特許第6861548号(P6861548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861548燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861548
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20210412BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20210412BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20210412BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20210412BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/04537
   H01M8/04746
   H01M8/04 J
   !H01M8/10
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-58281(P2017-58281)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-160430(P2018-160430A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松本 明
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−194177(JP,A)
【文献】 特開2004−152604(JP,A)
【文献】 特表2013−515342(JP,A)
【文献】 特開2011−90862(JP,A)
【文献】 特開2009−158155(JP,A)
【文献】 特開2000−110727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料を改質して燃料ガスを生成する改質部と、
前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び、発電用酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、
前記燃料電池部での発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、
前記発電用酸素ガスを前記カソードに供給するための発電酸素用ブロアーと、
運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池部の出力電圧を検出する電圧検出部と、
前記燃料電池部の出力電力を検出する電力検出部と、を備え、
前記運転制御部は、
前記発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量が、前記燃料電池部の出力電力に見合った目標流量となるように前記発電酸素用ブロアーの出力を調節し、
前記電力検出部で検出される出力電力が一定の間に、前記電圧検出部で検出される出力電圧が所定の許容範囲以上の変動を示したとき、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、
前記運転制御部は、
前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、且つ、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が、前記発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量を前記燃料電池部の出力電力に見合った目標流量にするときの基準出力から設定値以上大きくなっているとき、前記発電用酸素ガスの流路抵抗の増大を原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると判定し、
前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、且つ、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が前記基準出力から前記設定値以上大きくなっていないとき、前記発電酸素用ブロアーを原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると判定する燃料電池システム。
【請求項2】
前記運転制御部は、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定したとき、前記燃料電池部の出力電力を所定の低出力状態にさせる低出力運転を所定期間行う請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記運転制御部は、
前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、且つ、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が前記基準出力から前記設定値以上大きくなっていないとき、前記発電酸素用ブロアーへの水の侵入を原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると判定する請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
