(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  さらに、前記コンピュータが前記被調理物から取得した前記表面温度の前記推移情報と比較被調理物から取得した基準情報とを比較することにより、前記内部温度を推定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の温度推定方法。
  さらに、前記処理部は、前記被調理物から取得した前記表面温度の前記推移情報と比較被調理物から取得した基準情報とを比較することにより、前記内部温度を推定することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の温度推定システム。
  さらに、前記被調理物から取得した前記表面温度の前記推移情報と比較被調理物から取得した基準情報とを比較することにより、前記内部温度を推定する機能を前記コンピュータに実行させるための請求項8に記載のプログラム。
  さらに、前記処理部は、前記被調理物から取得した前記表面温度の前記推移情報と比較被調理物から取得した基準情報とを比較することにより、前記内部温度を推定することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の機器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態〕
  
図1は、第1の実施の形態に係る温度推定工程を示している。
図1に示す工程は一例であり、本発明が斯かる工程に限定されるものではない。この温度推定工程は加熱中断中または加熱後の被調理物Fの表面温度Tsを一時的に操作した後、被調理物Fの表面温度Tsの推移から内部温度Tiを推定する。表面温度Tsの操作には被調理物Fの一時的な冷却、冷却時間の管理、冷却後の放熱抑制などが含まれる。
 
【0015】
  この温度推定工程では、
図1に示すように、被調理物情報の取得(S101)、被調理物Fの判定(S102)、被調理物Fの表面温度Tsの操作(S103、S104、S105)、表面温度Tsの計測(S106)、表面温度Tsの推移情報の取得(S107)、内部温度Tiの推定(S108)、情報の提示(S109)などの工程が含まれる。この温度推定工程において、情報処理の処理主体として管理サーバ14など、温度推定システム10(
図6)の機能部を引用する。
 
【0016】
  被調理物情報の取得(S101):  内部温度Tiの推定対象である被調理物Fを表す被調理物情報を取得する。この被調理物情報は被調理物管理データベース(DB)20(
図7)に格納する。
  被調理物Fの判定(S102):  提供された被調理物Fについて、加熱された被調理物Fかを判定する。加熱された被調理物Fとは、加熱中断中または加熱後の被調理物Fであり、その表面温度Tsがたとえば、常温より高い加熱状態にある被調理物Fである。
  被調理物Fの表面温度Tsの操作(S103、S104、S105):  加熱中断中または加熱後の被調理物Fについて、その表面温度Tsを内部温度Tiの推定のために人為的に操作する。この表面温度Tsの操作の第1段階として、冷却部2(
図3のA)に被調理物Fを搬入して冷却し、被調理物Fの表面温度Tsを低下させる(S103)。この被調理物Fの冷却には一定の冷却時間tfが設定される。この冷却時間tfはたとえば、数秒ないし数十秒でよい。管理サーバ14は冷却時間tfを監視し、一定の冷却時間tfが終了するまで、その冷却を継続する(S104)。冷却時間tfが終了すれば(S104のYES)、被調理物Fを断熱状態に維持する(S105)。これにより、冷却後の被調理物Fの放熱が抑制される。
 
【0017】
  表面温度Tsの計測(S106):  断熱状態に維持された被調理物Fについて、その表面温度Tsを計測する。この温度計測は一定の計測時間内で行う。この計測値は管理サーバ14に提供する。
  表面温度Tsの推移情報の取得(S107):  管理サーバ14は計測値の提供を受け、その計測値から被調理物Fの表面温度Tsの推移情報を取得する。
  内部温度Tiの推定(S108):  管理サーバ14は、表面温度Tsの推移情報と基準情報とを対比し、基準情報から被調理物Fの内部温度Tiを推定する。
  情報の提示(S109):  管理サーバ14は内部温度Tiを含む提示情報を生成し、情報提示部16に被調理物Fに関係付けた内部温度Tiを現す提示情報が得られる。
 
【0018】
<被調理物Fおよび被調理物の温度T>
  
図2のAは、被調理物Fの断面を示している。被調理物Fは加熱調理されるたとえば、餃子や焼き鳥などの被調理物である。
  この被調理物Fがたとえば、加熱中断中または加熱後の被調理物であるとすれば、被調理物の温度Tには内部温度Ti、表面温度Tsが含まれる。
  
図2のBは、横軸に被調理物Fの中心方向に向かう位置r、縦軸に温度Tを取り、被調理物Fの表面温度Ts0および内部温度Tiの分布を示している。
  この被調理物Fの加熱状態では、被調理物Fの表面位置p1の表面温度がTs0であり、内部温度Tiは被調理物Fの中心側の内部位置p2に向かって低下(Ts0>Ti)している。これは被調理物Fの加熱状態の一例であり、充分な加熱状態であれば、Ts0≦Tiになる場合はあり得る。
 
【0019】
<被調理物Fの表面温度Tsの操作>
  
図3のAは、被調理物Fの冷却を示している。加熱中断中または加熱後、被調理物Fは冷却部2に搬入して一定時間だけの一時冷却を行い、被調理物Fの表面温度Tsを低下させる。これにより、被調理物Fの表面層には低温部4が生成される。
  
