(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0012】
本発明の圧縮成形装置は、例えば、前記一方の型の型面に離型フィルムを密着させることで、前記型締め時に、前記離型フィルムを介して、前記基板端面と前記一方の型とを接触させることが可能であってもよい。
【0013】
本発明の圧縮成形装置において、例えば、
前記一方の型は、底面部材及び側面部材を有し、
前記底面部材は、ベース部材に固定され、
前記側面部材は、弾性部材を介して前記ベース部材に接続され、
前記底面部材と前記側面部材とに囲まれた空間により、前記型キャビティが形成され、
前記位置決め機構が、前記ベース部材に固定されたストッパを含み、
前記上型と前記下型との型締め時に、前記側面部材が前記ストッパに接触することで、前記型キャビティの深さが所定深さで保持されてもよい。
【0014】
本発明の圧縮成形装置は、例えば、さらに、前記成形型の動作を制御する制御部を含んでいてもよい。また、例えば、前記制御部が、前記成形型の型締めを制御し、前記位置決め機構が、前記制御部を含んでいてもよい。
【0015】
本発明の圧縮成形装置は、例えば、
さらに、前記成形型の動作を制御する制御部を含み、
前記一方の型は、底面部材及び側面部材を有し、
前記底面部材は、ベース部材に固定され、
前記側面部材は、弾性部材を介して前記ベース部材に接続され、
前記底面部材と前記側面部材とに囲まれた空間により、前記型キャビティが形成され、
前記位置決め機構が、前記制御部を含み、
前記上型と前記下型との型締め時に、前記上型及び前記下型の一方又は両方における上昇位置及び下降位置の一方又は両方が、前記制御部により制御されることで、前記型キャビティの深さが所定深さで保持されてもよい。
【0016】
本発明の圧縮成形装置は、例えば、さらに、前記余剰樹脂収容部に対して上下動可能な樹脂加圧部材を有し、前記樹脂加圧部材により、前記型キャビティ内及び前記余剰樹脂収容部内の樹脂が加圧されてもよい。
【0017】
本発明の圧縮成形装置は、例えば、さらに、前記余剰樹脂収容部に樹脂材料を供給する余剰樹脂収容部樹脂材料供給機構を有していてもよい。
【0018】
本発明の圧縮成形装置において、前記余剰樹脂分離部材は、例えば、前記余剰樹脂を、前記余剰樹脂収容部との間に挟んで固定することが可能であってもよい。
【0019】
本発明の圧縮成形方法において、例えば、前記一方の型の型面に離型フィルムを密着させることで、前記型締め時に、前記離型フィルムを介して、前記基板端面と前記一方の型とを接触させることが可能な成形型を用いてもよい。
【0020】
本発明の圧縮成形方法において、例えば、
前記一方の型は、底面部材及び側面部材を有し、
前記底面部材は、ベース部材に固定され、
前記側面部材は、弾性部材を介して前記ベース部材に接続され、
前記底面部材と前記側面部材とに囲まれた空間により、前記型キャビティが形成され、
前記位置決め機構が、前記ベース部材に固定されたストッパを含み、
前記型締め工程時に、前記側面部材を前記ストッパに接触させることで、前記型キャビティの深さを所定深さで保持してもよい。
【0021】
本発明の圧縮成形方法において、例えば、前記成形型が、前記余剰樹脂収容部に対して上下動可能な樹脂加圧部材を有し、前記型締め工程において、前記樹脂加圧部材により、前記型キャビティ内及び前記余剰樹脂収容部内の樹脂が加圧されてもよい。
【0022】
本発明の圧縮成形方法は、例えば、前記樹脂材料供給工程において、前記余剰樹脂収容部にも樹脂材料を供給してもよい。
【0023】
本発明の圧縮成形方法を行うための装置は、特に限定されないが、例えば、前記本発明の圧縮成形装置を用いることができる。
【0024】
また、本発明の圧縮成形方法における各工程を行う順序は、特に限定されない。すなわち、それを行うことが可能である限り、本発明の圧縮成形方法における各工程は、どのような順序で行ってもよいし、複数の工程を同時に行ってもよい。
【0025】
本発明の圧縮成形品の製造方法は、前述のとおり、前記本発明の圧縮成形方法により樹脂を圧縮成形することを特徴とする。これ以外は、本発明の圧縮成形品の製造方法は、特に限定されず、例えば、前記本発明の圧縮成形方法により樹脂を圧縮成形する工程(圧縮成形工程)以外の他の工程を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記他の工程も、特に限定されないが、例えば、前記圧縮成形工程により製造した中間製品を切断して完成品の圧縮成形品を分離する切断工程であってもよい。より具体的には、例えば、1つの基板上に配置された複数のチップを前記圧縮成形工程により圧縮成形(樹脂封止)した中間製品を製造し、さらに、前記切断工程により前記中間製品を切断し、個別のチップが樹脂封止された圧縮成形品(完成品)に分離してもよい。
【0026】
なお、本発明において、前記樹脂材料(樹脂封止するための樹脂)としては、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。また、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を一部に含んだ複合材料であってもよい。樹脂封止装置に供給する樹脂の形態としては、例えば、顆粒樹脂、流動性樹脂、シート状の樹脂、タブレット状の樹脂、粉状の樹脂等が挙げられる。
【0027】
また、本発明において、「流動性樹脂」は、流動性を有する樹脂であれば、特に制限されず、例えば、液状樹脂、溶融樹脂等が挙げられる。また、本発明において、「液状」とは、常温(室温)で流動性を有し、力を作用させることにより流動することを意味し、流動性の高低、言い換えれば粘度の程度を問わない。すなわち、本発明において、「液状樹脂」は、常温(室温)で流動性を有し、力を作用させることにより流動する樹脂をいう。また、本発明において、「溶融樹脂」は、例えば、溶融により、液状又は流動性を有する状態となった樹脂をいう。前記溶融樹脂の形態は、特に限定されないが、例えば、成形型のキャビティ等に供給可能な形態である。
