特許第6861560号(P6861560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861560
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】太陽電池ブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20210412BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20210412BHJP
   H01L 31/042 20140101ALI20210412BHJP
【FI】
   E06B9/264 B
   E06B5/00 A
   H01L31/04 500
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-71549(P2017-71549)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-172919(P2018-172919A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 久史
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−113365(JP,A)
【文献】 特開2010−219349(JP,A)
【文献】 特開2015−228724(JP,A)
【文献】 特開2004−027661(JP,A)
【文献】 特開2012−204651(JP,A)
【文献】 米国特許第05221363(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102012111884(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 9/24− 9/388
H01L 31/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に長尺な複数のスラットを縦方向に配列して構成される太陽電池ブラインドであって、
配列された前記複数のスラットを複数の領域に区分けしたときに、所定の第1領域に配置される第1太陽電池クラスタと、所定の第2領域に配置される第2太陽電池クラスタと、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域に配置される第3太陽電池クラスタとを備え、
前記第1および第2太陽電池クラスタが並列に接続される第1接続状態と、前記第1および第2太陽電池クラスタが直列に接続される第2接続状態とが切替可能に構成され、
前記第1接続状態では、第1乃至第3太陽電池クラスタが並列に接続され、
前記第2接続状態では、第1および第2太陽電池クラスタが直列に接続され、その直列に接続される第1および第2太陽電池クラスタと前記第3太陽電池クラスタとが並列に接続されることを特徴とする太陽電池ブラインド。
【請求項2】
前記第1および第2太陽電池クラスタは、それぞれ、直列に接続される複数の太陽電池セルと、前記複数の太陽電池セルのうち一部の太陽電池セルと並列に接続される第1バイパスダイオードと、前記複数の太陽電池セルのうち残りの太陽電池セルと並列に接続される第2バイパスダイオードと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池ブラインド。
【請求項3】
前記第1および第2領域は、当該太陽電池ブラインドを建物に設置したときに日陰になりやすい領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池ブラインド。
【請求項4】
前記第1領域は、配列された前記複数のスラットにおける左端の縦方向に長尺な領域であり、
前記第2領域は、配列された前記複数のスラットにおける右端の縦方向に長尺な領域であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池ブラインド。
【請求項5】
前記第3領域は、中央上部領域と中央下部領域とを含み、
