特許第6861328号(P6861328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6861328
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】地盤改良装置及び地盤改良工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20210412BHJP
   E02D 5/18 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   E02D3/12 102
   E02D5/18 101
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2021-677(P2021-677)
(22)【出願日】2021年1月6日
【審査請求日】2021年1月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】野津 光夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 優輝
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−211403(JP,A)
【文献】 特開2007−070931(JP,A)
【文献】 特開2006−336427(JP,A)
【文献】 実開昭62−060628(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第106761453(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
E02D 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置により回転する外管と前記外管の内部に非回転に延在して配置された内管とを有する二重管と、
前記外管の先端部に取り付けられた連結部材を介して前記外管に平行となるように前記外管から所定の距離を隔てて回転自在に懸架された撹拌軸と、
前記非回転の内管の先端に回転しないように固着された太陽歯車と、
前記撹拌軸の上端側に回転自在に支持され、前記非回転の太陽歯車と噛合しながら回転する遊星歯車と、
前記遊星歯車に噛み合って前記撹拌軸を前記遊星歯車の回転方向とは逆方向に回転させる逆回転機構と、
を備え、
前記撹拌軸は、放射状に複数枚の撹拌翼を有し、かつ、前記逆回転機構の回転中心に同期して回転するように前記連結部材に懸架され、前記撹拌軸の回転により前記複数枚の撹拌翼の先端の軌跡が略多角形を描くことで、前記各撹拌翼を介して前記外管が貫入された箇所の地盤と前記撹拌軸側から吐出された固化材を撹拌混合するようにしたことを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
請求項1記載の地盤改良装置であって、
前記逆回転機構は、前記遊星歯車の下面外周部に形成されたラックと、前記ラックに噛合する反転歯車と、上面外周部に前記反転歯車が噛合するラックが形成され、前記撹拌軸の上端に固着された受け歯車と、を備えていることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項3】
請求項1記載の地盤改良装置であって、
前記太陽歯車と前記遊星歯車の各歯数の比率が4対3をなし、前記撹拌翼の数が3枚で当該3枚の撹拌翼の先端の軌跡で略正方形が形成されることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の地盤改良装置であって、
ルーローの三角形の頂点の軌跡が略正方形を描くように回転させた時の、前記ルーローの三角形の重心が描く軌跡と相類似の丸みを帯びた四角形の太陽歯車を用い、遊星歯車が前記太陽歯車と常に噛合するように軸間距離を可変させる可変機構を介し、前記太陽歯車と前記遊星歯車を支持することで4辺が直線状となる断面略正方形の改良体を造成するようにしたことを特徴とする地盤改良装置。
【請求項5】
二重管の外管を駆動装置により回転させ、
