(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記許容走行判定部は、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定した後に、乗務員による所定の入力操作を検知した場合には、判定の許容条件を制限する方向に切り替える
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載装置。
前記許容走行判定部は、前記車両における入庫時の無線通信が完了した後で、前記車両のイグニッション信号の状態を監視し、少なくとも前記イグニッション信号が最初にオフになるまでの間は、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
前記許容走行判定部は、前記車両における入庫時の無線通信が完了した後で、前記車両のイグニッション信号の状態を監視し、前記イグニッション信号が最初にオフになってから次にオンになるまでの経過時間が所定時間未満であれば、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項6に記載の車載装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、業務用車両が入庫した場合には、車両上の車載装置が蓄積している当日の運行情報等のデータを無線通信により車両外部の事務所PCに安全な状態で送信することが望ましい。また、業務用車両等の管理状態を出庫状態から入庫状態に切り替える場合には、切替の精度を高めることが必要になる。
【0008】
したがって、例えば特許文献1に示されたように近距離無線通信を利用して、ごく狭い領域の範囲内でのみ設備と車両との間の無線通信を可能にすることが行われる。データ送信を近距離無線通信で行うことにより、安全性の高い通信を安価で実現できる。また、事前に定めた位置からごく限られた範囲内(例えば半径10m以内)の場所に該当する車両が実際に到達した時だけ出庫から入庫への切替を行うことにより切替の精度を高めることができる。
【0009】
一方、入庫状態の車両については、状態を監視する必要がある。例えば、不正に出庫しようとした場合や、盗難の虞があるような場合、つまり、正規の出庫手続きを経ていないにもかかわらず車両が走行したような場合に、警報を出力することが考えられる。車両上の車載装置と、近距離無線通信設備とが無線通信可能な状態であれば、このような監視を容易に行うことができる。
【0010】
ところで、管理している車両の台数が多い企業等においては、管理対象の車両を保管する駐車場として、広い領域が確保されている場合が多い。したがって、ある車両が近距離無線通信により通信可能な特定の狭い領域内に到達し、入庫状態に切り替わった後で、近距離無線通信の電波が届かない駐車場内の別の場所まで当該車両が移動することが必要になる。
【0011】
しかし、入庫した車両が近距離無線通信で通信できない場所に移動する際には、未出庫状態で車両が走行することになるため、入庫状態の車両を管理する機能により、未出庫走行の警報が出力されてしまい非常に煩わしい状況になる。
【0012】
上記のような不要な警報の出力を防止するためには、正規の駐車場内の全ての領域で、近距離無線通信の電波が届くようにしなければならない。そのためには、近距離無線通信用の多数のアンテナを駐車場内の様々な場所に設置しなければならず、アンテナや配線等の設備コストや設備の設置作業にかかる負担が増大する。
【0013】
一方、アンテナの数を減らすために1つのアンテナで通信可能な領域の範囲を広げると、入庫/出庫の切替制御の精度が低下する懸念がある。更に、データ通信の安全性の確保が困難になる。
【0014】
また、位置情報を利用する場合には、例えばGPS(Global Positioning System)などの電波が届きにくい場合に正確な位置情報が得られず、システムの動作が不安定になる可能性がある。また、車両が入庫してから駐車場エリアに移動するまでの間に、燃料の給油のために一時的に車両を停止したり、日報の作成のために一時的に車両を停止する場合もある。したがって、入庫後の車両の走行が許容可能か否かの識別が非常に難しい。
【0015】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、入庫状態の車両が所定の駐車場内で移動する際に、不要な警報の出力を抑制することが可能な車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載装置は、下記(1)〜(7)を特徴としている。
【0017】
(1) 車両が入庫したことを表す入庫信号を無線通信を介して前記車両の外部から受信する受信部と、
前記入庫信号を受信した場合に、前記車両が出庫状態から入庫状態に移行したと判定する状態判定部と、
前記車両が走行中であるか否かを判定する走行判定部と、
前記状態判定部により前記入庫状態に移行したと判定された後、前記受信部が前記入庫信号を受信しておらず、かつ、前記走行判定部により前記車両が走行中と判定された場合に警報を出力する警報出力部と、
前記入庫状態における前記車両の走行が許容された走行であるか否かを判定する許容走行判定部と、を備え、
前記警報出力部は、前記許容走行判定部により許容された走行であると判定された場合には、前記警報の出力を抑制する
ことを特徴とする車載装置。
【0018】
(2) 前記車両の位置を表す位置信号を取得する位置取得部を備え、
