特許第6861513号(P6861513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861513ステアリングホイール回転情報確定装置及びステアリングホイール回転情報確定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861513
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】ステアリングホイール回転情報確定装置及びステアリングホイール回転情報確定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/22 20060101AFI20210412BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20210412BHJP
   B62D 5/06 20060101ALI20210412BHJP
   B62D 1/02 20060101ALI20210412BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20210412BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20210412BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01B21/22
   B62D5/04
   B62D5/06 B
   B62D1/02
   B62D6/00
   G01B7/00 101C
   G01B7/00 101R
   G01B7/00 101H
   G01B11/26 G
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-255569(P2016-255569)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-120264(P2017-120264A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2019年12月24日
(31)【優先権主張番号】201511030676.6
(32)【優先日】2015年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヂーチャオ ホン
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−255928(JP,A)
【文献】 米国特許第06403899(US,B1)
【文献】 特開2001−264110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00−21/32
B62D 1/02
B62D 5/04
B62D 5/06
B62D 6/00
G01B 7/00
G01B 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイール回転情報確定装置であって、
ステアリングホイールのステアリングチューブに接続され、前記ステアリングホイールの回転をリニア運動に転換するリニア運動転換部材と、前記リニア運動転換部材に電気的に接続され、前記リニア運動転換部材によって転換された前記リニア運動に基づき、前記ステアリングホイールの回転情報を確定する処理部材と、を備え
前記リニア運動転換部材は、
前記ステアリングチューブに接続されたギヤと、
前記ギヤに噛み合うラックと、
自体の長さ方向に沿って移動できるように設置されている、前記ラックを載置することに用いられるラックキャリアと、を備え、
前記ステアリングホイールの連動により、前記ステアリングチューブが回転され、当該ステアリングチューブに接続された前記ギヤが回転され、前記ギヤの回転により、それに噛み合うラックが噛合原点に対して前記ラックの長さ方向に沿って移動され、
前記処理部材は、
前記ステアリングホイールの回転角度が0度である場合の前記ラックと前記ギヤの噛合位置である噛合原点に対して、前記ラックの、その長さ方向に沿う移動距離及び移動方向に基づいて、前記ステアリングホイールの回転情報を確定し、
前記処理部材は、
前記ラックの前記噛合原点に対する移動距離及び移動方向をセンシングするセンシングユニットと、
前記センシングユニットと電気的に接続され、前記センシングユニットのセンシング結果から前記移動距離及び前記移動方向を確定することにより、前記ステアリングホイールの回転情報を確定する算出ユニットと、を備え、
前記センシングユニットは、
