(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インサート(200)は、ボデー(205)と、前記インサート(200)の前記長手方向(z200)に垂直な少なくとも二つの方向に前記ボデー(205)から延出するフランジ(207)とを有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤ(100)。
前記一次誘導性コンポーネント(220)の少なくとも一部および/または前記一次容量性コンポーネント(210)の少なくとも一部は、前記フランジ(207)に配置される、
請求項6に記載のタイヤ(100)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、実施形態は、摩耗インジケータ190の一部を包含するタイヤ100に関する。好ましくは、タイヤ100は空気タイヤである。概して、タイヤ100はトレッド120を有する。トレッド120は、タイヤ100が使用される時に道路または地面などの表面900との接触状態を形成するように構成されるタイヤの一部である。一般的に、トレッド120はトレッドブロック110から形成される。対応して、トレッド120の一部はトレッドブロック110により形成される。トレッドブロック110の上面はトレッド120の一部である。タイヤ100は非空気タイヤであってもよい。タイヤ100は、乗用車用の空気タイヤのような乗用車タイヤなど、乗用車のためのタイヤでありうる。タイヤ100は、重量のあるタイヤ、つまりフォワーダ、ローダ、トラック、キャタピラのような重機のためのタイヤであってもよい。タイヤ100はオートバイ用のタイヤであってもよい。
【0010】
図2a1,2a2,2bに記されているように、摩耗インジケータ190は質問器300と回路290とを包含する。
図2bを参照すると、タイヤ100へ挿入可能であるインサート200に回路290が配置される。インサート200はさらに、回路290が配置されるシェル295を包含しうる。回路290は、一次誘導性コンポーネント220など、少なくとも幾つかの電子コンポーネントを包含する。
図2a1,2a2を参照すると、以下に詳述するように質問器300は無線でインサート200と相互作用するように構成される。使用時に、質問器300およびインサート200のインダクタ320,220はそれぞれ、
図2a1に記されているように互いに隣接して配置されうる。代替例では、
図2a2に記されているように回路の他のコンポーネントがインダクタ320,220の間に配置されうる。
【0011】
図3aおよび3bに記されているように、インサート200はタイヤ100に配置される。
図3aの実施形態において、タイヤ100はさらに質問器300を包含する。この実施形態で、質問器300およびインサート200のインダクタ320,220は、
図2a1と同じ方式で配置される。
図3bの実施形態において、質問器300は別の場所、例えばタイヤ100を有する車両の一部に配置される。この実施形態において、質問器300およびインサート200のインダクタ320,220は、インサートが読み取られる時に
図2a2と同じ方式で配置される。
【0012】
一実施形態において、インサート200は、タイヤのトレッド120が摩耗する際にその容量性コンポーネント210が摩耗するようにタイヤ100に配置される。
【0013】
インサート200は、一次容量性コンポーネント210と一次誘導性コンポーネント220とを包含する。一次容量性コンポーネント210は、電気発振器を形成するように一次誘導性コンポーネントに電気接続される。インサート200はさらに、抵抗性コンポーネント250(例えば
図2fおよび2g)を包含しうる。ゆえに発信器はLCまたはLRC発信器である。好ましくは、インサート200はエネルギー受動的である、つまり化学エネルギーを電気に変換するように構成されるバッテリが不要である。一次誘導性コンポーネント220は磁気エネルギーを電気に変え、LCまたはLCR発振器からそれ自体が周知であるように、一次容量性コンポーネント210に電気が一時的に蓄積される。インサート200の振動周波数および/またはインダクタンスは、一次容量性コンポーネント210のキャパシタンスと一次誘導性コンポーネント220のインダクタンスとに依存する。一般的に、インサートの角共振周波数はω=1/√(L0×c0)と表され、L0は一次誘導性コンポーネント220のインダクタンスであって、c0は一次容量性コンポーネント210のキャパシタンスである。以下に詳述するように、一実施形態において、一次容量性コンポーネント210は使用時に摩耗するように構成され、こうしてキャパシタンスc0が変化する。これは、例えば角共振周波数ωに影響する。これは、特に所定の周波数で、一次誘導性コンポーネント220と二次誘導性コンポーネント320(例えば質問器300の二次誘導性コンポーネント320)の相互インダクタンスにも影響する。このようにして、例えばこれらの量は、一次容量性コンポーネント210がどれほど摩耗したかを示す。しかしながら、他の量も、一次容量性コンポーネント210のキャパシタンスc0に影響しうる。ゆえに、例えば上述した量は、一次容量性コンポーネント210の近くの湿気および/または例えば一次容量性コンポーネント210の二つの電極(214,216)の間の湿気など、一次容量性コンポーネント210のまたは一次容量性コンポーネント210の近くの環境の他のパラメータも示す。
【0014】
