの近位端において鋭い刃であるように構成される、請求項10に記載の流体注入システム。
【請求項12】
前記プランジャシャフトが針形状のプランジャシャフトである、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項13】
前記ロック手段が前記内側プランジャバレルの内側に収容される、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項14】
前記ロック手段が、前記内側プランジャバレルに設けられた長手方向のスロットを通って突出する円錐形のロックノッチを有する、請求項13に記載の流体注入システム。
【請求項15】
前記ロック手段がUクリップロック手段である、請求項14に記載の流体注入システム。
【請求項16】
前記プランジャ組立体が、前記注入器の遠位チャンバ内に収容され、前記プランジャシャフトが、前記注入器の近位チャンバの中心に軸方向に収容される、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項17】
前記プランジャ組立体が第1のばねを有するように構成される、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項18】
前記第1のばねが、前記プランジャ組立体の前記内側プランジャバレルの外側と前記外側プランジャバレルの内側との間に設けられる、請求項17に記載の流体注入システム。
【請求項19】
前記内側プランジャバレルが、LEDインジケータ及び複数のボタン電池を備える、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項20】
前記内側プランジャバレルには、複数の金属ストリップを保持してLED回路を形成するための複数の貫入部が設けられている、請求項19に記載の流体注入システム。
【請求項21】
前記注入器が、前記注入器の前記近位端の隔壁に設けられた押しボタンを有するように構成される、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項22】
前記押しボタンには第2のばねが設けられている、請求項21に記載の流体注入システム。
【請求項23】
前記流体が注入可能な流体である、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項24】
請求項1に記載の流体注入システムであって、前記流体カートリッジがさらに、
遠位端及び近位端を有し、前記流体を収容するように構成された流体容器と、
前記プランジャシャフトを係合するように構成されたピストンフランジ及び円錐形の空洞を備えるピストン組立体と、
前記皮下注射針を保持するように構成された針ハブ、前記針ハブを保持するように構成された針ホルダ、Oリング、前記流体容器の前記遠位端に向かって水平方向に延在する複数のピンを有するキャップ、及び前記流体容器の内部に配置された前記皮下注射針を覆うように構成された針ガードを有する引込み可能な針組立体と
を備え、
前記流体容器が、前記注入器本体と連結するための係合手段を前記流体容器の前記遠位端に備え、
前記流体容器の前記近位端には、前記針ハブを保持するための中央が開口した円錐形の口が設けられ、
前記キャップの水平方向に延在する前記複数のピンが、前記Oリングの複数のクレフトを通過して前記Oリングを摺動可能に保持するように構成され、
前記キャップが前記針ホルダを保持するように構成され、
前記針ガードが使用者によって引き出され、前記皮下注射針が前記針ガードと共に前記針ホルダから延出することを可能にし、
前記注入器の前記一体化されたプランジャバレルが前方に押されて、前記プランジャシャフトを前記ピストン組立体の前記円錐形の空洞に連結させて、単一のプランジャ部を形成し、
前記単一のプランジャ部が、前記流体に下向きの圧力を加えて前記注入可能な部位に前記流体を注入し、
前記単一のプランジャ部が、前記キャップの水平方向に延在する前記複数のピンに下向きの圧力を加えて前記注入可能な部位に残りの流体を注入し、前記皮下注射針と共に前記針ホルダを解放する、流体注入システム。
【請求項25】
前記係合手段が、前記流体容器の内側及び外側の両方に設けられた突出部である、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項26】
前記ピストンフランジが、前記ピストン組立体の近位端において前記ピストン組立体の中心に針捕捉突起を有するように構成される、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項27】
前記針捕捉突起が、前記針捕捉突起の近位端に円錐形の隆起を有するように構成される、請求項26に記載の流体注入システム。
【請求項28】
前記針捕捉突起が縦溝を有するように構成される、請求項27に記載の流体注入システム。
【請求項29】
前記針捕捉突起が、前記針捕捉突起の表面に円錐形の溝を有するように構成される、請求項27に記載の流体注入システム。
【請求項30】
前記ピストンフランジが、前記ピストンフランジと前記流体容器との間にピストンシールを保持するための複数の溝を有するように構成される、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項31】
前記針ハブが、前記ピストン組立体と連結するために、前記針ハブの遠位端に円錐形の空洞を備える、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項32】
前記針ハブが、前記針ハブの近位端の中心位置に前記皮下注射針を保持する、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項33】
前記針ハブが、前記針ハブの前記近位端に円錐形の隆起を有するように構成される、請求項32に記載の流体注入システム。
【請求項34】
前記針ホルダが、前記針ホルダの近位端に円錐形の溝を有する円錐形の空洞を有するように構成される、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項35】
前記針ホルダ及び前記針ハブが、互いに融合するように構成される、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項36】
前記針ガードが、ロック手段を使用して前記皮下注射針を覆うように構成される、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項37】
前記針ガードが、前記針ガードの近位端にノブ様構造を有するように構成される、請求項36に記載の流体注入システム。
【請求項38】
前記針ガードが、反時計回り方向に所定の角度で回転され、前記皮下注射針から離れるように引き出される、請求項36に記載の流体注入システム。
【請求項39】
前記所定の角度が90°である、請求項38に記載の流体注入システム。
【請求項40】
前記針ガードが、前記流体容器の前記中央が開口した円錐形の口に等しい外径を有する、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項41】
前記流体容器が、前記流体容器の前記遠位端にゴム製キャップを有するように構成される、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項42】
前記皮下注射針が、前記一体化されたプランジャバレルに加えられる圧力により、前記中央が開口した円錐形の口から延出する、請求項24に記載の流体注入システム。
【請求項43】
前記流体が、前記ピストン組立体と前記引込み可能な針組立体との間に挟まれている、請求項24に記載の流体注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、皮下注射器に関し、より詳細には、流体注入システム及びその方法に関する。さらに、流体注入システムは、注入器及び流体カートリッジを有する。また、このシステムは針刺し事故を防ぎ、経済的であり、取扱いが簡単である。
【背景技術】
【0002】
引込み可能な針を有する皮下注射器は、当技術分野でよく知られている。これらの注射器は、一般に、医療産業において、患者の皮下に治療薬を注入するために使用されている。その有用性にもかかわらず、皮下注射器は、医療専門家、患者、公園で遊んでいる子供、通りの歩行者、及び皮下注射器の露出した針によって偶然に刺される可能性のある者に重大な安全上のリスクをもたらす。廃棄後に、廃棄された針との接触に起因して発生する針刺し事故がますます問題になっている。針刺し事故は、典型的には使用前と使用後の針先による経皮的創傷である。職業上の健康被害に関するこれらの事象は、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus:HBV)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus:HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)などの通過を介して、血液媒介性疾患を伝達するリスクがあるため、大きな懸念事項である。医療廃棄物の処分もまた、公衆衛生上の大きな懸念をもたらす。上記の懸念の結果として、安全な流体注入システムが、危険な針刺し事故を回避するためにますます注目を集めている。
【0003】
一般に、注入可能な薬剤(流体)は、バイアルやアンプルなどの容器に入れて製薬産業によって好都合に保管、充填、供給されるが、これらはヒトや動物の身体に注入するための皮下注射器を必要とする。従来の注射器では、操作者は、最初に必要な量の薬剤を針を介して吸引することによって空の皮下注射器に移してから、患者の体内に注入する。引込み可能な注射器の場合、ばね又は同様の付勢手段で動作可能な引込み機構が作動して、バレル内に針を引き込む。注入プロセスの完了後、空のバイアル、アンプル又は容器、使用済みの皮下注射器、及び一般に非生分解性プラスチックでできているそれらの包装材料などは、最終的に医療廃棄物として処分され、かなりの経済的及び環境的負担をもたらす。
【0004】
製薬産業によって充填された注入可能な薬剤は、そのような容器の縁まで充填されることはないが、約20〜40%の体積の空気が、保管の過程全体を通じて、常に充填された薬剤と直接接触し得る状態のままであることに留意することも重要である。そのような閉じ込められた空気に存在する酸素、窒素、及びその他の活性分子も薬剤内容物の分子と連続的に相互作用し続け、その結果、薬剤の有効性の最終的な低下につながる薬剤内容物への悪影響が完全に除外されない場合がある。一方、薬剤内容物を空の注射器に吸引する前に、使用者は最初に空の注射器の皮下注射針を通してそのような容器に気流を注入して、薬剤内容物上の空気の圧力を増加させるが、その結果、陰圧の適用により空の注射器への吸引が容易になり得る。薬剤に強制的に注入された気流は、窒素、酸素、二酸化炭素などの空気の通常の成分以外に有害な生物活性分子又は他の汚染物質を含むことを排除できない場合がある。注入可能な薬剤内容物に押し込まれるそのような汚染された空気の強力な流れは、相当量の空気内容物がそのような高圧で薬剤内容物に溶解するため、そのような空気と薬剤内容物との間の化学的相互作用の確率を最大限に高める。そのような状況下では、薬剤の効力と有効性への悪影響も除外されない場合がある。その上、そのようなより高い圧力で薬剤内容物に流れ込むそのような気流は、閉じ込められた汚染空気でできた数百万もの気泡/微小気泡を生成するように結合もされ、これらの気泡/微小気泡は、空の注射器内に吸引される。しかしながら、使用者は目に見える気泡に注意を払うことはできるが、数百万もの微小気泡が患者の血流に直接入り、患者に不利な/望ましくない影響を与えることを決して回避できない。しかしながら、これらの問題についての議論や文献は見つからなかったが、これらの問題は無視できるものではなく、効果的に対処する必要がある。本発明者らは、まさに製造の段階から患者の身体への投与に至るまで、薬剤内容物の効力が維持され得、鋭意保護され得るように、注入可能な薬剤内容物がいかなるときも決して空気内容物と接触しないようにすべきであり、薬剤は空の注射器のような他の容器に移すことなく患者に直接注入する必要があることを強く主張する。
【0005】
引込み可能な針を備えた効率的な皮下注射器のために提供されたいくつかの解決策があり、それらのうちのいくつかが以下で議論されている。
米国特許出願公開第2006/0264840号明細書は、引込み可能な針を備えた安全注射器を説明している。この注射器は、注射器本体、注射器空洞、プランジャ、可変真空コンパートメント、シャフトブレーキ、及びラム部材を有する。プランジャ組立体は、注射器本体内で摺動可能に係合するプランジャシャフトとピストンとを含む。可変真空コンパートメントは、底部注射器本体端から上部注射器本体端に向けられたプランジャシャフトに真空力をもたらすように動作可能である。シャフトブレーキは、プランジャシャフトを摩擦係合して、真空力に抗する第1及び第2の摩擦力をもたらすように動作可能であり、第1の摩擦力は、ピストンが底部注射器本体端に到達する前に作用し、第2の摩擦力は、ラム部材とシャフトブレーキとの係合に応答して作用する。さらに、第2の摩擦力は第1の摩擦力より小さい。
【0006】
米国特許第6712787号明細書は、引込み可能な安全注射器について説明している。引込み可能な安全注射器は、針カニューレをプランジャモジュール内に引き込むので、再利用や、注射器内でプランジャバリアとカニューレバリアを破壊することによる偶発的な針刺しを防止する。さらに、針カニューレは、内部の環状せん断カッターヘッドでカニューレバリア及びプランジャバリアをせん断することにより、プランジャモジュール内に解放される。
【0007】
