特許第6861563号(P6861563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861563
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】フォークリフト用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/12 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B66F9/12 R
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-74088(P2017-74088)
(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-177383(P2018-177383A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】517118065
【氏名又は名称】有限会社三兄
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】大島 久利
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−124996(JP,U)
【文献】 特開2009−132512(JP,A)
【文献】 実開昭47−026772(JP,U)
【文献】 特開2004−051354(JP,A)
【文献】 実開平07−015694(JP,U)
【文献】 実開昭53−138384(JP,U)
【文献】 実開平07−000997(JP,U)
【文献】 実開昭54−157377(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトが備えるフォークを挿入するホルダ部と、前記ホルダ部に固定された所定機能のツール部と、前記ホルダからの前記フォークの脱離を防止するロック部を備え、
前記ロック部は、
前記ホルダ部に挿入された各フォークの背後で上下に進退するロックピンと、
前記ロックピンをその先端部で押し上げるテコ棒と、
前記ロックピンの長手方向をその昇降方向に維持する昇降ガイドと、
前記テコ棒の中間部を揺動可能に支持する軸受けと、
前記テコ棒の末端部を引き下げるウエイトを備え、
前記ロックピンは、前記昇降ガイドへ離脱自在に装填され、
前記ウエイトは、
前記ウエイトが地面から離れた時に前記ロックピンの先端部は前記ホルダ部に挿入された各フォークの背後に突出し、
前記ウエイトが着地し且つ前記フォークが昇降下限に達した時に前記ロックピンの先端部を前記ホルダ部に挿入された各フォークの背後から退避させることを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【請求項2】
前記ロック部は、上下に向けられた前記昇降ガイド、及び前記テコ棒を縦に揺動させる軸受けを支持し、その接地をもってフォークの昇降の下限とするフレームを備え、
前記ウエイトが前記フレームの下面より下降した時に前記ロックピンの先端部は前記ホルダ部に挿入された各フォークの背面に係る位置まで突出させ、且つ
前記ウエイトの下面が前記フレームの下面が一致した時に前記ロックピンの先端を前記ホルダ部に挿入された各フォークの下面より下降させることを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト用アタッチメント。
【請求項3】
前記フレームの側面の最下位に少なくとも一側面の全幅にわたる開口部を備えることを特徴とする請求項2に記載のフォークリフト用アタッチメント。
【請求項4】
前記ロックピンは、前記昇降ガイドから離脱自在な棒体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフォークリフト用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト用アタッチメントに関し、特に、当該アタッチメントの着脱の便宜及びそれに携わる作業者の安全対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトは、一般的に、左右2本のフォークをマストに沿って昇降させることにより、荷物の積み下ろし及び移送を行うものである。
一方で、そのフォークに様々な機能を持つアタッチメントを装着し、マストの傾倒動作及びフォークの昇降動作を利用して、当該フォークリフトが持つ能力に応じた所望の機能を発揮せしめることもある。
【0003】
フォークにアタッチメントを装着する際は、フォークとアタッチメントの一体性を高めることによる作業性への便宜や、意図せぬ離脱で生じ得る事故への配慮から、各フォークの背面に外れ止めとして機能するピンを挿通することが一般的である(例えば下記特許文献1又は2参照)。
なかには、フォークに対するアタッチメントの姿勢を安定させるべく、前傾防止構造を付設したものも紹介されている(例えば下記特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−301989号公報
【特許文献2】特開2003−193445号公報
【特許文献3】特開2016−5978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の手法では、アタッチメントの着脱の際には、必ず外れ止めのピンを抜き差しする作業が伴い、その作業は、フォークリフトの能力が高い程、労力や時間の面で過酷となり、そこには危険が伴う。