前記許容走行判定部は、前記位置が所定領域に含まれている前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する
ことを特徴とする上記(1)に記載の車載装置。
【0019】
(3) 前記許容走行判定部は、前記受信部が前記入庫信号を受信してから所定時間内における前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の車載装置。
【0020】
(4) 前記許容走行判定部は、乗務員による所定の入力操作を検知した場合には、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する
ことを特徴とする上記(1)に記載の車載装置。
【0021】
(5) 前記許容走行判定部は、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定した後に、乗務員による所定の入力操作を検知した場合には、判定の許容条件を制限する方向に切り替える
ことを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の車載装置。
【0022】
(6) 前記許容走行判定部は、前記車両における入庫時の無線通信が完了した後で、前記車両のイグニッション信号の状態を監視し、少なくとも前記イグニッション信号が最初にオフになるまでの間は、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する
ことを特徴とする上記(1)に記載の車載装置。
【0023】
(7) 前記許容走行判定部は、前記車両における入庫時の無線通信が完了した後で、前記車両のイグニッション信号の状態を監視し、前記イグニッション信号が最初にオフになってから次にオンになるまでの経過時間が所定時間未満であれば、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する
ことを特徴とする上記(1)又は(6)に記載の車載装置。
【0024】
上記(1)の構成の車載装置によれば、入庫状態の車両が所定の駐車場内等で移動する際に、前記受信部が前記入庫信号を受信できない状態であっても、事前に定めた許容された走行状態であれば、前記許容走行判定部の判定に従って前記警報出力部が警報の出力を抑制する。したがって、不要な警報の出力を防止できる。また、無線通信の通信範囲を広げる必要がないのでデータ通信の安全性の確保が容易であり、通信用のアンテナの数を増やす必要もない。
【0025】
上記(2)の構成の車載装置によれば、入庫状態の車両が所定の駐車場内等で移動する際に、前記受信部が前記入庫信号を受信できない状態であっても、当該車両の現在位置が許容される所定領域の範囲内であれば、前記許容走行判定部の判定に従って前記警報出力部が警報の出力を抑制する。したがって、例えば入庫した車両を所定領域として設定されている駐車場まで移動するような走行の場合には、警報を抑制できる。
【0026】
上記(3)の構成の車載装置によれば、入庫状態の車両が所定の駐車場内等で移動する際に、前記受信部が前記入庫信号を受信できない状態であっても、当該車両が入庫状態に切り替わってから所定時間以内であれば、前記許容走行判定部の判定に従って前記警報出力部が警報の出力を抑制する。したがって、例えば入庫した直後の車両を所定の駐車場まで移動するような走行の場合には、警報を抑制できる。
【0027】
上記(4)の構成の車載装置によれば、入庫状態の車両が所定の駐車場内等で移動する際に、前記受信部が前記入庫信号を受信できない状態であっても、乗務員が所定の入力操作を行った場合には、前記許容走行判定部の判定に従って前記警報出力部が警報の出力を抑制する。
【0028】
上記(5)の構成の車載装置によれば、入庫状態の車両が所定の駐車場内等で移動を完了した後で、乗務員が所定の入力操作を行うことにより、判定の許容条件を厳しくするように切り替えることができる。
【0029】
上記(6)の構成の車載装置によれば、車両が入庫した後で、無線LAN等の電波が届かない駐車場エリアまで移動する際に、不要な警報を抑制できる。しかも、車両の位置情報を必要としないので、制御が容易であり、GPS等の電波が届きにくい場所であっても安定した動作が期待できる。
【0030】
上記(7)の構成の車載装置によれば、イグニッションをオフにした後で一定時間以内に再びイグニッションをオンにして車両が走行する場合にも、不要な警報を抑制できる。したがって、例えば入庫直後に燃料を給油するために一時的にエンジンを停止し、再びエンジンを始動して駐車場エリアまで移動する場合に不要な警報を抑制できる。また、入庫直後に日報の作成のために一時的にエンジンを停止し、再びエンジンを始動して駐車場エリアまで移動する場合にも、不要な警報を抑制できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の車載装置によれば、入庫状態の車両が所定の駐車場内等で移動する際に、前記受信部が前記入庫信号を受信できない状態であっても、事前に定めた許容された走行状態であれば、前記許容走行判定部の判定に従って前記警報出力部が警報の出力を抑制する。したがって、不要な警報の出力を防止できる。また、無線通信の通信範囲を広げる必要がないのでデータ通信の安全性の確保が容易であるし、通信用のアンテナの数を増やす必要もない。
【0032】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の車載装置の利用形態の具体例を説明する。