米国特許第9097435号明細書は、引込み可能な針流体移送装置について説明している。この装置は、手動で操作可能なアクチュエータを含む。アクチュエータを押すと、ばねが針を後方にずらし、汚染された針を閉じ込める。この装置は、針が引き込まれた後の針のずれを妨げるための前方及び後方の停止部を含む。流体ラインから流体サンプルを取得するための安全サンプリング・アクセス・ポート・アダプタも開示されている。サンプリング・アダプタは、真空管などの流体容器と協働するように構成された折畳み式ソケットを含む。さらに、流体容器にシールを突き刺すための針組立体が提供される。使用後、ソケットは、汚染された針との接触を防ぐために折り畳まれる。
【0008】
前述の文献及び他の同様の解決策は、引込み可能な針を備えた効率的な皮下注射器を提供するように努力しているであろうが、それらには依然として、比較的低い信頼性、比較的高い複雑性及び比較的高い製造コストなど、これらに限定されないが、いくつかの制限及び欠点がある。これらの皮下注射器の別の欠点は、注入可能な薬剤の全内容物を空洞から排出できないことである。さらに、皮下注射器に針引込み機構(NRM)を組み込むと、皮下注射器の全体的なコストが高まり、その程度は一般市民には手の届かないものとなるような大きさになってしまうため、これらの注射器は経済的に実現可能ではない。さらに、安全機能の動作は自明ではないため、皮下注射器を効果的に使用するには追加の訓練が必要である。また、既存の皮下注射器は、注入プロセス後に針引込み機構を作動させるために追加の力をかける必要があり、これは最終的には操作者にとって任意選択的となる。針引込み機構の強力な作動はまた、バックストロークを引き起こし、患者及び医療従事者に痛みをもたらす。バックストロークの結果として、針が揺れて組織に損傷を与え、その結果、出血する可能性があり、組織の損傷による膿瘍も生じる可能性がある。
【0009】
さらに、既存の皮下注射器は、注入プロセス後にばねの作用下でバレル内に引き込まれる針を含む。しかしながら、そのような種類の皮下注射器では、針があまりに速く引き込まれ、それにより、身体の穿刺された穴から体圧下で血液が噴出し、さらに二次的な交差感染を引き起こす可能性がある。従来の皮下注射器はまた、絶対安全なロック機構、並びに一度使用された皮下注射器のさらなる使用を防止及び制限するための効果的な引込み機構を欠いている。また、これらの皮下注射器は、流体を収集するための流体収集装置を含まない。
【0010】
既存の問題及び欠点に効果的に対処するために、当技術分野では依然として、針刺し事故のリスクなしに流体を安全に注入するための効率的な流体注入システム及びその方法が必要とされている。さらに、使用後に皮下注射針を単に引き込むだけでなく、使用済みの皮下注射針をシステム内の引込み位置に捕捉してしっかりと保持し、再利用できないようにすることができる流体注入システムが必要である。
【0011】
提案されている流体注入システムは、このような既知のすべての警戒すべき問題に効果的に対処するだけでなく、既知の代替案よりもクリーンで環境に優しく、安価で、取扱いが簡単で信頼できる技術的進歩を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0264840号明細書
【特許文献2】米国特許第6712787号明細書
【特許文献3】米国特許第9097435号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、注入器及び流体カートリッジを有する流体注入システムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、注入器及び流体収集器を有する流体注入システムを提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、注入可能な流体を充填して保管するために製薬業界で従来から使用されている従来の包装薬剤容器、すなわちバイアル、アンプルなどの容器に取って代わる流体カートリッジを提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、従来の注射器のバレルに代わり流体カートリッジを使用することで、流体カートリッジを流体注入システムの必須部分にすることである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、所定量の流体を含む流体カートリッジを提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、内蔵又は交換可能な皮下注射針を含むか、所望の寸法の皮下注射針の取付けを実現する、引込み可能な針組立体を有する流体カートリッジを提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、内蔵の皮下注射針がカートリッジ内に封入され、注入プロセス時に露出されるか、内蔵の皮下注射針が流体カートリッジから出る針ガードによって安全に保護される、流体カートリッジを提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、ピストン組立体を有する流体カートリッジを提供することであり、これは、引込み可能な針をそれ自身の係合手段から外し、それ自身を引込み可能な針組立体と係合させて、注入プロセスの完了後にそれを保持する手段を備える。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、ピストン組立体を軸方向に前後方向に移動させることができる、注入器のプランジャシャフトと係合する手段を備えたピストン組立体を有する流体カートリッジを提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、注入器に対して軸方向に係合させて/取り付けて流体注入システムを構成する係合手段を備えた流体容器を有する流体カートリッジを提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、注入プロセス中に流体カートリッジにしっかりと取り付けるためにその近位端に取付け手段を有する注入器を含む流体注入システムを提供することである。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、プランジャ組立体が、内側プランジャバレル及び外側プランジャバレルからなり、外側プランジャバレルの実質的な後退によって、内側プランジャバレルに備えられたロック手段が作動することで、これら2つのプランジャバレルの間に真空が生成され、それらが一体となり単一のプランジャ部を構成する、注入器を含む流体注入システムを提供することである。
【0025】
本発明のさらに別の目的は、内側プランジャバレルがその近位端でプランジャシャフトと軸方向に連結され、注入プロセス中に流体カートリッジのピストン組立体に取り付けるための手段を近位端に備える、注入器を備えた流体注入システムを提供することである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、プランジャバレルの組立体がロック手段を備え、このロック手段は、外側プランジャ組立体の後方への実質的な後退時に、外側プランジャバレルを内側プランジャバレルにロックして、これら2つのバレルの間に真空を生成するように動作する、注入器を備えた流体注入システムを提供することである。
【0027】
本発明のさらに別の目的は、ロックされて一体化されたプランジャバレルが注入器に実質的に押し込まれると、プランジャ組立体に備えられたロック手段がロック解除される、注入器を備えた流体注入システムを提供することである。このロック解除動作により、2つのバレル間の真空が解放され、バレルが折り畳まれ、内側プランジャバレルが外側プランジャバレル内の元の状態に戻る。
【0028】
本発明のさらに別の目的は、プランジャシャフトが、内側プランジャバレルの近位端に軸方向に取り付けられ、かつ、注入プロセス中にその遠位端で流体カートリッジのピストン組立体にしっかりと取り付けられ、注入プロセスの完了後に自動的に外れるロック手段を備える、注入器を備えた流体注入システムを提供することである。
【0029】
本発明のさらに別の目的は、プランジャシャフトが、最初にピストン組立体と連動し、次にそれを前方に押して流体カートリッジの流体を患者に注入し、最後の液滴が注入されると、使用者の介入なしに、注入プロセスの完了後、皮下注射針に連結された引込み可能な針組立体と共にピストン組立体を自動的に後方に後退させ、その後、ピストン組立体から自動的に外れて空の流体カートリッジを解放する、注入器を備えた流体注入システムを提供することである。
【0030】
本発明のさらに別の目的は、プランジャシャフトが、ロックされて一体化されたプランジャバレルが前方に押されると、ピストン組立体を前方に移動させるが、ロックされて一体化されたプランジャバレルが注入器に完全に押し込まれると、プランジャバレルのロック解除と真空の解除により、自動的に後方に引き込まれる、注入器を備えた流体注入システムを提供することである。
【0031】
本発明のさらに別の目的は、標的から流体を収集するように構成され、注入器に取外し可能に連結される、流体収集器を備えた流体注入システムを提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、針刺し事故のリスクなしに注入可能な部位に流体を安全に注入するための流体注入方法を提供することである。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、標的から流体を収集するための流体収集方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明の実施形態は、流体注入システム及びその方法を提供することを目的とする。流体注入システムは、注入器と流体カートリッジとを備え、自己生成された真空によって皮下注射針を引き込むことができ、注入プロセスの完了後、皮下注射針を流体カートリッジ内の引込み位置に封入する。流体注入システムは、引き込まれた針を封入する流体カートリッジが再利用できなくなるため、針刺し事故のリスクを完全に防ぐ。さらに、流体注入システムの注入器は再利用可能であり、流体カートリッジと組み合わせて繰り返し使用することができる。さらに、流体注入システムは経済的で取扱いが簡単である。また、本発明は、流体収集器を提供する。
【0035】
本発明の一実施形態に従って、流体注入システムは、注入器本体を有する注入器と、プランジャシャフトと、外側プランジャバレル内で摺動可能な内側プランジャバレルを有し、当該内側プランジャバレルは、外側プランジャバレルの前方への移動を制限するように構成されたロック手段を有し、当該外側プランジャバレル及び内側プランジャバレルは、外側プランジャバレルがその全長で引き出されたときに一体化されたプランジャバレルを形成するように構成されたプランジャ組立体と、注入可能な部位に流体を注入するための皮下注射針を伴う(又は伴わない)引込み可能な針組立体とピストン組立体との間に注入可能な流体が充填された流体カートリッジとを含む。流体カートリッジは、注入器の近位端で注入器と解放可能に係合するように構成される。さらに、一体化されたプランジャバレルの形成時に、外側プランジャバレルと内側プランジャバレルとの間に真空が生成される。また、一体化されたプランジャバレルが前方に移動すると、流体カートリッジから注入可能な部位に流体が移送される。真空の解放により皮下注射針は空の流体カートリッジ内に引き込まれ、注入器は再利用のために流体カートリッジから外される。
【0036】
本発明の一実施形態に従って、注入器本体は、注入器本体の近位端に仕切りリング及びフランジリングを備え、プランジャシャフトを注入器本体の中心に保持する。さらに、注入器本体は、注入器を保持するためのフィンガフランジを注入器本体の遠位端に、流体カートリッジを係合するための内側係合手段及び外側係合手段を注入器本体の近位端に備える。好ましくは、内側係合手段及び外側係合手段は、L字型溝であるが、これに限定されない。
【0037】
本発明の一実施形態に従って、プランジャ組立体の外側プランジャバレルは、サムレストを遠位端に、内側に突出したフランジ縁部を外側プランジャバレルの近位端に備える。さらに、サムレストはゴム製Oリングを有する。
【0038】
本発明の一実施形態に従って、内側に突出したフランジ縁部は、プランジャ組立体の内側プランジャバレルの外径に等しい内径を有する。さらに、プランジャ組立体の外側プランジャバレルは、注入器本体の内径に等しい外径を有する。
【0039】
本発明の一実施形態に従って、プランジャ組立体の内側プランジャバレルは、プランジャ組立体の内側プランジャバレルの遠位端に、内側プランジャバレルの外側と外側プランジャバレルの内側との間にピストンシールを保持するためのピストンホルダを有する。
【0040】
本発明の一実施形態に従って、プランジャシャフトは、2つの外側に突出したフラップを含む軸方向に溝のある鉗子ロックヘッドを有するように構成される。さらに、2つの外側に突出したフラップは、フラップの近位端において鋭い刃であるように構成される。
【0041】
本発明の一実施形態に従って、プランジャシャフトは、針形状のプランジャシャフトである。
【0042】
本発明の一実施形態に従って、ロック手段は、内側プランジャバレルの内側に収容される。さらに、ロック手段は、内側プランジャバレルに設けられた長手方向のスロットを通って突出する円錐形のロックノッチを有する。また、ロック手段は、Uクリップロック手段であるが、これに限定されない。
【0043】
本発明の一実施形態に従って、プランジャ組立体は、注入器の遠位チャンバ内に収容され、プランジャシャフトは、注入器の近位チャンバの中心に軸方向に収容される。
【0044】
本発明の一実施形態に従って、プランジャ組立体は、第1のばねを有するように構成される。さらに、第1のばねは、プランジャ組立体の内側プランジャバレルの外側と外側プランジャバレルの内側との間に設けられる。
【0045】
本発明の一実施形態に従って、内側プランジャバレルは、LEDインジケータ及び複数のボタン電池を備える。さらに、内側プランジャバレルには、複数の金属ストリップを保持してLED回路を形成するための複数の貫入部が設けられている。
【0046】
