(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子モジュールとして、周囲から入射する信号(電磁波、音波)の空間分布を測定して測定対象の情報を得るセンサ(電子部品)を備えている場合、センサの位置精度を特に高めておくことが重要である。したがって、このような電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットでは、電子モジュール(電子部品)に対する高い位置決め精度が要求される。しかしながら、電子部品やコネクタがフレキシブル基板に接続された電子モジュールを測定対象とする場合、測定用ソケットのカバーを閉じた際には電子部品を高精度に位置決めし、コネクタをガイド部にしっかり嵌め合わせてコネクタとコンタクト部と適切に接触させて測定を行い、測定後にカバーを開いて電子モジュールを取り出す際には、コネクタやフレキシブル基板に与えるダメージを少なくする必要がある。
【0006】
本発明は、測定の際には電子モジュールのコネクタを適切に位置決めして導通を安定的に行うことができ、測定後に電子モジュールを取り出す際のダメージを少なくすることができる測定用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、フレキシブル基板に電子部品およびコネクタが接続された電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットであって、電子モジュールを収容する凹部を有するベースと、ベースの凹部に収容された電子モジュールのコネクタと接触するコンタクト部と、コネクタと嵌め合わされる第1ガイド部と、ベースに対向するカバーの開閉に応じて動作する押圧部と、を備え、ベースの凹部に電子モジュールを収容した状態で、押圧部は、カバーが閉じている状態ではフレキシブル基板から離れて位置し、カバーが開く際に、コネクタの第1ガイド部への嵌合方向と反対側にフレキシブル基板を押すことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、カバーを閉じている状態では押圧部がフレキシブル基板から離れて位置するため、コネクタと第1ガイド部との嵌め合わせに影響を与えずコネクタとコンタクト部との接触が安定的に行われる。一方、カバーを開く際には押圧部がフレキシブル基板を押圧してコネクタの第1ガイド部からの脱離が安定的に行われる。
【0009】
上記測定用ソケットにおいて、押圧部をフレキシブル基板に近づく向きに付勢する付勢手段を備えていることが好ましい。これにより、付勢手段の付勢力によって押圧部がフレキシブル基板を押圧し、コネクタの第1ガイド部からの脱離を安定的に行うことができる。
【0010】
上記測定用ソケットでは、カバーが閉じている状態において押圧部をフレキシブル基板から離間させる離間手段を備えていることが好ましい。これにより、カバーが閉じている状態で離間手段によって押圧部をフレキシブル基板から離間させることが安定的に実現される。
【0011】
上記測定用ソケットにおいて、フレキシブル基板と嵌め合わされる第2ガイド部をさらに備え、押圧部は、第1ガイド部と第2ガイド部との間のフレキシブル基板を押すことが好ましい。これにより、カバーを閉じている状態では第2ガイド部にフレキシブル基板が嵌め合わされてコネクタとコンタクト部との位置合わせが安定する。一方、カバーを開く際には、押圧部によって第2ガイド部からフレキシブル基板を適切に離脱させることができる。
【0012】
上記測定用ソケットにおいて、押圧部は、コネクタに対して電子部品とは反対側に位置するフレキシブル基板を押すようにしてもよい。これにより、押圧部を駆動する機構を外側に配置できるため、機構が簡素化される。
【0013】
上記測定用ソケットにおいて、押圧部は、コンタクト部の周囲に位置する支点でカバーの開閉方向に揺動可能に設けられ、押圧部は、カバーが開いていてカバーと接触していない状態ではコネクタの第1ガイド部への嵌合方向と反対側に付勢され、カバーが閉じることでカバーによって押圧され、フレキシブル基板から離れて位置するよう設けられていてもよい。これにより、押圧部の構造をシンプルにすることができ、測定用ソケットを小型化しやすくなる。
【0014】