【0035】
管理対象の複数の車両と管理領域の位置関係の具体例を
図1に示す。すなわち、
図1に示した例では、運行業務が終了した複数の車両41、42を入庫状態にして保管するための駐車場31の平面形状が示してある。
【0036】
なお、
図1に示した例では各車両41、42がトラックの場合を想定しているが、バスやタクシーのような業務用車両を管理したり、駐車場に駐車する一般車両を管理するために本発明の車載装置を利用することも可能である。
【0037】
図1に示した例では、駐車場31は同時に多数の車両を駐車できるように各車両の大きさに比べて十分に広い空間が確保してある。なお、
図1の例では駐車場31の平面形状が矩形になっているが、矩形以外の特殊な形状の駐車場を利用する場合も考えられる。
【0038】
駐車場31の一部分には、駐車場出入口32が設けられている。すなわち、各車両41、42が出庫する場合、および入庫する場合のいずれにおいても各車両41、42は駐車場出入口32を通過するように走行することになる。
【0039】
例えば当日の運行業務が終了した車両41は、
図1に示すように駐車場出入口32を通って駐車場31に入庫する。そして、走行軌跡41aのように適切な走行経路を通って駐車場31内を走行し、指定された適切な場所に駐車する。
【0040】
図1に示した例では、駐車場出入口32の近傍に駐車場側無線LAN設備30が設置してある。そして、駐車場側無線LAN設備30によって、円形に近い形状の狭域通信可能領域33が形成されている。すなわち、各車両41、42が狭域通信可能領域33内に存在する時に限り、各車両に搭載されている車載装置と、駐車場側無線LAN設備30との間で無線通信を行うことができる。
【0041】
図1に示した例では、狭域通信可能領域33の大きさは、駐車場31の大きさに比べて十分に小さく、例えば半径10m程度の大きさになっている。このように、狭域通信可能領域33の大きさを小さくすることで、入庫/出庫の手続きができる場所をごく限られた場所のみに限定でき管理が容易になる。また、車載装置や、駐車場側無線LAN設備30の送信した電波が駐車場31の敷地外には届かないため、特別な安全対策を施さなくても、無線データ通信の内容が第三者に漏洩するのを防止できる。
【0042】
但し、駐車場側無線LAN設備30の狭域通信可能領域33が
図1に示したように小さい場合には、駐車場31の一部分だけにしか無線通信の電波が届かないので、入庫した後の各車両の状態を無線通信により把握したり管理することができない状況になる。
【0043】
例えば、入庫した各車両が盗難に遭ったり、所定の出庫手続きを行うことなく不正に出庫しようとするのを防止するために、各車両に搭載されている車載装置に警報機能を装備することが必要になる。この警報機能は、例えば入庫後の車両が未出庫状態のまま走行を開始したような時に警報を出力するように構成される。
【0044】
しかし、各車両41、42が駐車場31の敷地内を走行する場合であっても、駐車場側無線LAN設備30の電波が届かない場所では、駐車場側無線LAN設備30が当該車両を入庫状態として把握できないので、車載装置は警報を出力せざるを得ない。
【0045】
つまり、
図1に示したように、当日の業務が終了した車両41が駐車場出入口32を通り、狭域通信可能領域33の圏内に入って入庫状態に切り替わった後、この車両41が走行軌跡41aのような経路で走行して所定の駐車場所まで移動するときに、車両41に搭載されている車載装置の警報機能が、車両41の走行を検知して「未出庫走行」の警報を出力することになる。そのため、車両41を移動する乗務員は何も問題が生じていないにもかかわらず煩わしい警報の出力を認識することになる。
【0046】
例えば、駐車場31内の様々な場所に、駐車場側無線LAN設備30のアンテナを設置すれば、駐車場31内に存在する各車両と駐車場側無線LAN設備30との間で通信できるので、走行軌跡41aを通って走行する車両において車載装置の警報機能が作動するのを防止できる。しかし、複数のアンテナを設置すると、アンテナや配線の設備費用と設置作業に伴う費用が増大してしまう。
【0047】
したがって、本発明の車載装置は、複数のアンテナを駐車場31内の様々な場所に設置しなくても、駐車場31内で移動する車両の車載装置が不要な警報を出力するのを抑制する機能を搭載している。詳細は以下に示すとおりである。
【0048】
<車載装置の構成例>
本発明の実施形態における車載装置10の構成例を
図2に示す。
図2に示した車載装置10およびデジタルタコグラフ車載器20は、例えば
図1に示したトラックのような車両41、42の各々や、バス、タクシー、その他の一般車両に搭載した状態で使用することが想定される。
【0049】
なお、
図2に示した例では車載装置10とデジタルタコグラフ車載器20とを独立した車載器として構成する場合を想定しているが、デジタルタコグラフ車載器20の内部に車載装置10の機能を組み込んでこれらを一体化することもできる。また、デジタルタコグラフ車載器20の代わりに、他の車載器、例えばドライブレコーダ、カーナビゲーション装置、ETC(電子料金収受:Electronic Toll Collection)車載器、タクシーメータ、各種計器を搭載したメータユニットなどを利用することも想定できる。
【0050】
