(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吊り込み工程前に、前記移動機構により、前記戸体を室内側から前記枠体の室外側端部よりも室外側に配置されるように前記枠体側羽根板を移動させる室内−室外移動工程と、をさらに有する請求項3に記載の戸体の吊り込み方法。
前記移動機構により、前記戸体が取り付けられた場合に前記戸体を室内側から前記枠体の室外側端部よりも室外側に配置される位置まで前記枠体側羽根板を移動させる室内−室外移動工程と、
前記室内−室外移動工程後、前記戸体側羽根板が取り付けられた前記戸体を吊り込んで前記軸受け部に前記軸部を挿通する吊り込み工程と、
前記吊り込み工程後、前記移動機構により、前記戸体が前記上枠の室外側端部より室外側から室内側に配置されるように前記枠体側羽根板を移動させる室外−室内移動工程と、
前記室外−室内移動工程後、前記固定用孔に前記固定部材を挿通することにより前記戸体を前記縦枠に固定する固定工程と、を請求項3〜6のいずれか1項に記載の戸体の吊り込み方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、玄関ドア等において意匠性を高めるために、丁番の軸部を屋外側から見えないように構成することが求められている。この場合、丁番の軸部を枠体の室内側寄りに配置して、屋外側をカバー等で隠すことが考えられる。しかし、丁番の軸部を枠体の室内側寄りに配置すると、戸体を枠体に取り付ける際に、枠体の上枠に戸体が干渉するので、ケンドン方式で吊り込むことが困難になるという問題があった。
【0006】
特許文献1の建具では、戸体のわずかな位置ずれを調整することができるだけで、戸体の可動域を、枠体に対して大きく変えるものではなかった。このため、戸体の取り付け時に戸体が建具の上枠に干渉する場合に、建具の施工を容易にする技術が望まれている。
【0007】
本発明は、容易に戸体を吊り込むことができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、建物の開口部に配置される枠体(例えば、後述の枠体3)と、前記枠体の内側に配置される戸体(例えば、後述の戸体2)と、前記枠体を構成する縦枠(例えば、後述の縦枠32)の見込み面(例えば、後述の見込み面32a)に取り付けられる枠体側羽根板(例えば、後述の枠体側羽根板41)と、該枠体側羽根板の室外側端部から上方に向かって突出する軸部(例えば、後述の軸部42)と、前記戸体の吊元側の側面に取り付けられる戸体側羽根板(例えば、後述の戸体側羽根板43)と、該戸体側羽根板の前記軸部側の端部に設けられ前記軸部を受ける軸受け部(例えば、後述の軸受け部44)と、を有し、前記戸体を開閉可能に前記枠体に連結する丁番(例えば、後述の丁番4)と、を備える建具(例えば、後述の建具1)であって、前記軸部及び前記軸受け部は、前記枠体を構成する上枠における室外側端部よりも室内側に配置され、前記戸体を前記上枠の室外側端部よりも室外側から室内側へ見込み方向に移動させることが可能な移動機構を有する建具を提供する。
【0009】
前記移動機構は、前記枠体側羽根板又は前記縦枠に形成され、見込み方向に延びる長孔(例えば、後述の長孔411)と、前記長孔に挿通され、前記縦枠の見込み面に前記枠体側羽根板を見込み方向に移動可能に仮固定する仮固定部材(例えば、後述の取り付けねじ413)と、により構成されることが好ましい。
【0010】
前記枠体側羽根板は、固定部材(例えば、後述の固定ねじ414)を挿通して前記縦枠の見込み面に前記枠体側羽根板を固定するための固定用孔(例えば、後述の固定用孔412)を有することが好ましい。
【0011】
前記戸体の吊元側端部に取り付けられ、前記吊元側端部から前記丁番の室外側を覆うように見付け方向に延びるカバー部材(例えば、後述の丁番カバー5)をさらに備え、
前記カバー部材の室外側の見付け面は、前記戸体の室外側の見付け面と面一であることが好ましい。
【0012】
