特許第6861521号(P6861521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861521光源装置、車両用ヘッドライト及び光源装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861521
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】光源装置、車両用ヘッドライト及び光源装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/10 20180101AFI20210412BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20210412BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20210412BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20210412BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20210412BHJP
【FI】
   F21S41/10
   F21V9/30
   F21V7/00 320
   F21W102:00
   F21Y115:30
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-7474(P2017-7474)
(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-130454(P2017-130454A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2020年1月15日
(31)【優先権主張番号】10 2016 200 582.0
(32)【優先日】2016年1月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】バラージュ ヤーテーコシュ
【審査官】 飯塚 向日子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−304048(JP,A)
【文献】 特開2015−072895(JP,A)
【文献】 特開2011−249538(JP,A)
【文献】 特開2010−092807(JP,A)
【文献】 特開2013−137531(JP,A)
【文献】 特開2012−042599(JP,A)
【文献】 特開2016−004269(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0176811(US,A1)
【文献】 特開2013−239673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/10
F21V 7/00
F21V 9/30
F21W 102/00
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビーム(4)を送出するためのレーザ(1)と、
前記レーザ(1)のビーム路内の蛍光スクリーン(2)と、
前記レーザ(1)と前記蛍光スクリーン(2)との間に配置されているスクリーン(3)と、
前記スクリーン(3)と前記蛍光スクリーン(2)との間に配置されている基板(7)と、
を備えている光源装置(10,20,40,50)であって、
前記レーザ(1)のビーム路内の前記スクリーン(3)は、前記レーザ(1)によって送出された前記光ビーム(4)を通過させる少なくとも1つの開口部を有しており、これにより、前記レーザ(1)によって送出された前記光ビーム(4)が、光(5a,5c)を送出するように前記蛍光スクリーン(2)を励起するように構成されており、
前記スクリーン(3)は、前記蛍光スクリーン(2)によって送出された光(5a)を反射するように形成されている再帰反射層(3a)を有しており、
前記基板(7)は、ワイヤ格子偏光子(8)を含んでいる、
ことを特徴とする光源装置(10,20,40,50)。
【請求項2】
前記スクリーン(3)は、前記蛍光スクリーン(2)と、間隔(d)を空けて配置されている、請求項1に記載の光源装置(10,20,40,50)。
【請求項3】
前記再帰反射層(3a)は、トリプルミラー反射体を含んでいる、請求項1又は2に記載の光源装置(10,20,40,50)。
【請求項4】
記スクリーン(3)と前記蛍光スクリーン(2)とは、前記基板(7)の相反する面に配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光源装置(20,40,50)。
