【実施例】
【0017】
図面を参照して、実施例の電子部品実装機10(以下、実装機10とも称する)を説明する。
図1に示すように、実装機10は、回路基板2に複数の電子部品4を装着する装置である。実装機10は、コンベア12と、支持装置14と、装着ヘッド16と、移動装置18と、複数のテープフィーダ20と、検出装置22と、制御装置30と、タッチパネル32とを備える。
【0018】
コンベア12は、回路基板2を実装機10に搬入するとともに、複数の電子部品4が装着された回路基板2を実装機10から搬出する装置である。支持装置14は、コンベア12が搬入した回路基板2を、所定の高さ位置で支持する装置である。装着ヘッド16は、テープフィーダ20から電子部品4を取り上げるとともに、その電子部品4を回路基板2上に装着する装置である。移動装置18は、テープフィーダ20及び支持装置14に対して、装着ヘッド16を移動させる装置である。
【0019】
テープフィーダ20は、装着ヘッド16に電子部品4を供給する装置である。テープフィーダ20は、実装機10に対して着脱可能に構成されている。テープフィーダ20は、リール6に巻かれたテープ材8を、装着ヘッド16に対して送り出す。
図2に示すように、テープ材8は、その長手方向に沿って、複数の電子部品4を等間隔で収容している。テープフィーダ20は、送り機構21によって、テープ材8を断続的に送り出す。それにより、各々の電子部品4が取上位置Aへ順次配置される。取上位置Aに配置された電子部品4は、装着ヘッド16によって取り上げられ、回路基板2へ装着される。
【0020】
実装機10が動作を続けていくことで、リール6に巻かれていたテープ材8の残りが少なくなると、作業者によるスプライシング作業が行われる。
図2に示すように、スプライシング作業とは、使用中のテープ材8a(以下、第1のテープ材8aという)の終端8bに、新たなテープ材8c(以下、第2のテープ材という)の始端8dを接続する作業である。一例ではあるが、二つのテープ材8a、8cは、例えば粘着性テープ9によって接続される。以下では、二つのテープ材8a、8cが互いに接続された部分をスプライス部と称する。
【0021】
検出装置22は、上述したスプライス部を検出するセンサである。検出装置22の具体的な構成は特に限定されない。一例として、検出装置22は、スプライス部の粘着性テープ9を検出する光学的なセンサとすることができる。
図2に示すように、検出装置22がスプライス部を検出する検出位置Bは、テープ材8の送り方向Cに関して、電子部品4の取上位置Aよりも上流側に位置している。従って、スプライス部が検出装置22による検出位置をBに達した時点で、第1のテープ材8aには、取上位置Aから検出位置Bまでの距離に、第1のテープ材8aが単位長さあたりに収容する電子部品数を乗じた数の電子部品4が残存することが予定される。以下、この数を予定残存数と称する。
【0022】
制御装置30は、実装機10の各部の動作を制御する装置である。制御装置30は、一又は複数のコンピュータによって構成することができる。
図3に示すように、制御装置30は、コンベア12、支持装置14、装着ヘッド16、移動装置18、テープフィーダ20及びタッチパネル32と通信可能に接続されており、それらに各種の制御信号を出力することができる。また、制御装置30は、検出装置22と電気的に接続されており、検出装置22の検出結果(出力信号)を受信することができる。
【0023】
タッチパネル32は、ユーザインターフェースの一種であり、作業者から各種の指示を受け付けるとともに、作業者に対して各種の情報を表示することができる。例えばタッチパネル32は、実装機10において各種のエラーが生じたときに、そのエラーを作業者に表示することができる。
【0024】
図4は、制御装置30の機能的な構成の一部を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置30は、機能的に、計数装置42と判定装置44と補正装置46とを備える。これらの装置42、44、46は、制御装置30を構成するハードウエア及びソフトウエアによって構成することができ、必ずしも互いに独立した装置には限られない。即ち、これらの装置42、44、46の二以上が、共通のハードウエアによって構成されてもよい。
【0025】
計数装置42は、第1のテープ材8aに残存する電子部品数を計数する。計数装置42は、第1のテープ材8aが収容する電子部品数の初期値から、実装機10の動作量に応じた電子部品4の消費数を減算することによって、第1のテープ材8aに残存する電子部品数を計数する。なお、第1のテープ材8aが収容する電子部品数の初期値は、タッチパネル32を介して作業者によって教示されてもよいし、データサーバといった外部の装置から取得されてもよい。計数装置42は、教示又は取得された初期値を記憶することができる。また、上記した実装機10の動作量とは、例えば実装機10の動作回数であってもよいし、実装機10の動作時間であってもよい。
【0026】
