(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成形品を成形する工程は、土台である第1の層を設ける工程と、前記第1の層を覆うようにして形成され前記保持対象品に接することができる第2の層を成形する工程とを含み、
前記第2の層は前記第1の層よりも軟らかい、請求項1〜4のいずれか1項に記載された保持部材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。本出願書類におけるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0018】
〔実施形態1〕
(BGA 用封止済基板の構成)
図1を参照して、BGA 用封止済基板の構成を説明する。BGA 用封止済基板を切断することによって、最終製品であるBGA パッケージが製造される。したがって、BGA 用封止済基板は、BGA パッケージを製造する際の中間製品に相当する。最終製品に相当するBGA パッケージは、保持部材に保持される保持対象品である。
【0019】
図1(b)に示されるように、BGA 用封止済基板1が備える基板2は、複数の領域3を有する。基板2の一方の面2aにおいて、各領域3にはチップ4がそれぞれ装着される。基板2の一方の面2aには、複数の領域3におけるチップ4が覆われるようにして、封止樹脂5が成形される。各チップ4は、封止樹脂5によって一括して樹脂封止される。BGA 用封止済基板1は、基板2とチップ4と封止樹脂5とを備える。
【0020】
図1に示されるように、BGA 用封止済基板1の他方の面2bには多数の突起状電極6が設けられる。突起状電極6は、BGA 用封止済基板1の他方の面2bから突出する凸部である。突起状電極6が他方の面2bから突出する長さである突出量は、距離Laである。突起状電極6は、BGA パッケージとBGA パッケージの外部とを電気的に接続する外部端子として機能する。
図1には、突起状電極6としてはんだボールが示される。
図1は、BGA 用封止済基板1が有する1個の領域3全体に突起状電極6が設けられる場合を示す。BGA 用封止済基板1の他方の面2bにおいて、突起状電極6は凸部であり、突起状電極6以外の部分(言い換えると、他方の面2bにおける突起状電極6以外の部分)は凹部である。
【0021】
図1(a)に示されるように、BGA 用封止済基板1には、X方向に沿って伸びる複数の第1切断線7とY方向に沿って伸びる複数の第2切断線8とが、それぞれ仮想的に設定される。複数の第1切断線7と複数の第2切断線8とによって囲まれる複数の領域3が、それぞれ保持対象品であるBGA パッケージに相当する。
図1(a)に示される領域3の平面形状(Z方向に沿って見た形状。以下同じ。)は、一辺の長さaである4つの辺を有する正方形である。
【0022】
図1(a)においては、X方向に沿って3個の領域3が形成され、Y方向に沿って4個の領域3が形成される。したがって、BGA 用封止済基板1に12個の領域3が格子状に形成される。複数の第1切断線7と複数の第2切断線8とに沿ってBGA 用封止済基板1が切断されることによって、それぞれの領域3に相当する12個のBGA パッケージが製造される。BGA 用封止済基板1の大きさは、個片化されるBGA パッケージのサイズや取れ数に応じて任意に設定される。
【0023】
(BGA パッケージの製造方法)
図2(a)を参照して、BGA 用封止済基板1からBGA パッケージを製造する方法を説明する。まず、切断テーブル9を準備する。切断テーブル9には、切断用ジグ10が取り付けられる。切断用ジグ10は、金属プレート11と金属プレート11の上に取り付けられた樹脂シート12とを有する。切断テーブル9の上面に金属プレート11が取り付けられる。樹脂シート12の上面には、BGA 用封止済基板1が有する複数の第1切断線7(
図1参照)と複数の第2切断線8とに重なるようにして、切断溝13が形成される。
【0024】
切断用ジグ10は、金属プレート11と樹脂シート12とを貫通する貫通穴14を有する。貫通穴14は、BGA 用封止済基板1が有する領域3にそれぞれ対応して形成される。各貫通穴14は、切断テーブル9に形成された空間15と配管16と弁17とを順次経由して、減圧源(図示なし)に接続される。減圧源として、例えば、減圧ポンプ、減圧タンク等が使用される。
【0025】
次に、
図2(a)に示されるように、BGA 用封止済基板1を切断用ジグ10の上に配置する。弁17を操作することによって、配管16と空間15と各貫通穴14とを経由してBGA 用封止済基板1を吸引する。線分によって示された幅広の矢印は、BGA 用封止済基板1を吸引するための吸気VTを示す。BGA 用封止済基板1は、大気圧によって押圧されることによって、切断用ジグ10の上面に密着する。言い換えれば、BGA 用封止済基板1は切断用ジグ10の上面に吸着される。これにより、BGA 用封止済基板1は、切断テーブル9の切断用ジグ10に一時的に固定される。
【0026】
次に、
図2(a)に示されるように、円板状の回転刃18を準備する。回転刃18は、幅(厚さ)w1を有する切断用の回転刃である。回転刃18を直径方向に沿って切断した場合における回転刃18の外縁の断面形状はV字状である。高速で回転する回転刃18を使用して、複数の第1切断線7(
図1参照)と複数の第2切断線8とに沿って、BGA 用封止済基板1を切断する。これにより、BGA 用封止済基板1が各領域3を単位にして個片化されたBGA パッケージ19が製造される。
図2(a)は、第2切断線8に沿ってBGA 用封止済基板1を切断する場合を示す。隣り合うBGA パッケージ19同士の間には、幅w1を有するすき間20が形成される。
【0027】
(BGA パッケージ用の保持部材の製造方法)
本発明の実施形態1に係る保持部材の製造方法について
図2〜3を参照して説明する。まず、