原燃料を改質して燃料ガスを生成する改質部と、前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び、発電用酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、前記燃料電池部での発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、前記発電用酸素ガスを前記カソードに供給するための発電酸素用ブロアーとを備える燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、前記燃料電池部の出力電圧を検出する電圧検出部と、前記燃料電池部の出力電力を検出する電力検出部とを備え、
前記発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量が、前記燃料電池部の出力電力に見合った目標流量となるように前記発電酸素用ブロアーの出力が調節され、前記電力検出部で検出される出力電力が一定の間に、前記電圧検出部で出力電圧を検出する電圧検出工程と、
前記電圧検出工程で検出された出力電圧が所定の許容範囲以上の変動を示したとき、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定する不具合判定工程と、
前記不具合判定工程において、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定したとき、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が、前記発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量を前記燃料電池部の出力電力に見合った目標流量にするときの基準出力から設定値以上大きくなっていれば、前記発電用酸素ガスの流路抵抗の増大を原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定し、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が前記基準出力から前記設定値以上大きくなっていなければ、前記発電酸素用ブロアーを原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定する不具合原因推定工程と、を有する燃料電池システムの運転方法。
【請求項5】
前記不具合原因推定工程で、前記発電酸素用ブロアーを原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定したとき、前記燃料電池部の出力電力を所定の低出力状態にさせる低出力運転を所定期間行う対策工程を有する請求項に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項6】
前記不具合原因推定工程で、前記発電酸素用ブロアーを原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定したとき、前記燃料電池部を発電させない間の所定のタイミングで、前記発電酸素用ブロアーを動作させて当該発電酸素用ブロアーから前記カソードに向けて前記発電用酸素ガスを流す請求項4又は5に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項7】
前記所定のタイミングが、前記燃料電池部を発電させない間で、前記カソードから前記発電酸素用ブロアーに向かう圧力が加わるタイミングである請求項に記載の燃料電池システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原燃料を改質して燃料ガスを生成する改質部と、前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び、発電用酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、前記燃料電池部での発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、前記発電用酸素ガスを前記カソードに供給するための発電酸素用ブロアーと、運転制御部とを備える燃料電池システムに関する。又、本発明は燃料電池システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記燃料電池システムは、燃料電池部のカソードに対して、発電酸素用のブロアからガス供給路を通して発電用酸素ガスが供給され、ガス供給路の途中には、ガス供給路を開放する開状態と閉塞する閉状態とに切り換え可能な開閉弁が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ブロア及び開閉弁が正常に作動しているときは問題ないが、燃料電池の使用に伴ってブロアあるいは開閉弁に異常が生じると、燃料電池部のカソードに対して発電用酸素ガスが良好に供給されなくなるおそれがある。そこで、このような異常が発生したことを検知するために、次のような構成が提案されている。
【0004】