上記測定用ソケットにおいて、カバーはベースに対して回動可能に支持され、押圧部の支点はカバーの回動軸とコンタクト部との間に位置するよう設けられていてもよい。揺動タイプの押圧部ではコンパクトに構成でき、回動軸側にも設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、測定の際には電子モジュールのコネクタを適切に位置決めして導通を安定的に行うことができ、測定後に電子モジュールを取り出す際のダメージを少なくすることができる測定用ソケットを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る測定用ソケットの凹部の拡大斜視図である。
説明の便宜上、
図1ではカバー20を開いた状態が示される。
第1実施形態に係る測定用ソケット1Aは、電子モジュール100の電気的な測定および光学的な測定を行う際に用いられるソケットである。測定用ソケット1Aは、測定対象となる電子モジュール100を搭載して、電子モジュール100との電気的な接続および光軸合わせを行う。
【0019】
本実施形態において、測定対象となる電子モジュール100は、電子部品101、フレキシブル基板102およびコネクタ103を備える。電子部品101およびコネクタ103はフレキシブル基板102に接続され、フレキシブル基板102の配線を介して互いに導通している。電子部品101には光学レンズや光学素子(例えば受光素子)などの光学要素が設けられていてもよい。また、電子部品101には、電磁波や音波などの信号を用いて測定を行う電磁波・音波等計測部品も含まれる。電子モジュール100としては、カメラモジュール、指紋読み取りモジュール、ToF(Time of Flight)、レーダセンサモジュール、超音波センサモジュール等が挙げられる。電子部品101を適切に機能させるためには電子部品101を高精度で位置決めすることが求められる。測定用ソケット1Aは、測定対象となる電子モジュール100に対する電気的な導通と、機械的な位置合わせ(例えば光軸合わせ)との両立を図るものである。
【0020】
測定用ソケット1Aは、ベース10と、コンタクト部30と、第1ガイド部41と、押圧部50とを備える。
【0021】
ベース10は、電子モジュール100を収容する凹部11を有する。凹部11には、電子モジュール100の電子部品101を収容する第1凹部111と、フレキシブル基板102を収容する第2凹部112と、コネクタ103を収容する第3凹部113とが設けられる。第1凹部111、第2凹部112および第3凹部113のそれぞれにおいて、開口場には上に広がるテーパ部が設けられ、テーパ部の下方にはストレート部が設けられている。テーパ部において収容する対象部分を呼び込み、ストレート部で対象部分を収容する。
【0022】
ベース10にはカバー20が被せられる。測定用ソケット1Aにおいて、カバー20はベース10に対して回動可能に取り付けられる。すなわち、ベース10の一端に設けられたヒンジ27を介してカバー20が取り付けられる。これにより、カバー20は、ヒンジ27の軸28を中心として開閉動作可能に設けられる。
【0023】
測定用ソケット1Aの例えばベース10にはラッチ15が設けられる。カバー20を閉じた状態でラッチ15をカバー20の爪25に引っ掛けることで、カバー20を閉じた状態が維持される。なお、ラッチ15はカバー20側、爪25はベース10側に設けられていてもよい。カバー20は、ヒンジ27の軸28に取り付けられたバネ29によって開く方向に付勢されている。したがって、ラッチ15を外すことで、バネ29の付勢力によってカバー20は開くことになる。
【0024】
コンタクト部30は、ベース10の凹部11に収容された電子モジュール100のコネクタ103と接触する部材である。測定用ソケット1Aでは、コンタクト部30はコネクタ103を収容する第3凹部113のベース10側に設けられる。コンタクト部30にはコネクタ103の各端子と接触する複数のコンタクトピン31が設けられる。コネクタ103が収容された第3凹部113とコンタクト部30との相対距離が近づくことでコンタクトピン31がコネクタ103の端子と接触することになる。
【0025】
第1ガイド部41は、コネクタ103と嵌め合わされる部分である。本実施形態では、コネクタ103を収容する第3凹部113が第1ガイド部41となる。第1ガイド部41は、コイルバネ45によってコンタクト部30から離れる方向に付勢されている。コネクタ103とともに第1ガイド部41を押し込むことで、コネクタ103の端子とコンタクト部30のコンタクトピン31とが接触するようになる。
