特許第6861350号(P6861350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6861350-レーザ溶接装置 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861350
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】レーザ溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/044 20140101AFI20210412BHJP
   B23K 26/24 20140101ALI20210412BHJP
【FI】
   B23K26/044
   B23K26/24
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-187259(P2017-187259)
(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公開番号】特開2019-58943(P2019-58943A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】509052300
【氏名又は名称】株式会社タマリ工業
(74)【代理人】
【識別番号】100174757
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】下玉利 淳也
(72)【発明者】
【氏名】山内 英樹
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−207483(JP,A)
【文献】 特開平7−178579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接線に沿ってレーザ光を照射して溶接対象物の溶接を行うレーザ溶接装置であって、
レーザ光を出力するレーザ発振器と、
前記溶接線の位置を記憶する記憶手段と、
その記憶手段に記憶された前記溶接線の位置に基づいて、前記レーザ発振器より出力された前記レーザ光が前記溶接対象物に照射されるように制御する照射位置制御手段と、
前記溶接対象物の溶接面を撮像する撮像手段と、
その撮像手段により撮像された画像より前記レーザ光の照射位置を検出する照射位置検出手段と、
前記撮像手段により撮像された画像より前記溶接線の位置を複数点検出する溶接線検出手段と、
その溶接線検出手段により検出された複数点から推定される前記溶接線の位置と、前記照射位置検出手段により検出された前記レーザ光の照射位置とのずれ量を算出するずれ量算出手段と、
前記溶接線検出手段により複数点検出された前記溶接線の位置のばらつきに基づいて、その検出された前記溶接線の位置の信頼度を算出する溶接線信頼度算出手段と、
その溶接線信頼度算出手段により算出された前記溶接線の位置の信頼度と、前記ずれ量算出手段により算出された前記ずれ量とに基づいて、前記レーザ光の照射位置を補正するための位置補正量を算出する位置補正量算出手段と、を備え、
前記照射位置制御手段は、前記位置補正量算出手段により算出された前記位置補正量に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記溶接線の位置に基づく前記レーザ光の照射位置を補正することを特徴とするレーザ溶接装置。
【請求項2】
前記撮像手段により撮像された画像より、前記溶接線から所定距離離れた場所に存在し得るガイド線の位置を複数点検出するガイド線検出手段と、
そのガイド線検出手段により検出された複数点から推定される前記ガイド線の位置と前記溶接線検出手段により検出された複数点から推定される前記溶接線の位置との距離である推定距離と、前記所定距離との誤差を算出する誤差算出手段と、
前記ガイド線検出手段により複数点検出された前記ガイド線の位置のばらつきに基づいて、その検出された前記ガイド線の位置の信頼度を算出するガイド線信頼度算出手段と、
前記誤差算出手段により算出された誤差の大きさに基づいて、前記推定距離の信頼度を算出する推定距離信頼度算出手段と、を備え、
前記位置補正量算出手段は、前記溶接線信頼度算出手段により算出された前記溶接線の位置の信頼度と、前記ガイド線信頼度算出手段により算出された前記ガイド線の位置の信頼度と、前記推定距離信頼度算出手段により算出された前記推定距離の信頼度と、前記ずれ量算出手段により算出された前記ずれ量とに基づいて、前記レーザ光の照射位置を補正するための位置補正量を算出することを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接装置。
【請求項3】
前記ガイド線は、前記溶接対象物の外縁に設けられることを特徴とする請求項2記載のレーザ溶接装置。
【請求項4】
これから溶接が行われると想定される領域に、所定形状の所定領域を設定する所定領域設定手段を備え、
前記溶接線検出手段は、前記所定領域設定手段により設定された前記所定領域内に含まれる前記溶接線の位置を、前記撮像手段により撮像された画像より検出することを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接装置。
【請求項5】
これから溶接が行われると想定される領域に、所定形状の所定領域を設定する所定領域設定手段を備え、
前記溶接線検出手段は、前記所定領域設定手段により設定された前記所定領域内に含まれる前記溶接線の位置を、前記撮像手段により撮像された画像より検出し、