本発明の一実施形態に従って、注入器は、注入器の近位端の隔壁に設けられた押しボタンを有するように構成される。好ましくは、押しボタンには第2のばねが設けられる。
【0047】
本発明の一実施形態に従って、流体は注入可能な流体である。
【0048】
本発明の一実施形態に従って、流体カートリッジはさらに、遠位端及び近位端を有し、流体を収容するように構成された流体容器と、プランジャシャフトを係合するように構成されたピストンフランジ及び円錐形の空洞を備えるピストン組立体と、皮下注射針を保持するように構成された針ハブ、針ハブを保持するように構成された針ホルダ、Oリング、流体容器の遠位端に向かって水平方向に延在する複数のピンを有するキャップ、及び流体容器の内部に配置された皮下注射針を覆うように構成された針ガードを有する引込み可能な針組立体とを備える。流体容器は、注入器本体と連結するための係合手段を流体容器の遠位端に備える。さらに、流体容器の近位端には、針ハブを保持するための中央が開口した円錐形の口が設けられている。キャップの水平方向に延在する複数のピンは、Oリングの複数のクレフトを通過してOリングを摺動可能に保持するように構成される。また、キャップは針ホルダを保持するように構成される。針ガードは使用者によって引き出され、皮下注射針が針ガードと共に針ホルダから延出することを可能にする。注入器の一体化されたプランジャバレルが前方に押されて、プランジャシャフトをピストン組立体の円錐形の空洞に連結又は連動させて、単一のプランジャ部を形成する。単一のプランジャ部は、流体に下向きの圧力を加えて注入可能な部位に皮下注射針を介して流体を注入し、この単一のプランジャ部はまた、キャップの水平方向に延在する複数のピンに下向きの圧力を加えて注入可能な部位に残りの流体を注入し、皮下注射針と共に針ホルダを解放する。
【0049】
本発明の一実施形態に従って、係合手段は、流体容器の内側及び外側の両方に設けられた突出部であるが、これに限定されない。
【0050】
本発明の一実施形態に従って、ピストンフランジは、ピストン組立体の近位端においてピストン組立体の中心に針捕捉突起を有するように構成される。さらに、針捕捉突起は、針捕捉突起の近位端に円錐形の隆起を有するように構成される。
【0051】
本発明の一実施形態に従って、針捕捉突起は、針捕捉突起の表面に縦溝又は円錐形の溝を有するように構成されるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明の一実施形態に従って、ピストンフランジは、ピストンフランジと流体容器との間にピストンシールを保持するための複数の溝を有するように構成される。
【0053】
本発明の一実施形態に従って、針ハブは、ピストン組立体と連結するために、針ハブの遠位端に円錐形の空洞を備える。さらに、針ハブは、針ハブの近位端の中心位置に皮下注射針を保持する。また、針ハブは、針ハブの近位端に円錐形の隆起を有するように構成される。
【0054】
本発明の一実施形態に従って、針ホルダは、針ホルダの近位端に円錐形の溝を有する円錐形の空洞を有するように構成される。
【0055】
本発明の一実施形態に従って、針ホルダ及び針ハブは、互いに融合するように構成される。
【0056】
本発明の一実施形態に従って、針ガードは、ロック手段を使用して皮下注射針を覆うように構成される。さらに、針ガードは、針ガードの近位端にノブ様構造を有するように構成される。
【0057】
本発明の一実施形態に従って、針ガードは、反時計回り方向に所定の角度で回転され、皮下注射針から離れるように引き出される。さらに、所定の角度は90°である。
【0058】
本発明の一実施形態に従って、針ガードは、流体容器の中央が開口した円錐形の口に等しい外径を有する。
【0059】
本発明の一実施形態に従って、流体容器は、流体容器の遠位端にゴム製キャップを有するように構成される。
【0060】
本発明の一実施形態に従って、ピストン組立体は、円筒状の鋸刃を有するように構成される。
【0061】
本発明の一実施形態に従って、引込み可能な針組立体は、Oリングと針ホルダとの間に薄層円形ダイアフラムを有するように構成される。
【0062】
本発明の一実施形態に従って、ピストンフランジは、その近位端に環状の隆起突起を有するように構成される。
【0063】
本発明の一実施形態に従って、引込み可能な針組立体の針ホルダは、Oリングを保持するために、カラー突起を備えたフランジ縁部を針ホルダの遠位端に有するように構成される。さらに、Oリングは、Oリングの遠位端におけるOリングの内径より大きいOリングの近位端における内径を有し、カラー突起の周りでOリングと係合する。
【0064】
本発明の一実施形態に従って、皮下注射針は、一体化されたプランジャバレルに加えられる圧力により、中央が開口した円錐形の口から延出する。
【0065】
本発明の一実施形態に従って、流体は、ピストン組立体と引込み可能な針組立体との間に挟まれる。
【0066】
本発明の一実施形態に従って、流体収集器は、中央に延在する円錐形の突起を有するように構成され、この円錐形の突起の近位端に取外し可能な針ホルダを含み、取外し可能な皮下注射針を保持する流体容器と、ピストン組立体の遠位端においてピストン組立体の中心に円錐形の空洞を備えるピストンフランジを有し、注入器のプランジャシャフトと連結するピストン組立体と、中央孔を有する凹形ダイアフラムを内部に備え、取外し可能な針ハブと共に取外し可能な皮下注射針の進入を可能にする容器カバーとを含む注入器に解放可能に係合するように構成される。容器カバーは、流体容器に取外し可能に取り付けられる。さらに、流体容器は、注入器本体と係合するための係合手段を遠位端に備える。真空を保持する注入器の一体化されたプランジャバレルは、プランジャシャフトをピストン組立体の円錐形の空洞に取り付けるために、完全に前方に押される。さらに、真空の解放は、一体化されたプランジャバレルの内側プランジャバレルをピストン組立体と共に後方に移動させ、最終的に、意図した標的から流体容器中への流体の吸引をもたらす。
【0067】
本発明の一実施形態に従って、流体容器は、流体容器の遠位端に薄層のダイアフラムを含む。
【0068】
本発明の一実施形態に従って、ピストンフランジは、ピストンフランジと流体容器との間にピストンシールを保持するための複数の溝を有するように構成される。
【0069】
本発明の一実施形態に従って、容器カバーは、流体容器に取り付けられるように、流体容器の近位端において、流体容器の外径より大きい内径を有する。さらに、容器カバーは、取外し可能なリングシールを介して流体容器に取り付けられ、流体容器の近位端を覆う。
【0070】
本発明の一実施形態に従って、凹形ダイアフラムは、容器カバーの中央に設けられる。
【0071】
本発明の一実施形態に従って、中央孔は、取外し可能な針ハブより小さい直径を有するように構成される。
【0072】
本発明の一実施形態に従って、凹形ダイアフラムは複数の等しい部分に分割され、これらは、容器カバーの底部に向かってのみ押されるように構成され、中央孔のサイズを大きくして、取外し可能な針ハブと共に取外し可能な皮下注射針の進入を可能にする。
【0073】
本発明の一実施形態に従って、流体注入方法は、流体カートリッジのピストン組立体と引込み可能な針組立体との間に流体が挟まれた流体カードリッジを提供することと、プランジャシャフト及び一体化されたプランジャバレルを有する注入器に流体カートリッジを可逆的に連結することと、一体化されたプランジャバレルを前方に押し込み、流体カートリッジから注入可能な部位に流体を送達することとを含む。
【0074】
本発明の一実施形態に従って、注入器は外側プランジャバレル内で摺動可能な内側プランジャバレルを有し、一体化されたプランジャバレルは、外側プランジャバレルを完全に引き出すことによって形成される。さらに、一体化されたプランジャバレルは、内側プランジャバレルと外側プランジャバレルとの間に真空を保持するように構成される。
【0075】
本発明の一実施形態に従って、注入器は、前方及び後方へのプランジャシャフトの軸方向移動を作動させて、プランジャシャフトを引き込むように構成される。
【0076】
本発明の一実施形態に従って、流体は注入可能な流体である。
【0077】
本発明の一実施形態に従って、流体カートリッジは、注入器の近位端で注入器と可逆的に連結する。
【0078】
本発明の一実施形態に従って、流体収集方法は、容器カバーで覆われた取外し可能な皮下注射針及びピストン組立体を有する流体収集器を提供することと、プランジャシャフト及び一体化されたプランジャバレルを有する注入器に流体収集器を可逆的に連結することと、流体収集器から容器カバーを外して取外し可能な皮下注射針を露出することと、取外し可能な皮下注射針を標的の流体源に挿入することと、標的の流体源から流体収集器内に流体を収集することとを含む。
【0079】
本発明の一実施形態に従って、挿入することは、一体化されたプランジャバレルを前方に押し込み、注入器のプランジャシャフトを流体収集器のピストン組立体に取り付けることをさらに含む。
【0080】
本発明の一実施形態に従って、注入器は外側プランジャバレル内で摺動可能な内側プランジャバレルを有し、一体化されたプランジャバレルは、外側プランジャバレルを完全に引き出すことによって形成される。さらに、一体化されたプランジャバレルは、内側プランジャバレルと外側プランジャバレルとの間に真空を保持するように構成される。
【0081】
本発明の一実施形態に従って、注入器は、前方及び後方へのプランジャシャフトの軸方向移動を作動させて、プランジャシャフトを引き込むように構成される。
【0082】
本発明の一実施形態に従って、流体収集器は、注入器の近位端で注入器と可逆的に連結される。
【0083】
本発明の上記の特徴が詳細に理解され得る方法、上記で簡潔に要約された本発明のより具体的な説明は、実施形態によって言及されており、その一部は添付の図面に示されている。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、本発明は、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【0084】
本発明のこれら及び他の特徴、利益、及び利点は、以下のテキスト図を参照することによって明らかになり、同様の参照番号は、図面全体にわたって同様の構造を指す。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの断面図である。
図2】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの注入器の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの流体カートリッジの断面図である。
図3(a)】本発明の一実施形態に従った流体カートリッジの様々な針捕捉突起を示す図である。
図4(a)】本発明の一実施形態に従った針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図4(a.)】本発明の一実施形態に従った針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図4(b)】本発明の一実施形態に従った針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図4(b.)】本発明の一実施形態に従った針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図4(c)】本発明の一実施形態に従った針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図4(c.)】本発明の一実施形態に従った針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図5(a)】本発明の別の実施形態に従った別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図5(a.)】本発明の別の実施形態に従った別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図5(b)】本発明の別の実施形態に従った別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図5(b.)】本発明の別の実施形態に従った別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図5(c)】本発明の別の実施形態に従った別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図5(c.)】本発明の別の実施形態に従った別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図6(a)】本発明のさらに別の実施形態に従ったさらに別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図6(a.)】本発明のさらに別の実施形態に従ったさらに別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図6(b)】本発明のさらに別の実施形態に従ったさらに別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図6(b.)】本発明のさらに別の実施形態に従ったさらに別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図6(c)】本発明のさらに別の実施形態に従ったさらに別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図6(c.)】本発明のさらに別の実施形態に従ったさらに別の針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジを示す図である。