図3のBは、
図2のBと同様に横軸に被調理物Fの中心方向に向かう位置r、縦軸に温度Tを取り、被調理物Fの表面温度Ts0、Ts1および内部温度Tiの分布を示している。
  被調理物Fの表面位置p1は、表面温度Ts0から表面温度Ts1に低下し、内部温度Tiは低温部4で低下し、被調理物Fの内部に向かって徐々に上昇し、当初の内部温度Tiになっている。
 
【0020】
<表面温度Tsの計測>
  
図4は、被調理物Fの断熱状態を示している。表面温度Ts1に低下した被調理物Fは断熱部6に収容して断熱状態に維持し、表面からの放熱を抑制する。
  この断熱状態において、被調理物Fの表面温度Tsを温度計8で計測する。この温度計測は、断熱状態に維持した時点t1、この時点t1から一定時間が経過した時点t2の少なくとも2点で行う。
 
【0021】
<表面温度Tsの推移>
  
図5は、横軸に時間t、縦軸に被調理物Fの表面温度Tsを取り、冷却中ないし冷却後の表面温度Tsの推移を示している。
  時点t0で冷却を開始し、時点t0から時点t1までの期間を冷却時間tf(=t0〜t1)、時点t1から時点t2までの期間を放置時間th(=t1〜t2)とする。
  加熱中断中または加熱後の被調理物Fは冷却時間tfで冷却され、被調理物Fの表面層に低温部4が形成される(図
3のA)。表面温度Ts0は表面温度Ts1に低下する。つまり、この冷却操作により、被調理物Fには表面温度Tsの不平衡状態が作り出される。
                                                                                
 
【0022】
  この被調理物Fを断熱状態に維持し、表面からの放熱を抑制した状態で断熱部6内に放置すると、放置時間thにより表面温度Ts1は時点t2で表面温度Ts2に上昇する。
  この温度上昇は、冷却によって作り出された不平衡状態が断熱状態に放置された結果、熱量移動により平衡状態に遷移して生じたものである。つまり、放置時間thにおける表面温度推移Ts1〜Ts2は被調理物Fの内部熱量、内部温度Tiに依存する。よって、この表面温度推移Ts1〜Ts2から被調理物Fの内部温度Tiを推定できる。
 
【0023】
<温度推定システム10>
  
図6は、第1の実施の形態に係る温度推定システム10を示している。
図6に示すシステムは一例であり、本発明が斯かる工程に限定されるものではない。
  この温度推定システム10は、冷却部2、断熱部6、温度計測部12、管理サーバ14、情報提示部16、情報入力部18を備える。
  加熱中断中または加熱後の被調理物Fは冷却部2に入れられて一時的に冷却される。
  冷却部2は管理サーバ14の制御により被調理物Fの表面部の一時的な冷却を行い、表面温度Tsを低下させる。冷却温度および冷却時間tfは管理サーバ14によって制御される。
  断熱部6は、冷却直後の被調理物Fが収容され、被調理物Fの放熱を抑制する。つまり、この断熱部6は、冷却によって被調理物Fに作り出された不平衡状態から平衡状態への遷移期間を断熱状態に維持するための保温手段である。
  温度計測部12は、この断熱部6において、放置時間thに被調理物Fの温度計測を行う。この計測結果は管理サーバ14に提供される。
 
【0024】
  管理サーバ14は、放置時間thにおける表面温度推移Ts1〜Ts2から被調理物Fの内部温度Tiを推定する。
  情報提示部16は、管理サーバ14の制御により、表面温度推移Ts1〜Ts2や、内部温度Tiを含む観測情報の提示を行う。
  情報入力部18は、内部温度Tiの推定対象である被調理物Fを現す被調理物情報などの入力に用いられる。
 
【0025】
<被調理物管理データベース(DB)20>
  
図7は被調理物管理DB20の一例を示している。この被調理物管理DB20には被調理物管理ファイル22が含まれる。
  この被調理物管理ファイル22には被調理物情報部24、冷却情報部26、放置情報部28、内部温度部30、評価情報部32が含まれる。
  被調理物情報部24には被調理物Fの識別情報、加熱情報などが格納される。
 
【0026】
  冷却情報部26には、冷却時間部26−1、冷却開始温度部26−2、冷却終了温度部26−3が含まれる。
  冷却時間部26−1には、被調理物Fの表面温度Tsを低下させるための冷却時間tfを現す時間情報が格納される。冷却開始温度部26−2には被調理物Fの冷却開始温度の計測値を現す温度情報が格納される。冷却終了温度部26−3には被調理物Fの冷却終了温度の計測値を現す温度情報が格納される。
 
