【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、冒頭で述べた種類の医療機器において、
医療器具が少なくとも1つの第1の磁気要素を含み、または、これと結合されていること、
操作機構が少なくとも1つの第2の磁気要素を含み、または、これと結合されていること、
前記少なくとも1つの第2の磁気要素が前記操作機構の回転スライダによって受容され、該回転スライダが、前記少なくとも1つの第2の磁気要素とともに前記少なくとも1つの第1の磁気要素のまわりを前記機器長手方向におよび前記機器長手方向のまわりの回転方向に変位可能であること、
前記操作機構が、前記少なくとも1つの第2の磁気要素と機械的に連結されて前記少なくとも1つの第1の磁気要素を磁気連結によって回転方向にのみ移動させることができるか、或いは、機械的連結なしに前記少なくとも1つの第1の磁気要素を機器長手方向と前記回転方向とに磁気連結によって移動させることができること、
によって解決される。
【0006】
なお、「医療機器」とは、好ましくはたとえば腎石、尿管内の石、または他の結石を除去するために使用できる医療用内視鏡で使用するための機器である。貫通器具を貫通させるため、医療機器は長尺の外側チューブを有している。
【0007】
「医療器具」とは、医療機器の外側チューブ内で受容できる貫通器具、すなわち医療機器の外側チューブの内部に配置される貫通器具、好ましくは結石捕獲バスケットである。医療器具は医療機器内で、特に外側チューブ内で軸線方向に変位可能(長手方向に変位可能)に、且つその長手軸線のまわりに回転可能に支持されている。器具の軸線方向への変位と長手軸線のまわりでの回転とは、その中に設けられている操作機構を用いて実現させる。
【0008】
本発明によれば、医療器具を比較的簡単に操作機構を用いて片手操作により機器長手方向にも当該長手方
向のまわりの回転方向にも移動させることができるという利点が得られる。
【0009】
磁気的に連結される2つの要素を本発明に従って使用することには、利用者の力の作用が強すぎることによる遠位端部側作業要素の破損を阻止する安全機構としてもこれら相互作用する磁気要素が機能するという格別な付加的利点がある。すなわち、市販の器具では、利用者が結石を捕獲した後に作業要素(たとえば結石捕獲バスケット)を強すぎる力の作用で近位端部側方向において外側チューブ内へ引き戻したとすると、作業要素が破損することがある。このような力の作用が強すぎる事例において、本発明に従って相互作用する第1および第2の磁気要素を使用すると、これら要素の磁気相互作用が中断され、操作要素は磁気相互作用の解消のもとにさらに近位端部側方向へ変位される。
【0010】
少なくとも1つの第2の磁気要素と少なくとも1つの第1の磁気要素との間に前記機器長手方向において機械的連結が存在すると、少なくとも1つの第1の磁気要素は磁気連結によって前記回転方向でのみ移動することができる。このような機械的連結がなければ、少なくとも1つの第1の磁気要素は磁気連結によって前記機器長手方向にも当該回転方向にも移動することができる。
【0011】
本発明の合目的な更なる構成によれば、操作機構にスケール機構またはスケール要素が付設され、該スケール機構またはスケール要素が、機器長手方向および/または
当該機器長手方向のまわりの回転方向における医療器具の少なくとも1つの移動の大きさを検出または表示することができるのが好ましい。医療器具の運動の大きさを機器長手方向においても
当該機器長手方向のまわりの回転方向においても2つのスケールを用いて表示し、これによってこの大きさを2つの座標で検出するのが有利である。これは、特に、当該医療器具を用いて個体の中空空間から体の一部分または結石(たとえば胆石または腎石)を取り出すような事例において有用である。この場合、このような取り出しの前に、少なくとも、除去すべきそれぞれの体の一部分またはそれぞれの結石がどの程度のサイズを持っているについてのおおよその情報を提供するのが有利である。これは、前記スケール機構または前記スケール要素を、いわば、除去すべきそれぞれの体の一部分またはそれぞれの結石の寸法を測るために利用できることを意味している。