伸縮エンドが前記ラックの移動に従って伸縮するように当該ラックに接続された弾性部材と、当該弾性部材の弾性力をセンシングできるように当該弾性部材と組み合わされた圧力センサーと、を備え、
前記弾性部材の一端は、前記ラックキャリアに固定されており、前記圧力センサーは当該一端に装備されている、
ステアリングホイール回転情報確定装置。
【請求項2】
請求項に記載のステアリングホイール回転情報確定装置であって、
前記算出ユニットと前記圧力センサーとは電気的に接続され、前記圧力センサーは前記弾性部材が伸び、または縮むことによって生じた力をセンシングし、かつ当該力を示す信号を前記算出ユニットに伝達し、前記算出ユニットは前記力により、前記ラックの前記噛合原点に対する移動距離及び移動方向を確定する、
ステアリングホイール回転情報確定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のステアリングホイール回転情報確定装置であって、
前記ギヤは中間軸によって前記ステアリングチューブに接続され、前記中間軸が自在継手で前記ステアリングチューブに接続されている、
ステアリングホイール回転情報確定装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のステアリングホイール回転情報確定装置であって、
前記リニア運動転換部材はタービンとウォームで構成されている、
ステアリングホイール回転情報確定装置。
【請求項5】
自動車であって、
請求項1〜の何れか一項に記載のステアリングホイール回転情報確定装置含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車技術、より具体的には、ステアリングホイールの回転に関する情報確定技術に係る。
【背景技術】
【0002】
ステアリングアングルセンサーは、車両の安定性制御システムの構成部分であり、一般に、ステアリングホイールの下方のステアリングコラム内に取り付けられ、車両が転向するときのステアリングホイールの回転角度を測定するためである。
【0003】
ステアリングホイールセンサーは大抵、巨大磁気抵抗(GMR)に基づいて設計されたものである。簡単的に言えば、ステアリングホイールが回転すると、N極とS極で構成された回転子がギヤによって回転する。回転子の内部には、N極からS極までの磁場方向を検出するためのGMRが設置されている。また、位相が90°ずれている波形を検出する磁気センサーが設置され、二種類の波形によって回転角度が算出される。GMRに基づいたステアリングホイールセンサーに用いられる部材が多く、かつ必要なギヤの精度も高く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の事情に鑑みて、本発明は、ステアリングホイールのステアリングチューブに接続され、ステアリングホイールの回転をリニア運動に転換するリニア運動転換部材と、前記リニア運動転換部材に電気的に接続され、前記リニア運動転換部材によって転換されたリニア運動に基づき、ステアリングホイールの回転情報を確定する処理部材と、を備えるステアリングホイール回転情報確定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、リニア運動転換部材は、ステアリングチューブに接続されたギヤと、前記ギヤに噛み合うラックと、自体の長さ方向に沿って移動できるように設置されているラックを載置することに用いられるラックキャリアと、を備える。ステアリングホイールの連動で、前記ステアリングチューブを回転させ、当該ステアリングチューブに接続されたギヤを回転させ、前記ギヤの回転により、それに噛み合うラックが噛合原点に対してラックの長さ方向に沿って移動する。処理部材は、ステアリングホイールの回転角度が0度である場合のラックとギヤの噛合位置である噛合原点に対して、ラックが、その長さ方向に沿う移動距離及び移動方向に基づいて、ステアリングホイールの回転角度を確定する。
【0006】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記処理部材は、ラックが噛合原点に対する移動距離及び移動方向をセンシングするセンシングユニットと、前記センシングユニットと電気的に接続され、前記センシングユニットのセンシング結果から前記移動距離及び移動方向を確定することにより、前記ステアリングホイールの回転角度を確定する算出ユニットと、を備える。
【0007】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記センシングユニットは、伸縮エンドがラックの移動に従って伸縮するように当該ラックに接続された弾性部材と、当該弾性部材の弾性力をセンシングできるように当該弾性部材と組み合わせる圧力センサーと、を備える。