【0027】
  放置情報部28には、放置時間部28−1、放置開始温度部28−2、放置終了温度部28−3、温度推移部28−4が含まれる。放置時間部28−1には表面温度Tsを低下させた被調理物Fが平衡状態になる放置時間thを現す時間情報が格納される。放置開始温度部28−2には放置開始時点の表面温度Tsの計測値を現す温度情報が格納される。放置終了温度部28−3には放置終了時点の表面温度Tsの計測値を現す温度情報が格納される。温度推移部28−4にはたとえば、放置時間thに対する推移温度幅を現す推移情報が格納される。
  内部温度部30には、推移情報と基準情報から求められた被調理物Fの内部温度Tiを現す温度情報が格納される。評価情報部32には、内部温度Tiから判定された被調理物Fの加熱状態や調理状態を評価した評価情報が格納される。
 
【0028】
<基準情報取得工程>
  
図8は、被調理物Fの内部温度Tiの推定基準に用いられる基準情報取得工程を示している。
図8に示す工程は一例であり、本発明が斯かる工程に限定されるものではない。この基準情報取得工程は、加熱中断中または加熱後の比較被調理物Frの表面温度Tsを一時的に操作した後、比較被調理物Frの表面温度Tsの推移から内部温度Tiの相関情報を取得する。表面温度Tsの操作には被調理物Fの場合と同様に、比較被調理物Frの一時的な冷却、冷却時間の管理、冷却後の放熱抑制などが含まれる。
 
【0029】
  この基準情報取得工程では、
図8に示すように、比較被調理物情報の取得(S201)、比較被調理物Frの判定(S202)、比較被調理物Frの表面温度Tsの操作(S203、S204、S205)、表面温度Tsの計測(S206)、表面温度Tsの推移情報の取得(S207)、内部温度Tiの計測(S208)、基準情報DB40の作成(S209)などの工程が含まれる。この基準情報取得工程において、情報処理の処理主体として管理サーバ14など、温度推定システム10(
図6)の機能部を引用する。
 
【0030】
  比較被調理物情報の取得(S201):  内部温度Tiの推定対象である被調理物Fと同一または類似属性の比較被調理物Frを現す比較被調理物情報を取得する。この比較被調理物情報は基準情報データベース(DB)40(
図10)に格納する。
  比較被調理物Frの判定(S202):  提供された比較被調理物Frについて、加熱中断中または加熱後の比較被調理物Frかを判定する。比較被調理物Frは被調理物Fと同様に加熱状態であり、表面温度Tsはたとえば、常温より高い。
 
【0031】
  比較被調理物Frの表面温度Tsの操作(S203、S204、S205):  加熱中断中または加熱後の比較被調理物Frについて、その表面温度Tsを内部温度Tiの推定のために人為的に操作する。被調理物Fと同様に、この表面温度Tsの操作の第1段階として、冷却部2(
図3のA)に比較被調理物Frを搬入して冷却し、比較被調理物Frの表面温度Tsを低下させる(S203)。この比較被調理物Frの冷却には一定の冷却時間tfが設定される。この冷却時間tfはたとえば、数秒ないし数十秒でよい。管理サーバ14は冷却時間tfを監視し、一定の冷却時間tfが終了するまで、その冷却を継続する(S204)。冷却時間tfが終了すれば(S204のYES)、比較被調理物Frを断熱状態に維持する(S205)。これにより、冷却後の比較被調理物Frの放熱が抑制される。
 
【0032】
  表面温度Tsの計測(S206):  断熱状態に維持された比較被調理物Frについて、その表面温度Tsを計測する。この温度計測は一定の計測時間内で行う。この計測値は管理サーバ14に提供する。
  表面温度Tsの推移情報の取得(S207):  管理サーバ14は計測値の提供を受け、その計測値から比較被調理物Frの表面温度Tsの推移情報を取得する。
  内部温度Tiの計測(S208):  比較被調理物Frの内部温度Tiを計測し、その計測値を管理サーバ14に提供する。
  基準情報DB40の作成(S209):  比較被調理物Frの温度推移に関係付けて内部温度Tiを含む基準情報を基準情報DB40に格納する。
 
【0033】
<内部温度Tiの計測>
  
図9は、内部温度Tiの計測を示している。比較被調理物Frの内部温度Tiについて、断熱部6に収容された比較被調理物Frに電子温度計34のセンサ部36を差し込み、その内部温度Tiを計測する。この内部温度Tiの計測値は管理サーバ14に提供され、基準情報として基準情報DB40に格納される。
 
【0034】
<基準情報データベース(DB)40>
  
図10は基準情報DB40の一例を示している。この基準情報DB40には基準情報ファイル42が含まれる。
  この基準情報ファイル42には比較被調理物情報部44、冷却情報部46、放置情報部48、内部温度部50が含まれる。
  比較被調理物情報部44には比較被調理物Frの識別情報、加熱情報などが格納される。
 
【0035】
  冷却情報部46には、冷却時間部46−1、冷却開始温度部46−2、冷却終了温度部46−3が含まれる。
  冷却時間部46−1には、比較被調理物Frの表面温度Tsを低下させるための冷却時間tfを現す時間情報が格納される。冷却開始温度部46−2には比較被調理物Frの冷却開始温度の計測値を現す温度情報が格納される。冷却終了温度部46−3には比較被調理物Frの冷却終了温度の計測値を現す温度情報が格納される。
 
