(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記急閉鎖指令を受信後に前記開閉弁を閉じたことを検知した段階、或いは前記急閉鎖指令を受信後に所定時間が経過した段階で、前記切換弁を開く、請求項1記載の油圧アクチュエータシステム。
シリンダ、及び前記シリンダ内をヘッド側室とロッド側室とに区切るピストンロッド、及び前記シリンダから前記ピストンロッドを突出させる方向に付勢する弾性部を有する油圧アクチュエータと、
前記ヘッド側室と前記ロッド側室とを接続しており、油が移動する管路と、
前記管路に設けられており、正逆回転可能な油圧ポンプと、
前記管路のうち、前記油圧ポンプと前記ロッド側室との間から分岐されており、前記油圧ポンプをバイパスするように、先端が前記管路と接続されたバイパス用管路と、
前記バイパス用管路に設けられた切換弁と、
前記管路のうち、前記バイパス用管路の分岐位置と前記油圧ポンプとの間から分岐した分岐用管路と、
前記分岐用管路と接続されたアキュムレータと、
前記分岐用管路に設けられた開閉弁と、
前記油圧ポンプ、前記切換弁、前記開閉弁を制御する制御装置と、
を備える 油圧アクチュエータシステムの運転方法であって、
前記制御装置は、通常運転時には前記切換弁を閉じるとともに前記開閉弁を開くステップと、
急閉鎖指令を受信後に、前記開閉弁を閉じた後に前記切換弁を開くステップと、
を含む油圧アクチュエータシステムの運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、流体弁本体を急閉鎖する場合、アキュムレータ内の高い圧力を有する油がアキュムレータから流出することで、流体弁本体を急閉鎖させる際に時間がかかってしまうという可能性があった。
【0009】
そこで、本発明は、流体弁本体を短時間で急閉鎖させることの可能な油圧アクチュエータシステム、流体弁
、蒸気タービン
、及び油圧アクチュエータシステムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る油圧アクチュエータシステムによれば、流体弁本体用の油圧アクチュエータシステムであって、シリンダ、及び前記シリンダ内をヘッド側室とロッド側室とに区切るピストンロッド、及び前記シリンダから前記ピストンロッドを突出させる方向に付勢する弾性部を有する油圧アクチュエータと、前記ヘッド側室と前記ロッド側室とを接続しており、油が移動する管路と、前記管路に設けられており、正逆回転可能な油圧ポンプと、前記管路のうち、前記油圧ポンプと前記ロッド側室との間から分岐されており、前記油圧ポンプをバイパスするように、先端が前記管路と接続されたバイパス用管路と、前記バイパス用管路に設けられた切換弁と、前記管路のうち、前記バイパス用管路の分岐位置と前記油圧ポンプとの間から分岐した分岐用管路と、前記分岐用管路と接続されたアキュムレータと、前記分岐用管路に設けられた開閉弁と、前記油圧ポンプ、前記切換弁、前記開閉弁を制御する制御装置と、を備
え、前記制御装置は、通常運転時には前記切換弁を閉じるとともに前記開閉弁を開き、急閉鎖指令を受信後に、前記開閉弁を閉じた後に前記切換弁を開く。
【0011】
本発明によれば、上述したバイパス用管路、切換弁、分岐用管路、アキュムレータ、開閉弁、及び制御装置を有することで、通常運転時に切換弁を閉じ、開閉弁を開くことで、油圧ポンプを駆動させることなく、アキュムレータ内の圧力(高圧の油)を用いて、シリンダ内におけるピストンロッドの位置が所定位置となるように維持することが可能となる。これにより、油圧ポンプの電力消費量、及び油圧ポンプの発熱を抑制することができる。
【0012】
また、急閉鎖指令を制御装置が受信後に、開閉弁を閉じた後に切換弁を開くことで、アキュムレータ内の高圧の油が管路内に移動することを抑制可能となるので、ヘッド側室内の油をロッド側室内に容易に導入させることができる。