前記ガイド線検出手段は、前記所定領域設定手段により設定された前記所定領域内に含まれる前記ガイド線の位置を、前記撮像手段により撮像された画像より検出することを特徴とする請求項2又は3記載のレーザ溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接対象物へレーザ光を照射して溶接を行うレーザ溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ発振器にて発振されたレーザ光を、ガルバノスキャナを用いてスキャンしながら溶接対象物へ照射し、溶接を行うレーザ溶接装置がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
レーザ溶接装置では、ティーチングにより予め溶接対象物の溶接線をプログラムする。プログラムされた溶接線に向けてレーザ光が照射されるようにガルバノスキャナが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−024808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレーザ溶接装置では、溶接対象物を溶接している間、その溶接に伴って、溶接対象物が最初に設置していた位置からずれることがある。よって、プログラムに従ってレーザ光を照射すると、当所予定していた溶接線からずれて、レーザ光が照射されることがあった。また、同一形状の複数の溶接対象物に対して溶接を行う場合、同一のプログラムに基づいて溶接線に向けてレーザ光を照射すると、各溶接対象物の形状に多少のばらつきがあるため、やはり望ましい位置にレーザ光が照射されないということがあった。よって、従来のレーザ溶接装置では、溶接の品質が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、望ましい位置でレーザ溶接を行うことができるレーザ溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために請求項1記載のレーザ溶接装置は、溶接線に沿ってレーザ光を照射して溶接対象物の溶接を行うものであって、レーザ光を出力するレーザ発振器と、前記溶接線の位置を記憶する記憶手段と、その記憶手段に記憶された前記溶接線の位置に基づいて、前記レーザ発振器より出力された前記レーザ光が前記溶接対象物に照射されるように制御する照射位置制御手段と、前記溶接対象物の溶接面を撮像する撮像手段と、その撮像手段により撮像された画像より前記レーザ光の照射位置を検出する照射位置検出手段と、前記撮像手段により撮像された画像より前記溶接線の位置を複数点検出する溶接線検出手段と、その溶接線検出手段により検出された複数点から推定される前記溶接線の位置と、前記照射位置検出手段により検出された前記レーザ光の照射位置とのずれ量を算出するずれ量算出手段と、前記溶接線検出手段により複数点検出された前記溶接線の位置のばらつきに基づいて、その検出された前記溶接線の位置の信頼度を算出する溶接線信頼度算出手段と、その溶接線信頼度算出手段により算出された前記溶接線の位置の信頼度と、前記ずれ量算出手段により算出された前記ずれ量とに基づいて、前記レーザ光の照射位置を補正するための位置補正量を算出する位置補正量算出手段と、を備え、前記照射位置制御手段は、前記位置補正量算出手段により算出された前記位置補正量に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記溶接線の位置に基づく前記レーザ光の照射位置を補正する。
【0008】
請求項2記載のレーザ溶接装置は、請求項1記載のレーザ溶接装置において、前記撮像手段により撮像された画像より、前記溶接線から所定距離離れた場所に存在し得るガイド線の位置を複数点検出するガイド線検出手段と、そのガイド線検出手段により検出された複数点から推定される前記ガイド線の位置と前記溶接線検出手段により検出された複数点から推定される前記溶接線の位置との距離である推定距離と、前記所定距離との誤差を算出する誤差算出手段と、前記ガイド線検出手段により複数点検出された前記ガイド線の位置のばらつきに基づいて、その検出された前記ガイド線の位置の信頼度を算出するガイド線信頼度算出手段と、前記誤差算出手段により算出された誤差の大きさに基づいて、前記推定距離の信頼度を算出する推定距離信頼度算出手段と、を備え、前記位置補正量算出手段は、前記溶接線信頼度算出手段により算出された前記溶接線の位置の信頼度と、前記ガイド線信頼度算出手段により算出された前記ガイド線の位置の信頼度と、前記推定距離信頼度算出手段により算出された前記推定距離の信頼度と、前記ずれ量算出手段により算出された前記ずれ量とに基づいて、前記レーザ光の照射位置を補正するための位置補正量を算出する。
【0009】
請求項3記載のレーザ溶接装置は、請求項2記載のレーザ溶接装置において、前記ガイド線は、前記溶接対象物の外縁に設けられる。
【0010】
請求項4記載のレーザ溶接装置は、請求項1記載のレーザ溶接装置において、これから溶接が行われると想定される領域に、所定形状の所定領域を設定する所定領域設定手段を備え、前記溶接線検出手段は、前記所定領域設定手段により設定された前記所定領域内に含まれる前記溶接線の位置を、前記撮像手段により撮像された画像より検出する。
【0011】
