(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支柱の上下方向の長さは、前記天井管と前記下側管のうち、一方の管を前記外管に収容した状態で、他方の管を前記外管から引き出すことにより、調整可能である、請求項2〜7のいずれかに記載のパラソル。
前記一方の管を前記外管に収容した状態で、前記他方の管を前記外管から引き出した場合においても、前記支柱の上下方向の長さが所定の長さに満たないとき、前記一方の管を前記外管から引き出して、前記支柱の上下方向の長さが前記所定の長さを満たすように調整可能である、請求項8に記載のパラソル。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示のものに限られないことはいうまでもない。
【0011】
本発明の実施形態は、従来の日よけ装置の課題等を解決するためのもので、パラソル本体を保持する支柱を様々な長さに調整でき、多種多様な建造物や設置場所に突っ張り棒方式で支柱を固定できるパラソルを提供することを課題とする。また、支柱を分割式にすることにより梱包のサイズを小さくし、輸送コストの低減を可能とすることを課題とする。また、建造物の出入り口等の妨害にならないパラソルを提供することを課題とする。
【実施例1】
【0012】
図1は本実施例に係るパラソル1の背面図であり、
図2は側面図であり、
図3は正面図であり、
図4は上面図である。
図1及び
図2に示すように、パラソル1には下方向に伸びる1本の支柱10が設けられている。当該支柱10は内部が中空の円筒柱であり、例えば鉄やアルミニウムで形成されている。支柱10の上部付近にはリング状の上ろくろ11が支柱10に貫通固定されている。上ろくろ11の下方には、リング状の下ろくろ12が支柱10の長手方向に沿って上下方向に移動可能に支柱10に貫通して設けられている。上ろくろ11及び下ろくろ12は、例えば合成樹脂で形成されている。
【0013】
上ろくろ11には、長さが等しい5本の親骨20の端部が接合されている。各親骨20は、垂直方向に回動可能かつ水平方向に回動不能に設けられている。尚、親骨20の数は、2本以上であれば任意に設計してよい。
【0014】
下ろくろ12と各親骨20の中間部とは、それぞれ1本の受骨30で連結されている。下ろくろ12を支柱10に沿って移動させると、その動きに連動して親骨20及び受骨30が垂直方向に回動するようになっている。親骨20及び受骨30は、例えばステンレス、アルミニウム、めっき加工や塗装された鉄等で形成されている。
【0015】
支柱10には、下ろくろ12の下方への移動を制約する突起部13が設けられている。
図1及び
図2には、下ろくろ12がその下側に位置する突起部13に係止されることにより、下方への移動が制約されている状態が示されている。突起部13が下ろくろ12の下方への移動を制約する係止部材となる。当該突起部13は、上端部が水平方向に突出し、当該突出した上端縁から下端部に向けて支柱10側に傾斜する斜面を有する。
【0016】
支柱10の外周面には上下方向に延びるスリット(不図示)が形成されており、突起部13は支柱10内に設けられた弾性機構(不図示)により、支柱10の内部から当該スリットを通して外部に突出付勢されている。
【0017】
図1及び
図2に示す下ろくろ12が突起部13に係止されている状態において、突起部13に外部から支柱10方向に力が加えられると、突起部13は支柱10の内部に入り込む。これにより、下ろくろ12と突起部13との係止が解かれ、下ろくろ12は突起部13よりも下方に移動可能となる。パラソル1を収納したり運搬したりする際には、かさばらないように下ろくろ12を突起部13よりも下側に移動させて、親骨20及び受骨30を支柱10に近接配置することが可能となる。
【0018】
下ろくろ12が突起部13よりも下方にある時に、下ろくろ12を上方に移動させた場合、下ろくろ12が突起部13の位置に達すると、突起部13は下ろくろ12の筒内壁により押圧されて支柱10の内部に入り込む。これにより、下ろくろ12は突起部13の位置よりも上方に移動可能となる。下ろくろ12が突起部13よりも上方に移動すると、突起部13は支柱10内部から外部へ突出し、下ろくろ12は突起部13に係止され、各親骨20は固定された位置に配置される。
【0019】
ここで、下ろくろ12と突起部13の関係は、図示したものに限られない。
図5は、下ろくろ及び突起部を説明する拡大図である。パラソル1は通常の傘よりも大きく、下ろくろ12も大きなものとなる。そこで、
図5(A)に示すように、突起部13が、下ろくろ12の下端でなく、下ろくろ12の内部において下ろくろ12を係止することが考えられる。
【0020】
この場合、突起部13を支柱10の内部に押しこむための押ボタン14が下ろくろ12に設けられる。
図5(B)に示すように、押ボタン14を押して突起部13を支柱10の内部に押しこみ、下ろくろ12を移動させる。
【0021】
図6は、下ろくろの別構造を説明する拡大図である。
図6(A)に示すように、下ろくろ12の中に円盤部15が設けられている。円盤部15は、支柱10を貫通させ得る孔部を中央に有する。
【0022】
支柱10には、
図6(B)に示すように細径部10xが設けられている。
図6(C)は、下ろくろ12が係止された状態における
図6(A)のS−S線断面図である。円盤部15は、バネ15aによって図面下方に付勢されている。これにより、円盤部15が細径部10xに入り、下ろくろ12の下方への移動を制約する係止部材として機能する。
【0023】
支柱10には、
図6(B)に示すように細径部10xが設けられている。
図6(C)は、下ろくろ12が係止された状態における
図6(A)のS−S線断面図である。円盤部15は、バネ15aによって図面下方に付勢されている。これにより、円盤部15が細径部10xに入り、下ろくろ12の下方への移動を制約する係止部材として機能する。
【0024】
押ボタン14を押すことによって、
図6(D)に示すように、円盤部15を移動してその孔部に支柱10が貫通するようにでき、下ろくろ12と円盤部15との係止が解かれ、下ろくろ12は下方に移動可能となる。
【0025】
図7は、下ろくろを移動させる別構造を説明する図である。下ろくろ12には、ワイヤ16が接続され、ワイヤ16を上方に引くことで下ろくろ12が上方に移動する。ワイヤ16を上方に引かずに、自由長にすれば下ろくろ12は自重により下方に移動する。
【0026】
ワイヤ16は、滑車17aを周回し、リール17bに巻回されている。リール17bは、支柱10の外部に設けられたハンドル17cを操作して回動させることができる。ハンドル17cを操作して、ワイヤ16をリール17bに巻き取ることで、下ろくろ12を上方に移動することができる。また、ワイヤ16をリール17bから外すことで、下ろくろ12を下方に移動することができる。
【0027】
下ろくろ12を上方に移動させて、パラソルを開いた状態で下ろくろ12を係止させる場合、ワイヤ16が下ろくろ12の下方への移動を制約する係止部材として機能する。
【0028】
また、下ろくろ12の上方への過剰な移動を防止するため、支柱10にストッパ(下ろくろを係止する突起)を設けてもよい。
【0029】
親骨20は、上面視において略180度の角度に設けられた2本の端親骨201と、当該端親骨201以外の3本の中親骨202と、で構成される。
図3に示すように、2本の端親骨201は直線を形成し、3本の中親骨202は当該2本の端親骨201が形成する直線に対する一側のみに存する。当該中親骨202は、1の端親骨201から他の端親骨201に向けて、等しい角度(ここでは45度)で順に配置されている。尚、中親骨202の数は3本に限らず、1本以上であれば、何本でもよい。
【0030】
親骨20の間にはシート40が設けられている。
図3に示すように、当該シート40は、2本の端親骨201が形成する直線に対する一側に存する。本実施例では、1枚のシート40により、端親骨201及び中親骨202全体を被服している。被覆する際に、2本の端親骨201がシート40の径に相当する部分に位置し、中親骨202の端部がシート40の円周に相当する部分に位置するように、位置合せされている。シート40の素材としては、各種のテント生地を採用することができる。シート40には、紫外線カット処理、防水コーティング、撥水加工などを施してもよい。
【0031】
ここで、シート40が傾斜して設けられるので、親骨20(端親骨201及び中親骨202)は、シート40の向こう側にある。図は、シート40が透明であり、親骨20(端親骨201及び中親骨202)が見えるものとして描いた。シート40の下縁を1点鎖線で示す。当然、シート40が透明でなく、親骨20(端親骨201及び中親骨202)が視認されないものとしてよい。
【0032】
尚、シート40は1枚ものに限らず、中心角が45度の4枚の扇形のシートを用いてもよい。この場合には、各シートの扇形の径に相当する縁部を各親骨20に長手方向に沿って連結することとなる。
【0033】
また、2本の端親骨201の間にシート41を設けてもよい(
図2参照)。
図3(
図1、
図2と相違し、シート41を不透明に描いてある。)に示すように、シート41は、背面側を覆い、シート40と合わせて、パラソル1の周縁を1周する。
【0034】