上記の建具における前記戸体の吊り込み方法であって、前記戸体側羽根板が取り付けられた前記戸体を吊り込んで前記軸受け部に前記軸部を挿通する吊り込み工程(例えば、後述の吊り込み工程S4)と、前記吊り込み工程後、前記移動機構により、前記戸体が前記上枠の室外側端部より室外側から室内側に配置されるように前記枠体側羽根板を移動させる室外−室内移動工程(例えば、後述の室外−室内移動工程S6)と、を有する戸体の吊り込み方法が好ましい。
【0013】
前記吊り込み工程前に、前記移動機構により、前記戸体を室内側から前記枠体の室外側端部よりも室外側に配置されるように前記枠体側羽根板を移動させる室内−室外移動工程(例えば、後述の室内−室外移動工程S2)と、をさらに有することが好ましい。
【0014】
上記の建具における前記戸体の吊り込み方法であって、前記長孔に前記仮固定部材を挿通することにより、前記枠体側羽根板を見込み方向に移動可能に仮固定する仮固定工程(例えば、後述の仮固定工程S1)と、前記仮固定工程後、前記移動機構により、前記戸体が取り付けられた場合に前記戸体を室内側から前記枠体の室外側端部よりも室外側に配置される位置まで前記枠体側羽根板を移動させる室内−室外移動工程と、前記室内−室外移動工程後、前記戸体側羽根板が取り付けられた前記戸体を吊り込んで前記軸受け部に前記軸部を挿通する吊り込み工程と、前記吊り込み工程後、前記移動機構により、前記戸体が前記上枠の室外側端部より室外側から室内側に配置されるように前記枠体側羽根板を移動させる室外−室内移動工程と、を有する戸体の吊り込み方法が好ましい。
【0015】
前記室内−室外移動工程の後、前記吊り込み工程の前に、前記仮固定部材を一時的に強く締結する一時締結工程(例えば、後述の一時締結工程S3)と、を有することが好ましい。
【0016】
上記の建具における前記戸体の吊り込み方法であって、前記移動機構により、前記戸体が取り付けられた場合に前記戸体を室内側から前記枠体の室外側端部よりも室外側に配置される位置まで前記枠体側羽根板を移動させる室内−室外移動工程と、前記室内−室外移動工程後、前記戸体側羽根板が取り付けられた前記戸体を吊り込んで前記軸受け部に前記軸部を挿通する吊り込み工程と、
前記吊り込み工程後、前記移動機構により、前記戸体が前記上枠の室外側端部より室外側から室内側に配置されるように前記枠体側羽根板を移動させる室外−室内移動工程と、
前記室外−室内移動工程後、前記固定用孔に前記固定部材を挿通することにより前記戸体を前記縦枠に固定する固定工程(例えば、後述の固定工程S7)と、を有する戸体の吊り込み方法が好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容易に戸体を吊り込むことができる建具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る建具の正面図である。本明細書において、建具1の奥行方向を見込み方向と言い、建具1の表面に沿う方向を見付け方向と言う。
図1に示すように、建具1は、戸体2と、枠体3と、丁番4と、カバー部材としての丁番カバー5と、を有する。
【0020】
建具1は、建物の開口部や建物内部の部屋の出入口等に設けられ、室内外を仕切るドアである。建具1は、玄関に設けられる片開きのドアである。
戸体2は、開口部等の出入口を開閉するように取り付けられる長方形の板体であり、ドアの戸先側に取っ手6が設けられている。
枠体3は、開口部等の周囲に設けられる部材であり、開口部等の上方で幅方向に延びる上枠31及び下枠33と、上枠31及び下枠33の両端部を結ぶ一対の縦枠32と、により構成される。
【0021】
図2(a)は、第一実施形態の丁番4の平面図を示し、
図2(b)は丁番4の短手方向から見た側面図を示す。丁番4は、戸体2を開閉可能に枠体3に連結する部品である。丁番4は、戸体2の長手方向に沿って、上限に間隔を空けて3箇所配置されている。丁番4は、枠体側羽根板41と、軸体45と、軸部42と、戸体側羽根板43と、軸受け部44と、を有する。丁番4は、枠体側羽根板41、軸体45、及び軸部42を有するオス丁番と、戸体側羽根板43及び軸受け部44を有するメス丁番により構成される。