図2(b)に示されるように、硬質板からなる板状部材21を準備する。板状部材21は、保持部材を製造するため使用される成形型の原材料である。板状部材21の平面形状は、BGA 用封止済基板1の平面形状を含むことが好ましい。板状部材21としては、ガラスエポキシ基板等の複合材料板、アクリル板、フッ素樹脂板等の硬質樹脂板、アルミニウム板等の金属板、ガラス板等が使用される。
【0028】
次に、
図2(b)に示されるように、切断テーブル9の切断用ジグ10に板状部材21を一時的に固定する。
図2(b)には、切断用ジグ10の上面に板状部材21が吸着によって一時的に固定される例が示される。以降の工程においては、BGA 用封止済基板1を切断する際に使用される切断テーブル9を使用できる。
【0029】
次に、円板状の回転刃22を準備する。回転刃22は、幅(厚さ)w2を有する溝形成用の回転刃である。溝形成用の回転刃22の幅(厚さ)w2は、切断用の回転刃18の幅(厚さ)w1よりも大きい。
図2(c)に示されるように、回転刃22を直径方向に沿って切断した場合における回転刃22の外縁の断面形状は長方形状である。
【0030】
次に、
図2(c)に示されるように、高速で回転する回転刃22を使用して板状部材21に溝部23を形成する。形成された溝部23は幅w2を有する。具体的には、BGA 用封止済基板1に仮想的に設定された複数の第1切断線7と複数の第2切断線8とに相当する(
図1(a)参照)切断線24に沿って、板状部材21に溝部23を形成する。溝部23の深さは距離Lbである。距離Lbは、突起状電極6がBGA 用封止済基板1の他方の面2bから突出する突出量である距離Laよりも大きい。ここまでの工程により、保持部材を製造するため使用される成形型の一部分を構成する溝付板25が完成する。板状部材21に溝部23を形成する工程においては、BGA 用封止済基板1を切断する際に使用される切断装置が転用されてもよい。この場合には、切断装置の回転刃を交換するだけでよい。したがって、新たな加工装置を準備する必要がないので好都合である。
【0031】
次に、
図3(a)に示されるように、溝付板25における溝部23が形成された面の反対面(
図3(a)では上面)に、補強板26を固定する。溝付板25と補強板26とは、保持部材を製造するため使用される成形型27を構成する。補強板26の材料は、板状部材21に使用された材料から選べばよい。溝付板25に補強板26を固定する場合には、接着剤等を使用できる。
【0032】
次に、
図3(a)に示されるように、箱状部材28を準備する。箱状部材28に樹脂材料29を供給する。樹脂材料29は、常温で流動性を有する樹脂(以下「液状樹脂」という。)であって、粘度の程度を問わない。樹脂材料29は常温硬化型樹脂であることが好ましい。樹脂材料29としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが使用される。求められる保持部材の硬度や形状などに対応して、最適な樹脂材料を選択できる。樹脂材料29の内部には気泡が含まれている可能性があるので、予め脱泡して気泡を除去することが好ましい。
【0033】
次に、
図3(b)に示されるように、箱状部材28に供給された樹脂材料29に、成形型27が有する溝付板25における溝部23が形成された面の側を浸ける。溝付板25が樹脂材料29に浸けられる長さを、溝付板25における溝部23が樹脂材料29によって満たされる長さ以上に設定する。
【0034】
次に、樹脂材料29を硬化させて硬化樹脂30を成形する。
図3(c)に示されるように、成形型27から硬化樹脂30を引き離す。樹脂材料29は常温硬化型樹脂であることから、硬化樹脂30が成形される過程において硬化樹脂30の収縮は発生しない。したがって、良好な寸法精度を有する硬化樹脂30が得られる。
【0035】
ここまでの工程により、箱状部材28と硬化樹脂30とを含む成形品31が完成する。成形品31は、
図1に示された複数の領域3にそれぞれ対応する複数の凹部32と、複数の領域3の境界である複数の第1切断線7と複数の第2切断線8とに対応する壁部33とを、有する。凹部32は、壁部33によって囲まれた空間である。成形品31の壁部33は、成形型27の溝部23の形状が転写されることによって形成される。成形品31の凹部32は、成形型27における溝部23によって囲まれた部分(言い換えれば溝部23によって囲まれた凸部)の形状が転写されることによって形成される。
【0036】
次に、成形品31に貫通穴34(
図3(d)参照)を形成する。ドリル、レーザ等を使用して、各凹部32の中央部において箱状部材28と硬化樹脂30とを貫通する貫通穴34を形成する。貫通穴34は、保持対象品を吸引する吸引穴として機能する。成形品31に貫通穴34を形成する工程によって、
図3(d)に示されるように、箱状部材28と硬化樹脂30と貫通穴34とを含む保持部材35が完成する。
【0037】
保持部材35が有する壁部33の幅は溝形成用の回転刃22の幅(厚さ)に等しい幅w2である。
図3(c)、(d)に示される壁部33の端面36(
図3(d)では下面)は水平面である。成形型27が有する溝付板25の溝部23の深さである距離Lbは、壁部33の高さに等しい。
【0038】
(保持部材を使用してBGA パッケージを保持する態様)
図3(d)を参照して、保持部材35を使用してBGA パッケージ19を保持する態様を説明する。保持部材35は、例えば、アンローダ等の搬送機構37に取り付けられて使用される。まず、
図3(d)に示されるように、保持部材35が取り付けられた搬送機構37を準備する。
【0039】
次に、切断テーブル9に吸着されたBGA パッケージ19の上方に保持部材35を移動させた後に、保持部材35を下降させる。この工程においては、切断テーブル9と搬送機構37とを相対的に昇降すればよい。この過程において、隣り合うBGA パッケージ19同士の間におけるすき間20の中心と壁部33の中心とを位置合わせする。位置合わせ後の状態でZ方向に沿って見る(以下「平面視する」という。)場合において、壁部33とBGA パッケージ19とが重なる長さ(