加えて、その様な作業であれば、安易にアタッチメントの着脱や交換もできず、作業上の便宜に欠けるという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、安全で手軽な着脱が可能なフォークリフト用アタッチメントの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明によるフォークリフト用アタッチメントは、フォークリフトが備えるフォークを挿入するホルダ部と、前記ホルダ部に固定された所定機能のツール部と、前記ホルダからの前記フォークの脱離を防止するロック部を備え、前記ロック部は、前記ホルダ部に挿入された各フォークの背後で上下に進退するロックピンと、前記ロックピンをその先端部で押し上げるテコ棒と、前記ロックピンの長手方向をその昇降方向に維持する昇降ガイドと、前記テコ棒の中間部を揺動可能に支持する軸受けと、前記テコ棒の末端部を引き下げるウエイトを備え、前記ロックピンは、前記昇降ガイドへ離脱自在に装填され、前記ウエイトは、前記ウエイトが地面から離れた時に前記ロックピンの先端部は前記ホルダ部に挿入された各フォークの背後に突出し、前記ウエイトが着地し且つ前記フォークが昇降下限に達した時に前記ロックピンの先端部を前記ホルダ部に挿入された各フォークの背後から退避させることを特徴とする。
【0008】
前記ロック部は、上下に向けられた前記昇降ガイド、及び前記テコ棒を縦に揺動させる軸受けを支持し、その接地をもってフォークの昇降の下限とするフレームを備え、前記ウエイトが前記フレームの下面より下降した時に前記ロックピンの先端部は前記ホルダ部に挿入された各フォークの背面に係る位置まで突出させ、且つ前記ウエイトの下面が前記フレームの下面が一致した時に前記ロックピンの先端を前記ホルダ部に挿入された各フォークの下面より下降させる構成とすることができる。
【0009】
前記フレームを閉鎖型とする場合であっても、前記フレームの側面の最下位に少なくとも一側面の全幅にわたる開口部を備える構成を採ることが望ましい。
尚、前記ロックピンは、前記昇降ガイドから離脱自在な棒体であることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるフォークリフト用アタッチメントによれば、フォークリフトから降車することなく、フォークに対してアタッチメントを着脱することができ、しかも、アタッチメントの装着を確実に維持するロックピンが突出して顕在化すると共に、ウエイトがフレームより十分に下位に存在するという状態を以ってアタッチメントがロックされていることを容易に目視できるため、作業の安全性を高めることができる。
【0011】
アタッチメントの使用に際しても、フォークをウエイトとフレームの下面が一致する下限に下ろさない限り、フォークでアタッチメントを安定して保持することができるため、アタッチメントの扱いや交換に際して、過酷な作業や時間の浪費が回避でき、安全な作業が可能となる他、アタッチメントの着脱や交換をこまめに行うことによって、作業の質も向上することとなる。
【0012】
また、前記ロックピンは、簡素な棒状とされているため、前記昇降ガイドの内空部から容易に取り出して清掃や交換を行うことができ、当該ロックピンを装填する昇降ガイドの底が抜けているために、内空部に進入したゴミや屑などを当該アタッチメントの使用に伴って自然落下させ、自然な清掃作用を享受することができる。
【0013】
更に、前記ロックピンは、前記の如く離脱自在であるため、当該ロックピンついて長さが異なるものを複数準備し、必要に応じてフォークとポケットの底板との間に敷く為に厚さの異なる複数の底敷板(図1又は図2参照)を準備するだけで、フォークの規模や形態に応じて、アタッチメントの着脱に適した突出長を比較的容易に調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によるフォークリフト用アタッチメントの一例を示す着脱時(ロックピン退避時)の右側方から観た説明図である。
図2】本発明によるフォークリフト用アタッチメントの一例を示す着脱時(ロックピン突出時)の右側方から観た正面図である。
図3】本発明によるフォークリフト用アタッチメントの一例を示す着脱時(ロックピン退避時)のa−a矢視図である。
図4】本発明によるフォークリフト用アタッチメントの一例を示す着脱時のb−b矢視図及びc−c矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるフォークリフト用アタッチメント(以下「アタッチメント」という)の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図に示す例は、フォークリフトが備えるフォークXを挿入するホルダ部Aと、前記ホルダ部Aに固定された所定機能のツール部(図示省略)と、当該ホルダ部AからのフォークXの脱離を防止するロック部Bを備える。
【0016】
この例の前記ホルダ部Aは、フォークリフトが備える一対のフォークX,Xの配置に合わせて一対の鞘1,1を平行に配置し、それぞれを鋼材等に溶着して連結し一体化したものである。
各鞘1は、各フォークXが根元まで納まる長さと幅と厚みを備えるポケット(空洞)を備え、そのフォークリフトに許容された積載重量を差し上げる際の負荷に耐え得る強度を備える。
各鞘1の底板4又は側板は、その開口部から後方へ向けて適宜延長され、各バックレストYの厚みを十分に超える長さの挿入ガイド2として機能する。
前記挿入ガイド2は、表裏を貫通する透孔3を備える。
【0017】
前記ツール部は、ブレード、バケット、レーキー、パレット又は容器などの機能を奏するように構成された部位であって、溶接等によって前記ホルダ部Aと一体化し、各ツール部に与えられた所定の機能を奏する。