一次容量性コンポーネント210は測定中に摩耗する必要はない。例を挙げると、インサートが埋め込まれる環境の湿度を測定することが可能である。周知のように、湿度はコンデンサの誘電率、ゆえにLCインサートの角共振周波数ωにも影響する。付加的または代替的に、一次誘導性コンポーネント220のインダクタンスは、デバイス100の環境および/または使用に影響されうる。例を挙げると、タイヤ100のトレッドブロック110が磁気材料を包含する場合には、トレッドブロック110が摩耗すると一次誘導性コンポーネント220のインダクタンスが変化しうる。付加的または代替的に、インサート200は、他の幾つかの量を測定するための一次センサ装置240(
図2e)を包含しうる。一次センサ装置は、機能にわずかな電気しか必要としない単数または複数のセンサを包含しうる。一次センサ装置240は、例えば圧力センサと湿度センサと温度センサのうち少なくとも一つを包含しうる。
【0015】
付加的に、一次容量性コンポーネント210のキャパシタンスc0は変化する必要はない。
図2fおよび2gを参照すると、一実施形態において、回路は、摩耗するように構成される一次抵抗性コンポーネント250を包含する。回路はさらに、発信器を形成するための一次容量性コンポーネント210を包含する。しかしながら、例えば電気的に並列である幾つかのレジスタを取り除いた結果として、一次抵抗性コンポーネント250の抵抗が変化する、例えば上昇すると、共振周波数では特に、回路の過渡反応が変化する。質問器300によりこれが測定されて、一次抵抗性コンポーネント250の抵抗および/またはインサート200の摩耗が判断される。
【0016】
質問器300は、電源330と通信インサート310と二次誘導性コンポーネント320とを包含する。電源330は、質問器300に電力供給するのに必要である。電源330は例えば、機械および/または化学エネルギーを電気エネルギーに変えるように構成されうる。代替例として、または付加的に、電源は、磁気エネルギーを電気に変換するように構成されるコンポーネントを包含しうる。代替例として、または付加的に、電源は、電気エネルギーをそのまま蓄積する高キャパシタンスコンデンサ(例えばスーパーコンデンサ)を包含しうる。このような高キャパシタンスコンデンサは、磁気または機械エネルギーをそれぞれ電気に変えるコンポーネントで例えば誘導的または機械的に充電されうる。高キャパシタンスコンデンサはここでは、少なくとも1μFのDCキャパシタンスを有するコンデンサを指す。
【0017】
二次誘導性コンポーネント320は、インサート200に質問するのに使用される。ゆえに、二次誘導性コンポーネント320に磁場を形成することにより、磁場は一次誘導性コンポーネント220も貫通し、こうして質問器300とインサート200との相互インダクタンスに影響する。このようにして、インサート200(特に回路290)の相互インダクタンスと角共振周波数(または共振周波数)と帯域とQファクタのうち少なくとも一つが測定されうる。キャパシタンスが変化するように構成される時に、好ましくは相互インダクタンスと角共振周波数(または共振周波数)の少なくとも一方が測定値である。抵抗が変化するように構成される時には、好ましくは帯域とQファクタのうち少なくとも一方が測定される。
【0018】
通信回路310は、測定されたデータをゲートウェイデバイスへ通信するのに使用されうる。通信回路310は、インサートの相互インダクタンスおよび/または共振周波数および/または帯域および/またはQファクタを測定するための制御回路を包含しうる。代替例では、質問器300はこの目的のための独立した制御回路を包含しうる。一実施形態において、質問器300は、[i]二次容量性コンポーネント320とインサート200との相互インダクタンスと、[ii]インサート200のインダクタンスと、[iii]インサート200の振動の共振周波数のうち少なくとも一つを測定するように構成される。一実施形態において、質問器300は、[iv]インサート200の帯域と[v]インサート200のQファクタのうち少なくとも一方を測定するように構成される。
【0019】
図2cおよび2dを参照すると、このような摩耗インジケータ190はトレッド120の摩耗を測定するのに使用されうる。このような摩耗インジケータ190を使用する時に、インサート200は、トレッド120が摩耗する際に一部が摩耗するようにトレッド120に装填される。一実施形態(例えば
図2a1から2e)において、一次容量性コンポーネント210は、トレッド120が摩耗する際に摩耗するように構成される。一実施形態(例えば
図2fおよび2g)において、一次抵抗性コンポーネント250は、トレッド120が摩耗する際に摩耗するように構成される。図示されていない場合でも、一実施形態では、一次容量性コンポーネント210と一次抵抗性コンポーネント250の両方は、トレッド120が摩耗する際に摩耗するように構成される。
【0020】
摩耗コンポーネント(つまり一次容量性コンポーネント210および/または一次抵抗性コンポーネント250)は、適度な量だけ摩耗したトレッドのみの摩耗を測定するだけで充分であるので、未摩耗のトレッド120の表面に達する必要はない。しかしながら、好ましくは、摩耗コンポーネント(例えば一次容量性コンポーネント210)のみが摩耗し一次誘導性コンポーネント220が摩耗しない。それゆえ
図2cおよび2dを参照すると、一実施形態では、トレッド120が摩耗する際に摩耗するように一次容量性コンポーネント210が構成されるようにして、インサート200がタイヤ100に配置される。また、一次容量性コンポーネント210の少なくとも一部は、トレッドブロック110の内側で本体の第1表面から第1距離d1だけ離間して配置される。さらに、一次誘導性コンポーネント220の少なくとも一部は、トレッドブロック110の内側でトレッド120から第2距離d2だけ離間して配置される。タイヤ100では、第2距離d2は好ましくは第1距離d1より大きい。このようにして、トレッド120が摩耗する際には、一次誘導性コンポーネント220が摩耗し始める前に一次容量性コンポーネント210が摩耗し始める。好ましくは、通常使用時に一次誘導性コンポーネント220が摩耗しないようにインサート200が配置される。