図3(d)においてはX方向に沿って重なる長さとして示される)は、距離L1である。
【0040】
次に、
図3(d)に示されるように、配管38と弁(図示なし)とを順次経由して、吸気VJによって各BGA パッケージ19を吸引する。これにより、壁部33の端面36において各BGA パッケージ19の外周部が吸着される。
【0041】
次に、切断テーブル9における吸引(
図2に示された吸気VT参照)を停止した後に、搬送機構37を上昇させて各BGA パッケージ19を次の工程を行う機構まで搬送する。次の工程を行う機構としては、例えば、検査機構、洗浄機構等が挙げられる。
【0042】
以下、保持部材35の特徴を説明する。第1に、
図3(d)に示される壁部33の端面36(
図3(d)では下面。以下同じ。)は水平面である。
【0043】
第2に、壁部33は幅w2を有する。壁部33の幅w2と、BGA パッケージ19同士の間のすき間20の幅w1(=切断用の回転刃の幅w1)との関係は、幅w2>幅w1である。
【0044】
第3に、隣り合うBGA パッケージ19同士の対向する外周部(以下適宜「対向する外周部」という。)に壁部33の端部39(
図3(d)では下部であって、破線によって囲まれた部分。以下同じ。)における端面36が押し当てられる。このことによって、対向する外周部と壁部33の端面36とが密着する。これにより、壁部33の端部39が圧縮されてX方向及びY方向に広がるようにして変形する。したがって、各BGA パッケージ19の外周部が吸着された状態において、壁部47とBGA パッケージ19とが重なる長さは、
図3(d)に示された距離L1よりも大きい。硬化樹脂30の硬度は、BGA パッケージ19の対向する外周部に壁部33の端部39が押し当てられることによって壁部33の端部39が押しつぶされるように変形する程度の硬度に、設定される。
【0045】
上述した3つの特徴によって、壁部33の端面36がBGA パッケージ19同士の間のすき間20を塞ぐ。この状態において、硬化樹脂30の外底面(
図3(d)では上側の面)から硬化樹脂30の内底面(
図3(d)では凹部32における上側の面)を見る場合において、言い換えれば平面視する場合において、各BGA パッケージ19が各凹部32を完全に包含する。吸気VJを使用して各BGA パッケージ19が吸引されることによって、保持部材35が有する各壁部33の端面36に各BGA パッケージ19の外周部が吸着される。保持部材35は吸着ジグとして機能する。
【0046】
加えて、保持部材35が有する凹部32の深さである距離Lbは、突起状電極6がBGA 用封止済基板1の他方の面2bから突出する突出量である距離Laよりも大きい。距離Lbは、壁部33の端部39が押しつぶされるように変形した場合においても、保持部材35が有する凹部32の内底面が突起状電極6の頂部に接触しない程度に大きいことが好ましい。これにより、第1に、保持部材35が有する凹部32の内底面が突起状電極6の頂部に接触することによってBGA パッケージ19の対向する外周部と壁部33の端部39とが離れる事態が、回避される。したがって、吸気VJが漏れることに起因してBGA パッケージ19が吸着されなくなる事態が、回避される。
【0047】
第2に、距離Lbを適切な大きさに設定することによって、BGA パッケージ19の対向する外周部と壁部33の端面36とが密着した状態で、各BGA パッケージ19の突起状電極6は、保持部材35が有する各凹部32に完全に収容される。したがって、各BGA パッケージ19の外周部は、保持部材35が有する各凹部32を取り巻く壁部33の端面36に吸着される。
【0048】
保持部材35が有する各凹部32の内底面が突起状電極6の頂部に接触した場合においては、BGA パッケージ19の対向する外周部と壁部33の端面36とが密着する状態が保たれればよい。この場合には、各BGA パッケージ19が有する他方の面2bにおいて突起状電極6以外の部分の空間が連通する。したがって、BGA パッケージ19の対向する外周部と壁部33の端面36とが密着した状態で、各BGA パッケージ19は、保持部材35が有する各凹部32を取り巻く壁部33の端面36に吸着される。
【0049】
(作用効果)
本実施形態によれば、保持部材35において複数のBGA パッケージ19が吸着されて保持される壁部33と、壁部33に取り巻かれた複数の凹部32を、一括して形成できる。したがって、複数の凹部32を有する保持部材35を安価に製造できる。
【0050】
本実施形態によれば、樹脂材料29として常温硬化型樹脂を使用して、保持部材35に含まれる硬化樹脂30を成形する。これにより、硬化樹脂30が成形される過程において硬化樹脂30の収縮は発生しない。したがって、良好な寸法精度を有する保持部材35を製造できる。
【0051】
本実施形態によれば、箱状部材28と硬化樹脂30とを含む保持部材35が一括して製造できる。箱状部材28は、保持部材35の補強材として機能する。箱状部材28は、必要に応じて保持部材35を他の部材(例えば、製造装置が有する搬送機構37(
図3(d)参照)を構成する部材)に固定するための固定板としても機能する。したがって、補強材及び固定板として機能する部材を備えた保持部材35を安価に製造できる。
【0052】
(変形例)
以下の変形例を採用してもよい。これらの変形例は、他の実施形態においても適宜に採用されることができる。
【0053】
第1に、硬化樹脂30からなる成形品が成形された後に、箱状部材28から硬化樹脂30を取り外してもよい。この場合には、箱状部材28を繰り返し成形用ジグとして使用できるという利点が生じる。硬化樹脂30の硬度を適当に大きく設定することによって、硬化樹脂30単体を保持部材35として使用できる。必要に応じて硬化樹脂30を他の部材(例えば、製造装置が有する搬送機構37(
図3(d)参照)を構成する部材)に固定して、その部材に固定された硬化樹脂30を保持部材として機能させてもよい。
