(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術は、生産ラインの途中では樋状部材内の養液に照明は当たらないが、栽培トレイが収穫される際に養液に照明が当たって藻が発生することに着目し、樋状部材の下端領域の内側面に養液の貯留をなくすことで、照明が当たりやすい下流端領域での藻の発生を防止した点で優れている。
【0005】
その上で、NFT方式の水耕栽培では、養液を流している樋(ガーター)の内面には下端領域で藻が発生するだけでなく、生産ライン途中の各所に養液中の成分(例えばSiO
2、Ca、Mg等)がスケールとなって滞留する点も見逃すことができない。生産ラインの途中で滞留したスケールは細菌のコロニーとなり、そこで増殖した細菌が栽培対象の植物に転移してしまう。このため、生産ライン途中の各所でも樋(ガーター)の内面を定期的に清掃してスケールを除去する必要がある。
【0006】
しかしながら、通常、樋(ガーター)の上には栽培トレイが数十枚連なって積載されているため、植物を栽培しながら樋の内面を清掃することは不可能である。樋(ガーター)を清掃する場合、栽培中の植物をはじめ栽培トレイを全て撤去しなければならず、その間(工場の規模に応じて1ヶ月以上)は植物の栽培・出荷が停止することになり、大きな経済的損失に繋がる。また、段取りを含めて清掃作業の規模が膨大であり、そのための労務費がかさむという問題もある。
【0007】
さらに、植物工場にとって生産ラインの稼働中は以下の点が問題となることも無視できない。
(1)生産ラインの各種設備についての保守・管理(例えば、照明用LEDの劣化調査等)を行う場合にも、清掃作業と同様に生産ラインを一時的に停める必要が生じる。
(2)工場内の室温等は、例えば定点設置したセンサ等で観測することは可能であるが、植物が実際に通過していく生産ライン上での環境条件(温度・湿度・光強度等)の計測は困難である。生産ライン上に計測器具等を定点設置すると植物の成長を阻害するし、そうかといって、計測作業のため人がクリーンルーム内に立ち入ることは衛生管理の観点から全く好ましくない。
(3)上記(2)と同様の理由で、植物自体の生長を近くでモニタリングしたり、映像に記憶したりすることも困難であるし、生産ライン内をカメラ画像等で目視検査することも困難である。
【0008】
そこで本発明は、生産ラインの稼働を止めることなく保守等の作業を効率的に行う技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を提供する。
【0010】
本発明の植物工場内生産ラインは、植物を保持した栽培トレイを複数枚連ねて列方向に搬送し、その搬送の過程(数日間)を通じて植物を栽培する構成を基本としつつ、栽培トレイの列内に機能トレイを組み入れ、これを栽培トレイに代替して栽培経路内を搬送させることにより、植物の栽培とは別の目的(例えば保守の目的)に応じた機能を果たすものである。
【0011】
本発明は、通常ならは、栽培経路上には植物を栽培するための「栽培トレイ」だけが当然の如く配置されているべきところ、その中に一部、「機能トレイ」を代替的に組み入れたところに独自の着眼点がある。「機能トレイ」は、栽培経路上の一部において「栽培トレイ」に代替して配置されるため、その分は生産ライン全体の生産性に影響するものの、全ての栽培トレイを撤去して保守等の作業にあたらなければならないことに比べれば、生産ラインを稼働させたままで機能できる本発明には格段の優位性がある。
【0012】
また、本発明には以下の着想がユニークである。
すなわち、なぜ別の目的に応じた機能を果たすものが「機能トレイ」であるかというと、他の「栽培トレイ」の配列間隔(秩序)を維持するためである。通常、栽培トレイの列は押せ押せ式に搬送され、栽培経路の始点に新たな栽培トレイを入庫するときは、終点で最古参の栽培トレイを出庫するサイクルを繰り返すことから、栽培トレイは全て大きさが統一されている。この場合、別の目的に応じた機能を果たすものを規格外のサイズ(例えば、1枚の栽培トレイより小さいもの)とすると、これを組み入れた位置で配列間隔(秩序)が乱れてしまい、入庫から出庫までのサイクルに悪影響が出てしまう。
【0013】