【0013】
さらに、急閉鎖指令を制御装置が受信後に、開閉弁を閉じた後に切換弁を開くことで、管路の全長よりも短い経路(バイパス用管路を含む経路)を用いて、シリンダの内面とピストンロッドの外面との間に形成された隙間を介して、ロッド側室内からヘッド側室内に移動した油を、ヘッド側室内からロッド側室内に短時間で移動させることが可能となるので、流体弁本体を短時間で急閉鎖することができる。
【0014】
また、上記本発明の一態様に係る油圧アクチュエータシステムにおいて、前記制御装置は、前記急閉鎖指令を受信後に前記開閉弁を閉じたことを検知した段階、或いは前記急閉鎖指令を受信後に所定時間が経過した段階で、前記切換弁を開いてもよい。
【0015】
このように、制御装置が急閉鎖指令を受信後に開閉弁を閉じたことを検知した段階、或いは制御装置が急閉鎖指令を受信後に所定時間が経過した段階で、切換弁を開くことで、確実に開放弁が閉じた後に切換弁を開くことができる。
【0016】
また、上記本発明の一態様に係る油圧アクチュエータシステムにおいて、前記分岐用管路に設けられ、前記アキュムレータ内の圧力を検出する圧力検出部を有しており、前記ピストンロッドは、ロッド本体と、前記ロッド本体に設けられ、前記シリンダ内を前記ヘッド側室と前記ロッド側室とに区切るピストンと、を備え、前記制御装置は、通常運転時に前記アキュムレータ内の圧力が下限閾値よりも低下した際に前記油圧ポンプを駆動させ、前記油圧ポンプの駆動中に前記アキュムレータ内の圧力が前記下限閾値よりも大きい上限閾値を超えた際に前記油圧ポンプを停止させてもよい。
【0017】
このように、制御装置により、通常運転時にアキュムレータ内の圧力が下限閾値よりも低下した際に油圧ポンプを駆動させ、アキュムレータ内の圧力が下限閾値よりも大きい上限閾値を超えた際に油圧ポンプを停止させることで、アキュムレータ内の圧力が低下してアキュムレータの機能が低下した場合でもシリンダ内におけるピストンロッドの位置が所定位置となるように維持することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る流体弁によれば、上記油圧アクチュエータシステムと、前記ピストンロッドの先端に設けられた弁体と、流体が導入される流体導入口、及び前記弁体が当接される弁座を含み、前記弁体を収容する弁ケースと、を含む流体弁本体と、を備える。
【0019】
本発明によれば、急閉鎖指令信号を受信後、弁体と弁座とを短時間で接触させることが可能となるので、流体弁本体を短時間で急閉鎖することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る蒸気タービンによれば、上記流体弁と、前記流体弁を介して供給される前記流体である蒸気によって駆動されるタービン本体と、を備える。
【0021】
本発明によれば、急閉鎖指令を受信後、弁体と弁座とを短時間で接触させることが可能となるので、蒸気タービンに流れる蒸気を短時間で遮断することができる。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る油圧アクチュエータシステムの運転方法によれば、シリンダ、及び前記シリンダ内をヘッド側室とロッド側室とに区切るピストンロッド、及び前記シリンダから前記ピストンロッドを突出させる方向に付勢する弾性部を有する油圧アクチュエータと、前記ヘッド側室と前記ロッド側室とを接続しており、油が移動する管路と、前記管路に設けられており、正逆回転可能な油圧ポンプと、前記管路のうち、前記油圧ポンプと前記ロッド側室との間から分岐されており、前記油圧ポンプをバイパスするように、先端が前記管路と接続されたバイパス用管路と、前記バイパス用管路に設けられた切換弁と、前記管路のうち、前記バイパス用管路の分岐位置と前記油圧ポンプとの間から分岐した分岐用管路と、前記分岐用管路と接続されたアキュムレータと、前記分岐用管路に設けられた開閉弁と、前記油圧ポンプ、前記切換弁、前記開閉弁を制御する制御装置と、を備える 油圧アクチュエータシステムの運転方法であって、前記制御装置は、通常運転時には前記切換弁を閉じるとともに前記開閉弁を開くステップと、急閉鎖指令を受信後に、前記開閉弁を閉じた後に前記切換弁を開くステップと、を含む。
