特許第6861545号(P6861545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861545
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】分岐構造及び分岐ボックス
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/03 20060101AFI20210412BHJP
   H01R 4/38 20060101ALI20210412BHJP
   H02G 15/10 20060101ALI20210412BHJP
   H01B 7/00 20060101ALN20210412BHJP
【FI】
   H01R9/03 A
   H01R4/38 C
   H02G15/10
   !H01B7/00 301
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-51549(P2017-51549)
(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公開番号】特開2018-156780(P2018-156780A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小湊 靖裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真吾
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/096431(WO,A1)
【文献】 実開昭55−15789(JP,U)
【文献】 特開平7−192827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/03
H01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体からなる複数の配索材を接続するための分岐構造であって、
平板状の導電性材料からなり積層され複数の平板部と、
積層された前記各平板部の外周縁から積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びにそれぞれ突出し、前記複数の導体に対応して接続される複数の接続片により構成された複数群の接続部と、
前記複数の平板部の間に設けられて各平板部間を電気的に絶縁する絶縁層と、
を備え
前記複数の平板部が前記絶縁層を介して積層されたことを特徴とする分岐構造。
【請求項2】
複数の導体からなる複数の配索材を接続するための分岐構造であって、
平板状の導電性材料からなり積層された複数の平板部と、
積層された前記各平板部の外周縁から積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びにそれぞれ突出し、前記複数の導体に対応して接続される複数の接続片により構成された複数群の接続部と、
前記複数の平板部の間に設けられて各平板部間を電気的に絶縁する絶縁層と、
を備え、
縦並びに突出した複数の前記接続片が、互いに離間する方向に前記平板部の外周縁に対して折り曲げ形成されていることを特徴とする分岐構造。
【請求項3】
前記絶縁層が、前記平板部の表面及び裏面の少なくとも一方に粉体塗装により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐構造。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の分岐構造を備えた積層導電性部材が、絶縁性の収容ケース内に収容されていることを特徴とする分岐ボックス。
【請求項5】
複数の前記接続片が横並びに突出するように積層された複数の前記平板部をそれぞれ収容した複数の分割収容ケースが、複数の前記接続片が縦並びに突出するように重ねられて一体に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の分岐ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐構造及び分岐ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載バッテリーから車体の各所に電源を送る電線は、一度ジャンクションボックス(J/B)を通し、そのジャンクションボックスから各所の機器へ持って行く(分岐する)ことが多い。
【0003】
このような電線の分岐を容易に行うものに、例えば特許文献1のフラットケーブルの分岐構造がある。このフラットケーブルの分岐構造は、ストライプ状に配設される複数の第1導体を有するフラットケーブル本体と、ストライプ状に配設される1又は複数の第2導体を有するフラットケーブル分岐体とを接続し、上記複数の第1導体と上記1又は複数の第2導体とを任意の組合せで導通させる。このフラットケーブルの分岐構造は、上記第1導体及び第2導体が、直接的重畳状態、又は第1導体及び第2導体間に架け渡された第3導体との重畳状態で配設されており、重畳される一対の導体の一方が対向方向に突出する凸部を有し、上記一方の導体の凸部と他方の導体との間にハンダが充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−149204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車載バッテリーから一度J/Bを通し、各所に電源を送る場合、電線長が長くなる問題がある。また、余計な電線が増えるため、重量アップやコストアップに繋がる問題がある。