すなわち、ガス供給路中における診断対象の開閉弁よりも空気流動方向下手側に、別の開閉弁を備えるとともに、診断対象の開閉弁の空気流動方向上手側及び下手側の夫々に内部圧力を計測する圧力センサを備え、燃料電池の運転開始に伴う内部圧力の変動や、別の開閉弁の開閉前後の内部圧力の変動等に基づいて、開閉弁の動作異常を判断するものである(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−185249号公報
【特許文献2】特開2004−95425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来構成は、別の開閉弁や複数の圧力センサ等、本来は必要ではない複数の別付けの装置が必要であり、部品点数が増加してコスト高を招く等の不利がある。しかも、上記従来構成では、開閉弁の動作異常を判断することは可能であるが、発電酸素用のブロアの動作異常については判別することができないという不利もある。
【0007】
ブロアの動作異常について説明を加えると、ブロアが故障して送風動作が全く行われていない場合には、異常であることを判断し易い。これに対して、例えば、ブロアの内部に水が侵入するという異常が発生したような場合には、ブロアの運転動作は引き続き行うことが可能であり、燃料電池の出力が低出力であれば、通常運転と略同じような運転を継続することが可能である。しかし、このようにブロア内部に水が侵入している状態で運転を継続すると、ブロアが短期間で著しく損傷するおそれがある。
【0008】
ブロアに対する水の侵入について説明する。
燃料電池では、従来より、燃料電池内部に水を供給して、アノードやカソードを湿潤させる構成のものがあり、この構成では、運転を停止している時には、燃料電池内部に水が多量に存在することになる。
【0009】
そして、運転停止中には、燃料電池内部に残留している酸化剤ガスによってカソードが酸化することを回避するために、改質器を経由して原燃料ガスを供給して燃料電池内部の圧力を高めに設定する保圧処理を行う場合がある。
【0010】
又、運転停止状態から発電を開始させる場合に、燃焼部に残留している未燃焼ガス等を排出させるために、改質器を経由して燃焼用空気を供給することがある。このときも燃料電池内部の圧力が高めに変化することがある。
【0011】
その結果、発電用酸素ガスが通流するガス供給路に備えられる開閉弁が故障していると、運転停止中や運転開始時等において、燃料電池内部の圧力が高めに変化することに起因して、燃料電池内部に存在する水の一部がガス供給路を通してブロアに侵入することがある。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、別付けの装置を備える等の構造の複雑化を招くことなく、燃料電池部への発電用酸素ガスの供給不具合が発生したことを判別できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る燃料電池システムの特徴構成は、
原燃料を改質して燃料ガスを生成する改質部と、
前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び、発電用酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、
前記燃料電池部での発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、
前記発電用酸素ガスを前記カソードに供給するための発電酸素用ブロアーと、
運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池部の出力電圧を検出する電圧検出部と、
前記燃料電池部の出力電力を検出する電力検出部と、を備え、
前記運転制御部は、
前記発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量が、前記燃料電池部の出力電力に見合った目標流量となるように前記発電酸素用ブロアーの出力を調節し、
前記電力検出部で検出される出力電力が一定の間に、前記電圧検出部で検出される出力電圧が所定の許容範囲以上の変動を示したとき、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、
前記運転制御部は、
前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、且つ、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が、前記発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量を前記燃料電池部の出力電力に見合った目標流量にするときの基準出力から設定値以上大きくなっているとき、前記発電用酸素ガスの流路抵抗の増大を原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると判定し、
前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、且つ、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が前記基準出力から前記設定値以上大きくなっていないとき、前記発電酸素用ブロアーを原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると判定する点にある。
【0014】