請求項5記載のレーザ溶接装置は、請求項2又は3記載のレーザ溶接装置において、これから溶接が行われると想定される領域に、所定形状の所定領域を設定する所定領域設定手段を備え、前記溶接線検出手段は、前記所定領域設定手段により設定された前記所定領域内に含まれる前記溶接線の位置を、前記撮像手段により撮像された画像より検出し、前記ガイド線検出手段は、前記所定領域設定手段により設定された前記所定領域内に含まれる前記ガイド線の位置を、前記撮像手段により撮像された画像より検出する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のレーザ溶接装置によれば、溶接対象物に対してレーザ光の照射による溶接が行われる溶接線の位置が記憶手段に記憶される。その記憶手段に記憶された溶接線の位置に基づいて、レーザ発振器より出力されたレーザ光が溶接対象物に照射されるように、照射位置制御手段により制御される。また、溶接対象物の溶接面が、撮像手段により撮像される。撮像された画像より、レーザ光の照射位置が照射位置検出手段により検出され、溶接線の位置が複数点、溶接線検出手段により検出される。その検出された複数点から推定される溶接線の位置と、照射位置検出手段により検出されたレーザ光の照射位置とのずれ量が、ずれ量算出手段により算出される。一方、溶接線検出手段により複数点検出された溶接線の位置のばらつきに基づいて、溶接線信頼度算出手段により、その検出された溶接線の位置の信頼度が算出される。そして、その算出された溶接線の位置の信頼度と、ずれ量算出手段により算出されたずれ量とに基づいて、レーザ光の照射位置を補正するための位置補正量が、位置補正量算出手段により算出される。その算出された位置補正量に基づいて、記憶手段に記憶された溶接線の位置に基づくレーザ光の照射位置が、照射位置制御手段によって補正される。これにより、撮像された溶接面の画像より推定される溶接線の位置とレーザ光の照射位置とにずれが生じている場合に、そのずれ量に応じてレーザ光の照射位置が補正される。しかも、撮像された溶接面の画像より検出される複数点の溶接線の位置のばらつきに基づいて溶接線の位置の信頼度が算出され、撮像された溶接面の画像より推定される溶接線の位置とレーザ光の照射位置とのずれ量だけでなく、溶接線の位置の信頼度をも考慮して、レーザ光の照射位置を補正するための位置補正量が算出される。よって、撮像された溶接面の画像より検出された溶接線の位置の信頼度に応じて、レーザ光の照射位置の補正を適応的に調整できるので、望ましい位置でレーザ溶接を行うことができるという効果がある。
【0013】
請求項2記載のレーザ溶接装置によれば、請求項1記載のレーザ溶接装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、撮像手段により撮像された画像より、溶接線から所定距離離れた場所に存在し得るガイド線の位置が複数点、ガイド線検出手段により検出される。その検出された複数点から推定されるガイド線の位置と、溶接線検出手段により検出された複数点から推定される溶接線の位置との距離である推定距離と、前記所定距離との誤差が、誤差算出手段により算出される。一方、ガイド線検出手段により複数点検出されたガイド線の位置のばらつきに基づいて、その検出されたガイド線の位置の信頼度が、ガイド線信頼度算出手段によって算出される。また、誤差算出手段により算出された誤差の大きさに基づいて、推定距離の信頼度が、推定距離信頼度算出手段により算出される。そして、溶接線信頼度算出手段により算出された溶接線の位置の信頼度と、ガイド線信頼度算出手段により算出されたガイド線の位置の信頼度と、推定距離信頼度算出手段により算出された前記推定距離の信頼度と、ずれ量算出手段により算出されたずれ量とに基づいて、レーザ光の照射位置を補正するための位置補正量が、位置補正量算出手段により算出される。これにより、撮像された溶接面の画像より推定される溶接線の位置とレーザ光の照射位置とのずれ量だけでなく、溶接線の位置の信頼度と、ガイド線の位置の信頼度と、ガイド線の位置と溶接線の位置との距離である推定距離の信頼度とをも考慮して、レーザ光の照射位置を補正するための位置補正量が算出される。よって、撮像された溶接面の画像より検出された溶接線の位置の信頼度と、ガイド線の位置の信頼度と、溶接線の位置とガイド線の位置との推定距離の信頼度と、に応じて、レーザ光の照射位置の補正を適応的に調整できるので、より望ましい位置でレーザ溶接を行うことができるという効果がある。
【0014】
請求項3記載のレーザ溶接装置によれば、請求項2記載のレーザ溶接装置の奏する効果に加え、ガイド線は、溶接対象物の外縁に設けられるので、撮像手段により撮像された画像から、ガイド線検出手段によって容易に且つ精度よくガイド線を検出できるという効果がある。
【0015】
請求項4記載のレーザ溶接装置によれば、請求項1記載のレーザ溶接装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定領域設定手段によって、これから溶接が行われると想定される領域に、所定形状の所定領域が設定され、この所定領域内に含まれる溶接線の位置が、溶接線検出手段によって検出される。これにより、溶接線の検出範囲を所定領域内に限定できるので、処理に係る時間を短縮できるという効果がある。
【0016】
請求項5記載のレーザ溶接装置によれば、請求項2又は3記載のレーザ溶接装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定領域設定手段によって、これから溶接が行われると想定される領域に、所定形状の所定領域が設定され、この所定領域内に含まれる溶接線の位置が、溶接線検出手段によって検出されると共に、この所定領域内に含まれるガイド線の位置が、ガイド線検出手段によって検出される。これにより、溶接線及びガイド線の検出範囲を所定領域内に限定できるので、処理に係る時間を短縮できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態であるレーザ溶接装置の構成を概略的に示す概略図である。
図2】コントローラの電気的構成を示したブロック図である。
図3】コントローラにより実行される位置補正処理を示したフローチャートである。
図4】溶接中に撮像素子にて撮像されたワークの画像を模式的に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態であるレーザ溶接装置Sの概略について説明する。図1は、そのレーザ溶接装置Sの構成を概略的に示す概略図である。
【0019】