前記中央上部領域および前記中央下部領域にそれぞれ太陽電池クラスタが配置されることを特徴とする請求項に記載の太陽電池ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルを備えたブラインドである太陽電池ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エネルギー効率を向上する目的で太陽電池セルを備えた太陽電池ブラインドが知られている。例えば特許文献1には太陽電池モジュールを備えるブラインドが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のブラインドは、スラットと、スラットを保持する鉛直方向に延在するラダーコードと、スラットを上下動させる昇降コードとを備えており、スラットには太陽電池モジュールが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−136928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなブラインドは建物の窓やガラス壁の室内側に設置される場合が多い。例えばビルの窓際に設置されるブラインドには、窓枠などの枠組みや、庇などの建物の突出物による日陰が太陽電池に掛かることがある。太陽電池ブラインドにおいては、このような日陰は太陽電池の全体でなくその一部に掛かる場合が多い。
【0006】
太陽電池の一部に日陰が掛かる場合、太陽電池全体の発電出力が大幅に低下する問題がある。これは、太陽電池の発電単位である太陽電池セルのうち、日陰になり光があたっていない太陽電池セルでは、発電量の低下に加えて等価抵抗が大幅に増えることに起因する。つまり、多数の太陽電池セルが直列に接続された太陽電池では、一部の太陽電池セルの等価抵抗が大幅に増大することで、その等価抵抗により太陽電池全体の出力が大幅に制限される。また、日陰になった太陽電池セルに電流を流すとその部分でのジュール熱が増えて太陽電池セルに熱ストレスを与えるおそれもある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、太陽電池ブラインドにおいて、一部の太陽電池セルに日陰が掛かる場合に、太陽電池ブラインド全体の発電出力の低下を抑制可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の太陽電池ブラインドは、横方向に長尺な複数のスラットを縦方向に配列して構成される太陽電池ブラインドであって、配列された複数のスラットを複数の領域に区分けしたときに、所定の第1領域に配置される第1太陽電池クラスタと、所定の第2領域に配置される第2太陽電池クラスタと、を備える。第1および第2太陽電池クラスタが並列に接続される第1接続状態と、第1および第2太陽電池クラスタが直列に接続される第2接続状態とが切替可能に構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、太陽電池ブラインドにおいて、一部の太陽電池セルに日陰が掛かる場合に太陽電池ブラインド全体の発電出力の低下を抑制可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る太陽電池ブラインドの正面図である。
図2】本実施形態に係る太陽電池ブラインドの模式図である。
図3】複数のスラットの全領域が太陽光を受けているときの太陽電池クラスタの接続状態を示す図である。
図4】複数のスラットの左端領域に日陰が掛かったときの太陽電池クラスタの接続状態を示す図である。
図5】複数のスラットの上側半分の領域に日陰が掛かったときの太陽電池クラスタの接続状態を示す図である。
図6】複数のスラットの左端上部と右端下部の領域に日陰が掛かったときの太陽電池クラスタの接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る太陽電池ブラインド10の正面図である。この太陽電池ブラインド10は、窓枠100内に取り付けられる。
【0013】
本実施形態に係る太陽電池ブラインド10は、横方向に長尺な複数(ここでは8枚)のスラット12を縦方向にすだれ状に配列して構成される。各スラット12は、例えば横長の略矩形状に形成される。各スラットに複数の太陽電池セル(図示せず)が配置される。
【0014】
太陽電池ブラインド10はさらに、ヘッドボックス14と、ボトムレール16と、ラダーコード18と、昇降コード20とを備える。
【0015】