【0036】
  放置情報部48には、放置時間部48−1、放置開始温度部48−2、放置終了温度部48−3、温度推移部48−4が含まれる。放置時間部48−1には表面温度Tsを低下させた比較被調理物Frが平衡状態になる放置時間thを現す時間情報が格納される。放置開始温度部48−2には放置開始時点の表面温度Tsの計測値を現す温度情報が格納される。放置終了温度部48−3には放置終了時点の表面温度Tsの計測値を現す温度情報が格納される。温度推移部48−4にはたとえば、放置時間thに対する推移温度幅を現す推移情報が格納される。
  内部温度部50には、比較被調理物Frの内部温度Tiの計測値を現す内部温度情報が格納される。
 
【0037】
<内部温度Tiの推定>
  
図11のAは、横軸に比較被調理物Frの温度推移ΔT、縦軸に比較被調理物Frの内部温度Tiを取り、温度推移ΔTに対する内部温度Tiを現す基準情報Trefを示している。
  被調理物Fから取得した温度推移ΔTx(=Ts1〜Ts2)を求め、この温度推移ΔTxを基準情報Trefに当てれば、比較被調理物Frの内部温度Tixにより被調理物Fの内部温度Ti(=Tix)が推定される。
 
【0038】
<加熱の良否判定>
  
図11のBは、横軸に被調理物F、縦軸に内部温度Tiを取り、被調理物F1、F2、F3、F4の内部温度Tiの推定値を示している。
  Tithは、内部温度Tiに対して設定された閾値である。管理サーバ14は、被調理物Fについて推定した内部温度Tiが閾値Tith以上であれば加熱良好、閾値Tith未満であれば加熱不良とする。
  この場合、被調理物F1、F2は、内部温度Tiが閾値Tith未満であるから加熱不良である。これに対し、被調理物F3、F4は、内部温度Tiが閾値Tith以上であるから加熱良好である。
  そして、管理サーバ14は内部温度Tiの推定値とともに、加熱の良否判定の判定情報を表す提示情報を生成し、この提示情報を被調理物Fの識別情報に関係付け、情報提示部16に提示する。
 
【0039】
<第1の実施の形態の効果>
  この第1の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
  (1) 加熱中断中または加熱後の被調理物Fの表面温度Tsを操作し、その表面温度Tsの推移から内部温度Tiを推定することができる。
  (2) 被調理物Fの内部温度Tiの推定は、冷却によって表面温度Tsを操作し、その操作後の放置による温度推移で推定できるから、内部温度Tiの推定対象である被調理物Fを劣化させることがなく、安全性を高めることができる。
  (3) 被調理物Fの内部温度Tiに閾値Tithを設定すれば、この閾値Tithとの対比により加熱の良否を容易に判定できる。
  (4) 被調理物Fに対し、同一または類似属性の比較被調理物Frの内部温度Tiの温度計測を行うので、被調理物Fの温度推移と内部温度Tiの関係情報を取得でき、比較被調理物Frについては人体との接触があったとしても、被調理物Fの内部温度Tiの推定や加熱の良否判定は人体と非接触でしかも迅速に行うことができる。
  (5) 被調理物Fが冷却後、断熱部6に収容されて外部への放熱を抑制し、被調理物F内の熱移動が外部からの熱や外部への放熱の影響を受けることなく、表面温度Tsに現れるので、内部温度Tiの推測精度を高めることができる。
 
【0040】
〔第2の実施の形態〕
  
図12は、第2の実施の形態に係る温度推定工程を示している。
図12に示す工程は一例であり、本発明が斯かる工程に限定されるものではない。この温度推定工程は第1の実施の形態と同様に加熱中断中または加熱後の被調理物Fの表面温度Tsを一時的に操作した後、被調理物Fの表面温度Tsの推移から内部温度Tiを推定する。
 
【0041】
  この温度推定工程では、
図12に示すように、被調理物情報の取得(S301)、被調理物Fの判定(S302)、被調理物Fの搬送(S303)、被調理物Fの冷却(S304)、冷却時間tfの判定(S305)、被調理物Fの搬送(S306)、表面温度Tsの計測(S307)、表面温度Tsの推移情報の取得(S308)、内部温度Tiの推定(S309)、調理状態の評価(S310)、情報の提示(S311)、加熱の良否判定(S312)、調理品の提供(S313)、情報の提示(S314)、被調理物Fの再加熱指示(S315)、などの工程が含まれる。この推定工程において、情報処理の処理主体として管理サーバ14など、温度推定システム10(
図13)の機能部を引用する。
 
【0042】
  被調理物情報の取得(S301):  内部温度Tiの推定対象である被調理物Fを表す被調理物情報を取得する。この被調理物情報は情報入力部18により管理サーバ14に入力し、管理サーバ14が既述の被調理物管理DB20(
図7)に格納する。
  被調理物Fの判定(S302):  待機部52(
図13)に搬入された被調理物Fの温度を温度計測部64で計測し、その計測情報を管理サーバ14が取得する。管理サーバ14は、被調理物Fから取得した温度情報に基づき、調理中断中または調理後の被調理物Fか、それ以外の被調理物Fかを判定する。
  被調理物Fの搬送(S303):  管理サーバ14は、冷却部2が稼働中か休止中かを判断し、休止中であれば開閉機構56を開状態に制御し、待機部52から冷却部2に被調理物Fを搬送する。
 