運転制御部は、燃料電池部の出力電力に見合った目標流量となるように発電酸素用ブロアーの出力を調節するのであるが、例えば、水の侵入等が原因でブロアの動作に異常が発生した場合には、ブロアから送り出される空気の流量に特有の乱れが生じて、この乱れに伴って燃料電池部の出力電圧が大きく上下に変動することがある。
【0015】
そこで、そのことを利用して、燃料電池部の出力電力が一定である条件下において、燃料電池部の出力電圧が許容範囲以上に変動すると、カソードへの発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定することができる。尚、燃料電池の運転状態を検知するために、電圧検出部及び電力検出部は本来必要な構成である。
【0016】
その結果、本来必要とされる装置を用いることで、別付けの装置を備える等の構造の複雑化を招くことなく、燃料電池部への発電用酸素ガスの供給不具合が発生したことを判別できるものとなった。
ところで、発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していても、その不具合の発生要因として、発電酸素用ブロアーを原因とするものだけでなく、発電用酸素ガスが通流するガス供給路が何等かの要因で閉塞されて流路抵抗の増大していることも考えられる。
そして、流路抵抗の増大が原因であれば、発電酸素用ブロアーの出力を目標流量に対応する基準出力に調整しても、目標流量の発電用酸素ガスを供給することができない。その結果、運転制御部が、目標流量になるように発電酸素用ブロアーの出力を調整すると、発電酸素用ブロアーの出力が基準出力よりも設定量以上大きい出力になる。一方、発電酸素用ブロアーが原因であれば、発電酸素用ブロアーの出力は基準出力から大きく変動するおそれは少ない。
そこで、上記特徴構成では、そのことを利用して、発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定した場合に、流路抵抗の増大が原因であるか、発電酸素用ブロアーが原因であるかを判定することが可能となる。
【0017】
本発明に係る燃料電池システムの別の特徴構成は、前記運転制御部は、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定したとき、前記燃料電池部の出力電力を所定の低出力状態にさせる低出力運転を所定期間行う点にある。
【0018】
例えば、水の侵入等が原因で発電酸素用ブロアーの動作に異常が発生している場合であっても、燃料電池部が低出力状態で運転しているときは、通常運転と略同じような出力電圧の変動が少ない安定した運転を継続することが可能である。そこで、不具合が発生していると判定したときには、低出力運転を行うことで、発電酸素用ブロアーに無理な力が掛かって早期に破損する等の不利を回避できる。尚、不具合が発生していると判定した結果、所定時間が経過する間に何等かの対策を取ることが可能であるから、低出力運転を所定期間行うようにして、不必要に長く継続することを回避できる。
【0023】
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、
前記運転制御部は、
前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、且つ、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が前記基準出力から前記設定値以上大きくなっていないとき、前記発電酸素用ブロアーへの水の侵入を原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると判定する点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、燃料電池部の出力電圧が変動して不具合が発生しているにもかかわらず、発電酸素用ブロアーの出力が基準出力から設定値以上大きくなっていなければ、発電酸素用ブロアーへの水の侵入が原因であると判定する。つまり、このような場合には、発電酸素用ブロアーの送風能力自体に問題はなく、水の侵入が原因であることが想定できる。
【0025】
従って、発電酸素用ブロアーの出力の大きさの違いによって、水の侵入が原因であるか否かを判定することができる。
【0026】
本発明に係る燃料電池システムの運転方法の特徴は、
原燃料を改質して燃料ガスを生成する改質部と、前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び、発電用酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、前記燃料電池部での発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、前記発電用酸素ガスを前記カソードに供給するための発電酸素用ブロアーとを備える燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、前記燃料電池部の出力電圧を検出する電圧検出部と、前記燃料電池部の出力電力を検出する電力検出部とを備え、
前記発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量が、前記燃料電池部の出力電力に見合った目標流量となるように前記発電酸素用ブロアーの出力が調節され、前記電力検出部で検出される出力電力が一定の間に、前記電圧検出部で出力電圧を検出する電圧検出工程と、