この点、本発明は別の目的に応じた機能を果たすものを「機能トレイ」とし、これが「栽培トレイ」に代替して搬送される構成としていることから、通常の配列間隔(秩序)を乱すことなく、植物の栽培サイクルを安定して継続させることができる。
【0014】
好ましくは、「機能トレイ」が樋(ガーター)又は光源(LED照明)に対する保守の機能を果たすことができるものとする。樋(ガーター)に対する保守は、具体的には内面の清掃である。また、光源(LED照明)に対する保守は、具体的には光強度のモニタリングである。これらの保守の機能は、「機能トレイ」として栽培経路内に組み入れられているからこそ実現可能なものであり、栽培経路の外からでは到底実現することができない。したがって、この点でも本発明の有用性は高いといえる。
【0015】
その他の好ましい態様として、「機能トレイ」は、(1)栽培経路内で植物が置かれている環境条件(温度、湿度、風速、二酸化炭素濃度等)を測定する。また、(2)栽培経路内で植物の栽培過程(生長過程)を撮像記録する。あるいは、(3)栽培経路内の設備品(光源設備、構造設備、配管設備等)を撮像記録する。これら(1)〜(3)の機能もまた、「機能トレイ」として栽培経路内に組み入れられているからこそ実現可能なものであり、栽培経路の外からでは到底実現することができないことから、やはり本発明の有用性が高いものであることが分かる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生産ラインの稼働を止めることなく保守等の作業を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、一実施形態の植物工場内生産ラインの構成を概略的に示す図である。植物工場には例えばクリーンルーム100が設置されており、クリーンルーム100は、図示しない空調設備や集塵設備、空気循環設備、殺菌設備等により室内コンディションが管理されている。また、クリーンルーム100内は通常、作業者の入出が規制されている。
【0020】
クリーンルーム100内において、植物の生産ラインは複数の階層をなして構成されている。具体的には、クリーンルーム100内には複数本の支柱102及び梁104等を組み合わせた多段型のラック(参照符号なし)が設置されており、その各段(各階層)に生産ラインが形成されている。
【0021】
各階層で支柱102間には長尺の栽培ガーター(樋)106が架け渡されており、1層あたり栽培ガーター106は幅方向(
図1では奥行方向)に複数本(6〜10本)並べて配置されている。したがって、各階層の生産ラインは下端(底面)を栽培ガーター106、上端(天面)を梁104として、支柱102間を横方向に延びている。
【0022】
また、各段(各階層)の栽培ガーター106には、通常1%〜2%(1/100〜1/50)程度の傾斜(勾配)が付与されている。生産ラインには入庫側(
図1でみて右側)と出庫側(
図1でみて左側)があり、栽培ガーター106は入庫側から出庫側に下り傾斜した状態に設置されている。
【0023】
各階層では、栽培ガーター106上に複数枚(数十枚程度)の栽培トレイ130が横方向に列をなして積載されている。これら栽培トレイ130は、入庫側から出庫側まで隙間なく、端縁同士を付き合わせにした状態で配列されている。なお、栽培トレイ130は栽培ガーター106上に直接載置されているのではなく、図示しないガイドレール上に載置されている形態であってもよい。
【0024】
栽培トレイ130は、1枚あたりに複数個の植物(ここではレタス等の野菜)を保持している。なお、植物は立姿勢(葉、茎等の器官を上向きとし、根を下向きとした姿勢)に保持されている。したがって、生産ライン内で植物の葉や茎は栽培トレイ130の上方に向かって伸びていき、根は栽培トレイ130の下方に垂れて栽培ガーター106の内面を這うように伸びていくことになる。
【0025】
各階層の栽培ガーター106内には養液(培養液)Lが自然流下されている。すなわち、クリーンルーム100内には養液タンク110が設置されており、養液タンク110内には十分な量の養液Lが貯留されている。養液タンク110の養液Lはポンプ112で汲み上げられ、供給配管114及び分岐配管116を通じて各階層まで圧送される。分岐配管116は各階層で個々の栽培ガーター106に接続されており、また、栽培ガーター106には、それぞれ始端領域に分岐配管116の吐出口(図示されていない)が開口している。分岐配管116から吐出された養液Lは栽培ガーター106内面を下り傾斜方向に自然流下する。このとき、各栽培ガーター106の内面上で養液Lの水深が薄膜状(例えば3mm程度)となる供給量にポンプ112の吐出量(m