レーザ溶接装置Sは、レーザ光Cにより溶接対象物(以下、単に「ワーク」と称す)Aを溶接するものである。レーザ溶接装置Sは、レーザ発振器10を有し、レーザ発振器10によりレーザ光Cが発振される。レーザ発振器10により発振されたレーザ光Cは、光ファイバ11によって伝送され、光ファイバ11の一端に設けられたファイバアダプタ12から照射される。
【0020】
ファイバアダプタ12の出力側には、コリメートレンズ13が配置されており、ファイバアダプタ12から照射されたレーザ光Cは、コリメートレンズ13によって平行光とする。コリメートレンズ13により平行光とされたレーザ光Cは、反射ミラー14によってガルバノスキャナ20に向けて反射され、反射ミラー14とガルバノスキャナ20との間に設けられたダイクロイックミラー15を透過して、ガルバノスキャナ20に入力される。
【0021】
ガルバノスキャナ20は、ワークAに向けてレーザ光Cを照射する場合に、その照射位置を調整するものであり、図示しない一対の反射ミラー(ガルバノミラー)によって構成される。
【0022】
一対の反射ミラーのうち、一方の反射ミラーはX軸変位モータ20aに接続されている。このX軸変位モータ20aを駆動することにより、接続する反射ミラーの反射角が変更され、ワークAに対するレーザ光Cの照射位置が、X軸方向に変位可能とされる。また、一対の反射ミラーのうち、他方の反射ミラーはY軸変位モータ20bに接続されている。このY軸変位モータ20bを駆動することにより、接続する反射ミラーの反射角が変更され、ワークAに対するレーザ光Cの照射位置が、Y軸方向に変位可能とされる。よって、X軸変位モータ20a及びY軸変位モータ20bを駆動することで、ガルバノスキャナ20により、ワークAの平面上の所望の位置に、レーザ光Cを照射することができる。
【0023】
ガルバノスキャナ20の出力側にはfθレンズ21が配置されている。ガルバノスキャナ20によって所望の照射位置に向けられたレーザ光Cは、fθレンズ21によってワークAの照射位置に集光される。
【0024】
レーザ光C、その他の光によりワークAから反射された光Iは、レーザ光Cとは逆向きに、fθレンズ21及びガルバノスキャナ20を通過して進み、ダイクロイックミラー15によって反射されて、撮像素子17に入力される。ダイクロイックミラー15と撮像素子17との間には、フォーカシングレンズ16が配置されており、フォーカシングレンズ16によって、ワークAより反射された光Iが、ワークAの溶接面を表す画像として撮像素子17に結像される。
【0025】
撮像素子17は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary MOS)イメージセンサ等によって構成される。撮像素子17に結像された画像は、その撮像素子17において2次元に並べられた画素に分解され、画素毎に、入力された光の強度が電気信号に変換されることで、撮像が行われる。撮像素子17によって画素毎に変換された電気信号は、ラスタスキャンによりコントローラ30へ出力される。
【0026】
コントローラ30は、レーザ溶接装置Sの全体の制御素子を行うものである。コントローラ30には、ティーチペンダント23が接続されている。ティーチペンダント23は、コントローラ30に対して、レーザ溶接装置Sの動作に関する設定や、ワークAに対して溶接を行う軌跡を示す溶接線Lの教示(プログラム)等をするための入力手段としての役割を担うと共に、レーザ溶接装置Sの運転状態を表示する表示手段としての役割を担うものである。
【0027】
ティーチペンダント23により溶接線Lの教示が行われる場合、コントローラ30に設けられ又は接続された表示装置(図示せず)、若しくは、ティーチペンダント23に設けられた表示装置(図示せず)に、撮像素子17によって撮像されたワークAの溶接面が表示される。使用者は、表示装置に表示されたワークAの溶接面を見ながら、ワークAにおける溶接線Lの教示を行う。
【0028】
このとき、コントローラ30は、撮像素子17により撮像されたワークAの画像から検出される接合予定部から特徴点を検出し、その特徴点に基づいて、ワークAにおける溶接線Lが設定されるよう、表示装置に表示される画像を通して使用者を支援し、また、ティーチペンダント23の操作の受付の可否を判断する。
【0029】
ティーチペンダント23により教示されたワークAの溶接線Lの位置を示す情報は、コントローラ30に設けられたRAM33(図2参照)に記憶され、また、ガルバノスキャナコントローラ18にも送信される。
【0030】
コントローラ30は、また、ワークAの溶接を行っている期間中、撮像素子17により撮像されたワークAの画像から、レーザ光の照射位置を検出し、また、溶接線Lの位置を複数点検出する。撮像されたワークAの画像からの溶接線Lの位置の検出は、溶接線Lの教示が行われるときに使用された特徴点を検出することによって行われる。そして、コントローラ30は、その検出された複数点から推定される溶接線Lの位置と、検出されたレーザ光の照射位置とのずれ量を算出し、そのずれ量に基づいて、レーザ光Cの照射位置が溶接線Lへと移動するよう補正するために、その位置補正量を算出する。この位置補正量を算出するときに、コントローラ30は、撮像素子17により撮像されたワークAの画像から推定される溶接線Lの位置等の信頼度を、溶接線Lの位置として検出された複数点のばらつきに基づいて算出し、この信頼度を反映させて、位置補正量を算出する。
【0031】