【0021】
一次誘導性コンポーネント220ではなく一次抵抗性コンポーネント250が摩耗する実施形態では、トレッド120が摩耗する際に摩耗するように一次抵抗性コンポーネント250が構成されるようにして、インサート200がタイヤ100に配置される。この実施形態では、一次抵抗性コンポーネント250の少なくとも一部は、トレッドブロック110の内側で本体の第1表面から第4距離d4だけ離間して配置される。さらに、一次誘導性コンポーネント220の少なくとも一部は、トレッドブロック110の内側でトレッド120から第2距離d2だけ離間して配置される。このようなタイヤ100では、第2距離d2が好ましくは第4距離d4より大きい。概して、第2距離d2は、摩耗コンポーネント(210,250)の少なくとも一部が配置される距離(d1,d4)より好ましくは大きい。このように、トレッド120が摩耗すると、摩耗コンポーネント(つまり一次容量性コンポーネント210および/または一次抵抗性コンポーネント250)は、一次誘導性コンポーネント220が摩耗し始める前に摩耗し始める。好ましくは、通常使用時には一次誘導性コンポーネント220が摩耗しないようにインサート200が配置される。
【0022】
また、上記のように、他の幾つかの実施形態では、例えばインサート200が湿度センサとしてのみ機能するケースでは、インサートのいかなる部分も摩耗する必要がないため、第2距離d2は第1距離d1(任意で第4距離d4)より小さくてもよい。
【0023】
図2a1および3aを参照すると、一実施形態において、タイヤ100は質問器300を包含する。このような実施形態では、トレッド120について一次誘導性コンポーネント220と同じ側に二次誘導性コンポーネント320が配置されるように、質問器300がインサート200に対して配置される。二次誘導性コンポーネント320は、タイヤ100の内側またはタイヤ100の別の表面に配置されうる。また、二次誘導性コンポーネント320の少なくとも一部はトレッド120から第3距離d3だけ離間して配置され、第3距離d3は第2距離d2より大きい。これは、一次誘導性コンポーネント220が(摩耗するとして)摩耗し始めるまで二次誘導性コンポーネントも摩耗しないという効果を有する。これはさらに、このような設置が一次誘導性コンポーネント220と二次誘導性コンポーネント320との間の磁気結合を向上させるという効果を有する。
【0024】
図3aを参照すると、好適な実施形態において、質問器300はタイヤ100の第2表面130に配置され、第2表面130はトレッド120と反対である。第2表面は、タイヤ100により画定される空洞の表面でありうる。例を挙げると、第2表面130は空気タイヤ100の内部の表面でありうる。特に、質問器300が空気タイヤの内側に配置される時には、他の量、例えば圧力および/または温度を測定するのにも質問器が使用されうる。このような目的のため、一実施形態において、質問器300は二次センサ装置340を包含する。このような二次センサ装置340は、質問器300が所在する環境を測定するように構成される単数または複数のセンサを包含する。二次センサ装置340は、例えば温度センサと圧力センサと加速度センサのうち少なくとも一つを包含しうる。
【0025】
図4aを参照すると、概して、摩耗の量は記号wを用いて言及される。
図4aには二つの摩耗値w1およびw2が記されている。
図4aにおいて、摩耗値w1は
図4aのトレッド120の摩耗値w1を指している。例を挙げると、
図4aでトレッド120は例えば未摩耗であって、摩耗値w1は例えばゼロでありうる。
【0026】
図4bは、トレッド120が或る量だけ摩耗した後の
図4aのトレッド120を示す。
図4bの摩耗値はw2に相当する。ゆえに、
図4aと4bの間でトレッド120はw2−w1の量だけ摩耗している。
【0027】
一次容量性コンポーネント210および/または一次抵抗性コンポーネント250はトレッド120と同じ量だけ摩耗するように構成されるので、好ましくは、インサート200は、トレッドブロック110と最大でも同じ程度まで摩耗に耐える。言い換えると、好ましくは、一次容量性コンポーネント210とインサート200の上部の材料は、トレッドブロック110のトレッド材料と最大でも同じ程度の摩耗に耐えるのである。インサート200の上部は、インサート200の上部204を包含する(例えば
図5参照)。これは、一次容量性コンポーネント210が使用時に、少なくとも、一次容量性コンポーネント210が摩耗し始める限界までトレッド120が摩耗した時にトレッド120と同じ量だけ摩耗することを保証する。幾つかのポリマー、特にポリアミドはトレッドブロック110と実質的に同じ程度に摩耗に耐えることが分かっている。インサート200の摩耗は、ガラス繊維、アラミド繊維、または炭素繊維などの補強材料を使用することにより影響されうる。一実施形態において、インサートはポリマーを包含する。一実施形態において、インサートは、ポリマーと、ガラス繊維、アラミド繊維、または炭素繊維などの繊維材料とを包含する。一実施形態において、インサートはポリアミドを包含する。一実施形態において、インサートは、ポリアミドと、ガラス繊維、アラミド繊維、または炭素繊維などの繊維材料とを包含する。
【0028】
図7a,7b,9a,9b,9c,9d,10に示されているように、一次容量性コンポーネント210はコンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4を包含しうる。付加的または代替的に、一次容量性コンポーネント210は、キャパシタンスを形成するように構成されるとともに、インサート200が摩耗する際に摩耗するように構成される第1電極214と第2電極216とを包含しうる。幾つかの例示的な電極構成は、参照により本願に援用される欧州特許出願第17397517.8号に示されている。また、同出願に記されているように、好ましくは、