ヘッドボックス14は複数のスラット12の上段に設けられ太陽電池ブラインド10の最上段を構成する。ヘッドボックス14は、窓枠100に固定される。ヘッドボックス14にはスラット12の角度調整機構(図示せず)および昇降機構(図示せず)などが内蔵される。
【0016】
ボトムレール16は、複数のスラット12の下段に設けられ太陽電池ブラインド10の最下段を構成する。
【0017】
ラダーコード18は、太陽電池ブラインド10のスラット12の角度を調節するためのコード部材である。ラダーコード18は、各スラット12の幅方向の両サイドに結合される。ラダーコード18の上端は、ヘッドボックス14内の角度調整機構(図示せず)に連結される。
【0018】
昇降コード20は、ボトムレール16を引き上げることで複数のスラット12を畳んで引き上げ、ボトムレール16を降下させることで複数のスラット12を開いて降下させるためのコード部材である。昇降コード20の下端はスラット12に穿設された通孔22を通ってボトムレール16に連結される。昇降コード20の上端はヘッドボックス14内の昇降機構に連結される。
【0019】
本実施形態に係る太陽電池ブラインド10においては、図1に示すように、配列された複数のスラット12を正面視で複数(ここでは4つ)の領域に区分けする。4つの領域とは、配列された(言い換えると完全に降ろされた)複数のスラット12を正面視したときに、左端の縦方向に長尺な領域である左端領域24、右端の縦方向に長尺な領域である右端領域26、左端領域24と右端領域26の間の上側の領域である中央上部領域28、および左端領域24と右端領域26の間の下側の領域である中央下部領域30である。なお、「複数のスラットを複数の領域に区分けする」とは、複数のスラットを物理的に複数の領域に分割するのではないことに留意されたい。以下で説明するように、区分けされた各領域には太陽電池クラスタが配置される。
【0020】
左端領域24および右端領域26は、窓枠100等の存在により比較的日陰になりやすい領域である。一方、中央上部領域28および中央下部領域30は、比較的日陰になりにくい領域である。
【0021】
図2は、本実施形態に係る太陽電池ブラインド10の模式図である。図2は、図1で説明したように区分けされた4つの領域に配置される太陽電池クラスタを示す。太陽電池クラスタは、互いに直列に接続される複数の太陽電池セルを備える。太陽電池セルは光起電力効果を利用し、光エネルギーを電力に変換するように構成される。太陽電池クラスタは、複数の太陽電池セルを電気的に直列に接続して必要な所定の電圧を得られるようにしたモジュールである。
【0022】
図2に示すように、左端領域24には左端太陽電池クラスタ32が配置される。この左端太陽電池クラスタ32は、左端領域24の上部領域に配置される左端上部太陽電池サブクラスタ32aと、左端領域24の下部領域に配置される左端下部太陽電池サブクラスタ32bとを含む。
【0023】
右端領域26には右端太陽電池クラスタ34が配置される。この右端太陽電池クラスタ34は、右端領域26の上部領域に配置される右端上部太陽電池サブクラスタ34aと、右端領域26の下部領域に配置される右端下部太陽電池サブクラスタ34bとを含む。
【0024】
中央上部領域28には中央上部太陽電池クラスタ36が配置される。また、中央下部領域30には中央下部太陽電池クラスタ38が配置される。
【0025】
左端上部太陽電池サブクラスタ32aおよび左端下部太陽電池サブクラスタ32bは、それぞれ、直列に接続される複数(ここでは8個)の太陽電池セル40と、これら8個の太陽電池セル40と並列に接続されるバイパスダイオード42と、末端の太陽電池セル40の下流に接続される逆流防止ダイオード44とを備える。図2に示すように、左端上部太陽電池サブクラスタ32aと左端下部太陽電池サブクラスタ32bとが直列に接続されて、左端太陽電池クラスタ32が構成される。
【0026】
左端太陽電池クラスタ32は、複数(16個)の太陽電池セル40が直列に接続され、これら複数の太陽電池セル40のうち、左端領域24の上部領域に配置される一部(8個)の太陽電池セル40に対して並列にバイパスダイオード42および直列に逆流防止ダイオード44が接続され、残り(8個)の太陽電池セル40に対して並列にバイパスダイオード42および直列に逆流防止ダイオード44が接続される、と見ることもできる。
【0027】
上記のような左端太陽電池クラスタ32の構成は、右端太陽電池クラスタ34についても同様である。
【0028】