【0012】
本発明の他の合目的な更なる構成によれば、本発明による医療機器は、
医療機器が、その操作を可能にする、または、少なくとも容易にする近位端部または端部領域と、医療器具を含んでいる遠位端部または端部領域とを有し、
医療器具が、前記機器の遠位端部から突出する、または、これから案内可能(突出可能)な作業端を有し、且つこの作業端に前記機器の近位端部側で接続する領域でもって、器具受容体
により機器長手方向にも
当該機器長手方向のまわりの回転方向にも変位可能であり、
器具受容体内で少なくとも1つの第1の磁気要素が医療器具と連結され、
少なくとも1つの第1の磁気要素が少なくとも1つの第2の磁気要素によって取り囲まれ、該少なくとも1つの第2の磁気要素が、少なくとも1つの第1の磁気要素に対し機器長手方向および
当該機器長手方向のまわりの回転方向に移動可能であり、且つ少なくとも1つの第1の磁気要素と磁気的に相互作用する、
という構成要件を含んでいる。
【0013】
これにより、総じて特に簡単に構成される本発明による医療機器の利点が得られる。
【0014】
合目的には、少なくとも1つの第2の磁気要素は回転スライダによって受容され、該回転スライダは、少なくとも1つの第2の磁気要素とともに少なくとも1つの第1の磁気要素のまわりを機器長手方向にも
当該機器長手方向のまわりの回転方向にも変位可能である。これにより、少なくとも1つの第2の磁気要素は有利な態様で特に簡単に少なくとも1つの第1の磁気要素に対し相対的に機器長手方向にも
当該機器長手方向のまわりの回転方向にも移動することができる。
【0015】
好ましくは、回転スライダは、受容体と、機器長手方向において近位端部側に設けられ、手置き体として利用可能な延長部分との間で、変位可能で且つ回転可能であり、延長部分は受容体内で受容可能である。この処置は、本発明による医療機器の片手操作を容易にさせる。
【0016】
合目的には、少なくとも1つの第1の磁気要素と少なくとも1つの第2の磁気要素とは、反対磁極でもって相互作用するように配置されている。これにより、少なくとも1つの第1および第2の磁気要素の特に簡単な実現という利点が得られる。
【0017】
合目的には、磁気要素は棒状磁石によって形成され、該棒状磁石の反対極(N極−S極)はそれぞれ機器長手方向に方向づけられている。これとは択一的に、それぞれの磁気要素は円形磁石によって形成され、該円形磁石の反対極(N極−S極)はそれぞれ機器長手方向に対し横方向に方向づけられている。両ケースとも、簡潔に構成される磁気要素が提供される。
【0018】
好ましくは、それぞれの磁気要素は永久磁石によって形成されている。これにより、特に簡潔に実現される磁気要素という利点がもたらされる。しかしこの代わりに、磁気要素の1つまたは他の磁気要素またはすべての磁気要素をそれぞれ電磁要素によって実現することも基本的には可能である。
【0019】
医療器具として、好ましくは内視鏡で使用可能な医療器具、医療用結石捕獲バスケット、またはポリープループ(ポリープ切除スネア)のような医療用ループ(医療用スネア)が用いられる。これによって本発明は医学の広範囲で使用可能であり、たとえば胆のうおよび腎臓の分野並びに胃腸学の分野で使用可能である。
【0020】
医療器具は、有利には、可撓性または曲げ弾性があるように形成されているシャフト部分を有している。シャフト部分の可撓性は、医療機器の外側チューブを通じて器具を挿入させてこのチューブによって器具を手術個所まで変位させることを可能にさせる。器具との組み合わせで使用される機器も、有利には同様に、外側チューブによって形成させることができる、または、このようなものを含む可撓性のシャフト部分を有する。
【0021】
