(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る無線通信システムは、一例として、以下のように構成される。
すなわち、本発明に係る無線通信システムは、無線通信を行う無線通信装置である基地局と端末局とを含んで構成され、ビーム形成を利用して無線通信を行う。基地局の送信機は、ビーム形成を行いながら無線通信を行うために複数の送信アンテナ及び複数の送信RFチェーンならびに一つ以上のベースバンド信号処理部を備える。また、基地局の送信機は、移動する端末局の方向に向けてビームを形成する機能と、予め定められた範囲をカバーするビームを形成する機能とを備える。
そして、基地局は、特定の端末局に対する情報については、端末局の方向に向けたビームを形成して送信し、端末局を特定せずに送信する共通信号(同期信号や制御信号など)については、予め定められた範囲をカバーできるビームを形成して送信する。このように、送信する相手を特定しない共通信号に対してもビーム形成を行うようにする。
【0017】
ここで、基地局は、共通信号のうちの同期信号に対しては、基地局からの電波が届くカバーエリア(以下、「基地局エリア」という)を数個に分割する程度の広い幅のビームを複数形成することで、基地局エリア全体に信号を到達させる。
図1に示す例では、原点付近の90°と270°を結ぶ直線上にある基地局のアンテナにより、4つの幅広ビームB1−1〜B1−4が形成されている。幅広ビームB1−1〜B1−4は、一般的なセクタに相当する120°(60°〜300°)の範囲の基地局エリアRを略4分割するサイズ(約30°の範囲をカバーするサイズ)になっている。すなわち、基地局エリアRを分割した複数の分割エリアにそれぞれ対応した複数の幅広ビーム(B1−1〜B1−4)を形成することで、基地局エリアRをカバーする。本例の基地局エリアRは、従来のセクタ、つまり動的に指向性を変更しないアンテナによって形成されるサービスエリアの最小単位に相当する。従来のLTE技術におけるセクタは、セクタに分割されないオムニセル同様、セルID(LCID)によって一意に区別され、また、端末局が同一基地局の異なるセクタを跨いで移動する際には、何らかのRRCシグナリングを必要とする。
【0018】
また、基地局は、共通信号のうちの制御信号に対しては、幅の狭いビームを形成して利得を上げると共にビームスキャンを行うことで、基地局エリア全体に信号を到達させる。
図2に示す例では、幅広ビームB1−1〜B1−4よりも狭い幅の狭小ビームB2を形成し、基地局エリアRの全体に亘ってビームスキャンしている。すなわち、幅広ビーム(B1−1〜B1−4)よりもカバー範囲が狭い狭小ビーム(B2)を形成して基地局エリアRをスキャンすることで、基地局エリアRをカバーする。
【0019】
このような構成によれば、不特定の端末局に対する同期信号や制御信号であっても、基地局エリアをカバーするようにビーム形成して送信することができ、基地局エリア全体での受信SNRを向上させることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態に係る無線通信システムについて、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
(無線通信システムの概要)
図3には、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの全体構成の例を示してある。本実施形態に係る無線通信システム1は、ビーム形成を利用して無線通信を行う。
図3に示されるように、無線通信システム1は、携帯電話機等の無線通信を行う端末局であるUE20〜24と、これらの端末局(UE20〜24)が接続する基地局であるBS10とを含んで構成される。
【0021】
ここで、BS10とUE20〜24との間の無線通信は、たとえばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)伝送など任意の通信方式によって行われる。BS10は少なくとも下り送信用に複数のミリ波アンテナを具備し、下り送信時にアンテナへ供給する送信信号の位相や振幅を制御することで、UE20〜24の位置を含む任意の方向に向けた送信ビームを形成する。
【0022】
(BS10の具体的構成)
以下、
図4及び
図5を参照して、BS10の具体的な構成について説明する。
図4には、
図3の無線通信システムにおけるBS10の構成例を示してある。
図4に示すように、BS10は、電波の送受信を行うアンテナ101〜104と、データの送受信を行うデータ伝送部105と、自局全体の制御を行う主制御部106と、外部回線や外部装置とのインターフェースとなるインターフェース部107と、外部回線や外部装置と接続するための端子108とを備える。