【0028】
また、一般に、「電子部品」は、樹脂封止する前のチップをいう場合と、チップを樹脂封止した状態をいう場合とがあるが、本発明において、単に「電子部品」という場合は、特に断らない限り、前記チップが樹脂封止された電子部品(完成品としての電子部品)をいう。本発明において、「チップ」は、少なくとも一部が樹脂封止されずに露出した状態のチップをいい、樹脂封止する前のチップも、一部が樹脂封止されたチップも、複数のチップのうちの少なくとも一つが樹脂封止されずに露出した状態のチップも含む。本発明における「チップ」は、具体的には、例えば、IC、半導体チップ、電力制御用の半導体素子等のチップが挙げられる。また、本発明における「チップ」には、フリップチップも含まれる。本発明において、少なくとも一部が樹脂封止されずに露出した状態のチップは、樹脂封止後の電子部品と区別するために、便宜上「チップ」という。しかし、本発明における「チップ」は、少なくとも一部が樹脂封止されずに露出した状態のチップであれば、特に限定されず、チップ状でなくてもよい。また、本発明の電子部品(樹脂封止電子部品)において、チップは、その全体が樹脂封止されていてもよいが、一部のみが樹脂封止されていてもよい。すなわち、チップの一部が樹脂封止されない状態が、製品としての電子部品(樹脂封止電子部品)の完成品である場合は、そのような状態も、本発明における「電子部品(樹脂封止電子部品)」に含まれる。
【0029】
以下、本発明の具体的な実施例を図面に基づいて説明する。各図は、説明の便宜のため、適宜省略、誇張等をして模式的に描いている。
【実施例1】
【0030】
図1の断面図に、本発明の圧縮成形装置における成形型の構成の一例を示す。図示のとおり、この成形型10は、上型100と、下型200とを含む。また、この成形型10は、基板の一方の面を樹脂封止する成形型である。下型200は、型キャビティ(下型キャビティ)204を有し、上型100は、前記基板が固定される型である。
【0031】
下型200は、底面部材(下型底面部材)202及び側面部材(下型側面部材)203を有する。下型底面部材202は、ベース部材201に固定されている。下型側面部材203は、弾性部材208、209及び210を介してベース部材(下型ベース部材、又は下型ベースブロック)201に接続されている。なお、
図1の圧縮成形装置における各弾性部材は、特に限定されないが、例えば、バネ等でも良い。そして、下型底面部材202の上面と下型側面部材203の内周面とに囲まれた空間により、下型キャビティ204が形成されている。下型ベース部材201の上面の両端には、それぞれストッパ207が固定されている。ストッパ207は、この成形型10を含む圧縮成形装置の「位置決め機構」の少なくとも一部に該当する。上型100と下型200との型締め時に、下型側面部材203がストッパ207に接触することで、下型キャビティ204の深さが所定深さで保持される。
【0032】
下型側面部材203は、その上部に、さらに、型締め時に下型キャビティ204内に収容されていない余剰樹脂を収容する余剰樹脂収容部205を有する。下型キャビティ204と余剰樹脂収容部205とはつながっており、樹脂が移動可能である。下型200は、さらに、余剰樹脂収容部205に対して上下動可能な樹脂加圧部材206を有する。樹脂加圧部材206は、特に限定されないが、例えば、樹脂加圧ピンであってもよい。樹脂加圧部材206は、弾性部材211を介して下型ベース部材201に接続されている。下型側面部材203は、余剰樹脂収容部205底面から下型側面部材203下面(下端)まで貫通する貫通孔を有し、その貫通孔内を、樹脂加圧部材206が上下動可能である。そして、樹脂加圧部材206により、下型キャビティ204内及び余剰樹脂収容部205内の樹脂が加圧される。
【0033】
また、上型100は、上型ベース部材(上型ベースブロック)101と、基板セット部(上型基板セット部)102と、余剰樹脂分離部材(余剰樹脂分離ブロック)103とを有する。上型基板セット部102は、上型ベース部材101の下面(下端)に固定されている。上型基板セット部102の下面(下端)には、例えば、基板固定部材(図示せず)等により、基板を固定することが可能である。前記基板固定部材は、特に限定されないが、例えば、クランプ等があげられる。余剰樹脂分離部材103は、弾性部材104を介して、上型ベース部材101の下面(下端)に固定されており、上型基板セット部102に開けられた孔の中を上下動可能である。余剰樹脂分離部材103は、余剰樹脂収容部205の真上に配置され、余剰樹脂分離部材103によって前記余剰樹脂を押さえつけることができる。
【0034】
図1の圧縮成形装置を用いた圧縮成形方法(圧縮成形品の製造方法)は、例えば、
図2〜10の工程断面図に示すようにして行うことができる。
【0035】
まず、
図2に示すとおり、成形型10に、基板1及び離型フィルム2をセットする。より具体的には、以下のとおりである。すなわち、図示のとおり、基板1を、上型基板セット部102の下面にセットする。このとき、例えば、基板搬送機構(図示せず)を用いて基板1を上型基板セット部102の位置まで搬送してもよい。また、このとき、