‐第1摩耗値w1について、摩耗wに関する一次容量性コンポーネント210のキャパシタンスc0の微分係数が第1キャパシタンス変化値dc0/dw|w1を有し、
‐第2摩耗値w2について、摩耗wに関する一次容量性コンポーネント210のキャパシタンスc0の微分係数が第2キャパシタンス変化値dc0/dw|w2を有し、
‐第1キャパシタンス変化値dc0/dw|w1が第2キャパシタンス変化値dc0/dw|w2と異なる、
ように、一次容量性コンポーネント210が構成される。
好ましくは、
‐第1摩耗値w1は第2摩耗値w2より小さく、
‐第1キャパシタンス変化値dc0/dw|w1の絶対値は第2キャパシタンス変化値dc0/dw|w2の絶対値より大きい。
【0029】
上述した欧州特許出願第17397517.8号には、コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4および/または電極214,216による好ましい構成の例が図示されている。例えば、本出願の
図7aを参照すると、トレッド120に近いコンデンサ210
1がトレッド120からさらに離間したコンデンサ210
2より大きいキャパシタンスを有する時に、このような効果が達成されうる。
【0030】
背景に記されているように、このようなタイプの測定に関わる一つの問題は、確実な方式でのタイヤ100へのインサート200の装着である。原則として、確実な装着はタイヤ100の加硫中に行われうる。しかしながら、これは生産ラインの数を二倍にし(つまりこのようなインサートを含まないタイヤのラインが一つとインサートを含む別のライン)、これは物流の観点から見て製造プロセスを複雑にするだろう。別の手法は、フランジを有するインサートを生産して、フランジがタイヤの内側に残るように内側からタイヤ100へインサートを挿入することであろう。しかしながら、タイヤが摩耗すると、このようなインサートがタイヤを貫き、これはガス漏出問題を起こすことになる。
【0031】
タイヤ100のブラインドホール112へインサート200が挿入されることは具現されている。また、ブラインドホール112の幅が、ホール112の上部よりもホール112の底部近くで大きい場合に、類似の形状を有するインサートがブラインドホール112に確実に残る。このようなブラインドホール112は、例えばタイヤ100の加硫中にモールドを使用することによりタイヤに設けられうる。
【0032】
図11aおよび11bを参照すると、この方法の実施形態は、上記のようにインサート200を効果的に配置することを包含する。対応して、インサートは、インサート200の上部204から第1二次距離di1だけ離間して少なくとも一部が配置される一次容量性コンポーネント210と、インサート200の上部204から第2二次距離di2だけ離間して少なくとも一部が配置される一次誘導性コンポーネント220など、摩耗コンポーネント210,250を包含する。一実施形態において、一次容量性コンポーネント210が摩耗するように構成されると、第2二次距離di2は第1二次距離di1より大きい。インサート200は、インサートの底部202からインサートの上部204まで長手方向z200に延在する。また、ブラインドホール112の拡開形状とのインサート200の機械的係止を行うため、インサート200は、底部202から第1長手位置r1にある第1断面A1と、底部202から第2長手位置r2にある第2断面A2とを有し、第1長手位置r1は第2長手位置r2よりも上部204の近くに配置されて、第2断面A2は第1断面A1より大きい。ここでこれらの断面A1およびA2は、長手方向z200に平行な法線を有する平面上に規定される。図に示されていない場合でも、
図2fおよび2gを参照すると、代替的または付加的に、インサート200は一次抵抗性コンポーネント250を包含し、その少なくとも一部がインサート200の上部204から第1二次距離di1だけ離間して配置される。第2断面A2の面積は、第1断面A1の面積より、例えば少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、または少なくとも100%大きい。ゆえに第2断面A2の面積と第1断面A1の面積との比は、例えば、1.25から7など、1.5から5など、2から4など、1.1から10でありうる。
【0033】
また、この方法は、インサート200が挿入されるタイヤ100を効果的に配置することを包含する。上記のように、タイヤ100にはブラインドホール112が配置されている。この方法で、タイヤはブラインドホール112を包含して、このブラインドホール112が第1奥行de1での第1断面C1と、第2奥行de2での第2断面C2とを有し、第2断面C2は第1断面C1より大きく、第2奥行de2は第1奥行de1より大きい。これは、インサート200とブラインドホール112との形状ロック作用によりインサート200が所定箇所に保持されるという効果を有する。一実施形態において、インサート200の第2断面A2はブラインドホール112の第1断面C1より大きいことにも注意すること。さらに、ブラインドホール112がトレッドブロック110において底部112aから開口部112bまで長手方向z200に延在するように、ブラインドホール112が形成される。長手方向z200は、ブラインドホール112の箇所でのタイヤの径方向SR(
図11a)と平行であるか、ブラインドホール112の箇所でのタイヤの径方向SRと最大75度の角度α(