図7(a)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(b)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(c)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(d)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(e)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(f)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(g)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(h)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(i)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(j)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(k)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図7(l)】本発明の一実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(a)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(b)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(c)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(d)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(e)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(f)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(g)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(h)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図8(i)】本発明の別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(a)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(b)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(c)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(d)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(e)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(f)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(g)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(h)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(i)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(j)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(k)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(l)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図9(m)】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図10】本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システムの動作の概略の詳細を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に従った流体収集器の断面図である。
図12(a)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(b)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(c)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(d)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(e)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(f)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(g)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(h)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(i)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(j)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(k)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(l)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(m)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(n)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図12(o)】本発明の一実施形態に従った流体収集器の動作の概略の詳細を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に従った、(a)中空バレルリング、及び(b)、(c)流体収集器への中空バレルリングの挿入を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に従った流体注入方法を示す流れ図である。
図15】本発明の一実施形態に従った流体収集方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
本発明は、実施形態及び例示的な図面を使用して例を通して本明細書に説明されるが、当業者は、本発明が、図面の実施形態又は説明される図面に限定されず、様々な構成要素の縮尺を表すことを意図しないことを認識するであろう。さらに、本発明の一部を形成し得るいくつかの構成要素は、例示を容易にするために特定の図に示されない場合があり、そのような省略は、いかなる形でも概説される実施形態を限定しない。図面及びそれに対する詳細な説明は、開示された特定の形態に本発明を限定することを意図するものではなく、逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に入るすべての修正物、同等物、及び代替物を包含することを理解されたい。この説明全体で使用されているように、「し得る(may)」、「してもよい(may)」という語は、強制的な(すなわち、「しなければならない」の)意味ではなく、許容的な(すなわち、潜在的な可能性がある)意味で使用される。さらに、特に明記しない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」という語は、「少なくとも1つの」を意味し、「複数の」という語は「1つ又は複数の」を意味する。さらに、本明細書で使用される用語及び表現は、説明目的でのみ使用され、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、又は「関与する(involving)」などの言語、及びそれらの変形は、広範であることが意図され、かつその後に列挙される主題、同等物、及び列挙されていない追加の主題を包含することが意図され、他の追加事項、構成要素、完全体又は工程を除外することを意図していない。同様に、「備える」という用語は、適用可能な法律上の目的で「含む(comprising)」又は「含む(containing)」という用語の同義語と見なされる。文書、行為、材料、装置、物品などの議論は、本発明の文脈を提供する目的のためだけに本明細書に含まれる。これらの事項のいずれか若しくはすべてが、従来技術の基礎の一部を形成すること、又は本発明に関連する分野における共通の一般知識であったことは、示唆又は提示されていない。
【0087】
本開示では、組成物、要素又は要素群の前に「備える」という移行句が付いている場合は常に、組成物、要素又は要素群の列挙の前に「から成る(consisting of)」「成る(consisting)」「から成る群から選択される」「含む」、又は「である」という移行句が付いている同一の組成物、要素又は要素群も企図され、逆もまた同様であると理解される。
【0088】
本発明は、添付の図面を参照して様々な実施形態によって以下に説明され、添付の図面で使用される参照番号は、説明全体を通して同様の要素に対応する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。以下の詳細な説明では、説明されている実装の様々な側面に関して数値と範囲が提供されている。これらの値と範囲は、例としてのみ扱われるべきであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、実装の様々な側面に適したものとして、いくつかの材料が特定されている。これらの材料は例示として扱われるべきであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0089】
図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。本発明の一実施形態に従って、流体注入システム(100)は、図1に示すように、注入器(A)と流体カートリッジ(B)とを備える。
【0090】
本発明の一実施形態に従って、注入器(A)は、図2に示すように、注入器本体(10)、プランジャ組立体(20)、及びプランジャシャフト(30)を備える。さらに、注入器本体(10)は、両端が開口した均一に中空の規則的な円筒体である。注入器本体(10)は、注入器本体(10)の近位端(P’)に仕切りリング(11)及びフランジリング(12)を有し、注入器本体(10)の中心にプランジャシャフト(30)を保持する。
【0091】
本発明の一実施形態に従って、注入器本体(10)はさらに、注入器本体(10)の遠位端(D)に、注入器(A)を保持するためのフィンガフランジ(15)と、注入器本体(10)の近位端(P’)に、注入プロセス中に流体カートリッジ(B)をしっかりと保持するための内側係合手段(14b)及び外側係合手段(14a)とを備える。内側係合手段(14b)と外側係合手段(14a)は、注入器本体(10)の内側と外側の両方に設けられたL字型溝であり、それぞれ小径の流体カートリッジ(B)と大径の流体カートリッジ(B)をしっかりと保持する。
【0092】
本発明の一実施形態に従って、プランジャ組立体(20)は、内側プランジャバレル(21)及び外側プランジャバレル(22)を有する。さらに、内側プランジャバレル(21)は、外側プランジャバレル(22)内で摺動可能である。
【0093】
本発明の一実施形態に従って、外側プランジャバレル(22)は、遠位端(E)にサムレスト(23)を備える均一に規則的で中空の円筒体と、外側プランジャバレル(22)の近位端(F)に内側に突出したフランジ縁部(24)とを備える。サムレスト(23)は、ゴム製Oリング(28)をしっかりと保持するように構成される。さらに、内側に突出したフランジ縁部(24)の内径は、内側プランジャバレル(21)の外径に等しい。外側プランジャバレル(22)は、注入器本体(10)の内径に等しい外径を有し、注入器本体(10)の内側で外側プランジャバレル(22)の滑らかな摺動可能な軸方向移動を容易にする。
【0094】
本発明の一実施形態に従って、内側プランジャバレル(21)は、内側プランジャバレル(21)の外側と外側プランジャバレル(22)の内側との間にピストンシール(26)をしっかりと保持するためのピストン・シール・ホルダ(25)を内側プランジャバレル(21)の遠位端(G)に有する、均一に規則的で中空の円筒体を備える。内側プランジャバレル(21)は、近位端(H)で開口し、複数の係合手段(27a)を備えるように構成され、プランジャシャフト(30)の遠位端(J)を複数の係合手段(27b)によってしっかりと保持する。
【0095】
本発明の一実施形態に従って、内側プランジャバレル(21)は、ロック手段を備える。さらに、ロック手段は、内側プランジャバレル(21)の内側に配置されるUクリップロック手段(35)である。Uクリップロック手段(35)は、内側プランジャバレル(21)の遠位端(G)に設けられた長手方向のスロット位置(36)を通って突出する円錐形のロックノッチ(34)を遠位端(G)に含む。
【0096】
本発明の一実施形態に従って、外側プランジャバレル(22)は、内側プランジャバレル(21)のロック手段と可逆的に係合して、外側プランジャバレル(22)の前方への移動を制限するように構成され、外側プランジャバレル(22)及び内側プランジャバレル(21)が、外側プランジャバレル(22)がその全長で引き出されたときに一体となり、一体化されたプランジャバレル(40)を形成することを容易にする。さらに、図7(e)に示すように、一体化されたプランジャバレル(40)の形成時に、外側プランジャバレル(22)と内側プランジャバレル(21)との間に真空(V)が生成される。