図2に示した車載装置10は、マイクロコンピュータ(CPU)11、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)モジュール12、GPS(Global Positioning System)受信機13、操作部14、ボタンインタフェース(I/F)15、音声インタフェース16、スピーカ17、およびインタフェース18を備えている。
【0051】
マイクロコンピュータ11は、その内部に予め組み込まれているプログラムに従って動作し、車載装置10に必要とされる様々な機能を実現するための制御を実施する。例えば、
図3に示した動作を実現するための制御をマイクロコンピュータ11が行う。
【0052】
無線LANモジュール12は、無線LANの標準規格に従って動作し、比較的近距離の無線通信を実現するための回路モジュールである。すなわち、アンテナANT1を経由して電波の送受信を行い、例えば
図1に示した駐車場側無線LAN設備30と車載装置10との間で無線通信を実現できる。
【0053】
GPS受信機13は、図示しない複数のGPS衛星からの電波をアンテナANT2を経由して受信し、受信した複数の信号の時間に基づいて計算を行い、自車両の現在位置(緯度/経度)の情報を取得することができる。この位置情報をGPS受信機13からマイクロコンピュータ11に与えることもできる。
【0054】
操作部14は、自車両の乗務員が操作可能な複数のボタンを備えている。例えば、自車両の出庫/入庫の手続きのための操作ボタンや、自車両が入庫中の走行に関する指示のための「車両移動ボタン」等が操作部14に設けられている。操作部14は、ボタンインタフェース15を介してマイクロコンピュータ11と接続されている。
【0055】
音声インタフェース16は、マイクロコンピュータ11の指示に従い、自車両の乗務員に対する警報や案内などに関する音声に似た波形の電気信号を生成することができる。例えば、自車両が未出庫状態で走行しているような場合に「未出庫状態の走行を検出しました。出庫する場合は所定の手続きを行って下さい。」のような警報を表す疑似音声波形の電気信号を出力することができる。この電気信号は、スピーカ17で音響に変換され、乗務員が認識可能な音声、或いは警報音として出力される。
【0056】
インタフェース18は、マイクロコンピュータ11と外部の車載器であるデジタルタコグラフ車載器20等とを通信可能な状態で接続するための機能を果たす。例えば、自車両が出庫状態から入庫状態に切り替わった時には、それまでにデジタルタコグラフ車載器20が取得し蓄積した運行情報等のデータを車両外部の事務所等に設置された管理装置(事務所PC)に送信する必要がある。このデータはデジタルタコグラフ車載器20からインタフェース18、マイクロコンピュータ11、無線LANモジュール12、アンテナANT1、駐車場側無線LAN設備30を経由して管理装置に転送することができる。また、デジタルタコグラフ車載器20は自車両の現在の車速(km/h)の情報を取得でき、この車速の情報をインタフェース18を介してマイクロコンピュータ11に与えることもできる。
【0057】
<車載装置の動作例>
本発明の実施形態における車載装置10の主要な動作の例を
図3に示す。
図3に示した動作について以下に説明する。
【0058】
例えば、当日の運行業務が終了した車両41が、
図1に示すように駐車場出入口32から駐車場31の内部に進入し、狭域通信可能領域33内まで進むと、車両41上の車載装置10と駐車場側無線LAN設備30との間で近距離無線通信が可能な状態になる。そして、車載装置10と駐車場側無線LAN設備30とが相互に通信することにより、駐車場側無線LAN設備30と接続された図示しない管理装置(事務所PC)は車載装置10に対応付けられた車両41が入庫したことを認識する。
【0059】
また、車載装置10の状態も駐車場側無線LAN設備30からの信号を受信するので出庫状態から入庫状態に切り替わる。この時に、マイクロコンピュータ11の制御により
図3に示した動作がステップS11から開始される。
【0060】
ステップS11では、デジタルタコグラフ車載器20が蓄積している運行情報等のデータを、車載装置10および駐車場側無線LAN設備30を経由して管理装置(事務所PC)に送信する。また、車載装置10は出庫状態から入庫状態に変化した時点の時刻を記録するか、またはその時点から経過時間の計数を開始する。
【0061】
一方、入庫した車両41を狭域通信可能領域33内で長時間駐車させることはできないので、入庫後に例えば走行軌跡41aのような経路で車両41を走行させ、駐車場31内の所定の場所まで移動してから車両41を停止し駐車状態にする必要がある。但し、駐車場31内であっても、車両41が狭域通信可能領域33の外側に移動すると、車載装置10は駐車場側無線LAN設備30からの無線信号を受信できなくなり、正常な入庫状態が継続しているかどうかを把握できない状態になる。したがって、警報の出力が必要な場合が生じる。
【0062】
そのため、入庫状態になった後で車載装置10が駐車場側無線LAN設備30からの無線信号を受信できない状態になると、マイクロコンピュータ11の制御により車載装置10の動作はステップS12以降に進む。
【0063】
ステップS12では、マイクロコンピュータ11はデジタルタコグラフ車載器20から自車両の現在の車速の情報を取得し、これを所定の閾値と比較することにより、自車両の走行を検知したか否かを識別する。例えば、車両41が狭域通信可能領域33から駐車場31内の所定の場所まで走行して移動する際には、車両41の車速が所定以上になるので、ステップS12で走行が検知される。駐車場側無線LAN設備30からの無線信号を受信できない時にステップS12で走行を検知すると、次のステップS13に進む。