また、上記本発明の一態様に係る油圧アクチュエータシステムの運転方法において、前記制御装置は、前記急閉鎖指令を受信後に前記開閉弁を閉じたことを検知した段階、或いは前記急閉鎖指令を受信後に所定時間が経過した段階で、前記切換弁を開いてもよい。
また、上記本発明の一態様に係る油圧アクチュエータシステムの運転方法において、前記油圧アクチュエータシステムは、前記分岐用管路に設けられ、前記アキュムレータ内の圧力を検出する圧力検出部を有しており、前記制御装置は、通常運転時に前記アキュムレータ内の圧力が下限閾値よりも低下した際に前記油圧ポンプを駆動させ、前記油圧ポンプの駆動中に前記アキュムレータ内の圧力が前記下限閾値よりも大きい上限閾値を超えた際に前記油圧ポンプを停止させてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、流体弁本体を短時間で急閉鎖させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る蒸気タービンシステム10について説明する。なお、第1の実施形態では、流体の一例として蒸気を用いるとともに、流体弁20として主蒸気弁を用いた場合を例に挙げる。
【0026】
蒸気タービンシステム10は、蒸気により駆動される蒸気タービン11と、蒸気タービン11に蒸気を供給するボイラ12と、蒸気タービン11によって駆動される発電機13と、を有する。
【0027】
蒸気タービン11は、タービン本体15と、蒸気が流通する蒸気供給管17と、出力軸18と、流体弁20と、を有する。
【0028】
タービン本体15は、ケーシング(図示せず)と、ケーシング内に収容されたロータ(図示せず)と、を有する。ロータ(図示せず)は、回転可能な状態で出力軸18に設けられている。ロータ(図示せず)が回転すると、ロータの回転が出力軸18を介して、発電機13に伝達されて発電される。
【0029】
蒸気供給管17は、第1供給管17Aと、第2供給管17Bと、を有する。第1供給管17Aは、一端がボイラ12と接続されており、他端が流体弁20と接続されている。第1供給管17Aは、ボイラ12から排出された蒸気を流体弁20に供給する。
【0030】
第2供給管17Bは、一端が流体弁20と接続されており、他端がタービン本体15と接続されている。第2供給管17Bは、流体弁20が開状態のときに、タービン本体15に蒸気を供給する。
出力軸18は、一端が発電機13と接続されており、他端がタービン本体15を構成するロータ(図示せず)と接続されている。
【0031】
図2及び
図3を参照して、流体弁20について説明する。
図2に示すAは、弁体25の移動方向(以下、「A方向」という)を示している。
図3において、
図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0032】
流体弁20は、流体弁本体21と、油圧アクチュエータシステム22と、を有する。
流体弁本体21は、弁ケース24と、弁体25と、を有する。弁ケース24は、弁体25を収容可能な空間24Aと、流体導入口24Bと、弁座24Cと、を有する。
【0033】
流体導入口24Bは、弁ケース24の側壁部に設けられた貫通部である。流体導入口24Bは、第1供給管17Aと接続されている。流体導入口24Bは、第1供給管17Aを介して、
図1に示すボイラ12から供給された蒸気(流体)を弁ケース24内に導入する。
【0034】