図2に示すように、基板1の余剰樹脂収容部205側端面の少なくとも一部を、余剰樹脂分離部材103に接触させる。これにより、基板1の余剰樹脂収容部205側の端部(端面)と、余剰樹脂分離部材103との間の隙間をなくすことができる。したがって、基板1の余剰樹脂収容部205側端面からの樹脂漏れが抑制又は防止される。よって、基板1の余剰樹脂収容部205側の端部(端面)への樹脂の付着を、抑制又は防止することが可能である。基板1を余剰樹脂分離部材103に接触させるためには、例えば、後述するように、基板1の搬送後に、基板寄せ機構(基板寄せ部材)により、基板1を寄せて余剰樹脂分離部材103に押し当てて(接触させて)もよい。例えば、成形型10又は前記基板搬送機構に、前記基板寄せ機構(基板寄せ部材)を設けてもよい。また、基板1は、例えば、前述のとおり、基板固定部材(図示せず)等により上型基板セット部102の下面に固定(セット)することができる。また、例えば、上型基板セット部102の下面の適宜な箇所に基板吸着穴(図示せず)を設け、吸着機構(吸引ポンプ等、図示せず)によって前記基板吸着穴の内部を吸引して減圧にすることで、上型基板セット部102の下面に基板1を吸着し、固定してもよい。基板1の下面には、1種類又は複数種類の任意の部品が、任意の個数、装着されていてもよいし、装着されていなくてもよい。前記任意の部品としては、特に限定されないが、例えば、チップ、ワイヤ、電極、コンデンサ(受動素子)等があげられる。そして、これらの部品を、圧縮成形により樹脂封止してもよい。一方、離型フィルム2を、下型200の上面(下型底面部材202、下型側面部材203及び樹脂加圧部材206の上面)全体に吸着(セット)させる。これにより、下型キャビティ204及び余剰樹脂収容部205の型面全体を離型フィルム2で覆う。例えば、下型200上面の適宜な箇所に吸着穴(図示せず)が設けられ、吸着機構(吸引ポンプ等、図示せず)によって前記吸着穴の内部を吸引して減圧にすることで、下型200の上面に離型フィルム2を吸着してもよい。なお、基板1及び離型フィルム2は、それぞれ、搬送機構(図示せず)により、上型100と下型200との間の位置まで搬送し、その後、
図2に示すようにセットしてもよい。基板1の搬送機構(基板搬送機構)については前述のとおりである。
【0036】
つぎに、
図3に示すように、下型キャビティ204内に樹脂材料(顆粒樹脂)20aを供給(セット)する(樹脂材料供給工程)。このとき、樹脂材料20aは、圧縮成形に必要な量(目的とするパッケージ厚み又はパッケージ体積に相当する量)よりも若干多く供給する。なお、樹脂材料20aは、図では顆粒樹脂であるが、前述のとおり、これに限定されない。また、
図2及び3では、離型フィルムのセット後に樹脂材料20aを供給(セット)する例を示しているが、本発明は、これに限定されない。例えば、離型フィルム2上に樹脂材料20aを載置した状態で、搬送機構(図示せず)により、樹脂材料20aを離型フィルム2とともに上型100と下型200との間の位置まで搬送し、その後、離型フィルム2を下型200の上面に吸着させることで、樹脂材料20aを供給(セット)してもよい。
【0037】
つぎに、
図4に示すように、樹脂材料(顆粒樹脂)20aを溶融させて、流動性樹脂(溶融樹脂)20bとする。樹脂材料20aの溶融は、例えば、下型200を、加熱機構(ヒータ、図示せず)により加熱(昇温)して行うことができる。例えば、
図3の工程(樹脂材料供給工程)に先立ち、あらかじめ下型200を加熱(昇温)しておいてもよい。また、例えば、下型200に代えて、又は下型200に加え、上型100を、加熱機構(ヒータ、図示せず)により加熱(昇温)してもよい。この場合、上型100は、
図3の工程(樹脂材料供給工程)に先立ち加熱(昇温)しておいてもよい。
【0038】
つぎに、
図5〜7に示すように、上型100及び下型200を型締めする工程(型締め工程)を行う。まず、
図5に示すように、下型200全体を矢印X1の方向に上昇させて、余剰樹脂分離部材103と余剰樹脂収容部205とを、離型フィルム2を介して接触させる。
【0039】
つぎに、
図6の矢印X2に示すように、下型200全体を、さらに上昇させる。このとき、余剰樹脂分離部材103は、下型側面部材203により押し上げられ、弾性部材104は収縮する。このとき、
図6に示すように、基板1の余剰樹脂収容部205側の端部は、余剰樹脂分離部材103に接触したままである。これにより、前記端部に樹脂が付着することを抑制又は防止できる。一方、基板1の余剰樹脂収容部205と反対側の端部は、
図6に示すように、上型基板セット部102と下型側面部材203との間に挟まれる。このとき、基板1と下型側面部材203とは、直接接触せず、図示のとおり、離型フィルム2を介して接する。また、
図6に示すように、この状態で、下型キャビティ204と余剰樹脂収容部205との間に樹脂通路205aが形成される。流動性樹脂20bは、樹脂通路205aを通って下型キャビティ204と余剰樹脂収容部205との間を移動できる。
【0040】
さらに、
図7の矢印X3に示すように、下型ベース部材201をさらに上昇させる。このとき、下型側面部材203は、前述のとおり、上型100に直接又は間接的に接触しているため、これ以上上昇しない。一方、下型底面部材202及び樹脂加圧部材206は、下型ベース部材201とともに上昇し、弾性部材208、209、210及び211は、収縮する。図示のとおり、ストッパ207が下型側面部材203に接触することで、下型ベース部材201がそれ以上上昇せず、その位置で固定されるので、下型キャビティ204の深さが所定深さで保持される。そして、このとき、図示のとおり、下型キャビティ204が流動性樹脂20bにより充填される。それとともに、余剰の流動性樹脂20b(余剰樹脂)が、樹脂通路205aを通って余剰樹脂収容部205に流れ込み、余剰樹脂収容部205に余剰の流動性樹脂(余剰樹脂)20cとして充填される。このとき、弾性部材211の伸長力が樹脂加圧部材206に伝わることで、樹脂加圧部材206により、下型キャビティ204内の流動性樹脂20b及び余剰樹脂収容部205内の流動性樹脂(余剰樹脂)20cが加圧される。また、このとき、弾性部材211が伸縮可能であることにより、樹脂加圧部材206が上下動可能で、これにより、余剰樹脂収容部205の容量が変化可能である。したがって、余剰樹脂収容部205内の樹脂量がばらついても、余剰樹脂収容部205内に樹脂の未充填が発生する(樹脂圧がかからなくなる)ことを抑制又は防止できる。これにより、例えば、パッケージに樹脂の未充填(ボイド、欠け等)が発生する等の成型不具合を抑制又は防止可能である。
【0041】