【0008】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記算出ユニットと前記圧力センサーとが電気的に接続されている。前記圧力センサーは前記弾性部材が伸び、または縮むことによって生じた力をセンシングし、かつ当該力を示す信号を前記算出ユニットに伝達し、前記算出ユニットは前記力により、前記ラックが噛合原点に対する移動距離及び移動方向を確定する。
【0009】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記センシングユニットは、前記ラックに噛み合う測定ギヤと、前記測定ギヤがラックの移動による回転周数及び回転方向をセンシングするギヤ回転センシング部材と、を備える。
【0010】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記算出ユニットは、前記ギヤの回転周数及び回転方向により、ラックが噛合原点に対しラックの長さ方向に沿う移動距離及び移動方向を確定する。
【0011】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記センシングユニットはスライド可変抵抗器である。そのコイル群またはスライダーがステアリングホイール回転情報確定装置に固定されている。コイル群が当該ステアリングホイール回転情報確定装置に固定される時、スライダーと前記ラックが接続され、前記ラックが移動する時、前記スライダーの移動を連動する。スライダーが当該ステアリングホイール回転情報確定装置に固定される時、コイル群と前記ラックが接続され、前記ラックが移動する時、前記コイル群の移動を連動する。
【0012】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記算出ユニットは前記スライド可変抵抗器の出力に基づき、ラックが噛合原点に対しラックの長さ方向に沿う移動距離及び移動方向を確定する。
【0013】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記センシングユニットは、固定的に設置された定規と、前記ラックが移動するとき、その移動方向に従い前記ラックに接続されたスライド定規と、前記定規に設置された発射極片と、前記スライド定規に設置された受信極片を備えた容格子変位センサーである。そのうち、前記発射極片と前記受信極片は静電容量を形成する。前記ラックの連動で前記スライド定規が移動する場合、前記発射極片と前記受信極片は相対的に移動することにより、その間の静電容量も変化する。
【0014】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記算出ユニットは前記静電容量の変化によりラックが噛合原点に対しラックの長さ方向に沿う移動距離及び移動方向を確定する。
【0015】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記センシングユニットは格子変位センサーであり、前記格子変位センサーは、固定的に設置された第一格子と、前記ラックが移動する時に移動するように前記ラックに接続された第二格子と、光源と、感光素子と、を備える。そのうち、前記第一格子と第二格子は前記光源と前記感光素子の間に設置され、前記第二格子が移動する場合、前記光源と前記感光素子は前記第二格子に従い移動する。
【0016】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記算出ユニットは前記感光素子の出力に基づき、ラックが噛合原点に対しラックの長さ方向に沿う移動距離及び移動方向を確定する。
【0017】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記センシングユニットは、前記ステアリングホイール回転情報確定装置に固定するように設置されたホール素子と、前記ラックが移動する時に移動するように前記ラックに接続されるホールルーラーと、を備える。
【0018】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記算出ユニットは、前記ホールルーラーが前記ホール素子に対し移動することで生じた磁場変化に基づき、ラックが噛合原点に対しラックの長さ方向に沿う移動距離及び移動方向を確定する。
【0019】
本発明のステアリングホイール回転情報確定装置の例により、前記ギヤは中間軸によって前記ステアリングチューブに接続され、前記中間軸が自在継手で前記ステアリングチューブに接続されている。
【0020】