当該支柱10の上側及び下側にはそれぞれ伸縮部101、102が設けられている。建物の軒下等に当該支柱10を突っ張り棒形式に架設する際に、伸縮部101、102を伸縮させることにより、支柱10の長さを天井面と床面との距離に等しくなるように調整することができる。
【0035】
伸縮部101、102の伸縮構造は、公知のものを用いることができる。例えば、
図8(A)に示す構造とすることができる。図は、下側の伸縮部102を示すが、上側の伸縮部101も同様でよい。伸縮部102に設けられた雌ネジ102bと支柱10に設けられた雄ネジ10yとが螺合し、伸縮部102を回動することで伸縮部102の支柱10からの突起長さ(パラソル1の高さ)が調整される。
【0036】
図8(A)では、伸縮部101、102の先端には、円盤状のパット101a、102aが設けられている。パット102aは、伸縮部(の本体)102に対し、ネジを有さず自由に回動可能である。この構造により、パット102aを地面に当接させて固定したままで、伸縮部102を回動してパラソル1の高さを調整することができる。尚、パット102aは、下面が平坦であれば、円盤状でなくてもよく、半球状その他の形状であってもよい。
【0037】
上側の伸縮部101は、シート40及び上ろくろ11の位置よりも上側に設けられている。したがって、パラソル1を軒先に設置する際には、まず、支柱10の外管と内管の接続位置を調整して所望の長さに調整した後に、下側の伸縮部102を用いて支柱10の長さを建物の軒先の天井面と床面との間の距離と等しくなるように調整することができる。尚、外管と内管の接続位置の調整については、後述の実施例4でより詳細に説明する。
【0038】
ここで、伸縮部101、102は、必ずしも両方を設けなくともよい。例えば、下側の伸縮部102のみを設け、上側はパット101aのみとしてもよい。シート40よりも上側の長さはほぼ一定であり、下側の伸縮部102のみを用いて支柱10の長さを調整することでも十分である。
【0039】
ここで、上側をパット101aのみとする場合、生産の容易性から、パット101aをパット102aと同一の部材とすることが考えられる。そうすると、パット101a、パット102aの双方が、回動可能となる。誤って支柱10(及びパラソル1)が回動してしまい危険な場合も考えられるので、パット101aを支柱10にネジ止め等で固定し、支柱10の回動を制止することが好ましい。又は、
図8(B)のように、パット101aに凸型接続面を設け、それに対応する支柱10に凹型接続面を設けて、凸型接続面と凹型接続面とが係合することで、支柱10が回動することを防止することができる。
【0040】
このようなパラソル1を建物の軒下に設置する際の手順について説明する。設置前のパラソル1は、下ろくろ12が突起部13の下側に位置し、親骨20及び受骨30が支柱10に近接して配置されている。
【0041】
まず、支柱10の外管と内管の接続位置を調整する事により支柱10の長さを所望の長さに調整した後に、下側の伸縮部102を用いて支柱10の長さを建物の軒先の天井面と床面との間の距離と等しくなるように調整する。
【0042】
次に、使用目的や好みに応じて、シート40を軒下の天井面に近接させるか、シート40と天井面との間の間隔を十分にとるか等を検討し、天井面とシート40との距離を決定する。当該決定した天井面とシート40との間の距離に応じて、支柱10の上側の伸縮部101の長さを調整する。ただし、天井面とシート40との間の距離を固定し、上側の伸縮部101がないものとしてよい。
【0043】
次に、軒下の天井面と床面との距離に応じて、支柱10の下側の伸縮部102の長さを調整し、支柱10を突っ張り棒状態で天井面と床面との間に架設する。
【0044】
次に、下ろくろ12を突起部13の上側まで支柱10に沿って上方にスライドさせて、各親骨20を水平状態にしてシート40を開き、下ろくろ12を突起部13に係止する。これによりパラソル1の設置が完了する。
【0045】
このように、パラソル1を建物の軒先等に設置する際には、支柱10の外管と内管の接続位置を調整する事により支柱10の長さを所望の長さに調整した後に、伸縮部101、102(又は伸縮部102のみ)を用いて調整し、支柱10を天井面と床面との間に架設した後、下ろくろ12を上方に移動させて突起部13に係止すればよいため、労力をかけずに容易に設置することができる。
【実施例2】
【0046】
次に、実施例2について説明する。実施例1において説明したことはそのまま用いられる。実施例1との相違を中心に説明し、共通の部分は詳細な説明を省略する。
図9は、本実施例に係るパラソル1aの上面図である。
【0047】
本実施例に係るパラソル1aの親骨20aは、2本の端親骨201aと、2本の中親骨202aと、で構成される。下ろくろ12を上に置きパラソルを開いた状態においては、
図9に示すように、2本の端親骨201aと2本の中親骨202aとの先端である4点が、上面視において長方形の4頂点に配される。これらの端親骨201a及び中親骨202a全体は、2本の端親骨201aと2本の中親骨202aとの先端である4点を頂点とする長方形状のシート40aによって被覆されている。
【0048】
このように、2本の端親骨201aと2本の中親骨202aとの先端である4点が上面視において長方形の4頂点に配されるように構成することで、パラソル1aに設ける支柱10を1本のみとしているにも関わらず、シート40aの形状を、広い幅の長方形とすることができる。
【0049】
ここで、シート40aが傾斜して設けられるので、親骨20a(端親骨201a及び中親骨202a)は、シート40aの向こう側にある。図は、シート40aが透明であり、親骨20a(端親骨201a及び中親骨202a)が見えるものとして描いた。シート40aの下縁を1点鎖線で示す。シート40aが透明でなく、親骨20a(端親骨201a及び中親骨202a)が視認されないものとしてよい。
【0050】
尚、シート40aの弛みを防ぐために、例えば
図10に示すようにパラソル1が横方向に長い場合に、下ろくろ12を突起部13に係止した状態において、水平方向かつ端親骨201に対して垂直方向に伸びる中親骨202bを1本設けてもよい。この場合には、当該中親骨202bと下ろくろ12とを連結する受骨30を1本追加で設けることとなる。
【実施例3】
【0051】
次に、実施例3について説明する。実施例1、2において説明したことはそのまま用いられる。実施例1、2との相違を中心に説明し、共通の部分は詳細な説明を省略する。
図11は、本実施例に係るパラソル1bの上面図である。
【0052】
本実施例に係るパラソル1bの親骨20bは、2本の端親骨201bと、1本の中親骨202bと、で構成される。2本の端親骨201bは、90度の角度を持って配されている。下ろくろ12を上に置きパラソルを開いた状態においては、
図11に示すように、パラソルが上面視四半円形状となる。
【0053】
このように、上面視四半円形状とすることで、パラソル1bを建物の角に設置することができる。
【実施例4】
【0054】
次に、実施例4について説明する。実施例4は、支柱の長さを調整する調整機構に関するものであり、実施例1、2、3、及び後述する実施例5、6におけるパラソルのいずれにも適用することが可能である。支柱10以外の箇所は、実施例1、2、3と同様の構成である。支柱10を中心に説明し、他の部分は詳細な説明を省略する。
【0055】
図12は、長さを調整するための支柱10の第1調整機構を示す図である。
図12に示される調整機構では、支柱10を伸縮させて長さを大きく(例えば50cm)調整する(ただし、調整しないことも考えられる)。
図12(A)は、支柱10が、外管10aと内管10bとから構成され、外管10aに孔部18aを、内管10bに孔部18bを、それぞれ設ける。
【0056】
外管10aに内管10bが挿入され、外管10aから延伸される内管10bの長さの調整する(
図12(B)参照)。そして、複数の孔部18bのうちの1つを、孔部18aに合わせて固定する。このようにして、複数の孔部18bのいずれを孔部18aに合わせることによって長さを調整するのである。尚、後述する
図14に示される例のように、孔部18aを複数設け、孔部18bを1つとしてもよい。
【0057】
孔部18aに合わせる孔部18bを定め、
図12(C)(孔部を示す断面図)に示すように、バー19を孔部18a及び孔部18bに挿入して長さ(孔部18bの上下位置)を固定する。例えば、バー19をボルトとし、ナット19aを用いて安定させてもよい。
【0058】
この場合、突起部13又はハンドル17cは外管10aに設けられる。パラソルを開いた状態にする場合の下ろくろ12の位置(突起部13の位置)は定まっており、突起部13又はハンドル17cを可動の内管10bに設けることは困難である。
【0059】
ここで、支柱10の上側は、下ろくろ12がその周縁を移動する。支柱10自身を伸縮する際に、外管10aに内管10bが挿入されるので、支柱10の上側を外管10aとすることが好ましい。
【0060】
図12が、長さを調整するための支柱10の第1調整機構を示す図であるのに対し、
図13(A)に示される第2調整機構では、部分内管10cが設けられ、
図12(A)における内管10bを、2つの部分内管10b、10cによって構成したものである。よって、支柱10の第二調整機構では、支柱10を構成する外管10aと、部分内管10bと、部分内管10cとを伸縮させて支柱10の長さを調整する。
