【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は本発明により、ガスタービンのロータとハウジングとの間の調整可能なギャップのギャップ最小化を制御する方法によって解決され、このガスタービンは、特に油圧式の、ギャップ調整装置を備えており、
シミュレーションプログラムを用いて、複数の異なるパラメータ設定下でのガスタービンの運転が図式化され、ギャップ寸法の運転パラメータ依存性を含むシミュレーションデータセットが作成されるステップと、
上記シミュレーションデータセットに基づいて、当該運転パラメータに対する下限閾値および上限閾値が定められるステップと、
さらに、下限閾値と上限閾値との間の移行領域に対して、シミュレーションデータセットから運転パラメータと運転パラメータの最大値との相関が抽出されるステップと、
ガスタービンの運転中に運転パラメータの実際値が連続的に検出されて、下限閾値および上限閾値と比較されるステップと、
予め決められた期間にわたって実際値の最大値が決定されるステップと、
を含み、この実際値と下限閾値および上限閾値とを比較するステップにおいて、
この実際値が下限閾値より小さい場合には、ギャップ最小化が不作動とされ、
この実際値が上限閾値より大きい場合には、ギャップ最小化が作動され、
移行領域内にある場合には、前記予め決められた期間における最大値を用いて上記相関を利用して、その運転パラメータに対する境界値が決定され、実際値がこの境界値より大きい場合にはギャップ最小化が作動され、実際値がこの境界値より小さい場合にはギャップ最小化が不作動とされる。
【0011】
この課題は、さらに本発明によれば、本方法を実行するための制御装置によって解決され、この制御装置は、特に油圧式の、ギャップ調整装置、および、運転パラメータの実際値を検出するための手段を備えている。運転パラメータの実際値を検出するためのこれらの手段は、運転パラメータに応じて、直接測定のための複数のセンサであってもよく、または代替的に、運転パラメータと相関のある別の量を直接測定して、このベースに基づいて運転パラメータを計算により間接的に決定することができる。
【0012】
本課題は、本発明によれば最終的に、このような制御装置を備えたガスタービンによって解決される。
【0013】
本方法に関連して以下に挙げる利点及び好ましい構成は、制御装置およびガスタービンに適用することができる。
【0014】
ギャップ最小化とは、ここでは、流れ方向とは逆向きのガスタービンロータの軸方向の移動を意味し、この移動は、ロータとハウジングとの間のギャップを調整するための特に油圧式手段を用いて行われる。以下の本文では、HCOという概念はギャップ最小化という概念と同等である。この場合、ギャップ最小化すなわちHCO機能は、作動される(ロータがハウジングに向けてシフトされる)、または、不作動とされることができる。
【0015】
「作動される」または「不作動とされる」は、単にHCOのオンまたはオフを意味するだけでなく、ギャップ最小化がすでに作動されている場合には、「作動される」は「作動されたままである」と等しいことを意味する。同じことが、既にオフされているギャップ最小化にも当てはまり、この場合、「不作動とされる」とは、「不作動とされたままである」ことも意味する。
【0016】
本発明は、簡単かつ堅牢であるが、ギャップ最適化をオンにした運転状態での危険を最小限に抑えることができる新しいHCOロジックを提供するという考えに基づいている。この目的のために計算機シミュレーションを用いて過渡的操作について多数の調査が行われ、これが改良HCOロジックの基礎を形成している。
【0017】
最適化されたギャップ調整のために1つの運転パラメータが使用され、これを用いてガスタービンの運転状態が把握される。この運転パラメータとしては、例えば、ガスタービンの出力、正規化された相対出力、主ガスチャネルに沿った温度もしくは圧力、または、温度圧力比も使用することができる。この場合、この運転パラメータは負荷変化に反応するように選択されている。
【0018】