3/min)が制御されている。
【0026】
また、各栽培ガーター106の終端領域には排出口(
図1には示されていない)が開口して形成されており、終端領域まで流れてきた養液Lは排出口から流下する。各排出口には階層ごとにドレン配管118が接続されており、全てのドレン配管118は最終的に回収配管120に接続されている。したがって、各栽培ガーター106に供給された養液Lはドレン配管118及び回収配管120を通じて回収され、図示しないフィルタで不純物を濾し取られた後に養液タンク110に戻される。
【0027】
各階層において、栽培トレイ130の列は図示しないアクチュエータにより押せ押せ式に入庫側から出庫側へ搬送される。すなわち、入庫側の栽培トレイ130を出庫側へ押すことで、列の全体が出庫側に向けて移動する。このとき栽培トレイ130の搬送は、例えば1日に数枚分の距離を移動するペースで制御・管理されている。また、クリーンルーム100内には図示しない入庫装置及び出庫装置が配置されており、このうち入庫装置は、栽培ガーター106の始端領域(始点)に新たな栽培トレイ130を追加する入庫動作を行い、出庫装置は、栽培トレイ130の終端領域(終点)から最古参の栽培トレイ130を回収する出庫動作を行う。
【0028】
生産ラインに新しく入庫される栽培トレイ130には、栽培対象の植物が苗(若芽)の状態で保持されており、一方、出庫される栽培トレイ130には、植物が出荷可能な大きさに生長した状態で保持されている。各階層では、図示しないLED照明(光源)が梁104に下向きで取り付けられており、栽培ガーター106上の植物には、LED照明により光が照射される。この光を浴びて植物は光合成を行い、また、根から酸素、水分、栄養物等を吸収して生長していく。
【0029】
このように、植物工場内の生産ラインには、各階層で栽培トレイ130を順次一方向に搬送しつつ、栽培ガーター106の始端領域から終端領域までの搬送区間を栽培トレイ130が搬送される過程(数日間)を通じて植物を栽培する栽培経路が形成されている。
【0030】
本実施形態では、各階層の栽培経路上に栽培トレイ130を配列することに加え、栽培トレイ130の列内に第1〜第5までの機能トレイ132,134,136,138,140を各階層に分散して組み入れている。例えば、
図1中で下から6段目の階層には第1の機能トレイ132が組み入れられている。また、下から5段目の階層には第2の機能トレイ134が組み入れられている。以下同様に、下から4段目の階層には第3の機能トレイ136が組み入れられており、下から3段目の階層には第4の機能トレイ138が組み入れられており、下から2段目の階層には第5の機能トレイ140が組み入れられている。これら機能トレイ132等は、他の栽培トレイ130とは別の目的に応じた機能を果たすものであり、植物は保持していない。
【0031】
図2は、
図1中の一部の階層を部分的に示した斜視図である。先ず、第1の機能トレイ132及び第2の機能トレイ134は、組み入れられた階層において栽培ガーター106の内面を清掃する機能を果たすものである。なお、第2の機能トレイ134は、上面にソーラーパネル150を備えた点が主に第1の機能トレイ132との違いである。
【0032】
次に、第3の機能トレイ136は、上面に電子機器160を設置したものであり、電子機器160は、例えばCPUやメモリ等のコンピュータ、バッテリ、入出力インタフェース等を内蔵している。また適宜、電子機器160は無線通信が可能な通信デバイスを内蔵していてもよい。いずれにしても、第3の機能トレイ136は、電子機器160に接続する各種センシングデバイス(図示していない)を搭載している。第3の機能トレイ136は、これらセンシングデバイス(センサ素子)と電子機器160により、組み入れられた階層におけるLED照明の光強度を測定する機能を果たすものである。あるいは、栽培経路(生産ライン)内で実際に植物が置かれている環境条件(例えば、温度、湿度、風速、二酸化炭素濃度等)を測定する機能を果たすこともできる。
【0033】
第4の機能トレイ138は、上面にカメラ170(
図1参照。