【0018】
この例の前記ロック部Bは、前記ホルダ部Aの底板4の後端部の下面に、溶接等によって固着される。その結果、前記フォークXの昇降は、前記フレーム5の接地をもって下限となる。
前記ロック部Bは、左右両側面が開口した四角柱状のフレーム5と、前記ホルダ部Aに挿入される各フォークXの背後で上下に進退するロックピン6と、前記ロックピン6をその先端部で押し上げるテコ棒7と、前記ロックピン6の長手方向をその昇降方向に維持する昇降ガイド8と、前記テコ棒7の中間部を揺動可能に支持する軸受け9と、前記テコ棒7の末端部を引き下げるウエイト10を備える。
【0019】
この例の前記フレーム5は、その前面に、前記テコ棒7の揺動軸7bを水平に支持する軸受け9を備えると共に、前記テコ棒7が揺動する軌道に沿う長孔11を当該軸受け9と長手方向が直交する様に備える。更に、当該フレームの天板5aは、前記ロックピン6が出没する出入孔5bを備える。
【0020】
この例の前記昇降ガイド8は、金属性(鉄など)の円筒であって、前記ホルダ部Aの透孔3及び前記フレーム5の出入孔5bに開口部を合わせて、前記フレーム5の天板5aに対して垂直に溶着される。
このような構成によって、前記ホルダ部Aの透孔3、前記フレーム5の出入孔5b及び当該昇降ガイド8の内空部が一連に連なる円筒状の直線ガイドとなる。
【0021】
この例の前記ロックピン6は、鉄などの頑強な金属を円柱状に成形したものであって、前記昇降ガイド8へガタツキ無く進退し、且つ多少の屑が侵入してもその進退の妨げとならない程度の隙間が生じる寸法の棒材である。
その様な形態により、当該ロックピン6は、前記透孔3や前記出入孔5bを通じて前記昇降ガイド8へ装填され、前記ホルダ部Aに納まったフォークX以外に前記昇降ガイド8からの離脱を妨げる要素が無い、離脱自在な構造となる。
加えて、前記昇降ガイド8に底板は無く、当該昇降ガイド8に装填された前記ロックピン6は、その下端が前記昇降ガイド8の下開口部の下に配置された前記テコ棒7の先端部で支持され、当該昇降ガイド8の内空部からの落下が抑止される。
【0022】
以上の構成によって、前記ロックピン6は、前記フォークXが前記ホルダ部Aから取り外された時に、前記透孔3及び前記入出孔5bを通じて前記昇降ガイド8の内空部から容易に取り出して、前記ロックピン6の表面及び前記昇降ガイド8の内面を容易に拭き取ることができる他、当該昇降ガイド8の内空部に進入したゴミや屑などは、当該昇降ガイド8の下開口部から比較的容易に落下することとなり、当該アタッチメントの使用に伴う自然な清掃作用を享受することができる。
【0023】
一方、悪天候時や非舗装箇所で作業を行う場合には、前記フレーム5の側方を封鎖板をネジ止めする等によって封じる措置を採ることが望ましいが、前記フレーム5の内部に入った異物の排出に鑑みれば、当該封鎖板は、前記フレーム5の側面の最下位に少なくとも一側面の全幅にわたる開口部を設けることが望ましい。
【0024】
この例の前記テコ棒7は、金属性(鉄など)の部材であって、円柱状の棒材からなる本体7aと、当該本体7aを揺動自在に支持する揺動軸7bとで構成され、前記本体7aの末端部に前記ウエイト10が固着される。
前記テコ棒7は、前記軸受け9を前記フレーム5の前面に固着(当該例では溶着)する際に、左右の前記揺動軸7bにそれぞれ軸受け管を装着し、その先端部を、前記長孔11を通して前記フレーム5の内部へ挿通する。
【0025】
その際、前記鞘1へのフォークXの抜き差しを容易にし、且つ前記アタッチメントを確実に保持するには、前記軸受け9の固着位置及び前記ロックピン6の長さは、前記軸受け9の固着後において、前記ウエイト10が前記フレーム5の下面より下降した時に前記ロックピン6の先端部は前記ホルダ部Aに挿入された各フォークXの背面に係る位置まで突出させ、且つ前記ウエイト10の下面が前記フレーム5の下面が一致した時に前記ロックピン6の先端を前記ホルダ部Aに挿入された各フォークXの下面より下降させる様に調節する必要がある。
この例では、前記ウエイト10の下面が前記フレームXの下面よりも上昇するなど、不必要な揺動が生じないように、前記テコ棒7の先端部の下面を下支えする円筒状のストッパ12を固着した。
【0026】
上記アタッチメントは、以上の如く構成された結果、前記ロックピン6の先端部は、前記ウエイト10が地面から離れた時に、確実に前記ホルダ部Aに挿入された各フォークXの背面に係り、前記ウエイト10が着地し且つ前記フォークXが昇降下限に達した時に前記ロックピン6の先端部を前記ホルダ部Aに挿入された各フォークXの背面から退避するという作用効果を奏する。
前記ロックピン6は、前記の如く離脱自在に進退する構成であるため、当該ロックピン6ついて長さが異なるものを複数準備するだけで、比較的容易に調整することが可能である。
【0027】
また、前記ロック部Bは、前記フォークXの昇降によって極めて過酷な環境に置かれるものの、構造が簡素であることから、大きなコストをかけることなく(例えば部材の厚みを比較的容易に変えることができる)衝撃に対する強度を十分に確保できる様々な設計が可能である他、耐食性の高い材料の選択を併せることによって、多様な環境に耐えるアタッチメントを提供することができる。
【符号の説明】
【0028】
X フォーク,Y バックレスト,
A ホルダ部,B ロック部,
1 鞘,2 挿入ガイド,3 透孔,4 底板,
5 フレーム,5a 天板,5b 出入孔,
6 ロックピン,7 テコ棒,7a 本体,7b 揺動軸,
8 昇降ガイド,9 軸受け,10 ウエイト,11 長孔,12 ストッパ,
図1
図2
図3
図4