図6参照)を形成する。上述したトレッドブロック110の開口部112bは、ブラインドホール112の上部であると考えられうる。断面C1およびC2は、長手方向z200に平行な法線を有する平面により規定される。インサート200の第1および第2断面A1およびA2の相互に対するサイズについて述べたことは、ブラインドホール112の第1および第2断面C1およびC2に適用される。
【0034】
また、インサート200の底部202がインサート200の上部204よりもブラインドホール112の奥深くに挿入されるように、インサート200がブラインドホール112へ挿入される。このように形成されたタイヤ100の一例が
図7bに示されている。インサート200がブラインドホール112へ挿入される間に、小さい断面C1を有するブラインドホール112の一部は拡開される必要があることにも注意すること。トレッドブロック110の材料は充分な弾性を備えるので、適当なジョーなどでこれが行われうる。ゆえに一実施形態において、トレッドブロック110は弾性のトレッド材料で製作される。一実施形態で、トレッド材料は23℃の温度で50ShAから80ShAのショア硬度を有する。ShAの単位は、ASTM規格D2240‐00に定義されているように「A」タイプのデュロメータによる硬度試験を指す。少なくとも、この範囲のショア硬度を有するトレッドブロック110は、上述した手法で拡開されうる。
【0035】
インサート200をブラインドホール112へ押入するのが困難なケースでは、インサートをブラインドホールへ押入する前に、適当な摩擦低減化合物をインサート200またはブラインドホール112に塗布することにより、プロセスが容易になりうる。適当な摩擦低減化合物はオイル、グリース、石鹸を含む。
【0036】
インサート200とトレッドブロック110との間に接着剤114を塗布することにより、接着が向上しうる。
【0037】
対応して、ブラインドホール112は少なくとも一部がインサート200で占められる。
図3a,3b,5,6,7a,7b,8は、この方法により製作されたタイヤ100の一部を示す。
【0038】
特に
図3aおよび5を参照すると、このようなタイヤ100は、トレッド材料で製作されるトレッドブロック110と、トレッドブロック110により一部が形成されるトレッド120とを包含する。トレッド120は、タイヤ100が使用される時に、表面900との接触状態を形成するように構成される。タイヤ100はさらにインサート200を包含する。上記のように、インサート200は一次容量性コンポーネント210と一次誘導性コンポーネント220とを包含する。一実施形態において、一次容量性コンポーネント210などの摩耗コンポーネント(210,250)の少なくとも一部は、トレッドブロック110の内側においてトレッド120から第1距離d1(または第4距離d4)だけ離間して配置される。付加的に、一次誘導性コンポーネント220の少なくとも一部は、トレッド120からタイヤ100の内部へ第2距離d2に配置される。インサート200は、インサートの底部202からインサートの上部204まで長手方向z200に延在する。一実施形態において、長手方向z200は、インサート200の箇所でのタイヤの径方向SRに平行である(例えば
図5参照)。一実施形態において、長手方向z200は、インサート200の箇所でのタイヤの径方向SRと最大75度の角度αを形成する(
図6参照)。
【0039】
形状ロック作用を持つために、インサート200は、第1長手位置r1の第1断面A1と第2長手位置r2の第2断面A2とを有する。第1長手位置r1は第2長手位置r2よりもタイヤ100のトレッド120の近くに配置され、第2断面A2は第1断面A1より大きい。
【0040】
また、(タイヤ100の内側ではなく)トレッド120に配置されるブラインドホール112へ挿入されているため、インサート200の上部204の少なくとも一部がトレッドブロック110のトレッド材料との境界面を形成しない。インサートの上部204は、トレッド120と同一平面でありうる。ゆえに、インサート200の上部204はトレッド120と同じレベルに配置されうる。しかしながら、インサート200の上部204に空きスペースが残るように、ブラインドホール112の奥深くにインサート200が配置されてもよい(および/またはボデー205を短くしてもよい)。付加的に、空きスペースには何らかの材料が充填されうる。
【0041】
インサートの上部204がトレッド120と同一平面である時には、上述した第1距離d1が第1二次距離di1と等しく、第2距離d2が第2二次距離di2と等しい。しかしながら、上記のように、インサートの上部204がトレッド120と同一平面である必要はない。
【0042】
インサート200がブラインドホール112へ挿入されているので、一実施形態では、トレッドブロック110に配置されるブラインドホール112がタイヤ100に画定される。また、インサート200の少なくとも一部はブラインドホール112に配置されている。そして観察時には、インサート200の少なくとも一部がブラインドホール112にある。好ましくは、インサート200がトレッドから突出しない。ゆえに一実施形態で、インサート200の全体がブラインドホール112に配置されて、観察時にはインサート200全体がブラインドホール112にある。
【0043】
また、この方法で接着剤114が使用される場合に、タイヤ100は、インサート200とトレッドブロック110との間に接着剤114を包含する。
【0044】
一実施形態では、一次誘導性コンポーネント220より前に一次容量性コンポーネント210が摩耗するように構成され、第1距離d1は第2距離d2より小さい。
【0045】