【0043】
  被調理物Fの冷却(S304):  管理サーバ14は冷却部2を動作させ、被調理物Fを冷却する。
  冷却時間tfの判定(S305):  管理サーバ14は、被調理物Fの冷却開始から冷却時間tfを計測し、冷却時間tfが終了するまで、冷却を継続する。これにより、被調理物Fの表面層に低温部4(
図3のA)が生成される。
  被調理物Fの搬送(S306):  冷却時間tfが終了すると(S305のYES)、管理サーバ14は冷却部2から断熱部6に被調理物Fを搬送させる。
  表面温度Tsの計測(S307):  断熱部6に搬入された被調理物Fについて、表面温度Tsが計測され、その計測情報が管理サーバ14に提供される。
 
【0044】
  表面温度Tsの推移情報の取得(S308):  管理サーバ14は、表面温度Tsの計測値から表面温度Tsの推移情報を取得する。
  内部温度Tiの推定(S309):  管理サーバ14は、表面温度Tsの推移情報と基準情報から被調理物Fの内部温度Tiを推定する。
  調理状態の評価(S310):  管理サーバ14は、取得した内部温度Tiを用いて被調理物Fの調理状態を評価する。
  情報の提示(S311):  管理サーバ14は、現在まで取得している被調理物情報、表面温度Tsおよび内部温度Tiなどを含む提示情報を生成し、この提示情報を情報提示部16に提示する。
 
【0045】
  加熱の良否判定(S312):  管理サーバ14は、取得した内部温度Tiと閾値Tithを比較し(Ti≧Tith)、被調理物Fの加熱の良否を判定する。
  調理品の提供(S313):  被調理物Fの内部温度Tiが閾値Tith以上(Ti≧Tith)であれば(S312のYES)加熱良好と判定し、被調理物Fを調理品として提供できる提供許可情報を生成する。
  情報の提示(S314):  管理サーバ14は、提供許可情報を情報提示部16に提示する。
  再加熱の指示(S315):  管理サーバ14は、被調理物Fの内部温度Tiが閾値Tith未満(Ti<Tith)であれば(S312のNO)加熱不良と判定し、被調理物Fの再加熱指示情報を生成する。そして、この再加熱指示情報は、アラート情報や再加熱指示情報として情報提示部16に提示される(S314)。
 
【0046】
<温度推定システム10>
  
図13は、第2の実施の形態に係る温度推定システム10を示している。
図13に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
図13において、
図6と同一部分には同一符号を付してある。
  この温度推定システム10は既述の推定方法をシステム化したものであり、調理後の被調理物Fから表面温度Tsの時間推移を取得し、この表面温度Tsの時間推移から被調理物Fの内部温度Tiを推定し、併せて被調理物Fに対する加熱の良否を判定する。
 
【0047】
  この温度推定システム10は
図13に示すように、既述の冷却部2、断熱部6、温度計測部12、管理サーバ14、情報提示部16、情報入力部18に加え、待機部52、54、開閉機構56、58、60、搬送機構62、温度計測部64、被調理物検出部66を備えている。
  被調理物Fは図示しない加熱調理機などで加熱調理される。この調理器はたとえば、焼き鳥などの直火加熱を行う加熱調理器でよいが、このような直火加熱に限定されるものではない。
  冷却部2は、熱交換部2−1、冷却駆動部2−2(
図14)を備える。熱交換部2−1は冷凍サイクルにおける冷媒と冷却部2内の空気との熱交換を行って被調理物Fを冷却し、その表面温度Tsを低下させる。この熱交換部2−1の冷媒循環は管理サーバ14の制御により冷却駆動部2−2で行う。したがって、冷却部2の冷却温度は管理サーバ14によって制御される。
  待機部52は内部温度Tiの推定対象である被調理物Fを待機させるためのエリアである。
  待機部54は内部温度Tiの推定後の被調理物Fを待機させるためのエリアである。
 
【0048】
  開閉機構56は待機部52と冷却部2の間に設置されて冷却部2の入側開口部を開閉する機構であり、管理サーバ14によって制御される。
  開閉機構58は冷却部2と断熱部6の間に設置されて冷却部2の出側開口部および断熱部6の入側開口部を開閉する機構であり、管理サーバ14によって制御される。
  開閉機構60は断熱部6と待機部54の間に設置されて断熱部6の出側開口部および待機部54の開口部を開閉する機構であり、管理サーバ14によって制御される。
 