さらに、
図8〜10に示すとおり、上型100及び下型200を型開きする工程(型開き工程)を行う。また、このとき、略同時に、余剰樹脂収容部205内の余剰樹脂を、下型キャビティ204内で硬化した樹脂から分離する工程(余剰樹脂分離工程)を行う。まず、
図8に示すように、流動性樹脂20b及び20cをそれぞれ硬化(固化)させて硬化樹脂20及び20dとした後に、下型ベース部材201を、矢印X4の方向に下降させる。図示のとおり、下型キャビティ204内で硬化した硬化樹脂(封止樹脂)は符号20で示しており、それ以外の箇所(余剰樹脂収容部205内及び樹脂通路205a内)で硬化した余剰樹脂は、符号20dで表している。なお、流動性樹脂20b及び20cの硬化(固化)は、流動性樹脂20b及び20cが熱硬化性樹脂である場合は、例えば、型締め状態において、昇温された成形型10により流動性樹脂20b及び20cの加熱を続けることで行ってもよい。また、流動性樹脂20b及び20cが熱可塑性樹脂である場合は、例えば、成形型10の加熱を停止してしばらく放置することにより流動性樹脂20b及び20cの固化を行うことができる。そして、下型ベース部材201の下降により、
図8に示すとおり、下型底面部材202及び樹脂加圧部材206が下型ベース部材201とともに下降し、硬化樹脂20及び硬化した余剰樹脂20dの底面から引き離される。
【0042】
つぎに、
図9の矢印X5に示すとおり、下型200全体をさらに下降させる。これにより、下型側面部材203が、下型キャビティ204内で硬化した硬化樹脂20から引き離される。これに伴い、弾性部材104の復原力(伸長力)で、余剰樹脂分離ブロック103が下型200とともに下降する。すなわち、余剰樹脂分離ブロック103が上型100に対し相対的に下降する。これにより、硬化した余剰樹脂20dも、下型200及び余剰樹脂分離ブロック103とともに下降する。このとき、図示のとおり、下型キャビティ204内で硬化した硬化樹脂(封止樹脂)20は、基板1とともに上型基板セット部102に固定されたままなので、余剰樹脂20dと分離される。このようにして、硬化樹脂(封止樹脂、パッケージ)20及び基板1から形成された圧縮成形品(樹脂成形品)30と余剰樹脂20dとを分離することができる。
【0043】
そして、
図10の矢印X6に示すとおり、下型200全体を、さらに、所定位置(
図1〜4と同じ、型締め前の位置)まで下降させる。これにより、余剰樹脂20dが、余剰樹脂収容部205から分離される。硬化した余剰樹脂20dは、例えば、余剰樹脂分離ブロック103から分離(離型)後、搬送機構(図示せず)を用いて成形型10の外に搬送することにより、成形型10から取り除いてもよい。以上のようにして、
図1の圧縮成形装置を用いた圧縮成形方法を行うことができる。また、この圧縮成形方法は、圧縮成形品30の製造方法でもある。
【0044】
なお、
図1〜10に示した圧縮成形装置及び圧縮成形方法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更が可能である。例えば、
図2〜10では、離型フィルム2を下型200にセットする例を示したが、離型フィルムを用いずに圧縮成形方法を実施することもできる。
【0045】
本発明では、樹脂成形方法として、圧縮成形を用いる。
【0046】
一般に、樹脂成形方法としては、圧縮成形及びトランスファ成形が用いられている。トランスファ成形は、成形時の型キャビティ内の樹脂量を一定に保ちやすいため、樹脂成形品の樹脂厚み(パッケージ厚み)が一定に保たれやすいという利点がある。一方、トランスファ成形は、成形時に樹脂を型キャビティ内に流し込むため、前記樹脂の流動により、樹脂成形品の部品の不良(例えば、ワイヤの変形・切断・接触等)、ボイド(気泡)、未充填部等の問題が生じるおそれがある。
【0047】
圧縮成形における樹脂量のばらつき(パッケージ厚みのばらつき)の問題点を解決するためには、以下の方法が考えられる。すなわち、あらかじめ、圧縮成形に必要な分量に加え、さらに余剰の分量を含む成形用樹脂を、圧縮成形型の型キャビティ内に収容しておく。そして、圧縮成形時(型締め時)に、前記余剰の樹脂が、前記型キャビティ内から流れだし、前記型キャビティ内に、圧縮成形に必要な分量の前記樹脂のみが残るようにしておく。そして、圧縮成形後に、圧縮成形品(樹脂成形品)を、前記余剰樹脂ごと成形型から取り外す。その後に、前記余剰樹脂を成形型の外で前記圧縮成形品から分離する。しかし、この方法では、成形済み基板から余剰樹脂を取り除く機構(工程)を、成形型以外に別途用意する必要があるので、圧縮成形装置の装置サイズが大きくなったり、複雑化する。また、この方法では、前記余剰樹脂の分離操作のために、圧縮成形品の製造工程が煩雑になる。さらに、この方法では、余剰樹脂との分離前の圧縮成形品を、余剰樹脂とともに成形型外に搬送する必要がある。そして、前記圧縮成形品は、例えば、後述する
図27(b)のように、成形済みの基板の外周に余剰樹脂が貼り付くことになる。そうすると、実質的に基板を平面視したサイズが、成形前の基板よりも成形済み基板の方が余剰樹脂の分だけ大きくなる。すなわち、成形前と後とで、基板サイズが実質的に変わることになる。これにより、例えば、基板搬送機構を2系統用意するか、又は、1系統でサイズ可変の基板搬送機構を用意することになる。このため、さらに圧縮成形装置の装置サイズが大きくなったり、複雑化する。
【0048】
これに対し、本発明では、圧縮成形後に、樹脂成形品及び余剰樹脂を成形型内から取り出すことなく、成形型内で樹脂成形品と余剰樹脂とを分離することができる。すなわち、本発明によれば、前記余剰樹脂の分離工程を含む圧縮成形方法を簡便に行うことができる。これにより、前述のとおり、簡便にパッケージ(樹脂成形品における樹脂の部分)厚みのばらつきを抑制することが可能である。また、本発明によれば、例えば、成形前の基板と成形済み基板(圧縮成形品)とで、実質的に基板を平面視したサイズの変化を抑制又は防止することができる。これによれば、基板搬送機構を2系統用意するか、又は、1系統でサイズ可変の基板搬送機構を用意する必要がなくなり、基板搬送機構の構成を単純化できる。