【0022】
枠体側羽根板41は、硬質で平坦な長方形の板体であり、板面が縦枠32の見込み面32aに沿って取り付けられる。
枠体側羽根板41は、長孔411と、固定用孔412を有する。
長孔411は、枠体側羽根板41の長手方向に離間して2つ、見込み方向に延びるように形成される。長孔411は、長孔411の長手方向が、枠体側羽根板41の短手方向に沿って延びる。
固定用孔412は、枠体側羽根板41の長手方向に沿って縦に3つ、短手方向に2列、計6つ配置される。固定用孔412は、長手方向に沿って配置される3つの固定用孔412のうち、長手方向外側の固定用孔412と、中央側の固定用孔412との間に、長孔411が位置するように並んでいる。固定用孔412には、固定部材としての固定ねじ414が取り付けられる。固定ねじ414は、皿小ねじである(
図3(c)参照)。
【0023】
枠体側羽根板41は、戸体2を見込み方向に移動させる移動機構を有している。
移動機構は、長孔411と、長孔411に挿通して縦枠32の見込み面32aに一時的に固定される仮固定部材としての取り付けねじ413(
図3(a)参照)により構成される。
【0024】
軸体45は、枠体側羽根板41の長手方向に延びる側部に沿って設けられる円柱状の部分である。軸体45の内部に、円柱状の芯棒45aが配置されている。
【0025】
軸部42は、枠体側羽根板41の室外側端部から上方に向かって突出する。軸部42は、軸体45の内部に配置された軸体45の芯棒45aが、軸体45の内部から外部に延出して形成されている。
【0026】
戸体側羽根板43は、硬質で平坦な長方形の板体であり、板面が戸体2の吊元側の側面に沿って取り付けられる。
図2(b)に示すように、戸体側羽根板43は、枠体側羽根板41と同じ幅、長さ及び厚さを有する。
戸体側羽根板43は、戸体2に取り付けるための戸体固定用孔431を有し、ねじにより固定される。戸体固定用孔431は、戸体側羽根板43の長手方向に沿って縦に3つ、短手方向に2列、計6つ配置されている。
【0027】
軸受け部44は、戸体側羽根板43の軸部側端部に長手方向に沿って設けられ、軸部42を受ける円柱状の部分である。軸受け部44には、内部に軸部42を収容可能な円筒状の筒孔44aが形成されている。軸受け部44の直径は、軸体45の直径と同一であり、軸部42が軸受け部44内の筒孔44aに挿通された状態で、軸体45と軸受け部44の向かい合う端部が一致し、一本の軸が連続して延びるように形成されている。この軸体45と軸受け部44で構成される軸が、丁番4のヒンジ部分を構成する。なお、図では省略しているが、軸受け部44と軸部42が配置される軸体45との間には、適宜リング状のスペーサーが配置される。
【0028】
丁番カバー5は、戸体2の吊元側端部に取り付けられ、戸体2の吊元側端部から、丁番4の室外側を覆うように見付け方向に延びる部材である。
図1に示すように、丁番カバー5は、戸体2の長手方向に沿って配置される。丁番カバー5は、取り付け部51と、表面部52と、を有し、取り付け部51と表面部52とは断面視でL字に屈曲するように形成されている(
図4(c)〜(e)参照)。丁番カバー5は、例えばアルミ板で構成される。
取り付け部51は、戸体2の吊元側の見込み面に沿って取り付けられる部分である。
表面部52は、取り付け部51から屈曲し、戸体2の室外側の見付け面と面一に延びる。表面部の枠体3側の端部は、見込み方向の室内側に向かってわずかに屈曲している。
【0029】
図3(a)〜
図3(c)は、
図1のA−A断面図であり、建具1における戸体2の吊り込み手順を示す。
図4(a)〜(e)は、
図1のB−B部分断面図であり、建具1における戸体2の吊り込み手順を示す。
図5は当該吊り込み手順を示すブロック図である。以下に、
図3(a)〜(c)及び