【0049】
  搬送機構62は管理サーバ14の制御により、被調理物Fを待機部52から冷却部2、冷却部2から断熱部6、断熱部6から待機部54に適時に搬送する。
  温度計測部64は管理サーバ14の制御により、待機部52に搬入された被調理物Fの温度を計測し、その計測情報を管理サーバ14に提供する。
  被調理物検出部66は冷却部2において被調理物Fを検出し、被調理物Fの検出情報を管理サーバ14に提供する。
  管理サーバ14は、温度推定部の一例であり、たとえば、通信機能を備えるパーソナルコンピュータ(PC)で構成される。管理サーバ14は、温度計測部12、64から計測データである表面温度Tsを取得し、断熱部6の被調理物Fから取得した表面温度Tsの推移を用いて内部温度Tiの推定、加熱の良否などの情報処理を行う。
 
【0050】
<温度推定システム10の機能部>
  
図14は、温度推定システム10の機能部の一例を示している。
図14に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
図14において、
図13と同一部分には同一符号を付してある。
  この温度推定システム10には装置筐体70が設置されている。この装置筐体70は待機部52、冷却部2、断熱部6および待機部54に区画され、待機部52と冷却部2の間には開閉部56−1、冷却部2と断熱部6の間には開閉部58−1、断熱部6と待機部54の間には開閉部60−1が設置されている。
 
【0051】
  装置筐体70はたとえば、金属材料で形成してよいが、断熱部6は外部との熱的遮断性を高めるため、保温材で形成することが望ましい。
  開閉機構56は開閉部56−1と開閉駆動部56−2を備え、管理サーバ14で開閉が制御される。
  開閉機構58は開閉部58−1と開閉駆動部58−2を備え、管理サーバ14で開閉が制御される。
  開閉機構60は開閉部60−1と開閉駆動部60−2を備え、管理サーバ14で開閉が制御される。
 
【0052】
  搬送機構62はコンベア62−1、62−2、62−3、62−4、コンベア駆動部63−1、63−2、63−3、63−4を備え、管理サーバ14で搬送動作が制御される。
  断熱部6には温度センサ12−1が設置され、温度センサ12−1の計測出力が管理サーバ14の制御により温度情報取得部12−2から管理サーバ14に取り込まれる。
  待機部52には温度計測部64の温度センサ64−1が設置され、温度センサ64−1の計測出力が管理サーバ14の制御により温度情報取得部64−2から管理サーバ14に取り込まれる。
  冷却部2には被調理物センサ66−1が設置され、この検出情報は、管理サーバ14の制御により検出情報取得部66−2で取得し、管理サーバ14に取り込まれる。
 
【0053】
<温度推定システム10のハードウェア>
  
図15は、温度推定システム10のハードウェアを示している。
図15において、
図14と同一部分には同一符号を付してある。
  管理サーバ14はプロセッサ72、記憶部74、入出力部(I/O)76、通信部78、タイマー80を備える。
  プロセッサ72は記憶部74にあるOS(Operating System)を実行し、温度推定プログラムを実行する。
 
【0054】
  記憶部74はROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備え、OS、温度推定プログラムなどの各種のプログラムを格納するとともに、温度推定処理を実行するために用いる被調理物管理DB20(
図7)、基準情報DB40(
図10)を格納している。
  I/O76は、プロセッサ72の制御により温度計測部12、64からの計測情報や情報入力部18からの情報入力の取り込み、被調理物検出部66の検出情報の取り込み、開閉機構56、58、60の開閉制御、搬送機構62の搬送制御、情報提示部16への提示情報の出力などに用いられる。
  情報入力部18には情報入力に用いられるキーボード、バーコード読取り部、マウス、I/O76に接続された情報端末の他、タッチパネルが含まれる。タッチパネルは情報提示部16の表示画面に設置すればよい。
  情報提示部16はたとえば、LCDで構成され、管理サーバ14の制御に基づき、提示情報としてたとえば、表面温度Ts、表面温度Tsの時間推移、内部温度Ti、加熱の良否判定情報などの提示に用いられる。
 
【0055】
<管理サーバ14の情報処理>
  この情報処理には、
  a)被調理物Fの加熱管理
  b)被調理物情報または比較被調理物情報の取得
  c)被調理物Fの搬入などの搬送制御
  d)被調理物Fまたは比較被調理物Frの冷却制御
  e)被調理物Fまたは比較被調理物Frの断熱制御
  f)表面温度Tsの取得
  g)表面温度Tsの推移の取得
  h)内部温度Tiの推定
  i)加熱の良否判定
  j)情報の提示制御
  k)被調理物管理DB20および基準情報DB40の生成
  l)通信制御
などが含まれる。
  a)〜l)については既述したので、その説明を割愛する。
  なお、通信制御では、図示しない管理サーバや情報端末とインターネットなどの通信媒体を利用し、外部データの取得、情報端末に対する温度推定情報の提供などを行う。情報端末には、ユーザーのスマートフォン、タブレット端末、通信機能を備えるPCが含まれる。
 
【0056】
<被調理物Fの搬送、冷却および温度計測>
  
図16のAは、待機部52から冷却部2への被調理物Fの搬入を示している。
  待機部52に搬入された被調理物Fについて、被調理物センサ66−1の検出結果を受け、冷却部2に被調理物Fが存在していなければ、開閉部56−1が下降して冷却部2が開かれる。このとき、コンベア62−1、62−2を駆動し、矢印で示すように、被調理物Fが待機部52から冷却部2に搬入される。
 