太陽電池セル40は、PN接合を含むフォトダイオード構造を有しており、その表面に当たった光エネルギーをPN接合で直接電気エネルギーに変換して出力する。このため、日陰になり光があたっていない日陰部分の太陽電池セル40では、光があたっている太陽電池セル40より発電量が低下するとともに等価抵抗が大幅に増大して、太陽電池ブラインド10全体の出力を大幅に低下させる。また、日陰部分の太陽電池セル40に電流を流すとその部分での発熱が増大して、その太陽電池セル40に熱ストレスを与えるおそれがある。太陽電池セル40と並列にバイパスダイオード42を設けることにより、太陽電池セル40の抵抗が増大した場合にはバイパスダイオード42にバイパス電流が流れるので、これらの不都合を防ぐことができる。
【0029】
逆流防止ダイオード44は、他のクラスタ等から電流が逆流するのを防ぐ機能を有する。
【0030】
中央上部太陽電池クラスタ36および中央下部太陽電池クラスタ38は、それぞれ、直列に接続される複数(ここでは16個)の太陽電池セル40と、末端の太陽電池セル40の下流に接続される逆流防止ダイオード44とを備える。
【0031】
太陽電池ブラインド10において、太陽電池セル40等の電気的構成要素は配線により接続される。配線は、スラット12内の配線と、スラット12間を跨ぐ配線などのスラット12外の配線とを含む。スラット12内の配線は、例えばプリント配線を用いることができる。スラット12外の配線は、例えばリード線を用いることができる。このようなリード線はラダーコード18や昇降コード20に内蔵されてよい。また、リード線はラダーコード18や昇降コード20とは別に、スラット12に穿設された通孔22を通るように設けられてもよい。
【0032】
左端太陽電池クラスタ32、右端太陽電池クラスタ34、中央上部太陽電池クラスタ36および中央下部太陽電池クラスタ38は、外部接続の正極端子46と負極端子48の間に接続される。本実施形態に係る太陽電池ブラインド10において、左端太陽電池クラスタ32、右端太陽電池クラスタ34、中央上部太陽電池クラスタ36および中央下部太陽電池クラスタ38は、互いに並列に接続される第1接続状態と、左端太陽電池クラスタ32および右端太陽電池クラスタ34が直列に接続され、その直列に接続される左端太陽電池クラスタ32および右端太陽電池クラスタ34と中央上部太陽電池クラスタ36、中央下部太陽電池クラスタ38とが並列に接続される第2接続状態とを切替可能に配線される。このような第1接続状態と第2接続状態の切替を行うために、太陽電池ブラインド10は第1スイッチ50および第2スイッチ52を備える。第1スイッチ50および第2スイッチ52は、例えばヘッドボックス14内やボトムレール16内に設けられてよい。
【0033】
第1スイッチ50の切替基端50aは、左端太陽電池クラスタ32の出力端に接続され、外部接続の負極端子48に接続された切替端50bと、第2スイッチ52の切替端52cに接続された50cとのいずれかに接続される。第2スイッチ52の切替基端52aは、右端太陽電池クラスタ34に入力端に接続され、外部接続の正極端子46に接続された切替端52bと、第1スイッチ50の切替端50cに接続された切替端52cとのいずれかに接続される。
【0034】
第1スイッチ50の切替基端50aが切替端50bに接続され、且つ第2スイッチ52の切替基端52aが切替端52bに接続されるとき、左端太陽電池クラスタ32、右端太陽電池クラスタ34、中央上部太陽電池クラスタ36および中央下部太陽電池クラスタ38が全て互いに並列に接続される第1接続状態となる。
【0035】
一方、第1スイッチ50の切替基端50aが切替端50cに接続され、且つ第2スイッチ52の切替基端52aが切替端52cに接続されるとき、左端太陽電池クラスタ32および右端太陽電池クラスタ34が直列に接続され、その直列に接続される左端太陽電池クラスタ32および右端太陽電池クラスタ34と中央上部太陽電池クラスタ36、中央下部太陽電池クラスタ38とが並列に接続される第2接続状態となる。
【0036】
このように、本実施形態に係る太陽電池ブラインド10では、2つのスイッチ(第1スイッチ50および第2スイッチ52)を用いて、4つの太陽電池クラスタの並列、一部直列の接続状態を切替可能に構成されている。第1スイッチ50および第2スイッチ52の切替は、手動でなされてもよいし、制御装置を用いて自動でなされてもよい。
【0037】