図4(a)〜(e)を参照して、本実施形態の建具1における戸体2の吊り込み方法について説明する。
図5に示すように、戸体2の吊り込み方法は、仮固定工程S1と、室内−室外移動工程S2と、一時締結工程S3と、吊り込み工程S4と、丁番カバー取り付け工程S5と、室外−室内移動工程S6と、固定工程S7と、を有する。
【0030】
まず、戸体2を枠体3の内側に配置したときに、戸体2と枠体3に丁番4の枠体側羽根板41及び戸体側羽根板43をそれぞれ取り付ける位置を、戸体2の大きさや丁番4の数等に応じて予め決定する。決定した位置に沿って、戸体2の吊元側の側面に戸体側羽根板43を取り付けておく。具体的には、戸体固定用孔431にねじ(図示省略)を挿通させて締結する。
【0031】
次に、仮固定工程S1では、縦枠32の見込み面32aに枠体側羽根板41を合わせ、二本の取り付けねじ413を2つの長孔411それぞれに挿通させて、縦枠32と枠体側羽根板41とをゆるく連結する。仮固定工程S1で、枠体側羽根板41は、縦枠32の見込み方向に移動可能に、一時的に仮固定される。仮固定工程S1は、例えば、工場で行い、仮固定工程S1を経た枠体3や戸体2を出荷するようにしてもよい。
【0032】
次に、室内−室外移動工程S2では、
図3(a)及び
図4(a)に示すように、長孔411と取り付けねじ413により構成される移動機構により、戸体2を取り付けた後で戸体2が枠体3の室外側端部よりも室外側に配置されるような位置まで、枠体側羽根板41を移動させる。具体的には、軸部24が室外側端部よりも室外側に位置するように移動させる。仮固定工程S1の後、室内−室外移動工程S2では、最終的に移動機構の取り付けねじ413は、長孔411のもっとも室内側の端部に配置され、軸部24が枠体3から最も室外側に離間する。室内−室外移動工程S2以降は、施工現場で行ってもよい。
【0033】
次に、一時締結工程S3では、ゆるく連結した取り付けねじ413を一時的にしっかりと締結し、軸部42が見込方向に移動しないように縦枠32の見込み面32aに固定する。
【0034】
その後、戸体2を上方に持ち上げ、軸部42と軸受け部44の位置を合わせる。
図3(a)に示すように、戸体2は、枠体3の室外側端部よりも室外側に離間しているので、戸体2を上方に持ち上げても戸体2の上端が上枠31に干渉しない。
【0035】
次に、吊り込み工程S4では、
図3(b)に示すように、室内−室外移動工程S2の後、戸体側羽根板43が取り付けられた戸体2を枠体3に吊り込む。具体的には、戸体側羽根板43の軸受け部44を軸部42に被せるようにして、軸受け部44の筒孔44aに軸部42を挿通させ、互いに係合させる。吊り込み工程S4の前の一時締結工程S3で、軸部42が縦枠32の見込み面32aに固定されているので、戸体2を枠体3にケンドン方式で吊り込む際、戸体2を安定させて吊り込むことができる。
図4(b)に示すように、このとき戸体側羽根板43は、枠体側羽根板41と90度の角度に配置されている。
【0036】
次に、丁番カバー取り付け工程S5では、
図4(c)に示すように、戸体2に丁番カバー5を取り付ける。具体的には、取り付け部51を戸体2の吊元側の見込み面に合わせ、表面部52が軸受け部44の外側を覆うように配置して、ねじにより戸体2に固定する。
【0037】
次に、室外−室内移動工程S6では、
図3(c)及び
図4(d)に示すように、吊り込み工程の後、取り付けねじ413を緩めて、戸体2を枠体3の屋外側端部よりも室内側に配置させるように室内側へ押す。すると、枠体側羽根板41が、長孔411内に取り付けねじ413を配置した状態で室内側に移動し、これに伴って長孔411内の取り付けねじ413が長孔411の室外側に位置する。
【0038】
次に、固定工程S7では、室外−室内移動工程S6後、戸体2が室内側に最大限移動したところで、戸体2の位置を決め、取り付けねじ413を締結する。そして、6つの固定ねじ414を固定用孔412に挿通させて、枠体側羽根板41を縦枠32の見込み面32aに完全に固定する。戸体2の移動距離は、例えば12mm程度である。