【0023】
アンテナ101〜104は、例えばパッチアンテナ等であり、比較的緩やかな指向性を有することができる。またアンテナ101〜104は、それらを単一平面上に設けるなどして指向性を同一の方向に向けて設置することができる。
データ伝送部105は、RF部111〜114と、ベースバンド(BB)信号処理部115と、MAC処理部116とを備える。
RF部111〜114は、ベースバンドから無線周波数帯への周波数変換及び無線周波数帯からベースバンドへの周波数変換や、信号増幅等の処理を行う。
【0024】
BB信号処理部115は、その構成例を
図5に示すように、送信BB部131と、受信BB部132とを備える。
送信BB部131は、チャネル符号化部141と、OFDM変調部142と、ビームフォーミング(BF)処理部143〜146と、ビーム制御部147とを備える。
受信BB部132は、OFDM復調部151と、チャネル復号部152とを備え、チャネル復号部152からUEの到来方向推定結果をビーム制御部147へ通知する。このUEの到来方向推定結果は、UEにおいて到来方向推定を行った結果を上り回線を通じてBSへと伝送されたものであり、詳細についてはUE20〜24の具体的構成の中で説明する。
【0025】
ビーム制御部147は、次に送信しようとする信号の種別に応じたビーム制御情報を生成し、BF処理部143〜146に対して通知する。具体的には、次に送信する信号が、特定のUEに宛てた信号である場合には、チャネル復号部152から受け取ったUEの到来方向推定結果に基づき、UE20〜24に送信される信号についてUE20〜24の位置における利得を最大化するビームを形成するためのビーム制御情報を生成する。また、次に送信する信号が、同期信号や制御信号などの共通信号である場合には、予め定められたエリアをカバーできるビーム(幅広ビーム、狭小ビーム)を形成するためのビーム制御情報を生成する。ビーム制御情報は、例えば、各BF処理部に通知する振幅と位相のセットであり、ステアリング・ベクトルなどと呼ばれる。利得を最大化するビームについては、対象のUEに向けて伝搬する平面波を形成するような共相条件を満たし、一様励振を基本としたものとすることができる。狭小ビームや幅広ビームのビーム制御情報は、例えば、共相条件などを最適状態から変更することで得られ、励振されるアンテナの数を減らすことによっても実現されうる。アンテナの数が少なく、利得最大化ビームがあまり鋭くなければ、利得最大化ビームと狭小ビームは同じで良い。ビーム形成を行わない場合、1の振幅及び0度の位相を示すビーム制御情報を、各BF処理部143〜146に通知することができる。なお、特定のUEに向けて形成するビームは、利得最大化基準によるものに限らず、後述のアンテナ毎参照信号に応じた各種の周知のアルゴリズムを用いて形成されうる。
【0026】
BF処理部143〜146は、ビーム制御部147から通知されたビーム制御情報に基づいて、アンテナ101〜104からそれぞれ放射される電波を合成した結果としてビームが形成されるよう、送信信号の位相及び振幅を操作する。BF処理部143〜146は一例として、複素乗算器や、プログラマブルな非整数遅延を実現するFIRフィルタによって構成されうる。或いは、OFDM変調部142において符号がサブキャリアにマッピングされる前に、サブキャリア単位或いはサブキャリア単位で位相及び振幅を操作してもよい。
MAC処理部116は、自局(BS10)が使用する周波数やデータ送受信タイミングの制御、通信パケットへの自局識別子の付加、及びデータ送信元の無線装置の認識などの処理を行う。
【0027】
主制御部106は、例えば、プロセッサとメモリ上に定義されたデータ記憶領域とソフトウェアで構成することが可能である。また、BB信号処理部115、MAC処理部116における処理は、例えば、主制御部106のプロセッサがハードディスクやフラッシュメモリ等のデータ記憶装置に記憶されているプログラムをメモリ上に読み出して実行することにより実現することが可能である。
【0028】
(UE20〜24の具体的構成)
以下、
図6及び
図7を参照して、UE20〜24の具体的な構成について説明する。
図6には、
図3の無線通信システムにおけるUE20〜24の構成例を示してある。
図6に示すように、UE20〜24は、電波を送信及び受信するアンテナ201と、データの送受信を行うデータ伝送部202と、自局全体の制御を行う主制御部203と、外部回線や外部装置とのインターフェースとなるインターフェース部204と、外部回線や外部装置と接続するための端子205とを備える。
【0029】