【0097】
言い換えれば、外側プランジャバレル(22)の内側に突出したフランジ縁部(24)は、外側プランジャバレル(22)が後方に引き出されるときに、円錐形のロックノッチ(34)を通過する。内側に突出したフランジ縁部(24)は、Uクリップロック手段(35)の円錐形のロックノッチ(34)を通過する間、円錐形のロックノッチ(34)を内側に押し、これによって、フランジ縁部(24)が円錐形のロックノッチ(34)を摺動可能に通過し、後方に移動することが可能になり、その後、円錐形のロックノッチ(34)が開いて元の状態を保持して、外側プランジャバレル(22)の前方への移動を制限する。このように、Uクリップロック手段(35)は、外側プランジャバレル(22)と内側プランジャバレル(21)が一体となり、一体化されたプランジャバレル(40)を形成するのを容易にする。
【0098】
本発明の一実施形態に従って、プランジャシャフト(30)は、望ましい長さの直線棒状構造であり、内側プランジャバレル(21)にしっかりと取り付けるための複数の係合手段(27b)を遠位端(J)に備える。プランジャシャフト(30)は、溝のある鉗子ロックヘッド(31)の両側の近位端(K)に2つの外側に突出したフラップ(32)を含む軸方向に溝のある鉗子ロックヘッド(31)を有するように構成される。フラップ(32)は、フラップ(32)の近位端(K’)において鋭い刃であるように構成される。さらに、フラップ(32)は、プランジャシャフト(30)の前後方向の軸方向移動と共に、内側プランジャバレル(21)のそれぞれの移動に合わせ、フランジリング(12)の中央通路(13)を摺動可能に通過する。
【0099】
本発明の一実施形態に従って、プランジャ組立体(20)は、注入器(A)の遠位チャンバ(a)の内部に収容され、内側プランジャバレル(21)の近位端(H)に軸方向に取り付けられるプランジャシャフト(30)は、注入器(A)の近位チャンバ(b)の中心に軸方向に収容される。プランジャシャフト(30)の鉗子ロックヘッド(31)は、中央通路(13)を介してフランジリング(12)を通過し、この鉗子ロックヘッド(31)は、フランジリング(12)の中央通路(13)内に保持されたとき、押されたフラップ(32)により、最初は閉位置に留まる。
【0100】
本発明の一実施形態に従って、プランジャ組立体(20)は、第1のばねを有するように構成される。さらに、第1のばねは、プランジャ組立体(20)の内側プランジャバレル(21)の外側と外側プランジャバレル(22)の内側との間に設けられる。
【0101】
本発明の一実施形態に従って、内側プランジャバレル(21)の近位端(H)には、LEDインジケータ(42)及び複数のボタン電池(41)が設けられており、流体(53)へのチンダル効果によって注入可能な部位を見ることができるようにし、暗所でも注入プロセスを容易にする。内側プランジャバレル(21)の外面には、複数の金属ストリップを保持してLED回路を形成するための複数の貫入部が設けられている。LEDインジケータ(42)は、外側プランジャバレル(22)が後方に引かれ、一体化されたプランジャバレル(40)に真空(V)が生成されると、すぐにオンに切り替わるように構成される。さらに、LEDインジケータ(42)は、注入プロセスの完了時、真空(V)が解放され、外側プランジャバレル(22)と内側プランジャバレル(21)が初期の状態を保持するときに、オフに切り替わるように構成される。さらに、注入器(A)は、注入器(A)の近位端(P)において隔壁(44)上に配置された押しボタン(43)を有する。好ましくは、押しボタン(43)は第2のばね(45)を備える。押しボタン(43)は、必要に応じて、一体化されたプランジャバレル(40)の後方移動を制限し、好都合に制御するために、流体収集プロセス中に、押しボタン(43)を押すことによって使用され得る。
【0102】
本発明の一実施形態に従って、図3に示すように、流体カートリッジ(B)は、流体(53)と、注入可能な部位に流体(53)を注入するための皮下注射針(72)とを備える。流体カートリッジ(B)は、注入器(A)の近位端(P)で注入器(A)と解放可能に係合され得る。さらに、流体カートリッジ(B)は一定の長さを持っている。また、流体(53)は注入可能な流体である。
【0103】
本発明の一実施形態に従って、流体カートリッジ(B)は、流体容器(50)、ピストン組立体(60)、及び引込み可能な針組立体(70)をさらに含む。
【0104】
本発明の一実施形態に従って、流体容器(50)は、遠位端(M)及び近位端(M’)の両方で開口する均一に規則的で中空の円筒体であり、流体(53)を含むように構成される。流体容器(50)は、注入器本体(10)の内側係合手段(14b)及び外側係合手段(14a)のL字型溝内にしっかりと係合するために、流体容器(50)の遠位端(M)に係合手段(14a’、14b’)を有する。さらに、係合手段(14a’、14b’)は、流体容器(50)の内側及び外側の両方に設けられた突出部である。
【0105】
本発明の一実施形態に従って、ピストン組立体(60)は、注入プロセス中に鉗子ロックヘッド(31)を受け入れて保持するために、ピストンフランジ(61)及び円錐形の空洞(66)を備える。ピストンフランジ(61)は、ピストン組立体(60)の近位端(N)にあるピストン組立体(60)の中心に針捕捉突起(65)を有するように構成される。
【0106】
針捕捉突起(65)は、図3(a)(i)及び図3(a)(ii)に示すように、表面に縦溝(F’)又は円錐形の溝(Gr)を備えることができる。針捕捉突起(65)はまた、針捕捉突起(65)の近位端(N’)に円錐形の隆起(68)を備える。さらに、ピストンフランジ(61)の縁部は、ピストンフランジ(61)と流体容器(50)との間にピストンシール(63)を保持するための複数の溝(62)を有するように構成される。
【0107】
本発明の一実施形態に従って、円錐形の空洞(66)は、注入プロセス中に鉗子ロックヘッド(31)を受け入れて保持するために、ピストン組立体(60)の遠位端(O)でピストン組立体(60)の中心に配置される。円錐形の空洞(66)は、閉じた鉗子ロックヘッド(31)を好都合に受け入れるために、プランジャシャフト(30)の閉じた鉗子ロックヘッド(31)の外径より大きい開口径を有するが、円錐形の空洞(66)の開口径は、プランジャシャフト(30)の開いた鉗子ロックヘッド(31)としっかりと係合するために、円錐形の空洞(66)の内径より小さい。
【0108】
本発明の一実施形態に従って、引込み可能な針組立体(70)は、皮下注射針(72)を保持するように構成された針ハブ(71)と、針ハブ(71)を保持するように構成された針ホルダ(74)と、Oリング(79)と、流体容器(50)の遠位端(M)に向かって水平方向に延在する複数のピン(86)を有するキャップ(84)と、流体容器(50)内に配置された皮下注射針(72)を覆うように構成された針ガード(85)とを備える。さらに、皮下注射針(72)は、均一に中空で規則的かつ直線状であり、所望の寸法である。さらに、引込み可能な針組立体(70)は、皮下注射針(72)なしで提供されてもよい。
【0109】
本発明の一実施形態に従って、針ハブ(71)は、針ハブ(71)の遠位端(R)に円錐形の空洞(75)を含む。円錐形の空洞(75)は、円錐形の空洞(75)の近位端(R’)に、ピストンフランジ(61)の針捕捉突起(65)の円錐形の隆起(68)よりわずかに大径であり、針捕捉突起(65)を好都合に受け入れ、これに固定的に係合する円錐形の溝(73)を有するように構成される。遠位端(R)での針ハブ(71)の外径は、針ハブ(71)の近位端(S)より比較的大きいことで円錐形の構造を構成し、この円錐形の構造は、針ハブ(71)の近位端(S)に円錐形の隆起(76)を備え、針ホルダ(74)の近位端(T’)にある針ホルダ(74)の円錐形の空洞(77)の円錐形の溝(91)内に固定的に取り付けられる。さらに、針ハブ(71)は、皮下注射針(72)を、針ハブ(71)の近位端(S)の中心位置に保持する。皮下注射針(72)は、ロック手段(90)の助けを借りて針ガード(85)の内側に封入される。針ガード(85)は、針ガード(85)の近位端(X)に設けられたノブ様構造(89)の助けを借りて、針ガード(85)を引き出し、その後、反時計回り方向に90度の角度で回転させることによって、針ハブ(71)から取り外して皮下注射針(72)を露出させることができる。流体容器(50)の近位端(M’)には、引込み可能な針組立体(70)を保持するために中央が開口した円錐形の口(51)が設けられている。さらに、針ガード(85)は、ノブ様構造(89)なしで提供されてもよい。
【0110】
本発明の一実施形態に従って、針ハブ(71)の円錐形の空洞(75)の内径は、ピストンフランジ(61)の針捕捉突起(65)の外径と等しいので、針捕捉突起(65)を受け入れ、これにしっかりと係合する。
【0111】
本発明の一実施形態に従って、針ホルダ(74)の円錐形の空洞(77)の内径は、針ハブ(71)の外径と等しいので、針ハブ(71)を受け入れ、これにしっかりと係合する。さらに、キャップ(84)の円錐形の空洞の内径は、針ホルダ(74)の外径と等しいので、針ホルダ(74)を受け入れ、これにしっかりと係合する。さらに、針ホルダ(74)及び針ハブ(71)は、互いに融合されてもよい。
【0112】
本発明の一実施形態に従って、キャップ(84)の水平方向に延在する複数のピン(86)は、Oリング(79)の複数のクレフトを通過してOリング(79)を摺動可能に保持するように構成される。キャップ(84)は、キャップ(84)の近位端(T)にフランジ(87)を備え、キャップ(84)の円錐形の空洞は、針ホルダ(74)を保持するように構成される。さらに、針ホルダ(74)及びキャップ(84)は、流体容器(50)の近位端(M’)に提供される。
【0113】
本発明の一実施形態に従って、針ホルダ(74)は、Oリング(79)の内径及びキャップ(84)の内径に等しい外径を有する。さらに、近位端(T’)にある針ホルダ(74)の円錐形の空洞(77)の内面は、一様に同様であり数が等しい均一な微細溝ライニング(88)を備え、これは、針ハブ(71)の外面の近位端(S)に設けられたすべての溝ライニング(92)を固定的に保持及び収容して、針ハブ(71)の回転を防止し、一方で注入プロセスの前に針ガード(85)を反時計回り方向に回転させて、針ガード(85)を取外して皮下注射針(72)を露出させる。
【0114】
本発明の一実施形態に従って、Oリング(79)は、流体容器(50)の内径に等しい外径を有し、一方、Oリング(79)の内径は、針ホルダ(74)の外径に等しい。Oリング(79)は、キャップ(84)の水平方向に延在するピン(86)の形状及び数と正確に等しい複数のクレフトを備える。Oリング(79)の複数のクレフトは、キャップ(84)の水平方向に延在するピン(86)と摺動可能に係合するように構成される。
【0115】
本発明の一実施形態に従って、針ガード(85)は、使用者によって、ノブ様構造(89)の助けを借りて引き出され、皮下注射針(72)が針ガード(85)と共に針ホルダ(74)から延出することを可能にする。さらに、針ガード(85)は、流体容器(50)の開口した円錐形の口(51)に等しい外径を有する。
【0116】
言い換えれば、針ガード(85)がノブ様構造(89)を使用して使用者によって引き出されると、針ハブ(71)は、針ホルダ(74)の円錐形の空洞(77)内に固定的に係合するようになり、針ホルダ(74)の円錐形の空洞(77)内に設けられた溝ライニング(88)は、針ハブ(71)の近位端(S)に設けられたすべての溝ライニング(92)を固定的に係合及び収容する。針ガード(85)は、90度の角度で反時計回り方向に回転させることによって取り外すことができ、これによってロック手段(90)のロックが解除され、その後、針ガード(85)が針ハブ(71)から分離されて皮下注射針(72)が露出する。
【0117】
本発明の一実施形態に従って、注入器(A)の一体化されたプランジャバレル(40)は、サムレスト(23)を通して前方に押されて、プランジャシャフト(30)の鉗子ロックヘッド(31)をピストン組立体(60)の円錐形の空洞(66)内にしっかりと取り付け、図7(f)に示すように単一のプランジャ部(67)を形成する。単一のプランジャ部(67)の近位端(69)を前方に押すと、流体(53)がピストン組立体(60)によって前方に押され、皮下注射針(72)を介して注入可能な部位に注入される。注入プロセスの終点において、ピストン組立体(60)の近位端(N)は、水平方向に延在する複数のピン(86)と密接に接触し、針捕捉突起(65)は、針ハブ(71)の円錐形の空洞(75)の中にゆっくりと進入し始める。キャップ(84)の水平方向に延在する複数のピン(86)にピストン組立体(60)がさらに圧力を加えると、水平方向に延在する複数のピン(86)が前方に摺動して針ホルダ(74)を自由にして、針ハブ(71)を保持する針ホルダ(74)と皮下注射針(72)を解放する。
【0118】
図4(a)、(a.)、(b)、(b.)、(c)及び(c.)は、本発明の一実施形態に従った針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジ(B)を示す。
【0119】
本発明の一実施形態に従って、流体カートリッジ(B)は、図4(a)及び(a.)に示すように、手動で引き出した後で針ガード(85)を取り外す必要がある皮下注射針(72)を備える。流体カートリッジ(B)は、図4(b)及び(b.)に示すように、一体化されたプランジャバレル(40)に加えられる圧力によって針ガード(85)と共に出る、皮下注射針(72)を備えてもよい。さらに、これらの流体カートリッジ(B)の針ホルダ(74)及び針ハブ(71)は、互いに融合される。さらに、流体カートリッジ(B)は、図4(c)及び(c.)に示すように、皮下注射針(72)なしで提供されてもよく、使用者は、所望の長さ又はボアの所望の皮下注射針(72)を取り付けてもよい。これらの流体カートリッジ(B)の針ホルダ(74)及び針ハブ(71)も、互いに融合される。