上記特許文献1のフラットケーブルの分岐構造は、フラットケーブル分岐体とフラットケーブル分岐体との接続において、第1導体及び第2導体を重畳状態で配設し、重畳される一対の導体の一方が対向方向に突出する凸部を有し、凸部と他方の導体との間にハンダを充填するので、対向方向に凸部とハンダの配設スペースを確保しなければならず、省スペース化には不利となる。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の導体からなる配索材を所望の方向に省スペースで分岐できる分岐構造及び分岐ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 複数の導体からなる複数の配索材を接続するための分岐構造であって、平板状の導電性材料からなり積層され複数の平板部と、積層された前記各平板部の外周縁から積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びにそれぞれ突出し、前記複数の導体に対応して接続される複数の接続片により構成された複数群の接続部と、前記複数の平板部の間に設けられて各平板部間を電気的に絶縁する絶縁層と、を備え、前記複数の平板部が前記絶縁層を介して積層されたことを特徴とする分岐構造。
【0008】
上記(1)の構成の分岐構造によれば、複数の導体からなる配索材を、導体同士を接続して所望の方向に分岐することができる。本構成の分岐構造では、配索材における複数の導体の数だけ平板状の導電性材料からなる平板部が積層される。各平板部間が絶縁層により電気的に絶縁された複数の平板部の外周縁には、配索材の導体と同数の接続片により構成される複数群の接続部が所望の分岐方向に向けて突設される。配索材に設けられる複数導体のうちの一つの導体を見た場合、この導体を分岐するには、1枚の平板部の外周縁には、少なくとも3つの接続片が設けられる。このように、本構成の分岐構造では、外周縁から所望の接続方向に接続片を突出させた複数の平板部は、絶縁層を介して積層されることにより、積層導電性部材を構成する。この積層導電性部材は、積層される平板部の接続片が、積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びに配置される。このため、積層導電性部材は、接続片が横並びのみで配置される場合に比べ、接続片が縦並びで配置できる分、横並び方向の寸法を小さくできる。即ち、平板部と平行な配索面におけるサイズを小さくしたコンパクトな分岐構造を得ることができる。
【0009】
(2) 複数の導体からなる複数の配索材を接続するための分岐構造であって、平板状の導電性材料からなり積層された複数の平板部と、積層された前記各平板部の外周縁から積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びにそれぞれ突出し、前記複数の導体に対応して接続される複数の接続片により構成された複数群の接続部と、前記複数の平板部の間に設けられて各平板部間を電気的に絶縁する絶縁層と、を備え、縦並びに突出した複数の前記接続片が、互いに離間する方向に前記平板部の外周縁に対して折り曲げ形成されていることを特徴とする分岐構造。
【0010】
上記(2)の構成の分岐構造によれば、積層方向に縦並びで突出した上下の接続片が、互いに離間する方向に折り曲げ形成されることにより、上下の接続片同士の間に所定のスペースが確保される。このスペースは、接続片と配索材とを電気的に接続するための接続具(ボルトやコネクタ等)の配置スペース等として利用が可能となる。また、上下の接続片同士を折り曲げて離間することにより、絶縁距離を大きく確保しながら積層導電性部材のサイズをコンパクトにすることができる。更に、接続片が折り曲げられることで、接続された配索材が延在する直線方向からの応力を逃がすことが可能となり、接続片に対して過度な応力が加わるのを抑制することができる。また、車両搭載要件に合わせ、接続片を折り曲げることで、要件に合わせた分岐ボックスのサイズ設計が容易に可能となる。
【0011】
(3) 前記絶縁層が、前記平板部の表面及び裏面の少なくとも一方に粉体塗装により形成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の分岐構造。
【0012】
上記(3)の構成の分岐構造によれば、粉体塗装による絶縁層が平板部の表面及び裏面の少なくとも一方に予め形成されることにより、絶縁層を薄厚に形成して積層される平板部間の間隔を低減できると共に、複数の平板部を積層する際の組立作業を容易にできる。
【0013】
(4) 上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の分岐構造を備えた積層導電性部材が、絶縁性の収容ケース内に収容されていることを特徴とする分岐ボックス。
【0014】
上記(4)の構成の分岐ボックスによれば、積層導電性部材が、電気絶縁性や熱絶縁性等の絶縁性を有する収容ケース内に収容されるので、車両等の配索材(電線)を分岐する部分に取付ける際の取扱い性が向上する。