図2には示されていない。)を設置したものであり、このカメラ170により、隣接する位置の栽培トレイ130に保持された植物の生長過程を映像で記録する機能を果たすものである。
【0034】
図2には示されていないが、
図1に示されているように第5の機能トレイ140もまた、上面に複数台の監視カメラ180を設置している。これら複数台の監視カメラ180は、それぞれLED照明やその他の設備の外観を撮影可能な向きに設置されている。したがって、第5の機能トレイ140は、複数台の監視カメラ180の映像を通じてLED照明やその他の設備の外観検査を行う機能を果たすものである。
【0035】
ここで挙げた第1〜第5の機能トレイ132,134,136,138,140は、それぞれ異なる目的に応じた機能を果たすものであり、目的の違いによって使い分けが可能である。以下、機能トレイ132,134,136,138,140がそれぞれ目的とする機能について説明する。
【0036】
〔第1の機能トレイ〕
第1の機能トレイ132について説明する。第1の機能トレイ132は、主に栽培ガーター106の清掃を目的としたものである。
【0037】
図3は、生産ライン途中の適宜位置における栽培ガーター106及び栽培トレイ130の縦断面を示した図である。
図3中(A)に示されるように、植物は、栽培トレイ130の貫通孔130aの位置で保持されており、貫通孔130aには図示しない樹脂製保持具等がはめ込まれて植物を保持している。栽培ガーター106には常時、養液Lが薄膜状に流れているが、生産ラインの途中の各所で養液L中の成分(例えばSiO
2、Ca、Mg)がスケールとなって滞留することがある。このようなスケールは、栽培ガーター106内面に沿って流れる養液Lの水際(液面と栽培ガーター106内面との境界)で主に発生することが分かっている。これは、栽培ガーター106内を常に流れていても、水際近辺では養液Lが表面張力で内側面を登っていき、やがて水分が揮発して後に成分が残留することでスケールとなることに起因する。したがって、スケールの滞留はある意味で不可避のことであり、スケールを除去するためには定期的な清掃が欠かせない。
図3中(B)は、栽培ガーター106を平底形状(断面溝形状)とした例であるが、この場合でも水際にスケールが生じることは同様である。
【0038】
しかし、生産ラインを稼働させながら栽培ガーター106の内面を清掃することは不可能(非現実的)であり、この点がNFT方式の水耕栽培にあっては長らく解決しがたい課題とされてきた。本発明の発明者は、栽培ガーター106の列内に機能トレイ132,134等を組み入れ、これら機能トレイ132,134を栽培トレイ130に代替して搬送させることで清掃作業を実現するという独自の着想を得たものである。以下、第1,第2の機能トレイ132,134による清掃機能について説明する。
【0039】
図4は、第1の機能トレイ132を含む栽培経路の部分的な平面図である。機能トレイ132は、他の栽培トレイ130と同じ大きさ(サイズ)に統一されている。したがって、搬送方向及び幅方向に占める範囲(領域、面積)は、機能トレイ132と栽培トレイ130で同じである。栽培トレイ130には複数の植物が保持されているが、上記のとおり機能トレイ132は植物を保持するものではない。その代わり、機能トレイ132は下面に多数のスクレーパー片132a,132bを有しており、これらスクレーパー片132a,132bは、栽培トレイ130のいずれか片側の内側面に接している。また、スクレーパー片132a,132bは栽培ガーター106の長手方向に離れて配置されている。このため、スクレーパー片132a,132bはそれぞれの位置で栽培ガーター106の内側面を半分ずつ堰き止めるが、残り半分は開放しているため、
図4中の破線矢印に示されるように養液Lはスクレーパー片132a,132bを避けて流下することができる。したがって、養液Lの流れが妨げられることはない。また、養液Lは栽培ガーター106の終端領域に設けられた排水口106aから排出される。
【0040】
図5は、
図4中のV-V線に沿う断面図である。また、
図6は、
図4中のVI−VI線に沿う断面図である。
図5及び