【0026】
押圧部50は、ベース10に対向するカバー20の開閉に応じて動作する部材である。測定用ソケット1Aにおいて、押圧部50は、ベース10の凹部11に収容される電子モジュール100のフレキシブル基板102の下側に配置される。押圧部50はベース10に対して突出する方向(ベース10から離れる方向)に付勢手段であるコイルバネ55によって付勢されており、コイルバネ55の付勢力に打ち勝って押すことで、押圧部50はベース10側に押し込まれる。
【0027】
測定用ソケット1Aにおいて、カバー20が閉じている状態では、押圧部50はフレキシブル基板102から離れて位置し、カバー20が開く際に、コネクタ103の第1ガイド部41への嵌合方向と反対側にフレキシブル基板102を押すように動作する。
【0028】
測定用ソケット1Aでは、カバー20のベース10との対向面側に第1突起部201および第2突起部202が設けられる。第1突起部201は、カバー20を閉じた際に第3凹部113(第1ガイド部41)に収容されたコネクタ103を第3凹部113(第1ガイド部41)側に押圧する。また、第2突起部202は、カバー20を閉じた際に押圧部50と当接して押圧部50をベース10側に押し込む。第2突起部202は押圧部50をフレキシブル基板102から離間させる離間手段60となる。
【0029】
図3(a)および(b)は、押圧部の動作を説明する拡大断面図である。
図3(a)にはカバー20が閉じた際の動作が示され、
図3(b)にはカバー20が開いた際の動作が示される。
【0030】
図3(a)に示すように、電子モジュール100が凹部11に収容された状態でカバー20を被せる(閉じる)と、カバー20に設けられた第2突起部202が押圧部50と当接し、コイルバネ55の付勢力に打ち勝って押圧部50がベース10側に押し込まれる。これにより、第2突起部202が離間手段60として作用し、押圧部50はフレキシブル基板102から離れて位置することになる。フレキシブル基板102は押圧部50による影響を受けることなく第2凹部112に収容され、位置固定が安定的に行われる。
【0031】
押圧部50が押し込まれ、さらにカバー20を閉じていくと、カバー20に設けられた第1突起部201がコネクタ103を押圧する。この押圧力によってコネクタ103とともに第3凹部113(第1ガイド部41)が押し込まれる。第3凹部113(第1ガイド部41)が押し込まれることでコンタクト部30のコンタクトピン31がコネクタ103の端子と接触する状態となる。
【0032】
このように、カバー20を閉じている状態では押圧部50がフレキシブル基板102から離れて位置するため、コネクタ103と第1ガイド部41との嵌め合わせに影響を与えず、コネクタ103とコンタクト部30のコンタクトピン31との接触が適切に行われる。
【0033】
図3(b)に示すように、カバー20を開くと、第1突起部201がコネクタ103から離れ、第3凹部113(第1ガイド部41)がコイルバネ45の付勢力によって持ち上げられる。これにより、コネクタ103の端子とコンタクト部30のコンタクトピン31との接触が解除される。
【0034】
また、第3凹部113(第1ガイド部41)の持ち上がりとともに、カバー20の開きによって第2突起部202が押圧部50から離れる。これにより、押圧部50はコイルバネ55の付勢力によって持ち上がり、フレキシブル基板102を押し上げる。フレキシブル基板102は押圧部50によって押し上げられ、第2凹部112から脱離することになる。したがって、フレキシブル基板102が第2凹部112に固めに嵌め込まれていたとしても、カバー20を開く際には押圧部50がフレキシブル基板102を押圧して第2凹部112から脱離させることが安定的に実現される。
【0035】
また、コネクタ103が第3凹部113(第1ガイド部41)に固めに嵌め込まれていたとしても、押圧部50によってフレキシブル基板102を押圧することでコネクタ103に対しても第3凹部113(第1ガイド部41)から脱離する方向に力を与えることができる。したがって、コネクタ103の第3凹部113(第1ガイド部41)からの離脱も安定的に行うことができる。
【0036】