【0015】
(5) 複数の前記接続片が横並びに突出するように積層された複数の前記平板部をそれぞれ収容した複数の分割収容ケースが、複数の前記接続片が縦並びに突出するように重ねられて一体に構成されていることを特徴とする上記(4)に記載の分岐ボックス。
【0016】
上記(5)の構成の分岐ボックスによれば、積層導電性部材を構成する積層された複数の平板部のうち、縦並びで離間する上側接続片を有する上側平板部と、下側接続片を有する下側平板部とが、それぞれ上側分割収容ケースと下側分割収容ケースとに分けられて収容される。これにより、複数の接続片が、積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びにそれぞれ突出する積層導電性部材の組立性、取扱い性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る分岐構造及び分岐ボックスによれば、複数の導体からなる配索材を所望の方向に省スペースで分岐できる。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る分岐構造を備えた積層導電性部材が収容された分岐ボックスの外観斜視図である。
図2】上方の蓋ケースを外した図1に示す分岐ボックスの外観斜視図である。
図3図2の平面図である。
図4図1の分岐ボックスに収容された積層導電性部材の斜視図である。
図5】変形例に係る接続片の要部拡大図である。
図6】上側分割収容ケース内の分解斜視図である。
図7】下側分割収容ケース内の分解斜視図である。
図8】上側分割収容ケースの平面図である。
図9】背合わせに重ねられた上側分割収容ケース及び下側分割収容ケースの縦断面斜視図である。
図10図4に示した積層導電性部材に接続される配索材の一部斜視図である。
図11図10に示した配索材における左端部の正面図である。
図12】ジャンクションボックスを用いた車両における電線の配索例を表す模式図である。
図13図1に示した分岐ボックスと複数種の配索材を用いた車両における配索例を表す模式図である。
図14】電源分配方向の他の例を表す説明図である。
図15図1に示した分岐ボックスに接続可能な丸型導体を用いた配索材の要部斜視図である。
図16】配索材と積層導電性部材の接続例を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る分岐構造を備えた積層導電性部材13が収容された分岐ボックス11の外観斜視図、図2は上方の蓋ケース25を外した図1に示す分岐ボックス11の外観斜視図、図3図2の平面図である。
本実施形態に係る分岐構造は、分岐ボックス11に収容される積層導電性部材13(図4参照)に適用される。本実施形態に係る分岐構造は、複数の導体からなる後述の複数の配索材15(図10参照)を電気的に接続するものである。例えば、本実施形態の分岐構造は、車載バッテリー17(図13参照)からの供給電力を車両各所の機器19に最適に分岐させることができる。
【0021】
図1図3に示すように、分岐ボックス11は、本実施形態に係る分岐構造を有する積層導電性部材13を収容するための電気絶縁性や熱絶縁性等の絶縁性を有する合成樹脂製の収容ケースである。分岐ボックス11は、上側分割収容ケース21と、下側分割収容ケース23と、を上下に重ねて構成されている。これら上側分割収容ケース21と下側分割収容ケース23とは、同一構造のものを背合わせで用いている。上側分割収容ケース21の上面及び下側分割収容ケース23の下面は、蓋ケース25により塞がれている。
【0022】
上側分割収容ケース21及び下側分割収容ケース23を背合わせに上下に重ねて構成された分岐ボックス11は、これら上側分割収容ケース21及び下側分割収容ケース23により構成された収容ケースと蓋ケース25とにより積層導電性部材13を覆う。分岐ボックス11は、略6面体で形成される。分岐ボックス11のそれぞれの側辺部には、合計4つの接続開口部27が各側辺部から突出して形成される。それぞれの接続開口部27は、複数(図示例では4つ)の接続口29を有する。各接続口29には、後述の第1の接続片47A〜47D、第2の接続片49A〜49D、第3の接続片51A〜51D、第4の接続片53A〜53Dが配置される。各接続口29に配置されるそれぞれの接続片には、後述する配索材15のそれぞれの平型導体(導体)95,97,99,101が電気的に接続される。
【0023】
分岐ボックス11は、四方に接続開口部27が設けられる。それぞれの接続開口部27には、上下に一対ずつの接続口29が各辺に沿って並ぶ。従って、各接続開口部27には、合計4つの接続片が配置されている。従って、図示例の分岐ボックス11は、合計16の接続片を備える。なお、分岐ボックス11におけるこれら電源の分岐方向は、配索材15の配索方向に依存するため、図示例の形状に限らず、最適な位置を選択・加工することで自由に分岐方向を変更することができるものである。
【0024】
図4図1の分岐ボックス11に収容された積層導電性部材13の斜視図である。
分岐ボックス11に収容される積層導電性部材13は、複数の平板状の導電性材料からなる平板部を積層してなる。
【0025】
本実施形態において、平板部は、上側第1平板部31、上側第2平板部33(図6参照)、下側第1平板部35(図7参照)、下側第2平板部37(図7参照)よりなる。これらは、以下、単に「平板部」とも総称する。