前記電圧検出工程で検出された出力電圧が所定の許容範囲以上の変動を示したとき、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定する不具合判定工程と、
前記不具合判定工程において、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定したとき、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が、前記発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量を前記燃料電池部の出力電力に見合った目標流量にするときの基準出力から設定値以上大きくなっていれば、前記発電用酸素ガスの流路抵抗の増大を原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定し、前記発電酸素用ブロアーの現在の出力が前記基準出力から前記設定値以上大きくなっていなければ、前記発電酸素用ブロアーを原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定する不具合原因推定工程と、を有する点にある。
【0027】
燃料電池部の出力電力に見合った目標流量となるように発電酸素用ブロアーの出力が調節されるが、例えば、水の侵入等が原因でブロアの動作に異常が発生した場合には、ブロアから送り出される空気の流量に特有の乱れが生じて、この乱れに伴って燃料電池部の出力電圧が大きく上下に変動することがある。
【0028】
そこで、電圧検出工程において、燃料電池部の出力電力が一定であるときに、燃料電池部の出力電圧を検出し、不具合判定工程において、出力電圧が所定の許容範囲以上の変動を示していれば、カソードへの発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定することができる。尚、燃料電池の運転状態を検知するために、電圧検出部及び電力検出部は本来必要な構成である。
【0029】
その結果、本来必要とされる装置を用いることで、別付けの装置を備える等の燃料電池システムの構造の複雑化を招くことなく、燃料電池部への発電用酸素ガスの供給不具合が発生したことを判別できるものとなった。
ところで、発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していても、その不具合の発生要因として、発電酸素用ブロアーを原因とするものだけでなく、発電用酸素ガスが通流するガス供給路が何等かの要因で閉塞されて流路抵抗の増大していることも考えられる。
そして、流路抵抗の増大が原因であれば、発電酸素用ブロアーの出力を目標流量に対応する基準出力に調整しても、目標流量の発電用酸素ガスを供給することができない。その結果、運転制御部が、目標流量になるように発電酸素用ブロアーの出力を調整すると、発電酸素用ブロアーの出力が基準出力よりも設定量以上大きい出力になる。一方、発電酸素用ブロアーが原因であれば、発電酸素用ブロアーの出力は基準出力から大きく変動するおそれは少ない。
そこで、上記特徴では、そのことを利用して、発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定した場合に、流路抵抗の増大が原因であるか、発電酸素用ブロアーが原因であるかを判定することが可能となる。
【0030】
本発明に係る燃料電池システムの運転方法の別の特徴は、
前記不具合判定工程で、前記カソードへの前記発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定したとき、前記燃料電池部の出力電力を所定の低出力状態にさせる低出力運転を所定期間行う対策工程を有する点にある。
【0031】
例えば、水の侵入等が原因で発電酸素用ブロアーの動作に異常が発生している場合であっても、燃料電池部が低出力状態で運転しているときは、通常運転と略同じような出力電圧の変動が少ない安定した運転を継続することが可能である。そこで、不具合が発生していると判定したときには、低出力運転を行うことで、発電酸素用ブロアーに無理な力が掛かって早期に破損する等の不利を回避できる。尚、不具合が発生していると判定した結果、所定時間が経過する間に何等かの対策を取ることが可能であるから、低出力運転を所定期間行うようにして、不必要に長く継続することを回避できる。
【0036】
本発明に係る燃料電池システムの運転方法の更に別の特徴は、
前記不具合原因推定工程で、前記発電酸素用ブロアーを原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定したとき、前記燃料電池部の出力電力を所定の低出力状態にさせる低出力運転を所定期間行う対策工程を有する点にある。
【0037】
上記方法によれば、発電酸素用ブロアーを原因とする発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定したときに、燃料電池部の出力電力を所定の低出力状態にさせるので、別の原因であると想定されるときには、別の対策を取ることになる。
【0038】
従って、発電酸素用ブロアーを原因とするときにのみ、そのことに対して適切な対策を取ることができる。
【0039】
本発明に係る燃料電池システムの運転方法の更に別の特徴は、