【0120】
図4(a)、(b)、及び(c)に示すように、流体カートリッジ(B)は、軸方向に溝のある鉗子ロックヘッド(31)を備えたプランジャシャフト(30)を有する注入器(A)に解放可能に連結される。他の実施形態では、図4(a.)、(b.)及び(c.)に示すように、流体カートリッジ(B)の流体容器(50)は、流体容器(50)の遠位端(M)にゴム製キャップ(39)を有するように構成される。さらに、これらの流体カートリッジ(B)は、針形状のプランジャシャフト(38)を有する注入器(A)に解放可能に連結される。
【0121】
図5(a)、(a.)、(b)、(b.)、(c)及び(c.)は、本発明の別の実施形態に従った、異なる針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジ(B)を示す。
【0122】
図5(a)、(a.)、(b)、(b.)、(c)及び(c.)に示すように、流体カートリッジ(B)は、流体カートリッジ(B)のピストン組立体(60)の近位端(N)に円筒状の鋸刃(59)を有するように構成される。これらの流体カートリッジ(B)は、流体容器(50)の近位端(M’)の中心に針ホルダ(74)を有する円形Oリング(79)を含む引込み可能な針組立体(70)を備える。さらに、円形0リング(79)は、円形0リング(79)と針ホルダ(74)との間に薄層円形ダイアフラム(57)を備える。
【0123】
流体カートリッジ(B)は、図5(a)及び(a.)に示すように、手動で引き出した後で針ガード(85)を取り外す必要がある皮下注射針(72)を備える。図5(b)及び(b.)に示されるような流体カートリッジ(B)では、針ハブ(71)及び針ホルダ(74)は互いに融合され、皮下注射針(72)と針ガード(85)をさらに備える単一のユニットとして引込み可能な針組立体(70)を構成する。さらに、皮下注射針(72)は針ガード(85)と共に、一体化されたプランジャバレル(40)に加えられる圧力によって流体カートリッジ(B)から出る。さらに、流体カートリッジ(B)は、図5(c)及び(c.)に示すように、皮下注射針(72)なしで提供されてもよく、使用者は所望の長さ又はボアの所望の皮下注射針(72)を取り付けてもよい。これらの流体カートリッジ(B)の針ホルダ(74)及び針ハブ(71)もまた、互いに融合され、単一のユニットとして引込み可能な針組立体(70)を構成する。
【0124】
本発明の一実施形態に従って、流体カートリッジ(B)は、図5(a)、(b)及び(c)に示すように、軸方向に溝のある鉗子ロックヘッド(31)を備えたプランジャシャフト(30)を有する注入器(A)に解放可能に連結される。図5(a.)、(b.)及び(c.)に示すように、流体カートリッジ(B)の流体容器(50)は、流体容器(50)の遠位端(M)にゴム製キャップ(39)を有するように構成される。さらに、これらの流体カートリッジ(B)は、針形状のプランジャシャフト(38)を有する注入器(A)に解放可能に連結される。
【0125】
図6(a)、(a.)、(b)、(b.)、(c)及び(c.)は、本発明のさらに別の実施形態に従った、異なる針引込み機構を有する様々なタイプの流体カートリッジ(B)を示す。
【0126】
図6(a)及び(a.)に示すように、流体カートリッジ(B)は、手動で引き出した後で針ガード(85)を取り外す必要がある皮下注射針(72)を備える。流体カートリッジ(B)は、図6(b)及び(b.)に示すように、一体化されたプランジャバレル(40)に加えられる圧力によって針ガード(85)と共に出る皮下注射針(72)を備えてもよい。さらに、これらの流体カートリッジ(B)の針ホルダ(74)及び針ハブ(71)は、互いに融合される。さらに、流体カートリッジ(B)は、図6(c)及び図6(c.)に示すように、皮下注射針(72)なしで提供されてもよく、使用者は、所望の長さ又はボアの所望の皮下注射針(72)を取り付けてもよい。これらの流体カートリッジ(B)の針ホルダ(74)及び針ハブ(71)も互いに融合される。
【0127】
本発明の一実施形態に従って、流体カートリッジ(B)は、図6(a)、(b)及び(c)に示すように、軸方向に溝のある鉗子ロックヘッド(31)を備えたプランジャシャフト(30)を有する注入器(A)に解放可能に連結される。図6(a.)、(b.)及び(c.)に示すように、流体カートリッジ(B)の流体容器(50)は、流体容器(50)の遠位端(M)にゴム製キャップ(39)を有するように構成される。さらに、これらの流体カートリッジ(B)は、針形状のプランジャシャフト(38)を有する注入器(A)に解放可能に連結される。さらに、様々な針引込み機構が、以下の図において詳述される。
【0128】
流体注入システム(100)の動作の概略の詳細を、図7(a)から図7(l)に示す。
【0129】
図7(a)は、本発明の一実施形態に従った流体注入システム(100)の、注入器(A)、及び図4(a)に示される流体カートリッジ(B)を示す。注入プロセスの前に、流体カートリッジ(B)の流体容器(50)の遠位端(M)は、注入器(A)の近位端(P)で、注入器(A)の注入器本体(10)の内側係合手段(14b)及び外側係合手段(14a)を介して流体容器(50)の係合手段(14a’,14b’)に取り付けられ、図7(b)に示すように流体注入システム(100)を構成する。
【0130】
図7(c)に示すように、針ガード(85)は皮下注射針(72)と共に使用者によって引き出され、これにより、皮下注射針(72)が針ガード(85)と共に、流体容器(50)の開口した円錐形の口(51)から延出することが容易になり、針ホルダ(74)は針ハブ(71)とクリック篏合する。その後、針ガード(85)を反時計回り方向に90度回転させてロック手段(90)をロック解除し、針ガード(85)を引き出して取り外し、図7(d)に示すように皮下注射針(72)を露出する。
【0131】
図7(e)は、本発明の一実施形態に従った流体注入システム(100)の一体化されたプランジャバレル(40)を示している。図7(e)に示すように、一体化されたプランジャバレル(40)に真空(V)が生成されるとすぐに、LEDインジケータ(42)がオンに切り替わり点灯し、皮下注射針(72)の先端及び注入可能な部位の周辺領域を照らして進行中の注入プロセスを示し、使用者をガイドし、暗闇においても注入プロセスを容易にする。一体化されたプランジャバレル(40)をサムレスト(23)を通して押し込むと、プランジャシャフト(30)の鉗子ロックヘッド(31)がピストン組立体(60)の円錐形の空洞(66)の中にゆっくりと進入し、図7(f)に示すような単一のプランジャ部(67)を構成する。フラップ(32)がフランジリング(12)の中央通路(13)を通過すると、すぐに鉗子ロックヘッド(31)が開き、ピストン組立体(60)としっかりと係合して、円錐形の空洞(66)の内部空間を占める。単一のプランジャ部(67)の近位端(69)をさらに押し込むと、同時に流体(53)がピストン組立体(60)によって前方に押され、皮下注射針(72)を介して体内に注入される。注入プロセスが完了する直前に、ピストン組立体(60)の近位端(N)は、図7(g)に示すように、針ホルダ(74)と針ハブ(71)を保持するキャップ(84)の水平方向に延在する複数のピン(86)の先端と密接に接触する。単一のプランジャ部(67)をさらに前方に押し込むと、水平方向に延在する複数のピン(86)が前方に摺動し始め、キャップ(84)のグリップから針ホルダ(74)を外す。同時に、ピストン組立体(60)の針捕捉突起(65)も、針ハブ(71)の円錐形の空洞(75)の中にゆっくりと進入し、図7(h)に示すように、その中で係合し、円錐形の隆起(76)の助けを借りて引込み可能な針組立体(70)を取り付け、針ホルダ(74)の円錐形の空洞(77)の円錐形の溝(91)を占める。
【0132】
注入プロセスの最後に、図7(h)に示すように、針ハブ(71)を保持する水平方向に延在する複数のピン(86)が完全に前方に摺動し、針ハブ(71)と針ホルダ(74)をキャップ(84)との密接な接触から外す。同時に、外側プランジャバレル(22)を内側プランジャバレル(21)にしっかりと係合している円錐形のロックノッチ(34)自体が、内側に押されながら、仕切りリング(11)の通路を軸方向に前方に通過する。これにより、外側プランジャバレル(22)がロック解除及び解放され、その結果、内側プランジャバレル(21)が、外側プランジャバレル(22)と内側プランジャバレル(21)との間の真空(V)の減圧によって後方に移動する。鉗子ロックヘッド(31)はピストン組立体(60)の円錐形の空洞(66)内にしっかりと係合され、ピストン組立体(60)自体は針ハブ(71)の円錐形の空洞(75)と針捕捉突起(65)との係合を通して、引込み可能な針組立体(70)と係合されるので、内側プランジャバレル(21)の後方への移動は、図7(i)に示すように、真空(V)の減圧によって、針ハブ(71)を保持する針ホルダ(74)と共に皮下注射針(72)をゆっくりと引き込む。
【0133】
また、プランジャ組立体(20)の第1のばねは、内側プランジャバレル(21)と皮下注射針(72)の後方移動を助けることができる。第1のばねは、外側プランジャバレル(22)がその全長で引き出されて一体化されプランジャバレル(40)を構成し、内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間に真空(V)が生成されると圧縮される。注入プロセスの終わりに、外側プランジャバレル(22)が円錐形のロックノッチ(34)からロック解除されるとすぐに、第1のばねの圧縮が徐々に解放され、その結果、内側プランジャバレル(21)と皮下注射針(72)が後方に移動する。さらに、真空(V)と第1のばねの両方の組合せは、内側プランジャバレル(21)と皮下注射針(72)の後方移動を助けることができる。
【0134】
図7(j)に示すように、内側プランジャバレル(21)が後方に移動する間、フラップ(32)は、フランジリング(12)の中央通路(13)を通過し、内側に押し付けて鉗子ロックヘッド(31)を閉じさせ、ピストン組立体(60)の円錐形の空洞(66)からそれ自体を解放し、皮下注射針(72)を空の流体カートリッジ(B)内に封入されたままにする。したがって、内側プランジャバレル(21)は、プランジャシャフト(30)と共に、内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間の真空(V)が完全に解放された直後に、その初期状態になる。注入プロセスが完了するとすぐに、LEDインジケータ(42)がオフに切り替わり、注入プロセスの完了を示す。
【0135】
図7(k)に示すように、皮下注射針(72)を封入している空の流体カートリッジ(B)は、安全に廃棄するために注入器(A)から取り外されるが、注入器(A)は、最終的に元の状態になり、次の動作の準備が整う。さらに、針ガード(85)は、図7(l)に示すように、空の流体カートリッジ(B)内の引き込まれた皮下注射針(72)上に挿入されてもよい。
【0136】
図8(a)は、本発明の別の実施形態に従った流体注入システム(100)の、針形状のプランジャシャフト(38)を有する注入器(A)、及び図4(b.)に示される流体カートリッジ(B)を示す。注入プロセスの前に、流体カートリッジ(B)の流体容器(50)の遠位端(M)は、注入器(A)の近位端(P)で、注入器本体(10)の内側係合手段(14b)を介して流体容器(50)の係合手段(14a’)に取り付けられ、図8(b)に示すように流体注入システム(100)を構成する。
【0137】
図8(c)に示すように、LEDインジケータ(42)は、外側プランジャバレル(22)がその全長で引き出されるとすぐにオンに切り替わり、内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間に真空(V)を保持する一体化されたプランジャバレル(40)を構成し、LEDインジケータ(42)は、皮下注射針(72)の先端及び注入可能な部位の周辺領域を照らす。一体化されたプランジャバレル(40)をサムレスト(23)を通して押し込むと、針形状のプランジャシャフト(38)が、流体容器(50)の遠位端(M)に設けられたゴム製キャップ(39)を突き刺し、図8(d)に示すように、ピストン組立体(60)の円錐形の空洞(66)にゆっくりと進入する。一体化されたプランジャバレル(40)をさらに押し込むと、針形状のプランジャシャフト(38)が、ピストン組立体(60)を前方に押し、同時に、皮下注射針(72)が流体容器(50)の開口した円錐形の口(51)から延出し、針ハブ(71)が流体容器(50)の近位端(M’)で流体容器(50)内に落ち着くまで、流体(53)と引込み可能な針組立体(70)を前方に押す。ピストン組立体(60)が前方に移動し、ゴム製キャップ(39)から離れると、図8(e)に示すように、ピストン組立体(60)とゴム製キャップ(39)との間に真空(V’)が生成される。さらに、針ガード(85)が皮下注射針(72)から取り外されて、皮下注射針(72)を露出する。
【0138】
図8(f)に示すように、一体化されたプランジャバレル(40)を前方にさらに押し込むと、針ハブ(71)の円錐形の空洞(75)が、流体カートリッジ(B)のピストン組立体(60)の針捕捉突起(65)に取り付けられる。注入プロセスが完了する直前に、ピストン組立体(60)の近位端(N)は、針ハブ(71)を保持するキャップ(84)の水平方向に延在する複数のピン(86)の先端と密接に接触し、これにより前方に摺動し始め、針ハブ(71)から引込み可能な針組立体(70)を分離する。この段階で、注入器(A)のUクリップロック手段(35)が内側に押され、これによって内側プランジャバレル(21)が外側プランジャバレル(22)からロック解除され、その結果、内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間の真空(V)の解放によって内側プランジャバレルが後方に移動し、その後、内側プランジャバレル(21)は、図8(g)に示すように初期状態になる。注入プロセスが完了するとすぐに、LEDインジケータ(42)がオフに切り替わり、注入プロセスの完了を示す。