これにより、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置等の信頼度に応じて、レーザ光Cの照射位置の補正を適応的に調整できる。つまり、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置等の信頼度が高い場合には、その推定された溶接線Lの位置に基づいて算出されたずれ量をほぼ位置補正量に反映させるのに対し、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置等の信頼度が低い場合には、その推定された溶接線Lの位置に基づいて算出されたずれ量よりも位置補正量を小さくする。よって、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置等の信頼度が低い場合に、位置補正によって、かえってレーザ光Cの照射位置が実際の溶接線Lよりもずれてしまうことを抑制でき、望ましい位置でレーザ溶接を可能とすることができる。
【0032】
また、コントローラ30は、溶接線Lの信頼度だけでなく、撮像されたワークAの別の特徴点に基づいて信頼度を算出し、その信頼度も加味してレーザ光Cの照射位置の位置補正量を決定する。即ち、コントローラ30では、溶接線Lとは別の特徴点として検出可能な線をガイド線Gとして設定する(図4参照)。このガイド線Gとしては、例えば、ワークAの外縁が設定される。コントローラ30は、撮像されたワークAの画像からワークAの外縁を示す特徴点を複数検出し、その複数のガイド線Gを示す点からガイド線Gの位置を推定する。ここで、使用者より教示される溶接線Lは、ワークAの外縁から距離Ts離れたところに設定される場合を想定する。つまり、撮像されたワークAの画像から推定されたガイド線Gと溶接線Lとの距離Tの期待値はTsとなる。そこで、実際に撮像された画像から推定されたガイド線Gと溶接線Lとの距離T(測定値)と、その距離の期待値Tsとの差や、撮像されたワークAの画像から検出されたガイド線Gの複数の点のばらつき
に基づいて、信頼度を算出する。種々の信頼度を用いて、レーザ光Cの照射位置の補正を適応的に調整することで、より望ましい位置でレーザ溶接を可能とすることができる。なお、本実施形態では、ガイド線GとしてワークAの外縁を設定する場合について説明するが、溶接線Lから所定距離Ts離れた線であって、撮像されたワークAの画像から特徴点が検出される線であれば、ガイド線Gとして採用可能である。また、そのガイド線Gは、溶接線Lの外側だけでなく内側に設定されてもよい。
【0033】
なお、このレーザ光Cの照射位置の補正の詳細については、図3及び図4を参照して後述する。
【0034】
ガルバノスキャナコントローラ18は、ワークAの平面上の所望の位置に、レーザ光Cが照射されるように、ガルバノスキャナ20に設けられたX軸変位モータ20a及びY軸変位モータ20bを駆動するものである。ガルバノスキャナコントローラ18は、コントローラ30より予め受信した、使用者より教示されたワークAの溶接線Lの位置に基づいてX軸変位モータ20a及びY軸変位モータ20bを駆動し、ワークAに対して、その教示されたワークAの溶接線Lの位置にレーザ光Cを照射する制御を行う。また、ガルバノスキャナコントローラ18は、レーザ光Cを照射中にコントローラ30より位置補正量を受信した場合は、その位置補正量を加味して、使用者より教示されたワークAの溶接線Lの位置を補正し、補正後のワークAの溶接線Lの位置へレーザ光Cが照射されるよう、X軸変位モータ20a及びY軸変位モータ20bを駆動する。
【0035】
次いで、図2を参照して、コントローラ30の詳細構成について説明する。図2は、コントローラ30の電気的構成を示したブロック図である。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33を有しており、それらはバスライン34を介して接続されている。また、バスライン34には、撮像素子17と、ガルバノスキャナコントローラ18と、ティーチペンダント23とが接続される他、図示しない表示装置が接続されている。
【0036】
CPU31は、ROM32に記憶されたプログラムに従って、レーザ溶接装置Sを制御する演算装置である。ROM32は、CPU31によって実行されるプログラムや固定値データ等を記憶するための書き換え不能な不揮発性のメモリである。例えば、図3に示す位置補正処理を実行するためのプログラムはROM32に格納される。RAM33は、書き換え可能な揮発性のメモリであり、CPU31によるプログラムの実行時に各種のデータを一時的に記憶する。
【0037】
ここで、図3及び図4を参照して、コントローラ30により実行される、レーザ光Cの照射位置の位置補正処理について説明する。図3は、コントローラ30のCPU31により実行される位置補正処理を示すフローチャートである。図4は、ワークAの溶接中に撮像素子17にて撮像されたワークAの画像50を模式的に示した模式図であり、位置補正量を算出するために必要な各種パラメータを説明したものである。
【0038】
位置補正処理は、CPU31により、ワークAに対してレーザ光Cが照射されている期間中、即ち、ワークAの溶接が行われている期間中に、所定時間間隔(例えば10ミリ秒毎)に実行される処理である。
【0039】
位置補正処理では、まず、画像取込処理を実行する(S1)。画像取込処理(S1)では、ワークAの撮像を撮像素子17へ指示し、撮像素子17からラスタスキャンによって出力され、A/D変換器によってディジタル値に変換された各画素の画像データをRAM33に格納する。
【0040】
この画像取込処理(S1)では、露光時間を短くして撮像素子17にて撮像したワークAの画像データと、露光時間を長くして撮像素子17にて撮像したワークAの画像データとを、連続して取り込んでいる。露光時間の異なる2つの画像データを取り込むのは、次の理由による。露光時間が長いと、レーザ光Cの強度の強い光の反射により、レーザ光Cが照射される位置付近が白飛びしてしまい、レーザ光Cの照射位置CSの検出や、その照射位置CS付近でのワークAに設定された溶接線Lの検出、及び、ワークAの外縁であるガイド線Gの検出ができなくなる。
【0041】