【0026】
これら積層される平板部31,33,35,37の数は、接続する配索材15の平型導体95,97,99,101の数となる。本実施形態において、後述する配索材15の平型導体95,97,99,101の数は4本であるので、平板部は上側第1平板部31、上側第2平板部33、下側第1平板部35、下側第2平板部37の4枚となる。
【0027】
本実施形態において、平面視で方形の平板部である上側第1平板部31、上側第2平板部33、下側第1平板部35及び下側第2平板部37は、積層された各平板部31,33,35,37の外周縁から積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びに突出する複数の第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dを有する。更に詳しくは、上側第1平板部31における第1の接続片47A〜47Dと、上側第2平板部33における第2の接続片49A〜49Dとが、互いに積層方向に重ならないように横並びに突出している。また、下側第1平板部35における第3の接続片51A〜51Dと、下側第2平板部37における第4の接続片53A〜53Dとが、それぞれ積層方向に重ならないように横並びに突出している。そして、これら第1の接続片47A〜47D及び第2の接続片49A〜49Dと、第3の接続片51A〜51D及び第4の接続片53A〜53Dとが、互いに積層方向に所定間隔を有するように縦並びに突出している。
【0028】
これら第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dは、配索材15の平型導体95,97,99,101に対応してそれぞれ電気的に接続される。これら第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dは、複数群の接続部を構成する。
【0029】
図4に示すように、本実施形態の積層導電性部材13は、各側辺部に、第1群の接続部39と、第2群の接続部41と、第3群の接続部43と、第4群の接続部45と、の合計4群の接続部が設けられる。
第1群の接続部39には、第1〜第4の接続片47A,49A,51A,53Aが配置され、第2群の接続部41には、第1〜第4の接続片47B,49B,51B,53Bが配置され、第3群の接続部43には、第1〜第4の接続片47C,49C,51C,53Cが配置され、第4群の接続部45には、第1〜第4の接続片47D,49D,51D,53Dが配置される。各接続片には、配索材15の平型導体95,97,99,101をボルト締結によりそれぞれ電気的に接続するためのボルト固定穴79が穿設されている。
【0030】
図5は変形例に係る接続片の要部拡大図である。
図4に示した第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dに穿設されるボルト固定穴79は、図5に示す接続片71,73のように、配索材15の延在方向に長い長穴81とすることができる。本実施形態の分岐構造に用いられる配索材15は、金属板からなる平型導体95,97,99,101を積層した構造のため、設置箇所に合わせた形状で製造される。そのため、被取付面や配索材自体の製造公差によりボルト締結しにくい場合が生じる可能がある。そこで、接続片71,73のボルト固定穴を配索材15の延在方向に沿う長穴81とすることにより、分岐ボックス11と配索材15の接続作業性を向上させることができる。また、接続片71,73に長穴81を設けることで、配索材15は、製造公差を緩和できるので、製造コストの低減が可能となる。
【0031】
図6は上側分割収容ケース21内の分解斜視図、図7は下側分割収容ケース23内の分解斜視図である。
本実施形態に係る積層導電性部材13は、分岐ボックス11の収容ケースを構成している上側分割収容ケース21と、下側分割収容ケース23とに分けられて収容される。
上側分割収容ケース21には、図6に示す上側第1平板部31と、上側第2平板部33と、が収容される。
上側第1平板部31は、第1の接続片47A〜47Dを有し、上側第2平板部33は、第2の接続片49A〜49Dを有する。
【0032】
上側第1平板部31は、第1群の接続部39と第2群の接続部41とに挟まれる角部が空きスペース83となり、平板部積層時には、ここに上側第2平板部33における第2の接続片49Aと第2の接続片49Bとが配置される。
【0033】
下側分割収容ケース23には、図7に示す下側第1平板部35と、下側第2平板部37と、が収容される。
下側第1平板部35は、第3の接続片51A〜51Dを有し、下側第2平板部37は、第4の接続片53A〜53Dを有する。
【0034】
下側第1平板部35は、第1群の接続部39と第2群の接続部41とに挟まれる角部が空きスペース83となり、平板部積層時には、ここに下側第2平板部37における第4の接続片53Aと第4の接続片53Bとが配置される。
【0035】
本実施形態の分岐ボックス11は、複数の接続片が横並びに突出するように積層された複数の平板部が、上側分割収容ケース21と下側分割収容ケース23とに分けて収容される。これら上側分割収容ケース21と下側分割収容ケース23は、収容した複数の平板部における複数の接続片が縦並びに突出するように重ねられて一体に構成される。
【0036】