【実施例2】
【0049】
図11(a)及び(b)に、本発明の圧縮成形装置における成形型の別の一例を示す。同図において、
図1〜10と同じ構成要素は、同一の符号で示している。図示のとおり、この成形型10aは、エジェクターピン105を有すること以外は、
図1〜10の成形型10と同様である。なお、
図11では、下型側面部材203と下型ベース部材201とを接続する弾性部材208、209及び210のうち210が省略されているが、これに限定されず、
図1〜10と同様に弾性部材210を有していてもよい。
【0050】
図11に示すとおり、エジェクターピン105は、上型基板セット部102の上端(上面)から余剰樹脂分離部材103の下端(下面)まで貫通する貫通孔内を上下動可能である。エジェクターピン105の上端には、エジェクターピン支持部材(つば)106が固定されている。上型ベース部材101は、その上部の一部がくり抜かれ、エジェクターピン支持部材106の収容部を形成している。エジェクターピン支持部材106の下端(下面)は、弾性部材107を介して、前記収容部の底面で、上型ベース部材101及び上型基板セット部102に接続されている。エジェクターピン105は、弾性部材104及び107の内部を貫通している。
【0051】
図11の成形型10a及びそれを含む圧縮成形装置を用いた圧縮成形方法は、例えば、
図2〜10と同様にして行うことができる。
図11(a)は、
図2〜10と同様の工程を行った後の状態である。すなわち、
図11(a)は、同図の矢印X6に示すとおり、下型200全体を、所定位置まで下降させた状態である。図示のとおり、硬化した余剰樹脂20dは、樹脂成形品30から分離された状態で、余剰樹脂分離部材103の下端(下面)に付着している。この状態から、
図11(b)に示すように、エジェクターピン支持部材106を矢印Y1の方向に押し下げ、エジェクターピン105を下降させる。これにより、図示のとおり、余剰樹脂20dを押し下げて余剰樹脂分離部材103から分離(離型)することができる。余剰樹脂分離ブロック103から分離(離型)後の余剰樹脂20dは、例えば、搬送機構(図示せず)を用いて成形型10の外に搬送することにより、成形型10から取り除いてもよい。
【0052】
なお、
図11では、離型フィルムを用いない例を示したが、これに限定されず、例えば、
図2〜10と同様に、離型フィルムを用いてもよい。
【実施例3】
【0053】
図12に、本発明の圧縮成形装置における成形型の構成のさらに別の一例を示す。この成形型10bは、下型キャビティを2つ有し、2枚の基板を略同時に圧縮成形可能である。より具体的には、図示のとおり、成形型10bは、下型キャビティ204を2つ有し、それらが、余剰樹脂収容部205を挟んで両側に配置されている。2つの下型キャビティ204は、それぞれ、余剰樹脂収容部205とつながっており、下型キャビティ204と余剰樹脂収容部205との間を樹脂が移動可能である。上型基板セット部102の下面(下端)には、2つの下型キャビティ204の真上の位置に、それぞれ基板をセット(固定)することで、2枚の基板をセット可能である。これら以外は、
図12の成形型10bは、
図1〜10の成形型10と同様である。
【0054】
図12の圧縮成形装置の使用方法は特に限定されず、例えば、
図1〜10の圧縮成形装置と同様にして使用できる。
図12の圧縮成形装置によれば、2枚の基板を略同時に圧縮成形可能なので、圧縮成形方法(圧縮成形品の製造方法)を効率よく実施できる。なお、
図12では、離型フィルムを用いずに下型キャビティ204内に顆粒樹脂20aを供給(セット)した状態を示しているが、これに限定されず、
図2〜10と同様に離型フィルムを用いてもよい。
【実施例4】
【0055】
図13〜15の工程断面図に、実施例1(
図1〜10)の成形型を用いた圧縮成形方法の別の一例における樹脂材料供給工程を、模式的に示す。この例では、前記樹脂材料供給工程(成形型の型キャビティ内に樹脂材料を供給する工程)において、型キャビティ内への樹脂材料の供給に加え、余剰樹脂収容部樹脂材料供給機構を用いて、余剰樹脂収容部に樹脂材料を供給する。
【0056】
まず、
図2と同様に基板1及び離型フィルム2をセットする。その状態で、
図13に示すとおり、上型100と下型200との間に、樹脂材料(顆粒樹脂)20aを収容した樹脂供給機構40を2つ侵入させる。2つの樹脂供給機構40のうち一方は、型キャビティ204内に樹脂材料20aを供給する「型キャビティ樹脂材料供給機構」として機能し、他方は、余剰樹脂収容部205内に樹脂材料20aを供給する「余剰樹脂収容部樹脂材料供給機構」として機能する。樹脂供給機構40は、図示のとおり、樹脂供給部41と、下部シャッタ42とから構成されている。樹脂供給部41は、上端及び下端に開口が形成された枠状の形状である。樹脂供給部(枠)41下端の開口は、下部シャッタ42により閉じられている。これにより、
図13に示すとおり、樹脂供給部(枠)41と下部シャッタ42とに囲まれた空間内に、樹脂材料20aを収容可能である。
【0057】
つぎに、
図14に示すとおり、下部シャッタ42を矢印a1及びa2の方向に(水平に)引いて樹脂供給部(枠)41下端の開口を開くことにより、前記開口から樹脂材料20aを落下させる。これにより、図示のとおり、下型キャビティ204内及び余剰樹脂収容部205内に樹脂材料20aを供給(載置)することができる。その後、2つの樹脂供給機構40を上型100と下型200との間から退出させると、
図15に示すように、下型キャビティ204内及び余剰樹脂収容部205内にそれぞれ樹脂材料20aが供給された状態となる。その後は、例えば、
図4〜10と同様の工程により、圧縮成形を行うことができる。
【0058】