【請求項5】
前記基板(7)は、ガラスから成る、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光源装置(40,50)。
【請求項6】
前記レーザ(1)は、レーザスキャナとして構成されており、
当該レーザスキャナは、前記光ビーム(4)を角度範囲αにおいて送出するように設計されており、
前記スクリーン(3)の前記少なくとも1つの開口部の直径(d)は、前記スクリーン(3)での前記角度範囲αの幅に相当するように選択されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の光源装置(10,20,40,50)。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の光源装置(10,20,40,50)を少なくとも1つ有している、
ことを特徴とする車両用ヘッドライト(60)。
【請求項8】
光源装置(10,20,40,50)の製造方法であって、
レーザ(1)のビーム路内に蛍光スクリーン(2)を配置するステップ(S1)と、
前記レーザ(1)と前記蛍光スクリーン(2)との間にスクリーン(3)を配置するステップ(S2)と、
前記スクリーン(3)と前記蛍光スクリーン(2)との間に、ワイヤ格子偏光子(8)を含む基板(7)を配置するステップと、
前記レーザ(1)によって送出された光ビーム(4)が、前記蛍光スクリーン(2)に入射し、光(5a,5c)を送出するように前記蛍光スクリーン(2)を励起することができるように、前記レーザ(1)によって送出された前記光ビーム(4)を通過させる少なくとも1つの開口部を前記スクリーン(3)内に形成するステップ(S3)と、
前記蛍光スクリーン(2)によって送出された光(5a)を反射するために、再帰反射層(3a)を前記スクリーン(3)上に形成するステップ(S4)と、
を有していることを特徴とする、光源装置(10,20,40,50)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、車両用ヘッドライト及び光源装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
例えば自動車産業においては、効率的な光源に対する需要がある。強い出力の光信号を生成する公知の方法は、レーザビームを用いて、蛍光スクリーンを励起して光らせることである。この蛍光スクリーンは、ビームを、一般的に、等方性に、全ての空間方向において放射する。国際公開第2010/084451号(WO2010/084451 A1)から、例えば、上記のような光源が公知であり、ここでは、蛍光スクリーンの両側にワイヤ格子偏光子が配置される。このワイヤ格子偏光子はここで、レーザビームが蛍光スクリーンに入射して、蛍光スクリーンを発光のために励起する箇所で温度を低減するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/084451号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、典型的には、前方方向、即ち、レーザと離反する方向に放射されるビームだけが、実際に関連する。即ち、平均して、生成された光ビームの半分が失われる。なぜなら、光ビームの半分は、後方方向、即ち、レーザの方向に放射されるからである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開示
第1の態様では、本発明は、請求項1の特徴部分に記載された構成を有する光源装置を実現する。
【0006】
従って、本発明は、光ビームを送出するレーザと、レーザのビーム路内の蛍光スクリーンとを含んでいる光源装置を実現する。レーザと蛍光スクリーンとの間には、スクリーンが配置されており、ここでこのスクリーンは、レーザのビーム路において、レーザによって送出された光ビームを通過させる少なくとも1つの開口部を有している。これによって、レーザによって送出された光ビームが、光を送出するように蛍光スクリーンを励起するように構成されている。スクリーンは再帰反射層を有しており、この再帰反射層は、蛍光スクリーンによって送出された光を反射するように形成されている。
【0007】
別の態様では、本発明は、請求項7の特徴部分に記載された構成を有する車両用ヘッドライトを実現する。従って、本発明は、少なくとも1つの光源装置を有する車両用ヘッドライトを含んでいる。
【0008】
別の態様では、本発明は、請求項8の特徴部分に記載された構成を有する、光源装置の製造方法を実現する。
【0009】