本実施形態に係る分岐構造を備えた積層導電性部材13は、縦並びに突出した第1の接続片47A〜47D及び第2の接続片49A〜49Dと、第3の接続片51A〜51D及び第4の接続片53A〜53Dとが、互いに離間する方向に各平板部31,33,35,37の外周縁に対してそれぞれクランク状に折り曲げ形成されている。これら接続片の折り曲げ部は、積層方向に重ならないように横並に突出した接続片を備えた平板部同士が積層されて接続片が横並びにされた際に、配索材15の平型導体が接続される接続片先端部の高さが同じになるように、各接続片は平板部の板厚を考慮して折り曲げることができる。折り曲げ部は、例えば、第1群の接続部39においては、第1の接続片47Aと第3の接続片51Aとが縦並びに突出するように重ねられ、第2の接続片49Aと第4の接続片53Aとが縦並びに突出するように重ねられている。他の第2群〜第4群の接続部41,43,45においても同様である。
【0037】
ここで、上述の積層導電性部材13において、第1の接続片47A〜47Dを有する上側第1平板部31と、第2の接続片49A〜49Dを有する上側第2平板部33と、第3の接続片51A〜51Dを有する下側第1平板部35と、第4の接続片53A〜53Dを有する下側第2平板部37とは、同一形状の導電部材を使用することができる。即ち、図6に示した上側第1平板部31を180度回転させて上側第2平板部33とすることができ、上側第1平板部31を裏返して下側第1平板部35とすることができ、上側第1平板部31を180度回転させて裏返すことで下側第2平板部37とすることができる。
【0038】
上記の積層導電性部材13は、複数の平板部(上側第1平板部31、上側第2平板部33、下側第1平板部35、下側第2平板部37)の間に、各平板部間を電気的に絶縁する絶縁層85が設けられる。
この絶縁層85は、例えば各平板部31,33,35,37の表面及び裏面の少なくとも一方に粉体塗装により形成することができる。本実施形態においては、各平板部31,33,35,37の表裏面に粉体塗装による絶縁層85が形成されている。この粉体塗装には、主に「静電塗装法(吹き付け塗装)」と、「流動浸漬法(浸漬塗装)」との2つがある。
【0039】
「静電塗装法」は、スプレーガンで塗料に帯電させ、アースの取れた被塗物に静電気を使って塗布する方法である。「静電スプレー法」では50ミクロン程度の薄膜で塗膜を管理することが容易となる。「静電スプレー法」で使用される熱硬化性塗料は、熱を加えることにより化学変化(架橋)を起こし、特性が変化する。架橋反応により各種の性能を付加させることが可能なため、用途に応じた塗料を選択することができる。使用されるベース樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ハイブリッド(エポキシ/ポリエステル)樹脂等が一般的である。
【0040】
「流動浸漬法」では、平板形状部材を、洗浄処理し、予備加熱炉で予備加熱する。次いで、流動浸漬槽において、浸漬を行う。浸漬は、流動浸漬槽の底の部分に多孔板を配置し、多孔板から圧縮空気を送ることにより塗料を流動させ、流動している塗料の中に予熱した平板形状部材を浸漬する。流動浸漬槽の中の塗料は、熱により平板形状部材に融着し、厚膜の塗膜を形成する。これにより、絶縁層85が形成された平板形状部材を得る。平板形状部材は、後処理を経て絶縁層85の形成された平板部となる。「流動浸漬塗装法」では、通常200〜500ミクロンの膜厚を付けることができる。
【0041】
なお、上側第1平板部31、上側第2平板部33、下側第1平板部35及び下側第2平板部37の絶縁層85の製造では、例えば、平板部の接続片(第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53D)となる部分の表面を、マスキングテープ等を用いることによりマスキングする。接続片は、予め穴あけ加工によりボルト固定穴79等を穿設しておいてもよい。このマスキングされた平板部31,33,35,37の接続片には、絶縁層85が形成されない。そこで、この平板部31,33,35,37における導電性材料の露出部である接続片(第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53D)は、接続端子として利用することができる。従って、第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dは、上記のボルト固定穴79を利用したボルト締結により、配索材15の平型導体95,97,99,101における配索材接続部103,105,107,109とそれぞれ導通接続することができるようになる。
【0042】
図8は上側分割収容ケース21の平面図、図9は背合わせに重ねられた上側分割収容ケース21及び下側分割収容ケース23の縦断面斜視図である。
上側分割収容ケース21と下側分割収容ケース23とは、共用することができる。即ち、同一形状の2つのものを背合わせで用いることができる。従って、蓋ケース25も、同一形状のものとすることができる。