なお、取り付けねじ413は、取り付けねじ413を締結した跡が見えないように、縦枠32にそのまま取り付けられる。このため、枠体側羽根板41はより強固に取り付けられる。
【0039】
図4(e)に示すように、戸体2を90度回転させることで、枠体3の開口部が閉じられる。戸体2が建具1の開口部を閉じた状態で、丁番4の軸体45(軸部42)及び軸受け部44は、枠体3の室外側端部よりも室内側に配置される。
図4(c)〜(e)に示すように、戸体2には丁番カバー5が取り付けられているので、室外側からは丁番4が視認されない。
【0040】
第一実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態によれば、建具1を、建物の開口部に配置される枠体3と、枠体3の内側に配置される戸体2と、枠体3を構成する縦枠32の見込み面32aに取り付けられる枠体側羽根板41と、枠体側羽根板41の室外側端部から上方に向かって突出する軸部42と、戸体2の吊元側の側面に取り付けられる戸体側羽根板43と、戸体側羽根板43の軸部42側の端部に設けられ軸部42を受ける軸受け部44と、を有し、戸体2を開閉可能に枠体3に連結する丁番4と、を含んで構成した。また、軸部42及び軸受け部44を、枠体3を構成する上枠31における室外側端部よりも室内側に配置した。また、戸体2を上枠31の室外側端部よりも室外側から室内側へ見込み方向に移動させることが可能な移動機構を含んで構成した。
本実施形態によれば、丁番4の軸部42及び軸受け部44が枠体3の室外側端部よりも室内側に位置しているので、室外側から見たときに丁番4が戸体2の表面から突出することがなく意匠性が高まる。さらに、戸体2が枠体3の上枠31に干渉するような位置関係であっても、戸体2が枠体3の室外側端部よりも室外側から室内側へ見込方向に移動可能な移動機構を含んでいるので、戸体2を上方に持ち上げてケンドン方式で吊り込んだ後に戸体2を室内側へ移動させることができ、施工性が向上する。よって、容易に戸体2を吊り込むことができる。
【0041】
本実施形態では、移動機構を、枠体側羽根板41に形成され、見込み方向に延びる長孔411と、長孔411に挿通され、縦枠32の見込み面32aに枠体側羽根板41を見込み方向に移動可能に仮固定する取り付けねじ413と、により構成した。これにより、丁番4の枠体側羽根板41と縦枠32とが、取り付けねじ413により仮固定されているので、取り付けねじ413を緩めて長孔411内をスライド移動させることで、戸体2を見込み方向に移動させることができる。よって、戸体2を上枠31よりも室外側で吊り込んで、その後室内側に移動させることができるので、上記と同様の効果を奏することができる。
【0042】
本実施形態では、枠体側羽根板41を、固定ねじ414を挿通させ縦枠32の見込み面32aに枠体側羽根板41を固定するための固定用孔412を含んで構成した。これにより、戸体2を室内側に移動させた後、縦枠32と枠体側羽根板41とを、しっかりと固定することができる。
【0043】
本実施形態では、戸体2の吊元側端部に取り付けられ、吊元側端部から丁番4の室外側を覆うように見付け方向に延びる丁番カバー5をさらに含んで構成し、丁番カバー5の室外側の見付け面は、戸体2の室外側の見付け面と面一に構成した。丁番カバー5により丁番4を隠すことができるので、建具1の意匠性が高まる。
【0044】
本実施形態では、以上の建具1における戸体2の吊り込み方法を、戸体側羽根板43が取り付けられた戸体2を吊り込んで軸受け部44に軸部42を挿通する吊り込み工程S4と、吊り込み工程S4後、移動機構により、戸体2が上枠31の室外側端部より室外側から室内側に配置されるように枠体側羽根板41を移動させる室外−室内移動工程S6と、を含んで構成した。これにより、戸体2が枠体3の上枠31に干渉するような位置関係であっても、戸体2を上方に持ち上げてケンドン方式で吊り込んだ後に戸体を室内側へ移動させることができ、施工性が向上する。よって、容易に戸体2を吊り込むことができる。