弁座24Cは、弁ケース24の底部を貫通するように設けられている。弁座24Cは、第2供給管17Bと接続されている。弁座24Cは、弁体25が当接される部分であり、弁体25の先端部を収容可能な形状とされている。
弁座24Cと弁体25とが接触すると、流体弁本体21は、閉じた状態となる。一方、弁座24Cから弁体25が離間した状態にある場合、流体弁本体21は、開いた状態となり、弁座24Cを介して、ボイラ12(
図1参照)から供給された蒸気がタービン本体15(
図1参照)に供給される。
【0035】
弁体25は、先端部25Aが弁座24Cと対向するように、弁ケース24内に収容されている。弁体25は、弁座24Cに対してA方向に移動可能な構成とされている。弁体25の先端部25Aは、弁座24C内に一部が収容可能な形状とされている。
【0036】
油圧アクチュエータシステム22は、油圧アクチュエータ31と、管路33と、油圧ポンプ35と、バイパス用管路41と、切換弁42と、分岐用管路44と、開閉弁45と、アキュムレータ46と、圧力検出部47と、制御装置48と、を有する。
【0037】
油圧アクチュエータ31は、弾性部51と、シリンダ52と、ピストンロッド53と、を有する。弾性部51は、固定部材56と、移動部材57と、弾性体58と、を有する。
固定部材56は、位置が固定された板状の部材である。固定部材56は、第1の面56aと、第1の面56aの反対側に位置する第2の面56bと、を有する。第1の面56aには、シリンダ52が固定されている。第2の面56bには、弾性体58の一端が固定されている。固定部材56は、ピストンロッド53を構成するロッド本体64を挿入する貫通穴56Aを有する。
【0038】
移動部材57は、板状の部材であり、ピストンロッド53を構成するロッド本体64が挿入される貫通穴57Aを有する。移動部材57は、固定部材56の下方に配置されている。移動部材57は、第2の面56bと対向する面57aを有する。面57aには、弾性体58の他端が固定されている。移動部材57は、弾性体58の伸縮により、A方向に移動可能な構成とされている。
【0039】
弾性体58は、固定部材56と移動部材57との間に配置されている。弾性体58は、シリンダ52からピストンロッド53(具体的には、ロッド本体64)を突出させる方向(固定部材56から移動部材57に向かう方向)に付勢している。弾性体58としては、例えば、ばねを用いることが可能である。
【0040】
シリンダ52は、一端が固定部材56の第1の面56aに固定されている。シリンダ52は、A方向に延在している。シリンダ52は、ロッド本体64により、その内部がヘッド側室61とロッド側室62とに区切られている。ロッド側室62は、ヘッド側室61と固定部材56との間に配置されている。ヘッド側室61及びロッド側室62は、油63が充填されている。
シリンダ52は、ロッド側室62に油63を導入及び導出するための油出入口52Aと、ヘッド側室61に油63を導入及び導出するための油出入口52Bと、を有する。
【0041】
ピストンロッド53は、ロッド本体64と、ピストン65と、を有する。ロッド本体64は、A方向に延在している。ロッド本体64は、シリンダ52、固定部材56、及び移動部材57を貫通している。ロッド本体64の先端は、弁ケース24の一部を貫通しており、弁ケース24内に収容された弁体25の後端と接続されている。
【0042】
ピストン65は、シリンダ52内に配置されたロッド本体64に固定されている。ヘッド側室61に油63が導入されると、ピストン65は、固定部材56に近づく方向に移動する。この場合、弁体25は、弁座24Cに近づく方向に移動する。
一方、ロッド側室62に油63が導入されると、ピストン65は、固定部材56から離間する方向に移動する。この場合、弁体25は、弁座24Cから離間する方向に移動する。
【0043】