本発明の別の例により、前記ステアリングホイール回転情報確定装置においては、前記リニア運動転換部材はタービンとウォームで構成されている。
【0021】
本発明の他面により、ステアリングホイール回転情報確定方法も提供されている。それは、a)ステアリングホイールに接続されていないステアリングチューブの一端に、ステアリングホイールの回転をリニア運動に転換されるリニア運動転換部材を設置すること、及び、b)前記リニア運動転換部材により転換されたリニア運動に基づき、ステアリングホイールの回転情報を確定すること。
【0022】
本発明の例に係るステアリングホイール回転情報確定方法により、そのうち、ステップa)は、ステアリングホイールが接続されていないステアリングチューブの一端に、ギヤが設置されることと、前記ギヤに噛み合うラックを設置し、そのうち、ステアリングホイールの連動で、前記ステアリングチューブを回転させ、前記ステアリングチューブに接続されたギヤを回転させ、前記ギヤの回転により、それに噛み合うラックが噛合原点に対してラックの長さ方向に沿って移動することとを含み、及び、ステップb)は、ステアリングホイール回転角度が0度である場合のラックとギヤの噛合位置である噛合原点に対して、当該ラックがその長さ方向に沿う移動距離及び移動方向により、ステアリングホイールの回転情報を確定する。
【0023】
本発明の他面により、前記の任意のステアリングホイール回転情報確定装置を含む自動車も提供される。本発明の例により、上記のステアリングホイール回転情報確定方法を実施する自動車も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例に係るステアリングホイール回転情報確定装置の構造模式図である。
図2】別の角度から見る場合、図1に示したステアリングホイール回転情報確定装置の模式図であって、そのうち、図1のA部分の構造が示されている。
図3】本発明の具体例に係るステアリングホイール回転情報確定装置の構造模式図である。
図4】本発明の別の具体例に係るステアリングホイール回転情報確定装置の構造模式図である。
図5】本発明の例に係る測定ギヤ501とラック12が噛み合う模式図である。
図6】本発明の例に係るスライド可変抵抗器の模式図である。
図7A】本発明の例に係る容格子変位センサーの模式図である。
図7B】本発明の例に係る容格子変位センサー70の構造模式図である。
図8】本発明の例に係る格子変位センサー80の模式図である。
図9】本発明の例に係る格子変位センサー80の格子距離及びモアレ縞の模式図である。
図10】ホール素子90とホールルーラー92を含む本発明の例に係るセンシングユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の模式的な例を説明する。同じ符号で同じ素子を示す。下記の各実施例は当業者が本発明を深く理解することに寄与でき、本発明を限定するのではなく、例示するものしかない。図面における各素子と、部材と、モジュールと、装置及び設備本体は、必ずしも比率で描されたとは限らず、これらの素子と、部材と、モジュールと、装置及び設備本体の間の相対的な関係を示すものに過ぎない。
【0026】
本発明の実施形態のステアリングホイール回転情報確定装置により、それは、ステアリングホイールのステアリングチューブに接続され、ステアリングホイールの回転をリニア運動に転換するリニア運動転換部材と、前記リニア運動転換部材に電気的に接続され、前記リニア運動転換部材で転換されたリニア運動に基づき、ステアリングホイールの回転情報を確定する処理部材と、を備える。当該リニア運動転換部材は、例えば、タービンとウォームで構成されている。ステアリングチューブは実際の応用においても、ステアリングロッドとステアリングコラムポールとも称する。
【0027】
図1は本発明の実施例に係るステアリングホイール回転情報確定装置の構造模式図である。図2は別の角度から見る場合、図1に示すステアリングホイール回転情報確定装置の模式図であって、そのうち、図1のA部分の構造が示された。
【0028】
図1図2を同時に参照しながら、当該ステアリングホイール回転情報確定装置は、ギヤ10と、ラック12と、ラックキャリア14及び処理部材(図示しない)を備える。ギヤ10とステアリングチューブ20とが接続され、ステアリングチューブ20が回転する時、ギヤ10の回転を連動する。ラックキャリア14はラック12を載置し、ラック12はその自体の長さ方向に沿って移動できるようにラックキャリア14に設置されている。ギヤ10がラック12に噛み合うことにより、ギヤ10が回転する時、ラック12がその長さ方向に沿って移動できるように連動する。
【0029】