【0139】
さらに、図8(g)に示すように、引込み可能な針組立体(70)から針ハブ(71)を後退させた後も、皮下注射針(72)を保持するピストン組立体(60)とゴム製キャップ(39)との間に真空(V’)が残る。この真空(V’)により、ピストン組立体(60)と共に皮下注射針(72)が後方に引き込まれ、最終的に皮下注射針(72)は、図8(h)に示すように空の流体カートリッジ(B)内に封入される。
【0140】
図8(i)に示すように、封入された皮下注射針(72)を含んでいる空の流体カートリッジ(B)は、安全に廃棄するために注入器(A)から取り外されるが、注入器(A)は、最終的に元の状態になり、次の動作の準備が整う。
【0141】
図9(a)は、本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システム(100)の、注入器(A)、及び図5(a)に示される流体カートリッジ(B)を示す。注入プロセスの前に、流体カートリッジ(B)の流体容器(50)の遠位端(M)は、注入器(A)の近位端(P)で、注入器本体(10)の内側係合手段(14b)を介して流体容器(50)の係合手段(14a’)に取り付けられ、図9(b)に示すように流体注入システム(100)を構成する。さらに、流体カートリッジ(B)は、流体カートリッジ(B)のピストン組立体(60)の近位端(N)に円筒状の鋸刃(59)を有するように構成される。円筒状の鋸刃(59)は、流体カートリッジ(B)のピストン組立体(60)の針捕捉突起(65)を囲み、図9(c)の(i)、(ii)、及び(iii)に示すように、孔通路(58)を備える。
【0142】
図9(d)に示すように、針ガード(85)は皮下注射針(72)と共に使用者によって引き出され、これにより、皮下注射針(72)が針ガード(85)と共に、流体容器(50)の開口した円錐形の口(51)から延出することが容易になり、針ホルダ(74)は針ハブ(71)とクリック篏合する。その後、針ガード(85)を反時計回り方向に90度回転させてロック手段(90)をロック解除し、針ガード(85)を引き出して取り外し、図9(e)に示すように皮下注射針(72)を露出する。
【0143】
図9(f)に示すように、一体化されたプランジャバレル(40)に真空(V)が生成されるとすぐに、LEDインジケータ(42)がオンに切り替わり、皮下注射針(72)の先端及び注入可能な部位の周辺領域を照らして、暗闇においても注入を容易にする。一体化されたプランジャバレル(40)をサムレスト(23)を通して押し込むと、プランジャシャフト(30)の鉗子ロックヘッド(31)がピストン組立体(60)の円錐形の空洞(66)の中にゆっくりと進入し、図9(g)に示すような単一のプランジャ部(67)を構成する。単一のプランジャ部(67)をさらに押し込むと、同時に流体(53)がピストン組立体(60)によって前方に押され、図9(h)に示すように皮下注射針(72)を介して体内に注入される。
【0144】
図9(h)に示すように、中心に針ホルダ(74)を有する円形Oリング(79)は、流体容器(50)の近位端(M’)に設けられる。円形Oリング(79)はさらに、円形Oリング(79)と針ホルダ(74)との間に薄層円形ダイアフラム(57)を備える。円筒状の鋸刃(59)が薄層円形ダイアフラム(57)の薄層を好都合に切断し、注入プロセスの終了時に針ホルダ(74)をしっかりと保持することができるように、円形ダイアフラム(57)の内側縁部の直径は、円筒状の鋸刃(59)の内径よりわずかに小さく、一方、薄層円形ダイアフラム(57)の外側縁部の直径は、円筒状の鋸刃(59)の外径よりわずかに大きい。さらに、引込み可能な針組立体(70)は、ロック手段(90)を介して針ガード(85)内に封入された皮下注射針(72)を含む針ハブ(71)を備える。
【0145】
図9(i)に示すように、単一のプランジャ部(67)をさらに前方に押し込むと、円筒状の鋸刃(59)が薄層円形ダイアフラム(57)を切断し、注入プロセスの終了時に針ホルダ(74)を保持する。同時に、ピストン組立体(60)の針捕捉突起(65)もまた、針ハブ(71)の円錐形の空洞(75)に進入し、その中で係合して、引込み可能な針組立体(70)を取り付ける。同時に、外側プランジャバレル(22)を内側プランジャバレル(21)にしっかりと係合している円錐形のロックノッチ(34)自体が、内側に押されながら、仕切りリング(11)の通路を軸方向に前方に通過する。これにより、外側プランジャバレル(22)がロック解除及び解放され、その結果、図9(j)に示すように、内側プランジャバレル(21)が、外側プランジャバレル(22)と内側プランジャバレル(21)との間の真空(V)の減圧によって後方に移動する。さらに、内側プランジャバレル(21)が後方に移動すると、真空(V)の減圧により、針ハブ(71)を保持する針ホルダ(74)と共に皮下注射針(72)がゆっくりと引き込まれる。
【0146】
図9(k)に示すように、内側プランジャバレル(21)が後方に移動する間、フラップ(32)は、フランジリング(12)の中央通路(13)を通過し、内側に押し付けて鉗子ロックヘッド(31)を閉じさせ、ピストン組立体(60)の円錐形の空洞(66)からそれ自体を解放し、皮下注射針(72)を空の流体カートリッジ(B)内に封入されたままにする。したがって、内側プランジャバレル(21)は、プランジャシャフト(30)と共に、真空(V)が完全に解放された直後に、その初期状態になる。注入プロセスが完了するとすぐに、LEDインジケータ(42)がオフに切り替わり、注入プロセスの完了を示す。
【0147】
図9(l)に示すように、皮下注射針(72)を封入している空の流体カートリッジ(B)は、安全に廃棄するために注入器(A)から取り外されるが、注入器(A)は、最終的に元の状態になり、次の動作の準備が整う。さらに、針ガード(85)は、図9(m)に示すように、空の流体カートリッジ(B)内の引き込まれた皮下注射針(72)上に挿入されてもよい。
【0148】
図10は、本発明のさらに別の実施形態に従った流体注入システム(100)の、注入器(A)、及び図6(a)に示される流体カートリッジ(B)を示す。注入プロセスの前に、流体カートリッジ(B)の流体容器(50)の遠位端(M)は、注入器(A)の近位端(P)で、注入器本体(10)の内側係合手段(14b)を介して流体容器(50)の係合手段(14a’)に取り付けられ、流体注入システム(100)を構成する。
【0149】
図10に示すように、流体カートリッジ(B)のピストン組立体(60)は、ピストン組立体(60)のピストンフランジ(61)の近位端(Q)において、ピストンフランジ(61)の縁に環状の隆起突起(64)を有するように構成される。環状の隆起突起(64)は、Oリング(79)の遠位端(S’)における引込み可能な針組立体(70)のOリング(79)の幅に等しい幅を有する。引込み可能な針組立体(70)の針ホルダ(74)には、フランジ縁部(54)が設けられており、フランジ縁部(54)はさらに、針ホルダ(74)の遠位端(X’)にカラー突起(55)を備え、フランジ縁部(54)と流体容器(B)の内側との間にOリング(79)をしっかりと保持する。Oリング(79)は、遠位端(S’)での内径及び外径の幅が、環状の隆起突起(64)の近位端(W)における環状の隆起突起(64)の内径及び外径の幅に等しい。また、Oリング(79)の近位端(W’)におけるOリング(79)の内径は、Oリング(79)の遠位端(S’)におけるOリングの内径より小さく、フランジ縁部(54)のカラー突起(55)の周りにOリング(79)を好都合に着座させることができる。さらに、流体注入システム(100)の動作は、先の実施形態で説明されており、したがって、簡潔にするために、同じことは本明細書では議論されていない。さらに、皮下注射針(72)の引込み機構は、他の実施形態とは異なり、注入プロセスの完了直前に環状の隆起突起(64)がOリング(79)を前方に押して、針ホルダ(74)のフランジ縁部(54)から0リング(79)を外して、針ホルダ(74)の解放をもたらす。その後、先の実施形態で説明したように、内側プランジャバレル(21)が後方に移動すると、真空(V)の減圧により、空の流体カートリッジ(B)において針ハブ(71)を保持する針ホルダ(74)と共に皮下注射針(72)がゆっくりと引き込まれる。また、注入器(A)は、最終的に元の状態になり、次の動作の準備が整う。
【0150】
図11は、本発明の一実施形態に従った流体収集器(200)の斜視図を示している。図11に示すように、流体収集器(200)は、流体容器(50’)、ピストン組立体(60’)及び容器カバー(80)を含む。さらに、流体収集器(200)は、注入器(A)の近位端(P)で注入器(A)と解放可能に係合している。
【0151】
本発明の一実施形態に従って、流体容器(50’)は、中央に延在する円錐形の突起(70’)を有する均一に規則的で中空の円筒体であり、円錐形の突起(70’)の近位端(C’)に取外し可能な皮下注射針(72’)を保持するための針ホルダ(71’)を含む。流体容器(50’)の遠位端(E’)は、薄層のダイアフラム(52)で覆われている。さらに、流体容器(50’)は、注入器本体(10)の近位端(P’)に設けられた内側係合手段(14b)及び外側係合手段(14a)にしっかりと係合するために、遠位端(E’)に係合手段(14a’’、14b’’)を備える。
【0152】
本発明の一実施形態に従って、ピストン組立体(60’)は、ピストン組立体(60’)の遠位端(D’)において、ピストン組立体(60’)の中心に、流体収集プロセス中に注入器(A)のプランジャシャフト(30)の鉗子ロックヘッド(31)を受け入れて保持するための円錐形の空洞(66’)を備える、ピストンフランジ(61’)を含む。流体容器(50’)の薄層のダイアフラム(52)は、鉗子ロックヘッド(31)で孔が開けられ、その後、鉗子ロックヘッド(31)がピストン組立体(60’)の円錐形の空洞(66’)に進入する。円錐形の空洞(66’)は、円錐形の空洞(66’)の内径より小さい開口径を有し、注入器(A)のプランジャシャフト(30)の開いた鉗子ロックヘッド(31)を受け入れ、これにしっかりと係合する。さらに、円錐形の空洞(66’)の開口径は、閉じた鉗子ロックヘッド(31)を好都合に受け入れるために、プランジャシャフト(30)の閉じた鉗子ロックヘッド(31)の外径より大きい。また、ピストンフランジ(61’)の縁部には、ピストンシール(63’)をピストンフランジ(61’)と流体容器(50’)との間に保持するための複数の溝(62’)が設けられている。
【0153】
本発明の一実施形態に従って、容器カバー(80)は、遠位端(F’)に開口部を有する均一に規則的で中空の円筒体である。容器カバー(80)は、流体容器(50’)をしっかりと保持し、これを固定的に覆うために、流体容器(50’)の近位端(G’)において、流体容器(50’)の外径よりわずかに大きい内径を有する。さらに、容器カバー(80)は、容器カバー(80)の中央に、容器カバー(80)の遠位端(F’)の開口部に向かって面する凹形ダイアフラム(81)を内部に備える。さらに、容器カバー(80)は、流体容器(50’)に取外し可能に取り付けられる。凹面ダイアフラム(81)は、凹形ダイアフラム(81)の中心に中央孔(82)を有する。中央孔(82)は、取外し可能な針ハブ(78)より小さい直径を有するように構成される。
【0154】
本発明の一実施形態に従って、凹形ダイアフラム(81)は、それぞれの数のフラップを構成する複数の等しい部分に分割され、これらは、容器カバー(80)の底部に向かってのみ押されることで、中央孔(82)のサイズを大きくして取外し可能な皮下注射針(72’)の縁部が進入できるように構成されている。さらに、中央孔(82)によって、取外し可能な皮下注射針(72’)は後方に引込み不能である。
【0155】
本発明の一実施形態に従って、容器カバー(80)は、流体容器(50’)の近位端(G’)を覆う容器カバー(80)と流体容器(50’)との間にある取外し可能なリングシール(83)によって、流体容器(50’)にしっかりと取り付けられている。
【0156】
注入器(A)に連結された流体収集器(200)の動作の概略の詳細を、図12(a)から図12(o)に示す。
【0157】
図12(a)は、本発明の一実施形態に従った流体収集器(200)及び注入器(A)を示している。流体収集プロセスの前に、流体収集器(200)は、流体容器(50’)の遠位端(E’)に設けられた係合手段(14a’’)を介して、注入器(A)の近位端(P)に好都合に取り付けられ、注入器本体(10)の近位端(P’)にある内側係合手段(14b)にしっかりと係合して、図12(b)に示すように注入器(A)と流体収集器(200)の一体化された組立体を構成する。さらに、取外し可能なリングシール(83)は、図12(c)に示すように、流体容器(50’)から取り外される。
【0158】
図12(d)に示すように、注入器(A)の外側プランジャバレル(22)は、内側に突出したフランジ縁部(24)がUクリップロック手段(35)の円錐形のロックノッチ(34)を通過し、内側プランジャバレル(21)の遠位端(G)において係合するまで後方に後退させられ、内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)の組合せによる一体化されたプランジャバレル(40)を構成する。このプロセスの間、真空(V)が内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間に生成される。一体化されたプランジャバレル(40)に真空(V)が生成されるとすぐに、LEDインジケータ(42)がオンに切り替わり、皮下注射針(72)の先端を照らす。
【0159】
図12(e)に示すように、容器カバー(80)は、流体容器(50’)から取り外され、その後、取外し可能な皮下注射針(72’)が、流体源又は標的に好都合に穿刺される。
【0160】