操作を可能にする、または、少なくとも容易にさせる、医療機器の近位端部または近位端部領域は、ハンドグリップであってよく、または、ハンドグリップを含んでいてよい。ハンドグリップはたとえば終端グリップ部分を含むことができる。ハンドグリップは、好ましくは片手操作のために形成されている。このことは、ハンドグリップで実行されるすべての機能は、機器の保持およびその中に設けられている操作要素の操作をも含めて、片手で操作できることを意味している。
【0022】
有利な実施態様では、操作機構に、結石捕獲バスケットで捕獲された結石の長さまたはサイズを表示できるスケール要素が付設されている。このため、スケール要素上に配置されるスケールは、回転スライダとカバーパイプとの間で遠位端部方向に強制誘導され、回転スライダが近位端部方向において最大に変位したときに変位する。この効果は、操作機構内で予め弾性付勢されて最大で近位端部方向に変位する、L字状の横断面を備えたスケール要素を使用することによって達成される。この場合、スケールは回転スライダとカバーパイプとの間に配置されているので、この位置でスケールは利用者には見えない。第2の磁気要素は、スケール要素の近位端部側に配置されている。結石が結石捕獲バスケットで受容され、回転スライダが利用者によって最大で近位端部側方向に移動されると、第1の磁気要素の磁力が、第2の磁気要素を、その最大近位端部側位置から遠位端部側にある位置で保持する。対応的に、予緊張力を形成するために使用される弾性要素が圧縮されて、スケールが回転スライダとカバーパイプとの間で遠位端部方向において移動し、その結果スケールが利用者に見えるようになる。このように、本発明によれば、少なくとも1つの第2の磁気要素が遠位端部方向において長手方向に移動することにより、スケール要素は遠位端部方向に移動可能である。
【0023】
加えて、スケール要素は、スケールを含んでいて、医療器具の長手方向に対し平行に、または、医療器具のシャフト領域に対し平行に配置されている第1の部分を有している。第1の部分は、たとえば医療器のカバーパイプ上に載置され、これに対し少なくとも部分的に形状補完的であってよい。したがって第1の部分は、たとえばカバーパイプの筒状形状に適合している部分円状の横断面を有することができる。スケール要素の第1の部分は、少なくとも部分的に、カバーパイプと操作機構または該操作機構の回転スライダとの間に配置されている。第1の部分の近位端部には、スケール要素の第2の部分が配置されている。
【0024】
スケール要素の第2の部分は、第1の部分の長手方向に対し実質的に直角に配置され、よって医療器具の長手方向に対しても実質的に直角に配置されている。スケール要素はたとえば実質的にL字状の要素から、たとえば薄鋼板要素、プラスチック要素、またはセラミックス要素から形成されてよい。この事例では、L字形状の短い端部はスケール要素の第2の部分を形成し、長い端部は第1の部分を形成する。これに関連して、「L字形状」とはL状横断面を備えた形状を言う。スケール要素は好ましくは1つの部材から形成されている。しかし、いずれの場合もスケール要素の第1の部分と第2の部分とは互いに相対的に変位可能ではない。
【0025】
スケール要素の第2の部分は、完全に回転スライダとカバーパイプとの間に配置されている。第2の部分の遠位端部側には、好ましくは半径方向において第1の部分の一部分の横には、弾性要素が配置されている。弾性要素は、第2の部分に遠位端部方向から予緊張力を作用させる。第2の部分の近位端部側には、第2の磁気要素が配置されている。換言すれば、スケール要素の第2の部分は弾性要素と第2の磁気要素との間に配置されている。したがって、少なくとも1つの第2の磁気要素を遠位端部方向において長手方向に変位させることにより、スケール要素は遠位端部方向に変位可能である。したがって、中空室内には、少なくとも1つの第2の磁気要素の遠位端部側には、スケール要素の、近位端部方向に弾性で予緊張せしめられている部分が配置されている。
【0026】