一方で、露光時間を短くして、レーザ光Cの照射位置付近も白飛びなく画像を撮像した場合は、レーザ光Cの照射位置から遠い領域が黒潰れしてしまい、その領域において、ワークAに設定された溶接線Lの検出、及び、ガイド線Gの検出ができなくなる。そこで、露光時間の異なる2つの画像データを取り込むことで、レーザ光Cが照射された位置付近については露光時間の短い画像データを使用し、また、レーザ光Cが照射された位置より遠い領域については露光時間の長い画像データを使用することで、レーザ光Cの照射位置CSの検出、溶接線Lの検出、及び、ガイド線Gの検出を確実に行うことができる。
【0042】
次いで、レーザスポット検出処理を実行する(S2)。レーザスポット検出処理(S2)では、S1により取り込まれた2つの画像データのうち露光時間の短い画像データを用いて、レーザ光Cの現在の照射位置(スポット点の位置)CS(図4参照)を画像処理にて検出する。レーザ光Cの現在の照射位置CSの検出に、露光時間の短い画像データを用いるので、レーザ光Cの照射位置付近は白飛びしていない。よって、画像データからレーザ光Cの現在の照射位置CSを正確に検出できる。
【0043】
次いで、ウィンドウ設定処理を実行する(S3)。ウィンドウ設定処理(S3)では、S1により取り込まれた画像データに対して、溶接線L及びガイド線Gを検出するための矩形の領域(ウィンドウ)を設定する。具体的には、S2の処理により検出されたレーザ光Cの現在の照射位置CSから、現在のレーザ光Cの移動方向に向けて、所定距離離れた位置にある所定の大きさの範囲が、ワークAの溶接線L及びガイド線Gを検出する領域(ウィンドウ)として設定される。
【0044】
なお、領域(ウィンドウ)の形状は、必ずしも矩形である必要はなく、その形状は任意のものであってよい。例えば、領域(ウィンドウ)の形状として、平行四辺形がS3の処理により設定されてもよい。この場合、平行四辺形の4辺のうち、平行する2辺の傾きが、使用者により教示された溶接線Lの傾きと略平行となるようにしてもよい。これにより、ワークAの特徴点54を検出する領域(ウィンドウ)が余分に広く設定されることを抑制できるので、溶接線L及びガイド線Gの検出に係る時間を短くでき、また、誤検出が発生する可能性を低く抑えることができる。
【0045】
また、領域(ウィンドウ)の大きさを、その領域(ウィンドウ)が設定されるワークAにおける場所(ワークAの中央か、端か、等)に応じて、変化させてもよい。これにより、領域(ウィンドウ)が設定されるワークAにおける場所がワークAの中央部であれば、領域(ウィンドウ)の大きさを大きくして、溶接線Lの位置をより多くの点で検出することで、撮像された画像における溶接線Lの位置をより正確に推定できるとともに、ガイド線Gを確実に検出できる。一方、領域(ウィンドウ)が設定されるワークAにおける場所がワークAの端部であれば、領域(ウィンドウ)の大きさを小さくして、ワークA以外の部分について溶接線Lやガイド線Gの検出が行われることを抑制できる。
【0046】
次いで、溶接線検出処理を実行する(S4)。溶接線検出処理(S4)では、S1の処理により取り込まれた2つの画像データから、S3の処理により設定された領域(ウィンドウ)に含まれる、ワークAの特徴点を複数検出し、その特徴点を溶接線Lの位置を示す複数の点LDとして検出する。ここで、領域(ウィンドウ)のうち、S2の処理により検出されたレーザ光Cの現在の照射位置CSが近い領域については、露光時間の短い画像データを使用して、溶接線Lの位置を示す点LDを検出する。また、領域(ウィンドウ)のうち、S2の処理により検出されたレーザ光Cの現在の照射位置CSが遠い領域については、露光時間の長い画像データを使用して、溶接線Lの位置を示す点LDを検出する。これにより、領域(ウィンドウ)を、レーザ光Cの現在の照射位置CSより近い領域から遠い領域に広く設定しても、その領域(ウィンドウ)に存在する溶接線Lの位置を示す複数の点LDを確実に検出できる。
【0047】
次いで、ガイド線検出処理を実行する(S5)。ガイド線検出処理(S5)では、S1の処理により取り込まれた2つの画像データから、S3の処理により設定された領域(ウィンドウ)に含まれる、ワークAの外縁に位置する点を複数検出し、その点をガイド線Gの位置を示す複数の点GDとして検出する。ここで、領域(ウィンドウ)のうち、S2の処理により検出されたレーザ光Cの現在の照射位置CSが近い領域については、露光時間の短い画像データを使用して、ガイド線Gの位置を示す点GDを検出する。また、領域(ウィンドウ)のうち、S2の処理により検出されたレーザ光Cの現在の照射位置CSが遠い領域については、露光時間の長い画像データを使用して、ガイド線Gの位置を示す点GDを検出する。これにより、領域(ウィンドウ)を、レーザ光Cの現在の照射位置CSより近い領域から遠い領域に広く設定しても、その領域(ウィンドウ)に存在するガイド線Gの位置を示す複数の点GDを確実に検出できる。
【0048】
次いで、レーザ光Cの現在の照射位置CSと、溶接線Lとのずれ量Dを算出する(S6)。具体的には、図4に示す通り、溶接線Lの位置を示す複数の点LDから溶接線Lの位置を推定し、その推定された溶接線Lの位置に対して、レーザ光Cの現在の照射位置CSがどれだけずれているかをずれ量Dとして算出する。
【0049】
次いで、ガイド線Gと溶接線Lとの距離Tを算出する(S7)。具体的には、図4に示す通り、ガイド線Gの位置を示す複数の点GDからガイド線Gの位置を推定し、その位置が推定されたガイド線Gと、S6の処理で位置が推定された溶接線Lとの距離Tを算出する。
【0050】
次いで、溶接線Lの位置を示す複数の点LDの標準偏差δ1を算出する(S8)。標準偏差δ1は次の数1を用いて算出する。
【0051】
【数1】