一般的に、タイヤ100は補強ベルト150を包含し、その目的はタイヤ100を補強することである。補強ベルト150は、タイヤ100の内側に配置されるワイヤメッシュまたはベルトでありうる。補強ベルト150の目的はタイヤを補強することであるので、好ましくは、補強ベルト150は大きな開口部を画定しない。ゆえに好ましくは、ブラインドホール112は補強ベルト150を貫通しない。このようなケースにおいて、タイヤ100では、インサート200(つまりインサート200全体)が補強ベルト150の外側に残る。より正確に記すと、好ましくは、補強ベルト150は少なくとも0.5cm
2の面積を有する開口部を画定しない。一実施形態において、第1補強構造150の一部は一次誘導性コンポーネント220と二次誘導性コンポーネント320との間に配置される。
【0046】
第1補強ベルト150は金属を包含しうる。第1補強ベルト150は鋼を包含しうるか鋼から成る。第1補強構造150は鋼メッシュを包含しうる。付加的または代替的に、第1補強ベルト150は繊維材料を包含しうる。第1補強ベルト150の繊維材料は、コットン、レーヨン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリエチレン・テレフタレート、ポリパラフェニレン・テレフタルアミド(ケブラー)のうち少なくとも一つを包含しうる。
【0047】
図3aおよび3bを参照すると、一実施形態において、タイヤは層155を包含する。また層155の一部は一次誘導性コンポーネント220と二次誘導性コンポーネント320との間に配置されうる。層155は繊維材料を包含しうる。第2補強構造155の繊維材料は、コットン、レーヨン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリエチレン・テレフタレート、ポリパラフェニレン・テレフタルアミド(ケブラー)のうち少なくとも一つを包含しうる。層155の目的は、タイヤ100を補強することでもある。一実施形態において、インサート200(つまりインサート200全体)は層155の外側に残される。一実施形態において、インサート200(つまりインサート200全体)は、補強ベルト150および層155の外側に残される。
【0048】
インサートがこのような形状を有すると、一次誘導性コンポーネント220をインサート200が包含することで相乗効果も見られる。一次誘導性コンポーネント220の断面積が大きくなると、一次誘導性コンポーネント220と二次誘導性コンポーネント320との間の磁気結合が強力になることに注目されている。また、形状ロック作用のため、箇所r2(上記参照)では、インサート200の断面A2は大きい。ゆえに、正確にこの箇所に有効スペースがあるので、一次誘導性コンポーネント220がこのような箇所に設置されうることが分かっている。それゆえ、一実施形態において、平面Pmax(
図7a参照)は一次誘導性コンポーネント220と交差する。平面Pmaxは、インサート200の長手方向z200に平行なその法線とこの平面の点r2とにより画定される、つまり平面Pmaxは第2長手位置r2にある。第2長手位置r2は広い断面A2の位置である。好ましくは、
図7aに記されているように、広い断面A2は最大断面Amaxでもある。しかしながら、少なくとも原則として、一次誘導性コンポーネント220の一部は、
図5に対応する断面A2のレベルに配置されうる。それにもかかわらず、一次誘導性コンポーネント220の断面積が好ましくは最大化されるので、これは好ましくない。広い断面A2が最大断面Amaxでもある時に、箇所r2はインサート200の最大断面の箇所でもある。
【0049】
図7aを参照すると、好ましくは、インサート200は、ボデー205と、インサート200の長手方向z200に垂直な少なくとも二つの方向にボデー205から延出するフランジ207とを包含する。例を挙げると、フランジ207は、長手方向z200に垂直なすべての方向にボデー205から延在しうる。好ましくはボデー205の断面が円形である。一実施形態において、フランジ207の断面は円形である。これらの断面は、長手方向z200に平行な法線を有する平面にも規定される。
【0050】
インサート200がフランジ207を包含する時には、好ましくは一次誘導性コンポーネント220の少なくとも一部がフランジ207に配置される。このような実施形態は、
図7a,7b,8,9a,9b,9c,9dに描かれている。インサート200がフランジ207を有する時には、好ましくは一次容量性コンポーネント210の少なくとも一部がフランジ207の長手位置に配置される。このような実施形態は
図7a,7b,8,9a,9b,9c,9dに描かれている。インサート200がフランジ207を包含する時には、好ましくは一次容量性コンポーネント210の少なくとも一部がフランジ207に配置される。このような実施形態は
図9b,9c,9dに描かれており、フランジ207に回路基板230が配置され、回路基板230は一次容量性コンポーネント210の一部を構成する。
【0051】
図8および9bを参照すると、一実施形態において、一次容量性コンポーネント210は、タイヤ100のトレッド120とともに摩耗するように構成される導電性要素を包含する。このような導電性要素はコンデンサの電極でありうる。代替的または付加的に、導電性要素は、摩耗するように構成されるワイヤ212でありうる。
【0052】
図8の実施形態において、一次容量性コンポーネント210は、一緒にコンデンサを形成する第1電極214と第2電極216とを包含する。第1電極214と第2電極の両方は、タイヤ100のトレッド120とともに摩耗するように構成される導電性要素の例である。電極214,216が摩耗すると、一次容量性コンポーネント210のキャパシタンスc0が減少する。電極構成のさらなる詳細は、例えば欧州特許出願第17397517.8号に挙げられている。
【0053】
図9bの実施形態において、一次容量性コンポーネント210は配線212(つまりワイヤ212)を包含する。このような配線は、タイヤ100のトレッド120とともに摩耗するように構成される導電性要素の別の例である。