同一形状の上側分割収容ケース21と下側分割収容ケース23とは、背合わせされる面が平坦な結合面となる。結合面の反対側の面には、平板部収容凹部87が形成される。平板部収容凹部87を包囲する4方には、上記したそれぞれ2つの接続口29が平板部収容凹部87よりも高い位置で形成されている。それぞれの接続口29は、隔壁89により仕切られている。それぞれの接続口29の底部には、例えばスタッドボルト80を植設する凹部91が形成されている。なお、スタッドボルト80は、上側分割収容ケース21及び下側分割収容ケース23に予めインサート成形されていてもよい。平板部収容凹部87のそれぞれの角部の外側には、蓋ケース25と共にこれら上側分割収容ケース21及び下側分割収容ケース23を固定ボルト(図示せず)により共締め固定するためのネジ穴93が形成されている。
【0043】
図10図4に示した積層導電性部材13に接続される配索材15の一部斜視図、図11図10に示した配索材15における左端部の正面図である。
分岐ボックス11に収容された積層導電性部材13には、配索材15が接続される。配索材15は、絶縁層85に被覆された平型導体95,97,99,101を積層することで、多回路が対応可能となる。図10には、4層の平型導体95,97,99,101からなる配索材15の場合を例示するが、層数(枚数)はこれに限定されない。4層の平型導体95,97,99,101は、例えば、長手方向に沿って所定間隔で配置された複数のクランプ部材等により一体とされる。
【0044】
この配索材15の配索材接続部103,105,107,109は、平型導体95,97,99,101の全幅の略半分の幅で形成することができる。従って、配索材15は、図10に示すように、上から第1層の平型導体95の幅方向右半分に上側第1の配索材接続部103が配置され、上から第2層の平型導体97の幅方向左半分に上側第2の配索材接続部105が配置される。一方、配索材15は、上から第3層の平型導体99の幅方向右半分に下側第1の配索材接続部107が配置され、上から第4層の平型導体101の幅方向左半分に下側第2の配索材接続部109が配置される。これらは、以下、単に「配索材接続部」とも総称する。
【0045】
これら配索材接続部は、上側第1の配索材接続部103と下側第1の配索材接続部107とが互いに離間する方向に平型導体95,99に対してそれぞれ折り曲げ形成され、上側第2の配索材接続部105と下側第2の配索材接続部109とが互いに離間する方向に平型導体97,101に対してそれぞれ折り曲げ形成されている。これら配索材接続部103,105,107,109には、分岐ボックス11の第1群〜第4群の接続部39,41,43,45とボルト締結するためのボルト固定穴111が穿設される。
【0046】
ところで、配索材15は、例えば下層より48Vのマイナス、48Vのプラス、12Vのプラス、12Vのマイナスの順で平型導体95,97,99,101を積層して4回路を構成することができる。この場合、隣接する層は、同極同士とすることが好ましい。図示例の配索材15では、「48Vのプラス」と「12Vのプラス」とが2層目と3層目とで隣接する。このように、多回路を積層した配索材15は、同極を隣接配置することにより耐ノイズ性能を向上させることができる。
【0047】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る分岐構造では、複数の平型導体95,97,99,101からなる配索材15を、導体同士を接続して所望の方向に分岐することができる。本実施形態の分岐構造では、配索材15における複数の平型導体95,97,99,101の数だけ平板状の導電性材料からなる上側第1平板部31、上側第2平板部33、下側第1平板部35及び下側第2平板部37が積層される。各平板部間が絶縁層85により電気的に絶縁された複数の平板部31,33,35,37の外周縁には、配索材15の平型導体95,97,99,101と同数の第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dにより構成される第1群〜第4群の接続部39,41,43,45が所望の分岐方向に向けて突設される。配索材15に設けられる複数導体のうちの一つの平型導体95を見た場合、この平型導体95を分岐するには、1枚の上側第1平板部31の外周縁に、少なくとも3つの第1の接続片47Aが設けられる。なお、本実施形態においては、4つの第1の接続片47Aが設けられている
【0048】
このように、本実施形態の分岐構造では、外周縁から所望の接続方向に第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dを突出させた複数の平板部31,33,35,37は、絶縁層85を介して積層されることにより、積層導電性部材13を構成する。
この積層導電性部材13は、積層される平板部31,33,35,37における第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dが、積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びに配置される。このため、積層導電性部材13は、接続片が横並びのみで配置される場合に比べ、接続片が縦並びで配置できる分、横並び方向の寸法を小さくできる。即ち、平板部31,33,35,37と平行な配索面におけるサイズを小さくしたコンパクトな分岐構造を得ることができる。その結果、車載バッテリー17からの供給電力の分岐構造において、余計な電線の増加の抑制、重量軽減、コスト低減を図ることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る分岐構造では、積層方向に縦並びで突出した上下の第1の接続片47A〜47D及び第2の接続片49A〜49Dと、第3の接続片51A〜51D及び第4の接続片53A〜53Dとが、互いに離間する方向に折り曲げられ、接続片同士の間に所定の接続スペースが確保されている。この接続スペースは、第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dと配索材15の平型導体95,97,99,101とをボルト締結して接続するための接続具であるスタッドボルト80を植設するための配置スペース等として利用が可能となっている。