前記外管の先端部に取り付けられた連結部材を介して前記外管に平行となるように前記外管から所定の距離を隔てて懸架された撹拌軸を回転させ、
前記外管の回転により前記撹拌軸の上端側に回転自在に支持された遊星歯車を、前記外管内に配置された非回転の内管の先端に固着された非回転の太陽歯車の周りに公転させると共に前記遊星歯車を自転させることで、前記撹拌軸に放射状に取り付けられた複数枚の撹拌翼により前記外管が貫入された箇所の地盤と前記撹拌軸側から吐出された固化材が撹拌混合されて断面が略多角形の改良体を造成することを特徴とする地盤改良工法。
【請求項6】
請求項5記載の地盤改良工法であって、
各歯数の比率が4対3の前記太陽歯車と前記遊星歯車とを用いて、3枚の前記撹拌翼で断面が略正方形の改良体を造成することを特徴とする地盤改良工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーローの三角形の原理を応用して断面が矩形の改良体を造成する地盤改良装置及び地盤改良工法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の地盤改良装置として、例えば特許文献1に記載された地盤撹拌機がある。この特許文献1に記載された地盤撹拌機は、ルーローの三角形状の断面形状を有するルーロー回転軸、前記ルーローの三角形状部分の外幅を一辺とする正方形状の内形にルーローの三角形状部分を回転可能に支持する軸受、およびルーロー回転軸を回転駆動する駆動部を有してルーロー回転軸の軸方向に移動可能に設けた駆動機構と、軸受の先端面に延出したルーロー回転軸の先端側から土砂固化材を吐出する吐出機構と、ルーロー回転軸の先端に設けてあってルーロー回転軸のルーローの三角形状を拡大してルーロー回転軸のルーローの三角形状に対して重心および頂点の向きを一致させたルーローの三角形状の範囲内に形成した掘削カッタと、ルーロー回転軸の軸受と掘削カッタとの間に設けてあって掘削カッタと同様に形成した撹拌翼と、を備える。
【0003】
そして、地盤撹拌機を用い、ルーロー回転軸の回転によりほぼ矩形の孔を掘削しながら、ルーロー回転軸の先端側から固化材を吐出し、地盤の土砂と固化材を撹拌翼で撹拌混合して断面矩形の地中連続壁(改良体)を造成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−336427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の地盤撹拌機では、装置全体が大掛かりとなり、また、ルーロー回転軸及びその周りの軸受部が大径となって、地盤に貫入する際に大きな障害(負荷)となり、スムーズに改良体を造成することが難しかった。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、太陽歯車を固着した内管が挿通される外管を小径にすることができ、簡単かつ確実に断面が略多角形の改良体を造成することができる地盤改良装置及び地盤改良工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の地盤改良装置は、駆動装置により回転する外管と前記外管の内部に非回転に延在して配置された内管とを有する二重管と、前記外管の先端部に取り付けられた連結部材を介して前記外管に平行となるように前記外管から所定の距離を隔てて回転自在に懸架された撹拌軸と、前記非回転の内管の先端に回転しないように固着された太陽歯車と、前記撹拌軸の上端側に回転自在に支持され、前記非回転の太陽歯車と噛合しながら回転する遊星歯車と、前記遊星歯車に噛み合って前記撹拌軸を前記遊星歯車の回転方向とは逆方向に回転させる逆回転機構と、を備え、前記撹拌軸は、放射状に複数枚の撹拌翼を有し、かつ、前記逆回転機構の回転中心に同期して回転するように前記連結部材に懸架され、前記撹拌軸の回転により前記複数枚の撹拌翼の先端の軌跡が略多角形を描くことで、前記各撹拌翼を介して前記外管が貫入された箇所の地盤と前記撹拌軸側から吐出された固化材を撹拌混合するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の地盤改良工法は、二重管の外管を駆動装置により回転させ、前記外管の先端部に取り付けられた連結部材を介して前記外管に平