図6の断面に示されているように、スクレーパー片132a,132bはいずれも栽培トレイ130の下面から栽培トレイ130内に突出して延びており、それぞれが対応する直下位置の栽培トレイ130の内側面にいずれかの片側で接している(いわゆる「摺接」)。スクレーパー片132a,132bは、おおよそ四分の一円形状をなしており、特に、栽培ガーター106の内側面に接する方の縁が栽培ガーター106の断面形状(ここでは半円形状)に合致させた曲線を描き、接しない方の縁が鉛直形状をなしている。
【0041】
このようなスクレーパー片132a,132bは、それぞれが接する側で栽培ガーター106の内側面を擦り、付着したスケールを掻き取ることができる。機能トレイ132は栽培トレイ130とともに搬送されていくので、搬送距離に応じた区間で栽培ガーター106の清掃が行われる。また、スケールは搬送方向の下流側に掻き出されるので、そのまま養液Lとともに流れていくことになる。また、掻き出されたスケールが何らかの形態で残っていても、後続の栽培トレイ130が通過する際に植物の根に引き摺られていくため、掻き出されたスケールが栽培ガーター106内に残留し続けることはない。
【0042】
スクレーパー片132a,132bの材質は、スケールの掻き取りに適したものを選定することができる。材質は栽培トレイ130の材質との関係を考慮して選定する。例えば、栽培トレイ130が金属、樹脂である場合、スクレーパー片132a,132bに金属製のものは用いず、軟質素材(例えば、ウレタンゴム、ネオプレンゴム、硬質ゴム等)とする。また、スクレーパー片132a,132bの先端面(栽培ガーター106との接触面)には起毛性の繊維を貼付してもよい。
【0043】
なお、
図5,
図6に示した形状は一例であり、栽培ガーター106の断面形状が
図3中(B)に示すような溝形状(平底)である場合、このような断面形状に合わせてスクレーパー片132a,132bを成型することができる。
【0044】
〔第2の機能トレイ〕
図7は、第2の機能トレイ134の構成を示す図である。上記のように、第2の機能トレイ134は、上面にソーラーパネル150を備えた点で第1の機能トレイ132とは異なるが、下面には同じスクレーパー片134a,134bを有している。また、第2の機能トレイ134は、下面にアクチュエータ152が設置されており、このアクチュエータ152は、スクレーパー片134a,134bに振動(超音波振動等)を与えることができる。上面に設置されたソーラーパネル150は、生産ラインに常設のLED照明からの光を受けて好適に発電することができる。ソーラーパネル150で発生させた電力でアクチュエータ152を駆動し、スクレーパー片134a,134bを高周波振動させることで、スケールの掻き取り能力を向上させることができる。したがって、スケールの堆積量が多くなってきた生産ラインに対しては、第2の機能トレイ134を組み入れることで好適に清掃を行うことができる。
【0045】
〔第3の機能トレイ〕
図8は、第3の機能トレイ136の構成を示す図である。第3の機能トレイ136は、上記のように電子機器160(
図8には示していない)を備える他、各種センサとして光強度センサ162、温度センサ164、湿度センサ166、風速センサ168、CO
2センサ172等を備えている。このうち光強度センサ162は、組み入れられた生産ライン内でのLED照明の光強度を測定する。温度センサ164は、同じく組み入れられた生産ライン内で植物の周囲温度を測定する。同様に、湿度センサ166は組み入れられた生産ライン内で植物の周囲湿度を測定し、風速センサ168は組み入れられた生産ライン内で植物の周囲風速を測定する。そして、CO
2センサ172は、組み入れられた生産ライン内で植物の周囲二酸化炭素濃度を測定する。各種の測定値は、測定信号として電子機器160で処理され、RAM等の記憶装置に日時とともに記録される。また、記録した測定値は、電子機器160の無線通信機能を用いてリアルタイムに入手することもできるし、機能トレイ136を出庫側から回収した後、電子機器160のRAM等から読み出して入手することもできる。
【0046】
第3の機能トレイ136は、以下の課題に対応する。
通常、生産ラインの各種設備についての保守・管理(例えば、照明用LEDの劣化調査等)は、生産ラインの稼働を一時的に停止した上で観測しなければならない。また、生産ラインの稼働中は、栽培される植物が実際に通過していく生産ライン上での環境条件(温度、湿度、風速、二酸化炭素濃度等)の計測も困難である。本発明の発明者は、栽培ガーター106の列内に機能トレイ136を組み入れ、機能トレイ136を栽培トレイ130に代替して搬送させることで各種の測定作業を実現するという独自の着想を得たものである。