【0064】
ステップS13では、マイクロコンピュータ11は自車両が入庫状態に切り替わってからの経過時間が一定時間以内かどうかを識別する。一定時間の具体例については、30分間程度に定めることが想定されるが、必要に応じて変更しても良い。一定時間以内であればステップS13からS14に進み、一定時間を超えた場合はS19に進む。
【0065】
ステップS14では、マイクロコンピュータ11は自車両の現在位置の情報をGPS受信機13から取得して、この現在位置と事前に定めた複数の閾値とを比較することにより、現在位置が特定のエリア内か否かを識別する。ここで、特定のエリアは、例えば
図1に示した特定領域34に相当し、駐車場31の範囲と同等であり、狭域通信可能領域33よりも大きい。特定のエリア内であればステップS14からS15に進み、エリア外であればS19に進む。
【0066】
ステップS15では、マイクロコンピュータ11は「未出庫走行警報抑制モード」に切り替える。具体的には、「未出庫走行警報抑制モード」であることを示す所定のフラグをセットする。これにより、自車両が「入庫状態」に切り替わった状態で、駐車場側無線LAN設備30からの無線信号を受信できない状態になり、且つ自車両の走行を検知した場合であっても、車載装置10が「未出庫走行」の警報を出力しない動作モードになる。
【0067】
ステップS16では、マイクロコンピュータ11は操作部14に備わっている「車両移動ボタン」の状態を識別する。乗務員が「車両移動ボタン」を押下すると、マイクロコンピュータ11がそれを検知してステップS16からS18に進む。「車両移動ボタン」の押下を検知しない場合はステップS16からS17に進む。
【0068】
ステップS17では、マイクロコンピュータ11は自車両が入庫状態に切り替わってからの経過時間が一定時間以内かどうかを識別する。一定時間の具体例については、30分間程度に定めることが想定されるが、必要に応じて変更しても良い。一定時間以内であればステップS17からS15に戻り、一定時間を超えた場合はS18に進む。
【0069】
ステップS18では、マイクロコンピュータ11は「未出庫走行警報抑制モード」を解除する。具体的には、「未出庫走行警報抑制モード」であることを示す所定のフラグをリセットする。これにより、自車両が「入庫状態」に切り替わった状態で、駐車場側無線LAN設備30からの無線信号を受信できない状態になり、且つ自車両の走行を検知すると、車載装置10が「未出庫走行」の警報を出力するように変化する。
【0070】
ステップS19では、マイクロコンピュータ11は操作部14に備わっている「車両移動ボタン」の状態、および「移動モード」を表すフラグの状態を識別する。乗務員が「車両移動ボタン」を押下すると、マイクロコンピュータ11がそれを検知して「移動モード」のフラグをセットする。また、マイクロコンピュータ11がステップS19で「車両移動ボタン」の押下を検知するか、または「移動モード」のフラグが既にセットされていることを検知するとステップS19からS20に進む。「車両移動ボタン」の押下を検知せず、且つ「移動モード」のフラグがリセットされている場合はステップS19からS21に進む。
【0071】
ステップS20では、マイクロコンピュータ11は「未出庫走行警報抑制モード」に切り替える。すなわち、前述のステップS15と同様の動作を行う。
【0072】
ステップS21では、マイクロコンピュータ11は「未出庫走行」の警報を出力するように動作する。すなわち、自車両が「入庫状態」になった後、所定の手続きにより「出庫状態」に切り替わっていないにもかかわらず、駐車場側無線LAN設備30の電波を受信できない状態になり、しかも自車両の走行を検知した場合には、マイクロコンピュータ11が音声インタフェース16に指示を送り、「未出庫状態の走行を検出しました。出庫する場合は所定の手続きを行って下さい。」のような警報をスピーカ17から出力する。
【0073】
ステップS22では、マイクロコンピュータ11は操作部14に備わっている「車両移動ボタン」の状態を識別する。乗務員が「車両移動ボタン」を押下すると、マイクロコンピュータ11がそれを検知して「移動モード」のフラグをリセットした後、ステップS22からS18に進む。「移動モード」において「車両移動ボタン」の押下を検知しない場合はステップS22からS23に進む。
【0074】
ステップS23では、マイクロコンピュータ11は「車両移動ボタン」が押下されてからの経過時間が一定時間以内かどうかを識別する。一定時間の具体例については、30分間程度に定めることが想定されるが、必要に応じて変更しても良い。一定時間以内であればステップS23からS20に戻り、一定時間を超えた場合はS18に進む。
【0075】
例えば、
図1に示す車両41上の車載装置10においては、狭域通信可能領域33内で「入庫状態」に切り替わった後、走行軌跡41aに沿って駐車場31内の所定位置まで移動する際に、駐車場側無線LAN設備30の電波を受信できなくなり、
図3のステップS12に進む。そして、車載装置10が自車両の走行を検知するため、「未出庫走行」の警報が出力される可能性がある。
【0076】
しかし、入庫後一定時間内の移動であり、且つ特定領域34内の移動である場合には、
図3のステップS15に進むので、「未出庫走行」の警報が抑制される。また、警報が抑制されるモードに移行した後、乗務員が「車両移動ボタン」を押下すれば、警報の抑制は解除される。
【0077】