また、測定用ソケット1Aでは、フレキシブル基板102が嵌め合わされる第2凹部112を第2ガイド部42として、押圧部50は第1ガイド部41と第2ガイド部42との間のフレキシブル基板102を押すよう設けられる。これにより、カバー20を閉じている状態では第2ガイド部42である第2凹部112にフレキシブル基板102が嵌め合わされてコネクタ103とコンタクト部30との位置合わせが安定する。一方、カバー20を開く際には、押圧部50によって第2ガイド部42からフレキシブル基板102を適切に離脱させることができるため、電子モジュール100に不要な力を与えることなく測定用ソケット1Aから取り出すことができる。
【0037】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図5は、押圧部の動作を説明する拡大断面図である。
図6は、押圧部の動作を説明する拡大斜視図である。
第2実施形態に係る測定用ソケット1Bでは、コンタクト部30、第1ガイド部41および押圧部50がカバー20側に設けられる。
【0038】
コンタクト部30およびコンタクトピン31はカバー20側に固定される。第1ガイド部41はコイルバネ45によってコンタクト部30から離れる方向に付勢される。押圧部50はコイルバネ55によってカバー20から離れる方向に付勢される。
【0039】
カバー20を閉じた際に押圧部50と対向するベース10の位置には離間手段60である第2突起部202が設けられる。測定用ソケット1Bでは、ベース10の凹部11に電子モジュール100を収容すると、電子モジュール100のコネクタ103の端子が上向きとなって配置される。このコネクタ103にカバー20側のコンタクト部30が被せられ、コネクタ103とコンタクト部30の位置決めを行い、コンタクトピン31とコネクタ103の端子との接触が行われる。
【0040】
図5および
図6には、カバー20を閉じる途中の状態が示される。すなわち、電子モジュール100が凹部11に収容された状態でカバー20を被せる(閉じる)と、ベース10に設けられた第2突起部202が押圧部50と当接し、コイルバネ55の付勢力に打ち勝って押圧部50をカバー20側に押し込むようになる。これにより、第2突起部202が離間手段60として作用し、押圧部50はフレキシブル基板102から離れて位置することになる。押圧部50がカバー20側に押し込まれることで、フレキシブル基板102は押圧部50による影響を受けることなく、またフレキシブル基板102に接続されたコネクタ103も影響を受けることなく凹部11に収納された状態を維持することができる。
【0041】
押圧部50が押し込まれ、さらにカバー20を閉じていくと、カバー20に設けられた第1ガイド部41がコネクタ103に被せられ、コネクタ103の位置決めが行われる。さらにカバー20を閉じていくと、コイルバネ45の付勢力に打ち勝って第1ガイド部41がカバー20側に押し込まれ、コンタクト部30のコンタクトピン31が第1ガイド部41に嵌め込まれたコネクタ103の端子と接触する状態となる。
【0042】
このように、カバー20を閉じている状態では押圧部50がフレキシブル基板102から離れて位置するため、コネクタ103と第1ガイド部41との嵌め合わせに影響を与えず、コネクタ103とコンタクト部30のコンタクトピン31との接触が適切に行われる。
【0043】
測定が完了し、カバー20を開くと、コンタクト部30のコンタクトピン31がコネクタ103の端子から離れるが、第1ガイド部41はコイルバネ45の付勢力によってベース10側に付勢され、コンタクト部30よりも遅れてコネクタ103から離間する。
【0044】
カバー20を開く際、ベース10からカバー20が離れていく途中で、押圧部50はコイルバネ55の付勢力によってフレキシブル基板102の方向に突出していく。ここで、もし第1ガイド部41にコネクタ103が固く嵌まり込んでいたとすると、第1ガイド部41とともにコネクタ103が引き上げられることになる。しかし、コネクタ103とともにフレキシブル基板102が持ち上げられても、突出している押圧部50によってフレキシブル基板102が押圧され、この押圧力によって第1ガイド部41に嵌め込まれたコネクタ103が第1ガイド部41から離脱することになる。これにより、第1ガイド部41からコネクタ103を適切に離脱でき、電子モジュール100に不要な力を与えることなくカバー20を開くことができる。