次に、太陽電池ブラインド10の動作について説明する。図3は、複数のスラット12の全領域が太陽光を受けているときの太陽電池クラスタの接続状態を示す。このとき、第1スイッチ50の切替基端50aが切替端50bに接続され、且つ第2スイッチ52の切替基端52aが切替端52bに接続されて、4つの太陽電池クラスタが全て互いに並列に接続される第1接続状態とされる。この場合、各太陽電池クラスタの有する太陽電池セル40の数は等しいので、各太陽電池クラスタから必要な所定の電圧を確保することができる。
【0038】
図4は、複数のスラット12の左端領域24に日陰が掛かったときの太陽電池クラスタの接続状態を示す。このときも、第1スイッチ50の切替基端50aが切替端50bに接続され、且つ第2スイッチ52の切替基端52aが切替端52bに接続されて、4つの太陽電池クラスタが全て互いに並列に接続される第1接続状態とされる。この場合、日陰が掛かった左端領域24の左端太陽電池クラスタ32は出力電圧が大幅に低下するが、他の3つの太陽電池クラスタから必要な所定の電圧を確保することができる。
【0039】
図5は、複数のスラット12の上側半分の領域に日陰が掛かったときの太陽電池クラスタの接続状態を示す。このとき、第1スイッチ50の切替基端50aが切替端50cに接続され、且つ第2スイッチ52の切替基端52aが切替端52cに接続される。これにより、左端太陽電池クラスタ32および右端太陽電池クラスタ34が直列に接続され、その直列に接続される左端太陽電池クラスタ32および右端太陽電池クラスタ34と中央上部太陽電池クラスタ36、中央下部太陽電池クラスタ38とが並列に接続される第2接続状態となる。
【0040】
この場合、日陰が掛かった左端上部太陽電池サブクラスタ32a、右端上部太陽電池サブクラスタ34aおよび中央上部太陽電池クラスタ36は発電出力が大幅に低下するが、左端下部太陽電池サブクラスタ32bと右端下部太陽電池サブクラスタ34bとが直列に接続され、1つのクラスタと同じ働きをする。その結果、左端下部太陽電池サブクラスタ32bおよび右端下部太陽電池サブクラスタ34bと、中央下部太陽電池クラスタ38の2つの太陽電池クラスタから必要な所定の電圧を確保することができる。
【0041】
仮に、図5のように複数のスラット12の上側半分の領域に日陰が掛かった状態で、4つの太陽電池クラスタが全て互いに並列に接続される第1接続状態とした場合、左端太陽電池クラスタ32と右端太陽電池クラスタ34の出力電圧は太陽電池ブラインド10として必要な所定の電圧の半分となるので、中央下部太陽電池クラスタ38からしか所定の電圧を確保することができない。このことから分かるように、本実施形態のように太陽電池クラスタの接続状態を切り替えることにより、太陽電池ブラインド10全体の発電出力の低下を抑制できる。
【0042】
ここでは、複数のスラット12の上側半分の領域に日陰が掛かった場合について説明したが、複数のスラット12の下側半分の領域に日陰が掛かった場合も同様である。
【0043】
図6は、複数のスラット12の左端上部と右端下部の領域に日陰が掛かったときの太陽電池クラスタの接続状態を示す。このときも、第1スイッチ50の切替基端50aが切替端50cに接続され、且つ第2スイッチ52の切替基端52aが切替端52cに接続される。これにより、左端太陽電池クラスタ32および右端太陽電池クラスタ34が直列に接続され、その直列に接続される左端太陽電池クラスタ32および右端太陽電池クラスタ34と中央上部太陽電池クラスタ36、中央下部太陽電池クラスタ38とが並列に接続される第2接続状態となる。
【0044】
この場合、日陰が掛かった左端上部太陽電池サブクラスタ32aおよび右端下部太陽電池サブクラスタ34bは発電出力が大幅に低下するが、左端下部太陽電池サブクラスタ32bと右端上部太陽電池サブクラスタ34aとが直列に接続され、1つのクラスタと同じ働きをする。その結果、左端下部太陽電池サブクラスタ32bおよび右端上部太陽電池サブクラスタ34a、中央上部太陽電池クラスタ36および中央下部太陽電池クラスタ38の3つの太陽電池クラスタから必要な所定の電圧を確保することができる。
【0045】