前記不具合原因推定工程で、前記発電酸素用ブロアーを原因とする前記発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定したとき、前記燃料電池部を発電させない間の所定のタイミングで、前記発電酸素用ブロアーを動作させて当該発電酸素用ブロアーから前記カソードに向けて前記発電用酸素ガスを流す点にある。
【0040】
上記方法によれば、燃料電池部を発電させていない間の適切なタイミングにて、発電酸素用ブロアーからカソードに向けて発電用酸素ガスを流すことにより、カソード側に水が多量に存在していても、水が発電酸素用ブロアーに侵入してくることを防止できる。
【0041】
本発明に係る燃料電池システムの運転方法の更に別の特徴は、
前記所定のタイミングが、前記燃料電池部を発電させない間で、前記カソードから前記発電酸素用ブロアーに向かう圧力が加わるタイミングであると好適である。
【0042】
上記方法によれば、カソードから発電酸素用ブロアーに向かう圧力が加わるタイミングで、発電酸素用ブロアーからカソードに向けて発電用酸素ガスを流すことにより、水が発電酸素用ブロアーに侵入してくることをより的確に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】燃料電池システムの概略構成図である。
図2】セルの構造説明図である。
図3】運転方法を説明するフローチャートである。
図4】安定運転状態の実測データを示す図である。
図5】異常運転状態の実測データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面に基づいて、本発明に係る実施形態を説明する。
以下に図面を参照して本発明に係る燃料電池システム及びその運転方法について説明する。
図1は、燃料電池システムの構成を示す図である。燃料電池システムは、原燃料としての原燃料ガス(例えば、メタンを含む都市ガス等)を改質して燃料ガスを生成する燃料ガス生成装置1、燃料ガス生成装置1から供給される燃料ガスを燃料として用いて発電する燃料電池発電装置2、及び、燃料ガス生成装置1及び燃料電池発電装置2の運転を制御する運転制御部3を備える。
【0045】
燃料ガス生成装置1には、原燃料ガスを改質して水素を主成分とする燃料ガスを生成する改質部4と、燃料成分を燃焼して改質部4を加熱する燃焼部5と、原燃料供給路L1を通して原燃料ガスを改質部4に供給するための原燃料用ブロアー6と、燃焼用酸素供給路L2を通して燃焼部5に燃焼用酸素ガスを供給する燃焼酸素用ブロアー7と、原燃料供給路L1を開閉自在な第1開閉弁8と、燃焼用酸素供給路L2を開閉自在な第2開閉弁9とが備えられている。又、原燃料供給路L1には原燃料用ブロアー6により供給される原燃料ガスの流量を計測する原燃料流量計10が設けられ、燃焼用酸素供給路L2には燃焼酸素用ブロアー7により供給される燃焼用酸素の流量を計測する燃焼用酸素流量計11が設けられている。
【0046】
改質部4は、原燃料ガスを水蒸気の存在下で改質処理して、水素を主成分とする燃料ガスを生成する。具体的には、改質部4には、隣接して設けられる燃焼部5で発生された熱を利用して原燃料ガスを水蒸気改質して、水素を主成分とし、副生成物としての一酸化炭素と二酸化炭素とを含む改質ガスを生成する。図示はしていないが、改質部4では、改質後の改質ガスに含まれる一酸化炭素を除去する処理も行われる。改質部4によって生成された燃料ガスは、燃料ガス供給路L3を通して燃料電池発電装置2に供給される。
【0047】
原燃料供給路L1を通して供給される原燃料ガスの供給量が、原燃料流量計10により計測され、その計測された流量が予め設定された目標流量になるように、運転制御部3が原燃料用ブロアー6の出力を調整する。運転停止時等において原燃料用ブロアー6が作動していない状態では、第1開閉弁8が閉状態となる。
【0048】
燃焼部5は、可燃性ガスを燃焼して熱を発生させる。可燃性ガスとしては、後述するように、燃料電池発電装置2にて発電反応で消費されなかった水素を含む排ガス、又は、原燃料ガス、或いは、それら両方を混合して用いることができる。また、燃焼部5には可燃性ガスに対する燃焼用の空気(酸素)が燃焼用酸素供給路L2を介して供給されている。
【0049】
燃焼用酸素供給路L2を通して供給される燃焼用酸素ガスの供給量が、燃焼用酸素流量計11により計測され、その計測された流量が予め設定された目標流量になるように、運転制御部3が燃焼酸素用ブロアー7の出力を調整する。運転停止時等において、燃焼酸素用ブロアー7が作動していない状態では、第2開閉弁9が閉状態となる。
【0050】
燃料電池発電装置2には、上記したような燃料ガス及び発電用酸素ガスが供給されて発電作用する燃料電池部12と、発電用酸素供給路L4を通して発電用酸素ガスを燃料電池部12に供給するための発電酸素用ブロアー13と、発電用酸素供給路L4を開閉自在な第3開閉弁14と、燃料電池部12を冷却するための冷却水を貯留する水タンク15と、発電用酸素ガスのうち消費されなかったガスが通過する発電用酸素排出路L5を開閉自在な第4開閉弁16と、冷却水を循環供給するためのポンプ17と、燃料電池部12の出力電圧を検出する電圧検出部18と、燃料電池部12の出力電力を検出する電力検出部19とが備えられている。又、発電用酸素供給路L4には発電酸素用ブロアー13により供給される発電用酸素ガスの流量を計測する発電用酸素流量計20が設けられている。
【0051】