【0057】
  図16のBは、冷却部2での被調理物Fの冷却を示している。
  冷却部2に被調理物Fが搬入されると、開閉部56−1が上昇し、冷却部2が密閉空間に制御される。被調理物Fは、熱交換部2−1による冷却部2内の空気と冷媒との熱交換によってその表面部が冷却される。この冷却は一定の冷却時間tfで行われる。
 
【0058】
  図17のAは、冷却部2から断熱部6への被調理物Fの搬入を示している。
  冷却時間tfの経過後、開閉部58−1が下降し、冷却された被調理物Fが断熱部6に搬入されて放置される。
  
図17のBは、断熱部6での被調理物Fの温度計測を示している。
  被調理物Fは、断熱部6内で一定の放置時間thにおいて温度計測が行われる。既述したように、少なくとも時点t1で第1回の温度計測、時点t2で第2回の温度計測が行われる。このような複数回の温度計測を以て表面温度Ts1、Ts2が計測され、この表面温度Ts1、Ts2から温度推移が観測される。
 
【0059】
<内部温度Tiの推定>
  管理サーバ14は、断熱部6で計測した表面温度Ts1、Ts2を取得し、これらから温度の推移情報を取得する。管理サーバ14はこの推移情報と基準情報とを用いて被調理物Fの内部温度Tiを推定する。
  そして、管理サーバ14は被調理物Fの温度推移、加熱の良否判定を行い、その提示情報を生成する。
 
【0060】
<情報提示1>
  この温度推定システム10の情報提示部16には、被調理物Fの搬入、冷却、温度計測および搬出に関する提示(情報提示1)、被調理物Fの内部温度Tiの推定および加熱の良否判定に関する提示(情報提示2)が含まれる。
  情報提示1には、搬入表示画面82−1(
図18のA)、冷却中表示画面82−2(
図18のB)、温度計測中表示画面82−3(
図19のA)、搬出表示画面82−4(
図19のB)が含まれ、共通にモード表示部84、動作状態表示部86が提示される。
 
【0061】
  搬入表示画面82−1では被調理物Fの搬入時、
図18のAに示すように、モード表示部84中の搬入表示84−1、動作状態表示部86中の待機部表示86−1および被調理物Fがクローズアップされて表示される。
  冷却中表示画面82−2では被調理物Fの冷却時、
図18のBに示すように、モード表示部84中の冷却中表示84−2、動作状態表示部86中の冷却部表示86−2および被調理物Fがクローズアップされて表示される。
  温度計測中表示画面82−3では温度計測時、
図19のAに示すように、モード表示部84中の温度計測中表示84−3、動作状態表示部86中の断熱部表示86−3および被調理物Fがクローズアップされて表示される。
  搬出表示画面82−4では被調理物Fの搬出時、
図19のBに示すように、モード表示部84中の搬出表示84−4、動作状態表示部86中の待機部表示86−4および被調理物Fがクローズアップされて表示される。
 
【0062】
<情報提示2>
  情報提示2は、内部温度・評価情報表示画面82−5(
図20)によって内部温度Tiおよび加熱の良否判定情報などが提示される。
  内部温度・評価情報表示画面82−5には
図20に示すように、被調理物表示部88、温度推移表示部90、温度情報・良否判定表示部92が提示される。
  被調理物表示部88には内部温度Tiの推定対象である被調理物Fを表す被調理物情報が提示される。
  温度推移表示部90には調理中断中または調理後の被調理物Fの冷却時間tfおよび放置時間thにおける表面温度Tsの推移情報(
図5)が提示される。
  温度情報・良否判定表示部92には内部温度表示92−1、閾値表示92−2、調理評価表示92−3、アラート・再加熱表示92−4が含まれる。
  内部温度表示92−1には管理サーバ14によって推定された被調理物Fの内部温度Tiが表示される。
  閾値表示92−2には内部温度Tiの良否を判定する閾値Tithが表示される。
  調理評価表示92−3には被調理物Fの加熱の良否など、調理状態の評価情報が表示される。
  アラート・再加熱表示92−4には、加熱不良の場合、その加熱不良を表すアラート情報とともに、再加熱を指示するガイド情報が表示される。
 
【0063】
<第2の実施の形態の効果>
  この第2の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
  (1) 表面温度Tsの時間推移から被調理物Fの内部温度Tiをコンピュータによる情報処理で推定でき、非接触で被調理物Fの加熱の良否などの処理を迅速化できる。
  (2) 被調理物Fは、その表面部の冷却後、断熱部6に収容されて外部との熱的遮断が行われるので、放置時間thにおける熱移動で表面温度Tsの推移を精度よく計測でき、内部温度Tiの推定精度を高めることができる。
  (3) 調理中の複数の被調理物Fからサンプルを抽出し、このサンプルの表面温度Tsの計測により内部温度Tiの推定処理を行えば、同時に調理中または調理後の被調理物Fの内部温度Tiを非接触で推定でき、被調理物Fの内部温度Tiの推定処理を合理化でき、被調理物Fの温度計測による劣化や調理品の品質低下を防止できる。
  (4) 被調理物Fの加熱の良否を判定でき、被調理物Fの安全性を高めることができる。
  (5) この温度推定システム10は、HACCPをレストランなどにも拡大し、焼き鳥、ハンバーグなどの被調理物Fに対する食の安全性を高めるため対策ツール、温度管理ツールとして実現できる。
 