【0045】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図8は、第3実施形態に係る測定用ソケットを例示する正面図である。
第3実施形態に係る測定用ソケット1Cは、ベース10とカバー20との間に設けられたセンターカバー70を備える。センターカバー70は、カバー20に対して回動可能に支持される。カバー20とセンターカバー70との間にはコイルバネ75が設けられ、センターカバーをカバー20から離れる方向に付勢している。
【0046】
測定用ソケット1Cでは、コンタクト部30および第1ガイド部41がカバー20側に設けられ、押圧部50がセンターカバー70に設けられる。センターカバー70には電子モジュール100の電子部品101を押さえる押圧片71が設けられる。
【0047】
測定用ソケット1Cにおいて、ベース10の凹部11に電子モジュール100を収容した状態でカバー20を閉じると、カバー20とともにセンターカバー70も閉じていく。センターカバー70が閉じていくことで、センターカバー70の押圧片71が電子モジュール100の電子部品101と当接する。
【0048】
押圧片71が電子部品101に当接した状態でさらにカバー20を閉じていくと、コイルバネ75の付勢力が押圧片71に伝わり電子部品101を押圧する。さらにカバー20が閉じていくと、カバー20に設けられた第1ガイド部41がコネクタ103と嵌め合わされ、コンタクト部30のコンタクトピン31とコネクタ103とが接触する。このカバー20およびセンターカバー70が閉じる動作において、センターカバー70に設けられた押圧部50は電子モジュール100のフレキシブル基板102とは接触しない。
【0049】
測定が完了し、カバー20を開くと、コンタクト部30のコンタクトピン31がコネクタ103の端子から離れるが、センターカバー70はコイルバネ75の付勢力によってカバー20から離れる方向に付勢されているため、カバー20よりも遅れて開き出す。
【0050】
ここで、もし第1ガイド部41にコネクタ103が固く嵌まり込んでいたとすると、第1ガイド部41とともにコネクタ103が引き上げられることになる。しかし、コネクタ103とともにフレキシブル基板102が持ち上げられても、センターカバー70の開き動作の開始が遅れるため、センターカバー70の押圧部50によってフレキシブル基板102が押圧され、この押圧力によって第1ガイド部41に嵌め込まれたコネクタ103が第1ガイド部41から離脱することになる。これにより、第1ガイド部41からコネクタ103を適切に離脱でき、電子モジュール100に不要な力を与えることなくカバー20を開くことができる。
【0051】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図10は、第4実施形態に係る測定用ソケットの押圧部の拡大斜視図である。
第4実施形態に係る測定用ソケット1Dにおいて、押圧部50は、コンタクト部30の周囲に位置する支点51でカバー20の開閉方向に揺動可能に設けられる。押圧部50の揺動の支点51は、カバー20の回動軸とコンタクト部30との間に位置するように設けられる。測定用ソケット1Dはセンターカバー70を備える。センターカバー70には電子モジュール100の電子部品101を押さえる押圧枠72が設けられる。
【0052】
さらに、センターカバー70には、センターカバー70が閉じる際に押圧部50を押さえるプレート73が設けられる。プレート73は押圧部50をフレキシブル基板102から離間させる離間手段60である。押圧部50にはプレート73が当接する際の摺動抵抗を低減させるためのローラ52が設けられているとよい。
【0053】
図11および
図12は、第4実施形態に係る測定用ソケットの押圧部の動作を説明する拡大断面図である。
図11にはカバー20およびセンターカバー70が開いているときの状態が示される。なお、説明の便宜上、
図11にはカバー20およびセンターカバー70は示されていない。カバー20およびセンターカバー70が開いている状態では、センターカバー70のプレート73は押圧部50に当接しておらず、押圧部50はコイルバネ55の付勢力によってベース10から離れる方向に持ち上げられている。ベース10に電子モジュール100が収容されている状態では、押圧部50によってフレキシブル基板102が持ち上げられる。
【0054】