【0061】
部分内管10cは、下端が縮径されており、部分内管10bに挿入可能である。また、部分内管10bと部分内管10cの上側は、同径であり、共に孔部18b、18cを有している。すなわち、部分内管10bのみを内管として使用すること(
図12(B)と同様)も、部分内管10cを部分内管10bに挿入して部分内管10bと部分内管10cとを合わせて内管として使用することもできる。部分内管10bと部分内管10cとを合わせて内管として使用する状態を
図13(B)に示す。
【0062】
部分内管10cの意義について説明する。
図12のように使用する場合、内管10bの外管10aに挿入可能な深さ(すなわち支柱10の長さの調整可能量)は、リール17b等で制約される。ここで、部分内管10bと部分内管10cとを合わせて内管として使用する場合、深く挿入したい場合には、部分内管10cを取り外して部分内管10bのみを内管として使用することで、部分内管10cの長さの分だけさらに挿入したことと同様となる。すなわち、部分内管10cにより、支柱10の長さの調整可能量を大きくすることができる。
【0063】
部分内管10cは、
図13(C)に示すように、外管10aに挿入される。ここで、
図13(C)に示した部分内管10bの先端の微小な部分のみが挿入された状態で部分内管10cを取り外して部分内管10bのみを内管として使用することは可能であるが好ましくない。部分内管10bの挿入深さが小さく、外管10aとの間での固定が不十分となるためである。部分内管10bの挿入深さが十分に大きくなったところで部分内管10cを取り外すことが好ましい。
【0064】
そうすると、部分内管10bと部分内管10cとの接続に工夫を要する。
図12(C)のようにバー19を用いて接続することも可能であるが、接続部分はバー19(ナット19aを含む)が部分内菅10bの外側に突出する。この突出部分により、部分内菅10bを外管10aに挿入できなくなってしまう。したがって、接続は、外側に突出する部材のない方式、例えば部分内管10cから延伸された膨張バネ部材が部分内管10bに係合する方式とすることが好ましい。尚、部分内菅10cを部分内菅10bに深く挿入して接続部分を十分下方にすれば、バー19を用いて接続することも可能である。
【0065】
尚、部分内管10cは、1のみに限らず2以上を用いてもよい。支柱10の長さの調
整可能量をさらに大きくすることができる。
【0066】
図14は、孔部の配置を示す図である。
図12及び
図13では1つであった孔部18aが3つ設けられている。ここで、孔部18bの間隔D2は、孔部18aの間隔D1の3倍である。
【0067】
バー19(接続用部材)を挿入する孔部18a及び孔部18bを選択して支柱10の長さをD1刻みで設定することができる。一番下の孔部18aに孔部18bを合わせた場合の挿入長さをLとするとき、他の孔部18aに孔部18bを合わせることで、L+D1、L+2D1の挿入長さとできる。L+3D1の挿入長さは、別の孔部18bを選択して実現できる。すなわち、支柱10の長さをD1刻みで設定することができる。例えば、D1=2cm、D2=6cmとして、支柱10の長さを2cm刻みで設定することができる。
【0068】
一般的に、孔部18aが3つに限定されず、その数がnであるとして、D2=nD1とすれば同様である。孔部18aや孔部18bの数は、支柱10の材質や強度等も考慮して、決めると良い。
【0069】
ここで、D1について検討する。先に支柱10自身を伸縮しておおよその長さをD1刻みで合わせ、その後に伸縮部101、102(又は伸縮部102のみ)による長さの細かな調整ができる。すなわち、D1が伸縮部102によって調整可能な長さよりも小さければ、支柱10の長さを任意のものとすることができる。
【実施例5】
【0070】
次に、実施例5について説明する。実施例1〜4において説明したことはそのまま用いられる。実施例1〜4の支柱10と相違する本実施例の支柱100を中心に説明し、共通の部分は詳細な説明を省略する。尚、本実施例の支柱100は、実施例1〜3のパラソル1のいずれにも適用することが可能である。
【0071】
従来のパラソルやオーニング等の日よけ/雨よけ装置は、屋外での日陰の形成や建造物の日よけとして室内温度の上昇を防止或いは雨よけ効果を発揮するために、多くの場合、軒先等の比較的高い位置(地面からの距離の長い位置)に合わせた高さに傘を設けている。しかしながら、従来の日よけ装置は、高い位置での日よけ/雨よけ機能を提供できるものの、ある程度、低い位置での日よけ/雨よけ機能を確保するために設計されていない。例えば、床に座った状態での作業時の日よけ/雨よけ、犬などのペットの日よけ/雨よけ、自転車・オートバイの日よけ/雨よけなど低い位置(地面からの距離が短い位置)での日よけ/雨よけ機能を確保することを想定していないものが多い。一例として、立てた状態で支柱を保持するためのベース(支柱の下端を把持する部材)を用いるパラソルがあるが、このパラソルは、傘が地上から2.5メートル近辺の位置するように支柱に固定されるため、低い位置での日よけ/雨よけ機能を提供することはできない。よって、床と天井との突っ張り力による安定性を維持しつつ、高い位置(地面からの距離が長い位置)から低い位置まで日よけ/雨よけ機能を発揮でき、幅広い用途に対応できる構造の日よけ/雨よけ装置が望ましい。つまり、実施例1〜4において説明した機能により様々な設置場所に対応できることに加え、高い位置から低い位置まで用途に応じて傘の高さを調整できる日よけ/雨よけ装置が望ましい。
【0072】
また、多くの場合、突っ張り棒形式の日よけ/雨よけ装置は、出荷の段階から軒先等の高さに対応した長さに形成されている長尺の支柱等が梱包され、日よけ/雨よけ装置の形状が大きくなることによる梱包材の大型化と、それに伴う強度性能の向上によるコストアップ、更には、荷姿が大きくなることによる運賃のコストアップ、といった課題がある。かかる課題は、上述の実施例4における支柱10においても、当てはまる。上述の実施例1〜4における支柱10は、主として、外管10aと当該外管10aに挿通される内管10bとから構成される(
図12ご参照)。
【0073】
また、
図13(B)に図示されている支柱10では、支柱10をより長くすることを可能とする構成を採用する。具体的には、支柱10では、内管10bを2つの部分内管10b、10cに分け、支柱10は、主として、外管10aと、当該外管10aに挿通される部分内管10cと、当該部分内管10cに相通される部分内管10bとから構成される(
図13ご参照)。
【0074】
これに対し、以下に説明する実施例5における支柱100は、外管110a、部分内管110b、110cのほか、当該外管110aの上端に取り付けられる天井管110dを有し、支柱100を突っ張らせる床から天井までの距離に応じて、外管110aと、部分内管110bと、部分内管110cと、天井管110dとを組み合わせ、適宜、調整し、使用するものである。また、後述するように、実施例1〜4の外管10と同様に、実施例5の支柱100も、床から天井までの高さに応じた長さ調整機能を有するが、レバーを備えたハンドル操作部が取り付けられている外管110aは、実施例1〜4の外管110aよりも短くなっている点で相違する(以下、
図15〜
図22参照)。また、本実施例の支柱を構成する管は、実施例1〜4の支柱を構成する管と相違するものの、突っ張り棒形式の支柱を設置する上で基本的な作業、すなわち、支柱の外管と内管等の接続位置を調整する事により支柱の長さを所望の長さに調整した後に、伸縮部を用いて支柱の長さを建物の軒先の天井面と床面との間の距離と等しくなるように調整する作業は、上述の実施例と共通する点はいうまでもない。
【0075】
即ち、実施例5におけるパラソル1000は、突っ張り力による安定性や設置のし易さ等の実施例1〜4のパラソル1の利点を維持しつつ、よりコンパクトな梱包を可能とし、運送コスト軽減を図るものである。また、後述するように、実施例5の支柱100では、外管110aとは独立した天井管110dを設けることによって、支柱100を天井面と床面との間を固く突っ張らせつつ、シート40が必要以上に高い位置に上昇するのを防止して、シート40を所望の高さに設置できることで理想的な日よけ等の効果を確保できる。
【0076】
図15は、外管110aと部分内管110bとから構成される支柱100が最短の状態にあるパラソル1000の正面図であり、天井と床との距離が最も短い場合に適した長さに支柱10を調整した実施例を示している。ここで、「外管110aと部分内管110bとから構成される支柱100が最短の状態」とは、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)を内管110bの孔部のうち、床から最も近くに位置する孔部に合わせて固定した状態をいう。本実施例において、外管110aにハンドルを備えたハンドル操作部(クランク)117cが取り付けられているが、ハンドル操作部117cのハンドルを操作して、ワイヤをリールに巻き取り、下ろくろを上方に移動させるメカニズムは、
図7で説明されているものと同様であるため、詳細な説明は省くこととする。
【0077】