【0045】
本実施形態では、吊り込み工程S4前に、移動機構により、戸体2を室内側から枠体3の室外側端部よりも室外側に配置されるように枠体側羽根板41を移動させる室内−室外移動工程S2と、をさらに含んで構成した。これにより、丁番4の軸部42及び軸受け部44が枠体3の室外側端部よりも室内側に位置する建具1において、戸体2を枠体3の上枠31よりも室外側に移動させることができるので、戸体2が上枠31に干渉せず、容易に戸体2を吊り込むことができる。
【0046】
本実施形態では、以上の建具1における戸体2の吊り込み方法を、長孔411に取り付けねじ413を挿通することにより、枠体側羽根板41を見込み方向に移動可能に仮固定する仮固定工程S1と、仮固定工程S1後、前記仮固定工程後、移動機構により、戸体2が取り付けられた場合に戸体2を室内側から枠体3の室外側端部よりも室外側に配置される位置まで枠体側羽根板41を移動させる室内−室外移動工程S2と、室内−室外移動工程S2後、戸体側羽根板43が取り付けられた戸体2を吊り込んで軸受け部44に軸部42を挿通する吊り込み工程S4と、吊り込み工程S4後、移動機構により、戸体2が上枠31の室外側端部より室外側から室内側に配置されるように枠体側羽根板41を移動させる室外−室内移動工程S6と、を含んで構成した。これにより、上記と同様の効果を奏することができる。また、仮固定工程S1を工場で行って出荷し、施工現場で室内−室外移動工程S2以降を行うことができる。すると、仮固定時に軸部42の設けられる軸体45が枠体3から突出しないように固定することで、輸送がしやすくなるとともに、枠体3を開口部に固定する際、丁番4が枠体3に仮に固定されているので邪魔にならず、施工しやすい。
【0047】
本実施形態では、室内−室外移動工程S2の後、吊り込み工程S4の前に、取り付けねじ413を一時的に強く締結する一時締結工程S3と、を含んで構成した。これにより、戸体2を取り付ける際、丁番4の軸部42(軸体45)が動かないので、吊り込みが容易になる。
【0048】
本実施形態では、以上の建具1における戸体2の吊り込み方法を、移動機構により、戸体2が取り付けられた場合に戸体2を室内側から枠体3の室外側端部よりも室外側に配置される位置まで枠体側羽根板41を移動させる室内−室外移動工程S2と、室内−室外移動工程S2後、戸体側羽根板43が取り付けられた戸体2を吊り込んで軸受け部44に軸部42を挿通する吊り込み工程S4と、吊り込み工程S4後、移動機構により、戸体2が上枠31の室外側端部より室外側から室内側に配置されるように枠体側羽根板41を移動させる室外−室内移動工程S6と、室外−室内移動工程S6後、固定用孔412に固定ねじ414を挿通することにより戸体2を縦枠32に固定する固定工程S7と、を含んで構成した。これにより、上記と同様の効果を奏することができる。また、戸体2を吊り込んで取り付けねじ413を締結した後で、固定ねじ414により戸体を固定するため、戸体2をより強固に固定することができる。
【0049】
次に、第二実施形態の建具1Aについて、
図6(a)〜(c)及び
図7(a)〜(d)を参照しながら説明する。
図6(a)〜(c)は、建具1Aの縦断面であり、
図7(a)〜(d)は、建具1Aの部分横断面図であり、共に戸体2の吊り込み手順を示す。
第二実施形態以降の説明において、第一実施形態と共通する点については説明を省略又は簡略化する。また、第一実施形態と共通する構成には、第一実施形態と共通する符号を用いる。
第二実施形態の建具1Aにおいては、主に、移動機構が、縦枠32に形成される長孔321と、取り付けねじ413とにより構成されている点で、第一実施形態と異なる。
【0050】
図6(a)〜(c)に示すように、第二実施形態における縦枠32は、長孔321と、縦枠固定用孔322と、を有する。