本実施例のように、樹脂材料供給工程において、型キャビティに加えて余剰樹脂収容部にも樹脂材料を供給すると、圧縮成形の工程において、樹脂の流動を、より少なく抑えることができる。これにより、前述した樹脂成形品の部品の不良(例えば、ワイヤの変形・切断・接触、チップのシフト等)、ボイド(気泡)、未充填部等の問題を、さらに効果的に抑制又は防止できる。
【0059】
なお、
図13〜15では、「型キャビティ樹脂材料供給機構」及び「余剰樹脂収容部樹脂材料供給機構」を用いて略同時に樹脂材料を供給したが、余剰樹脂収容部に樹脂材料を供給する方法は、これに限定されない。例えば、下型キャビティ204及び余剰樹脂収容部205への樹脂材料20aの供給の順序は、
図13〜15では略同時であるが、これに限定されず、どちらかが先でもよい。また、
図13〜15では樹脂供給機構40を2つ用いているが、これに限定されない。例えば、樹脂供給機構40を1つのみ用い、これにより、下型キャビティ204及び余剰樹脂収容部205への樹脂材料20aの供給を、略同時でなく経時的に行ってもよい。
【0060】
また、例えば、実施例1の圧縮成形方法(
図2〜10)における樹脂材料供給工程において、
図13〜15と同様に、樹脂供給部41と、下部シャッタ42とから構成された樹脂供給機構40を用いても良い。
【実施例5】
【0061】
図16〜18に、本発明の圧縮成形装置における成形型のさらに別の一例を示す。
図16〜18において、
図1〜15(実施例1〜4)と同じ構成要素は、同一の符号で示している。
【0062】
図1〜15(実施例1〜4)の成形型は、上型100と下型200との型締め時に、基板1の余剰樹脂収容部205側端面の少なくとも一部が、余剰樹脂分離部材103に接触する例である。一方、
図16〜18に示す本実施例の成形型は、上型100と下型200との型締め時に、基板1の余剰樹脂収容部205側端面の少なくとも一部が、下型200に接触する。これにより、基板1の余剰樹脂収容部205側端面からの樹脂漏れが抑制又は防止される。
【0063】
図16の断面図に示すとおり、この成形型10cにおいて、上型100の構成は、
図1〜10(実施例1)と同じである。また、下型200は、下型側面部材203が段差を有すること以外は
図1〜10(実施例1)と同じである。下型側面部材203の段差は、図示のとおり、上型基板セット部102と余剰樹脂分離部材103との境界の真下の位置(樹脂通路205aの途中の位置)に設けられ、余剰樹脂分離部材103側の方が高くなっている。また、
図16は、上型基板セット部102の下面に基板1をセットし、かつ、下型200の上面(下型底面部材202、下型側面部材203及び樹脂加圧部材206の上面)全体に離型フィルム2を吸着(セット)した状態である。基板1及び離型フィルム2のセットは、実施例1と同様にして行うことができる。ただし、
図16では、図示のとおり、基板1を余剰樹脂分離部材103に密着させず、離型フィルム2の厚みの分だけ隙間を空けている。
【0064】
図17は、
図16の成形型10cにおいて、下型200を側面図で示した状態である。基板1の余剰樹脂収容部205側端面221は、
図16で説明したとおり、余剰樹脂分離部材103に密着せず、離型フィルム2の厚みの分だけ隙間が開けられている。下型側面部材203の段差222を含めた下型200の上面全体には、離型フィルム2が吸着(セット)されている。
【0065】
図18は、
図16及び
図17の成形型10cを型締めした状態を示す。
図18において、図示の便宜のため、上型100は断面図で、下型200は側面図で、それぞれ示している。
図18に示すとおり、余剰樹脂収容部205側端面221と下型側面部材203の段差222とが接触した部分223では、基板1の余剰樹脂収容部205側端面の一部(樹脂通路205aが、離型フィルム2を介して余剰樹脂分離部材103に間接的に接触している。これにより、基板1の余剰樹脂収容部205側端面からの樹脂漏れを抑制又は防止することができる。
【0066】
なお、
図16〜18では、基板1の余剰樹脂収容部205側端面の少なくとも一部が、離型フィルム2を介して間接的に下型200に接触する例を示した。しかし、これに限定されず、例えば、離型フィルム2を用いないで、基板1の余剰樹脂収容部205側端面の少なくとも一部を、下型200に直接接触させるようにしてもよい。また、成形型10cの構成は、他にも種々の変更が可能である。例えば、成形型10cは、実施例2(
図11)の成形型10aと同様にエジェクターピンを有していてもよいし、実施例3(
図12)の成形型10bと同様に下型キャビティ204を2つ有していてもよい。
【0067】
また、成形型10cを含む圧縮成形装置を用いた圧縮成形方法は、特に限定されないが、例えば、前記各実施例と同様にして行うことができる。
【実施例6】
【0068】
つぎに、本発明のさらに別の一例について説明する。
【0069】
本発明の圧縮成形方法及び圧縮成形品の製造方法では、前述のとおり、基板寄せ機構(基板寄せ部材)により、基板を寄せて余剰樹脂分離部材に押し当てて(接触させて)もよい。具体的には、例えば、成形型又は基板搬送機構に、前記基板寄せ機構(基板寄せ部材)を設けてもよい。本実施例では、前記基板寄せ機構(基板寄せ部材)及びそれを用いた基板寄せ工程の一例を示す。
【0070】
図19〜24に、本実施例における基板寄せ機構(基板寄せ部材)及びそれを用いた基板寄せ工程を示す。これらの工程は、本発明の圧縮成形装置に基板をセットする基板セット方法の一例とも言える。なお、
図19〜24において、図示の簡潔及び明瞭のため、下型200は図示を省略している。
【0071】
まず、