尚、上述の実施例と同様に、ハンドルを備えたハンドル操作部117cを可動の内管110bに設けることは困難であることから、ハンドルを備えたハンドル操作部117cは、外管110aに取り付けられている。但し、本実施例の支柱100では、外管110aの短縮が可能になることから、内管110bと内管110cも短縮する必要がある。そのため、これらだけでの最大長さは、短くなるが、天井管110dがその不足分を補うので、実施例1〜4の支柱10と同等かそれ以上の最大長さにできる。更に、天井管110dを利用する事による部分外管110a、部分内管110b、部分内管110cの短縮化により外管110aの内部に確保されるスペースによって、より頑丈で大型なハンドル操作部117cを外管110aに取り付けることができる。
【0078】
図16は、外管110aと部分内管110bとから構成される支柱100が最長の状態にあるパラソル1000の正面図である。ここで、「外管110aと部分内管110bとから構成される支柱100が最長の状態」とは、部分外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)を部分内管110bの孔部のうち、床から最も遠くに位置する孔部に合わせて固定した状態をいう。
【0079】
図17は、外管110a、部分内管110b、部分内管110cとから構成される支柱100が最短の状態にあるパラソル1000の正面図である。ここでは、
図13(C)の例と同様に、部分内管110cを部分内管110bに挿入して部分内管110bと部分内管110cとを合わせて内管として使用する。部分内管110bと部分内管110cとの接続は、上述したように外側に突出する部材のない接続方式、例えば部分内管110cから延伸された膨張バネ部材(図示せず)が部分内管110bに係合する方式を採ることができる。或いは、部分膨張バネ部材を部分内管110bの上端に設けて、膨張バネ部材の弾性力によって利用して、部分内管110bと部分内管110cとを圧接することもできる。そして、「外管110a、部分内管110b、部分内管110cとから構成される支柱100が最短の状態」とは、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)は部分内管110cの孔部のうち、床から最も近くに位置する孔部に合わせて、外管110aと部分内管110cとを固定した状態をいう。
【0080】
図18は、外管110a、部分内管110b、部分内管110cとから構成される支柱100が最長の状態にあるパラソル1000の正面図である。ここで、「外管110a、部分内管110b、部分内管110cとから構成される支柱100が最長の状態」とは、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)を部分内管110cの孔部のうち、床から最も遠くに位置する孔部に合わせて固定した状態をいう。
【0081】
図19は、外管110a、部分内管110b、天井管110dとから構成される支柱100が最短の状態にあるパラソル1000の正面図である。ここで、「外管110a、部分内管110b、天井管110dとから構成される支柱100が最短の状態」とは、外管110aの上端と天井管110dの下端とを接続し、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)を内管110bの孔部のうち、床から最も近くに位置する孔部に合わせて固定した状態をいう。ここでは、支柱100の長さの調整は、外管110aの孔部と部分内管110bの孔部との位置設定で行われるので、天井管110dは所定の長さに形成され、内管110bのように長さ調節用に複数の孔部は形成されていない。但し、外管110aの上端と天井管110dの下端とのそれぞれに孔部が設けられ、外管110aに天井管110dが挿入される。そして、外管110aの孔部に合わせる天井管110dの孔部を定め、
図12(C)(孔部を示す断面図)と同じように、バーを外管110aの孔部と天井管110dの孔部に挿入して長さ(孔部の上下位置)を固定する。例えば、バーをボルトとし、ナットを用いて安定させてもよい。
【0082】
また、
図19〜
図22では、天井と外管110aとの間に天井管110dを介在させた構成であり、
図8(B)のように、凸型接続面を設けたパット101aを凹型接続面を設けた天井管110dに係合させることで、支柱100の回動を防止することができる。
【0083】
図20は、外管110a、部分内管110b、天井管110dとから構成される支柱100が最長の状態にあるパラソル1000の正面図である。ここで、「外管110a、部分内管110b、天井管110dとから構成される支柱100が最長の状態」とは、外管110aの上端と天井管110dの下端とを接続し、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)を内管110bの孔部のうち、床から最も遠くに位置する孔部に合わせて固定した状態をいう。
【0084】
図21は、外管110a、部分内管110b、部分内管110c、天井管110dとから構成される支柱100が最短の状態にあるパラソル1000の正面図である。
図17と同様に、部分内管110cを部分内管110bに挿入して部分内管110bと部分内管110cとを合わせて内管として使用している。そして、「部分内管110b、部分内管110c、天井管110dとから構成される支柱100が最短の状態」とは、外管110aの上端と天井管110dの下端とを接続し、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)は部分内管110cの孔部のうち、床から最も近くに位置する孔部に合わせて、外管110aと部分内管110cとを固定した状態をいう。
【0085】
図22は、外管110a、部分内管110b、部分内管110c、天井管110dとから構成される支柱100が最長の状態にあるパラソル1000の正面図である。ここで、「外管110a、部分内管110b、部分内管110c、天井管110dとから構成される支柱100が最長の状態」とは、外管110aの上端と天井管110dの下端とを接続し、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)は部分内管110cの孔部のうち、床から最も遠くに位置する孔部に合わせて、外管110aと部分内管110cとを固定した状態をいう。
【0086】
このように、
図19〜
図22に示される天井管110dを設けることによって、支柱100を天井面と床面との間を固く突っ張らせつつ、シート40が必要以上に高い位置に上昇するのを防止して、シート40を所望の高さに設置できることで理想的な日よけや雨よけ等の効果を確保できる。また、本実施例の
図15〜
図22に示されているように、床から天井までの高さに応じて、支柱100の長さは調整されるが、ハンドル操作部117cが取り付けられている外管110aの長さは同じであることが理解できる。また、本実施例のパラソル1000では、支柱10を構成する外管110a、部分内管110b、部分内管110c、天井管110dのうち、最も長い外管110aの長さを変えることなく、支柱100の長さ調整を実現するとも言える。
【0087】
尚、本実施例では、天井管110dの長さは可変ではなく、天井面から所定の長さに固定して形成されているが、シート40が必要以上に高い位置に上昇するのを防止して、シート40を所望の高さに調節するために、
図14に示される外管と内管との調整と同様に、外管110aの上端と天井管110dの下端にそれぞれ1又は2以上の孔部設けて、バーで接続し、天井管110dの長さを調整可能としてもよい。また、部分内管110b、部分内管10c、天井管110dは、それぞれ1のみに限らず2以上を用いることで、支柱100の長さの調整可能量をさらに大きくすることができるが、本実施例では、パラソル1000の部品点数を抑える観点から、外管110a、部分内管110b、部分内管110c、天井管110dの4つの管で支柱100を構成している。
【0088】
[比較例]
次に、
図23を参照しながら、具体的な比較例として、支柱の長さ、パラソルの開く位置、及び梱包材の寸法の関係について支柱10を備えたパラソル1を説明する。尚、説明の便宜上、
図23の(A)〜(C)は、シート40を省略し、外管10aと、部分内管10bと、部分内管10cとは、それぞれ異なるハッチングで区別して表されている。
【0089】
図23の(A)は、外管10aと内管10bとから構成される支柱10において、支柱10が最短の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱10の最短の状態では、外管10aの孔部18a(孔部18aが複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部18a)を部分内管10bの孔部18bのうち、床から最も近くに位置する孔部18bに合わせて固定されている。
図23の(A)の例では、床から天井までの距離は、約200cmであり、外管10aの長さは、約183cmである。
【0090】
図23の(B)は、外管10aと部分内管10bとから構成される支柱10の最長の状態を示している。この状態における支柱10の最長の状態では、外管10aの孔部18a(孔部18aが複数の場合、床から最も近くに位置する孔部18a)を部分内管10bの孔部18bのうち、床から最も遠くに位置する孔部18bに合わせて固定されている。