【0050】
また、上述したように上下の接続片同士を折り曲げて離間することにより、絶縁距離を大きく確保しながら積層導電性部材13のサイズをコンパクトにすることができる。更に、第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dが折り曲げられることで、接続された配索材15が延在する直線方向からの応力を逃がすことが可能となり、第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dの破損を抑制することができる。また、車両搭載要件に合わせ、第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dを折り曲げることで、要求に合わせた分岐ボックス11のサイズ設計が容易に可能となる。
【0051】
また、本実施形態に係る分岐構造では、粉体塗装による絶縁層85が各平板部31,33,35,37の表面及び裏面の少なくとも一方(本実施形態においては、表面及び裏面の両方)に予め形成されることにより、絶縁層85を薄厚に形成して積層される平板部間の間隔を低減できると共に、複数の平板部31,33,35,37を積層する際の組立作業を容易にできる。
【0052】
そして、本実施形態に係る分岐ボックス11では、積層導電性部材13が分岐ボックス11の電気絶縁性や熱絶縁性等の絶縁性を有する合成樹脂製の収容ケース内に収容されるので、車両等の配索材15(電線)を分岐する部分に取付ける際の取扱い性が向上する。
【0053】
本実施形態の分岐ボックス11では、積層導電性部材13を構成する積層された複数の平板部31,33,35,37のうち、縦並びで離間する上側接続片(第1の接続片47A〜47D及び第2の接続片49A〜49D)を有する上側平板部(上側第1平板部31及び上側第2平板部33)と、下側接続片(第3の接続片51A〜51D及び第4の接続片53A〜53D)を有する下側平板部(下側第1平板部35及び下側第2平板部37)とが、それぞれ上側分割収容ケース21と下側分割収容ケース23とに分けられて収容される。これにより、複数の接続片(第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53D)が、積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びにそれぞれ突出する積層導電性部材13の組立性、取扱い性が向上する。
【0054】
図12に示すように、例えば車載バッテリー17から一度、ジャンクションボックス113を通し、各所の機器19に電源を送る従来の車両における配索例の場合、電線長が長くなる問題があった。また、余計な電線115が増えるため、重量アップやコストアップに繋がる問題があった。
これに対し、図13に示すように、分岐ボックス11と配索材15を用いた本実施形態に車両における配索例では、車載バッテリー17からの配索材15の必要箇所に分岐ボックス11を介装し、それぞれの分岐ボックス11から各所の機器19に電源を送ることがでるので、電線長を短くできる。また、余計な電線115が増えないため、重量及びコストを低減することができる。
【0055】
図14は電源分配方向の他の例を表す説明図である。
また、本発明の分岐構造は、各平板部における接続片の突出位置が上記実施形態の位置に限定されるものではない。例えば、図14に示す積層導電性部材13Aの構成例では、図3に示した積層導電性部材13とは異なり、第2群の接続部41において配索材133が接続された上側第1平板部31の第1の接続片47Bと電気的に接続される第1の接続片47Aが図14中の下の位置に配設され、第4の接続片47Dが図14中の右の位置に配設されている。これにより、導体の配列が異なる配索材を第1群の接続部39及び第4群の接続部45に接続し、電源等の分岐後の回路を変更することもできる。
【0056】
また、本実施形態に係る分岐構造は、必ずしも平型導体95,97,99,101からなる配索材15と接続されなくてもよい。例えば、図15に示すように、絶縁被覆された複数の丸型導体117が、クランプ119等により束ねられた配索材121を接続することもできる。各丸型導体117は、LA端子状に形成された端部123が、分岐ボックス11の第1〜第4の接続片47A〜47D,49A〜49D,51A〜51D,53A〜53Dにそれぞれ接続される。
【0057】
更に、図16に示すように、例えば第1群の接続部39における第1の接続片47A及び第3の接続片51Aに、それぞれ電線からなる配索材130に接続された一対のLA端子120を共締めして電気的に接続することもできる。このように、本実施形態に係る分岐構造を備えた分岐ボックス11によれば、平型導体95,97,99,101から成る配索材15と電線からなる配索材130とを分岐接続することもできる。