図12(a)および(b)にはカバー20およびセンターカバー70を閉じる途中の状態が示される。カバー20およびセンターカバー70を閉じていくと、
図12(a)に示すようにセンターカバー70のプレート73が押圧部50のローラ52に当接する。さらに閉じていくと、
図12(b)に示すように、プレート73によって押圧部50が押さえられ、コイルバネ55の付勢力に打ち勝って押圧部50が押し下げられる。これにより、プレート73が離間手段60として作用し、押圧部50はフレキシブル基板102から離れて位置することになる。
【0055】
さらにカバー20およびセンターカバー70を閉じていくと、センターカバー70の押圧枠72によって電子部品101が押さえられる。押圧枠72が電子部品101に当接した状態でさらにカバー20を閉じていくと、コイルバネ75の付勢力が押圧枠72に伝わり電子部品101を押圧する。さらにカバー20を閉じていくと、カバー20に設けられた第1ガイド部41がコネクタ103に嵌め合わされ、コンタクト部30のコンタクトピン31が第1ガイド部41に嵌め込まれたコネクタ103の端子と接触する状態となる。
【0056】
このように、カバー20およびセンターカバー70を閉じる動作では押圧部50がフレキシブル基板102から離れて位置するため、コネクタ103と第1ガイド部41との嵌め合わせに影響を与えず、コネクタ103とコンタクト部30のコンタクトピン31との接触が適切に行われる。
【0057】
測定が完了し、カバー20を開く際の動作は閉じる際の動作と逆になる。すなわち、カバー20を開くことでコンタクト部30のコンタクトピン31がコネクタ103の端子から離れる。この際、センターカバー70はコイルバネ75の付勢力によってカバー20から離れる方向に付勢されているため、カバー20よりも遅れて開き出す。
【0058】
第1ガイド部41がコネクタ103から外れ、カバー20をさらに開いていくと、センターカバー70が開きだし、センターカバー70のプレート73の押さえ込みが解除され、押圧部50がコイルバネ55の付勢力によって持ち上げられる。これにより、押圧部50がフレキシブル基板102を持ち上げるようになる。フレキシブル基板102が第2凹部112に固めに嵌め込まれていたとしても、押圧部50によってフレキシブル基板102を持ち上げることで安定的に離脱できる。したがって、電子モジュール100に不要な力を与えることなく測定用ソケット1Dから取り出すことができる。
【0059】
このような測定用ソケット1Dでは、揺動可能な押圧部50によって押圧部50をベース10やカバー20の内部に組み込む必要がなくなり、構造をシンプルにすることができ、ソケットを小型化しやすくなる。
【0060】
また、押圧部50の支点51がカバー20の回動の軸28とコンタクト部30との間に位置するよう設けられることで、揺動タイプの押圧部50を電子モジュール100の収容位置よりも軸28側に設けることができる。これにより、押圧部50がコネクタ103に対して電子部品101とは反対側に位置するフレキシブル基板102を押すようになる。すなわち、押圧部50は、フレキシブル基板102のコネクタ103よりも外側の部分(コネクタ103に近い部分)を押し上げることになる。したがって、フレキシブル基板102に無理な力を加えることなくフレキシブル基板102とともにコネクタ103を持ち上げることが可能となる。
【0061】
(コンタクト装置)
図13は、本実施形態に係るコンタクト装置を例示する模式図である。
本実施形態に係るコンタクト装置500は、先に説明した測定用ソケット1A〜1Dと同様に、ベース10、コンタクト部30、第1ガイド部41および押圧部50を備える。コンタクト装置500では、カバー20がベース10に対して上下動するよう構成される。
【0062】
ベース10には、電子モジュール100を収容する凹部11が設けられる。ベース10には、例えば4箇所に支柱515が設けられている。カバー20は、この支柱515によって支持され、支柱515に沿って上下動可能に設けられる。支柱515にはバネ517が設けられており、カバー20を上方に付勢している。カバー20は、図示しない駆動機構によってバネ517の付勢力を超えた力で押し込まれることにより、ベース10の上に被せられる。
【0063】