判定装置44は、検出装置22がスプライス部を検出したときに、計数装置42による計数値が所定の正常範囲内にあるのか否かを判定する。スプライス部が検出装置22による検出位置Bに達した時点で、第1のテープ材8aには、前述した予定残存数の電子部品4が残存するはずである。従って、検出装置22がスプライス部を正しく検出していれば、計数装置42による計数値は当該予定残存数に等しくなるか、それに近い値となる。なお、計数値が予定残存数に必ずしも一致しないのは、計数装置42による計数値にも避けられない誤差が生じ得るためである。それに対して、検出装置22がスプライス部を検出したときに、計数装置42による計数値が予定残存数から大きく相違していれば、検出装置22がスプライス部ではない部分をスプライス部として検出するなど、検出装置22が誤作動を起したものと推定することができる。従って、計数装置42による計数値が、所定の正常範囲内にあるのか否かを判定することで、検出装置22による検出が、スプライス部を正しく検出したものであるのか、誤作動によるものであるのかを判別することができる。
【0027】
上記した正常範囲は、適宜設定することができる。正常範囲は、固定された範囲であってもよいし、各種の第1のテープ材8aに応じて変更されてもよい。一例ではあるが、判定装置44は、第1のテープ材8aが収容する電子部品数の初期値に所定の係数を乗じることによって、正常範囲を規定する上限又は下限の少なくとも一方を決定してもよい。例えば、判定装置44は、下限値を0に固定した上で、上限値に関する係数を0.1としてもよい。この場合、初期値が10000個であるとすると、正常範囲の上限値は10000×0.1=1000個となり、0〜1000個の範囲が正常範囲となる。
【0028】
あるいは、判定装置44は、第1のテープ材8aが収容する電子部品数の初期値から所定の数を減算することによって、正常範囲を規定する上限又は下限の少なくとも一方を決定してもよい。例えば、下限値は0に固定した上で、上限値に関する減算値を9000とすることができる。この場合、初期値が10000個であるとすると、正常範囲の上限値は10000−9000=1000個となり、0〜1000個の範囲が正常範囲となる。
【0029】
あるいは、判定装置44は、前述した予定残存数に応じて、正常範囲を変更することも有効である。例えば、判定装置44は、第1のテープ材8aの予定残存数に所定の係数を乗じることによって、正常範囲を規定する上限又は下限の少なくとも一方を決定することができる。また、判定装置44は、第1のテープ材8aの予定残存数に所定の数を加算又は減算することによって、正常範囲を規定する上限又は下限の少なくとも一方を決定することもできる。さらに、上記した所定の係数及び/又は所定の数は、第1のテープ材8aの態様や、第1のテープ材8aが収容する電子部品の種類に応じて、適宜変更されることも有効である。
【0030】
計数装置42による計数値が前記した正常範囲外であると、判定装置44は、タッチパネル32を用いて報知動作を実行する。具体的には、判定装置44がタッチパネル32へ所定のエラー信号を出力し、エラー信号を受けたタッチパネル32が所定のエラー画面を表示する。それにより、検出装置22による誤作動が作業者に報知される。なお、実装機10は、タッチパネル32による表示に代えて、検出装置22が誤作動したことを示す音、その他の光、振動、電気信号、電波を外部に発してもよい。ここで、例えば検出装置22の誤作動が所定の頻度を超えて発生する場合、判定装置44は、実装機の生産動作を中止する処理を実行してもよい。
【0031】
一方、計数装置42による計数値が前記した正常範囲内であれば、補正装置46が、計数装置42による計数値を補正する処理を実行する。補正装置46は、補正に用いる正常値として前述した予定残存数を記憶しており、計数装置42による計数値を当該正常値に書き換える。これにより、計数装置42による計数値に生じている誤差が排除される。前述したように、予定残存数は、検出装置22がスプライス部を検出したときに第1のテープ材8aに残存することが予定される電子部品数であって、第1のテープ材8aが単位長さあたりに収容する電子部品数に応じて変化する。従って、補正装置46は、第1のテープ材8aが単位長さあたりに収容する電子部品数に応じて、正常値を変更するとよい。この場合、第1のテープ材8aが単位長さあたりに収容する電子部品数は、作業者によって教示されてもよいし、データサーバといった外部の装置から教示されてもよい。なお、上述に限られず、補正装置46が用いる正常値は、適宜決定されるものであってもよい。
【0032】
以上のように、本実施例の実装機10によると、検出装置22がスプライス部を検出したときに、計数装置42による計数値を参照することによって、検出装置22による検出の適否を判別することができる。これにより、例えば検出装置22が誤作動したときに、計数装置42による計数値が不適切に補正されることを避けることができる。
【0033】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0034】
例えば、検出装置22の位置は適宜変更可能であり、例えば、検出装置22が装着ヘッド16に配置されてもよい。このような構成によると、
図2に示す取上位置Aと検出位置Bとを実質的に一致させることができる。この場合、検出装置22がスプライス部を検出した時点で、第1のテープ材8aに残存する電子部品数はゼロとなるので、第1のテープ材8aの態様にかかわらず、上述した補正装置46の正常値はゼロと設定することができる。
【0035】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。