図23の(B)の例では、床から天井までの距離は、約250cmであるが、外管10aの長さは、
図23の(A)と同じく、約183cmである。
【0091】
図23の(C)は、外管10aと、部分内管10bと、部分内管10cとから構成される支柱10において、支柱10が最短の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱10の最短の状態では、外管10aの孔部18a(孔部18aが複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部18a)を部分内管10cの孔部18cのうち、床から最も近くに位置する孔部18cに合わせて固定されている。
図23の(C)の例では、床から天井までの距離は、約252cmであるが、外管10aの長さは、
図15と同じく、約183cmである。
【0092】
図23の(D)は、外管10aと、部分内管10bと、部分内管10cとから構成される支柱10の最長の状態を示している。この状態における支柱10の最長の状態では、外管10aの孔部18a(孔部18aが複数の場合、床から最も近くに位置する孔部18a)を部分内管10cの孔部18cのうち、床から最も遠くに位置する孔部18bに合わせて固定されている。
図23の(D)の例では、床から天井までの距離は、約300cmであるが、外管10aの長さは、
図23の(A)と同じく、約183cmである。
【0093】
以上、
図23の(A)〜(D)の比較例では、支柱10の高さは、約200cm〜約300cmの間で調整され、調整範囲は約100cmとなる。
【0094】
ここで、いわゆる突っ張り棒形式のパラソル等の日よけ/雨よけの梱包及び搬送の現状について簡単に説明する。突っ張り棒形式の日よけ/雨よけ装置は、多くの場合、出荷の段階から軒先等の高さに対応した長さに形成されている長尺の支柱が梱包され、日よけ/雨よけ装置の形状が大きくなることによる梱包材の大型化と、それに伴う強度性能の向上によるコストアップ、更には、荷姿が大きくなることによる運賃のコストアップといったデメリットが考えられる。多くの場合、商品の搬送コストは、重量規定のほか、梱包に使用されるダンボール箱等の包装容器の外形寸法(組立後寸法)の長さ、幅、深さの3辺を合計したサイズで荷物の大きさによって決められる。パラソルのように大型な商品を搬送する場合、それを梱包する段ボール箱等の外形寸法はコストに大きな影響がある。
図23の(A)〜(D)のように、約200cmから300cmの空間で突っ張ることを可能にする外管10a(長さ183cm)を収容するには、通常、外形の3辺合計の寸法が、200cm以上(より具体的には、一般に、215cm(190cm+12.5cm+12.5cm)の包装容器が使用される。そして、多くの場合、包装容器の外形寸法が大きくなればなるほど、搬送運賃も上昇するので、包装容器の外形寸法を可能な限り小さくして、搬送運賃を低減することが望まれる。
【0095】
そこで、床から天井までの高さの範囲が幅広くても、十分な突っ張り機能を確保し、パラソル位置の上昇を防止し、所望の位置での設置を可能としつつ、パラソルの大型化に伴う包装容器の大型化・コスト増を防止すべく、実施例5の支柱100を作成することとした。
【0096】
そこで、まず、
図24を参照しながら、支柱100の長さの調整について説明する。
図24の(A)は、外管110aと部分内管110bとから構成される支柱100の最短の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱100の最短の状態では、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)を内管110bの孔部のうち、床から最も近くに位置する孔部に合わせて固定している。
図24の(A)の例では、床から天井までの距離は、約199cmであり、外管110aの長さは、約165cmである。
【0097】
図24の(B)は、外管110aと部分内管110bとから構成される支柱100の最長の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱100の最長の状態では、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)を内管110bの孔部のうち、床から最も遠くに位置する孔部に合わせて固定している。
図24の(B)の例では、床から天井までの距離は、約231cmであるが、外管110aの長さは、
図24の(A)と同じく、約165cmである。
【0098】
図24の(C)は、外管110a、部分内管110b、部分内管110cとから構成される支柱100が最短の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱10の最短の状態とは、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)は部分内管110cの孔部のうち、床から最も近くに位置する孔部に合わせて、外管110aと部分内管110cとを固定している。
図24の(C)の例では、床から天井までの距離は、約233cmであるが、外管110aの長さは、
図24の(A)と同じく、約165cmである。
【0099】
図24の(D)は、外管110a、部分内管110b、部分内管10cとから構成される支柱100が最長の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱100の最長の状態では、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)を部分内管110cの孔部のうち、床から最も遠くに位置する孔部に合わせて固定している。
図24の(D)の例では、床から天井までの距離は、約261cmであるが、外管110aの長さは、
図24の(A)と同じく、約165cmである。
【0100】
図24の(E)は、外管110a、部分内管110b、天井管110dとから構成される支柱100が
図24の(D)に続く長さに調整されている状態を示している。この状態における支柱100の最短の状態では、外管110aの上端と天井管110dの下端とを接続し、外管110aの複数の孔部のうち、床から最も近くに位置する孔部を内管110bの孔部のうち、床から3番目に位置する孔部に合わせて固定している。
図24の(E)の例では、床から天井までの距離は、約263cmであるが、外管110aの長さは、
図24の(A)と同じく、約165cmである。
【0101】
図24の(F)は、外管110a、部分内管110b、天井管110dとから構成される支柱100が最長の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱100の最長の状態では、外管110aの上端と天井管110dの下端とを接続し、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)を内管110bの孔部のうち、床から最も遠くに位置する孔部に合わせて固定している。
図24の(F)の例では、床から天井までの距離は、約281cmであるが、外管110aの長さは、
図24の(A)と同じく、約165cmである。
【0102】
図24の(G)は、外管110a、部分内管110b、部分内管110c、天井管110dとから構成される支柱100が最短の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱100の最短の状態では、外管110aの上端と天井管110dの下端とを接続し、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)は部分内管110cの孔部のうち、床から最も近くに位置する孔部に合わせて、外管110aと部分内管110cとを固定している。
図24の(G)の例では、床から天井までの距離は、約283cmであるが、外管110aの長さは、
図24の(A)と同じく、約165cmである。
【0103】
図24の(H)は、外管110a、部分内管110b、部分内管10c、天井管110dとから構成される支柱100が最長の状態に調整されている状態を示している。この状態における支柱100の最長の状態では、外管110aの上端と天井管110dの下端とを接続し、外管110aの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)は部分内管110cの孔部のうち、床から最も遠くに位置する孔部に合わせて、外管110aと部分内管110cとを固定している。
図24の(H)の例では、床から天井までの距離は、約311cmであるが、外管110aの長さは、
図24の(A)と同じく、約165cmである。ここで、
図23の(D)の比較例のように床から天井までの距離が約300cm以上であっても、本実施例の支柱100では、シート40が必要以上に高い位置に上昇するのを天井管110dの長さに相当する程度まで抑制できる。
【0104】