【0047】
〔第4の機能トレイ〕
図9は、第4の機能トレイ138の構成を示す図である。第4の機能トレイ138は、上記のように上面にカメラ170を設置したものである。このカメラ170は、隣接する栽培トレイ130の植物にレンズを向けられており、生産ラインの稼働中は、栽培トレイ130上で植物が生長していく過程を記録媒体(メモリカード等)に撮像記録する。カメラ170の映像はリアルタイム(無線通信)で取得することもできるし、機能トレイ138を出庫側から回収した後、記録媒体を通じて再生することもできる。
【0048】
第4の機能トレイは、以下の課題に対応する。
第3の機能トレイ136の場合と同様の理由で、植物自体の生長を近くでモニタリングしたり、映像に記憶したりすることは困難であるが、本発明の発明者は、栽培ガーター106の列内に機能トレイ138を組み入れ、機能トレイ138を栽培トレイ130に代替して搬送させることで記録作業を実現するという独自の着想を得たものである。
【0049】
〔第5の機能トレイ〕
図10は、第5の機能トレイ140の構成を示す図である。第5の機能トレイ140は、上記のように上面に複数台(ここでは2台だが、3台以上でもよい)の監視カメラ180を設置したものである。監視カメラ180の一部は、上方のLED照明にレンズが向けられており、照明用LEDの外観を記録媒体に撮像記録する。その他の監視カメラ180は、生産ラインの各種設備品(構造物等)にレンズが向けられることで、各種設備品の外観を撮像記録する。各監視カメラ180の映像はリアルタイム(無線通信)で取得することもできるし、機能トレイ140を出庫側から回収した後、記録媒体を通じて再生することもできる。
【0050】
第5の機能トレイ140は、以下の課題に対応する。
第3の機能トレイ136の場合と同様の理由で、生産ラインの各種設備品を稼働中にモニタリングしたり、映像に記憶したりすることは困難であるが、本発明の発明者は、栽培ガーター106の列内に機能トレイ140を組み入れ、機能トレイ140を栽培トレイ130に代替して搬送させることで映像を通じた外観検査(目視検査)作業を実現するという独自の着想を得たものである。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、各種の機能トレイ132,134,136,138,140を各階層に分散して組み入れることで、生産ラインの稼働を停めることなく、それぞれの目的に応じた機能を果たすことができる。したがって、経済的な損失を被ることなく、長期間にわたって植物工場内生産ラインを好適に稼働させ続けることができる。
【0052】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。一実施形態では、栽培対象の植物として野菜を例に挙げているが、野菜以外の植物を栽培対象とする植物工場内生産ラインとして実施してもよい。
【0053】
また、一実施形態ではNFT方式の水耕栽培で説明したが、これ以外の方式(DFT等)の水耕栽培を行う植物工場内生産ラインとして実施してもよい。
【0054】
ソーラーパネル150は、第3の機能トレイ136に適用してもよい。この場合、電子機器160の電源をソーラーパネル150でまかなうことができる。同様に、第4の機能トレイ138、第5の機能トレイ140にも適用可能である。
また、第1の機能トレイ132や第2の機能トレイ134と第3の機能トレイ136、第4の機能トレイ138、第5の機能トレイ140等の複数の機能を組み合わせて別の機能トレイを構成してもよい。
【0055】
機能トレイとして第1から第5を例に挙げているが、機能トレイはその他の機能を果たすものであってもよい。また、機能トレイを生産ラインに組み入れるスケジュールについては任意とすることができるし、いずれかの機能トレイを組み入れる生産ラインは
図1、
図2に示される例に限らない。さらに、機能トレイは必ず全ての生産ラインに組み入れなくてもよいし、逆に、1つの生産ラインに複数の機能トレイを組み入れてもよい。
【0056】
その他、例に挙げた各種構成部品や設備品はいずれも一例であり、適宜に数量や大きさ、形状を変形可能である。