弾性要素と、第2の磁気要素(またはその磁気成分)と、スケール要素の第2の部分とは、好ましくは回転スライダまたは操作要素の中空室内に配置されている。第2の磁気要素とスケール要素の第2の部分とは、中空室の内部において医療機器の長手軸線に対し平行に長手方向へ変位可能である。この長手方向への変位によって弾性要素は圧縮可能である。換言すれば、操作機構は少なくとも1つの中空室を有し、この中空室内に少なくとも1つの第2の磁気要素が長手方向に変位可能に配置されている。
【0027】
結石捕獲バスケットが結石を受容しておらず、よって結石捕獲バスケットを完全に外側チューブ内へ引き込み可能であるような静止状態では、第2の部分と第2の磁気要素(またはその磁気成分)とは、弾性要素によって近位端部方向に作用する弾性力により近位端部領域内へ、好ましくは中空室の近位端部へ変位している。これに対し、結石捕獲バスケット内に結石が受容されていて、回転スライダがその最大近位端部側位置へ変位されると、第2の磁気要素(またはその磁気成分)は、第1の磁気要素(引張り・変位ストランドとの連結によりもはやその近位端部側位置へ引き戻し不能である)との磁気的相互作用により中空室内部で遠位端部側位置へ変位せしめられる。
【0028】
本発明は、関連した観点において、好ましくは医療用内視鏡で使用するための医療機器、好ましくはここで述べているような磁気連結式の機器であって、前記医療器具を機器長手方向におよび当該長手方向
のまわりの回転方向において操作機構を用いて移動させるための前記機器において、該危機がグリップ部分を有し、該グリップ部分がその近位端部に開口部を有し、該開口部内に挿入補助要素を挿入可能であり、且つ前記開口部内で前記挿入補助要素をクランプ式にロック可能であることを特徴とする前記機器に関する。
【0029】
本発明は、本発明による医療機器と挿入補助要素とを含む医療システムであって、前記挿入補助要素が好ましくは医療機器のグリップ部分の近位端部側開口部内でロック可能である前記医療システムにも関する。
【0030】
挿入補助要素は、医療器具を内視鏡の作業通路内に挿入する前に、作業通路の近位端部側入口接続部内または作業通路内へ差し込むことができる。それ故、挿入補助要素は機器内の開口部から取り出し可能である。挿入補助要素はホッパー状に形成されていて、医療器具の遠位端部を入口接続部に挿入するのを容易にする。挿入補助要素を機器の近位端部にリバーシブルにロックすることは、医療機器の無菌外装部を近位端部においてわずかだけ開口させれば挿入補助要素へのアクセスが得られるという利点をもたらす。挿入補助要素を入口接続部上に差し込むため、機器の遠位端部領域または医療器具が汚染される危険がなければ、まず医療機器を横に置いていてよい。次に、遠位端部領域を同様に無菌外装部から取り出し、作業通路内へスムーズに挿入することができる。
【0031】
この目的のため、挿入補助要素は通常その近位端部領域で筒状に形成されている。挿入補助要素の遠位端部領域は、遠位端部方向にホッパー状に(テーパ状に)収束する部分を含んでいる。遠位端部側でテーパ状部分に続いて、挿入補助要素は他の筒状部分を有している。この他の筒状部分は、挿入補助要素の近位端部領域よりも短い外周を有する。適当な挿入補助要素は当業者に公知である。
【0032】
ハンドグリップの近位端部側開口部でのリバーシブルなロックのため、挿入補助要素は隆起状のリブを有することができ、これらのリブはそれぞれ挿入補助要素の周部に沿って延在し、好ましくは近位端部領域において周部に沿って延在する。対応的に、ハンドグリップはこれらの実施形態において近位端部側開口部にクランプ要素を有し、該クランプ要素を用いて挿入補助要素をロックすることができる。好ましくは、クランプ要素は通常の態様でリブの間に係合し、挿入補助要素を開口部から出入させる際にリブを越えて滑動する。開口部が好ましくは少なくとも部分的に挿入補助要素の横断面に対し形状補完的に形成されていることは明らかである。好ましくは、開口部は実質的に円形または部分円状であり、この場合円の内径は挿入補助要素の外径に対応している。開口部は、好ましくは医療機器の長手方向に対し横方向に配置されている。