図9bに記されているように、配線212がコンデンサの第1側に接続されて第2配線213がコンデンサの第2側に接続されるように、コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4が並列に電気接続される。また、
図9bに記されているように、インサート200が摩耗すると、配線212の一部も摩耗し、すべてのコンデンサが電気的に並列ではなくなる。例を挙げると、
図9bのインサート200が上部から摩耗すると、最初に第1コンデンサ210
1の第1側が他のコンデンサから電気的に絶縁される。次に、第2コンデンサ210
2の第1側が他のコンデンサから電気的に絶縁される等である。このようにして、インサートが摩耗すると、キャパシタンスc0が減少する。ゆえに、一実施形態において、一次容量性コンポーネント210は、コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4を並列に電気接続するワイヤ212を包含する。ワイヤ212の少なくとも幾つかは、タイヤ100とともに摩耗するように構成される。ワイヤ212が摩耗すると、少なくとも二つのコンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4の間の電気接続が切断される。これは一次容量性コンポーネント210のキャパシタンスc0を変化させる。
図9cを参照すると、ワイヤ212は回路基板230,235に配置されうる。コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4が第1回路基板230に配置されるケースでは、配線は第1回路基板230の中または上、あるいは第2回路基板235の中または上に配置されうる(が、配置される必要はない)。コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4は個別のコンデンサつまり電子コンポーネントでありうる。
【0054】
図9eを参照すると、一実施形態において、一次抵抗性コンポーネント250はレジスタ250
1,250
2,250
3,250
4を包含する。レジスタは、コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4について上で詳述したように、ワイヤ212,213と並列に電気接続されうる。ゆえに、インサート200が摩耗すると、配線212が切断されて一次抵抗性コンポーネント250の抵抗上昇につながる。
図2gに記されているように、代替例では、インサート200が摩耗するとレジスタ自体が摩耗しうる。
【0055】
図7bおよび9aを参照すると、一実施形態において、一次容量性コンポーネント210は、タイヤ100のトレッド120とともに摩耗するように構成されるコンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4を包含する。コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4は個別コンデンサつまり電子コンポーネントでありうる。
図7bおよび9aに記されているように、コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4は並列に電気接続される。インサート200が摩耗すると、最初に第1コンデンサ210
1が摩耗し、こうしてキャパシタンスが減少する。次に、第2コンデンサ210
2が摩耗し、こうしてキャパシタンスがさらに減少する等である。
図9aに記されているように、コンデンサは回路基板230に配置されうる。
図7bに記されているように、コンデンサが回路基板に配置される必要はない
【0056】
図9aから9cを参照すると、一実施形態において、インサート200は第1回路基板230と、第1回路基板230に装着されるコンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4とを包含する。上記のように、コンデンサ210
1,210
2,210
3,210
4は並列に電気接続されうる。好ましくは、第1回路基板は可撓性回路基板である。これはインサート200の製造に役立つ。
図7a,7b,9a,9b,9c,9dがコンデンサ210
N(N=1,2,3,4)を4個のみ示している場合でも、一次容量性コンポーネント210に包含されるコンデンサの数は、必要に応じて自由に選択されうる。例を挙げると、一次容量性コンポーネント210に包含されるコンデンサ210
Nの数は、ちょうど2個、少なくとも2個、ちょうど3個、少なくとも3個、ちょうど4個、少なくとも4個、ちょうど5個、少なくとも5個、ちょうど6個、少なくとも6個、または6個超でありうる。コンデンサのための有効スペースが制限されうるため、コンデンサ210
Nの数は例えば5000より少ない。
【0057】
可撓性回路基板は、ポリエチレン・テレフタレート、ポリイミド、ポリエチレン・ナフタレート、ポリエーテルエーテルケトンのうち一つを包含しうる。
【0058】
一次誘導性コンポーネント220と二次誘導性コンポーネント320との間の磁気結合は充分に高くすべきである。これは、例えば一次誘導性コンポーネント220の構造に影響を受けうる。一次誘導性コンポーネント220は一次コイル222を包含しうる。一次コイル222は、配線により電気ワイヤから形成されている。一次コイル222は、回路基板の配線として形成されうる。一般的に、巻きコイル222を設けることにより高インダクタンスが達成可能である。一次コイル222のタイプに関係なく、一次コイル222は例えば少なくとも10の巻き数を包含しうる。
【0059】
図8を参照すると、一次コア224および/または一次プレート225を使用することによっても磁気結合が向上されうる。