行となるように前記外管から所定の距離を隔てて懸架された撹拌軸を回転させ、前記外管の回転により前記撹拌軸の上端側に回転自在に支持された遊星歯車を、前記外管内に配置された非回転の内管の先端に固着された非回転の太陽歯車の周りに公転させると共に前記遊星歯車を自転させることで、前記撹拌軸に放射状に取り付けられた複数枚の撹拌翼により前記外管が貫入された箇所の地盤と前記撹拌軸側から吐出された固化材が撹拌混合されて断面が略多角形の改良体を造成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、太陽歯車を固着した内管が挿通される外管を小径にすることができ、簡単かつ確実に断面が略多角形の改良体を造成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態の地盤改良装置の要部を示す概略構成図である。
図2】上記地盤改良装置の外管の先端部に取り付けられた連結部材の内部の概略構成図である。
図3】上記外管内に挿通された内管の先端部に固着された太陽歯車と遊星歯車の寸法関係を示す説明図である。
図4】上記遊星歯車と撹拌軸を逆回転させる逆回転機構の概略構成図である。
図5】(a)〜(g)は上記撹拌軸の回転により3枚の撹拌翼の先端が描く略正四角形の軌跡の説明図である。
図6】本発明の第2実施形態の地盤改良装置の要部を示す概略構成図である。
図7】本発明の第3実施形態の地盤改良装置の要部を示す概略構成図である。
図8】本発明の第4実施形態の地盤改良装置の撹拌軸の回転により5枚の撹拌翼の先端が描く略正六角形の軌跡の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態の地盤改良装置の要部を示す概略構成図、図2は地盤改良装置の外管の先端部に取り付けられた連結部材の内部の概略構成図、図3は外管内に挿通された内管の先端部に固着された太陽歯車と遊星歯車の寸法関係を示す説明図、図4は遊星歯車と撹拌軸を逆回転させる逆回転機構の概略構成図、図5(a)〜(g)は撹拌軸の回転により3枚の撹拌翼の先端が描く略正四角形の軌跡の説明図である。
【0013】
図1に示すように、地盤改良装置10は、オーガモータ30により回転する円筒状の外管12と該外管12の内部に非回転に延在して配置された円筒状の内管(中管)13とを有する二重管11と、外管12の先端部12aに取り付けられた連結部材14を介して外管12に平行となるように外管12から所定の距離(例えば77mm)を隔てて回転自在に懸架された撹拌軸17と、非回転の内管13の先端13aに回転しないように固着された太陽歯車15と、撹拌軸17の上端17b側に回転自在に支持され、非回転の太陽歯車15と噛合しながら回転する遊星歯車16と、この遊星歯車16に噛み合って撹拌軸17を遊星歯車16の回転方向とは逆方向に回転させる逆回転機構20と、を備えている。
【0014】
撹拌軸17は、120°隔てて放射状に3枚の撹拌翼18を有している。さらに、撹拌軸17は、逆回転機構20の回転中心Oに同期して撹拌軸固定ベアリング19を介して回転するように連結部材14に懸架されていて、撹拌軸17の回転により3枚の撹拌翼18の先端18aの軌跡が略正四角形(略正方形)を描くようになっている。即ち、太陽歯車15と遊星歯車16の各歯数の比率は4対3であり、ルーローの三角形の原理に従って、図5(a)〜(g)に示すように、3枚の撹拌翼18の先端18aの軌跡Kで略正四角形を形成するようになっている。
【0015】
図1図4に示すように、逆回転機構20は、遊星歯車16の下面外周部に形成された円環板状のラック21と、このラック21に噛合する反転歯車22と、上面外周部に反転歯車22が噛合する円環板状のラック24が形成され、撹拌軸78の上端17bに固着された受け歯車23と、遊星歯車16と受け歯車23の間に介在されたベアリング25と、を備えている。この反転歯車22は、ラック21と受け歯車23のラック24に噛合するピニオンであるが、傘歯車にして噛合させるようにしても良い。
【0016】