【0054】
第2に、箱状部材28を使用せずに、板状部材の上に大きな粘度を有する樹脂材料29を供給してもよい。この場合には、樹脂材料29の粘度は、板状部材の上に樹脂材料29が供給された状態で板状部材を傾けても樹脂材料29が静止した状態を保つ程度に大きいことが、好ましい。成形型27が有する溝付板25における溝部23が形成された面の側を、大きな粘度を有する樹脂材料29に浸ける。大きな粘度を有する樹脂材料29を硬化させて硬化樹脂30を成形する工程以降は、これまで説明した工程に同じである。
【0055】
この変形例においては、まず、大きい平面形状を有する板状部材を使用して、硬化樹脂30を成形する。次に、板状部材と硬化樹脂30とを含む成形品に対して保持部材として必要な範囲を設定して、必要な範囲と不要な外周部との境界を切断する。これにより、保持部材として必要な範囲に相当する、板状部材と硬化樹脂30とを含む保持部材35が完成する。
【0056】
第3に、樹脂材料29として、常温で流動性を有する樹脂に代えて、次のような樹脂材料を使用してもよい。その樹脂材料は、成形型27が有する溝付板25における溝部23の形状が転写される程度に変形できる特性と、溝部23の形状が転写された状態で常温において硬化する特性とを有する樹脂材料である。例えば、樹脂材料29としてゼリー状の樹脂材料を使用できる。
【0057】
第4に、壁部33の端面36を、大きい曲率半径(言い換えれば、小さい曲率)を有する曲面にしてもよい。この場合においても、BGA パッケージ19の対向する外周部に壁部33の端部39が押し当てられることによって壁部33の端部39が押しつぶされるように変形する。したがって、壁部33の端面36がBGA パッケージ19同士の間のすき間20を塞ぐことができる。
【0058】
第5に、硬化樹脂30を2層構造にしてもよい。
図3(a)に示された箱状部材28に第1の樹脂材料を供給して第1の硬化樹脂を成形した後に、第1の硬化樹脂の上に第2の樹脂材料を供給して第2の硬化樹脂を成形する。第2の硬化樹脂の硬度は第1の硬化樹脂の硬度よりも小さい。この変形例によれば、軟らかく変形しやすい第2の硬化樹脂が硬い第1の硬化樹脂によって支持され、かつ、第2の硬化樹脂によって壁部33の端部39が構成される。
【0059】
この変形例によれば、壁部33の端部39が軟らかく変形しやすいことによって、壁部33の端面36がBGA パッケージ19同士の間のすき間20をいっそう確実に塞ぐことができる。大きい硬度を有する第1の硬化樹脂は、保持部材35における補強板として機能し、かつ、必要に応じて保持部材35を他の部材に固定するための固定板としても機能する。第1の樹脂材料を硬化させて第1の硬化樹脂を成形することに代えて、第2の硬化樹脂よりも大きい硬度を有する硬質樹脂からなる樹脂板を、予め箱状部材28の内底面に供給してもよい。
【0060】
〔実施形態2〕
(BGA パッケージ用の保持部材の製造方法)
本発明の実施形態2に係る保持部材の製造方法を、
図4を参照して説明する。これまで説明した実施形態における内容と同じ内容の説明を適宜省略する。
【0061】
まず、板状部材21(
図2(b)参照)を準備する。
図4(a)に示された円板状の回転刃40を準備する。回転刃40は、幅(厚さ)w3を有する溝形成用の回転刃である。
図4(a)に示されるように、回転刃40を直径方向に沿って切断した場合における回転刃40の外縁の断面形状はV字状である。溝形成用の回転刃40の幅(厚さ)w3は、
図2(a)に示された切断用の回転刃18の幅(厚さ)w1よりも大きい。回転刃40の幅w3は、
図2(c)に示された溝形成用の回転刃22の幅(厚さ)w2よりも小さいことが好ましい。
【0062】
次に、回転刃40を使用して板状部材に溝部41を形成する。形成された溝部41は幅w3を有する。溝部41の底付近の断面形状はV字状である。溝部41の深さは距離Lbである。距離Lbは、
図2(a)に示された突起状電極6がBGA 用封止済基板1の他方の面2bから突出する突出量である距離Laよりも大きい。ここまでの工程により、保持部材を製造するため使用される成形型の一部分を構成する溝付板42が完成する。
【0063】
次に、
図4(b)に示されるように、溝付板42における溝部41が形成された面の反対面(
図4(b)では上面)に、補強板26を固定する。溝付板42と補強板26とは、保持部材を製造するため使用される成形型43を構成する。
【0064】
次に、
図4(b)に示されるように、箱状部材28を準備する。箱状部材28には、内底面に樹脂板44が予め供給される。樹脂板44は、硬質樹脂からなる樹脂材料である。樹脂板44の上に、液状樹脂からなる樹脂材料29を供給する。箱状部材28に供給された樹脂材料29の上に、溝付板42を下側にして成形型43を配置する。
【0065】
次に、
図4(c)に示されるように、箱状部材28に供給された樹脂材料29に、成形型43が有する溝付板42における溝部41が形成された面の側を浸ける。溝付板42が樹脂材料29に浸けられる長さを、溝付板42における溝部41が樹脂材料29によって満たされる長さ以上に設定する。
【0066】
次に、樹脂材料29を硬化させて硬化樹脂30を成形する。この過程において、硬質樹脂からなる樹脂板44と硬化樹脂30とが接着される。硬化樹脂30の硬度は樹脂板44の硬度よりも小さい。
【0067】
次に、
図4(d)に示されるように、成形型43から硬化樹脂30を引き離す。樹脂材料29は常温硬化型樹脂であるので、硬化樹脂30が成形される過程において硬化樹脂30の収縮は発生しない。したがって、良好な寸法精度を有する硬化樹脂30が得られる。
【0068】
ここまでの工程によって、箱状部材28と、硬質樹脂からなる樹脂板44と、硬化樹脂30とを含む成形品45が完成する。樹脂板44は土台であって、第1の層に相当する。硬化樹脂30は、樹脂板44を覆うようにして成形され、第2の層に相当する。成形品45は、