また、「入庫後一定時間内の移動」および「特定領域34内の移動」の条件に該当しない場合であっても、警報が抑制されていない時に乗務員が「車両移動ボタン」を押下すれば、
図3のステップS19からS20に進むので、この場合も「未出庫走行」の警報が抑制される。そして、乗務員が再び「車両移動ボタン」を押下すると、ステップS22で警報の抑制が解除される。
【0078】
なお、
図3に示した動作においては、「入庫後一定時間内の移動」(S13)および「特定領域34内の移動」(S14)の2つの条件の両方を同時に満たした場合にのみ「未出庫走行」の警報を抑制するモードに移行しているが、前記2つのいずれか一方の条件を満たす時に警報を抑制しても良い。したがって、例えば
図3に示したステップS13、S14の一方を省略し、残りの一方の条件を満たすだけでステップS15に進むように変更することもできる。
【0079】
なお、無線LANモジュール12の代わりに、他の規格、例えばブルートゥース(登録商標)の近距離通信用の通信モジュールを利用しても良い。また、GPS以外の方法で自車両の位置情報を取得しても良い。また、管理装置(事務所PC)側から駐車場側無線LAN設備30を介して「未出庫走行警報抑制モード」に切り替えるための信号の送信を行うなど、他の予め定められた条件が成立した場合に「未出庫走行警報抑制モード」に切り替わるようにしてもよい。また、駐車場31において、入庫用入口と出庫用出口とが異なっており、入庫側入り口と出庫側出口にそれぞれ入庫用無線LAN設備と出庫用無線LAN設備が設置されている場合においても、入庫用無線LAN設備と車載装置10との通信が可能な限り本発明に係る構成を実現することができる。
【0080】
<車載装置10の利点>
車載装置10が
図3に示した動作を実行することにより、
図1に示すように狭域通信可能領域33が駐車場31全体の大きさに比べて小さい場合であっても、駐車場31内で車両41が移動する際に、「未出庫走行」の警報が出力されるのを抑制できる。したがって、複数のアンテナを駐車場側無線LAN設備30に接続する必要がなく、アンテナおよび配線の設備費用や設置に要する費用を削減できる。また、狭域通信可能領域33を小さくすることにより、入庫/出庫の切替を行う場所を駐車場出入口32等の近傍のみに限定できるので、入庫/出庫の管理が容易になる。また、近距離無線通信の電波が駐車場31の外側に漏れにくいので、データ通信の際に特別なセキュリティ対策をしなくても、通信内容が第三者に漏れるのを防止できる。
【0081】
(第2実施形態)
<車載装置の利用環境の具体例>
本発明の実施形態における車載装置の利用環境の例−1および例−2を
図4および
図5にそれぞれ示す。
【0082】
図4および
図5に示した例では、車両の運行を管理している企業の事務所建物53の近傍に無線LANのアクセスポイント54が設置され、このアクセスポイント54によって比較的狭い範囲、例えば半径100[m]程度の大きさの通信エリア51が形成されている。この企業が運行を管理している車両61A上には、例えばデジタルタコグラフの機能を有する車載機60が搭載されている。車載機60は無線LANの通信機能を有し、車両61Aが通信エリア51内に存在する時に、アクセスポイント54との間で無線通信を行うことができる。
【0083】
車両61Aの当日の運行業務が終了した時には、この車両61Aが通信エリア51に入ることにより入庫手続きを行うことができる。すなわち、当日の運行業務において車載機60が収集し蓄積している様々な運行データを、通信エリア51内で無線LANの通信により、車載機60からアクセスポイント54を経由して事務所建物53内の装置に送信することができる。
【0084】
通信エリア51内で入庫手続きを完了した車両61Aは、通常は移動経路65Aを通って駐車場エリア52まで自走により移動し、車両61Bのように駐車することになる。
図4、
図5に示すように、駐車場エリア52が事務所建物53等から比較的離れた位置に存在する場合には、車両61Aは入庫手続きの後、通信エリア51の外側に出た状態で走行し駐車場エリア52まで移動する。
【0085】
一方、車載機60においては、車両61Aが入庫した後で、許可されない車両61Aの走行に対して警報を出力する機能を有している。そして、一般的な警報機能としては、入庫後に車両61Aが通信エリア51の外側を走行すると、許可されない走行とみなして警報を出力する。
【0086】
つまり、
図4に示した移動経路65Aで通信エリア51から駐車場エリア52まで移動する際の走行に対して、車載機の状態66Aとして警報が鳴動する。また、駐車場エリア52から移動経路65Bを通って移動する場合の走行に対しても、車載機の状態66Bとして警報が鳴動する。
【0087】
しかし、
図4に示した入庫後の移動経路65Aの走行は通常の動作であって、警報は出力すべきでない。また、入庫後の移動経路65Bの走行は通常とは異なる業務外の走行なので警報の鳴動は適切である。
【0088】
もしも、車両61Aが入庫した場所から駐車場エリア52までの範囲内が通信エリア51の範囲内であれば、移動経路65Aの走行に対して警報が出力されることはない。しかし、通信エリア51を広くするためには、アクセスポイント54又はそのアンテナを複数箇所に設置したり、接続用のケーブルを長い距離に亘って敷設する必要があるので、設備のコストが増大するのは避けられず、全ての企業がそのような設備を導入できるわけではない。
【0089】
本実施形態の車載機60は、