ところで、ピストン65とシリンダ52との間には、シリンダ52内をピストン65が移動するために必要な隙間が形成されている。通常運転時には、該隙間を介して、ロッド側室62からヘッド室側61へ油63が漏れ出る(移動する)ため、シリンダ52内におけるピストン65の位置を所定位置に維持することが困難となる。なお、通常運転時には、切換弁42からも油が漏れ出る。
【0044】
管路33は、油63が流れるラインである。管路33は、一端が油出入口52Aと接続されており、他端が油出入口52Bと接続されている。管路33は、油出入口52Aを介して、ロッド側室62と接続されている。また、管路33は、油出入口52Bを介して、ヘッド側室61と接続されている。つまり、管路33は、ヘッド側室61とロッド側室62との間を油63が移動可能な状態で、ヘッド側室61及びロッド側室62と接続されている。
【0045】
油圧ポンプ35は、ポンプ本体71と、電動モータ72と、ドライバ73と、を有する。ポンプ本体71は、管路33に設けられている。ポンプ本体71は、正逆回転可能な構成とされている。ポンプ本体71は、ヘッド側室61内の油63をロッド側室62内に移動させたり、ロッド側室62内の油63をヘッド側室61内に移動させたりすることで、シリンダ52内におけるピストン65の位置を所定位置に移動させる。
ポンプ本体71は、シリンダ52内におけるピストン65の位置を所定位置にした後に停止される。
【0046】
電動モータ72は、ポンプ本体71と接続されている。電動モータ72は、ポンプ本体71を正逆回転させる。
ドライバ73は、電動モータ72と電気的に接続されている。ドライバ73は、電動モータ72の速度制御を行う。
【0047】
バイパス用管路41は、管路33のうち、油圧ポンプ35(具体的には、ポンプ本体71)とロッド側室62との間から分岐されている。バイパス用管路41の先端は、ヘッド側室61側に位置する管路33と接続されている。これにより、バイパス用管路41は、油圧ポンプ35(具体的には、ポンプ本体71)をバイパスしている。
【0048】
切換弁42は、バイパス用管路41に設けられている。切換弁42は、流体弁本体21を急閉鎖させる際に開かれ、通常運転時には閉じられる。
切換弁42が開くと、バイパス用管路41を介して、ロッド側室62内の油63がヘッド側室61内に移動する。そして、ヘッド側室61内に油63が移動することで、ピストン65が固定部材56側に移動するとともに、弁体25が弁座24Cに近づく方向に移動する。
【0049】
分岐用管路44は、管路33のうち、バイパス用管路41の分岐位置と油圧ポンプ35との間から分岐している。分岐用管路44の先端は、アキュムレータ46と接続されている。
開閉弁45は、分岐用管路44に設けられている。開閉弁45は、通常運転時に開かれ、流体弁本体21を急閉鎖させる際に閉じられる。開閉弁45としては、例えば、電磁弁を用いることが可能である。
【0050】
アキュムレータ46は、その内部に高圧の油63が貯えられている。アキュムレータ46は、開閉弁45が開いた際、アキュムレータ46内に貯えられた高圧の油63をロッド側室62内に供給する。
【0051】
上述した分岐用管路44、開閉弁45、及びアキュムレータ46を有することで、油圧ポンプ35を使用することなく、シリンダ52内のピストンロッド53の位置(具体的には、ピストン65の位置)を維持することが可能となる。これにより、ロッド本体64に固定された弁体25の弁ケース24内における位置を維持することができる。
【0052】
圧力検出部47は、開閉弁45とアキュムレータ46との間に位置する分岐用管路44に設けられている。圧力検出部47は、アキュムレータ46内の圧力(以下、圧力P
Aという)を検出する。
圧力検出部47は、制御装置48と電気的に接続されている。圧力検出部47は、常時、検出したアキュムレータ46内の圧力P
Aを制御装置48に送信する。
【0053】
図2〜
図4を参照して、制御装置48について説明する。