本発明の例によれば、ラックキャリア14はロッド部材であって、ラック12を結合する位置に、ラック12がその内に移動できる滑り溝が設置されている。本発明の別の例により、ラックキャリア14は互いに嵌め合う二つのカップリングを備える。そのうち、固定的に設置されたカップリングのオス側の外に嵌められたカップリングのメス側は、当該カップリングのオス側に沿って移動できる。ラック12はカップリングのメス側に固定的に設置され、カップリングのメス側をカップリングのオス側よりも短くするよう設置する。例として、カップリングのメス側とオス側は互いに嵌められたリング状の部材である。ラックキャリア14は複数の構造方式を有し、ラック12を載置する方法も複数ある。要するに、ラックキャリア14の構造、及び、ラックキャリア14とラック12の接合方式は、列挙されたものに限っていない。ギヤ10の連動でラック12がその長さ方向に沿って移動する機能を果たさせればよいのである。
【0030】
当業者にとって分かるように、ステアリングホイールの回転を車輪に伝達すべきである。本発明の例によれば、ステアリングホイール22の回転は、ステアリングチューブ20と、ギヤ10と、ラック12とを介して、第一タイロッド16と第二タイロッド18に伝達される。これで分かるように、第一タイロッド16と第二タイロッド18はそれぞれ両側の車輪とラックの間に設置された部材であり、かつギヤ10とラック12によって伝達されたステアリングホイールの回転をさらに車輪に伝達するように、ラック12と対応的な車輪に接続されている。具体的に、第一タイロッド16はラック12と車輪24と(図面に向かう方向から見れば、当該車輪が左側に位置し、下文には左側車輪24と記載されている)の間に設置され、ラック12の移動を車輪24に伝達するように、ラック12及び車輪24に接続されている。第二タイロッド18はラック12と車輪26と(図面に向かう方向から見れば、当該車輪が右側に位置し、下文には右側車輪26と記載されている)の間に設置され、ラック12の移動を車輪26に伝達するようにラック12及び車輪26に接続されている。
【0031】
制限することではなく例示するように、ギヤ10とステアリングチューブ20とは、中間軸11で接続され、中間軸11の一端が自在継手でステアリングチューブ20に接続され、他端がギヤ10の固定に用いられる。図2を参照してもよい。ステアリングチューブ20は中間軸11の回転を連動し、中間軸11はさらにギヤ10の回転を連動する。
【0032】
制限することではなく例示するように、ギヤ10とステアリングチューブ20とは、中間軸11で接続され、ラック12に噛み合うように、中間軸11の一端がギヤ状の構造10である。中間軸11の他端が自在継手でステアリングチューブ20に接続されている。
【0033】
本発明の例においては、噛合原点はステアリングホイールが0度である場合のギヤ10とラック12との噛合位置である。
【0034】
本発明の制限的ではない具体例によれば、噛合原点はラック12を二つの部分に分けて、ラック12と第一タイロッド16とが接続される第一サブ部分の長さがaであり、ラック12と第二タイロッド18とが接続された第二部分の長さがbである。この例においては、ギヤとラックの噛合位置が噛合原点である時、aとbは等しい。図1を参照して、ステアリングホイール22は時計回り方向に沿って回転し、ステアリングチューブ20が時計回り方向に沿って回転するように連動する。ステアリングチューブ20はさらにギヤ10が時計回り方向に沿って回転するように連動し、ギヤ10はラック12がその長さ方向に左側車輪24へ移動するように連動することで、第一サブ部分の長さaと第二サブ部分の長さbを変化させる。両者の差は即ち、ラック12の移動距離である。下記の式(1)と(2)により、ステアリングチューブ20の角速度ωとステアリングホイールの回転角度を確定できる。
x=a-b (1)
x=∫vdt=∫f (ω)・rdt (2)
そのうち、xはラック12の移動距離であり、ωはステアリングチューブ20の角速度であり、中間軸11の角速度はωの関数f(ω)であり、rはギヤ10の基準円直径である。
【0035】
代わりに、ラックとギヤの噛合箇所が噛合原点である時、aとbは等しなくてもよい。この場合、ステアリングホイール22の回転でラック12が移動する場合、aとbの差も変化する。当該差の変化がラック12の移動距離を反映できる。
【0036】