図5に示したように、車両61Aが入庫後に通信エリア51から移動経路65Cを通って駐車場エリア52まで走行する際に、車載機の状態66Cとして、警報を鳴動しないための警報抑制機能を搭載している。この警報抑制機能については、前述の第1実施形態で説明した制御を適用してもよいが、位置検出動作が不安定になる可能性を考慮して、後述する制御を採用している。
【0090】
また、
図5に示したように、駐車場エリア52に駐車した車両61Bが所定の出庫手続きをせずに移動経路65Dで走行した場合には、通常業務の走行ではないので、車載機の状態66Dとして車載機60の警報が鳴動する。
【0091】
<車載装置を含むシステムの構成例>
本発明の実施形態における車載装置を含むシステムの構成例を
図6に示す。
図6に示したように、事務所建物53内には、事務所PC53aおよび無線LANサーバ53bが設置されている。また、事務所PC53aと無線LANサーバ53bとの愛他は有線LAN53cを介して接続されている。また、事務所建物53の外側に設置したアクセスポイント54が無線LANサーバ53bと接続されている。アクセスポイント54は、
図4、
図5に示した通信エリア51を形成することができる。
【0092】
事務所PC53aは、一般的な構成のパーソナルコンピュータ(PC)と同様のハードウェアおよび基本ソフトウェアを搭載し、さらに各車両から取得した運行データを解析するための特別なアプリケーションソフトウェアを搭載している。
【0093】
図6に示したように、車両上には、車載機60、無線LAN装置62、および無線LANアンテナ63が搭載されている。この車載機60は、前述の第1実施形態で示したデジタルタコグラフ車載器20および車載装置10を組み合わせて一体化した装置に相当する。但し、無線LANモジュール12の代わりの無線LAN装置62は、車載機60の外側に接続されている。また、車載機60の動作は第1実施形態とは少し異なる。
【0094】
また、
図6に示したように、本実施形態の車載機60の入力には、車両側からイグニッション信号SG−IGが印加される。このイグニッション信号SG−IGは、オンオフの二値信号であって、車両のエンジンが始動した状態ではオンになり、エンジンが停止した状態ではオフになる。車載機60の動作は、このイグニッション信号SG−IGの状態に応じて変化する。
【0095】
<車載装置の動作例>
本発明の実施形態における車載装置の動作例を
図7に示す。すなわち、車両が
図4、
図5に示した通信エリア51に存在する状態で、乗務員が所定の入庫操作(例えば所定のボタン操作)を行うと、
図7に示したステップS31以降の処理が実行される。
【0096】
ステップS31では、車載機60は、乗務員の入庫操作を受け付けて、入庫の処理を実行する。つまり、車載機60は、無線LAN装置62、無線LANアンテナ63、アクセスポイント54を介して、無線LANサーバ53bとの間で通信を行い、車載機60が保持している当該車両の当日の運行データを無線LANサーバ53bに送信する。これが完了すると、車載機60は入庫状態に移行する。
【0097】
ステップS32では、「未出庫音声抑制モード」か否かを車載機60が識別する。例えば乗務員が特別なボタンを押下した場合に「未出庫音声抑制モード」とみなす。「未出庫音声抑制モード」の場合はS34に進み、「未出庫音声抑制モード」でなければS33に進む。
【0098】
ステップS33では、車載機60は、未出庫の状態のままで自車両の走行を検知した場合に、音声による未出庫の警報を鳴動する。この動作は、例えば
図4に示した車載機の状態66A、66Bに相当する。
【0099】
ステップS34では、車載機60が未出庫の状態のままで自車両の走行を検知した場合に、走行を開始してからの経過時間T1の長さを把握すると共に、この経過時間の長さを予め定めた一定時間の閾値T1maxと比較する。一定時間以内の走行であればS35に進み、一定時間を超えた走行の場合はS38に進む。この一定時間は、入庫後に行うと想定される通常業務の範囲内の走行に応じて例えば企業毎に事前に決定される。
【0100】
ステップS35では、車載機60は、自車両が入庫後の走行状態であっても、これが一定時間以内なので、許容可能な走行とみなし、音声による未出庫の警報は出力しない。この動作は、例えば
図5に示した車載機の状態66Cに相当する。
【0101】
ステップS36では、車載機60は、イグニッション信号SG−IGの状態を監視して自車両の状態を識別する。まず、入庫状態になってから(通信を完了してから)イグニッション信号SG−IGがまだ一度もオフになっていない場合には、自車両が入庫後の走行状態であっても、車載機60は許容可能な走行とみなし、S36からS34に戻る。また、イグニッション信号SG−IGが一度オフになってからオンに切り替わった場合には、オフになってからオンに切り替わるまでの時間T2の長さを把握し、この時間を一定時間の閾値T2maxと比較して、一定時間以内であれば、車載機60は許容可能な走行とみなし、S36からS34に戻る。なお、「T1max>T2max」とする。また、イグニッション信号SG−IGがオフになった回数が2回以上の場合、又は時間T2が閾値T2maxを超えた場合には、S36からS37に進む。
【0102】
ステップS37では、車載機60は、自車両が未出庫のままで許容外の走行をしているとみなし、音声による未出庫の警報を出力する。この動作は、例えば
図5に示した車載機の状態66Dに相当する。
【0103】
ステップS38においても、車載機60は、自車両が未出庫のままで許容外の走行をしているとみなし、音声による未出庫の警報を出力する。この動作は、例えば