図12(f)に示すように、一体化されたプランジャバレル(40)がサムレスト(23)を通して前方に押し込まれることによって、注入器(A)のプランジャシャフト(30)の鉗子ロックヘッド(31)が流体収集器(200)にゆっくりと進入して、フラップ(32)の近位端(K’)にある鋭い刃の助けを借りて、流体容器(50’)の薄層のダイアフラム(52)を突き刺す。薄層のダイアフラム(52)を突き刺した後、鉗子ロックヘッド(31)は、ピストン組立体(60’)の円錐形の空洞(66’)に進入し、その中で鉗子ロックヘッド(31)は、図12(g)に示すように、円錐形の空洞(66’)によってしっかりと保持される。この段階で、外側プランジャバレル(22)を内側プランジャバレル(21)にしっかりと係合しているUクリップロック手段(35)の円錐形のロックノッチ(34)自体が、内側に押されながら、仕切りリング(11)の通路を軸方向に前方に通過する。これにより、外側プランジャバレル(22)がロック解除及び解放され、流体収集器(200)のピストン組立体(60’)と共に内側プランジャバレル(21)の後退を促進して、図12(h)に示すように、取外し可能な皮下注射針(72’)の通路を介した流体源からの流体の吸引をもたらし、流体容器(50’)に流体を収集する。
【0161】
図12(i)に示すように、プランジャシャフト(30)のフラップ(32)が薄層のダイアフラム(52)を含むフランジリング(95)を通過するとき、鉗子ロックヘッド(31)が内側に押されながら閉じ、鉗子ロックヘッド(31)が流体収集器(200)のピストン組立体(60’)の円錐形の空洞(66’)から外れる。したがって、一定量の流体が流体収集器(200)に貯蔵される。内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間の真空(V)が完全に解放されるとすぐに、内側プランジャバレル(21)は、図12(j)に示すように最初の位置に戻り、一体化されたプランジャバレル(40)を収める。流体収集プロセスが完了するとすぐに、LEDインジケータ(42)がオフに切り替わり、流体収集プロセスの完了を示す。
【0162】
注入器(A)の押しボタン(43)は、内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間の減圧の影響下で一体化されたプランジャバレル(40)を後退させる動きを調節、制御、又は制限するために使用できる。押しボタン(43)を押すと、一体化されたプランジャバレル(40)の後方への移動が制限され、押しボタン(43)を押していない状態のときには後退させることができる。
【0163】
図12(k)に示すように、取外し可能な皮下注射針(72’)は、流体源からゆっくりと後退させられ、容器カバー(80)によって覆われる。容器カバー(80)で覆っている間、取外し可能な皮下注射針(72’)の縁部は、凹形ダイアフラム(81)のフラップを前方に押して、中央孔(82)の直径を大きくすることで、取外し可能な皮下注射針の縁部が中央孔(82)を越えて通過できるようにする。覆うプロセスが完了すると、凹形ダイアフラム(81)のフラップは初期状態を保持する。流体を含む流体収集器(200)は、図12(l)に示すように、注入器(A)から好都合に分離できるようになる。
【0164】
本発明の一実施形態に従って、流体収集器(200)に貯蔵された流体はさらに処理される。流体の処理のために、収集された流体は、流体収集器(200)から後退させられる必要があり、これは注入器(A)自体によって好都合に、かつ効率的に実行される。
【0165】
図12(m)に示すように、貯蔵された流体を含む流体収集器(200)は、注入器(A)に再び取り付けられる。さらに、流体収集器(200)及び注入器(A)の取付けは先に説明されており、したがって、簡潔にするために、同じことは本明細書では議論されていない。
【0166】
図12(n)に示すように、容器カバー(80)は、前方に引き出して取り外される。このプロセスの間、取外し可能な皮下注射針(72’)は、取外し可能な皮下注射針(72’)の縁部より小さい凹形ダイアフラム(81)の中心孔(82)の径が、取外し可能な皮下注射針(72’)の後方への移動を可能にせず、取外し可能な皮下注射針(72’)が流体容器(50’)から取り外されることになるので、取外し可能な針ホルダ(71’)から外され、分離される。取外し可能な皮下注射針(72’)は、最終的に安全に容器カバー(80)の中に残り、再利用できなくなる。さらに、新しい皮下注射針を流体容器(50’)に取り付けて、全プロセスを繰り返して、必要に応じて所望の量の流体内容物を放出することができる。
【0167】
図12(o)に示すように、流体収集器(200)から流体を完全に排出した後、空の流体収集器(200)は、注入器(A)からの取外し後に空の流体収集器(200)を安全に廃棄するために、容器カバー(80)を固定することによって再び覆われ得る。
【0168】
図13(a)に示すような適切な長さの均一な円筒形の中空バレルリング(49)を、流体容器(50’)の遠位端(E’)を介して流体収集器(200)に挿入して、所定量の流体を確実に収集できる。円筒形の中空バレルリング(49)の外径は、流体容器(50’)の内径に等しいが、円筒形の中空バレルリング(49)の内径は、注入器(A)のフランジリング(12)の内径に等しい。さらに、円筒形の中空バレルリング(49)の長さは、適切な/所望の所定量の流体を収集するために必要な要件に従って、含まれる流体の長さより短い。図13(b)及び(c)に示すように、円筒形の中空バレルリング(49)を遠位端(E’)を介して流体容器(50’)に挿入すると、薄層ダイアフラム(52)を含むフランジリング(95)が前方に摺動し、所定量の流体を収集するための流体容器(50’)内の空間が減少する。
【0169】
図14は、本発明の一実施形態に従った流体注入方法(300)を示す流れ図である。
【0170】
図14に示すように、ステップ302では、流体カートリッジ(B)のピストン組立体(60)と引込み可能な針組立体(70)との間に流体(53)が挟まれた流体カートリッジ(B)が用意される。さらに、流体(53)は注入可能な流体である。
【0171】
ステップ304では、流体カートリッジ(B)は、プランジャシャフト(30)及び一体化されたプランジャバレル(40)を有する注入器(A)と可逆的に連結される。また、注入器(A)は、外側プランジャバレル(22)内で摺動可能な内側プランジャバレル(21)を有する。さらに、流体カートリッジ(B)は、注入器(A)の近位端(P)で注入器(A)と可逆的に連結される。
【0172】
本発明の一実施形態に従って、一体化されたプランジャバレル(40)は、外側プランジャバレル(22)を完全に引き出すことによって形成される。さらに、一体化されたプランジャバレル(40)は、内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間に真空(V)を保持するように構成される。
【0173】
言い換えると、外側プランジャバレル(22)はその全長で引き出され、内側プランジャバレル(21)のロック手段(35)と外側プランジャバレル(22)との可逆的な係合をもたらし、外側プランジャバレル(22)の前方への移動を制限し、一体化されたプランジャバレル(40)を形成する。
【0174】
本発明の一実施形態に従って、注入器(A)は、前方及び後方へのプランジャシャフト(30)の軸方向移動を作動させて、プランジャシャフト(30)を引き込むように構成される。
【0175】
ステップ306では、一体化されたプランジャバレル(40)が前方に押し込まれて、流体カートリッジ(B)から注入可能な部位に流体(53)が送達される。さらに、流体カートリッジ(B)の引込み可能な針組立体(70)は、注入プロセスの完了後に真空(V)が解放されるため、空の流体カートリッジ(B)内に引き込まれる。
【0176】
本発明の一実施形態に従って、内側プランジャバレル(21)が後方へ移動すると、引込み可能な針組立体(70)が空の流体カートリッジ(B)にゆっくりと引き込まれ、その後、内側プランジャバレル(21)はその初期状態になる。
【0177】
図15は、本発明の一実施形態に従った流体収集方法(400)を示す流れ図である。
【0178】
ステップ402では、ピストン組立体(60’)及び取外し可能な皮下注射針(72’)を有する流体収集器(200)が用意される。さらに、取外し可能な皮下注射針(72’)は、容器カバー(80)によって覆われる。
【0179】
ステップ404では、流体収集器(200)は、注入器(A)と可逆的に連結される。
【0180】
注入器(A)は、プランジャシャフト(30)と、一体化されたプランジャバレル(40)とを有する。また、注入器(A)は、外側プランジャバレル(22)内で摺動可能な内側プランジャバレル(21)を有する。さらに、流体収集器(200)は、注入器(A)の近位端(P)で注入器(A)と可逆的に連結される。
【0181】
本発明の一実施形態に従って、一体化されたプランジャバレル(40)は、外側プランジャバレル(22)を完全に引き出すことによって形成される。さらに、一体化されたプランジャバレル(40)は、内側プランジャバレル(21)と外側プランジャバレル(22)との間に真空(V)を保持するように構成される。
【0182】
本発明の一実施形態に従って、注入器(A)は、前方及び後方へのプランジャシャフト(30)の軸方向移動を作動させて、プランジャシャフト(30)を引き込むように構成される。
【0183】
ステップ406では、容器カバー(80)が流体収集器(200)から取り外されて、取外し可能な皮下注射針(72’)が露出される。
【0184】
本発明の一実施形態に従って、取外し可能なリングシール(83)は、流体カバー(80)を流体収集器(200)から分離するために、流体収集器(200)から取り外される。
【0185】
ステップ408では、取外し可能な皮下注射針(72’)が標的の流体源に挿入される。
【0186】
本発明の一実施形態に従って、ステップ408は、一体化されたプランジャバレル(40)を前方に押し込み、注入器(A)のプランジャシャフト(30)を流体収集器(200)のピストン組立体(60’)に取り付けることをさらに含む。
【0187】
ステップ410では、標的の流体源からの流体が流体収集器(200)に収集される。
【0188】
本発明の一実施形態に従って、真空(V)の解放は、プランジャシャフト(30)及びピストン組立体(60’)と共に内側プランジャバレル(21)の後方移動をもたらし、これによって、取外し可能な皮下注射針(72’)の通路を介して標的の流体源から流体が吸引され、流体収集器(200)の中に流体が収集される。
【0189】
上述の流体注入システム及びその方法は、引込み可能な針を有する既存の皮下注射器の問題及び欠点を克服し、それらに勝るいくつかの利点を提供する。流体注入システムは、注入器と流体カートリッジとを備え、自己生成された真空によって皮下注射針を引き込むことができ、注入プロセスの完了後、皮下注射針を流体カートリッジ内の引込み位置に封入する。さらに、引き込まれた針を封入する流体カートリッジは再利用できなくなる。また、流体注入システムの注入器は再利用可能である。流体注入システムは経済的で取扱いが簡単であり、皮下注射針を引き込むための引込み機構を作動させるために追加の力を加えることを回避する。皮下注射器の引込みは、第1のばねの有無にかかわらず実行され得る。加えて、提案される流体注入システムは、暗所でも注入プロセスを実行するという利点を提供し、患者もまた、注入プロセスの完了後にLEDインジケータがオフに切り替えられるので、注入プロセスを認識するであろう。
【0190】
上記の例示的な実装は、特定の形状、寸法、及び他の特性を用いて示されているが、本発明の範囲には、様々な他の形状、寸法、及び特性が含まれる。また、上記の流体注入システムは、様々な他の方法で設計及び製造することができ、様々な他の材料及び様々な他の流体カートリッジ、流体容器、皮下注射針などを含むことができる。
【0191】
これらの実施形態に対する様々な修正は、説明及び添付の図面から当業者には明らかである。本明細書に記載される様々な実施形態に関連する原理は、他の実施形態に適用され得る。
【0192】
したがって、説明は、添付の図面と共に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書で開示又は示唆される原理及び新規かつ進歩的な特徴と一致する最も広い範囲を提供するものである。したがって、本発明は、本発明の範囲及び添付の特許請求の範囲に含まれるすべての他のそのような代替、修正、及び変形を保持することが期待される。
図1
図2
図3
図3(a)】
図4(a)】
図4(a.)】
図4(b)】
図4(b.)】
図4(c)】
図4(c.)】
図5(a)】
図5(a.)】
図5(b)】
図5(b.)】
図5(c)】
図5(c.)】
図6(a)】
図6(a.)】
図6(b)】
図6(b.)】
図6(c)】
図6(c.)】
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図7(e)】
図7(f)】
図7(g)】
図7(h)】
図7(i)】
図7(j)】
図7(k)】
図7(l)】
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】
図8(e)】
図8(f)】
図8(g)】
図8(h)】
図8(i)】
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図9(d)】
図9(e)】
図9(f)】
図9(g)】
図9(h)】
図9(i)】
図9(j)】
図9(k)】
図9(l)】
図9(m)】
図10
図11
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図12(d)】
図12(e)】
図12(f)】
図12(g)】
図12(h)】
図12(i)】
図12(j)】
図12(k)】
図12(l)】
図12(m)】
図12(n)】
図12(o)】
図13
図14
図15