【0058】
従って、本実施形態に係る分岐構造によれば、複数の導体(平型導体、丸型導体、電線)からなる配索材15,121,130を所望の方向に省スペースで分岐できる。
本実施形態に係る分岐ボックス11によれば、車載バッテリー17から配索された幹線に設置することで、電源を持っていきたい各所に最適(コンパクトかつ容易)に分配することが可能になる。
【0059】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0060】
例えば、上記の構成の分岐ボックスは、平板部が四角形である場合を例に説明したが、平板部の形状はこれに限定されず、円形、長円形、楕円形の他、三角形、五角形、六角形、八角形等の多角形でもよい。また、上記の構成において、平板部の接続片と配索材の導体とは、ボルト締結により接続される場合を説明したが、接続片と導体は、超音波接合や摩擦撹拌接合等の溶接、或いは双方に形成した嵌合係止構造により直接接続するものであってもよい。
また、複数の平板部の間に設けられて各平板部間を電気的に絶縁する絶縁層は、絶縁シートにより形成することもできる。所定形状の絶縁シートが各平板部間に介装されることにより、積層される平板部間に絶縁層を安価に形成することができる。
【0061】
なお、本実施形態に係る積層導電性部材13は、分岐ボックス11の収容ケースを構成している上側分割収容ケース21と、下側分割収容ケース23とに、それぞれ上側第1平板部31及び上側第2平板部33と下側第1平板部35及び下側第2平板部37とが別々に収容されている。本発明の分岐構造はこれに限らず、積層導電性部材13が1つの収容ケースに収容されていてもよい。即ち、本発明における積層された複数の平板部とは、平板部同士が直接積層されて積層導電性部材を構成したり、上記実施形態のように収容ケースを介して積層導電性部材を構成したりする場合を含むものである。
【0062】
ここで、上述した本発明に係る分岐構造及び分岐ボックスの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数の導体(平型導体95,97,99,101)からなる複数の配索材(15)を接続するための分岐構造であって、平板状の導電性材料からなり積層された複数の平板部(上側第1平板部31、上側第2平板部33、下側第1平板部35、下型第2平板部37)と、積層された前記各平板部の外周縁から積層方向に所定間隔を有するように縦並びに、且つ横並びにそれぞれ突出し、前記複数の導体に対応して接続される複数の接続片(第1の接続片47A〜47D、第2の接続片49A〜49D、第3の接続片51A〜51D、第4の接続片53A〜53D)により構成された複数群の接続部(第1群の接続部39、第2群の接続部41、第3群の接続部43、第4群の接続部45)と、前記複数の平板部の間に設けられて各平板部間を電気的に絶縁する絶縁層(85)と、を備えることを特徴とする分岐構造。
[2] 縦並びに突出した複数の前記接続片(第1の接続片47A〜47D、第2の接続片49A〜49D、第3の接続片51A〜51D、第4の接続片53A〜53D)が、互いに離間する方向に前記平板部(上側第1平板部31、上側第2平板部33、下側第1平板部35、下型第2平板部37)の外周縁に対して折り曲げ形成されていることを特徴とする上記[1]に記載の分岐構造。
[3] 前記絶縁層(85)が、前記平板部(上側第1平板部31、上側第2平板部33、下側第1平板部35、下型第2平板部37)の表面及び裏面の少なくとも一方に粉体塗装により形成されていることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の分岐構造。
[4] 上記[1]〜[3]の何れか1つに記載の分岐構造を備えた積層導電性部材(13)が、絶縁性の収容ケース(上側分割収容ケース21及び下側分割収容ケース23)内に収容されていることを特徴とする分岐ボックス(11)。
[5] 複数の前記接続片(第1の接続片47A〜47D及び第2の接続片49A〜49D、第3の接続片51A〜51D及び第4の接続片53A〜53D)が横並びに突出するように積層された複数の前記平板部(上側第1平板部31及び上側第2平板部33、下側第1平板部35及び下型第2平板部37)をそれぞれ収容した複数の分割収容ケース(上側分割収容ケース21、下側分割収容ケース23)が、複数の前記接続片が縦並びに突出するように重ねられて一体に構成されていることを特徴とする上記[4]に記載の分岐ボックス(11)。
【符号の説明】
【0063】
11…分岐ボックス
13…積層導電性部材
15…配索材
21…上側分割収容ケース(分割収容ケース)
23…下側分割収容ケース(分割収容ケース)
31…上側第1平板部(平板部)
33…上側第2平板部(平板部)
35…下側第1平板部(平板部)
37…下側第2平板部(平板部)
39…第1群の接続部(接続部)
41…第2群の接続部(接続部)
43…第3群の接続部(接続部)
45…第4群の接続部(接続部)
47A〜47D…第1の接続片(接続片)
49A〜49D…第2の接続片(接続片)
51A〜51D…第3の接続片(接続片)
53A〜53D…第4の接続片(接続片)
85…絶縁層
95,97,99,101…平型導体(導体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16