燃料電池部12は、固体高分子型燃料電池であり、図2に示すように、固体高分子からなる電解質膜22をアノード(燃料極)23とカソード(酸素極)24とにより挟んで1個のセルCが構成され、セルCを複数積層して構成されている。
【0052】
アノード23はガス拡散層23aと触媒層23bとを備え、ガス拡散層23aと対面する側の第1セパレータ26の一面に形成される燃料ガス流路26aに供給された燃料ガスがガス拡散層23aを通って触媒層23bに到達する。同様に、カソード24はガス拡散層24aと触媒層24bとを備え、ガス拡散層24aと対面する側の第2セパレータ27の一面に形成される空気流路27aに供給された酸素(空気)がガス拡散層24aを通って触媒層24bに到達する。触媒層23b,24bは、金属触媒を担持した担体によって構成され、化学反応を促進させる。
【0053】
第2セパレータ27と、隣り合うセルCの第1セパレータ26との間には、冷却水が流れる冷却水流路27bが形成されている。冷却水流路27bとセパレータ26,27とによって燃料電池部12を冷却する冷却部28(図1参照)が構成されている。冷却水流路27bに接続される冷却水循環路29には、水タンク15とポンプ17とが備えられ、ポンプ17が作動することで、水タンク15に貯留される冷却水が、燃料電池部12の冷却水流路27bを通過したのち水タンク15に戻るように循環供給される。
【0054】
燃料電池部12は、アノード23に改質後の燃料ガスが供給され、カソード24に酸素(空気)が供給されて発電反応が行われる。燃料電池部12の出力電力(即ち、発電反応の量)は、運転制御部3がインバータ(図示せず)を用いて調節し、その電力が電力消費装置(図示せず)に供給される。
【0055】
アノード23に供給される燃料ガスに含まれる水素のうち、燃料電池部12での発電反応で消費されなかった過剰な水素はアノード23から排出され、アノード排ガス流路L6を通って燃焼部5に供給され、可燃性ガスとして燃焼される。アノード排ガス流路L6には、燃焼用酸素供給路L2が接続されている。
【0056】
発電用酸素供給路L4を通してカソード24に供給される発電用酸素ガスの供給量が、発電用酸素流量計20により計測され、その計測された流量が予め設定された目標流量になるように、運転制御部3が発電酸素用ブロアー13の出力(具体的には、送風用のファンの回転速度等)を調整する。運転停止時等において、発電酸素用ブロアー13が作動していない状態では、第3開閉弁14が閉状態となる。
【0057】
燃料電池部12から排出される余剰の発電用酸素ガスは、発電用酸素排出路L5を通して水タンク15を経由したのちに外部に排気される。余剰の発電用酸素ガスには、カソード24内に存在する水分を多く含むことがあるので、水分を水タンク15にて回収するようにしている。説明を加えると、本実施形態の燃料電池では、運転停止時に、ケーシングにより封止された状態で覆われる燃料電池全体が水で満たされる状態にして、酸素の侵入を防いで酸化による電極の劣化を防止する等の対策を取っている。
【0058】
そして、運転制御部3は、発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量が、燃料電池部12の出力電力に見合った目標流量となるように発電酸素用ブロアー13の出力を調節し、電力検出部19で検出される出力電力が一定の間に、電圧検出部18で検出される燃料電池部12の出力電圧、具体的にはセルCの出力電圧が、所定の許容範囲以上の変動を示したとき、カソード24への発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定する。
【0059】
説明を加えると、運転制御部3は、図3に示すように、電圧検出工程(ステップ♯1)と、不具合判定工程(ステップ♯2)と、不具合原因推定工程(ステップ♯3)と、対策工程(ステップ♯4)とを実行する。
【0060】
電圧検出工程(♯1)では、電力検出部19で検出される燃料電池部12の出力電力が一定の間に、電圧検出部18で出力電圧を検出する。電圧検出部18は、燃料電池部12における複数のセルCが発生する電圧を検出してその平均値(平均セル電圧という)を求める。図4に、本出願人の計測した実測値のデータを示している。図4は、燃料電池部12が安定した動作における運転状態のデータである。この例では、出力が安定した状態では、出力電力が約700Wであり、平均セル電圧が約730mV程度である。
【0061】
不具合判定工程(♯2)では、電圧検出工程で検出された出力電圧が所定の許容範囲以上の変動を示したとき、カソード24への発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定する。具体的には、単一のセルCの出力電圧についての標準偏差を求め、その標準偏差が予め設定されている閾値と比較して、標準偏差が閾値より小であれば、正常な動作であると判別し、標準偏差が閾値より大であれば、カソード24への発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定する。標準偏差は、セルCの出力電圧の5秒間の間の平均値の電圧データを求め、その電圧データの12個分の標準偏差を演算にて求める。尚、出力電圧の変動幅は、出力電力の大きさによって変動するので、そのときの燃料電池部12の出力電力の大きさに応じて、閾値を異なる値に設定するとよい。例えば、出力電力が250W以上400W未満のときは、閾値を4mVとし、出力電力が400W以上600W未満のときは、閾値を5mVとし、出力電力が600W以上700W以下のときは、閾値を6mVとすることができる。