図4において、
図2及び
図3に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0054】
制御装置48は、切換弁42、開閉弁45、及び圧力検出部47と電気的に接続されている。
制御装置48は、圧力判定部76と、ポンプ制御部77と、弁制御部78と、急閉鎖操作部81と、開閉検知部82と、を有する。
圧力判定部76は、圧力検出部47、ポンプ制御部77、及び弁制御部78と電気的に接続されている。圧力判定部76には、圧力検出部47が検出したアキュムレータ46内の圧力P
Aが連続的に送信される。
【0055】
図4及び
図5を参照するに、圧力判定部76には、圧力P
Aの下限の閾値である下限閾値P
1と、圧力P
Aの上限の閾値である上限閾値P
2(下限閾値P
1よりも大きい閾値)と、が記憶されている。
下限閾値P
1は、例えば、流体弁本体21が全開時のばね力に対抗するシリンダ52の保持圧力の110%に相当する値とすることが可能である。なお、保持圧力は、下記(1)式から算出する。
保持圧力=(弾性体58のばね力)/(ピストンの面積)・・・(1)
この場合、上限閾値P
2は、例えば、流体弁本体21が全開時のばね力に対抗するシリンダ52の保持圧力の120%に相当する値とすることが可能である。
【0056】
圧力判定部76は、油圧ポンプ35が停止した状態で圧力P
Aが下限閾値P
1よりも低下したか否かの判定を行う。
圧力判定部76は、圧力P
Aが下限閾値P
1よりも低下したと判定すると、ポンプ制御部77及び弁制御部78に圧力低下信号を送信する。
【0057】
圧力判定部76は、上記圧力低下信号を送信後に油圧ポンプ35が駆動した状態で、圧力P
Aが上限閾値P
2を超えたか否かの判定を行う。圧力判定部76は、圧力P
Aが上限閾値P
2を超えたと判定すると、ポンプ制御部77及び弁制御部78に圧力上昇信号を送信する。
【0058】
図4を参照するに、ポンプ制御部77は、ドライバ73と電気的に接続されている。ポンプ制御部77は、上記圧力低下信号を受信した際に、ドライバ73を介して、油圧ポンプ35を駆動させる。
また、ポンプ制御部77は、上記圧力上昇信号を受信した際に、ドライバ73を介して、油圧ポンプ35の駆動を停止させる。
【0059】
弁制御部78は、切換弁42及び開閉弁45と電気的に接続されている。弁制御部78は、圧力判定部76から送信された圧力低下信号を受信すると、切換弁42及び開閉弁45を閉じた状態にする。
また、弁制御部78は、圧力判定部76から送信された圧力上昇信号を受信すると、切換弁42及び開閉弁45が閉じた状態を維持させる。
【0060】
急閉鎖操作部81は、切換弁42、開閉弁45、及びドライバ73と電気的に接続されている。急閉鎖操作部81は、急閉鎖指令を受信すると、切換弁42、開閉弁45、及びドライバ73に急閉鎖信号を送信する。
急閉鎖操作部81は、ドライバ73に急閉鎖信号を送信することで、油圧ポンプ35が駆動中の場合には油圧ポンプ35を停止させる。
また、急閉鎖操作部81は、開閉弁45に急閉鎖信号を送信することで、開閉弁45を閉じる。さらに、急閉鎖操作部81は、開閉検知部82にも急閉鎖信号を送信する。
【0061】
開閉検知部82は、切換弁42及び開閉弁45と電気的に接続されている。開閉検知部82は、開閉弁45が閉じたことを検知した段階で、切換弁42を開く。
このような開閉検知部82を有することで、開閉弁45が確実に閉じた後に、切換弁42を開くことができる。
【0062】
ここで、
図2〜
図4、
図6、及び
図7を参照して、制御装置48が急閉鎖指令を受信後の流体弁20の動作について説明する。
図6に示すフローチャートの処理が開始されると、S1では、切換弁42が閉じ、開閉弁45が開かれた状態で、油圧ポンプ35を駆動させる。そして、ピストン65の位置がシリンダ52内の所定位置を維持後、通常運転を行う。次いで、処理は、S2へと進む。