従って、本発明は、光源装置の製造方法を実現し、この方法は、レーザのビーム路内に蛍光スクリーンを配置する第1のステップを有している。さらに、レーザと蛍光スクリーンとの間にスクリーンが配置される。レーザによって送出された光ビームを通過させるために少なくとも1つの開口部が、このスクリーン内に形成される。これにより、レーザによって送出された光ビームが蛍光スクリーンに入射し、光を送出するように蛍光スクリーンを励起することができる。さらに、蛍光スクリーンによって送出された光を反射する再帰反射層が、このスクリーン上に形成される。
【0010】
有利な発展形態は、各従属請求項の構成要件である。
【0011】
発明の利点
再帰反射層は、蛍光スクリーンによって送出された光を有利には、放射源、即ち、蛍光スクリーンの励起点へと反射して戻す。このビームはここで、蛍光スクリーンを透過するか、又は、蛍光スクリーンによって吸収され、蛍光スクリーンがこれによって再度、発光するように励起される。従って、この光源装置の利用可能なビーム出力、即ち、最終的に前方方向で送出されるビームの全体比率が高くなる。蛍光スクリーンの後方方向に放射されたビームは有利には可能な限り完全に、再帰反射層によって反射される。従って、後方方向に送出され、かつ、反射されなかった光によるビーム損失が最小化される。
【0012】
使用可能なビーム出力を高めることによって、例えば、車両用ヘッドライトのために必要なレーザの数を低減することができる。これによって、電流消費だけでなく、同時に、車両用ヘッドライトの複雑性及びコストが低減される。
【0013】
光源装置の有利な発展形態では、スクリーンは、蛍光スクリーンと、ある間隔を空けて配置されている。
【0014】
光源装置の有利な発展形態では、再帰反射層は、トリプルミラー反射体を含んでおり、これによって、反射された光が、実質的に、再び、蛍光スクリーンの、光の送出源の点に戻される。
【0015】
有利な発展形態では、光源装置は、特にガラスから成る基板を含んでいる。ここでスクリーンと蛍光スクリーンとは、基板の相反する面に配置されている。この基板によって、光源装置のより高い安定性が保証される。
【0016】
光源装置の有利な発展形態では、基板は、ワイヤ格子偏光子を含んでいる。このワイヤ格子偏光子は、同様に、入射したビームの一部を反射し、これによって、光源装置の効果をさらに高めることができる。
【0017】
光源装置の有利な発展形態では、レーザは、光ビームをある角度範囲で送出するように設計されているレーザスキャナとして構成されている。ここで、スクリーンの少なくとも1つの開口部の直径は、次のように選択されている。即ち、この直径が、実質的に、スクリーンでのこの角度範囲の幅に相当するように選択されている。特に、これによって、スクリーンの少なくとも1つの開口部はできるだけ小さく形成され、従って、蛍光スクリーンによって送出されたビームの、この少なくとも1つの開口部を、レーザの方向に通過し、反射されない割合が最小化される。これによって、使用不可能なビームがさらに低減される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態の光源装置の概略的な横断面図。
図2】本発明の第2の実施形態の光源装置の概略的な横断面図。
図3】光源装置の概略的な横断面図。
図4】本発明の第3の実施形態の光源装置の概略的な横断面図。
図5】本発明の第4の実施形態の光源装置の概略的な横断面図。
図6】本発明の車両用ヘッドライトの概略的な横断面図。
図7】本発明の光源装置の製造方法を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
全ての図面において、同等又は機能が同様の要素及び装置には、そうでないことが記載されていない限り、同一の参照符号が付けられている。ステップの番号付けは、分かり易くするためのものであり、特に、そうでないことが記載されていない限り、特定の時間的な順序の意味を含まないべきである。特に、複数のステップを同時に行うことも可能である。
【0020】
実施例の説明
図1は、本発明の第1の実施形態の光源装置10の概略的な横断面図を示している。光源装置10は、ここで、光ビーム4を送出するレーザ1を含んでいる。レーザ1は、ここでは、特に、青色光又は紫外光を送出するように構成されていてよい。
【0021】
レーザ1は、有利には、ある空間角度範囲でスキャンするように設計されているレーザスキャナである。レーザ1は、鉛直方向において角度範囲αで光ビーム4を送出するように配向されている。これは特に、レーザのマイクロミラーの旋回によって行われる。これに加えてレーザ1を有利には、図平面に対して垂直な水平方向において、ある角度範囲で光ビーム4を送出するようにも配向可能である。
【0022】
レーザ1のビーム路内には、蛍光スクリーン2、即ち、少なくとも1つの蛍光層を有するスクリーンが配置されている。この蛍光層は、レーザ1によって送出された光ビーム4によって励起されて、光を送出する。