長孔321は、縦枠32の見込み面32aにおいて見込方向に沿って延び、上下に離間して二本形成される。
縦枠固定用孔322は、長孔321を間に挟むように上下方向に三個配置され、見込方向内側に一列と外側に一列、計二列形成される。縦枠固定用孔322は、縦枠32の見込み面32aにおいて、以下に説明する羽根板固定用孔412に対応する位置に形成される。
【0051】
枠体側羽根板41Aは、羽根板固定用孔412と、長孔取り付け孔411Aと、を有する。
羽根板固定用孔412は、第一実施形態における固定用孔412と同じ形状を有し、同じ位置に配置される。
長孔取り付け孔411Aは、枠体側羽根板41Aを縦枠32の見込み面32aに取り付けたときに、長孔321に重なる位置に配置される円形の孔である。長孔取り付け孔411Aは、羽根板固定用孔412の間に挟まれるように、上下に離間して二つ形成される。
【0052】
次に、第二実施形態の建具1Aにおける戸体2の吊り込み方法について説明する。
縦枠32の見込み面32aに枠体側羽根板41Aを当て、長孔321に、長孔取り付け孔411Aを重ねる。
次に、
図6(a)及び
図7(a)に示すように、後に戸体2を取り付けた際、戸体2が枠体3の室外側端部よりも室外側に配置されるような位置に、枠体側羽根板41Aを配置する。枠体側羽根板41Aの位置は、第一実施形態と同様である。そして、取り付けねじ413を長孔取り付け孔411Aから長孔321に挿通させて、一時的にしっかりと締結する。この時、軸部42が見込方向に移動しないように固定する。第二実施形態では、
図7(a)〜(c)に示されるように、縦枠32の内部の長孔321の裏側にナット415が配置され、取り付けねじ413を固定できるように構成されている。
【0053】
次に、戸体2を上方に持ち上げ、軸部42と軸受け部44の位置を合せる。
次に、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、戸体側羽根板43が取り付けられた戸体2を枠体3に吊り込む。
次に、
図7(c)に示すように、戸体2に丁番カバー5を取り付ける。
【0054】
次に、
図6(c)及び
図7(d)に示すように、戸体2を吊り込んだ後、ナット415を緩めて取り付けねじ413を緩める。そして、取り付けねじ413を長孔321内で摺動させつつ、戸体2を枠体3の屋外側端部よりも室内側に配置させるように室内側へ押す。
【0055】
次に、戸体2が室内側に移動したところで、戸体2の位置を決め、再び取り付けねじ413をナット415と締結する。そして、6つの固定ねじ414を羽根板固定用孔412に挿通させて、枠体側羽根板41Aを縦枠32の見込み面32aに完全に固定する。
【0056】
第二実施形態では、移動機構を、縦枠32に形成され、見込み方向に延びる長孔321と、長孔321に挿通され、縦枠32の見込み面32aに枠体側羽根板41を見込み方向に移動可能に仮固定する取り付けねじ413と、により構成した。これにより、戸体2を上枠31よりも室外側で吊り込んで、その後室内側に移動させることができるので、上記と同様の効果を奏することができる。
【0057】
次に、第三実施形態の建具1Bについて、
図8(a)〜(c)及び
図9(a)〜(e)を参照しながら説明する。
図8(a)〜(c)は、建具1Bの縦断面であり、
図9(a)〜(d)は、建具1Aの部分横断面図であり、共に戸体2の吊り込み手順を示す。
図9(e)は、縦枠32の見込み面32a側の部分断面図を示す。
第三実施形態の建具1Bにおいては、長孔411、321が形成されず、移動機構として、枠体側羽根板41Bのスライド移動を可能にするスライド枠35が縦枠32の見込み面32aに取り付けられる点で第一及び第二実施形態と異なる。
【0058】
図8(a)に示すように、スライド枠35は、上下に離間する一対の枠部351により構成される。枠部351は、見込方向に沿う長さが、枠体側羽根板41Bの見込方向の幅に対応している。枠部351は、
図9(e)に示すように、当接部351aと、保持部351bと、を有する。