シミュレーションプログラムを用いた計算機シミュレーションは特に運転外で、例えばガスタービンの開発段階で行われる。ここでは、シミュレーションプログラムはガスタービンのいわゆるデジタルツインを意味する。このシミュレーションプログラムまたはシミュレーションモデルにより、様々なパラメータ設定下でのタービン状態をより正確に概観することができる。このようにして、ガスタービンを最適に運転するために、適用シナリオにより良く整合する運転パラメータを決定することができる。具体的には、ロータとハウジングとの間のギャップに関連したガスタービンの挙動を、運転パラメータを連続的に変化させて調査する。
【0019】
次いで、このシミュレーションプログラムによって生成されたシミュレーションデータセットは、HCOの最適な使用、この最適使用時には許容できるギャップ損失でHCOができるだけ長時間作動されること、が可能となるように、上限閾値および下限閾値を選択する役割を果たす。この場合のシミュレーションの評価のための本質的な特徴は、一つの操作といえどもギャップを「破壊」しないことを確実にするために、様々な操作での最も狭いギャップをできるだけ等しくすることである。
【0020】
これまでの解析から得られた一つの知見は、一過性のギャップ減少をもたらし、その結果、これに伴ってHCO不作動を生じさせるのは、複数回の特に大きな負荷低下である、ということである。したがって、負荷跳躍以前における運転パラメータの最大値を考慮する必要がある。というのは、運転パラメータの最大値がHCO作動化のための境界をシフトするからである。この理由から、運転パラメータの最大値の展開と運転パラメータの展開との相関がシミュレーションデータセットから抽出される。この解析の結果は、例えば、とりわけ直線状の、凸状の、または、凹状の依存性を示す関数として、出力することができる。
【0021】
ガスタービンの運転中に運転パラメータの実際値は連続的に検出され、この場合、「連続的」は、連続的な、中断されない、直接的な測定、または、これらの測定データからの計算だけでなく、短い時間間隔内での直接的な測定、または、これらの測定データからの計算も含む。その時点で検出された実際値は下限閾値および上限閾値と比較され、その実際値の進行は少なくとも3つの運転モードまたは領域、すなわち、下方領域、中間移行領域、および上方領域に分割される。
【0022】
これに加えて、直近の期間にわたって実際値の最大値が検出される。この最大値に基づいて、シミュレーション結果からの相関を用いて、境界値が決定され、次にこの境界値が、実際値が下限閾値と上限閾値との間の移行領域内にある場合に使用される。
【0023】
低負荷領域ではガスタービンは汚染物質排出と低効率のために、たとえ運転するとしても、ごく短時間しか運転されない。したがって、この負荷領域での効率は、マシンの運転サイクル全体の効率には無視できるほどしか寄与しない。この点で、この厄介な状況ではHCOを作動させる必要はない。この理由から運転パラメータの下限閾値が定義される。従って、この下方領域、つまり下限閾値より下では、ギャップ最小化がまだオンされていなかった場合、または、すでにオフになっていた場合には、ギャップ最小化は不作動とされるか、または、不作動のままとされる。
【0024】
実施した解析は、HCOが通常はオンされているガスタービンの高負荷領域では、負荷変動があってもこのHCOをアップデートまたは適合させる必要がないことを示している。低負荷領域からの起動もギャップ最小化の使用にとっては問題ではない。この目的のために、その運転パラメータに対する上限閾値が定義される。したがって、上限閾値を超える上方領域ではギャップ最小化が作動されるか、または、ギャップ最小化がすでにオンされていた場合にはギャップ最小化は作動されたままである。
【0025】
下限閾値と上限閾値の間の移行領域では、運転パラメータの実際値と直近の過去での運転パラメータ最大値との相関が考慮される。下限閾値と上限閾値との間の移行領域では、予め定義された期間内のガスタービンの挙動に応じて、HCO機能が作動されるか、または、不作動とされる。このために、最大値に依存する、運転パラメータの境界値が必要となる。実際値がこの境界値より上にある場合、すなわち、境界値と上限閾値の間にある場合には、ギャップ最小化が作動されるか、または、作動されたままである。しかしながら、実際値が境界値を下回る場合、すなわち、下限閾値と境界値との間にある場合には、ギャップ最適化は不作動とされるか、または、不作動とされたままである。