本発明の例によれば、当該ステアリングホイール回転情報確定装置の処理部材は、ラックが噛合原点に対する移動をセンシングするためのセンシングユニットと、センシングユニットと電気的に接続され、センシングユニットのセンシング結果でラックが噛合原点に対してラックの長さ方向に沿う移動距離及び移動方向を確定することにより、式(1)と(2)に呈した関係で前記ステアリングホイールの回転情報を確定する算出ユニットと、を備える。本発明の各例においては、ステアリングホイールの回転情報は、例えば、ステアリングホイールの回転角度と、ステアリングホイールの回転方向と、ステアリングホイールの回転数を含んでよい。本発明の各例においては、ステアリングホイールの回転角度の確定過程を具体的に記載していないが、ステアリングホイールの回転角度がステアリングホイールが回転した角度と時間といった情報で確定できることは、当業者にとって自明なことである。
【0037】
図3は本発明の具体例に係るステアリングホイール回転情報確定装置の構造模式図である。この例においては、センシングユニットは弾性部材40である。弾性部材40の固定端、即ち本例の第一端401は、車両の内部構造における適当な部材に固定されている。第二端402はラック12(図2参照)が噛合原点に対して移動するに従って伸縮する。この伸縮はラック12が噛合原点に対して移動した距離と方向を示すことができる。この例においては、弾性部材40が圧縮されることは、ステアリングホイールが時計回りに回転することを意味する。逆に、ステアリングホイールが反時計回りに回転する。図3の例においては、弾性部材40の第一端401は、例えば、ラックキャリア14(図2参照)に固定されている。選択的に、弾性部材40の第一端401は車両の別の弾性部材40の固定に相応しい固定的な部材に固定できる。ここで、「相応しい」は、弾性部材40の当該部材を固定する車両における位置で、当該弾性部材40がそれに固定された後、正常に作動できることを意味する。実際の応用においては、第一端401を固定するための部材がラック12またはラックキャリア14に近づくのは好ましい。
【0038】
図3の実施例においては、ラック12の移動距離xは式(3)によって確定できる。
F = kx1 (3)
ここで、Fは弾性部材の弾性力であり、kは弾性係数であり、x1は弾性部材の第二端402の移動距離である。この例においては、当該第二端402の移動距離は即ちラック12の移動距離である。圧力センサーなどでFが得られる。そのうち、圧力センサーは当該弾性部材の弾性力をセンシングできるように、当該弾性部材に組み合わせている。例えば、第一端401に装備されている。
【0039】
図3の実施例においては、弾性部材は例えば、スプリングである。
【0040】
図4は本発明の別の具体例に係るステアリングホイール回転情報確定装置の構造模式図である。この例においては、センシングユニット50は測定ギヤ501とギヤ回転センシング部材(図示しない)とを含む。図5に示すように、測定ギヤ501とギヤ12(図2参照)は噛み合い、ラック12の移動で測定ギヤ501の回転を連動する。測定ギヤ501は固定部材で車両に固定されてもよい。ここで、当該測定ギヤ501は当該固定部材を回って回転できる。例示されたように、当該固定部材は、例えばラックキャリア14に固定されている(図2参照)。ギヤ回転センシング部材は、例えばホールセンサーであり、測定ギヤ501の回転角度と回転数を計測し、測定信号が算出ユニットに伝達される。算出ユニットは、これにより噛合原点に対してラック12がその長さ方向に沿う移動距離と移動方向を確定する。測定ギヤ501とギヤ10の大きさは同じであってもよいし、異なってもよい。その代わりに、さらにセンシングユニット50に噛み合うラックを設置してもよい。ラック12に従い移動するように、さらに設置された当該ラックはラックキャリア14に設置され、かつラック12に接続されてもよい。
【0041】
本発明の別の具体例に係るステアリングホイール回転情報確定装置において、センシングユニットはスライドレオスタットである。図6はスライドレオスタットの模式図である。当該ステアリングホイール回転情報確定装置の例と引例4の実施例とを比べ、違いは主にセンシングユニットにある。従って、図4図6を参照して、この例を説明する。センシングユニットとしてのスライドレオスタット60は、コイル群601が車両に固定され、例えば、ラックキャリア14(図2参照)または車内の他の適当な部材に固定されている。スライダー602とラック12は、ラック12(図2参照)が移動する時スライダー602をそれに従い移動するように接続させている。取り替えられるように、スライダー602は、ラックキャリア14または車内の他の適当な部材に固定されている。コイル群601とラック12は、ラック12が移動する時スライダー602がそれに従い移動するように接続させている。スライダー602の移動距離xとコイル601との抵抗値(コイル群601の全体の抵抗値はRである)との変化は線形関係を持ち、線形係数がkであることは知られている。この例において、ラック12が左側の車輪24に向かって距離x移動する場合、コイル群601の抵抗値はkx減少し、出力電圧はV-kxである。そのうち、Vはラック12とギヤ10との噛合位置が噛合原点にある時の出力電圧であり、kは係数である。ラック12が右側の車輪26に向かって距離x移動する場合、コイル群601の抵抗値はkx増加し、出力電圧はがV+kxである。移動と電圧との前記関係によって、この摺動抵抗の電圧信号をモニターすれば、ラック12の移動距離の大きさと方向を確定できる。本発明によれば、摺動抵抗の電圧出力信号は算出ユニットに伝達され、後者によって上記の関係に基づき、ラック12が噛合原点に対して移動する移動距離と移動方向を確定する。