データ伝送部202は、RF部211と、ベースバンド(BB)信号処理部212と、MAC処理部213とを備える。
RF部211は、ベースバンドから無線周波数帯への周波数変換及び無線周波数帯からベースバンドへの周波数変換や、信号増幅等の処理を行う。
【0030】
BB信号処理部212は、その構成例を
図7に示すように、送信BB部221と、受信BB部222とを備える。
送信BB部221は、チャネル符号化部231と、OFDM変調部232とを備える。
受信BB部222は、OFDM復調部241と、チャネル復号部242と、到来方向推定部243とを備える。
【0031】
到来方向推定部243は、チャネル復号部242及びOFDM復調部241により処理された信号に基づいて、基地局から送信されて端末局で受信された電波の伝搬特性からその電波の到来方向を推定し、推定結果を送信BB部221へ通知する。この到来方向推定処理は、例えば、BS10が、自身の具備する各アンテナを識別することができるアンテナ毎参照信号を送信し、UE20が、BS10から受信した電波及びアンテナ毎参照信号に基づいて、BS10の各アンテナ101〜104とUE20のアンテナ201との間の伝搬特性を取得することで実現することが可能である。アンテナ毎参照信号は空間変調技術を用いて送信することができ、そこではOFDMシンボル中のあるサブキャリアは、ある1つのアンテナに割り当てられて送信される。この方法では各アンテナから少なくとも1回(1シンボル)参照信号を受信すれば、到来方向が推定できるが、所定の受信SNRを満たすために必要であれば、所定の頻度で繰り返し送信される参照信号を複数利用して、推定を行うことができる。なお、アンテナ毎参照信号は、到来方向の推定が可能であればよく、他の周知のチャネルサウンディング手法やCDS(Cyclic Shift Diversity)を用いて送信してもよい。
到来方向推定部243の推定結果を受け取った送信BB部221は、BS10に向けて到来方向推定結果を送信する。
【0032】
MAC処理部213は、自局(UE20〜24)が使用する周波数チャネルやデータ送受信タイミングの制御、パケットへの自局識別子の付加、及びデータ送信元の無線装置の認識等の処理を行う。
【0033】
主制御部203は、例えば、プロセッサとメモリ上に定義されたデータ記憶領域とソフトウェアで構成することも可能である。また、BB信号処理部212、MAC処理部213における処理は、例えば、主制御部203のプロセッサがハードディスク等のデータ記憶装置に記憶されているプログラムをメモリ上に読み出して実行することにより実現することが可能である。
【0034】
(ビーム制御部が信号種別によってビーム形状を切り替える例)
以下、
図8及び
図9を参照して、BS10がUE20に対して下りデータを伝送する際に送信側のビームを制御する例について説明する。
図8には、無線通信システム1が通信に使用する下りリンクの無線フレームフォーマットの例を示してある。下りリンク無線フレームは、同期信号311、制御信号312、アンテナ毎参照信号313、復調用参照信号314、データ信号315で形成される。
【0035】
同期信号311は、BS10から送信され、基地局エリア内に存在するUE20〜24において、無線フレームの同期を行うために使用される。
制御信号312は、BS10から送信され、基地局エリア内に存在するUE20〜24に対し、データの有無や送信許可などの制御情報を伝送するために使用される。UE20〜24の方向が不明のときには、制御信号312は、同じフレームの同期信号311に適用された幅広ビームの範囲内の狭小ビームによって送信することができる。
アンテナ毎参照信号313は、BS10から送信され、基地局エリア内に存在するUE20〜24において、到来方向推定部243での到来方向推定処理に使用される。
復調用参照信号314は、BS10から送信され、特定の宛先(例えば、UE20)において、OFDM復調部241での復調処理における基準信号として使用される。
データ信号315は、BS10から送信され、特定の宛先(例えば、UE20)に宛てたデータを伝送するために使用される。
同期信号311から復調用参照信号314は、BS10とUE20の双方において既知であるか、或いは、所定の規則によって生成される信号である。
各信号の配置や順番は、
図8に示されるものに限定されないが、同期信号311、制御信号312、及びアンテナ毎参照信号313は、フレームの先頭付近に集めて配置することが望ましい場合がある。
【0036】
BS10の送信ビームは、データ伝送部105において、ビーム制御部147の制御に基づき、BF処理部143〜146により形成される。ビーム制御部147は、