図5に示した車載機の状態66Dに相当する。
【0104】
つまり、
図7に示した動作を実行する車載機60は、以下に示す(1)〜(3)の各条件により未出庫走行に対する警報出力を抑制できる。
(1)入庫時の通信が完了してからイグニッション信号SG−IGが最初にオフになるまでの間は、許容可能な走行であるとみなす。
(2)入庫時の通信が完了し、イグニッション信号SG−IGがオフになった後でオンに切り替わった場合には、オフになってからオンに切り替わるまでの時間T2の長さが一定時間以内であれば、許容可能な走行であるとみなす。
(3)入庫時の通信が完了した後、未出庫の状態で自車両が走行している時間の長さが所定時間以内であれば、許容可能な走行であるとみなす。
【0105】
上記(1)〜(3)のいずれの条件においても位置情報は不要である。したがって、例えばGPSなどの電波が届きにくいような環境であったとしても、安定した動作が可能になる。また、上記(1)の条件で許容の可否を判断することにより、車両が入庫してから別の場所の駐車場まで移動する場合に、無線LANの電波が届かない場所であっても、警報の発生を抑制することが容易になる。
【0106】
また、上記(2)の条件で許容の可否を判断することにより、車両が入庫した後で、燃料の給油や日報の作成のために一時的に車両を停止し、その後でエンジンを再始動して別の場所の駐車場まで移動する場合に、無線LANの電波が届かない場所であっても、警報の発生を抑制することが容易になる。
【0107】
また、上記(3)の条件で許容の可否を判断することにより、管理対象の車両が未出庫状態のままで業務外の不正な移動を行った場合に確実にそれを検知して警報を出力することが可能になる。すなわち、所定の駐車場への移動、給油、日報の作成などの通常業務は、入庫してから一定時間以内に行われる可能性が高い。また、駐車場から出庫のために移動する場合には走行距離が比較的短いので、走行する時間の長さが限られている。したがって、このような条件を満たさない場合は不正な走行の可能性が高く、警報を出力することが必要になる。
【0108】
ここで、上述した本発明に係る車載装置10の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両が入庫したことを表す入庫信号を無線通信を介して前記車両の外部から受信する受信部(無線LANモジュール12)と、
前記入庫信号を受信した場合に、前記車両が出庫状態から入庫状態に移行したと判定する状態判定部(マイクロコンピュータ11)と、
前記車両が走行中であるか否かを判定する走行判定部(S12)と、
前記状態判定部により前記入庫状態に移行したと判定された後、前記受信部が前記入庫信号を受信しておらず、かつ、前記走行判定部により前記車両が走行中と判定された場合に警報を出力する警報出力部(S21)と、
前記入庫状態における前記車両の走行が許容された走行であるか否かを判定する許容走行判定部(S13,S14)と、を備え、
前記警報出力部は、前記許容走行判定部により許容された走行であると判定された場合には、前記警報の出力を抑制する(S15)
ことを特徴とする車載装置。
【0109】
[2] 前記車両の位置を表す位置信号を取得する位置取得部(GPS受信機13)を備え、
前記許容走行判定部は、前記位置が所定領域(特定領域34)に含まれている前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する(S14)
ことを特徴とする上記[1]に記載の車載装置。
【0110】
[3] 前記許容走行判定部は、前記受信部が前記入庫信号を受信してから所定時間内における前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する(S13)
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の車載装置。
【0111】
[4] 前記許容走行判定部は、乗務員による所定の入力操作を検知した場合には、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する(S19)
ことを特徴とする上記[1]に記載の車載装置。
【0112】
[5] 前記許容走行判定部は、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定した後に、乗務員による所定の入力操作を検知した場合には、判定の許容条件を制限する方向に切り替える(S16,S18)
ことを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の車載装置。
【0113】
[6] 前記許容走行判定部は、前記車両における入庫時の無線通信が完了した後で、前記車両のイグニッション信号の状態を監視し、少なくとも前記イグニッション信号(SG−IG)が最初にオフになるまでの間は、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する(S36)
ことを特徴とする上記[1]に記載の車載装置(車載機60)。
【0114】
[7] 前記許容走行判定部は、前記車両における入庫時の無線通信が完了した後で、前記車両のイグニッション信号(SG−IG)の状態を監視し、前記イグニッション信号が最初にオフになってから次にオンになるまでの経過時間が所定時間未満であれば、前記車両の走行を前記許容された走行であると判定する(S36)
ことを特徴とする上記[1]又は[6]に記載の車載装置(車載機60)。