尚、地盤改良装置10の二重管11は、施工機本体の前部に立設したリーダに沿って強制昇降装置(いずれも図示省略)を介して昇降動すると共に、二重管11の外管12は、オーガモータ(駆動装置)30により回転するようになっている。また、地盤改良装置10は、二重管11の外管12を図示しない地盤中に貫入し引き抜く際に、撹拌軸17の先端側に設けられた吐出口としてのノズルからスラリー状の固化材(いずれも図示省略)を吐出させ、外管12が貫入された箇所の地盤と撹拌軸17側から吐出されたスラリー状の固化材を3枚の撹拌翼18を介して撹拌混合することで、断面略正四角形の改良体Rを造成して地盤を改良するものである。さらに、図3に示すように、太陽歯車15の半径R1は44mm、遊星歯車16の半径R2は33mm、太陽歯車15の中心から遊星歯車16の中心までの距離Lは77mmの寸法に設定されている。また、撹拌翼18の半径は500mmの寸法に設定されている。
【0017】
以上第1実施形態の地盤改良装置10によれば、断面が略正方形の改良体Rを造成する場合には、まず、二重管11の外管12をオーガモータ30により回転させる。この外管12の回転により、外管12の先端部12aに取り付けられた連結部材14を介して外管12に平行となるように外管12から所定の距離を隔てて懸架された撹拌軸17が回転する。つまり、外管12の回転により撹拌軸17の上端17b側に逆回転機構20を介して回転自在に支持された遊星歯車16が外管12内に配置された非回転の内管13の先端13aに固着された非回転の太陽歯車15の周りに公転すると共に、遊星歯車16自体も自転することで、図5(a)〜(g)に示すように、撹拌軸17に放射状に取り付けられた3枚の撹拌翼18の先端18aが略正四角形の軌跡Kを形成する。これにより、外管12が貫入された箇所の地盤と撹拌軸17の先端側から吐出されたスラリー状の固化材が3枚の撹拌翼18で撹拌混合されて断面が略正四角形の改良体Rが造成される。
【0018】
このように、各歯数の比率が4対3の太陽歯車15と遊星歯車16を用い、3枚の撹拌翼18で断面が略正四角形の改良体Rを造成するようにしたことで、太陽歯車15を固着した内管13が挿通される外管12を小径にすることができる。このため、地盤に外管12を貫入する際に大きな負荷がかかることがなく、スムーズに簡単かつ確実に断面が略正四角形の改良体Rを造成することができる。
【0019】
尚、前記第1実施形態の地盤改良装置10では、太陽歯車15の平面形状が真円であるため、当該地盤改良装置10で造成される改良体Rは、図5(a)〜(g)に示すように、丸みを帯びた略正四角形となる。しかしながら、太陽歯車15の平面形状を真円でない形状(例えば、四隅の角部が取れて丸みのある平面形状が略正四角形の歯車等)にすることで、改良体Rの断面形状を正確な正四角形に近づけることができる。この場合、太陽歯車15と遊星歯車16の軸間が一定で無くなるため、軸間距離を可変させる可変機構(図示省略)を設けて、太陽歯車15と遊星歯車16の噛み合わせを保つようにする。
【0020】
図6は本発明の第2実施形態の地盤改良装置の要部を示す概略構成図である。
【0021】
この第2実施形態の地盤改良装置は、太陽歯車15の中心と遊星歯車16の中心との間の距離が変わっても、内管13の先端13aと遊星歯車16の支軸16aとの間に設けたバネ(可変機構としての弾性体)40の収縮・伸長力を利用して噛合するようにした点が、前記第1実施形態のものとは異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0022】
詳述すると、この第2実施形態の地盤改良装置は、ルーローの三角形の頂点の軌跡が略正方形を描くように回転させた時の、該ルーローの三角形の重心が描く軌跡と相類似の丸みを帯びた四角形の太陽歯車15を用い、遊星歯車16が太陽歯車15と常に噛合するように軸間距離を可変させるバネ(可変機構)40を介し、太陽歯車15と遊星歯車16を支持することにより、4辺が直線状となる断面略正方形の改良体Rを造成するようにしている。
【0023】
この第2実施形態の地盤改良装置では、太陽歯車15の中心と遊星歯車16の中心との間の距離が変わってもバネ40の収縮・伸長力により噛合するため、3枚の撹拌軸18の先端18aで前記第1実施形態のものよりも完全な正四角形を描いて改良体Rを造成することができる。
【0024】
図7は本発明の第3実施形態の地盤改良装置の要部を示す概略構成図である。
【0025】