図1に示された複数の領域3にそれぞれ対応する複数の凹部46と、複数の領域3の境界である複数の第1切断線7と複数の第2切断線8(
図1(a)参照)とに対応する壁部47とを、有する。凹部46は、壁部47によって囲まれた空間である。
【0069】
次に、
図5(a)に示されるように、成形品45に貫通穴48を形成する。ドリル、レーザ等を使用して、各凹部46の中央部において箱状部材28と樹脂板44と硬化樹脂30とを貫通する貫通穴48を形成する。貫通穴48は、保持対象品を吸引する吸引穴として機能する。成形品45に貫通穴48を形成する工程によって、箱状部材28と硬化樹脂30と樹脂板44と貫通穴48とを含む保持部材49が完成する。
【0070】
図5を参照して、保持部材49が有する壁部47の寸法形状を以下に説明する。壁部47の幅は、溝形成用の回転刃40の幅(厚さ)に等しい幅w3である。壁部47の端部50(
図5では下部。以下同じ。)は、先端51(
図5では下端。以下同じ。)に近づくほど幅が狭い。言い換えれば、壁部47の端部50の断面形状(
図5のX軸に沿って切断した場合の断面形状)は、
図5に示された状態で(端部50を下にした状態で)V字状である。壁部47の先端51は、
図5のY軸に沿って伸びる稜線である。溝付板42における溝部41の深さである距離Lbは、保持部材49においては壁部47の高さに等しい。壁部47の側面を曲面にしてもよい。小さい曲率半径(言い換えれば、大きい曲率)を有する曲面を先端51に設けてもよい。
【0071】
(保持部材を使用してBGA パッケージを保持する態様)
図5を参照して、保持部材49を使用してBGA パッケージ19を保持する工程を説明する。まず、
図5(a)に示されるように、保持部材49が取り付けられた搬送機構37を準備する。
【0072】
次に、
図5(a)に示されるように、切断テーブル9に吸着されたBGA パッケージ19の上方に保持部材49を移動させる。この過程において、隣り合うBGA パッケージ19同士の間におけるすき間20の中心と壁部47の中心とを、位置合わせする。
【0073】
次に、
図5(a)に示される状態から、搬送機構37を下降させる。この工程においては、切断テーブル9と搬送機構37とを相対的に昇降すればよい。これにより、隣り合うBGA パッケージ19同士の間におけるすき間20に、壁部47の端部50が挿入される。壁部47の端部50は、
図5に示された状態でV字状の断面形状を有する。壁部47の先端51を含む端部50の一部分がすき間20の内部(
図5ではすき間20の最上端よりも下側の部分)に入り込み、壁部47における変形した両側面がすき間20の最上端に密着する。したがって、壁部47によってすき間20を塞ぐことができる。この状態で平面視する場合において、各BGA パッケージ19が各凹部46を完全に包含する。壁部47の先端51を含む一部分がすき間20の内部に入り込んだ状態において凹部46の内底面(
図5(b)では凹部46における上側の面)と突起状電極6の頂部とが接触しないように、距離Lbが定められることが好ましい。
【0074】
次に、
図5(b)に示されるように、吸気VJによって各BGA パッケージ19を吸引する。これにより、壁部47の端部50における両側面において各BGA パッケージ19が吸着される。保持部材49は吸着ジグとして機能する。
【0075】
次に、切断テーブル9における吸引を停止した後に、搬送機構37を上昇させて各BGA パッケージ19を次の工程を行う機構まで搬送する。
【0076】
(作用効果)
本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態によれば次の効果が得られる。軟らかく変形しやすい壁部47の端部50が、先端51に近づくほど幅が狭い断面形状を有する。壁部47の先端51がすき間20の内部に入り込むことによって、壁部47における変形した両側面がすき間20を塞ぐ。一方、
図3(d)に示されるように、実施形態1によれば、壁部33の端部39が押しつぶされるように変形してすき間20を塞ぐ。したがって、本実施形態によれば、平面視して壁部47とBGA パッケージ19とが重なる長さ(
図5(b)においてはX方向に沿って重なる長さL2として示される)が実施形態1における重なる長さL1(
図3(d)参照)よりも小さい。実施形態1に比較して本実施形態によれば、隣り合うBGA パッケージ19同士における外縁のいっそう近くまで突起状電極6を配置できる。したがって、本実施形態は、BGA パッケージ19における突起状電極6の配置の更なる高密度化を可能にする。
【0077】
本実施形態がBGA パッケージ19における突起状電極6の配置の更なる高密度化を可能にすることは、
図3(d)と
図5(b)とを比較すれば明らかである。実施形態1を示す
図3(d)においては、1個のBGA パッケージ19においてX方向に沿って4個の突起状電極6が配置される。一方、本実施形態を示す
図5(b)においては、1個のBGA パッケージ19においてX方向に沿って5個の突起状電極6が配置される。
【0078】
加えて、本実施形態によれば、BGA パッケージ19の外縁と最も外側のはんだボールの最も外側の縁との間の距離が小さい場合においても、各BGA パッケージ19が保持部材49に吸着される。このことは、第1に、BGA パッケージ19の小型化を可能にする。第2に、同じ平面積を有するBGA 用封止済基板1(
図1参照)から製造されるBGA パッケージ19の数、言い換えれば、BGA パッケージ19の取れ数の増大を可能にする。
【0079】
(変形例)
変形例として、