【0042】
本発明の別の具体例のステアリングホイール回転情報確定装置において、センシングユニットは容格子変位センサーである。図7Aに示すように、当該容格子変位センサー70の全体的な構造はカリパスに類似している。図7Bは容格子変位センサー70の構造模式図である。この容格子変位センサー70は定規701と、スライド定規702と、定規701に設置された発射極片と、スライド定規702に設置された受信極片と、を含む。定規701は車両を固定され、例えば、ラックキャリア14(図2参照)、または車内の他の適当な部材に固定されている。スライド定規702とラック12(図2参照)とは、ラック12が移動する時スライド定規702がそれに従い移動するように接続されている。スライド定規702が移動し、発射極片と受信極片とが相対的に移動することで、これらの間の静電容量が変化する。当該具体例において、発射極片は、符号が1、2、3、4、5、6、7、8である八つの極片を含む第一グループの発射極片Eと、第一グループの発射極片Eに類似した第二グループの発射極片と、第三グループの発射極片と第四グループの発射極片とを含む。例示的には、各極片の幅はLoであり、番号が異なる発射極片によって励起された電圧も異なる。定規701はM1、M2、M3、M4の四つの受信極片を含み、各受信極片の間に絶縁遮断されている。また、各受信極片の幅は4Loである。この例においては、各受信極片の間隔も4Loである。発射極片と受信極片はそれぞれの静電容量を構築した。極片の距離が一定であるため、静電容量の大きさは対向面積と正比例を成す。また、各発射極片によって励起された電圧値は異なっている。従って、静電容量の大きさの変化も発射極片とは関係がある。また、静電容量が大きいか、小さいかは、スライド定規702が定規701に対する移動方向が示されている。スライド定規702が定規701に対して任意の位置まで移動する場合、受信極片(出力信号)に対向している発射極片があり、遮断分野(即ち、遮断され、信号を出力しない)に対向している発射極片もある。スライド定規702が定規701に対して移動することは、静電容量の対向面積が変化することに相当する。よって、静電容量も変化する。静電容量の値でスライド定規702の移動速度と移動コースを確定できる。静電容量の変化を示す信号を算出ユニットに伝達し、これに基づき、算出ユニットは噛合原点に対してラックがその長さ方向に沿う移動距離と移動方向を確定する。
【0043】
本発明の別の具体的な実施例のステアリングホイール回転情報確定装置において、図8に示すように、センシングユニットは格子変位センサー80である。格子変位センサー80は、第一格子801と、第一格子802と、光源804と、感光素子806とを備える。第一格子801は当該ステアリングホイール回転情報確定装置に設置され、例えば、ラックキャリア14に設置されている(図2参照)。第二格子802とラック12(図2参照)は接続されることで、ラック12が移動する時に移動する。第一格子801の各格子と第二格子802の各格子の間に小さな夾角があり、当該夾角の大きさは光源804によって発射された光の波長によって決められている。第一格子801と第二格子802は光源804と感光素子806との間に設置されている。また、第二格子802が移動する場合、光源804と感光素子806がそれに従って移動する。図9に示すように、二つの格子が互いに一つの格子距離P移動する場合、モアル縞が一つの格子距離W移動する。格子が反対方向に移動する時、モアル縞も反対方向に移動する。このような対応関係を利用して、感光素子806で受信された縞の数に基づき、この第二格子802が移動する距離が得られる。格子変位センサー8における感光素子806は縞の数を示す信号を出力し、算出ユニットに伝達する。第二格子802の格子の大きさを互いに異なるよう設置できる。これにより、感光素子806でセンシングされた光の強度は具体的な格子によって異なる。これをもとに、第二格子802の移動方向を示すことができる。当該算出ユニットは感光素子806の出力によってラックが噛合原点に対してラックの長さ方向に沿う移動距離と移動方向を確定する。