この第3実施形態の地盤改良装置は、太陽歯車15の中心と遊星歯車16の中心との間の距離が変わっても、内管13の先端13aに設けた磁石41と遊星歯車16の支軸16aに設けた磁石42との磁力を利用して噛合するようにした点が、前記第1実施形態のものとは異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
詳述すると、この第3実施形態の地盤改良装置は、ルーローの三角形の頂点の軌跡が略正方形を描くように回転させた時の、該ルーローの三角形の重心が描く軌跡と相類似の丸みを帯びた四角形の太陽歯車15を用い、遊星歯車16が太陽歯車15と常に噛合するように軸間距離を可変させる磁石(可変機構)41,42を介し、太陽歯車15と遊星歯車16を支持することにより、4辺が直線状となる断面略正方形の改良体Rを造成するようにしている。
【0027】
この第3実施形態の地盤改良装置では、太陽歯車15の中心と遊星歯車16の中心との間の距離が変わっても相対向する磁石41,42の磁力により噛合するため、3枚の撹拌軸18の先端18aで前記第1実施形態のものよりも完全な正四角形を描いて改良体Rを造成することができる。
【0028】
図8は本発明の第4実施形態の地盤改良装置の撹拌軸の回転により5枚の撹拌翼の先端が描く略正六角形の軌跡の説明図である。
【0029】
この第4実施形態の地盤改良装置は、各歯数の比率が6対5の太陽歯車15と遊星歯車16を用い、5枚の撹拌翼18の先端18aで略正六角形の軌跡Kを形成するようにした点が、前記第1実施形態のものとは異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0030】
この第4実施形態の地盤改良装置では、各歯数の比率が6対5の太陽歯車15と遊星歯車16を用い、5枚の撹拌翼18で断面が略正六角形の改良体Rを簡単かつ確実に造成することができる。
【0031】
尚、前記実施形態によれば、撹拌軸に放射状に複数枚の撹拌翼を取り付けたが、撹拌軸の先端に掘削ビットを取り付けて、掘削造成と地盤の改良体造成するようにしても良い。
【0032】
また、前記実施形態によれば、撹拌軸にスラリー状の固化材を吐出する吐出口を設けたが、撹拌翼にスラリー状の固化材を吐出する吐出口を設けても良い。
【0033】
さらに、前記実施形態によれば、各歯数の比率が4対3の太陽歯車と遊星歯車を用い、3枚の撹拌翼で断面が略正四角形の改良体を造成したり、各歯数の比率が6対5の太陽歯車と遊星歯車を用い、5枚の撹拌翼で断面が略正六角形の改良体を造成したが、各歯数の比率が8対7の太陽歯車と遊星歯車を用い、7枚の撹拌翼で断面が略正八角形の改良体を造成しても良い。
【符号の説明】
【0034】
10 地盤改良装置
11 二重管
12 外管
12a 先端部
13 内管
13a 先端
14 連結部材
15 太陽歯車
16 遊星歯車
17 撹拌軸
17b 上端
18 撹拌翼
18a 先端
20 逆回転機構
21 ラック
22 反転歯車
23 受け歯車
24 ラック
30 オーガモータ(駆動装置)
40 バネ(可変機構)
41,42 磁石(可変機構)
O 逆回転機構の回転中心
K 撹拌翼の先端が描く軌跡
R 改良体
【要約】
【課題】簡単かつ確実に断面が略多角形の改良体を造成することができる地盤改良装置を提供する。
【解決手段】地盤改良装置10は、駆動装置30により回転する外管12と該外管12内部に挿通された内管13を有する二重管11と、外管12の先端部12aに設けた連結部材14を介して外管12に平行となるように回転自在に懸架された撹拌軸17と、非回転の内管13の先端13aに固着された太陽歯車15と、撹拌軸17の上端17b側に回転自在に支持され、非回転の太陽歯車15と噛合しながら回転する遊星歯車16と、この遊星歯車16の回転方向とは逆方向に回転させる逆回転機構20と、を備え、撹拌軸17は、放射状に複数枚の撹拌翼18を有し、撹拌軸17の回転により複数枚の撹拌翼18の先端18aの軌跡が略多角形を描くことで、各撹拌翼18を介して外管12が貫入された箇所の地盤と撹拌軸17側から吐出された固化材を撹拌混合するようにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8