当接部351aは、見込み面32aに当接する平坦な面であり、
図8(a)等に示すように見込方向に長い長方形である。当接部351aは、ねじにより見込み面32aに固定される。
保持部351bは、当接部351aの短手方向の端部から、見込み面32aから外側へ離れる方向に起立する。また、
図9(e)に示すように、保持部351bは、起立した部分の上端から見込み面32aと平行な方向に延び、全体で断面視L字型である。保持部351bは、向かい合う一対の枠部351が、枠部351同士の間に枠体側羽根板41Bをスライド移動可能に保持する空間を形成するように配置される。すなわち、保持部351bは、一対の枠部351が見込み面32aに配置された状態で、当接部351aの短手方向の端部の互いに向き合う側に配置される。
【0059】
第三実施形態では、一対の枠部351と縦枠32の見込み面32aとで形成される空間に、枠体側羽根板41Bを挿入し、縦枠32の見込み面32aに沿うように配置する。
【0060】
次に、
図8(a)に示すように、後に戸体2を取り付けた際、戸体2が枠体3の室外側端部よりも室外側に配置されるような位置まで枠体側羽根板41Bを移動させる。枠体側羽根板41Bを移動させる位置は、第一実施形態と同様である。
【0061】
枠体側羽根板41は、縦枠32の下方側に配置された枠部351の保持部351bにより支持されている。
その後、戸体2を上方に持ち上げ、軸部42と軸受け部44の位置を合せる。
次に、
図8(b)及び
図9(b)に示すように、戸体側羽根板43が取り付けられた戸体2を枠体3に吊り込む。
次に、
図9(c)に示すように、戸体2に丁番カバー5を取り付ける。
【0062】
次に、
図8(c)及び
図9(d)に示すように、戸体2を吊り込んだ後、戸体2を枠体3の屋外側端部よりも室内側に配置させるように室内側へ押す。すると、枠体側羽根板41Bが、スライド枠35内をスライド移動して室内側へ移動する。枠体側羽根板41Bは、室内側に移動しきると、枠部351内に収まるようになっている。
【0063】
次に、戸体2が室内側に最大限移動したところで、戸体2の位置を決め、固定ねじ414を固定用孔412に挿通させて、枠体側羽根板41Bを縦枠32の見込み面32aに完全に固定する。
【0064】
第三実施形態によっても、第一及び第二実施形態と同様の効果を奏する。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、丁番4は戸体2の長手方向に沿って3箇所配置されているが、丁番の数や配置箇所は、戸体2の大きさや意匠によって変更される。また、丁番カバー5は、戸体2の長手方向に沿って上下に連続しているが、これに限られない。丁番4が設けられる位置に対応して部分的に設けられてもよい。
【0066】
また、第一実施形態では、施工時に取り付けねじ413を仮固定する仮固定工程S1及び仮固定した後、室内から上枠31の室外側端部よりも室外に枠体側羽根板41を移動させる室内−室外移動工程S2を経て戸体2を取り付けているが、これに限られない。仮固定工程S1及び室内−室外移動工程S2は、省略してもよい。
【0067】
例えば、工場等で一時締結工程S3から開始するようにし、取り付けねじ413を、枠体側羽根板41の長孔411のもっとも室内側の端部に近い位置(戸体2を取り付けた後で戸体2が枠体3の室外側端部よりも室外側に配置されるような位置)(
図3(a)参照)で予めしっかりと締結しておく。その後、吊り込み工程S4〜固定工程S7を経て、吊り込んだ戸体2を移動機構により室内側に移動させるようにしてもよい。この方法によれば、仮固定工程S1及び室内−室外移動工程S2を施工現場で行う必要がないので、施工手順を簡略化することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、玄関に設けられる建具1を例に説明しているが、これに限られない。建物の屋内に設けられ、室内外の境界に配置される建具であってもよい。