数1において、aは、S4の処理にて検出された溶接線Lの位置を示す複数の点の数であり、LD1,LD2,LD3,・・・,LDa(以下、まとめてLDi(i=1〜a)と称す)は、S4の処理にて検出された溶接線Lの位置を示す各々の点について、S6の処理で推定された溶接線Lからの距離と方向を示す情報であり、LDAは、溶接線Lの位置を示す全ての点におけるLDiの平均値である。
【0052】
次いで、ガイド線Gの位置を示す複数の点GDの標準偏差δ2を算出する(S9)。標準偏差δ2は次の数2を用いて算出する。
【0053】
【数2】
数2において、bは、S5の処理にて検出されたガイド線Gの位置を示す複数の点の数であり、GD1,GD2,GD3,・・・,GDb(以下、まとめてGDb(i=1〜b)と称す)は、S5の処理にて検出されたガイド線Gの位置を示す各々の点について、S7の処理で推定されたガイド線Gからの距離と方向を示す情報であり、GDAは、ガイド線Gの位置を示す全ての点におけるGDiの平均値である。
【0054】
次いで、S6の処理で推定された溶接線Lの信頼度k1を、S8の処理により算出した標準偏差δ1から、次の数3を用いて算出する。
【0055】
【数3】
数3において、n1とδs1とは、標準偏差δ1の値に対して算出される信頼度k1を調整するための調整用パラメータである。ここで、標準偏差δ1が小さいほど、即ち、S4の処理により検出された溶接線Lの位置を示す複数の点LDのばらつきが小さいほど、S6の処理で推定された溶接線Lの信頼度が高いとして、数3により算出される信頼度k1が1に近づく。一方、標準偏差δ1が大きいほど、即ち、S4の処理により検出された溶接線Lの位置を示す複数の点LDのばらつきが大きいほど、S6の処理で推定された溶接線Lの信頼度が低いとして、数3により算出される信頼度k1が0に近づく。
【0056】
次いで、S7の処理で推定されたガイド線Gの信頼度k2を、S9の処理により算出した標準偏差δ2から、次の数4を用いて算出する。
【0057】
【数4】
数4において、n2とδs2とは、標準偏差δ2の値に対して算出される信頼度k2を調整するための調整用パラメータである。ここで、標準偏差δ2が小さいほど、即ち、S5の処理により検出されたガイド線Gの位置を示す複数の点GDのばらつきが小さいほど、S7の処理で推定されたガイド線Gの信頼度が高いとして、数4により算出される信頼度k2が1に近づく。一方、標準偏差δ2が大きいほど、即ち、S5の処理により検出されたガイド線Gの位置を示す複数の点GDのばらつきが大きいほど、S7の処理で推定されたガイド線Gの信頼度が低いとして、数4により算出される信頼度k2が0に近づく。
【0058】
次いで、S7の処理にて算出されたガイド線Gと溶接線Lとの距離Tの信頼度k3を、次の数5を用いて算出する。
【0059】
【数5】
数5において、Tsは、上述した通り、ガイド線Gと溶接線Lとの距離の期待値である。また、n3とcとは、S7の処理にて算出されたガイド線Gと溶接線Lとの距離Tの値に対して算出される信頼度k3を調整するための調整用パラメータである。ここで、S7の処理にて算出されたガイド線Gと溶接線Lとの距離Tが期待値Tsに近いほど、その算出された距離Tの信頼度が高いとして、数5により算出される信頼度k3が1に近づく。一方、S7の処理にて算出されたガイド線Gと溶接線Lとの距離Tが期待値Tsと離れているほど、その算出された距離Tの信頼度が低いとして、数5により算出される信頼度k3が0に近づく。
【0060】
次いで、S10〜S12の処理により算出された各信頼度k1,k2,k3を乗算して、トータルの信頼度k(=k1×k2×k3)を算出する(S13)。そして、S6の処理により算出されたずれ量Dに対し、S13の処理により算出されたトータルの信頼度kを乗算して得られる量(k×D)を、レーザ光Cの照射位置の位置補正量とし、ガルバノスキャナコントローラ18へ出力する(S14)。そして、位置補正処理を終了する。
【0061】
ガルバノスキャナコントローラ18は、コントローラ30がS14の処理によって出力した位置補正量を受信すると、その位置補正量を加味して、使用者より教示されていたワークAの溶接線Lの位置を補正し、補正後のワークAの溶接線Lの位置へレーザ光Cが照射されるよう、X軸変位モータ20a及びY軸変位モータ20bを駆動する。
【0062】
以上のように、本実施形態におけるレーザ溶接装置Sによれば、コントローラ30が位置補正処理を実行することにより、S1の処理によって撮像素子17により撮像されたワークAの画像より、レーザ光Cの照射位置CSがS2の処理により検出され、また、溶接線Lの位置を示す複数の点LDがS4の処理により検出される。そして、検出されたレーザ光Cの照射位置CSと、複数点LDから推定される溶接線Lの位置とのずれ量Dが、S6の処理により算出される。一方、溶接線Lの位置を示す複数の点LDのばらつき(標準偏差δ1)に基づいて、溶接線Lの位置の信頼度k1がS10の処理により算出される。そして、その算出された溶接線Lの位置の信頼度k1と、S6の処理により算出されたずれ量Dとに基づいて、レーザ光Cの照射位置CSを補正するための位置補正量がS14の処理により算出される。その算出された位置補正量に基づいて、レーザ光Cの照射位置CSが、ガルバノスキャナコントローラ18によって補正される。
【0063】
ここで、ワークAに傷が生じていたり、レーザ溶接によってワークA上にヒュームが発生したり、溶接線L上に所謂ダレがあったりすると、撮像したワークAからの溶接線Lの位置の検出精度が劣化するおそれがある。よって、検出精度の悪い状態で検出した溶接線Lの位置をそのまま使用して、レーザ光Cの照射位置CSの位置補正量を決定すると、かえって、レーザ光Cの照射位置が実際の溶接線Lからずれてしまうという問題点が生じ得る。
【0064】