このように、上述の比較例の支柱10に比べて、本実施例の支柱100は、より幅広い範囲(約199cmから約311cmまでの約112cm)での高さの調整が可能であるので、支柱100を備えたパラソル1000は、より多くの軒の建造物や設置場所等に対応できる。また、長さを短縮した外管110aは支柱10より大きい高さ調整を実現できる上に、よりコンパクトな梱包を可能とし、運送コストの軽減も図れる。また、天井管110dの採用により、外管110a内部の部分内管を挿入する長さが短くなり、スペースが確保できることによって、より頑丈で大型なハンドル操作部117cを外管110aに取り付けることができる。更に、天井管110dを設けることによって、支柱100を天井面と床面との間を固く突っ張らせつつ、シート40が必要以上に高い位置に上昇するのを防止して、シート40を所望の高さに設置できることで理想的な日よけ等の効果を確保できる。
【実施例6】
【0105】
次に、実施例6について説明する。実施例6は、上述のパラソルと異なる構造のパラソルに関するものである。実施例1〜5との相違を中心に説明し、適宜、共通の部分は詳細な説明を省略する。
【0106】
本実施例におけるパラソルは、上面視において正方形であるスクエアタイプのパラソルであるが、上面視において多角形であってもよい。スクエアタイプのパラソルには、センターポール型とコーナーポール型とがあり、パラソルに対して支柱が取り付けられる位置によって相違する。センターポール型のパラソルについては、本実施例で説明し、コーナーポール型のパラソルについては実施例7で後述する。
【0107】
図25は本実施例に係るパラソル2000の正面図であり、
図26は背面図、
図27は側面図であり、
図28は上面図であり、
図29は底面図であり、
図30は斜視図であり、
図31は使用状態の参考図であり、
図32はパラソルの開閉機構の拡大図である。本実施例のパラソル2000は、基本的には、折畳可能なシート240と、シート240を上側より支持する上アーム270と、シート240を下側より支持する下アーム280と、シート240の開閉操作をするためのハンドル操作部217、上アーム270とハンドル操作部217が連結される支柱200とから構成されている。
【0108】
図25〜27に示されているように、実施例1〜5と同様に、パラソル2000にも上下方向に伸びる1本の支柱200が設けられている。この支柱200は、取り付けられているハンドル操作部217やパラソルの開閉メカニズムに関連する部材の動作を除けば、実施例5の高さ調整機構を備えた支柱100と同様の構造である。よって、実施例5の支柱100と同様に、支柱200は、中空の円筒柱であり、鉄やアルミニウム等で形成されている。また、実施例5の支柱100と同様に、外管210aを始めとして、2本の部分内管、天井管により支柱200の長さ調整が可能である。
【0109】
本実施例のパラソル2000の開閉機構は、上述の実施例のような支柱に沿って下ろくろが親骨及び受骨と連動する昇降動作と異なり、支持筒290の下先端に設けられたリング体の昇降により、親骨220及び受骨260を介してパラソル2000が開閉される。
図27及び
図32に示されるように、パラソル2000の開閉機構は、支持筒290の上端部に揺動可能に支持されて放射状に延びる複数本(本実施例では、7本)の親骨220と1本の下アーム280と、この親骨の上面に敷設したシート240と、支柱200側に取り付けられる一端270a及びシート240側に取り付けられる他端270bを有する上アーム270、下アーム280と各親骨220の長さ方向中間部にその長さ方向一端を揺動可能に支持した受骨260と、各受骨260の長さ方向他端が枢支されたリング体250と、一端部をリング体250に連結し、他端部を支持筒290の内部と下アーム280の内部を通ってハンドル操作部217に連結されたロープ等の紐部材230とから構成されている。
【0110】
具体的には、支持筒290の内部と下アーム280の内部を通ってハンドル操作部217内の巻取り部材に一端を連結されたロープ230は、操作部217のハンドルの正転操作により巻き取られる。そして、他端をリング体250に連結された紐部材230が巻き取られると、リング体250は上昇し、パラソル2000は開かれる。そして、
図32のように、リング体250が支持筒290の下端に当接する位置に到達すると、パラソル2000は、全開状態となる。一方、この状態から、操作部217のハンドルの逆転操作をすることで、紐部材230は、ハンドル操作部217内の巻取り部材から外れ、リング体250は支持筒290に対して下降する。そして、リング体250が下降することで、パラソル2000は閉じられる。
【0111】
本実施例のパラソル2000を開いた状態においては、シート240の上面視形状が正方形であり、その正方形の一辺の中点の位置に支柱200が設けられる。
図27及び
図28に図示されているように、パラソル2000の開いた状態において、支柱200から延在する上アーム270の他端270bがシート240の表面の正方形の所定の半径線295上の中間点付近に位置するように取り付けられる。本実施例では、「所定の半径線」とは、シート240の上面視正方形の中心から上面視正方形の一辺への垂線のことである。また、
図27及び
図29に図示されているように、パラソル2000の開いた状態において、支柱200に連結された下アーム280の一端280aから他端280cに延在する下アーム280の長手方向の中間点付近280bは、シート240の裏面側に設けられ、シート240の表面に取り付けられた上アーム270の他端270bの取付位置の反対側付近に位置するように取り付けられる。
【0112】
上アーム270と支柱200との接続の方法は、特段の制限はなく、通常用いられている接続機構を適宜使用できる。例えば、自転車のサドルのシートポストの取付等に使用されるリング状のクランプで上アーム270と支柱200とを接続することができる。上アーム270と支柱200とを接続するのに他の接続方法も使用できるが、工具を使用せずに接続ができる観点から、クランプを接続に使用することは好ましい。また、上アーム270と操作部217とが支柱200の上下方向に沿って摺動し得るように支柱を構成する管の径・形状に応じて調整が可能な接続部品を使用することが好ましい。その他として、例えば、レバー式クランプ、ホールド式クランプや後述する実施例8の
図40のような手締め式ハンドボルト等を接続部品として使用できる。
【0113】
また、パラソル2000の高さは、支柱200を構成する外管210a等で調整できるが、支柱200に連結された上アーム270と下アーム280とを支柱200に沿って摺動可能に取り付けることも可能である。これにより、上アーム270及び下アーム280は、パラソル2000の高さ調整だけでなく、パラソル2000の傾斜角度を調整することも可能になる。即ち、
図27に示されるように、パラソル2000を地面(床面)に対して水平に支持するだけでなく、傾けた状態で支持することができる。
【0114】
図29及び
図32に示されるように、支持筒290を中心に7本の親骨220と1本の下アーム280が放射状に延びるように設けられ、親骨220と下アーム280に対応して8本の受骨260が設けられている。親骨220及び受骨260は、例えばステンレス、アルミニウム、めっき加工や塗装された鉄等で形成されている。
【0115】
図28及び
図29に示されるように、シート240は、パラソル2000を開いた状態においては、上面視形状が正方形となる。但し、同じ構造を有しながら、上面視において他の形状を採用することも可能であり、例えば、円形、長方形、六角形、八角形、十六角形等であってもよい。また、本実施例では、上述のパラソルの大型化に伴う包装容器の大型化・コスト増の防止等の観点より、正方形状のシート240の一辺の長さは、200cmであるが、パラソル2000の設置場所や用途等に応じて、シート240の面積を小さく又は大きくしてもよいことはいうまでもない。
【0116】
シート240の上面視形状が正方形であることにより、対角線状に形成される親骨220は直行し、等しい長さである。よって、各々の方向に延びる親骨220は同一部材であり、生産の容易化に資する。シート240の素材や枚数等は、上述の実施例1〜5のシート40と共通するので、詳細な説明は省略する。
【0117】
また、本実施例のパラソル2000は、上述の実施例1〜5のハンドル操作部117cに代わって、以下の構成からなるハンドル操作部217を有する。
【0118】
図25〜
図31に示されるように、実施例6のハンドル操作部217は、回動することで紐の巻き取り操作を行うためのレバー部217aと、支柱200に沿って摺動する操作部217の位置を固定するためのロック部217b(例えば、手で絞められるハンドルボルト等)と、巻き取り操作や操作部の位置調整を行う際に握るためにシート240の下側に設けられたグリップ部217cとを備える。グリップ部217cをシートの下側に設けることで、例えば、支柱200が建造物の壁面等に極めて近接する位置に設置されている場合でも、ユーザがグリップ部217cを握って、操作部217を上方向にスライドさせ、ハンドル操作部217が所望の位置に移動させたらロック部217bを回して固定し、レバー部217aの回動操作をして、パラソル2000を開く作業がスムーズに行える。
【0119】
具体的には、