図4(b)に示された箱状部材28に第1の樹脂材料を供給して第1の硬化樹脂を成形した後に、第1の硬化樹脂の上に第2の樹脂材料を供給して第2の硬化樹脂を成形してもよい。第2の硬化樹脂の硬度は第1の硬化樹脂の硬度よりも小さい。壁部47における端部50付近を第2の硬化樹脂によって形成し、端部50の付近よりも箱状部材28に近い部分を第1の硬化樹脂によって形成してもよい。これらの構成により、軟らかく変形しやすい第2の硬化樹脂が硬い第1の硬化樹脂によって支持され、かつ、第2の硬化樹脂によって壁部47の端部50が構成される。したがって、壁部47における端部50が軟らかく変形しやすいことによって、端部50がBGA パッケージ19同士の間のすき間20をいっそう確実に塞ぐことができる。
【0080】
先端51の角度を鋭角にすることが好ましく、先端51の角度を15°以上で45°以下にすることが更に好ましい。先端51の角度を15°以上で45°以下にすることが更に好ましい理由は次の通りである。先端51の角度を15°未満にした場合には、壁部47がすき間20の内部に深く入り込むことによって、保持部材49が有する凹部46の内底面が突起状電極6の頂部に接触する可能性がある。この場合は、BGA パッケージ19の対向する外周部と壁部47の端部50とが離れてBGA パッケージ19の吸着を不可能にするおそれがあるので、好ましくない。先端51の角度を45°よりも大きくした場合は、突起状電極6の配置の高密度化及びBGA パッケージ19の小型化を妨げるので、好ましくない。
【0081】
壁部47に関して以下の変形例を採用してもよい。端部50の断面形状を、先端51に近づくほど幅が狭くなっている非対称の形状にしてもよい。例えば、端部50の断面形状を、角記号∠を反時計回りに90°回転させた形状にしてもよい。
【0082】
〔実施形態3〕
(保持部材を使用してLED パッケージを保持する態様)
本発明の実施形態3に係る保持部材が光素子を保持する態様を、
図6を参照して説明する。
図6には、保持対象品として、光学製品に相当するLED (Light emitting diode )パッケージ52が示される。LED パッケージ52は、プリント基板、リードフレーム等からなる基板53と、LED チップ54と、凸部に相当する封止樹脂55とを有する。透光性樹脂から構成される封止樹脂55は、凸レンズとして機能する。基板53が有する一方の面(
図6(a)においては下面)には外部端子(図示なし)が形成される。基板53が有する他方の面56(
図6(a)においては上面)がチップ装着面である。基板53の他方の面56から突出する封止樹脂55の頂部までの高さは(言い換えれば封止樹脂55の突出量は)、距離Laである。LED パッケージ52は、LED 用封止済基板(図示なし。
図1に示されたBGA 用封止済基板1に相当する。)が個片化されることによって製造される。1個のLED パッケージ52が有する封止樹脂55は、保持部材49に成形された複数の凹部46のうちの1個の凹部46に収容される。
【0083】
図6に示されたLED パッケージ52は、X方向に沿って2個、Y方向に沿って2個、合計4個のLED チップ54を有する。1個のLED パッケージ52に1個のLED チップ54が設けられてもよい。光素子として、LED チップ54に代えてレーザダイオードチップが設けられてもよい。1個のパッケージに、1個の発光素子と1個の受光素子とが設けられてもよい。この場合には、その1個のパッケージが光学センサとして機能する。
【0084】
図6に示された保持部材49は、
図5に示された保持部材49と同じ態様でLED パッケージ52を保持する。
図6(b)に示された状態で平面視する場合において、各LED パッケージが各凹部46を完全に包含する。この場合においては、封止樹脂55の突出量である距離Laと、壁部47の先端51を含む一部分がすき間20の内部に入り込む量とを考慮して、凹部46の深さである距離Lbが定められる。具体的には、壁部47の先端51を含む一部分がすき間20の内部に入り込んだ状態で凹部46の内底面(
図6(b)では凹部46における上側の面)と封止樹脂55の頂部とが接触しないように、距離Lbが定められる。
【0085】
(作用効果)
本実施形態によれば、基板53における他方の面56において基板53の外縁と封止樹脂55の外縁との間の距離が小さい場合においても、各LED パッケージ52が保持部材49に吸着される。このことは、第1に、LED パッケージ52の小型化を可能にする。第2に、同じ平面積を有するLED 用封止済基板から製造されるLED パッケージ52の数、言い換えれば、LED パッケージ52の取れ数の増大を可能にする。
【0086】
〔実施形態4〕
(切断装置の構成)
図7を参照して、
図1に示したBGA 用封止済基板1を切断する切断装置の構成について説明する。
図7に示された切断装置57は、
図3(d)に示された保持部材35を使用して製品であるBGA パッケージ19を製造する、製品の製造装置の1つの形態である。
【0087】
図7に示されるように、切断装置57は、BGA 用封止済基板1を供給する供給モジュールAと、BGA 用封止済基板1を切断する切断モジュールBと、切断されたBGA パッケージ19を検査して保管する検査・保管モジュールCとを、それぞれ構成要素として備える。各構成要素(各モジュールA〜C)は、それぞれ他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0088】
供給モジュールAには、BGA 用封止済基板1を供給する封止済基板供給部58が設けられる。BGA 用封止済基板1は、搬送機構(図示なし)によって、BGA 用封止済基板1における他方の面2b(突起状電極6が形成された面;
図1参照)を上向き(+Z方向の向き)にして、供給モジュールAから切断モジュールBに搬送される。
【0089】
切断モジュールBには、BGA 用封止済基板1を載置して切断するための切断テーブル9(
図2参照)が設けられる。切断テーブル9の上には切断用ジグ10(
図2参照)が取り付けられる。切断テーブル9は、移動機構59によって図のY方向に移動可能である。かつ、切断テーブル9は、回転機構60によってθ方向に回転可能である。切断テーブル9の上に取り付けられた切断用ジグ10の上にBGA 用封止済基板1が載置される。