これに対し、本実施形態では、撮像されたワークAの画像より検出される溶接線Lの位置を示す複数の点LDのばらつきに基づいて溶接線Lの位置の信頼度k1が算出され、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置とレーザ光Cの照射位置CSとのずれ量Dだけでなく、溶接線Lの位置の信頼度k1をも考慮して、レーザ光Cの照射位置CSを補正するための位置補正量が算出される。よって、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置等の信頼度に応じて、レーザ光Cの照射位置の補正を適応的に調整できる。つまり、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置等の信頼度が高い場合には、その推定された溶接線Lの位置に基づいて算出されたずれ量をほぼ位置補正量に反映させるのに対し、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置等の信頼度が低い場合には、その推定された溶接線Lの位置に基づいて算出されたずれ量よりも位置補正量を小さくする。よって、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置等の信頼度が低い場合に、位置補正によって、かえってレーザ光Cの照射位置が実際の溶接線Lよりもずれてしまうことを抑制でき、望ましい位置でレーザ溶接を可能とすることができる。
【0065】
また、撮像されたワークAの画像より、溶接線Lから距離Tsだけ離れた場所に存在し得るガイド線Gの位置を示す複数の点GDが、S5の処理により検出される。その検出された複数の点GDから推定されるガイド線Gの位置と、S4の処理により検出された複数の点LDから推定される溶接線Lの位置との距離Tと、その期待値である距離Tsとの誤差が算出され、その誤差に基づいて算出された距離Tの信頼度k3がS12の処理により算出される。また、S5の処理により検出されたガイド線Gの位置を示す複数の点GDのばらつき(標準偏差δ2)に基づいて、推定されたガイド線Gの位置の信頼度k2がS11の処理により算出される。そして、S10〜S12の処理により算出された各信頼度k1,k2,k3と、S6の処理により算出されたずれ量Dとに基づいて、レーザ光Cの照射位置CSを補正するための位置補正量がS14の処理により算出される。これにより、撮像されたワークAの画像より推定される溶接線Lの位置とレーザ光Cの照射位置CSとのずれ量だけでなく、溶接線Lの位置の信頼度k1と、ガイド線Gの位置の信頼度k2と、ガイド線Gの位置と溶接線Lの位置との距離Tの信頼度k3とをも考慮して、レーザ光Cの照射位置CSを補正するための位置補正量が算出される。よって、各信頼度k1〜k3に応じて、レーザ光Cの照射位置CSの補正を適応的に調整できるので、より望ましい位置でレーザ溶接を行うことができる。
【0066】
また、ガイド線Gは、特徴点としてすぐに検出し易いワークAの外縁に設けられるので、撮像素子17により撮像された画像から容易に且つ精度よくガイド線Gを検出できる。
【0067】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、図1に、レーザ溶接装置Sの構成を示したが、そのレンズやミラーの配置は、レーザ溶接装置Sの構成によって適宜変更されてよい。また、図2に、本発明の一実施形態であるコントローラ30の電気的構成を示したが、図3に示した処理を実現できるものであれば、その電気的構成は図2に示したものに何ら限定されるものではない。
【0068】
また、上記実施形態では、X−Y2軸のガルバノスキャナ20を用いて、ワークAに照射されるレーザ光Cの照射位置CSを変位させるレーザ溶接装置Sについて説明したが、X−Y−Z3軸のガルバノスキャナを用いて、ワークに照射されるレーザ光の照射位置を変位させるレーザ溶接装置に対して、本発明を適用してもよい。また、多関節ロボットにレーザ光を照射するガルバノスキャナ又は単眼ヘッドを搭載し、多関節ロボットを移動させることで、ワークに照射されるレーザ光の照射位置を変位させるレーザ溶接装置に対して、本発明を適用してもよい。また、レーザ光を変位させるのではなく、ワークが設置されるテーブルをX−Y2軸、X−Y−Z3軸又は5軸に移動させることで、ワークに照射されるレーザ光の照射位置を変位させるレーザ溶接装置に対して、本発明を適用してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ワークAに照射されるレーザ光Cの照射位置CSを2次元に変位可能としたレーザ溶接装置に対して、本発明を適用した場合について説明したが、単眼ヘッドからワークに対してレーザ光を照射し、その単眼ヘッド又はワークが設置されるテーブルを一方向に移動させてレーザ溶接を行うレーザ溶接装置に対しても、本発明は適用可能である。この場合、検出されたワークの特徴点の位置と、教示された溶接線Lとに、ずれ量が検出されると、検出されたワークの特徴点の位置にレーザ光が照射されるように、ワークの溶接線方向に対して直角方向にレーザ光の照射位置を移動させるべく、位置補正量を算出してもよい。そして、その位置補正量に基づいて、単眼ヘッド又はテーブルを、溶接線方向に対して直角方向に移動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 レーザ発振器
17 撮像素子(撮像手段)
18 ガルバノスキャナコントローラ(照射位置制御手段の一部)
20 ガルバノスキャナ(照射位置制御手段の一部)
33 RAM(記憶手段)
A ワーク(溶接対象物)
C レーザ光
G ガイド線
L 溶接線
S レーザ溶接装置
T 距離(推定距離)
S3 (所定領域設定手段)
S4 (溶接線検出手段)
S5 (ガイド線検出手段)
S6 (ずれ量算出手段)
S10 (溶接線信頼度算出手段)
S11 (ガイド線信頼度算出処理)
S12 (誤差算出手段、推定距離信頼度算出手段)
S14 (位置補正量算出手段)
図1
図2
図3
図4