【0023】
蛍光スクリーンから間隔dだけ離隔して、レーザ1のビーム路内に、レーザ1と蛍光スクリーン2との間に、スクリーン3が配置されている。蛍光スクリーン2とスクリーン3との間の間隔dは、例えば、5mm乃至40mmであってよく、有利には20mmであり得る。スクリーン3は、レーザによって送出された光ビーム4を通過させる、少なくとも1つの開口部9を有している。開口部9の幾何学的形状は、ここでは、任意である。しかし、有利には、開口部9は、円形に形成されている。スクリーン3の開口部9の直径dは、有利には次のように選択されている。即ち、全角度範囲αの光ビーム4が、スクリーン3の開口部9を通過することができるように選択されている。ここで、この直径dは、有利にはできるだけ小さく選択されており、直径dは、有利には、スクリーン3での角度範囲αの幅に相当する。有利には、ここで、光ビーム4のビームウェストdも考慮される。
【0024】
有利には、レーザ1は中央に、開口部9の中心点の前に配置されている。しかし、レーザ1が、ずらされて配置されていてもよい。
【0025】
レーザ1によって送出されたレーザビーム4は、スクリーン3の開口部9を通過して、蛍光スクリーン2の入射点6に入射する。蛍光スクリーン2は、入射点6で、光を送出するように励起される。レーザ1によって送出されるレーザビーム4を角度範囲αで旋回することによって、蛍光スクリーン2上の、直径Dを有する面が、レーザ1によって、スキャンされ、又は、照明される。ここで、この直径Dは有利には、1cmと20cmとの間にある。しかし、本発明は、これに限定されない。従って、レーザ1は、蛍光スクリーン2上の任意の形状の面もスキャン、ひいては、照明することができる。
【0026】
以降では、「後方方向」における光の送出と、「前方方向」における光の送出とが区別される。蛍光スクリーン2が位置する面によって、空間が2つの半空間に分けられる。「後方方向」における光ビームの送出は、ここで、レーザ1が存在する半空間において光ビームが拡がることを意味している。「前方方向」において光ビームが送出される場合には、光ビームは、レーザ1が存在していない他方の半空間において拡がる。
【0027】
スクリーン3上には、少なくとも1つの再帰反射層3aが形成されている。この再帰反射層3aは、特にトリプルミラー反射体を含み得る。しかし、この再帰反射層3aは、ルネブルグ・レンズも含み得る。再帰反射層3aは特に、金属化された背面を備えた球形の要素を含み得る。
【0028】
トリプルミラー反射体の個々の反射体要素の開口部の大きさは、例えば、約100μmになり得る。蛍光スクリーン2とスクリーン3との間の間隔dが、例えば20mmである場合、蛍光スクリーン2上のエアリー円盤の直径は約280μmになる。ここで、エアリー円盤は、有利には、ほぼ、送出されたレーザビーム4のビームウェストdに相当する。しかし、これら全ての数値は、一例にすぎない。
【0029】
後方方向に送出された光ビーム5aは、スクリーン3の再帰反射層に入射する。再帰反射層は、光ビーム5aを、実質的に、再帰反射層3aの光ビーム5aの入射方向に反する方向に沿って反射するように構成されている。即ち、このように反射された光ビーム5bは、蛍光スクリーン2の入射点6の方向へ伝播する。反射された光ビーム5bは、蛍光スクリーン2を透過することができ、次に前方方向に拡散する。しかし、反射された光ビーム5bは蛍光スクリーン2を、光の再度の送出のために励起することもでき、これによって、光の発光効率を上げることができる。
【0030】
最終的に、前方方向で放射される光ビームの全体比率、即ち、元来、前方方向で放出されるビームと反射されたビームとの総計は、蛍光スクリーンによって放射された光ビーム全体の少なくとも85%として見積もられる。しかし、この数値は単なる例であると理解されたい。
【0031】
本発明は、上述した実施形態に制限されない。特に、スクリーン3は、多数の開口部を有することができる。
【0032】
さらに、多数の付加的な光学的な要素、特に、レンズが、蛍光スクリーン2の前方及び/又は後方に、取り付けられてよい。
【0033】
図2では、本発明の光源装置20の第2の実施形態が示されている。第1の実施形態では、スクリーン3が蛍光スクリーン2と間隔を空けて配置されていた、即ち、空気によって分断されていたが、第2の実施形態では、スクリーン3と蛍光スクリーン2とは、基板7の相反する面に配置されている。基板7は、特にガラス又は別の光透過性の、即ち、透明又は半透明の材料から成り得る。蛍光スクリーン2とスクリーン3とは、ここでは有利には、固定的に、特に接着又は析出によって基板7に固定されている。
【0034】