仮に、図6のように複数のスラット12の左端上部と右端下部の領域に日陰が掛かった状態で、4つの太陽電池クラスタが全て互いに並列に接続される第1接続状態とした場合、左端太陽電池クラスタ32と右端太陽電池クラスタ34の出力電圧は太陽電池ブラインド10として必要な所定の電圧の半分となるので、中央上部太陽電池クラスタ36および中央下部太陽電池クラスタ38の2つの太陽電池クラスタからしか所定の電圧を確保することができない。このことから分かるように、本実施形態のように太陽電池クラスタの接続状態を切り替えることにより、太陽電池ブラインド10全体の発電出力の低下を抑制できる。
【0046】
ここでは、複数のスラット12の左端上部と右端下部の領域に日陰が掛かった場合について説明したが、複数のスラット12の左端下部と右端上部の領域に日陰が掛かった場合も同様である。
【0047】
第1接続状態と第2接続状態を切り替えるための第1スイッチ50および第2スイッチ52の切替は、手動でなされてもよいし、制御装置を用いて自動でなされてもよい。例えば、太陽光を検知するセンサを各領域に配置し、センサの検知結果に基づいて第1スイッチ50および第2スイッチ52を切り替えるようにしてもよい。あるいは、時刻に応じた日陰の掛かり方の情報を学習または取得して、該情報に基づいて第1スイッチ50および第2スイッチ52を切り替えるようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0049】
上述の実施形態では、複数のスラット12を左端領域24、右端領域26、中央上部領域28および中央下部領域30に区分けし、各領域に太陽電池クラスタを配置した場合について説明したが、当然ながら他の区分け方も可能であり、また、直列接続と並列接続を切り替える太陽電池クラスタが変更されてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、1つのブラインド内の各太陽電池クラスタの配線構造を示したが、1つのブラインド全体を1つの太陽電池クラスタと見なし、建物の1フロア内の複数のブラインドの配線をつないだ場合は、ブラインド間の配線を直列または並列に切替可能としてもよい。この場合、完全に日陰に入ったブラインドをバイパスして、複数のブラインド全体の発電出力の低下を抑制できる。
【0051】
以上の記載から、下記の発明が認識される。
【0052】
本発明のある態様の太陽電池ブラインドは、横方向に長尺な複数のスラットを縦方向に配列して構成される太陽電池ブラインドであって、配列された複数のスラットを複数の領域に区分けしたときに、所定の第1領域に配置される第1太陽電池クラスタと、所定の第2領域に配置される第2太陽電池クラスタと、を備える。第1および第2太陽電池クラスタが並列に接続される第1接続状態と、第1および第2太陽電池クラスタが直列に接続される第2接続状態とが切替可能に構成される。
【0053】
この態様によると、第1および第2太陽電池クラスタの接続状態を直列と並列とに切り替えることにより、日陰の掛かり方に応じて好適な太陽電池クラスタの接続状態を選択することができ、その結果、太陽電池ブラインド全体の発電出力の低下を抑制できる。
【0054】
第1および第2領域は、当該太陽電池ブラインドを建物に設置したときに日陰になりやすい領域であってもよい。
【0055】
第1領域と第2領域との間の第3領域に配置される第3太陽電池クラスタをさらに備えてもよい。第1接続状態では、第1乃至第3太陽電池クラスタが並列に接続され、第2接続状態では、第1および第2太陽電池クラスタが直列に接続され、その直列に接続される第1および第2太陽電池クラスタと第3太陽電池クラスタとが並列に接続されてもよい。
【0056】
第1領域は、配列された複数のスラットにおける左端の縦方向に長尺な領域であり、第2領域は、配列された複数のスラットにおける右端の縦方向に長尺な領域であってもよい。
【0057】
第3領域は、中央上部領域と中央下部領域とを含み、中央上部領域および中央下部領域にそれぞれ太陽電池クラスタが配置されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 太陽電池ブラインド、 12 スラット、 14 ヘッドボックス、 16 ボトムレール、 18 ラダーコード、 24 左端領域、 26 右端領域、 28 中央上部領域、 30 中央下部領域、 32 左端太陽電池クラスタ、 34 右端太陽電池クラスタ、 36 中央上部太陽電池クラスタ、 38 中央下部太陽電池クラスタ、 40 太陽電池セル、 42 バイパスダイオード、 44 逆流防止ダイオード、 50 第1スイッチ、 52 第2スイッチ、 100 窓枠。
図1
図2
図3
図4
図5
図6