図9に示すフローに沿ったビーム制御処理を行うことで、BF処理部143〜146に対する制御を実行する。
まず初めに、ステップS101として、UEの方向(到来方向推定結果)を取得する。次いで、ステップS102として、次に送信しようとする信号の種別を判定する。
【0037】
次に送信する信号が同期信号311の場合は、ステップS103として、
図1に示したような幅広ビームを形成するよう制御するためのビーム制御信号を生成する。一例として、幅広ビームを1乃至複数のフレーム毎に巡回的に変更する様態で、エリア全体をスキャンするように、ビーム制御信号を生成することができる。
次に送信する信号が制御信号312の場合は、ステップS104として、
図2に示したような狭小ビームを形成し、エリア全体をスキャンするよう制御するためのビーム制御信号を生成する。狭小ビームのスキャンは、幅広ビームのスキャンに依存又は独立して行うことができるが、所定の期間内に少なくとも1回、エリア全体の均一なスキャンが行われることが望ましい場合がある。幅広ビームのスキャンに依存する様態では、狭小ビームは、そのフレームの同期信号の送信に適用された幅広ビームの範囲内で設定される。なお特定のUEのみが受信できればよい制御信号については、スキャンの規則性とは無関係に、その特定のUEに向けた狭小ビームを形成することができる。
次に送信する信号がアンテナ毎参照信号313の場合は、ステップS105として、意図的なビームを形成しないよう制御するためのビーム制御信号を生成する。
次に送信する信号が復調用参照信号314又はデータ信号315の場合は、ステップS106として、ステップS101で取得したUEの方向に指向性が向いたビームを形成するよう制御するためのビーム制御信号を生成する。
最後に、ステップS107として、次に送信する信号に応じて生成したビーム制御信号をBF処理部143〜146に通知する。
【0038】
これにより、受信機側で信号の周期性(自己相関)やマッチドフィルタ(相互相関)を利用した受信処理によりSNRを改善できる同期信号に対しては、幅広ビームを複数形成することで、基地局エリア全体に信号を到達させることができる。また、制御信号に対しては、狭小ビームを形成して利得を上げると共にビームスキャンを行うことで、基地局エリア全体に信号を到達させることができる。したがって、不特定の端末局に対する同期信号や制御信号であっても、受信SNRを確保しつつ広いエリアをカバーすることが可能となる。
【0039】
これらの一連の処理は定期的に繰り返され、BS10から送信される復調用参照信号314及びデータ信号315は、UE20〜24の移動(UE方向の変化)に追従したビーム形成(ビーム追尾)により送信される。
【0040】
(端末局が信号強度によってリンクを制御する例)
以下、
図10及び
図11を参照して、UE20がBS10とのリンク確立を制御する例について説明する。
UE20は、データ伝送部202において、BS10の送信する下りリンク無線信号を受信し、
図10に示すフローに沿ったリンクアップ処理を行うことで、自局のリンク状態を制御する。
【0041】
まず初めに、ステップS201として、同期信号の受信を試みる。次いで、ステップS202として、同期信号を受信できたかどうかを判定する。同期信号を受信できなかった場合は、再度ステップS201を実行する。同期信号を受信できた場合は、ステップS203として、
図11に示すフローに沿った制御信号受信処理を行う。一旦同期信号の受信によりフレーム同期が確立されると、各フレームで常に同期信号を受信できなくても同期は維持され、制御信号等の復調が可能となる。
【0042】
制御信号受信処理では、まず初めに、ステップS301として、制御信号の復調を実行する。次いで、ステップS302として、復調結果が正しかったかどうかを判定する。例えば、制御信号にCRC(Cyclic Redundancy Check)などの誤り検出信号を付加することで誤りを検出する手法を用いることができる。
【0043】
制御信号の復調結果が正しかった場合は、ステップS307として、戻り値として「制御信号受信成功」を返して制御信号受信処理を終了する。制御信号の復調結果が正しくなかった場合は、ステップS303として、同期信号と制御信号の受信電力を比較する。ここで同期信号の受信電力とは、過去の複数回の受信における最大値、又は上位の数個の平均値等であり、制御信号と比較可能となるように適宜正規化が為されるものとする。BS10では、同期信号を利得の低い幅広ビームで送信し、制御信号を利得の高い狭小ビームで送信するので、正しいフレーム検出を行うことができれば、エリアスキャン周期内に少なくとも1回は制御信号の受信電力が同期信号の受信電力より大きくなる場合が発生する。