【0063】
ここで、
図2〜
図4、及び
図7を参照して、S1で行う処理について説明する。S1は、S6〜S12の処理で構成されている。
初めに、S6では、切換弁42を閉じ、開閉弁45を開き、流体弁本体21を開いた状態で、通常運転をする。
このとき、ピストン65の位置をシリンダ52内の所定位置にした段階で油圧ポンプ35を停止させる。
【0064】
続く、S7では、油圧ポンプ35を停止させた状態で、アキュムレータ46により、ピストン65の位置をシリンダ52内の所定位置に維持させるとともに、圧力検出部47によりアキュムレータ46内の圧力P
Aを連続測定する。
圧力検出部47は、検出したアキュムレータ46内の圧力P
Aを連続して、圧力判定部76に送信する。
【0065】
次いで、S8では、圧力判定部76により、アキュムレータ46内の圧力P
Aが下限閾値P
1よりも低下したか否かの判定が行われる。この判定は、アキュムレータ46を使用することで、ピストン65の位置をシリンダ52内の所定位置に維持することが困難な程度までアキュムレータ46の機能が低下したか否かの判断をするために行う。
S8において、Yesと判定(肯定判定)されると、処理は、S9へと進む。S8において、Noと判定(否定判定)されると、処理は、S7へと戻る。
【0066】
次いで、S9では、開閉弁45を閉じ、油圧ポンプ35を駆動させる。これにより、シリンダ52の内面とピストン65の外面との隙間を介して、ロッド側室62内からヘッド側室61内に漏れ出た油63をロッド側室62内に戻して、シリンダ52内のピストン65の位置が所定位置となるように維持する。
【0067】
次いで、S10では、圧力判定部76により、アキュムレータ46内の圧力P
Aが上限閾値P
2を超えたか否かの判定が行われる。S10において、Yesと判定(肯定判定)されると、処理は、S10へと進む。S10において、Noと判定(否定判定)されると、処理は、S9へと戻る。
【0068】
次いで、S11では、油圧ポンプ35を停止させて、シリンダ52内におけるピストン65の位置を所定位置にする。
次いで、S12では、圧力判定部76により、アキュムレータ46内の圧力P
Aが下限閾値P
1よりも低下したか否かの判定が行われる。S12において、Yesと判定(肯定判定)されると、処理は、S9へと戻る。S12において、Noと判定(否定判定)されると、処理は、S11へと戻る。
図6に示すS1では、
図7に示す処理が繰り返し行われる。
【0069】
次に、
図2〜
図4、
図6、及び
図7を参照して、S2〜S5について順次説明する。
S2では、急閉鎖操作部81が急閉鎖指令を検知したか否かの判定が行われる。S2において、Yesと判定(肯定判定)されると、処理は、S3へと進む。S2において、Noと判定(否定判定)されると、処理は、S1へと戻る。
【0070】
次いで、S3では、急閉鎖操作部81から開閉弁45に急閉鎖信号が送信される。このとき、急閉鎖操作部81は、切換弁42、及びドライバ73にも急閉鎖信号を送信する。
急閉鎖操作部81は、ドライバ73に急閉鎖信号を送信することで、油圧ポンプ35が駆動中の場合には油圧ポンプ35を停止させる。
【0071】
次いで、S4では、開閉検知部82により、開閉弁45が閉じたことを検知したか否かの判定が行われる。S4において、開閉弁45が閉じたと判定されると、処理は、S5へと進む。一方、開閉弁45が閉じていない判定されると、処理は、S3へと戻る。
【0072】
次いで、S5では、開閉検知部82が切換弁42に開信号を送信することで、切換弁42を開く。これにより、アキュムレータ46内に貯えられた高圧の油63が管路33内に移動することがなくなるので、流体弁本体21を急閉鎖する際にアキュムレータ46内の圧力が悪影響を及ぼすことを抑制できる。