【0090】
切断モジュールBには、切断機構としてスピンドル61が設けられる。スピンドル61は、独立してX方向及びZ方向に移動可能である。スピンドル61にはBGA 用封止済基板1を切断する回転刃18が装着される。
図2(a)にも示されるように、回転刃18は幅(厚さ)w1を有する。
【0091】
スピンドル61には、高速回転する回転刃18に向かって切削水を噴射する切削水用ノズル、冷却水を噴射する冷却水用ノズル(どちらも図示なし)等がそれぞれ設けられる。切断テーブル9とスピンドル61とを相対的に移動させることによってBGA 用封止済基板1が切断される。回転刃18は、Y−Z平面の面内において回転することによってBGA 用封止済基板1を切断する。
【0092】
切断装置57は、1個のスピンドル61が設けられるシングルスピンドル構成の切断装置である。これに限らず、切断モジュールBに2個のスピンドルが設けられるツインスピンドル構成を有する切断装置にしてもよい。更に、切断テーブルを2個設けて、それぞれの切断テーブルにおいてBGA 用封止済基板1を切断するツインカットテーブル構成にしてもよい。ツインスピンドル構成及びツインカットテーブル構成を採用することによって、切断装置の生産性を向上させることができる。
【0093】
検査・保管モジュールCには、BGA 用封止済基板1を切断して個片化された複数のBGA パッケージ19を吸着して搬送する搬送機構37(
図3(d)参照)が設けられる。搬送機構37は、X方向及びZ方向に移動可能である。搬送機構37には、
図3(d)に示された保持部材35が取り付けられる。搬送機構37は、保持部材35を使用して、個片化された複数のBGA パッケージ19を保持部材35に一括して吸着して搬送する。
【0094】
検査・保管モジュールCには、個片化された複数のBGA パッケージ19を載置して検査するための検査テーブル62が設けられる。検査テーブル62の上には検査用ジグ63が取り付けられる。検査テーブル62はY軸を軸にして回転することができ、X方向及びZ方向に移動可能である。搬送機構37によって、複数のBGA パッケージ19は検査用ジグ63の上に一括して載置される。複数のBGA パッケージ19は、検査用カメラ64によって、
図5(a)に示された封止樹脂5の表面(
図5(a)では下面)及び突起状電極6の側の面である他方の面2bが、それぞれ検査される。
【0095】
検査・保管モジュールCには、検査された複数のBGA パッケージ19を一時的に保管するための保管テーブル65が設けられる。保管テーブル65はY方向に移動可能である。保管テーブル65には、実施形態2に示されたBGA パッケージ用の保持部材35が取り付けられる。保管テーブル65は保持機構に相当する。検査されたBGA パッケージ19は検査テーブル62から一括して保管テーブル65に取り付けられた保持部材35に移載される。保管テーブル65に保管されたBGA パッケージ19は良品と不良品とに区別され、移送機構(図示なし)によって良品は良品用トレイ66に、不良品は不良品用トレイ67にそれぞれ移送されて収納される。
【0096】
供給モジュールAには制御部CTLが設けられる。制御部CTLは、切断装置57の動作、BGA 用封止済基板1の搬送、BGA 用封止済基板1の切断、個片化されたBGA パッケージ19の搬送、BGA パッケージ19の検査、BGA パッケージ19の収納等を制御する。本実施形態においては、制御部CTLを供給モジュールAに設けた。これに限らず、制御部CTLを他のモジュールに設けても良い。また、制御部CTLを複数の部分に分割して、供給モジュールA、切断モジュールB及び検査・保管モジュールCのうちの少なくとも2つのモジュールに、分割された部分をそれぞれ設けても良い。
【0097】
図6に示されたLED パッケージ52を製造する場合には、保持部材49が取り付けられた搬送機構37を使用する。光学製品を製造する場合、例えば、マイクロレンズアレイを製造する場合には、保持部材が保持する保持対象品がマイクロレンズアレイになる。この場合には、マイクロレンズアレイの寸法形状に対応する保持部材を準備する。準備された保持部材を搬送機構に取り付けて、その保持部材にマイクロレンズアレイを吸着させる。その後に、搬送機構を使用してマイクロレンズアレイを搬送する。
【0098】
本実施形態においては、保持部材35(
図3(d)、
図7参照)及び保持部材49(
図5、6参照)は、代表的には次の工程において使用される。それは、切断されることによって個片化されたBGA パッケージ19及びLED パッケージ52とが、切断テーブルから検査テーブルに搬送される工程である。この以外の工程として、BGA パッケージ19及びLED パッケージ52とがそれぞれ有する凹凸のうち凸部(突起状電極6及び封止樹脂55)を上方に向けて、BGA パッケージ19及びLED パッケージ52とが吸着される工程において、保持部材35、49が使用される。
【0099】
(作用効果)
本実施形態によれば、切断装置57において、搬送機構37及び保管テーブル65に、実施形態2に示されたBGA パッケージ用の保持部材35を適用する。1個のBGA パッケージ19の複数の突起状電極6は、保持部材35に成形された複数の凹部32のうちの1個の凹部32に収容される。したがって、複数のBGA パッケージ19において、
図5(a)に示された突起状電極6の側の面である他方の面2bを安定して搬送機構37及び保管テーブル65に吸着することができる。この保持部材35を搬送機構37及び保管テーブル65に適用することによって、切断装置57の製造コストを抑制することができる。
【0100】