【0026】
提案したこの方法により、HCO機能の非常に精密な作動が行われ、それによりガスタービンの運転中に多くのHCO作動時間が得られ、このことはガスタービンの効率にプラスの作用をもたらす。この方法により、ガスタービンの運転モード分割の複雑さは、HCOロジックがHCOをオンにするかオフにするかを決定しなければならない3つのケースだけに限定される。さらに、上述のHCOロジックはマシンの挙動とのより良い整合を提供し、実際のギャップ測定には依存しない。
【0027】
本方法の好ましい一実施形態によれば、運転パラメータとして、ガスタービンの定格出力で正規化された相対出力が使用される。この相対出力は絶対出力に直接リンクされており、これはガスタービンの制御において容易に利用可能であり、検出するために追加のハードウェア設備を必要としない。
【0028】
別の好ましい実施形態によれば、上述の期間は、20分〜3時間、特に30分〜90分である。この期間はタービンの応答時間によって決まるので、マシンに依存する。この期間は特にガスタービンの制御において予め与えられる。
【0029】
下限閾値は、相対出力の30%から45%の間にあることが好ましい。つまり、ギャップ最小化は、ガスタービンの定格出力の少なくとも30%に到達した時にはじめてオンになる。この相対出力より低い場合には、HCO機能が継続的に不作動であるように計画されている。
【0030】
また、上限閾値は、相対出力の50%と65%との間にあることが好ましい。遅くともガスタービン定格出力の65%に達するとHCOが作動され、上限閾値より上では継続的に作動されたままである。場合によっては、このことは既にガスタービンの定格出力の50%でも生じ得る。
【0031】
相対出力の低下後、それに続いて相対出力の上昇が生じた場合には、ギャップ最小化は、実際値が境界値を超えると、遅延して作動されることが好ましい。HCOを時間的に遅延して作動することにより、大きな負荷変化に対して急速な操作で対処することが避けられる。この理由から、HCOのもう一つの停止が定義される。これは、HCOの作動を数分から最大30分間ブロックするものである。
【0032】
特に簡単なマシン制御のために、下限閾値と上限閾値との間で最大値に対して複数のレベルが定義され、この場合、当該期間内に最大値が超えた最も高いレベルだけが、ギャップ最小化の作動または不作動のために考慮される。このようにして、最大値が変化するたびにその最大値を連続的に記憶する必要がなくなる。例えば、ガスタービンがより高い出力レベルまで上昇した場合にのみ、ガスタービンがそのレベルを超えて運転されたことが確定される。このような手順は、より長い期間にわたって最大値が一定のままであるので、境界値の決定をさらに簡単にする。
【0033】
境界値と最大値との相関が予め定義されていると好適である。実用上の理由から、最大値と境界値の関係は特にテーブルの形で予め与えられている。このことは、アプリケーションにとって全く十分であり、非常に信頼性が高く、制御可能である。したがって、迅速かつ多大な計算労力をかけずに境界値を決定するためには、運転パラメータの最大値を知りさえすればよい。移行領域が複数のレベルに分割されている場合には、各レベルについて境界値と最大値との相関が予め定義されていることが好ましい。それぞれの相関はテーブルに記録されている。
【0034】
代替の実施形態によれば、境界値と最大値との相関は計算によって決定される。これは、特に、制御に格納された公式に従って行われる。
【0035】
能動的なギャップ最小化を備えたガスタービンの運転において、ギャップ最小化を時間的に最大限に活用して最大効率を達成するためには、ガスタービンが運転されるとすぐに、運転パラメータの実際値の検出から始まるこの方法ステップがガスタービンの運転中に連続的に実施されると有利である。
【0036】
本発明の実施形態を、図面を参照してより詳細に説明する。