図3は光源装置30の横断面図を示している。光源装置30は、光ビーム4を送出するレーザ1を含んでいる。レーザ1は、有利には、光ビーム4を鉛直方向において、角度範囲αにおいて送出するように設計されているレーザスキャナである。これは特に、レーザのマイクロミラーの旋回によって行われる。レーザ1のビーム路内には蛍光スクリーン2が形成されている。この蛍光スクリーン2は、基板7の、レーザとは反対側の面に配置されている。基板7は、ここで、ワイヤ格子偏光子8、即ち、良好な導電性を有する平行な金属製ワイヤのアレイを含んでいる。レーザ1によって送出された光ビーム4は、光を送出するように蛍光スクリーン2を励起するように構成されている。後方方向に送出された光ビーム5cは、ここでは少なくとも、部分的に、ワイヤ格子偏光子8によって反射され得る。このように反射された光ビーム5dは、ここで、再び、蛍光スクリーン2に入射し、光を繰り返し送出するように蛍光スクリーン2を励起するか、又は、蛍光スクリーン2を透過し、前方方向に伝播する。
【0035】
蛍光スクリーン2によって放射された光はここで、一般的に、ランダムに偏光する。即ち、特別な偏光方向を有していない。光ビーム5cは、ワイヤ格子偏光子の偏光に基づいて、透過するか、又は、反射される。例えば、45°の入射角度の場合には、ワイヤ格子偏光子に対するp偏光された成分の透過率は約85%である。反射された、s偏光された成分の割合は、約85%として見積もられ得る。これに基づいて、光の少なくとも60%が最終的に前方方向で放射されることが予期される。しかし、この数値は、単なる例であると理解されたい。
【0036】
図4は、本発明の第3の実施形態の光源装置40の横断面図を示している。この第3の実施形態は、図2に示された第2の実施形態と、次の点において異なっている。即ち、基板7内に、蛍光スクリーン2とスクリーン3との間に、図3に示された光源装置30と同様に、ワイヤ格子偏光子8が形成されている、という点において異なっている。ワイヤ格子偏光子8はここで、後方方向に送出された光ビーム5cを反射することができる。このように反射された光ビーム5dは、蛍光スクリーン2を透過する、又は、蛍光スクリーンを、光を再度送出するように励起する。
【0037】
図5は、本発明の第4の実施形態の光源装置50の横断面図を示している。この第4の実施形態は、図4に示された第3の実施形態と、次の点において異なっている。即ち、蛍光スクリーン2とスクリーン3との間隔dが、ワイヤ格子偏光子8を有する基板7の厚さdよりも大きい、という点において異なっている。従って、スクリーン3は、基板7と間隔を空けて配置されている。
【0038】
図6は、第1の実施形態の光源装置10を有する車両用ヘッドライト60の横断面図を示している。この車両用ヘッドライト60は、ここでハウジング51を有している。ここで蛍光スクリーン2は、ハウジング51の開口部内に配置されている。蛍光スクリーン2は、周辺影響から、遮蔽部52によって保護されている。この遮蔽部52は、さらに、レンズシステムを含んでいる。このレンズシステムは、蛍光スクリーン2によって送出された光を、所定の角度で、外部へと送出するように配向されている。レーザ1は、ここで次のように配置されている。即ち、送出された光ビーム4が、スクリーン3の開口部9を通って蛍光スクリーン2に入射し、蛍光スクリーン2によって前方方向に伝播された光が、遮蔽部10を通って、車両用ヘッドライト60から外へ放射されるように、配置されている。
【0039】
本発明はこれに制限されず、車両用ヘッドライト60用の光源装置の他の実施形態も使用可能である。
【0040】
図7は、本発明の光源装置の製造方法を説明するフローチャートを示している。
【0041】
第1のステップS1では、蛍光スクリーン2が、レーザ1、特にレーザスキャナのビーム路内に配置される。レーザ1は有利には、光ビーム4を角度範囲αで送出するように構成されている。第2のステップS2では、レーザ1と蛍光スクリーン2との間にスクリーン3が配置される。このスクリーン3内に、第3のステップS3において、レーザ1によって送出された光ビーム4を通過させる少なくとも1つの開口部9が形成される。有利には、ここでは多数の開口部が、スクリーン3内に形成される。スクリーン3の開口部9の直径dは、ここで、有利には、実質的に、レーザ1によって送出された光ビーム4のビームウェストdに相当する。レーザ1によって送出された光ビーム4は少なくとも1つの開口部を通り、入射点6で蛍光スクリーン2に入射する。これによって蛍光スクリーン2は、光を送出するように励起される。
【0042】
第4のステップS4では、再帰反射層3aが、スクリーン3上に形成される。この再帰反射層3aは、ここでは、蛍光スクリーン2によって後方方向に送出された光が、再帰反射層3aに入射し、そこで反射されるように構成される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7