【0064】
〔第3の実施の形態〕
  
図21は、第3の実施の形態に係る温度推定システム10の冷却部2を示している。この第3の実施の形態では、冷却部2に気流吹付け部104を備えている。この気流吹付け部104は、噴射ノズル106、冷却用空気源108および冷却駆動部110を備えている。噴射ノズル106は、冷却用空気源108から供給される冷却空気112を被調理物Fに噴射するノズルである。冷却用空気源108は、たとえば、エアコンプレッサーなどで構成し、冷却空気112を生成する。
  被調理物Fの温度操作時、冷却用空気源108を管理サーバ14の制御により冷却空気112を噴射ノズル106から被調理物Fに噴射させ、被調理物Fの表面温度Tsを低下させることができる。
  斯かる構成によっても上記実施形態と同様の効果が得られる。
 
【実施例】
【0065】
  図22は、一実施例に係る温度推定器94を示している。
図22において、
図13、
図16、
図17、
図18および
図19と同一部分には同一符号を付してある。
  この温度推定器94は本開示の機器の一例である。この温度推定器94には既述の温度推定システム10が搭載されており、冷却部2、断熱部6、温度計測部12、64、管理サーバ14、情報提示部16、情報入力部18、待機部52、54、装置筐体70などが含まれる。
  装置筐体70の前面部には、被調理物搬入口96、窓部98−1、98−2、被調理物搬出口100、情報提示画面部102が設置されている。
  被調理物Fは被調理物搬入口96から待機部52に搬入された後、自動的に冷却部2、断熱部6に搬送されて冷却、温度計測が行われて待機部54に搬送される。待機部54に到達した被調理物Fは被調理物搬出口100から取り出すことができる。
  冷却中の被調理物Fは窓部98−1で確認でき、温度計測中の被調理物Fは窓部98−2で確認できる。
  窓部98−1、98−2は放熱を抑制するたとえば、耐熱ガラスで形成し、外部から被調理物Fを視認可能とすればよい。
  この温度推定器94では、情報提示画面部102の表示画面にタッチセンサ93を備え、このタッチセンサ93が情報入力部18を構成する。
  この温度推定器94において、管理サーバ14を含む各機能部の構成および動作は第2の実施の形態で説明しているので、その説明を割愛する。
【0066】
<実施例の効果>
  この実施例によれば、次の何れかの効果が得られる。
  (1) この温度推定器94によれば、第1および第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
  (2) この温度推定器94によれば、厨房に設置された調理機器に隣接して配置し、調理中または調理後の被調理物Fを温度推定器94に搬入し、その内部温度Tiを容易かつ迅速に推定することができる。
  (3) この温度推定器94では、調理中の被調理物Fについて、その内部温度Tiを判定し、その判定結果を提示できるので、調理中の被調理物Fの調理状態を迅速に確認することができる。
  (4) 焼き鳥など、直火で加熱をする被調理物Fの調理法において、表面温度Tsが上昇していても、内部温度Tiが十分に上昇していないといった生焼け品の提供を回避することができる。
  (5) 調理済みの肉など、被調理物Fに温度計を差し込むなどの処理が商品の価値を著しく損ねるとことになるが、被調理物Fの表面温度Tsの時間推移の計測で、内部温度Tiを推定でき、被調理物Fの品質低下を防止できる。
  (6) この温度推定器94は他の調理機器に組み込むことにより、調理中または調理後の被調理物Fの内部温度Tiを迅速に推定でき、調理中または調理後の被調理物Fからの放熱を防止でき、食の安全性を高めることができる。
【0067】
〔他の実施の形態〕
  (1) 本開示の温度推定システム10は調理機器に限定されず、温度推定機器ないし温度推定機能を備えた温度計測装置として実現してもよい。
  (2) 上記実施の形態では、実際に加熱した後の被調理物Fの表面温度Tsを計測しているが、この計測ないし内部温度Tiを情報処理で実現するシミュレーションシステムないし装置として構成してもよい。
  (3) 被調理物Fの表面温度Tsの温度計測には2次元イメージャを使って計測してもよく、多数の調理物などの被調理物Fの温度計測を高速かつ手軽に行うことができ、レストランなどの迅速性が求められる現場で活用することができる。
【0068】
  以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
 
 
【解決手段】コンピュータを用いた温度推定方法であって、冷却部(2)が加熱された被調理物(F)の表面温度(Ts)を低下させる工程と、断熱部が前記被調理物を断熱状態に維持し、温度計測部(12)が放置時間(th)に前記表面温度を計測する工程と、前記コンピュータが前記表面温度の推移情報を取得し、前記被調理物の内部温度(Ti)を推定する工程とを含んでいる。