ここまで説明した実施形態において、本発明に係る保持部材が保持する保持対象品として、BGA パッケージ19とLED パッケージ52とを例示して説明した。これらに限らず、吸着される面に凹凸を有する保持対象品に対して本発明が適用される。第1に、吸着される面において、銅箔からなる端子と、絶縁性樹脂からなるソルダーレジストとが形成された、LGA (Land grid array )用封止済基板が挙げられる。端子の厚さとソルダーレジストの厚さとは通常異なるので、LGA (Land grid array )用封止済基板における吸着される面には、凹凸(言い換えれば段差)が形成される。第2に、吸着される面においてレンズが形成された光学製品が挙げられる。凸部の例として凸レンズが、凹部の例として凹レンズが、凹凸の例としてフレネルレンズが、それぞれ挙げられる。光学製品には、マイクロレンズアレイが含まれる。
【0101】
ここまで説明した実施形態においては、保持部材を製造する際に、
図3(a)〜(c)に示された成形型27及び
図4(b)〜(d)に示された成形型43を使用した。成形型27は溝付板25(
図3(a)〜(c)参照)を有する。成形型43は、溝付板42(
図4参照)を有する。溝付板25、42を製作する際に、幅(厚さ)w2を有する円板状の回転刃22を使用して、硬質樹脂板等からなる板状部材21に溝を形成した。板状部材21に代えて、個片化される直前の中間製品に対して回転刃22、40を使用して溝部を形成してもよい。個片化される直前の中間製品としては、第1に、BGA 用封止済基板1自体(
図1参照)が挙げられる。第2に、LED パッケージ52(
図6参照)に個片化される直前のLED パッケージ用封止済基板自体(図示なし)が挙げられる。第3に、マイクロレンズアレイ等の光学製品を製造する過程における、マイクロレンズアレイ等に個片化される直前の中間製品である、成形品が挙げられる。
【0102】
上述した封止済基板と同じ寸法形状を有する代替品に、回転刃22、40を使用して溝部を形成してもよい。代替品として、例えば、
図1に示されたBGA 用封止済基板1の代替品になる成形品が挙げられる。この成形品を製造するために、BGA 用封止済基板1に使用される基板2と同じ基板を使用して、例えば、チップ4を装着することなく、封止樹脂5と同じ寸法形状を有するダミー樹脂を成形する。回転刃22、40を使用してこのダミー樹脂を含む成形品に溝部を形成することによって、溝付板25、42に代わる溝付成形品を製作する。
図3(a)〜(c)に示された成形型27及び
図4(b)〜(d)に示された成形型43の代わりとして、溝付成形品を使用することができる。
【0103】
ここまで説明した実施形態において、回転刃22、40を使用して溝部23、41を形成した。溝部23、41を形成する工程において、回転刃22、40に代えて、ワイヤソー、バンドソー等を使用して加工してもよい。更に、溝部23、41を形成する工程において、レーザ加工、ブラスト加工、ウォータージェット加工等を使用してもよい。ワイヤソーによる加工、レーザ加工、ブラスト加工、ウォータージェット加工を使用する場合には、平面形状に曲線又は折れ線が含まれる製品を製造することができる。平面形状に曲線又は折れ線が含まれる製品の例として、メモリーカードが挙げられる。
【0104】
ここまで説明した実施形態において、保持部材49を吸着ジグとして使用した。変形例として、吸引穴48が形成されない部材である成形品45(
図4(d)参照)を、トレイとして使用できる。言い換えれば、成形品45は、吸引穴を必要としない保持部材として使用され得る。
図4(d)に示された成形品45がトレイとして使用される態様を説明する。
図4(d)に示された状態(凹部46の開口が上を向いた状態)で、成形品45を使用する。
図5(b)が上下反転された状態を参照して説明する。この状態において、凹部46を囲む壁部47の端部50における内側面にBGA パッケージ19が有する外縁が接触するようにして、BGA パッケージ19が凹部46に収容される。BGA パッケージ19が有する突起状電極6が凹部46の内底面に接触しない。これにより、突起状電極6に汚れが付着することが防止される。したがって、突起状電極6が関与する電気的接続が安定して行われる。加えて、BGA パッケージ19を搬送する際のがたつきが抑制される。
【0105】
別の変形例として、
図6(b)が上下反転された状態を参照して説明する。この場合には、LED パッケージ52が有する封止樹脂55が凹部46の内底面に接触しない。これにより、凸レンズとして機能する封止樹脂55に汚れが付着することが防止される。したがって、LED パッケージ52の光学的特性の低下が生じない。加えて、LED パッケージ52を搬送する際のがたつきが抑制される。
【0106】
更に別の変形例として、
図3(c)に示された成形品31の変形例がトレイとして使用され得る。
図3(a)に示された溝部23の中心に、幅(厚さ)w4を有する溝形成用の回転刃を使用して浅い溝部を形成する。回転刃の幅w4は、切断用の回転刃18の幅w1(
図2(a)参照)よりも小さい。
図3(a)〜(c)に示された工程によって、
図3(c)に示された成形品31に代わる成形品が製造される。この成形品は、
図3(c)に示された壁33の上部における両側の角部に形成された段差を有する。この段差における水平面に、BGA パッケージ19、LED パッケージ52等の保持対象品の外縁が置かれる。この変形例においても、これまで説明した2つの変形例と同様の効果が得られる。
【0107】
これまで説明した3つの変形例において、成形品31の変形例である成形品及び成形品45に吸引穴を形成してもよい。これらの場合には、保持部材35の変形例である保持部材及び保持部材49が、保持対象品を吸着する機能を有するトレイに相当する。
【0108】
各実施形態においては、製品の製造装置の1つの形態として、切断装置について説明した。これに限らず、それぞれ製品の製造装置において使用される、製品を搬送する搬送装置、製品を収納する収納装置、製品を検査する検査装置などにおいても、本発明の保持部材を適用することができる。
【0109】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。