図19に示すように、基板1を載置した基板搬送機構(基板ローダ)300を矢印Z1の方向に(水平に)移動させて基板1を搬送する。そして、図示のとおり、上型100に基板をセットするために、基板ローダ300を成形型内(上型100と下型との間の位置)に侵入させる。なお、下型については、前述のとおり図示を省略しているが、例えば、前記各実施例と同様でもよい。基板ローダ300は、図示のとおり、ベース部材301と、基板搭載部302と、基板寄せ機構(基板寄せ部材)303とを主要構成要素とする。基板搭載部302は、ベース部材301の上面の一部分から突出しており、基板1を載置可能であるとともに、上下動可能である。基板寄せ機構(基板寄せ部材)303は、ベース部材301の上面の一端に取付けられている。基板寄せ機構303は、その一部が水平方向に移動可能であり、基板1を押すことで、押した方向に基板1を寄せることができる。
【0072】
つぎに、
図20に示すとおり、基板搭載部302を上動させ、基板1を上型基板セット部102の下面に密着させる。
【0073】
さらに、
図21に示すとおり、基板1を上型基板セット部102の下面に仮固定し、基板搭載部302を下動させて基板1から離す。基板1の仮固定は、例えば、基板固定部材(図示せず、例えばクランプ等)を用いてもよい。
【0074】
そして、
図22に示すとおり、基板寄せ機構303の一部を、基板1及び余剰樹脂分離部材103の方向に水平に移動させて基板1に密着させる。
【0075】
つぎに、
図23に示すとおり、基板寄せ機構303の一部を、余剰樹脂分離部材103の方向にさらに移動させる。これにより、図示のとおり、基板1を余剰樹脂分離部材103の方向に押して寄せ、余剰樹脂分離部材103に密着(接触)させる。そして、基板1を上型基板セット部102の下面に固定する。基板1の固定は、例えば、基板固定部材(図示せず、例えばクランプ等)を用いてもよい。また、例えば、上型基板セット部102の下面の適宜な箇所に基板吸着穴(図示せず)を設け、吸着機構(吸引ポンプ等、図示せず)によって前記基板吸着穴の内部を吸引して減圧にすることで、上型基板セット部102の下面に基板1を吸着し、固定してもよい。
【0076】
さらに、基板ローダ300を
図24に示す矢印Z2の方向に(水平に)移動させて成形型内から退出させる。
【0077】
以上、
図19〜24で説明したようにして、基板搬送工程及び基板寄せ工程を行うことができる。なお、本発明において、基板搬送機構、基板寄せ機構、基板搬送工程及び基板寄せ工程は、
図19〜24の説明に限定されず、任意の変更が可能である。また、本発明において、基板搬送工程及び基板寄せ工程は必須の工程ではなく、任意である。さらに、本発明の圧縮成形方法(圧縮成形品の製造方法)における基板搬送工程及び基板寄せ工程以外の工程は、特に限定されないが、例えば、前記各実施例で説明したようにして行うことができる。
【実施例7】
【0078】
図25の平面図に、本発明の圧縮成形装置の別の一例の構成を模式的に示す。図示のとおり、この圧縮成形装置1000は、成形ユニット1100と、基板供給ユニット1200と、樹脂材料供給ユニット1300と、制御部1400とを有する。基板供給ユニット1200と、樹脂材料供給ユニット1300とは、成形ユニット1100を挟んで互いに反対側に配置されている。基板供給ユニット1200内には、基板供給機構1210が配置されている。樹脂材料供給ユニット1300内には、樹脂材料供給機構1310が配置されている。制御部1400は、基板供給ユニット1200内に配置されている。成形ユニット1100内には、成形型(図示せず)が配置されている。前記成形型は、本発明の圧縮成形装置における成形型としての特徴を有すること以外は、特に限定されず、任意である。例えば、前記成形型は、実施例1(
図1〜10)の成形型10、実施例2(
図11)の成形型10a、実施例3(
図12)の成形型10b、又は実施例5(
図16〜18)の成形型10cと同じでもよい。
【0079】
図25の圧縮成形装置は、本発明の圧縮成形方法又は圧縮成形品の製造方法に用いることができる。具体的な使用方法は、特に限定されないが、例えば、実施例1〜4で説明した圧縮成形方法又は圧縮成形品の製造方法に用いることができる。
【0080】
図25の圧縮成形装置は、より具体的には、例えば、以下のように使用できる。例えば、基板供給ユニット1200内の基板供給機構1210には、圧縮成形用の基板を配置しておき、前記基板を成形型に供給することができる。前記基板は、例えば、基板搬送機構(図示せず)により成形型の位置まで搬送してもよい。前記基板搬送機構は、例えば、基板供給ユニット1200内に配置すればよい。また、樹脂材料供給ユニット1300内の樹脂材料供給機構1310には、樹脂材料を配置しておき、前記樹脂材料を成形型の型キャビティ内に供給することができる(樹脂材料供給工程)。前記樹脂材料は、例えば、樹脂材料搬送機構(図示せず)により成形型の位置まで搬送してもよい。前記樹脂材料搬送機構は、例えば、樹脂材料供給ユニット1300内に配置すればよい。前記樹脂材料搬送機構は、例えば、実施例4(
図13〜15)で説明した樹脂供給機構40を用いて樹脂材料を搬送してもよい。
【0081】
また、制御部1400は、
図25の圧縮成形装置1000の動作の一部又は全部を制御する。制御部1400が制御する動作は、例えば、前記本発明の圧縮成形方法又は圧縮成形品の製造方法における工程の一部又は全部でもよく、例えば、成形型の型締め及び型開きの一方又は両方の工程を含んでいてもよい。例えば、制御部1400により型締めを制御し、型締め時における型キャビティの深さを所定深さで保持してもよい。この場合、制御部1400は、本発明の圧縮成形装置における前記「位置決め機構」の少なくとも一部として機能する。また、前記「位置決め機構」は、例えば、制御部による型締めの制御に加え、実施例1〜4で説明したような、ベース部材に固定されたストッパを用いてもよい。さらに、制御部1400が制御する動作は、例えば、基板供給ユニット1200による成形型への基板の供給(基板供給工程)、及び、樹脂材料供給ユニット1300による成形型の型キャビティ内への樹脂材料の供給(樹脂材料供給工程)を、それぞれ含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0082】