【0062】
不具合原因推定工程(♯3)では、発電酸素用ブロアー13の現在の出力が、発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量を燃料電池部12の出力電力に見合った目標流量にするときの基準出力から設定値以上大きくなっていれば、発電用酸素ガスの流路抵抗の増大を原因とする発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定し、発電酸素用ブロアー13の現在の出力が基準出力から設定値以上大きくなっていなければ、発電酸素用ブロアー13を原因とする発電用酸素ガスの供給の不具合が発生していると推定する。
【0063】
すなわち、燃料電池部12の出力電力と、それに見合う発電用酸素ガスの単位時間当たりの流量(基準出力)との変化特性は、予め実験等により求められて定められている。発電酸素用ブロアー13の現在の出力が基準出力から設定値以上大きくなっていれば、発電酸素用ブロアー13の現在の出力の大きさに比べて発電用酸素ガスの流動が少ない、すなわち、発電用酸素ガスの流路抵抗の増大していることが想定できる。
【0064】
しかし、カソード24の発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定したにもかかわらず、発電酸素用ブロアー13の現在の出力が基準出力から設定値以上大きくなっていないときは、発電酸素用ブロアー13が原因とする不具合、具体的には、発電酸素用ブロアー13へ水が侵入したことに起因する不具合が発生していると判定する。
【0065】
発電酸素用ブロアー13へ水が侵入する原因としては、第3開閉弁14及び第4開閉弁16が開故障して、燃料電池部12内部に封入されている水が、発電用酸素供給路L4を通して発電酸素用ブロアー13へ流入することが考えられる。例えば、運転停止時に、電極の酸化による劣化を回避するために改質部4を介して燃料ガスを供給する場合、あるいは、運転を開始するときに、燃焼部5内の排ガスを除去するために燃焼酸素用ブロアー7を作動させる場合に、水が侵入するおそれがある。
【0066】
図5に、発電酸素用ブロアー13へ水が侵入した場合における実測値のデータを示している。この図から明らかなように、燃料電池部12の出力電圧が大きく変動して標準偏差が大きくなっていることが分かる。尚、図5に示すものでは、燃料電池部12の出力電圧が低下すると、燃料電池部12の出力電力も低下する処理が行われる構成となっており、出力電圧の変化に応じて出力電力も変動している。このように発電酸素用ブロアー13へ水が侵入すると、出力電圧が大きく変動するので、その変動を標準偏差と閾値(図4,5に示す例では、例えば、6mV)との比較によって判別することができる。この場合においても、電圧検出工程を実行するのは、燃料電池部12の出力電力が一定の間に行う方がよい。つまり、図5に示す例では、出力電力が一定である特定期間(図5にQで示す期間等)に行うようにするとよい。
【0067】
対策工程(♯4)では、運転制御部3は、不具合判定工程(♯2)で、カソード24への発電用酸素ガスの供給に不具合が発生していると判定し、且つ、不具合原因推定工程(♯3)で、発電酸素用ブロアー13を原因とする不具合が発生していると推定したとき、燃料電池部12の出力電力を所定の低出力状態にさせる低出力運転を所定期間行う。
【0068】
例えば、燃料電池部12の出力を最大出力(700W)に比べて低い低出力(例えば、250W)に設定して低出力運転を行う。そして、発電酸素用ブロアー13から水が排出されたと考えられる状態、すなわち、不具合判定工程にて不具合が判定されなくなるまで低出力運転を継続する。低出力運転であれば、発電酸素用ブロアー13の出力を低く抑えることができ、発電酸素用ブロアー13が損傷するおそれが少ない。
【0069】
さらに、運転を停止させて改質部4を介して燃料ガスを供給する場合に、発電酸素用ブロアー13を低出力状態で運転する。すなわち、燃料電池部12を発電させない間で、カソード24から発電酸素用ブロアー13に向かう圧力が加わるタイミング、例えば、燃料電池部12の運転開始時における燃焼部5の排ガス処理が行われるとき、発電酸素用ブロアー13を低出力状態で運転する。
【0070】
このように低出力状態で運転することによって、発電酸素用ブロアー13が早期に故障することを回避しながら、発電酸素用ブロアー13から水を排出させることができる。
【0072】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、対策工程として、低出力運転を行うようにしたが、この構成に代えて、燃料電池部の運転を停止させるようにしてもよい。
【0073】
(2)上記実施形態では、不具合判定工程において、出力電圧についての標準偏差を求め、その標準偏差と閾値とを比較して不具合を判定するようにしたが、出力電圧の単位時間当たりの変動量に基づいて不具合を判定するようにしたり、出力電圧の変化率に基づいて不具合を判定するようにしてもよい。
【0074】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、燃料電池システムに適用できる。
【符号の説明】
【0076】
3 運転制御部
4 改質部
5 燃焼部
12 燃料電池部
13 発電酸素用ブロアー
18 電圧検出部
19 電力検出部
23 アノード
24 カソード
図1
図2
図3
図4
図5