図27に示されるように、ハンドル操作部217は、第一側面とその第一側面の反対側にある第二側面とを有する。ハンドル操作部217は、第一側面に設けられたレバー部217aと、第二側面に設けられ、ハンドル操作部217の位置を固定するためのロック部217bと、第一側面と第二側面との間に介在させ、ハンドル操作部217からシート240の側に設けられるグリップ部217cとを備えている。
【0120】
従って、支柱200が建造物の壁面等に極めて近接する位置に設置されている場合においても、グリップ部217cがシート240の側に設けられているため、ユーザはシート240の側に立って、容易に巻取り操作やハンドル操作部217の位置調整を行うことができる。尚、本実施例では、グリップ部217cは、L字状に形成されているが、グリップ部217cがシート240や上アームや下アームの側に設けられ、握れる程度にハンドル操作部217から延在する形状であれば、その他の形状であってもよいことはいうまでもない。
【0121】
ここで、本実施例のパラソル2000の使用態様について簡単に説明する。一般に、パラソルは、傘部を開く場合には、パラソルの支柱を中心として傘部が開くような構成になっているため、支柱が傘部の下で作業等を行うときやテーブル等を設置するときに邪魔になることがある。また、パラソルは、建物のベランダや中庭などの屋外に設置されることが多いが、建物の構造やパラソルの傘の形状や構造によっては、建物の入り口付近に設置せざるを得ず、パラソルを支持する支柱等が出入りの障害になることがある。一方、
図31に示されるように、本実施例のパラソル2000は、支柱200から離れて開く構造を有する上、支柱200を床面から支える錘が不要なため、支柱200が建物の出入りの障害になることを防止し、設置場所の拡充を図ることができる。
【0122】
以上のように実施例6におけるパラソル2000では、突っ張り力による安定性や設置のし易さ、高さ調整、梱包コストの軽減等の実施例1〜5のパラソル1の利点を維持しつつ、支柱200から離れて開く構造によって設置場所の拡充を図ることができる。
【実施例7】
【0123】
次に、実施例7について説明する。実施例7におけるパラソルは、コーナーポール型のパラソルである。コーナーポール型のパラソルは、実施例6と同様に、上面視において四角形のスクエアタイプのパラソルであるが、支柱が正方形のいずれかの角の頂点の1つに設けられる点で、実施例6と相違する。尚、本実施例では、上面視において正方形であるが、多角形であってもよく、支柱は多角形のうち、いずれかの角の頂点の1つに設けられる。
【0124】
図33は本実施例に係るパラソル3000の正面図であり、
図34は背面図、
図35は上面図であり、
図36は底面図であり、
図37は斜視図であり、
図38は使用状態の参考図であり、
図39はパラソルの開閉機構の拡大図である。本実施例のパラソル3000は、実施例6のパラソル2000と基本的な構成は同じである。すなわち、基本的には、パラソル2000は、折畳可能なシート240と、シート240を上側より支持する上アーム270と、シート240を下側より支持する下アーム280と、シート240の開閉操作をするためのハンドル操作部217、上アーム270とハンドル操作部217が連結される支柱200とから構成されている。
【0125】
図33〜39に示されているように、実施例1〜5と同様に、パラソル3000にも上下方向に伸びる1本の支柱300が設けられている。この支柱300は、取り付けられているハンドル操作部317やパラソルの開閉メカニズムに関連する部材の動作を除けば、実施例5の高さ調整機構を備えた支柱100と同様の構造である。よって、実施例5の支柱100と同様に、支柱300は、中空の円筒柱であり、鉄やアルミニウム等で形成されている。また、実施例5の支柱100と同様に、外管310aを始めとして、2本の部分内管、天井管により支柱300の高さ調整が可能である。
【0126】
本実施例のパラソル3000の開閉機構は、実施例6と同様に、支持筒390の下先端に設けられたリング体350の昇降により、親骨320及び受骨360を介してパラソル3000が開閉される。
図33及び
図39に示されるように、パラソル3000の開閉機構は、支持筒390の上端部に揺動可能に支持されて放射状に延びる複数本(本実施例では、7本)の親骨320と1本の下アーム380と、この親骨の上面に敷設したシート340と、支柱300側に取り付けられる一端370a及びシート340側に取り付けられる他端370bを有する上アーム370、下アーム380と各親骨320の長さ方向中間部にその長さ方向一端を揺動可能に支持した受骨360と、各受骨360の長さ方向他端が枢支されたリング体350と、一端部をリング体350に連結し、他端部を支持筒390の内部と下アーム380の内部を通ってハンドル操作部317に連結されたロープ等の紐部材330とから構成されている。
【0127】
具体的には、支持筒390の内部と下アーム380の内部を通ってハンドル操作部317内の巻取り部材に一端を連結されたロープ330は、ハンドル操作部317のレバー部317aの正転操作により巻き取られる。そして、他端をリング体350に連結された紐部材330が巻き取られると、リング体350は上昇し、パラソル3000は開かれる。そして、
図40のように、リング体350が支持筒390の下端に当接する位置に到達すると、パラソル3000は、全開状態となる。一方、この状態から、ハンドル操作部317のレバー部317aの逆転操作をすることで、紐部材330は、ハンドル操作部317内の巻取り部材から外れ、リング体350は支持筒390に対して下降する。そして、リング体350が下降することで、パラソル3000は閉じられる。
【0128】
本実施例のパラソル3000を開いた状態においては、シート340の上面視形状が正方形であり、その正方形のいずれかの角の頂点の位置に支柱300が設けられる。
図35に図示されているように、パラソル3000の開いた状態において、支柱300から延在する上アーム370の他端370bがシート340の表面の正方形の所定の半径線395上の中間点付近に位置するように取り付けられる。本実施例では、「所定の半径線」とは、シート340の上面視正方形の中心から上面視正方形の角の頂点への直線のことである。また、
図35及び
図36に図示されているように、パラソル3000の開いた状態において、支柱300に連結された下アーム380の一端380aから他端380cに延在する下アーム380の長手方向の中間部付近380bは、シート340の裏面側に設けられ、シート340の表面に取り付けられた上アーム370の他端370bの取付位置の反対側付近に位置するように取り付けられる。
【0129】
上アーム370と支柱300との接続の方法は、特段の制限はなく、通常用いられている接続機構を適宜使用できる。例えば、自転車のサドルのシートポストの取付等に使用されるリング状のクランプで上アーム370と支柱300とを接続することができる。上アーム370と支柱300とを接続するのに他の接続方法も使用できるが、工具を使用せずに接続ができる観点から、クランプを接続に使用することは好ましい。また、上アーム370とハンドル操作部317とが支柱300の上下方向に沿って摺動し得るように支柱を構成する管の直径・形状に応じて調整が可能な接続部品を使用することが好ましい。その他として、例えば、レバー式クランプ、ホールド式クランプや後述する実施例8の
図40のような手締め式ハンドボルト等を接続部品として使用できる。
【0130】
また、パラソル3000の高さは、支柱300を構成する外管310a等で調整できるが、支柱300に連結された上アーム370と下アーム380とを支柱300に沿って摺動可能に取り付けることも可能である。これにより、上アーム370及び下アーム380は、パラソル3000の高さ調整だけでなく、パラソル3000の傾斜角度を調整することも可能になる。即ち、
図34に示されるように、パラソル3000を地面(床面)に対して水平に支持するだけでなく、傾けた状態で支持することができる。
【0131】
図37〜
図39に示されるように、支持筒390を中心に7本の親骨320と1本の下アーム380が放射状に延びるように設けられ、親骨320と下アーム380に対応して8本の受骨360が設けられている。親骨320及び受骨360は、例えばステンレス、アルミニウム、めっき加工や塗装された鉄等で形成されている。
【0132】
図36及び
図37に示されるように、シート340は、パラソル3000を開いた状態においては、上面視形状が正方形となる。但し、同じ構造を有しながら、上面視において他の形状を採用することも可能であり、例えば、円形、長方形、六角形、八角形、十六角形等であってもよい。また、本実施例では、上述のパラソルの大型化に伴う包装容器の大型化・コスト増の防止等の観点より、正方形状のシート340の一辺の長さは、200cmであるが、パラソル3000の設置場所や用途等に応じて、シート340の面積を小さく又は大きくしてもよいことはいうまでもない。
【0133】
シート340の上面視形状が正方形であることにより、対角線状に形成される親骨320は直行し、等しい長さである。よって、各々の方向に延びる親骨320は同一部材であり、生産の容易化に資する。シート340の素材や枚数等は、上述の実施例1〜5のシート40、実施例6のシート240と共通するので、詳細な説明は省略する。
【0134】
また、
図33〜