図8は、一次コア224と一次プレート225の両方を有する実施形態を示す。実施形態は、これらの一つのみを包含する。[i]一次コア224、[ii]一次プレート225、または[iii]一次コア224および一次プレート225は常磁性または強磁性の材料を包含する。一次コイル222が一次コア224を側方から囲繞するように一次コイル224が配置される。一次コイルにより形成可能な磁場が一次プレート225を貫通するように、一次プレート225が配置される。例えば、一次コイル222の巻線が巻かれる一次コイル222の中心軸線は、一次プレート225を貫通する。一次プレート225と一次コイル222との間の距離は小さく、例えば最大10mmまたは最大5mmである。また、一次プレート225と質問器300の二次誘導性コンポーネント320との間に一次コイル222の少なくとも一部が残るような一次コイル222の側に、一次プレート225が配置される。対応して、
図8の実施形態では、質問器300は使用時に、
図2a1に記されているように、つまり補強ベルト150の側に配置されるだろう。こうして、一次コア224および/または一次プレート225が一次コイル222との磁気接続状態で配置される。これは一次コイル222のインダクタンスを増加させて誘導性コンポーネント220,320の間の磁気結合を向上させる。
【0060】
図10は、インサート200の好ましい測定値を示す。このような測定値は、乗用車のためのインサート200には特に適用可能である。重量のあるタイヤつまりブルドーザマシンなどの大型車両のためのタイヤは、より大きなインサートを有しうる。
【0061】
図10は、長手方向z200に垂直な方向における一次誘導性コンポーネント220の寸法d220を示す。寸法d220は例えば一次コイル222の直径である。寸法d220は例えば一次コイル222の対角線の長さでありうる。一実施形態において、一次誘導性コンポーネント220の寸法d220は、5mmから50mmなど、少なくとも5mmである。この寸法は、誘導性コンポーネント220,320の間の磁気結合から見て適正であることが分かっている。好ましくは、寸法d220は5mmから15mmである。これは例えば乗用車タイヤに適用される。大型機械用のタイヤでは寸法は大きくなりうる。
【0062】
図10は、長手方向z200に平行な方向における一次容量性コンポーネント210の寸法d210を示す。寸法d210は例えば、ボデー205(
図7a参照)の長さに実質的に等しい。一実施形態において、一次容量性コンポーネント210の寸法d210は少なくとも3mmである。この寸法は、一次容量性コンポーネント210が摩耗するように構成される時には特に適切である。このケースでは、3mmの長さについて摩耗値が検出されうるだろう。例を挙げると、インサート200は未摩耗タイヤ100の比較的奥深くに配置され、このようなインサートであれば、最後の3mmの摩耗のみを測定しうるだろう(タイヤ100が完全に摩耗する前の最後)。しかしながら、好ましくは、タイヤ100の寿命にわたって摩耗が測定されうるように、一次容量性コンポーネント210の寸法d210は大きい。それゆえ、一実施形態において、一次容量性コンポーネント210の寸法d210は少なくとも6mmであるか少なくとも8mmである。しかしながら、大きすぎる場合には、インサート200はタイヤ100の特性に影響しうる。それゆえ、一実施形態において、一次容量性コンポーネント210の寸法d210は3mmから100mmである。しかしながら、好ましくは、インサートは補強ベルト150を貫通しない。ゆえに、乗用車タイヤでは、寸法d210は例えば、6mmから15mmなど、3mmから25mmでありうる。
【0063】
図12aから12cを参照すると、例えば、インサート200の電子機器を包含する回路290がインサート200のシェル295から独立して製作されるようにインサート200が設けられうる。対応して、回路290は少なくとも一次容量性コンポーネント210と一次誘導性コンポーネント220とを包含する。回路290はさらに、一次抵抗性コンポーネント250、少なくとも回路基板(230,235)、および/または一次センサ装置240を包含しうる。シェル295は、上記のような外側形状と、回路290を収容するのに適した内側形状とを有する中空の物体でありうる。回路290をシェル295へ挿入することにより、インサート200が製造されうる。ゆえに、一実施形態では、インサート200は回路290とシェル295とを包含する。シェル295は、少なくとも側方に、つまり長手方向z200に垂直な方向(例えば径方向)に、回路を囲繞しうる。回路290をシェル295へ挿入した後に、ポリマーを形成するように硬化が可能な材料がシェルに充填されうる。インサート200の材料について述べたことは、シェル295の材料および/または(あれば)シェル295の充填に使用される材料に適用される。
【0064】
一実施形態において、シェル295は、シェル295へ挿入されると回路290を所定箇所に係止するように構成される係止部296を包含する。係止部296の形状は、例えば一次誘導性コンポーネント220の形状に適応しうる。
【0065】
一実施形態において、シェル295(または独立したシェル295を包含しない場合にはインサート200)には、尖鋭な角部は設けられない。この文脈で、1mm未満の曲率半径を有する場合に、角部は尖鋭である。ゆえに、一実施形態において、シェル295(または独立したシェル295を包含しない場合にはインサート200)はこのような角部のみを包含し、その曲率半径は少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mmである。このようなインサートは、尖鋭な角部を備えるインサートほどタイヤを削らない。