【0044】
制御信号の受信電力が同期信号の受信電力より大きかった場合は、ステップS301に戻り、後続の制御信号を用いて復調処理をやり直す。制御信号の受信電力が同期信号の受信電力より小さかった場合は、ステップS304として、制御信号の不検出カウンタをカウントアップする。次いで、ステップS305として、不検出カウンタのカウント値が所定の回数(例えば、制御信号のスキャン周期)をオーバーしたかどうかを判定する。
【0045】
不検出カウンタのカウント値がオーバーしていない場合は、ステップS301に戻り、制御信号の復調処理を行う。不検出カウンタのカウント値がオーバーしていた場合は、同期信号より制御信号が強くなることがないので誤同期と判断し、ステップS306として、戻り値として「制御信号受信失敗」を返して制御信号受信処理を終了する。
【0046】
制御信号受信処理が終了すると、
図10の処理フローに戻り、ステップS204として、制御信号受信が成功したか判定する。制御信号受信が失敗した場合は、ステップS201に戻る。制御信号受信が成功した場合は、ステップS205として、リンク確立状態へ移行し、リンクアップ処理を終了する。
【0047】
(まとめ)
以上のとおり、本実施形態によれば、特定の端末局に向けた信号だけでなく、不特定の端末局に向けた共通信号を送信する際にもビームを形成することが可能となる。また、各信号に対してビーム形成を行う際のビーム幅の違いから、誤同期回避やリンク制御を行うことが可能となる。
【0048】
ここで、本実施形態では、BF処理部143〜146が本発明に係るビーム形成手段に、ビーム制御部147が本発明に係るビーム制御部に対応している。
すなわち、基地局(BS10)は、端末局(UE20〜24)に宛てた信号を送信するためのビームを形成する処理を行うBF処理部143〜146と、BF処理部143〜146の動作を制御するビーム制御部147とを備える。そして、ビーム制御部147は、特定の端末局に宛てた信号を送信する場合は、当該端末局の方向に向けてビームを形成し、不特定の端末局に宛てた信号を送信する場合は、基地局エリアRをカバーするビームを形成するようにBF処理部143〜146を制御する構成となっている。
【0049】
より具体的には、ビーム制御部147は、不特定の端末局に宛てた信号が同期信号である場合は、基地局エリアRを分割した複数の分割エリアにそれぞれ対応した複数の幅広ビームB1−1〜B1−4を形成することで、基地局エリアRをカバーするように、BF処理部143〜146を制御する。また、ビーム制御部147は、不特定の端末局に宛てた信号が制御信号である場合は、幅広ビームB1−1〜B1−4よりも範囲が狭い狭小ビームB2を形成して基地局エリアRをスキャンすることで、基地局エリアRをカバーするように、BF処理部143〜146を制御する。
【0050】
また、端末局(UE20〜24)は、同期信号の受信後に制御信号の復調処理を行い、復調処理の結果が正しくなく、且つ、制御信号の受信電力の方が同期信号の受信電力よりも小さかった回数をカウントし、当該回数が所定値を超えた場合に、誤同期と判断して同期信号を受信し直す構成となっている。
【0051】
なお、本実施形態では、基地局は4つのアンテナを備えた例を示したが、求められる指向性の鋭さに応じて、より多い又は少ない数のアンテナを備えてもよい。また、各アンテナは、複数のアンテナ素子を並べたアンテナアレーであってもよく、それぞれのメインビームの指向性が電気的に可変できるものであってもよい。
また、基地局から共通信号を送信する場合に、一般的なセクタに相当する120°の範囲をカバーするようにビームを形成する例を示したが、より広い又は狭い範囲をカバーするようにビームを形成してもよい。
【0052】
また、共通信号の例として同期信号及び制御信号を示したが、不特定の端末局に宛てた他の種別の共通信号を送信する際にも、基地局エリアをカバーするようにビームを形成してもよい。この場合に、複数の幅広ビームで基地局エリアをカバーする構成とするか、狭小ビームによるスキャンで基地局エリアをカバーする構成とするかは、送信する共通信号の用途や役割に応じて選択すればよい。
また、共通信号のうちの同期信号を送信する場合に、各々が約30°の範囲をカバーする4つの幅広ビームを形成する例を示したが、幅広ビームの本数及び各ビームのカバー範囲は、これに限定されない。
【0053】
なお、本発明の範囲は、図示及び記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。更に、本発明の範囲は、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。