図38に示されるように、実施例7のハンドル操作部317は、実施例6のハンドル操作部217と基本的な構成は同じであり、回動することで紐の巻き取り操作を行うためのレバー部317aと、支柱300に沿って摺動するハンドル操作部317の位置を固定するためのロック部317b(例えば、手で絞められるハンドルネジ等)と、巻き取り操作やハンドル操作部の位置調整を行う際に握るためにシート340の下側に設けられたグリップ部317cとを備える。実施例7のハンドル操作部317は、上述の実施例6のハンドル操作部217と共通するので、詳細な説明は省略する。
【0135】
ここで、本実施例のパラソル3000の使用態様について簡単に説明する。一般に、パラソルは、傘部を開く場合には、パラソルの支柱を中心として傘部が開くような構成になっているため、支柱が傘部の下で、作業等を行うときやテーブル等を設置するときに邪魔になることがある。また、パラソルは、建物のベランダや中庭などの屋外に設置されることが多いが、建物の構造やパラソルの傘の形状や構造によっては、建物の入り口付近に設置せざるを得ず、パラソルを支持する支柱等が出入りの障害になることがある。一方、
図38に示されるように、本実施例のパラソル3000は、実施例6のパラソル2000と同様に、支柱300から離れて開く構造を有する上、支柱300を床面から支える錘が不要なため、支柱300が建物の出入りの障害になることを防止し、設置場所の拡充を図ることができる。更に、実施例6と異なり、支柱300がシート340の上面視正方形の角の頂点の位置するように設けられるため、
図38のように、建造物の隅に設置した場合において、建造物の壁面の形状に合わせて、シート340の上面視正方形の角が建造物の壁面角部に沿うようにパラソル3000を設置することが可能になる。よって、パラソル3000は、日よけ、雨よけ効果を発揮しつつ、より支柱が使用の妨げにならない場所に設置することが可能になる。
【0136】
以上のように実施例7におけるパラソル3000では、突っ張り力による安定性や設置のし易さ、高さ調整、梱包コストの軽減等、実施例1〜6のパラソル1の利点を維持しつつ、支柱300から離れて開く構造によって支柱が使用の妨げにならないように設置することができる。
【実施例8】
【0137】
次に、実施例8について説明する。実施例1〜7において説明したことはそのまま用いられる。実施例1〜4の支柱10、実施例5の支柱100、実施例6の支柱200、実施例7の支柱300と相違する本実施例の支柱500を中心に
図40〜
図47を参照しながら説明する。実施例1〜7と共通の部分は詳細な説明を省略する。尚、本実施例の支柱500は、実施例6のパラソル2000、実施例7のパラソル3000のいずれにも適用することが可能である。
【0138】
実施例5〜7の支柱は、天井管と、外管と、上内管と、下内管と、4つの管に分割される。上述の実施例と同様に、天井管の採用により高い天井の場所に設置する場合でもシートの位置は高くならず使い易い高さに保持したまま、支柱の上下方向の長さを調整できる点で共通するが、本実施例の支柱500は、
図40に示されるように、支柱500は、外管510aと、外管510aの下側に取り付けられる下側管510bと、外管510aの上側に取り付けられる天井管510cとに分割され、且つ、天井管510cと下側管510bとを外管510aの内部に収容できる点で相違する。
【0139】
上述の実施例5〜7の支柱は、4つに分割される支柱を組み立てて、建造物の軒の高さに応じて、天井管を外管に取り付けたり、下内管に上内管を取り付けたり、外管の上端に取り付けられた上パッドを天井管の上端に付け替える等の作業が必要になります。
【0140】
一方、支柱500を組み立てて、長さを調整する場合においては、天井管と下側管とが外管に収容され、上パッドが天井管の上端に取り付けられ、下パッドが下側管の下端に取り付けられた状態から組立てが開始するため、天井管と下側管のうちの一方又は両方の管を外管から引き出すことで、支柱の長さ調整を行い、設置可能範囲内においてあらゆる高さの場所に突っ張り固定が可能である。すなわち、本実施例では、天井管を外管に取り付けたり、下内管に上内管を取り付けたり、外管の上端に取り付けられた上パッドを天井管の上端に付け替える等の作業を省くことが可能になります。
【0141】
図40に示されるように、外管510aの上端と下端とのそれぞれに1又は2以上の孔部が設けられ、天井管510c及び下側管510bにも1又は2以上の孔部が設けられる。これにより、建造部の軒の高さに応じて、外管510aの上端と下端に設けられた孔部を天井管510cと下側管510bに設けられた孔部とを位置決めすることにより、支柱500の上下方向の長さを調整できる。尚、バーなどの接続用部材を所望の孔部に挿入することで位置決めが行われる点では、上述の実施例と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、本実施例の支柱を構成する管は、上述の実施例の支柱を構成する管と相違するものの、突っ張り棒形式の支柱を設置する上で基本的な作業、すなわち、支柱の外管と内管等の接続位置を調整する事により支柱の長さを所望の長さに調整した後に、伸縮部を用いて支柱の長さを建物の軒先の天井面と床面との間の距離と等しくなるように調整する作業は、上述の実施例と共通する点はいうまでもない。
【0142】
本実施例の支柱500では外管510aの上端の孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)を天井管510cの孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)に合わせて固定すると共に外管510aの下端の孔部(孔部が複数の場合、床から最も近くに位置する孔部)を下側管510bの孔部(孔部が複数の場合、床から最も遠くに位置する孔部)に合わせて固定することで、支柱500を最長の状態にすることができる。
図40の例では、上パッドを天井管510cに取り付け、下パッドを下側管510bに取り付けた状態における支柱500の最長の長さは、約343.5cmである。
【0143】
一方、天井管510cと下側管510bとを外管510aの内部に収容することで、支柱500を最短の状態にすることができる。
図40の例は、上パッドを天井管510cに取り付け、下パッドを下側管510bに取り付けた状態における支柱500の最短の状態で、その長さは、約197.5cmである。
【0144】
そして、上アームとハンドル操作部517とが支柱の上下方向に亘って摺動可能に支柱に連結されているので、外管510aの長さの範囲内においてシートの高さを設置することが可能である。また、本実施例において、支柱500を最長状態にするには、天井管510cと下側管510bとを外管510aから引き出すことが必要になるが、天井管510cと下側管510bのいずれか一方だけを外管510aに収容したまま、他方だけを外管510aから引き出して、使用することもできる。この場合、最長状態に対して収容されている分だけ短くなるものの、前者を収容し、後者を引き出した場合と、前者を引き出して後者を収容した場合とで同じ長さにすることができるが、いずれの設置方法にするかで外管510の設置位置が変わる。すなわち、上アームとハンドル操作部517とが上下方向に亘って摺動可能な範囲の位置を、これで調整することが可能である。
【0145】
但し、一方の管を外管510aに収容した状態で、他方の管を外管510aから引き出した場合においても、支柱500を設置する床から天井までの長さに支柱が満たないときは、収容されている一方の管の外管510aから引き出して、支柱500の長さを調整する必要がある。
【0146】
本実施例をセンターポール型のスクエアタイプのパラソルに適用した例が
図41から
図43に示され、本実施例をコーナーポール型のスクエアタイプのパラソルには適用した例が
図44〜
図47に示されている。ポールが相違する点以外は、実施例6のパラソル2000及び実施例7のパラソル3000と共通するので、詳細な説明は省略する。
【0147】
以上のように実施例8におけるパラソル5000では、突っ張り力による安定性や設置のし易さ、高さ調整、梱包コストの軽減等の上述の実施例のパラソルの利点を維持しつつ、支柱の長さ調整やシートの高さ調整をより簡単にさせる。また、実施例8におけるパラソル5000では、支柱と建造物とのスペースが狭い位置に設置されても、容易に巻取り操作やハンドル操作部の位置調整を行うことが可能になる。
多くの場所に、容易に設置して、日よけや雨よけとして使用することができ、支柱を分割式にすることにより梱包のサイズを小さくし、輸送コストの低減を可能とするパラソルを提供する。
建造物の天井面と床面との間に突っ張り棒形式の1本の支柱と、支柱が貫通し、支柱に沿って上下方向に移動可能な下ろくろと、支柱の所定の位置に固定された上ろくろと、上ろくろに接合された2本以上の親骨と、親骨の各々について1本ずつ設けられた、親骨と下ろくろとを結ぶ受骨と、支柱に沿って下ろくろを移動させるためのハンドル操作部と、親骨の間に設けられたシートとを備え、支柱は、少なくとも外管と、外管の上側に取り付けられる天井管と、外管の下側に取り付けられる下側管とに分割され、シートの位置を床面から一定の範囲内の高さに保持したまま、支柱の上下方向の長さが調整可能であるパラソルを提供する。