【0044】
本発明の別の具体例のステアリングホイール回転情報確定装置において、センシングユニットは、ホール素子90とホールルーラー92を含む。図10に示すように、当該ホール素子90は車両に固定され、例えば、ラックキャリア14に設置され(図2参照)、または車内の当該ホール素子90を固定するの適当な他の部材に設置されている。ホールルーラー92とラック12(図2参照)はラックが移動する時にホールルーラー92がそれに従い移動するように接続されている。ホールルーラー92の各突出部はいずれも磁極であり、図面には二つの磁極の電磁誘導線920と921が示されている。磁極との距離が変化するため、ホールルーラー92の移動に従い、ホール素子90でセンシングされた磁場の大きさは引き続き変化する。これにより、ホールルーラー92のリニア運動、即ちラック12のリニア運動を、磁場の変化に転換し、さらに電流出力に転換する。当該出力された電流の信号を算出ユニットに伝達し、これにより、当該信号によってホール効果に基づき、変位量を算出し、当該ラックの移動方向が確定できる。
【0045】
本発明はさらにステアリングホイール回転情報確定方法を提出した。当該方法により、ステアリングホイールに接続されていないステアリングチューブの一端に、ステアリングホイールの回転をリニア運動に転換するリニア運動転換部材を設置し、かつ前記リニア運動転換部材によって転換されたリニア運動に基づき、ステアリングホイールの回転情報を確定する。
【0046】
本発明の実施例のステアリングホイール回転情報確定方法により、当該方法により、ステアリングホイールに接続されていないステアリングチューブの一端にギヤを設置してもよい。例えば、上記の各例に係るステアリングチューブ20に接続されたギヤ10である。当該ギヤに噛み合う歯を設置し、そのうち、ステアリングホイールの連動でステアリングチューブを回転し、当該ステアリングチューブに接続されたギヤを回転するように連動し、ギヤの回転により、それに噛み合うラックに、噛合原点に対してラックの長さ方向に沿って移動させる。当該ラックは、例えば、上記の各例に係るラック12である。ステアリングチューブの回転角度が0度である場合のラックとギヤの噛合位置である噛合原点に対して、当該ラックがその長さ方向に沿う移動距離と移動方向に基づき、ステアリングチューブの回転情報を確定する。当該ステップの詳細を実現するために、ステアリングホイール回転情報確定装置を説明する場合に示された複数の例を参照してください。そのうち、上記に記載されているように、ステアリングホイールの回転情報はステアリングホイールの回転角度と回転方向を含み、ステアリングホイールの回転数も含んでよい。
【0047】
本発明によれば、当該ステアリングホイール回転情報確定装置を備えた車両、または当該ステアリングホイール回転情報確定方法を実施する車両をさらに提出した。
【0048】
上記のように、各実施例の記載を参照して、本発明の各例に係るステアリングホイール回転情報確定装置によれば、その構造が簡単で、必要が部材が少なく、装置が実現されやすい。通常のGMRに基づいた方向センサーと比べ、部材が減少されたとともに、ギヤの精度への希望も高くない。例えば、図3の例を参照して、ステアリングホイール回転情報確定装置は、ラックの移動距離と弾性部材の伸縮との関係に基づき、その装置のコストと通常のGMRに基づいた方向センサーと比べ、コストが低くなり装備も簡単になった。他の各実施例は通常のGMRのセンサーと比べ、装備が簡単で、コストが低くなり、制度が高い利点の一つまたは複数を有する。
【0049】
また、本発明の上記の各実施例において、リニア運動転換部材はギヤと、ラック及びラックキャリアで構成されている。また、ある実施例においては、ギヤは自在継手でステアリングチューブに接続されている。なお、リニア運動転換部材は別の形式も用いられている。例えば、タービンとウォーム及び、必要に応じてウォームキャリアも用いられる。そのうち、例えば、タービンを適当な形式でステアリングチューブに接続され、タービンはウォームの運動を連動し、ウォームはタービンの回転を車輪に伝達するように車輪に接続されている。回転を直接的な運動に転換できる、ここで記載されていない構造も、本発明に提出された他の技術的手段にも用いられることができる。
【0050】
図面を参照して、上記の記載において、本発明の具体的な実施例が開示されたが、本発明の思想を脱離しない状況では、開示された具体的な実施例を変形させ、または補正できることは、当業者にとって理解できることである。本発明の実施例は本発明を制限するためではなく、説明するためのみにある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10