また、成形ユニット1100と、基板供給ユニット1200と、樹脂材料供給ユニット1300と、制御部1400との配置は、
図25の配置に限定されず、任意である。さらに、成形ユニット1100の数は、
図25では3つであるが、これに限定されず任意であり、1つ、2つ、又は4つ以上でもよい。
図25のように成形ユニット1100を複数有すると、例えば、複数の基板を略同時に圧縮成形することが可能で、圧縮成形の効率がよい。または、例えば、基板の一方の面を1つの成形ユニット1100で圧縮成形した後に、前記基板の他方の面を他の成形ユニット1100で圧縮成形することができる。すなわち、基板の両面の圧縮成形に対応できる。
【0083】
さらに、
図25の圧縮成形装置1000は、図示していない他の任意のユニット又は機構を有していてもよいし、有していなくてもよい。前記他の任意のユニット又は機構としては、例えば、離型フィルムを成形型に供給する離型フィルム供給ユニット等があげられる。前記離型フィルム供給ユニットは、例えば、離型フィルムが配置される離型フィルム供給機構と、その離型フィルムを成形型の位置まで搬送する離型フィルム搬送機構とを含んでいてもよい。
【実施例8】
【0084】
つぎに、本発明により圧縮成形品を製造した場合の、余剰樹脂の形態の例について説明する。
【0085】
図26(a)〜(c)のそれぞれの平面図に、本発明により製造される圧縮成形品及び余剰樹脂の構成の一例を、それぞれ示す。図示のとおり、
図26(a)〜(c)は、それぞれ、基板1及び硬化樹脂20を含む樹脂成形品から余剰樹脂が分離される前の状態(例えば、実施例1における
図8の状態)を表している。図示のとおり、
図26(a)〜(c)のそれぞれにおいて、基板1の一方の面は、その周縁部以外が、硬化樹脂20で樹脂封止されている。また、硬化した余剰樹脂20dは、硬化樹脂20に連結しており、基板1の外周から突出している。
図26(a)は、余剰樹脂20dが基板1の一辺から突出している形態を示す。
図26(b)は、余剰樹脂20dが基板1の左右の二辺から突出している形態を示す。
図26(c)は、2つの圧縮成形品が、それぞれの硬化樹脂20の部分で、余剰樹脂20dを介して連結して一体となっている例を示している。
図26(a)は、例えば、実施例1(
図1〜10)の成形型を用いて製造できる。
図26(b)は、例えば、型キャビティの左右の両側に余剰樹脂収容部を配置した成形型(図示せず)を用いて製造できる。
図26(c)は、例えば、実施例3(
図12)の成形型を用いて製造できる。
【0086】
また、
図27(a)〜(c)に、本発明又は一般的な樹脂成形方法により製造可能な圧縮成形品及び余剰樹脂の構成の一例を、それぞれ示す。
【0087】
図27(a)は、一般的な樹脂成形方法により製造可能な樹脂成形品の構成の一例を示す。同図の樹脂成形品は、基板1の一方の面が、硬化樹脂20で樹脂成形されている。硬化樹脂20は、その周縁部に余剰樹脂を含む。前記余剰樹脂は、基板1の外周から突出していない。また、前記余剰樹脂は、樹脂成形品から分離されず、樹脂成形品(製品)の一部を構成する。
【0088】
図27(b)は、一般的な樹脂成形方法により製造可能な樹脂成形品の構成の別の一例を示す。同図の樹脂成形品は、基板1の一方の面が、硬化樹脂20で樹脂成形されている。硬化樹脂20の外周には、余剰樹脂20dが連結している。余剰樹脂20dは、基板1の外周から突出している。余剰樹脂20dは、
図27(b)の樹脂成形品を成形型から取り外した(離型した)後に、前記樹脂成形品から分離される。
【0089】
図27(c)は、本発明により製造可能な樹脂成形品(圧縮成形品)の構成の一例を示す。同図の樹脂成形品の構成は、紙面左右方向と紙面上下方向とを逆にしていること以外は、
図26(b)と同様である。
【0090】
一般的な樹脂成形方法で基板を成形して樹脂成形品(例えば、前記基板上のチップを樹脂封止した、樹脂封止電子部品)を製造する場合、以下のような問題がある。
【0091】
成形型において、基板の内側の位置に余剰樹脂収容部を設定すると、例えば
図27(a)のように、基板の内側に、樹脂成形品(製品)から分離できない余剰樹脂が存在することになる。この場合、基板の製品エリア(パッケージ面積)が小さくなり、基板1枚あたりの製品取数(基板に装着できる電子部品の数)が少なくなる。
【0092】
一方、成形型において、基板の外側の位置に余剰樹脂収容部を設定した場合、例えば
図27(b)のように、成形済みの基板の外周に余剰樹脂が貼り付くことになる。そうすると、実質的に基板を平面視したサイズが、成形前の基板よりも成形済み基板の方が余剰樹脂の分だけ大きくなる。すなわち、成形前と後とで、基板サイズが実質的に変わることになる。これにより、例えば、基板搬送機構を2系統用意するか、又は、1系統でサイズ可変の基板搬送機構を用意することになる。このため、圧縮成形装置の装置サイズが大きくなったり、複雑化する。また、成形済み基板から余剰樹脂を取り除く機構(工程)を、成形型以外に別途用意する必要があるので、圧縮成形装置の装置サイズが大きくなったり、複雑化する。また、圧縮成形方法における工程が煩雑になる。
【0093】
しかしながら、本発明によれば、基板の外側の位置に余剰樹脂収容部を設定しても、成形型内で、成形済み基板から余剰樹脂を取り除くことができる。このため、圧縮成形装置の装置サイズが大きくなったり、複雑化したりすることを効率良く防止又は抑制することができる。また、前述のとおり、簡便にパッケージ厚みのばらつきを抑制することが可能である。
【0094】
なお、本発明において、圧縮成形品及び余剰樹脂の構成は、
図26(a)〜(c)及び
図27(c)に限定されず任意であり、例えば、
図27(b)のような構成等でもよい。しかしながら、成形型内で圧縮成形品と余剰樹脂とを分離しやすい構成とすることが好ましい。
【0095】
さらに、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。