また、管路33の全長よりも短い経路(バイパス用管路41を含む経路)を用いて、ロッド側室62内の油63をヘッド側室61内に移動させることが可能となるので、流体弁本体21を短時間で急閉鎖することができる。
S5の処理が終了すると、
図6に示すフローチャートの処理は、終了する。
【0073】
第1の実施形態の油圧アクチュエータシステム22によれば、上述したバイパス用管路41、切換弁42、分岐用管路44、アキュムレータ46、開閉弁45、及び制御装置48を有することで、通常運転時に切換弁42を閉じ、開閉弁45を開くことで、油圧ポンプ35を駆動させることなく、アキュムレータ46内の圧力P
A(高圧の油)を用いて、シリンダ52内におけるピストンロッド53の位置が所定位置となるように維持することが可能となる。これにより、油圧ポンプ35の電力消費量、及び油圧ポンプ35の発熱を抑制することができる。
【0074】
また、急閉鎖指令を制御装置48が受信後に、開閉弁45を閉じた後に切換弁42を開くことで、アキュムレータ46内の高圧の油の管路33内への移動を抑制可能となるので、ヘッド側室61内の油63をロッド側室62内に容易に導入させることができる。
【0075】
さらに、急閉鎖指令を制御装置48が受信後に、開閉弁45を閉じた後に切換弁42を開くことで、管路33の全長よりも短い経路(バイパス用管路41を含む経路)を用いて、シリンダ52の内面とピストン65の外面との間に形成された隙間を介して、ロッド側室62内からヘッド側室61内に移動した油63を、ヘッド側室61内からロッド側室62内に短時間で移動させることが可能となるので、流体弁本体21を短時間で急閉鎖することができる。
【0076】
また、上述した油圧アクチュエータシステム22、及び流体弁本体21を含む流体弁20によれば、急閉鎖指令を受信した際、弁体25と弁座24Cとを短時間で接触させて、流体弁本体21を急閉鎖することができる。
【0077】
さらに、上述した流体弁20と、流体弁20を介して供給される蒸気によって駆動されるタービン本体15と、を備えた蒸気タービン11によれば、制御装置48が急閉鎖指令信号を受信した際、弁体25と弁座24Cとを短時間で接触させることが可能となるので、蒸気タービン11に流れる蒸気(流体)を短時間で遮断することができる。
【0078】
なお、第1の実施形態では、一例として、急閉鎖指令を受信後に開閉弁45を閉じたことを検知した段階で切換弁42を開く場合を例に挙げて説明したが、
図8に示すフローチャートに示す処理を行ってもよい。
つまり、制御装置48が急閉鎖指令を受信後に開閉弁45を閉じたことを検知した段階、或いは制御装置48が急閉鎖指令を受信後に所定時間が経過した段階で、切換弁42を開けばよい。
【0079】
図8を参照して、第1の実施形態の変形例に係る急閉鎖指令時の流体弁の動作について説明する。
図8では、
図6に示すステップ(S)と同一のステップには、同一の符号を付す。また、
図8では、S3の次にS13を行うこと以外は、
図6に示すフローチャートと同様な構成とされている。
【0080】
図8に示すように、S13では、急閉鎖指令を急閉鎖操作部81(
図4参照)が受信後、所定時間(以下、「所定時間T」という)経過後に、切換弁42を開いてもよい。
所定時間Tは、例えば、開閉弁45の弁閉時間を考慮して適宜設定することが可能である。開閉弁45の弁開時間をtとした場合、所定時間Tは、例えば、0.2t〜2tの範囲内で適宜設定することが可能である。
【0081】
上述した第1の実施形態の変形例の場合、先に説明した第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0083】
例えば、第1の実施形態では、流体弁20の一例として、主蒸気弁を用いた場合を例に挙げて説明したが、第1の実施形態の流体弁20は、例えば、ガスタービン用の燃料弁や大型圧縮機用の調整弁等に適用可能である。