測定を行う場合には、電子モジュール100をベース10の凹部11に収容する。電子モジュール100の電子部品101は第1凹部111に収容され、フレキシブル基板102は第2凹部112に収容され、コネクタ103は第3凹部113(第1ガイド部41)に収容される。
【0064】
ベース10の凹部11に電子モジュール100を収容した状態でカバー20を下降すると、コンタクト部30のコンタクトピン31とコネクタ103の端子とが接触するようになる。ここで、カバー20がベース10に被せられる際、例えばベース10側に設けられた押圧部50は、カバー20に設けられた第2突起部202(離間手段60)によってベース10側に押し込まれ、フレキシブル基板102から離間される。
【0065】
このように、カバー20をベース10に被せている状態では押圧部50がフレキシブル基板102から離れて位置するため、コネクタ103と第1ガイド部41との嵌め合わせに影響を与えず、コネクタ103とコンタクト部30のコンタクトピン31との接触が適切に行われる。
【0066】
測定が完了した後、カバー20を上昇させる。カバー20の上昇によって、コンタクト部30のコンタクトピン31がコネクタ103の端子から離れる。また、第2突起部202が押圧部50から離れ、コイルバネ55の付勢力によって押圧部50が持ち上げられる。これにより、押圧部50によってフレキシブル基板102が持ち上げられ、第2凹部112から離脱することになる。したがって、フレキシブル基板102が第2凹部112に固めに嵌め込まれていたとしても、カバー20を開く際には押圧部50がフレキシブル基板102を押圧して第2凹部112から脱離させることが安定的に実現される。
【0067】
また、コネクタ103が第3凹部113(第1ガイド部41)に固めに嵌め込まれていたとしても、押圧部50によってフレキシブル基板102を押圧することでコネクタ103に対しても第3凹部113(第1ガイド部41)から脱離する方向に力を与えることができる。したがって、コネクタ103の第3凹部113(第1ガイド部41)からの離脱も安定的に行うことができる。
【0068】
図13に示すコンタクト装置500の例では、コンタクト部30がカバー20側に設けられている、ベース10側に設けられてもよい。また、コンタクト装置500の例では、押圧部50がベース10側に設けられているが、カバー20側に設けられてもよい。
【0069】
以上説明したように、実施形態に係る測定用ソケット1A〜1Dによれば、測定の際には電子モジュール100のコネクタ103を適切に位置決めして導通を安定的に行うことができ、測定後は電子モジュール100にダメージを与えることなく取り出すことが可能となる。
【0070】
特に、近年ではフレキシブル基板102が固く、複雑な形状になってきているため、第2凹部112にフレキシブル基板102が嵌め込まれやすく、不用意に力を入れると変形してしまう恐れがある。測定用ソケット1A〜1Dでは、このようなフレキシブル基板102を備えた電子モジュール100であっても、適切な電気的導通および位置決めと、ソケットからの無理のない取り外しを行うことが可能となる。
【0071】
なお、上記に本実施形態およびその具体例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の実施形態またはその具体例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【課題】測定の際には電子モジュールのコネクタを適切に位置決めして導通を安定的に行うことができ、測定後に電子モジュールを取り出す際のダメージを少なくすることができる測定用ソケットを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、フレキシブル基板に電子部品およびコネクタが接続された電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットであって、電子モジュールを収容する凹部を有するベースと、ベースの凹部に収容された電子モジュールのコネクタと接触するコンタクト部と、コネクタと嵌め合わされる第1ガイド部と、ベースに対向するカバーの開閉に応じて動作する押圧部と、を備え、ベースの凹部に電子モジュールを収容した状態で、押圧部は、カバーが閉じている状態ではフレキシブル基板から離れて位置し、カバーが開く際に、コネクタの第1ガイド部への嵌合方向と反対側にフレキシブル基板を押すことを特徴とする。